JP2001279403A - 高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板 - Google Patents

高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板

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JP2001279403A
JP2001279403A JP2000097142A JP2000097142A JP2001279403A JP 2001279403 A JP2001279403 A JP 2001279403A JP 2000097142 A JP2000097142 A JP 2000097142A JP 2000097142 A JP2000097142 A JP 2000097142A JP 2001279403 A JP2001279403 A JP 2001279403A
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Nobuisa Shiga
信勇 志賀
Osamu Kondo
修 近藤
Kenichi Sadahiro
健一 定広
Masayoshi Ishida
昌義 石田
Atsuto Honda
厚人 本田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に、10kHz 以上の周波数域で優れた磁気特
性を有する高周波リアクトルに有利に適合する、無方向
性電磁鋼板について提案する。 【解決手段】 Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びS
i:2.5 mass%以上10mass%以下を含み、かつC及びN
を合計量で100ppm以下に低減し、残部は鉄及び不可避的
不純物からなり、比抵抗が60μΩcm以上、板厚が0.01〜
0.40mmおよび表面粗さが算術平均粗さで0.5 μm以下と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば高周波リ
アクトルに用いて好適な無方向性電磁鋼板に関し、特に
1kHz 以上さらには10kHz 以上の周波数域で優れた磁気
特性を持つ無方向性電磁鋼板を提案しようとするもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境の保護・改善を目的に、
省エネルギー化への機運が高まっている。電気機器に注
目すると、高効率化、省電力化のために、インバーター
方式を採用する製品が増えてきており、その周波数も高
効率化のために高周波域へと年々移ってきている。従
来、インバーター化、高周波化に伴い、力率改善目的で
リアクトルが使用されているが、更に電源汚染を防ぐ目
的でインバーター機器に高周波リアクトルの使用が増し
てきている。これら高周波リアクトルは、1kHz 以上、
更には10kHz 以上の周波数域で使用されることから、在
来の高周波対応の珪素鋼板を用いたのでは、発熱が大き
くなってしまい、使用することが困難であったため、特
殊な材料を使用せざるを得なかった。
【0003】ここに、高周波鉄損を改善するためには、
鋼の固有抵抗を高めることが重要であり、一般にはSiや
Alの含有量を増す手法がとられていた。しかし、SiやAl
の含有量を増すと加工性が劣化し、通常の方法で製造す
ることは困難であった。この製造性を改善する技術とし
ては、特開昭61−166923号公報に記載された高
珪素鋼板の熱間圧延において低温強圧下を行う方法や、
特開昭62−227078号公報に記載されたSiの拡散
浸透処理による方法などがある。しかし、いずれの技術
も、高Siや高Al鋼が本質的に具備する脆性を改善するも
のではなく、それによって製造された製品は加工性が極
めて悪く、リアクトルコア等に加工するのが困難であっ
た。また、前者の特開昭61−166923号公報に開
示された技術は、合金としての脆性を見かけ上改善すべ
く圧延組織の微妙な調整が必要とするものであり、製造
過程で厳密な制御を行わなければならないことから、工
業的に安定して生産するのは困難である。一方、後者の
特開昭62−227078号公報に開示された技術で
は、特殊な拡散浸透法を用いるため、工業的な製造を行
う場合にはコストにおいて極めて不利であり、また、そ
の結晶粒は粗大となることから、高周波鉄損には不利で
ある。
【0004】実際、Siの拡散浸透処理による高Si材とし
て、6.5 mass%Siを含有させた鋼板が存在し、インバー
ターエアコン用のリアクトルコアとして使用されている
が、その伸びは5 %程度であり、通常の方法では打ち抜
き加工や曲げ加工は困難であるため、短冊状に加工され
た鋼板を積層しリアクトルコアを製造している。通常の
方法で曲げ加工や打ち抜き加工が可能であれば、巻きコ
アやEIコアのような打ち抜き・積層コアを製造でき、
その加工費用の低減に寄与するところは大きい。
【0005】また、高Si量とせずに鋼の固有抵抗を高め
るためにCrを添加する技術が、特開平11−22909
5号公報に記載されている。しかしながら、そのSiの含
有量は通常の珪素鋼板のそれの範囲を超えたものではな
く、また、電気自動車用モータコア用素材を目的とし、
その使用可能周波数域も、従来からの高周波用途の珪素
鋼板と同様に1kHz 未満の周波数に対応したものであ
り、1kHz 以上の高周波リアクトル用素材としては十分
な高周波磁気特性が得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
技術においては、1kHz 以上の周波数用途に利用できる
まで固有抵抗を高めることは、Si、Alの利用の他は行わ
れておらず、そして、鋼の固有抵抗を高めた高Si、Al鋼
の素材自体が本質的にそなえる脆性を改善することは行
われていないのが現状であった。
【0007】そこで、この発明は、上記の点に鑑み、高
Si鋼の脆性を改善して製造を容易にすることによって、
高い固有抵抗と良好な加工性を併せ持ち、とりわけ1kH
z 以上、さらには10kHz 以上の周波数域で優れた磁気特
性を有する高周波リアクトルに有利に適合する、無方向
性電磁鋼板について提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、Fe−Si合金
やFe−Si−Al合金について、高い固有抵抗と良好な加工
性の両立を達成すべく研究開発を行ったところ、Crを共
存させることが効果があるとの知見を得て、その成果を
特開平11−343544号公報にて提案した。すなわ
ち、これまでは、Fe−Si合金やFe−Si−Al合金におい
て、Crを添加するほど靱性は劣化すると考えられてきた
が、Siが3mass%以上の含有量であっても、C及びNの
含有量を十分に低減した上で、一定量以上のCrを含有す
ることにより、むしろ高い靱性が得られることを見出し
たものである。
【0009】かかる技術に基いて、発明者らは、更に高
周波磁気特性を改善させることを目指して鋭意研究を重
ねた結果、C及びNの合計量を低減すること、さらには
Mnを添加することによって加工性を確保できることを見
出した。
【0010】併せて、Si量及びAl量が相対的に低いFe−
Cr−Si系合金及びFe−Cr−Si−Al合金であって、固有抵
抗が60μΩcm以上となる成分系においても、C及びNの
含有量を十分に低減すれば、同等の固有抵抗を持つCrを
含有しない合金よりも加工性が大幅に向上することも見
出した。
【0011】また、数〜数十kHz の高周波における鉄損
は、渦電流損の影響が大きいことから、従来は素材の固
有抵抗、板厚および結晶粒径などを規制して渦電流損を
低減していたが、この渦電流損を低減した条件下におい
て、さらに鉄損を低減するにはヒステリシス損の低減が
有効であり、このヒステリシス損には表面粗さの影響が
大きいことを知見し、この発明を完成するに到った。
【0012】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 (1) Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びSi:2.5 mass
%以上10mass%以下を含み、かつC及びNを合計量で10
0ppm以下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純物からな
り、比抵抗が60μΩcm以上、板厚が0.01〜0.40mmおよび
表面粗さが算術平均粗さで0.5 μm以下であることを特
徴とする高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板。
【0013】(2) 上記(1) において、Cr:1.5 mass%以
上20mass%以下及びSi:2.5 mass%以上10mass%以下を
含み、かつC及びNを合計量で300 ppm 以下に低減し、
さらにMn:20(C+N)〜1.0 mass%を含有し、残部は
鉄及び不可避的不純物からなり、比抵抗が60μΩcm以
上、板厚が0.01〜0.40mmおよび表面粗さが算術平均粗さ
で0.5 μm以下であることを特徴とする高周波磁気特性
に優れる無方向性電磁鋼板。
【0014】(3) 上記(1) または(2) において、さらに
Al:5mass%以下及びP:1mass%以下のいずれか1種
または2種を含有することを特徴とする高周波磁気特性
に優れる無方向性電磁鋼板。
【0015】(4) 上記(1) 、(2) または(3) において、
鉄損W1/10000 が10W/kg以下およびW1/20000 が20W
/kg以下、そして磁束密度B50が1.53T以上であること
を特徴とする高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼
板。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の無方向性電磁鋼板に関
し、磁気特性については、CrをSiとともに含有させるこ
とにより、固有抵抗の増大に相乗的な効果が表れる。そ
の結果、特に高周波域での鉄損を、SiやAlのみ、ないし
はSiとAlを含有する合金系に比べて格段に低減すること
ができる。
【0017】また、これまでの高固有抵抗の材料は圧延
性が悪く、通常の圧延法によっては、0.5mm 程度までし
か減厚されていなかった。また、単に厚みを減じてもヒ
ステリシス損失のために、十分な鉄損低減ができないと
されてきた。しかし、発明者らの鋭意研究の結果、この
発明にあるように、成分と純度を制御することにより、
減厚した場合の高周波鉄損特性の効果を促進し得る。
【0018】従って、この発明の無方向性電磁鋼板は、
1kHz 以上の周波域での磁気特性が優れているため、イ
ンバーターエアコン用のリアクトルや太陽光発電等のリ
アクトル素材として最も適しており、この発明の鋼板を
用いることで、各種特性を改善し、発熱が少なく、効率
のよいリアクトル製品が得られる。
【0019】さらに、この発明の無方向性電磁鋼板で
は、特に10kHz 以上の周波域での磁気特性の向上を所期
して、鋼板の表面粗さを規制する。すなわち、小型溶解
炉にて、Fe−(4.8 〜5.1 )mass%Cr−(3.7 〜4.1 )
mass%Si−(0.02〜0.96)mass%Mn系合金を溶製したの
ち鋼塊とし、この鋼塊を厚さ60mmに切り出し、1100℃に
加熱して板厚3.2 mmに圧延し、その後冷間圧延によって
板厚0.4 mmとし、適宜焼鈍することにより結晶粒径を10
0 μmに調整した鋼板について、その表面粗さを種々に
変化させてから、各鋼板の鉄損W1/10000 について測定
した結果を、図1に示す。なお、合金の不純物含有量
は、C:33〜116 ppm 、P:100 〜300 ppm、S:8〜2
3ppm 、N:41〜122 ppm 、O:28〜47ppm 、C+N:7
6〜187 ppm、そして鋼板の固有抵抗は60μΩcmであっ
た。
【0020】図1から明らかなように、鉄損W1/10000
を、高周波域において発熱が少なくかつ効率の良いリア
クトル製品の基準となる、10W/kg以下にするには、鋼
板の表面粗さを算術平均粗さ(Ra )で0.5 μm以下、
好ましくは0.2 μm以下にする必要がある。
【0021】次に、上記と同様に得られた、結晶粒径が
100 μmの鋼板について、その固有抵抗を種々に変化さ
せてから、各鋼板の鉄損W1/10000 について測定した結
果を、図2に示す。図2から明らかなように、鉄損W
1/10000 を10W/kg以下にするには、鋼板の表面粗さを
0.5 μmRa にした上で、固有抵抗を60μΩcm以上にす
る必要がある。
【0022】また、上記と同様に得られた、固有抵抗が
60μΩcm及び結晶粒径100 μmの鋼板について、その板
厚を種々に変化させてから、各鋼板の鉄損W1/10000
ついて測定した結果を、図3に示す。図3から明らかな
ように、鉄損W1/10000 を10W/kg以下にするには、鋼
板の表面粗さを0.5 μmRa にした上で、板厚を0.4mm
以下にすることが有効である。
【0023】同様に、磁束密度B50について調査したと
ころ、図4に示すように、磁束密度B50を、リアクトル
製品における効率改善と小型化のために必要である、1.
53T以上にするには、鋼板の表面粗さを0.5 μmRa
下にした上で、板厚を0.01mm以上にすることが有効であ
る。
【0024】さらに、結晶粒径について調査したとこ
ろ、図5に示すように、鉄損W1/1000 0 を10W/kg以下
にするには、鋼板の表面粗さを0.5 μmRa とした上
で、結晶粒径を100 μm以下にすることが有効である。
ここで、結晶粒径は、適当な断面の視野で観察した結晶
粒の数と視野面積とから求まる、単位粒当りの平均断面
積に基づいて、粒断面を円と見做して算出したものであ
る。
【0025】以下、この発明を詳細に説明する。まず、
この発明の無方向性電磁鋼板における成分組成範囲の限
定理由について説明する。 Cr:1.5 mass%以上20.0mass%以下 Crは、Siまたは/及びAlとの相乗効果によって電気抵抗
を大幅に向上させて高周波域での鉄損を低減し、更には
耐食性を向上させる基本的な合金成分であり、特に、3.
5 mass%以上のSiを含有する場合、又は3mass%以上の
Siかつ1mass%を超えるAlを含有する場合であっても、
温間圧延可能な程度の靱性を得るのに極めて有効であ
り、その観点からは2mass%以上を要する。なお、Si量
やAl量が上記範囲よりも少ない場合には、Cr量が2mass
%未満でも加工性が確保できるが、Crの加工性向上効果
を発揮させ、かつ合金の比抵抗を60μΩcm以上とするた
めには、1.5 mass%以上のCrが必須である。一方、Cr量
が20mass%を超えると靱性向上の効果が飽和するととも
に、コスト上昇を招くため、Crの含有量は1.5 mass%以
上20mass%以下、好ましくは10mass%以下と規定する。
【0026】Si:2.5 mass%以上10mass%以下 Siは、Crとの相乗効果によって電気抵抗を大幅に上昇さ
せ、高周波域での鉄損を低減するのに有効な成分であ
る。しかし、Si量が2.5 mass%未満ではCrやAlを併用し
ても磁束密度をあまり犠牲にせずに60μΩcm以上の比抵
抗を得るには至らない。一方、10mass%を超えるとCrを
含有させても温間圧延可能なまでの靱性が確保できない
ため、Siの含有量は2.5 mass%以上10mass%以下、好ま
しくは7mass%以下、より好ましくは3.5 mass%以上7
mass%以下とする。
【0027】C及びN:合計量で100 ppm 以下 C及びNは、Fe−Cr−Si系合金の靱性を劣化させるた
め、できる限り低減することが好ましく、この発明に従
うCr量及びSi量の下で高靱性を確保するためには、合計
量で100 ppm 以下に抑える必要がある。好ましくは、そ
れぞれ50ppm 以下、より好ましくはそれぞれ30ppm 以下
がよい。特に圧延性を向上させるためには、Cの低減が
効果的であり、特にC量を30ppm 以下とすることで、圧
延性が格段に向上する。
【0028】ここで、後述するMnを所定量で含有する場
合は、C及びNを上記の範囲において厳密に制限する必
要はなく、C及びNを合計量で300 ppm 以下に低減すれ
ばよい。すなわち、この発明においては、所定量のMnを
含有させることにより、このC及びNの悪影響を緩和で
きるため、C及びNの含有を合計量で300 ppm まで許容
することができる。すなわち、C及びNが合計量で300
ppm をこえると、熱延板の巻取り工程、その後の冷間
(温間)圧延工程における通板が阻害されるが、所定量
のMnを含有させることによりC及びNが合計量で100 pp
m をこえる場合でも、上記通板が可能になる結果、C及
びNの許容値を300 ppm まで緩和できるのである。従っ
て、C及びNを極低化するために要する精錬コストを低
減する利点も併せて得ることが可能である。一方、C及
びNの上限を300ppmをこえる範囲に設定しても、それに
伴う精錬上の効能はとくに存在しないため、上限は300p
pmとする。
【0029】なお、C及びN以外の不純物量は特に限定
されないが、例えばSについては20ppm 以下、好ましく
は10ppm 以下、より好ましくは5ppm 以下に、Oについ
ては50ppm 以下、好ましくは30ppm 以下、より好ましく
は15ppm 以下に、又は、不純物C+S+N+Oの合計量
で120 ppm 以下、好ましくは50ppm 以下に、規制するこ
とが推奨される。
【0030】Mn:20(C+N)〜1.0 mass% Mnは、熱延板冷却中の溶質原子の易動度を減少し、C及
びNの時効析出を抑制し、熱延板の靱性を改善するのに
重要な元素であり、そのためには、少なくとも(C+
N)量の20倍は必要である。一方、Mnは1mass%をこえ
て含有させても、靱性改善の効果は飽和するのに対し
て、原料コストが上昇するため、1mass%以下とする。
【0031】Al:5 mass%以下及びP:1mass%以下の
いずれか1種又は2種 Al及びPは、Fe−Cr−Si系合金に更に添加することによ
り、一層の電気抵抗の上昇を与えることが知られてい
る。これらの成分の添加により、この発明の趣旨が損な
われることなく、更なる鉄損の低減が達成できる。そこ
で、この発明では、AlおよびPのいずれか1種又は2種
を含有させることができる。とはいえ、これらの成分を
大量に添加するとコスト上昇を招くため、添加量はそれ
ぞれAl:5mass%以下及びP:1mass%以下とする。
【0032】ところで、この発明において、磁気特性お
よび圧延性、また耐食性などを更に向上させる目的で、
従来知られている合金成分を追加添加することは、この
発明の効果を損なうものではなく、それらの成分を含有
させることも可能である。それらの成分の代表例を以下
に列記する。まず、Sn及びSbの1種または2種の合計で
0.01〜10mass%で添加することによって、集合組織が改
善される結果、磁気特性が向上する。
【0033】さらに、5mass%以下のNiは、耐食性改善
成分であるとともに、延性−脆性遷移温度を下げ、加工
性を向上させるほか、結晶粒を微細にさせ易いため、渦
電流損を抑制し、高周波鉄損の低減にも効果がある。1
mass%以下のCuにもNiと同様の効果がある。5mass%以
下のMoやWは耐食性を改善する。1mass%以下のLa、V
やNb、0.1 mass%以下のTi、YやZr、0.1 mass%以下の
Bは、靱性を高めて加工性を向上させる効果がある。5
mass%以下のCoは、磁束密度を向上させ、ひいては鉄損
低減に効果がある。0.1 mass%以下のSbやSnは、集合組
織を改善し、ひいては鉄損低減に効果がある。
【0034】この発明の高周波磁気特性に優れる高加工
性電磁鋼板を製造するには、原料として純度99.9mass%
以上の高純度の電解鉄、電解クロム、金属Si、金属Mnを
用いることが好ましい。Al、Pを添加する場合には、こ
れらも高純度原料を用いる。あるいは、転炉法で製造す
る場合には、所定の純度にまで十分に精錬し、かつ、後
工程での汚染を受けないように注意が必要である。溶製
に際しては、転炉法の他、例えば、高真空(10-3Torr以
下の圧力)の真空溶解炉を用いることができる。
【0035】その後の熱間圧延は、極力薄くまで圧延す
ることによって、次工程の冷間圧延ないしは温間圧延に
おける加工性、すなわち圧延性を良好にすることができ
る。これは、この発明に従うFe−Cr−Si系合金組成の場
合には、熱延板の表面部分の方が中心部分よりも靱性が
高く、加工性が優れているとの新知見に基づくものであ
る。そのための熱延板の厚みは3mm以下、好ましくは2.
5 mm以下、より好ましくは2.0 mm以下とする。
【0036】熱延板の靱性が改善されているため、更に
温間や冷間で圧延して0.4 mm以下の厚みの薄板とするこ
とができる。一般に、板厚を減じると、とりわけ高周波
において渦電流損が有利に抑制され、低鉄損になること
は周知である。しかし、これまでは高電気抵抗の材料は
圧延性が悪く、通常の圧延法によっては0.5 mm程度まで
しか減厚されていなかった。また、単に厚みを減じても
ヒステリシス損失のために、十分な鉄損低減ができない
とされてきた。この点、この発明では、成分系と純度を
選ぶことにより、減厚した場合の高周波鉄損特性の効果
を促進し得ることを見いだしたのである。かかる減厚の
効果を得るためには、板厚を0.4 mm以下とすることが有
効である。ただし、0.01mmよりも薄くするには、コスト
上、工業的に無理があるので、板厚の範囲を0.01〜0.4
mm、好ましくは0.03〜0.35mmと規定する。
【0037】このような減厚のための圧延においては、
材料の加工性が優れているため、特に従来のように熱延
板を焼鈍したり、冷間圧延ないし温間圧延の途中で中間
焼鈍したりして圧延性を確保することが必ずしも必要で
なく、熱延板焼鈍や中間焼鈍を省略して作業能率向上、
省エネルギー化、コスト低減を図ることができる。
【0038】その後の焼鈍や表面仕上げは、通常の電磁
鋼板や電磁ステンレス鋼板と同様の工程が適用できる。
その際、特に表面仕上げは、表面粗さを0.5 μmRa
下とすることが肝要であるのは上述のとおりである。そ
のためには、冷間圧延時の圧延ロールの表面粗さの管理
や繰り返し圧延を行うことによって、鋼板表面を仕上げ
ることが好ましい。
【0039】
【実施例】表1に示す成分組成を含み、残部がFe及び不
可避的不純物からなる鋼を溶製し、連続鋳造によりスラ
ブとし、鋳造完了後は保温措置をとり12時間以内に熱延
前の加熱のため、加熱炉へ挿入し、熱間圧延により板厚
2.0 mmの熱延板とした。これら熱延板のスケールを除去
した後に、板厚0.35mmまで冷間圧延を行い、温度800 ℃
で10秒間の中間焼鈍を水素・窒素混合雰囲気中で行っ
た。これら鋼板を更に冷間圧延によって厚さ0.1mm と
し、820 ℃で10秒間の最終焼鈍を水素・窒素混合雰囲気
中で行った。
【0040】次いで、鋼板表面を、冷間圧延時の圧延ロ
ールとして、異なる表面粗さを有する種々のロールを用
いることによって、種々の表面粗さに仕上げた。その
後、鋼板表面に、絶縁被膜を付与した。かくして得られ
た製品をエプスタイン試料に切り出し、JIS C 2550(19
75年)に準じて磁性を測定した結果について表2に示
す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表2に示す結果から、Crがこの発明の範囲
外のNo.15 及び16並びにC、Nがこの発明の範囲外であ
るNo.10 及び13は、冷延過程で鋼板破断が生じ、製板不
可能であった。それに対し、この発明の範囲の成分のも
のは、冷延性も良好で且つ、1 kHz 及び10kHz という周
波数域において良好な磁気特性が得られた。
【0044】また、鋼板の表面粗さに関して、0.5 μm
Ra 以下のものは、鉄損W1/10000が10W/kg以下およ
び鉄損W1/20000 が20W/kg以下の良好な磁気特性を示
した。
【0045】
【発明の効果】この発明の無方向性電磁鋼板は、優れた
高周波鉄損と磁束密度を併せ持ち、高周波用として特に
好適であり、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼板の表面粗さと鉄損との関係を示す図で
ある。
【図2】 鋼板の固有抵抗と鉄損との関係を示す図で
ある。
【図3】 鋼板の板厚と鉄損との関係を示す図であ
る。
【図4】 鋼板の板厚と磁束密度との関係を示す図で
ある。
【図5】 鋼板の結晶粒径と鉄損との関係を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 定広 健一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 石田 昌義 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 本田 厚人 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 5E041 AA02 AA19 CA02 NN01 NN06 NN13 NN15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びSi:
    2.5 mass%以上10mass%以下を含み、かつC及びNを合
    計量で100ppm以下に低減し、残部は鉄及び不可避的不純
    物からなり、比抵抗が60μΩcm以上、板厚が0.01〜0.40
    mmおよび表面粗さが算術平均粗さで0.5 μm以下である
    ことを特徴とする高周波磁気特性に優れる無方向性電磁
    鋼板。
  2. 【請求項2】Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びSi:
    2.5 mass%以上10mass%以下を含み、かつC及びNを合
    計量で300 ppm 以下に低減し、さらにMn:20(C+N)
    〜1.0 mass%を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物か
    らなり、比抵抗が60μΩcm以上、板厚が0.01〜0.40mmお
    よび表面粗さが算術平均粗さで0.5 μm以下であること
    を特徴とする高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼
    板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、さらにA
    l:5mass%以下及びP:1mass%以下のいずれか1種
    または2種を含有することを特徴とする高周波磁気特性
    に優れる無方向性電磁鋼板。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3において、鉄損
    1/10000 が10W/kg以下およびW1/20000 が20W/kg
    以下、そして磁束密度B50が1.53T以上であることを特
    徴とする高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板。
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