JP5200376B2 - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、無方向性電磁鋼板、特に、高周波域における鉄損(以後、高周波鉄損と呼ぶ。)の低い無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
ハイブリット電気自動車用モータは、小型化、高効率化の観点から400〜2kHzといった高周波域で駆動される。したがって、このようなモータのコア材として使用される無方向性電磁鋼板には、例えばW10/1kが53(W/kg)未満となるような高周波域鉄損の低いことが要望されている。
高周波鉄損を低下させるためには、鋼板の板厚を低減することや固有抵抗を増大させることが効果的である。しかし、板厚を低減すると剛性が低下して材料の取り扱いが難しくなるばかりでなく、打ち抜き工数、積み工数が増加するという問題があるので、固有抵抗を増大させる方法が望ましいといえる。固有抵抗を増大させるためには、Si添加が効果的であるが、Siは固溶強化能の大きい元素であるため、Si添加に伴い材料が硬化し、圧延性が低下するという問題がある。
そこで、Siに比べ固溶強化能が小さいMnを添加し高周波鉄損を低下させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.005%以下、Si:0.5〜2.5%、Mn:1.0〜3.5%、S:0.01%以下、Al:1.0〜3.0%、P:0.1%以下、N:0.005%以下、残部がFeおよび不純物からなり、ビッカース硬度Hvが160〜220であり、固有抵抗ρとビッカース硬度Hvとが、ρ≧0.25×Hv + 6を満足する無方向性電磁鋼板が開示されている。また、特許文献2には、質量%で、C:0.01%以下、Si:3.0%以下、Mn:1.0〜4.0%、S:0.01%以下、Al:1.0〜3.0%、P:0.1%以下、N:0.0050%以下、残部Feおよび不可避不純物からなり、[Si]≦[Al] + [Mn]を満たし、板厚が0.10〜0.65mmで、かつビッカース硬度(荷重1kg)が220を超えない無方向性電磁鋼板が開示されている。さらに、特許文献3には、質量%で、C:0.05%以下、Si:2.8〜4.0%以下、P:0.2%以下、N:0.01%以下、Al:3.0%以下、さらにNi:0.5〜4.0%、Mn:0.5〜2.0%の少なくとも一種を含有し、かつ0.1<Zr/8(C+N)<1.0の範囲のZrを含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、板厚≦0.30mm、引張強度≧900MPa、かつW10/1k≦100(W/kg)である無方向性電磁鋼板が開示されている。
特開2002‐47542号公報 特開2002‐30397号公報 特開2006‐161137号公報
しかしながら、特許文献1、2、3に記載のMn量の高い無方向性電磁鋼板では、必ずしも53(W/kg)未満のW10/1kが得られない場合がある。
本発明は、Mn量の高い無方向性電磁鋼板でも、確実にW10/1kが53(W/kg)未満となる高周波鉄損の低い無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが、Mn量が高い場合に、必ずしも低い高周波鉄損が得られない原因について検討したところ、フェライト粒界上に析出している直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物に原因があり、その個数を粒界の長さ1mm当たり5000個以下にすると確実にW10/1kが53(W/kg)未満となることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、質量%で、C:0.005%以下、P:0.1%以下、Si:1.5〜5%、Mn:1.5〜5%(但し、1.5%は除く)、Al:0.1〜3.0%、S:0.02%以下、N:0.005%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、フェライト粒界上に析出している直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化の物個数が粒界の長さ1mm当たり5000個以下であり、鋼板の引張強度が650MPa以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板を提供する。
さらに、質量%で、Ca:0.001〜0.01%を含有させたり、Sn、Sbのうち少なくと1種の元素を合計で0.001〜0.05%含有させると、より低い高周波鉄損が得られる。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上記の成分組成の鋼を、熱間圧延、冷間圧延した後、850℃以上で仕上焼鈍を施し、かつ前記仕上焼鈍時の冷却速度を7℃/s以上とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法により製造できる。また、仕上焼鈍後に磁性焼鈍を行う場合は、前記磁性焼鈍時の冷却速度を7℃/s以上とする必要がある。
しかし、さらに、質量%で、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.001〜0.035%のうちから選ばれた少なくとも1種の元素を含有させると、仕上焼鈍時や磁性焼鈍時の冷却速度を制御しなくても、直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物の個数を粒界の長さ1mm当たり5000個以下にでき、確実に53(W/kg)未満のW10/1kが得られる。なお、Nb量を0.0009%以下にすることが鉄損を低減する上で、より好ましい。
本発明により、Mn量の高い無方向性電磁鋼板でも、確実にW10/1kが53(W/kg)未満となる高周波鉄損の低い無方向性電磁鋼板を製造できるようになった。
以下に、本発明の詳細を説明する。(なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。)
1)Fe-Mn系炭化物と高周波鉄損について
本発明らは、まず、Mn量が高い場合に、必ずしも低い高周波鉄損が得られない原因を調べるために、磁性焼鈍前後のW10/1kに及ぼすMn量の影響を検討した。すなわち、C:0.0035%、P:0.01%、Si:2.7%、Al:1.5%、S:0.002%、N:0.0021%とし、Mn量を0.1〜2.5%の範囲で変化させた鋼を実験室にて溶解し、熱間圧延後、100%N2雰囲気で1000℃×30sの熱延板焼鈍を施し、板厚0.30mmまで冷間圧延し、20%H2-80%N2雰囲気で950℃×30sの仕上焼鈍、引き続き750℃×2hrの磁性焼鈍を施し、Mn量と磁性焼鈍前後のΔW10/1k(=磁性焼鈍後のΔW10/1k-磁性焼鈍前のΔW10/1k)との関係を調査した。このとき、磁性焼鈍時の冷却速度は0.05℃/sとした。また、W10/1kは、幅30mm、長さ280mmのエプスタインサンプルを圧延方向および圧延直角方向より切り出し、JIS C 2550に準拠して測定した。
その結果、図1に示すように、Mn量が1%未満では磁性焼鈍により鉄損が低下するが、1%以上では磁性焼鈍により鉄損が増加することが明らかとなった。鉄損の増加の原因を調査するため、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物がフェライト粒界上に多数認められた。
こうした炭化物が析出する時期を調査したところ、それは磁性焼鈍時の冷却過程であることが判明したので、W10/1kに及ぼす冷却速度の影響を検討した。すなわち、C:0.0032%、P:0.01%、Si:2.6%、Mn:2.0%、Al:1.3%、S:0.002%、N:0.0021%とした鋼を実験室にて溶解し、熱間圧延後、100%N雰囲気で1000℃×30sの熱延板焼鈍を施し、板厚0.30mmまで冷間圧延し、20%H2-80%N2雰囲気で950℃×30sの仕上焼鈍、引き続き750℃×2hrの磁性焼鈍を施し、磁性焼鈍時の700〜150℃の温度範囲における平均冷却速度を0.01〜20℃/sと変えて、冷却速度とW10/1kとの関係を調査した。ここで、700〜150℃の温度範囲における平均冷却速度を制御した理由は、700℃を超える温度範囲では炭化物の析出がなく、また、150℃未満では炭化物の析出に長時間かかり、実際上炭化物の析出が起こらないからである。
その結果、図2に示すように、冷却速度を7℃/s以上にすると53(W/kg)未満のW10/1kが得られることがわかる。これは、冷却速度を速くすることによりFe、Mnの拡散が十分に起こらず、Fe-Mn系炭化物の析出が抑制されるためと考えられる。なお、冷却速度は、10℃/s以上にすることが好ましい。
次に、Fe-Mn系炭化物の個数とW10/1kとの関係を検討した。すなわち、C:0.0035%、P:0.01%、Si:2.8%、Mn:2.1%、Al:1.3%、S:0.002%、N:0.0021%とした鋼を実験室にて溶解し、熱間圧延後、100%N雰囲気で1000℃×30sの熱延板焼鈍を施し、板厚0.30mmまで冷間圧延し、20%H2-80%N2雰囲気で950℃×30sの仕上焼鈍、引き続き750℃×2hrの磁性焼鈍を施し、磁性焼鈍時の700〜150℃の温度範囲における平均冷却速度を0.01〜20℃/sと変えてFe-Mn系炭化物の個数を変化させ、フェライト粒界上に析出した直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物の個数とW10/1kとの関係を調査した。Fe-Mn系炭化物の個数は、抽出レプリカ法で試料を作成し、透過電子顕微鏡により30000倍で観察を行い、粒界の長さ1mm当たりの個数を10視野で求め、平均した値である。ここで、個数を求めたFe-Mn系炭化物の直径を0.05〜0.5μmとしたのは、0.05μm以下の炭化物が粒界に析出したとしても鉄損に及ぼす影響は小さく、0.5μm以上の炭化物はフェライト粒界にほとんど観察されなかったためである。
その結果、図3に示すように、フェライト粒界上に析出する直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物の個数を粒界の長さ1mm当たり5000個以下にすれば、53(W/kg)未満のW10/1kが得られることがわかる。フェライト粒界上に析出するFe-Mn系炭化物が鉄損に大きな影響を及ぼすのは、この炭化物は仕上焼鈍や磁性焼鈍の冷却時(700〜150℃の温度範囲)に析出するため炭化物の周辺に大きな内部応力を生み、鉄損を著しく増加させると考えられる。
2)成分
C:0.005%以下
C量は、Fe-Mn系炭化物の個数を極力少なくするため、0.005%以下、好ましくは0.0025%とする。
P:0.1%以下
P量は、0.1%を超えると鋼板が著しく硬化するので、0.1%以下とする。
Si:1.5〜5%
Siは、鋼板の固有抵抗を上げるために鉄損の低下に有効な元素である。それゆえ、その量の下限を1.5%とする。一方、Siは固溶強化能の大きい元素であるため、Si量が5%を超えると鋼板が著しく硬化し、圧延性が低下するばかりか、磁束密度も低下する。したがって、Si量は1.5〜5%とする。
Mn:1.5〜5%(但し、1.5%は除く)
Mnは、Siと同様、鋼板の固有抵抗を上げるために鉄損の低下に有効な元素である。W10/1kを53(W/kg)未満にするには、その量を1.5%以上とする必要がある。しかし、その量が5%を超えると磁束密度を大きく低下させる。したがって、Mn量は1.5〜5%(但し、1.5%は除く)とする。
Al:0.1〜3.0%
Alは、SiやMnと同様、鋼板の固有抵抗を上げるために鉄損の低下に有効な元素であるため、その量を0.1%以上とする。しかし、その量が3.0%を超えると磁束密度を大きく低下させる。したがって、Al量は0.1〜3.0%とする。
S:0.02%以下
S量は、0.02%を超えるとMnSの析出により鉄損が増加するため、0.02%以下とする。
N:0.005%以下
N量は、0.005%を超えるとAlNの析出により鉄損が増加するため、0.005%以下とする。
残部はFeおよび不可避的不純物であるが、次の理由により、Ca:0.001〜0.01%を含有させたり、Sn、Sbのうち少なくと1種の元素を合計で0.001〜0.05%含有させることができる。
Ca:0.001〜0.01%
Ca量は、0.001%以上にすると粗大なCaSが析出するため微細な硫化物の析出が少なくなり鉄損が低下するため、その上限を0.001%とする。一方、0.01%を超えるとCaSの析出量が多くなり鉄損が増加する。したがって、Ca量は0.001〜0.01%とする。
Sn、Sbのうち少なくと1種の元素:合計で0.001〜0.05%
Sn、Sbのうち少なくと1種の元素の量は、合計で0.001%以上にするとフェライト粒界に偏析し、粒界上の炭化物析出を抑制するため鉄損が低下する。一方、その量が合計で0.05%を超えると鋼板が脆化しやすくなる。したがって、Sn、Sbのうち少なくと1種の元素の量は合計で0.001〜0.05%とする。
本発明の鋼板は、上述したように、Fe-Mn系炭化物の制御のために仕上焼鈍時、あるいは仕上焼鈍後に磁性焼鈍を行う場合は磁性焼鈍時、の冷却速度を7℃/s以上とする以外は、通常の方法で製造できる。すなわち、転炉で吹練した溶鋼を脱ガス処理し所定の成分に調整した後、鋳造、熱間圧延を行い、そのままあるいは熱延板焼鈍を行って、冷間圧延あるいは中間焼鈍をはさんだ2回以上の冷間圧延を行って、仕上焼鈍、あるいはさらに磁性焼鈍を行うことにより製造できる。
しかし、本発明者らは、さらに、質量%で、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.001〜0.035%のうちから選ばれた少なくとも1種の元素を含有させると、仕上焼鈍時や磁性焼鈍時の冷却速度を制御しなくても、直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物の個数を粒界の長さ1mm当たり5000個以下にでき、確実に53(W/kg)未満のW10/1kが得られることを見出した。以下に、その詳細を説明する。
Cr:0.01〜0.3%
C:0.0037%、P:0.01%、Si:3.1%、Mn:2.0%、Al:1.0%、S:0.001%、N:0.0020%とし、Cr量を0〜0.6%の範囲で変化させた鋼を実験室にて溶解し、熱間圧延後、100%N2雰囲気で1000℃×30sの熱延板焼鈍を施し、板厚0.30mmまで冷間圧延し、20%H2-80%N2雰囲気で950℃×30sの仕上焼鈍、引き続き750℃×2hrの磁性焼鈍を施し、Cr量とW10/1kとの関係を調査した。このとき、磁性焼鈍時の冷却速度は0.05℃/sとした。
その結果、図4に示すように、Cr量が0.01%以上でW10/1kが53(W/kg)未満となることがわかる。この原因は明確でないが、Crを添加した場合にはCr系炭化物が比較的高温から析出し、冷却時にフェライト粒界に析出するFe-Mn系炭化物が減少したためと考えられる。ここで、Cr量が0.3%を超えても鉄損の低下は飽和するので、Cr量は0.01〜0.3%、望ましくは0.02〜0.3%とする。
Zr:0.001〜0.035%
C:0.0031%、P:0.01%、Si:3.0%、Mn:2.0%、Al:1.0%、S:0.001%、N:0.0020%、Nb:0.0005%とし、Zr量を0〜0.04%の範囲で変化させた鋼を実験室にて溶解し、熱間圧延後、100%N2雰囲気で1000℃×30sの熱延板焼鈍を施し、板厚0.30mmまで冷間圧延し、20%H2-80%N2雰囲気で950℃×30sの仕上焼鈍、引き続き750℃×2hrの磁性焼鈍を施し、Zr量とW10/1kとの関係を調査した。このとき、磁性焼鈍時の冷却速度は0.05℃/sとした。
その結果、図5に示すように、Zr量が0.001%以上でW10/1kが53(W/kg)未満となることがわかる。透過電子顕微鏡観察したところ、フェライト粒界上にはZr炭化物が認められ、Fe-Mn系炭化物が非常に減少しており、このために鉄損が低下したと考えられる。また、Zr炭化物の析出により鉄損が低下したのは、Zr炭化物は高温で析出するため内部応力の増大を引き起こさないためと思われる。さらに、少量のZr量でも効果が認められたことから、Fe-Mn系炭化物を低減するためには全量のCをZrにより固定していなくても効果的であるといえる。一方、Zr量が0.035%を超えると鉄損が増加するが、これは、フェライト粒内および粒界にZrシリサイドが多数観察され、このZrシリサイドが粒成長性を低下させ、鉄損を増加させたことが明らかとなった。以上のことから、Zr量は0.001〜0.035%、望ましくは0.002〜0.02%とする。
Nb:0.0009%以下
C:0.0031%、P:0.01%、Si:3.0%、Mn:2.0%、Al:1.0%、S:0.001%、N:0.0020%、Cr:0.02%、Zr:0%とし、Nb量を0〜0.005%の範囲で変化させた鋼を実験室にて溶解し、熱間圧延後、100%N2雰囲気で1000℃×30sの熱延板焼鈍を施し、板厚0.30mmまで冷間圧延し、20%H2-80%N2雰囲気で950℃×30sの仕上焼鈍、引き続き750℃×2hrの磁性焼鈍を施し、Nb量とW10/1kとの関係を調査した。このとき、磁性焼鈍時の冷却速度は0.05℃/sとした。
図6に示すように、Nb量が0.0009%以下になるとW10/1kがさらに改善されることがわかる。透過電子顕微鏡観察したところ、フェライト粒界にNb系炭化物が観察された。また、光学顕微鏡観察したところ、Nb量が0.0009%を超えるとフェライト結晶粒が細粒化する傾向にあった。このことから、Nbはフェライト粒界での炭化物の析出を促進させ、粒成長を阻害する傾向にあることが明らかとなった。以上のことから、望ましくはNb量は0.0009%以下、より望ましくは0.0005%以下とする。
本発明における鋼板の引張強度:引張強度は650MPa以下とする。これは、650MPaを超えると材料が硬いため金型の消耗が著しいためである。なお、引張強度を650MPa以下とするためには、本発明においては仕上焼鈍温度を850℃以上としている。
転炉で吹練した後に脱ガス処理を行って表1、2に示す成分に調整した鋼No.1〜39をスラブに鋳造後、スラブを1140℃で1時間加熱した後、板厚2.0mmまで熱間圧延を行った。熱間圧延の仕上温度は800℃、巻取温度は610℃とし、巻取り後は100%N2雰囲気で1000℃×30sの熱延板焼鈍を施した。その後、板厚0.20〜0.30mmまで冷間圧延を行い、表3、4に示す焼鈍温度で10s均熱後、表3、4に示す冷却速度で仕上焼鈍を行い、さらに、一部の鋼板を除いて、100%N2雰囲気で750℃×2hrの磁性焼鈍を施し、鋼板No.1〜43を作製した。そして、直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物のフェライト粒界の長さ1mm当たり個数およびW10/1kの測定を行った。
結果を表2に示す。本発明例では、直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物のフェライト粒界の長さ1mm当たり個数が5000個以下であり、53(W/kg)未満のW10/1kが得られることがわかる。なお、鋼板No.39は、Si量が高いために磁束密度が低下している。
Figure 0005200376
Figure 0005200376
Figure 0005200376
Figure 0005200376
Mn量と磁性焼鈍前後のΔW10/1kとの関係を示す図である。 磁性焼鈍時の冷却速度とW10/1kとの関係を示す図である。 フェライト粒界上に粒界長さ1mm当たりに析出した直径が0.05〜0.5μmのFe-Mn系炭化物の個数とW10/1kとの関係を示す図である。 Cr量とW10/1kとの関係を示す図である。 Zr量とW10/1kとの関係を示す図である。 Nb量とW10/1kとの関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.005%以下、P:0.1%以下、Si:1.5〜5%、Mn:1.5〜5%(但し、1.5%は除く)、Al:0.1〜3.0%、S:0.02%以下、N:0.005%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、フェライト粒界上に析出している直径が0.05〜0.5μmのFe−Mn系炭化物の個数が粒界の長さ1mm当たり5000個以下、鋼板の引張強度が650MPa以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  2. さらに、質量%で、Ca:0.001〜0.01%を含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
  3. さらに、質量%で、Sn、Sbのうち少なくと1種の元素を合計で0.001〜0.05%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板。
  4. さらに、質量%で、Zr:0.001〜0.035%を含有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
  5. さらに、質量%で、Nb:0.0009%以下を含有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の無方向電磁鋼板。
  6. 請求項1から3のいずれか1項に記載の成分組成の鋼を、熱間圧延、冷間圧延した後、850℃以上で仕上焼鈍を施し、かつ前記仕上焼鈍時の冷却速度を7℃/s以上とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 請求項1から3のいずれか1項に記載の成分組成の鋼を、熱間圧延、冷間圧延した後、850℃以上で仕上焼鈍を施し、磁性焼鈍し、かつ前記磁性焼鈍時の冷却速度を7℃/s以上とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. さらに、質量%で、Nb:0.0009%以下を含有することを特徴とする請求項またはに記載の無方向電磁鋼板の製造方法。
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