JP2001295002A - 高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板 - Google Patents

高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板

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JP2001295002A JP2000107823A JP2000107823A JP2001295002A JP 2001295002 A JP2001295002 A JP 2001295002A JP 2000107823 A JP2000107823 A JP 2000107823A JP 2000107823 A JP2000107823 A JP 2000107823A JP 2001295002 A JP2001295002 A JP 2001295002A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造時並びに使用時の加工性に優れ、しかも
高い電気抵抗と良好な高周波磁気特性を有する無方向性
電磁鋼板を提案する。 【解決手段】 Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びS
i:2.5 mass%以上10mass%以下を含み、かつC及びN
を合計量で300 ppm 以下に低減し、さらにMn:25(C+
N)〜1.0 mass%を含有する、成分組成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁気特性に優れ
る無方向性電磁鋼板、特に、商用周波数よりも高い周波
数、中でも1kHz 以上の周波数域において電磁鋼板とし
て用いる場合に良好な磁気特性を有する、無方向性電磁
鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境の保護・改善を目的に、
省エネルギー化への機運が高まっている。電気機器に注
目すると、高効率化、省電力化のために、インバーター
方式を採用する製品が増えてきており、その周波数も高
効率化のために高周波域へと年々移ってきている。従来
からインバーター化、高周波化に伴い、力率改善目的で
リアクトルが使用されているが、更に電源汚染を防ぐ目
的でインバーター機器に高周波リアクトルの使用が増し
てきている。これら高周波リアクトルは、1 kHz以上、
更には10kHz 以上の周波数域で使用されることから、従
来からある、通常の高周波対応珪素鋼板を用いたので
は、発熱が大きくなってしまい、使用することが困難で
あったため、特殊な材料を使用せざるを得なかった。
【0003】高周波鉄損を改善するためには、鋼の固有
抵抗を高めることが重要であり、一般にはSiやAlの含有
量を増す手法がとられていた。しかし、Si、Alの含有量
を増すと加工性が劣化し、通常の方法で製造することは
困難であった。この製造性を改善する技術としては、高
珪素鋼板に関する特開昭61−166923号公報に記
載された低温強圧下の熱間圧延による方法や、特開昭6
2−227078号公報に記載されたSiの拡散浸透処理
による方法などがある。しかし、いずれの技術も、高S
i、Al鋼が本質的に具備する脆性を改善するものではな
く、それによって製造された製品は加工性が極めて悪
く、リアクトルコア等に加工するのが困難であった。ま
た、前者の特開昭61−166923号公報に開示され
た技術は、合金としての脆性を見かけ上改善すべく圧延
組織の微妙な調整が必要とするものであり、製造過程で
厳密な制御を行わなければならないことから、工業的に
安定して生産するのは困難である。一方、後者の特開昭
62−227078号公報に開示された技術では、特殊
な拡散浸透法を用いるため、工業的な製造を行う場合に
はコストにおいて極めて不利であり、また、その結晶粒
は粗大となることから、高周波鉄損には不利である。
【0004】実際、Siの拡散浸透処理による高Si材とし
て、6.5 mass%Siを含有させた鋼板が存在し、インバー
ターエアコン用のリアクトルコアとして使用されている
が、その伸びは5 %程度であり、通常の方法では打ち抜
き加工や曲げ加工は困難であるため、短冊状に加工され
た鋼板を積層しリアクトルコアを製造している。通常の
方法で曲げ加工や打ち抜き加工が可能であれば、巻きコ
アやEIコアのような打ち抜き・積層コアを製造でき、
その加工費用の低減に寄与するところは大きい。
【0005】また、高Si量とせずに鋼の固有抵抗を高め
るためにCrを添加する技術が、特開平11−22909
5号公報に記載されている。しかしながら、そのSiの含
有量は通常の珪素鋼板のそれの範囲を超えたものではな
く、また、電気自動車用モータコア用素材を目的とし、
その使用可能周波数域も、従来からの高周波用途の珪素
鋼板と同様に1kHz未満の周波数に対応したものであり、
1 kHz 以上の高周波リアクトル用素材としては十分な高
周波磁気特性が得られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
技術においては、1 kHz 以上の周波数用途に利用できる
まで固有抵抗を高めることは、Si、Alの利用の他は行わ
れておらず、そして、鋼の固有抵抗を高めた高Si、Al鋼
の素材自体が本質的にそなえる脆性を改善することは行
われてなかったのが現状であった。
【0007】そこで、この発明は、上記の点に鑑み、高
Si鋼の脆性を改善することで製造を容易にし製品の加工
性の改善を図り、よって高い固有抵抗と良好な打ち抜き
加工性及び曲げ加工性を併せ持ち、通常の圧延法にて製
造可能で、最終焼鈍にて結晶粒径を高周波用に最適化可
能である、1kHz 以上の周波数域で特に優れた磁気特性
を有する高周波リアクトル用無方向性電磁鋼板を提案す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らはFe−Si合金や
Fe−Si−Al合金について、高い固有抵抗と合金の良好な
加工性の両立を達成すべく研究開発を行った末に、Crを
共存させることが効果があるとの知見を得、その成果を
特開平11−343544号公報に開示している。すな
わち、これまでは、Fe−Si合金やFe−Si−Al合金におい
て、Crを添加するほど靱性は劣化すると考えられてきた
が、Siが3 mass%以上の含有量であっても、C及びNの
含有量を合計で100ppm以下に低減した上で、一定量以上
のCrを含有させることにより、むしろ高い靱性が得られ
ることを見出したものである。
【0009】かかる技術を基に、発明者らは、更なる製
造性の向上を目指して鋭意研究を重ねた結果、上記の合
金系にMnを適量添加することによって、C及びNの含有
量が合計で100ppmをこえる、従来は製造性が阻害される
含有量であっても、圧延を問題なく行えることを見出し
た。すなわち、C及びNの含有量が合計で100ppmに抑制
することなく、従って脱炭および脱窒に特段の配慮をす
ることなく、高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板
が得られることを見出したのである。
【0010】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 (1) Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びSi:2.5 mass
%以上10mass%以下を含み、かつC及びNを合計量で30
0 ppm 以下に低減し、さらにMn:25(C+N)〜1.0 ma
ss%を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物からなり、
比抵抗が60μΩcm以上であることを特徴とする高周波磁
気特性に優れる無方向性電磁鋼板。
【0011】(2) 上記(1) において、さらにAl:5 mass
%以下及びP:1mass%以下のいずれか1種又は2種を
含有することを特徴とする高周波磁気特性に優れる無方
向性電磁鋼板。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明の無方向性電磁鋼板に関
し、磁気特性については、CrをSi又はSi及びAlと同時に
含有させることにより、固有抵抗の増大に相乗的な効果
が表れる。その結果、特に高周波域での鉄損を、SiやAl
のみ、ないしは、SiとAlを含有する合金系に比べ格段に
低減することができる。
【0013】また、これまでの高固有抵抗の材料は圧延
性が悪く、通常の圧延法によっては、0.5mm 程度までし
か減厚されていなかった。また、単に厚みを減じてもヒ
ステリシス損失のために、十分な鉄損低減ができないと
されてきた。しかし、発明者らの鋭意研究の結果、この
発明にあるように、成分と純度を制御することにより、
減厚した場合の高周波鉄損特性の効果を促進し得る。
【0014】したがって、この発明の無方向性電磁鋼板
は、高周波領域、特に1kHz 以上の周波域での磁気特性
が優れているため、インバーターエアコン用のリアクト
ルや太陽光発電等のリアクトル素材として最も適してお
り、この発明の鋼板を用いることで、各種特性を改善
し、発熱が少なく、効率のよいリアクトル製品が達成で
きる。
【0015】以下、この発明を詳細に説明する。まず、
この発明の無方向性電磁鋼板における成分組成範囲の限
定理由について説明する。CrはSi及びAlとの相乗効果に
よって鋼の固有抵抗を大幅に向上させて、特に1kHz以上
の周波数域での鉄損を低減し、更には耐食性を向上させ
る基本的な合金成分であり、しかも、3.5 mass%以上の
Si含有量の場合、又は3 mass%以上のSi含有量かつ0.5
mass%を超えるAl含有量の場合であっても通常の圧延可
能な程度の靱性を得るのに極めて有効であり、その観点
からは2 mass%以上を要する。Si量やAl量が上記の場合
よりも少ないときには、Cr量を更に減じても加工性は確
保できるが、Cr含有による加工性向上効果を発揮させ、
かつ、鋼の固有抵抗を60μΩcm以上とするためには、1.
5 mass%以上のCrが必須である。一方、20mass%を超え
ると靱性向上の効果が飽和するとともに、コスト上昇を
招くので、Crの含有量の範囲は、1.5 mass%以上、20ma
ss%以下、好ましくは、2 mass%以上、10mass%以下、
より好ましくは、3 mass%以上、7 mass%以下と規定す
る。
【0016】Siは、単独でも鋼の固有抵抗を上昇させる
が、更に、Crとの相乗効果によって固有抵抗を大幅に上
昇させ、特に1kHz以上の周波数域での鉄損を低減するの
に有効な成分である。Si量が2.5 mass%未満ではCrやAl
を併用しても磁束密度を余り犠牲にせずに60μΩcm以上
の固有抵抗を得るには至らず、このため、良好な高周波
磁気特性は得られない。一方、10mass%を超えると、Cr
を含有させても通常圧延可能なまでの靱性が確保できな
いので、Siの含有量の範囲は、2.5 mass%以上、10mass
%以下、好ましくは、2.5 mass%以上、7 mass%以下、
より好ましくは、3.5 mass%以上、5 mass%以下と規定
する。
【0017】C及びNは、無方向性電磁鋼板の靱性を劣
化させるために低減する必要があり、この発明に従うCr
量及びSi量の下で高靱性を確保するためには、合計量で
100ppm 以下に抑えることが好ましい。しかしながら、
この発明においては、所定量のMnを含有させることによ
り、このC及びNの悪影響を緩和できるため、C及びN
の含有を合計量で300 ppm まで許容することができる。
すなわち、C及びNが合計量で100 ppm をこえると、熱
延板の巻取り工程、その後の冷間(温間)圧延工程にお
ける通板が阻害されるが、所定量のMnを含有させること
によりC及びNが合計量で100 ppm をこえる場合でも、
上記通板が可能になる結果、C及びNの許容値を300 pp
m まで緩和できるのである。従って、C及びNを極低化
するために要する精錬コストを低減する利点も併せて得
ることが可能である。一方、C及びNの上限を300ppmを
こえる範囲に設定しても、それに伴う精錬上の効能はと
くに存在しないため、上限は300ppmとする。
【0018】なお、C及びN以外の不純物量は特に限定
されないが、例えばSについては50ppm 以下、好ましく
は20ppm 以下、より好ましくは10ppm 以下に、Oについ
ては50ppm 以下、好ましくは30ppm 以下、より好ましく
は15ppm 以下に、規制することが推奨される。
【0019】Mn:25(C+N)〜1.0mass % Mnは、C及びNによる靱性劣化を抑制し、熱延板の靱性
を改善するのに重要な元素であり、そのためには、少な
くとも(C+N)量の25倍は必要である。一方、Mnは1
mass%をこえて含有させても、靱性改善の効果は飽和す
るのに対して、原料コストが上昇するため、1mass%以
下とする。
【0020】ここで、C+Nが100ppmをこえると靱性が
劣化するのは、熱延工程で巻き取られた熱延コイルの冷
却中に時効析出する炭窒化物が、破壊の起点となるため
と考えられる。そして、Fe−Cr−Si合金に適量のMnを添
加することにより、溶質原子の易動度が減少し、時効析
出を遅らせる効果が発揮され、その結果、破壊起点とな
る炭窒化物が減少し、靱性が回復するものと考えられ
る。
【0021】Al及びPは、無方向性電磁鋼板に更に添加
することにより、一層の電気抵抗の上昇を与えることが
知られている。これらの成分の添加により、この発明の
趣旨が損なわれることなく、更なる鉄損の低減が達成で
きる。そこで、この発明では、AlおよびPのいずれか1
種又は2種を含有させることができる。とはいえ、これ
らの成分を大量に添加するとコスト上昇を招くため、添
加量はそれぞれAl:5mass%以下及びP:1mass%以下
とする。
【0022】ところで、この発明において、磁気特性お
よび圧延性、また耐食性などを更に向上させる目的で、
従来知られている合金成分を追加添加することは、この
発明の効果を損なうものではなく、それらの成分を含有
させることも可能である。それらの成分の代表例を以下
に列記する。5mass%以下のNiは、耐食性改善成分であ
るとともに、延性−脆性遷移温度を下げ、加工性を向上
させるほか、結晶粒を微細にさせ易いため、渦電流損を
抑制し、高周波鉄損の低減にも効果がある。1 mass%以
下のCuにもNiと同様の効果がある。5 mass%以下のMoや
Wは耐食性を改善する。1 mass%以下のLa、VやNb、0.
1 mass%以下のTi、YやZr、0.1 mass%以下のBは、靱
性を高めて加工性を向上させる効果がある。5 mass%以
下のCoは、磁束密度を向上させ、ひいては鉄損低減に効
果がある。0.1 mass%以下のSbやSnは、集合組織を改善
し、ひいては鉄損低減に効果がある。
【0023】この発明の成分の鋼板においては、板厚を
減じれば高周波鉄損特性改善の効果を促進するが、この
減厚の効果を格段に得るためには、板厚を0.4 mm以下と
することが有効である。ただし、0.01mmより薄くするに
は、製造コストが高くなるばかりか、その鋼板の取扱い
に格段の注意が必要で、製品製造のコストも高くなるた
めに、板厚の範囲を0.01mm以上、0.4 mm以下とするのが
好ましい。更に好ましくは、0.02〜0.25mmである。
【0024】優れた高周波鉄損を達成するには固有抵抗
を高めることが必要であり、この発明の鋼では、少なく
とも60μΩcm以上が望ましい。60μΩcmより固有抵抗が
低いと、板厚をいかに薄くしても所望の高周波鉄損は得
られないため、この発明では固有抵抗は60μΩcm以上と
するのが好ましい。
【0025】この発明の無方向性電磁鋼板は、以下の方
法により製造することができる。前述した成分組成範囲
に調整された合金素材は、連続鋳造又は造塊−分塊圧延
によりスラブとすることができる。また、薄スラブ連続
鋳造法を用いて、厚みの薄いスラブを製造することもで
きる。得られたスラブは、加熱保持後に熱間圧延に供す
るか、また、CC-DR 法(連続鋳造後に直送して圧延する
方法)やHCR 法(連続鋳造後に保温を行う方法)のよう
に、連続鋳造時の顕熱を保持したまま加熱することなく
熱間圧延に供することができる。
【0026】その後の熱間圧延は、極力薄く圧延するこ
とによって、次工程の冷間圧延ないしは温間圧延におけ
る加工性、すなわち圧延性を良好にすることができる。
これは、この発明のFe−Cr−Si系合金組成の場合には、
熱延板の表面部分の方が中心部分よりも靱性が高く、加
工性が優れているとの新知見に基づくものである。その
ための熱延板の厚みは3 mm以下、好ましくは2.5 mm以
下、より好ましくは2.0mm以下とする。
【0027】熱間圧延後は、必要に応じて熱延板焼鈍を
行う。熱延板焼鈍を行うことにより、圧延された素材の
集合組織が改善され、鉄損特性の向上に有利に作用す
る。この熱延板焼鈍条件は、例えば、温度700 〜1100
℃、時間1 秒〜2 時間で行う。焼鈍温度が高い場合や焼
鈍時間が長い場合は、焼鈍効果が飽和して鉄損特性の一
層の改善が見込めないこと及びコスト上昇の要因となる
こと、焼鈍温度が低い場合や焼鈍時間が短い場合は鉄損
特性の向上効果が小さいことから、これらの作用効果を
考慮して上記の範囲内で定めれば良い。
【0028】熱間圧延後又は必要に応じて行った熱延板
焼鈍後は、酸洗もしくはショットブラスト等により熱延
スケールを除去した後に、冷間圧延や温間圧延を行う。
素材成分と純度の調整により熱延板の靱性が改善されて
いるため、更に温間や冷間で圧延して0.4 mm以下の厚み
の薄板とすることができる。一般に、板厚を減じると、
とりわけ高周波において渦電流損が有利に抑制され、低
鉄損になることは周知である。しかし、従来は高固有抵
抗の材料は圧延性が悪く、通常の圧延法によっては0.5
mm程度までしか減厚されていなかった。また、単に厚み
を減じてもヒステリシス損失のために、十分な鉄損低減
ができないとされてきた。この点、この発明では、素材
成分と純度を調整することにより、減厚した場合の高周
波鉄損特性の効果を促進し得る。かかる減厚の効果を得
るためには、板厚を0.4 mm以下とすることが有効であ
る。もっとも、0.01mmよりも薄くするには、コスト上、
工業的に無理があるので、板厚の範囲を0.01〜0.4 mm、
好ましくは0.02〜0.25mmと規定する。
【0029】以上のような冷間圧延や温間圧延は、1回
の圧延又は途中焼鈍を含む2回以上の圧延により行う。
途中焼鈍を行うことは、圧延材の集合組織の改善を通じ
て磁気特性の向上に有利に作用する。また、この冷間圧
延や温間圧延の作業性を改善することができる。途中焼
鈍の条件は、例えば、温度600 〜1100℃で時間1 秒〜10
分の範囲とする。焼鈍温度が低い場合や焼鈍時間が短い
場合は鉄損特性の向上効果が小さいこと、焼鈍温度が高
い場合や焼鈍時間が長い場合は、焼鈍効果が飽和して鉄
損特性の一層の改善が見込めないこと及びコスト上昇の
要因となることから、これらの作用効果を考慮して上記
の範囲内で定めれば良い。ここで、冷間圧延及び温間圧
延は、コストの面からできるだけ低い温度とすることが
好ましい。温間圧延を行う場合は、300 ℃程度以下の温
度とすることが望ましい。
【0030】冷間圧延、温間圧延の後は、仕上げ焼鈍を
施し、更に絶縁被膜を被成して製品とする。これらの仕
上げ焼鈍の条件、絶縁被膜の被成条件に関しては、通常
の電磁鋼板や電磁ステンレス鋼板で常用される方法と同
様にすればよい。
【0031】
【実施例】〔実施例1〕真空溶解炉にて、表1に示す、
Fe−4.8 〜5.1 mass%Cr−3.7 〜4.1 mass%Siを基本成
分としてC+N量およびMn量を種々に変化させた成分組
成になる、合金を溶製し、これらの鋳塊を60mm厚に切り
出し、Ar中で1100℃に加熱して30min 保持した後、板厚
2.5 mmまで熱間圧延した。得られた熱延板は、熱延コイ
ルでの冷却相当処理として、500 ℃から100 ℃までの温
度域を20℃/hの冷却速度で冷却する処理を施した。
【0032】この熱延板から、厚さ2.0mm 、幅10mm及び
長さ55mmで切欠き2mmのVノッチシャルピー試験片を圧
延方向と平行に採取し、シャルピー試験を行って、脆性
破面率50%となる温度(延性−脆性遷移温度:DBTT)を
求めた。
【0033】ここに、C+N量およびMn量とDBTTとの関
係を図1に示すように、C+Nが100ppm以下ではいずれ
も遷移温度が+130 ℃以下と良好な靱性を示すが、C+
Nが100ppmをこえると、Mnを含有しない場合には遷移温
度が急激に上昇し、脆化は著しくなることがわかる。し
かしながら、MnをC+Nの25倍をこえる範囲で含有させ
た場合は、C+Nが100ppmをこえていても、良好な靱性
が確保されることがわかる。
【0034】次に、熱延板のスケールを除去したのち、
板厚0.10mmまで圧延した際の圧延性を評価した。すなわ
ち、素材を200 ℃に予熱したのち、冷間圧延が可能であ
ったものをランクA、このランクAの処理では割れが生
じるが、300 ℃加熱の通常の温間圧延で製造できたもの
をランクB、そしてランクBの処理によっても割れを生
じたものについては、1パス毎に400 ℃の再加熱を行っ
て試験片としたものをランクCとして評価した。
【0035】その後、820 ℃で10秒間の最終焼鈍を水素
・窒素混合雰囲気中で行い、絶縁被膜を付与した。得ら
れた製品をエプスタイン試料に切り出し、JIS C2550
(1975年)に準じて磁性を測定した。その結果を、圧延
性の評価に併せて表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表2に示したように、Mn≧25(C+N)か
つDBTTが100 ℃以下で得られたものは、ランクAの優れ
た圧延性を示した。一方、200 ℃で予熱した比較例で
は、300 ℃の温間圧延でも割れが生じ、製造性に劣るも
のであった。
【0039】〔実施例2〕実施例1と同様の工程によっ
て表3に示す種々の成分組成(C+N: 139〜166ppm)
になる合金を溶製した。溶製後は実施例1と同様の工程
によって鋼板を作製し、評価を行った。熱延板の曲げ回
数、薄板の磁気特性、電気抵抗および圧延性の評価条件
は実施例1と共通である。その評価結果を表4に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】表4に示した鋼No.17 および18はPを添加
した例、鋼No.19 および20はAlを添加した例、そして鋼
No.21 および22はPおよびAlを複合添加した例である。
いずれの場合も、Mn≧25(C+N)を満足する発明例
は、DBTTが低くなり、圧延性も改善されていた。
【0043】
【発明の効果】この発明によれば、従来のSi量6.5 mass
%までのFe−Si合金やFe−Al合金に比べて同等以上の高
周波磁気特性を、良好な加工性とともに確保することが
でき、総合的に極めて優秀な磁性材料の提供が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シャルピー試験の結果をC+N量及びMn量に
関して整理した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 正樹 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 藤田 明男 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 本田 厚人 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 5E041 AA02 AA19 CA02 NN01 NN15

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及び Si:2.5 mass%以上10mass%以下 を含み、かつC及びNを合計量で300 ppm 以下に低減
    し、さらに Mn:25(C+N)〜1.0 mass% を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物からなり、比抵
    抗が60μΩcm以上であることを特徴とする高周波磁気特
    性に優れる無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、さらに Al:5 mass%以下及び P:1mass%以下 のいずれか1種又は2種を含有することを特徴とする高
    周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板。
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WO2024149262A1 (zh) * 2023-01-10 2024-07-18 宝山钢铁股份有限公司 一种高磁感低铁损无取向电工钢板及其制造方法

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