JP3178270B2 - 無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板の製造方法

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JP3178270B2
JP3178270B2 JP24252194A JP24252194A JP3178270B2 JP 3178270 B2 JP3178270 B2 JP 3178270B2 JP 24252194 A JP24252194 A JP 24252194A JP 24252194 A JP24252194 A JP 24252194A JP 3178270 B2 JP3178270 B2 JP 3178270B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器の鉄心として
広く用いられる鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法
であって、とりわけ高周波条件下で使用される電気機器
の鉄心に適した無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気機器を取り巻く環境としては、機器
の効率化、小型軽量化が全般的な傾向であり、より効率
のよいインバータ制御も普及し始めている。周波数を高
くすると効率が向上し、小型化が可能になることから、
現在商用周波数で使用されている電気機器でも、今後高
い周波数を適用するものが増加していくと予想される。
【0003】そのため高周波条件下でのエネルギー損失
の低い電気部品が求められ、その鉄心に用いられる電磁
鋼板も高周波域での鉄損の低いものが必要になる。
【0004】電磁鋼板の鉄損は、周波数が高くなるにつ
れて増大する。これは、鉄損がヒシテリシス損と渦電流
損の和になっていて、どちらの損失も用いられる周波数
が高くなると増大するためである。特に渦電流損は周波
数の二乗に比例して増大するので、高周波域では鉄損の
大半は渦電流損になっている。つまり、渦電流損を小さ
くすれば、高周波鉄損を低くできるのである。
【0005】渦電流損を低くするために、鋼板の電気抵
抗を高めたり、積層鉄心の板厚を薄くすることがおこな
われる。電気抵抗を高くするにはSiが他のどの元素の
添加よりも効果があるが、Siを 4%以上添加すると、
材質が硬くなるばかりでなく脆くなってくる。このため
通常の工業生産のプロセスでの鋼板の圧延、とくに冷間
圧延で割れが発生しやすく、その上、薄い板厚が好まし
いとなればますます製造が困難になる。板厚を薄くする
ことは、使用する方も積層枚数が増えて手間がかかり、
その上占積率が低下するので限界がある。
【0006】Siの添加量を増していくと、約 6.5%で
磁歪は殆どゼロになり、透磁率は極大を示し、ヒシテリ
シス損が著しく低くなることは以前から知られている。
そして、この場合Siが多量に含まれるので、電気抵抗
は高く、Fe−Siの合金系においては最良の磁気特性
を持つ材料になる。ところがSiが 6.5%にもなると極
めて脆く、通常の薄板の製造方法の圧延は不可能であ
る。このような高Si含有鋼板の製造方法として、溶湯
超急冷法や滲珪法が検討され、一部すでに実用化されて
いるが、そのためには特殊な製造設備が必要になる。
【0007】加工性のよくない高Si鋼を、圧延にて製
造する方法が特開昭 62-103321号公報に示されている。
これはSiを 4〜 7%含む鋼を、熱間圧延の際、低温域
で大きな圧下を加えて結晶粒を微細化し、その後の冷間
圧延の割れを抑制しようとするものである。しかし、製
品になった鋼板にて良好な磁気特性を得るには、充分に
焼鈍して結晶粒を大きくしなければならない。そうする
と極めて脆くなり、これを加工するには特殊な工具や設
備が必要になってくる。
【0008】電気抵抗を増すには、Si添加とほぼ同じ
の効果のあるAlを多量に添加する方法が考えられる。
無方向性電磁鋼板においては、電気抵抗を増したり、磁
壁の移動を阻害して磁化特性を悪くする微細なAlNの
析出を阻止する目的で、Si添加に加えて1%までのA
lが添加される。さらに、大量のAlの添加を提案した
例として特開平3-24251 公報がある。これにはSiを
3.3%以下におさえ、Alを 1.5〜 8%添加した無方向
性電磁鋼板が提示されていて、Siの比率を下げてAl
の比率を高くすると、加工性が改善され磁気特性が向上
し、特にモータ用に好ましい 100 <001>集合組織が発達
しやすいとしている。この公報は先行引例にフランス国
特許出願第 2,316,338号のSi: 2.5〜 3.5%にAl:
0.3〜 1.5%を添加した場合を紹介し、このSi量では
Alが 1.5%を超えると合金が極端に脆化すると指摘し
ている。
【0009】このようにSi添加量を増せば、電気抵抗
が増して特に高周波領域の使用に適した性能が得られる
ことはわかっていても、材料の加工性は大幅に劣化する
と言う問題があり、その対策にSi添加量を抑えてAl
を多量に添加することが考えられる。しかしながら、充
分に電気抵抗を増した上で加工性を確保するには限界が
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題を解消することを目的としてなされたものであり、現
状の薄鋼板の製造設備で実現可能な条件の範囲で製造す
ることができ、製品鋼板の打抜き加工が容易で、磁気特
性に優れた、とりわけ高周波域において鉄損の低い、無
方向性電磁鋼板の製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特に高周
波域の磁気特性が優れ、その上で製造時の冷間圧延性
や、鋼板製品の打ち抜き性の良好な無方向性電磁鋼板の
製造方法について、いろいろ検討した結果、下記のよう
ないくつかの新しい知見を得た。
【0012】(a) 高周波での鉄損の低減を目的に、渦電
流損をできるだけ低くするため、電気抵抗を増す効果が
Siに近いAlの複合添加を検討の結果、適切な量のA
lの添加により良好な磁気特性が得られることがわかっ
た。
【0013】(b) 加工性の劣化が許容できる限界近くま
でSi量を増したところへAlを添加し、加工性劣化を
調査した結果、同じ電気抵抗であれば、Si添加だけよ
りもAlを複合添加した方が加工性が良好であることが
わかった。しかし、Alも添加量が増えると加工性は劣
化してくるので、添加量には限界がある。
【0014】(C) このSiとAlの複合添加に加えてさ
らにMnを添加すると、冷間圧延時や打抜き加工時の耐
割れ性が改善され、その添加量を増していけば加工性を
損なうことなく高周波での磁気特性も向上することがわ
かった。
【0015】(d) Si、AlおよびMnを複合添加した
素材による鋼板の製造方法として、熱間圧延後、冷間圧
延→中間焼鈍→冷間圧延→最終焼鈍という工程を取るこ
とが磁気特性に好ましい集合組織を得るのに最適であっ
た。
【0016】(e) さらに上記 (d)に加えて熱間圧延後の
冷間圧延の前に、熱延板焼鈍を入れた工程にすることに
よって、磁気特性はさらに向上し、製品の鋼板にてリジ
ングが問題になる場合はその抑制にも有効であることが
わかった。
【0017】以上のような知見にもとづいて、(1)重
量%で、C: 0.010%以下、Si:2.75〜 3.5%、M
n: 1.02〜 2.5%、P:0.02%以下、S: 0.006%以
下、N: 0.006%以下、Al: 1.5%以上 、2.5%未満
を含有し、かつSi(%)+ 0.5Al(%)≧ 4.0を満足
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼のスラ
ブを熱間圧延後、圧延率40〜80%の冷間圧延をおこな
い、ついで 650〜1000℃にて中間焼鈍して、さらに圧延
率40〜80%の冷間圧延後、仕上焼鈍をおこなう鉄損の低
い無方向性電磁鋼板の製造方法、 および (2)上記(1)に記載の組成の鋼のスラブを熱間圧延
後、その熱延鋼板を 650〜1000℃にて焼鈍し、圧延率40
〜80%の冷間圧延をおこない、ついで 650〜1000℃にて
中間焼鈍して、さらに圧延率40〜80%の冷間圧延後、仕
上焼鈍をおこなう鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方
法、の発明を完成した。
【0018】
【作用】以下本発明の方法の構成要件ごとに作用効果お
よび限定理由を説明する。
【0019】(1)素材スラブまたは製品鋼板の化学組
成 (1) C量 Cは磁気特性を大きく劣化させるのでできるだけ低くす
る。このため含有量を0.010%以下にするが、少なくで
きればそれだけ磁気特性は向上するので、望ましくは
0.005%以下である。
【0020】(2) Si量 Siは、電気抵抗の上昇に大きな効果のある元素であ
り、含有量が増すほど渦電流損が低下し、鋼板の鉄損が
減少する。しかし、含有量の増加にともなって硬く脆く
なり、 3.5%を超えると冷間圧延で割れが発生したり圧
下が困難になってくる。また、鋼板製品をモータの鉄心
などに打ち抜く際、工具摩耗の増加や形状不良あるいは
割れなど生じやすくなる。一方、2.75%未満の含有量で
は鉄損の低減が不十分である。したがって、Si含有量
の範囲を2.75〜 3.5%とする。
【0021】(3) Mn量 Mnを多めに添加すると、SiとAlの含有量を増した
ことによる、冷間圧延や製品打ち抜き時の割れ発生など
の加工性劣化を改善できる。これは、Mnを多く固溶さ
せることによって、熱間圧延時の結晶粒径の粗大化が抑
制されたり、製品の結晶粒が適正化され、脆化が抑えら
れことが一つの理由であろう。その上、添加量を増す
と、電気抵抗も上昇し、加工性を損なうことなく磁気特
性が向上する。ただし過剰の添加は材質が硬くなりすぎ
るので、 2.5%をこえるのは好ましくない。
【0022】このような理由からMnの添加範囲を 1.0
2〜 2.5%とする。
【0023】(4) S量 Sは鋼中でMnと結合してMnS析出物となり、磁気特
性を劣化させるので少ないほどよい。このために許容で
きる限度は 0.006%以下であるが、望ましくは0.003%
以下である。
【0024】(5) Al量 Alの添加は、Siとほぼ同じ程度に電気抵抗を増加さ
せる。そして、Si添加だけ電気抵抗を増した場合より
も、SiとAlを複合添加して、同程度の電気抵抗値に
する方が加工性が良好である。Alの添加の限界量はS
i量により異なるが、 3.5%までのSi量の場合、 1.5
%以下の添加では充分な磁気特性は得られない。また、
多量の添加は磁歪を増大させる傾向にあり、特に、含有
量 2.5%以上になると顕著に増大する。磁歪は騒音の原
因であると言われており、そのうえ、磁歪の増大はヒシ
テリシス損を増加を招くことにもなる。このような理由
から、Alの添加の範囲は 1.5%以上 2.5%未満とす
る。
【0025】(6) N量 NはAlと結合して微細なAlN析出物となり磁気特性
を阻害する。したがって低ければ低いほど好ましい。
0.006%は許容上限値である。
【0026】(7) SiとAlの複合効果 Mn量が多くない場合、割れ発生による冷間加工の限界
から、SiとAlの含有量を増すことが困難であった
が、Mnを多く加えることによって加工性が改善され
た。さらに、上記の添加量の限界内で充分優れた磁気特
性を発揮させるためには、Si量とAl量が Si( %) + 0.5Al( %) ≧ 4.0 であることが必要である。この限界を下回る場合、Mn
量が少なくても加工性は維持できるが、磁気特性は不十
分である。
【0027】(9) 不可避的不純物元素 上に述べた元素以外の不可避的不純物元素は、いずれも
磁気特性を劣化させるので、少なければ少ないほど望ま
しい。特に磁気特性や加工性ににおよぼす影響の大きい
元素、例えばO、Ti、Nb、V等は低減のために充分
な注意が必要である。
【0028】(2)製造条件 (a) 熱間圧延 熱間圧延に用いるスラブは、連続鋳造スラブまたは分塊
圧延スラブの何れを用いてもよく、連続鋳造で得たスラ
ブを直送圧延してもよいし一旦冷却されたスラブを再加
熱してもよい。熱間圧延条件については特に限定しない
が、磁気特性からはスラブ加熱温度は1200℃以下、仕上
温度は750 〜850 ℃が望ましい。
【0029】巻取り温度は特に規制しないが、高温ほど
磁気特性は向上する傾向がある。しかし、巻取り温度を
高温にすると表面の酸化層が増し、その除去が困難にな
ってくる。ただし、請求項2に示した熱延板で焼鈍を行
なう方法においては、巻取温度の影響が小さいので、低
温で巻取るほうが酸化層の発達が少なく、望ましくは60
0℃以下である。
【0030】(b) 冷間圧延 熱延鋼板を冷間圧延した後、焼鈍して充分再結晶させ、
さらに冷間圧延を行ない最終製品の板厚に仕上げること
により、優れた磁気特性が得られる。始めの冷間圧延を
一次冷圧、中間の燒鈍後の冷間圧延を二次冷圧と言う。
中間の焼鈍を挟んで2回冷間圧延すると、最終製品の磁
気特性が向上するのは、 110 <001>方位や 100 <001>方
位等の磁気特性に好ましい集合組織が発達しやすいため
である。
【0031】冷間圧延の圧下率は一次冷圧、二次冷圧と
も40〜80%とするが、この圧下率の範囲を外れると充分
な磁気特性が得られない。
【0032】冷間圧延は室温でもよいが、割れ防止を確
実にするために鋼板を 350℃以下に加熱して実施しても
よい。 350℃をこえると圧延時の鋼板の形状制御が困難
になるとともに、圧延油も特殊な性状のものを用いる必
要がある。
【0033】(c) 中間焼鈍 硬い材料の圧延に、中間で焼鈍軟化させて圧延を容易に
する目的もあるが、これによって磁気特性が向上する。
これは、磁気的に好ましい集合組織を発達させることが
できるためである。焼鈍の方法は、箱焼鈍、連続焼鈍の
どちらの方式でもよく、材料が焼鈍温度に到達すればよ
いので均熱時間を特定する必要はない。
【0034】焼鈍温度が 650℃未満では、再結晶が十分
に進行せず、焼鈍の効果が得られない。一方、焼鈍温度
が1000℃を超えると、結晶粒が粗大化し過ぎて冷間圧延
時に割れが生じやすくなる。したがって、中間焼鈍温度
は、 650〜1000℃とする。箱焼鈍の場合には 650〜 900
℃が、連続焼鈍の場合には 750〜1000℃がそれぞれ望ま
しい。
【0035】(d) 仕上焼鈍 二次冷圧で目的とする板厚に仕上げた後、製品としての
磁気特性を得るための仕上焼鈍をおこなう。再結晶が充
分行なわれ適度に結晶粒が成長するのであれば、その条
件は特には制約しないが、焼鈍温度として望ましいのは
700℃〜1250℃である。また必要に応じ表面に、絶縁、
防錆、または打ち抜き加工性向上を目的にして、薄い被
膜を塗布し焼き付けてもよい。
【0036】(e) 熱延板焼鈍 上述の製造工程において、熱間圧延後の冷間圧延の前
に、熱延板の焼鈍をおこなうと、磁気特性がさらに向上
する。これは、磁気的に好ましい集合組織が発達しやす
くなるためと考えられる。また、熱延板焼鈍をおこなう
ことで、表面に発生しやすい凹凸状の欠陥の、リジング
を軽減することができる。リジングは、鋼板製品として
外観上好ましくないばかりでなく、最終製品の積層鉄心
の占積率を低下させ、その磁気特性を悪くする。
【0037】このような効果を得るための熱延板焼鈍温
度は 650℃〜1000℃が適当である。
【0038】保持時間は、材料がこの温度に到達すれば
よく、均熱保持は必ずしも必要としない。焼鈍温度が 6
50℃未満では再結晶が不十分で磁気特性が改善されず、
1000℃を超えると、結晶粒が粗大化し過ぎて機械的特性
は劣化し、割れやリジングの抑制に対して効果がなくな
る。これらの効果を充分発揮させるためには 700〜 900
℃が望ましい。
【0039】
【実施例】
〔実施例1〕表1に示す組成の鋼を、高周波加熱真空溶
解炉で溶製し、それらの鋼片を1200℃に加熱後、仕上げ
温度 850℃として熱間圧延により厚さ 2.3mmの熱延板に
した。これを一次冷間圧延として圧下率65%で0.80mm厚
まで圧延した後、 750℃で 1時間以上の均熱による中間
焼鈍を行ない、圧下率56%の二次冷間圧延にて0.35mm厚
にした。冷間圧延で割れが発生した試験片は、 300℃の
温間圧延にて所定の板厚まで圧延をおこなった。
【0040】圧延後の鋼板は、1000℃で1分間均熱の焼
鈍を行なってから、圧延方向および圧延直角方向を長手
方向とした、幅30mm、長さ 280mmのエプスタイン磁気特
性測定試験片を、打抜き加工により作製した。打抜き時
に割れが発生した試験片については、放電加工により試
験片を作製した。
【0041】これらの試験片を用いて、 800℃で 2時間
の歪取り焼鈍を実施した後、磁気特性を測定した。通
常、無方向性電磁鋼板は50〜60ヘルツの商用周波数にて
鉄損の測定が行なわれるが、高周波での性能を知るた
め、 400ヘルツでの鉄損を測定した。これらの一連の試
験結果も表1に示す。なお、磁気特性としては、鉄損が
低く、磁束密度の高い方が優れている。
【0042】
【表1】
【0043】本発明で定める条件を全て満たした鋼種A
〜Eから製造された鋼板では、良好な磁気特性を示すと
ともに、室温における冷間圧延や打抜き加工時において
割れの発生はなく、良好な加工性を有していた。
【0044】Si(%)+ 0.5Al(%)が 4.0を下ま
わる鋼種H〜Jでは、上記A〜Eに比較し鉄損は高く磁
束密度は低く、磁気特性が劣っている。また、Si
(%)+0.5Al(%)が 4.0以上であっても、Si量
やAl量が規制値をこえる鋼種FおよびGでは、冷間圧
延時に端部から亀裂が発生し、また試験片打ち抜きの際
にはコーナー部から割れが発生した。
【0045】〔実施例2〕Mn添加量の効果を見るた
め、実施例1の鋼種AまたはEと、Si量およびAl量
を同じにして、Mn量を変えた鋼を高周波加熱真空溶解
炉で溶製し、試験1と同じ方法で薄板にした後、磁気特
性を測定した。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】Mn量が本発明で規制する範囲より低い鋼
種A0およびE0では、冷間圧延は問題なくおこなえたが、
打ち抜き加工するとエッジ部から微細な割れが生じた。
このため、これらの試験片については磁気特性を測定し
なかった。
【0048】また、Mn量が本発明で規制する量をこえ
る鋼種A3およびE3では、冷間圧延で目標の板厚に減圧で
きなかった。
【0049】〔実施例3〕冷間圧延の圧下率の効果を知
るため、実施例1の鋼種A、および実施例2の鋼種A1に
ついて、試験1と同様の方法で、板厚 2.3mmの熱延板に
仕上げた後、表3に示すような一次冷間圧延、中間焼鈍
および二次冷間圧延をおこない、0.35mm厚の鋼板に仕上
げた。一次、二次冷間圧延はいずれも室温とし、中間焼
鈍は 850℃で1時間の均熱とした。二次冷間圧延の後
に、実施例1と同様の方法で試験片を作製して、磁気特
性を測定した。
【0050】
【表3】
【0051】一次あるいは二次の冷間圧延において、本
発明の範囲外の圧下率で製造された鋼板は、本発明のも
のに比較し、いずれも鉄損が大きく磁束密度が低い。ま
た、中間焼鈍なしに一回の冷間圧延で目標の板厚に仕上
げようとした条件6では、冷間圧延時に割れが発生し
た。
【0052】〔実施例4〕実施例1にて用いた鋼種A、
および実施例2の鋼種A1の鋼片により、実施例1と同様
の方法で板厚 2.3mmの熱延板にした後、一次冷間圧延の
圧下率を65%とし、表4に示すように温度を変え中間焼
鈍して、さらに圧下率56%の二次冷間圧延をおこない板
厚0.35mmに仕上げた。中間焼鈍は1分間均熱の連続焼鈍
とした。中間焼鈍温度が1030℃の場合、二次冷間圧延で
割れが発生した。これは焼鈍温度が高すぎ、結晶粒が粗
大化して脆くなったためと思われた。二次冷間圧延後、
1000℃で1分間均熱の焼鈍を行なって、実施例1と同様
にして磁気特性を調査した。
【0053】これらの結果をまとめて表4に示す。表に
見られるように、中間焼鈍の温度が低すぎる場合、充分
な磁気特性が得られなかった。
【0054】
【表4】
【0055】〔実施例5〕実施例1にて用いた鋼種A、
および実施例2の鋼種A1の鋼片により、実施例1と同様
の方法で板厚 2.3mmの熱延板にした後、表5に示す条件
の熱延板焼鈍をおこなった。次いで、実施例1と同じ工
程および条件で一次冷延、中間焼鈍、二次冷延を経た
後、1000℃で1分間均熱の焼鈍により鋼板製品を製造し
た。この鋼板から、実施例1と同様に試験片を作製し、
磁気測定と、JISC2550に規定された占積率試験をお
こなった。
【0056】
【表5】
【0057】表5に示す条件10は、熱延板焼鈍をおこな
っていない本発明例で、比較として示す。条件11は、熱
延板焼鈍を行なってはいても温度が不十分で、その効果
は現われていない。これら2つの条件は、本発明の請求
項2には該当せず、熱延板焼鈍の効果は得られていない
が、請求項1に含まれるもので、磁気特性としては充分
な値が得られている。
【0058】本発明の請求項2に相当する条件で熱延板
を焼鈍した条件12では、磁気特性の向上ばかりでなく、
占積率も向上した。ただし、焼鈍温度の高すぎる条件13
は、脆くなって冷間圧延時に割れが発生した。
【0059】
【発明の効果】本発明の方法によれば、電磁鋼板の磁気
特性向上、特に高周波領域における鉄損の低減を、冷間
加工性を劣化させることなく実現できる。このため、低
損失の無方向性電磁鋼板を特殊な設備を用いずに製造す
ること、および製品鋼板の所要形状へ加工することが可
能になる。
【0060】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C21D 9/46 501 C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C: 0.010%以下、Si:2.75
    〜 3.5%、Mn: 1.02〜 2.5%、P:0.02%以下、
    S: 0.006%以下、N: 0.006%以下、Al: 1.5%以
    上 2.5%未満を含有し、かつSi(%)+ 0.5Al(%)≧
    4.0を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物からな
    る鋼のスラブを熱間圧延後、圧延率40〜80%の冷間圧延
    をおこない、ついで 650〜1000℃にて中間焼鈍して、さ
    らに圧延率40〜80%の冷間圧延後、仕上焼鈍をおこなう
    鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%で、C: 0.010%以下、Si:2.75
    〜 3.5%、Mn: 1.02〜 2.5%、P:0.02%以下、
    S: 0.006%以下、N: 0.006%以下、Al: 1.5%以
    上 2.5%未満を含有し、かつSi(%)+ 0.5Al(%)≧
    4.0を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物からな
    る鋼のスラブを熱間圧延後、その熱延鋼板を 650〜1000
    ℃にて焼鈍し、圧延率40〜80%の冷間圧延をおこない、
    ついで 650〜1000℃にて中間焼鈍して、さらに圧延率40
    〜80%の冷間圧延後、仕上焼鈍をおこなう鉄損の低い無
    方向性電磁鋼板の製造方法。
JP24252194A 1994-10-06 1994-10-06 無方向性電磁鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3178270B2 (ja)

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