JP4210563B2 - 溶鋼の連続鋳造方法及びそれに使用するスライディングノズル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶鋼の連続鋳造方法及びそれに使用するスライディングノズルに係り、更に詳しくは、スライディングノズルの流出孔の内側にアルミナ系介在物及び地金が相乗して付着することにより鋳型内に注湯される溶鋼量が変動して鋳造が不安定となったり、鋳造が中断したりする等の問題を解消する溶鋼の連続鋳造方法及びそれに使用するスライディングノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、溶鋼の連続鋳造においては、タンディッシュからの溶鋼をスライディングノズル(以下、SNノズルという)を介して浸漬ノズルから鋳型内に注湯し、鋳型による冷却と、支持セグメントに装備した冷却水ノズルからの散水によって溶鋼を凝固させて鋳片を製造している。この鋳型内への溶鋼の注湯は、SNノズルを構成するプレートを摺動させてプレートに形成されている流出孔の連通状態(重なり度合い)を調整しながら行ない、鋳造スタート時、安定鋳造時、及び異常時の各状況に応じた適正の注湯量を鋳型内に浸漬ノズルを介して供給している。
ここで、SNノズルを構成するプレートの流出孔が形成されている部分は、溶鋼と直接接触し、しかも、開閉遮断や溶鋼流量調整に伴って頻繁に密接状態で摺動を繰り返すため溶損や摩耗が激しく、プレートには耐摩耗及び耐溶損性を考慮した材質の耐火物を適用したり、流出孔を正常な状態に保つための種々の工夫を施してSNノズルの長寿命化を図っている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2に示すように、SNノズルのプレートにリング形状の耐火部材を嵌め込んで流出孔を形成して、この耐火部材に溶損や亀裂が生じた場合、この耐火部材のみを交換することによりプレートを繰り返し使用し耐火物コストの低減やメンテナンスの簡素化を図ることが行われている。
また、リング形状の耐火部材の耐用性を向上させるために、リング形状の耐火部材をプレートよりも小さな膨張率を有する材質で形成したり(例えば、特許文献3参照)、リング形状の耐火部材を酸化クロムを含有した材質で構成して亀裂の発生に伴う損傷を抑制したり(例えば、特許文献4参照)、リング形状の耐火部材を不焼成の耐火物で構成することにより反りやスポーリングを抑制する(例えば、特許文献5参照)等の提案がされている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭56−19970号公報
【特許文献2】
特開2002−144023号公報
【特許文献3】
特開平2−175068号公報
【特許文献4】
特開2002−346733号公報
【特許文献5】
特開平2−1545号公報
【特許文献6】
実開平3−68962号公報
【特許文献7】
特開昭57−56377号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
SNノズルでは、溶鋼の注湯量をSNノズルを構成する複数のプレート間の相対位置を変えることにより各プレートに形成されている流出孔の連通時の重なり度合いを調整して、鋳型への注湯量を調整している。
例えば、図9(a)に示すように、それぞれ流出孔を備えた上プレート80、中プレート81、及び下プレート82を密着させて構成したSNノズル83では、中プレート81を摺動させて各流出孔を連通させて下ノズル84を介して供給された溶鋼85を通過させた場合、中プレート81で連通状態となっていない流出孔の部分には溶鋼85の淀み部86が形成される。
この淀み部86では、溶鋼85の流れが極端に遅いため、図9(b)に示すように、溶鋼85中のアルミナ系介在物が淀み部86と接する流出孔の内面部分87に付着し易く、一旦付着すると溶鋼85で洗い流されることがほとんどなく堆積する傾向にある。
【0006】
更に、淀み部86に存在している溶鋼85は、接している流出孔の内面部分87を介して抜熱されるので、地金の付着も容易になる。そして、淀み部86ではこのようなアルミナ系介在物の付着と地金の付着の相乗した作用で流出孔が詰まり易く、このためSNノズル83に閉塞が発生し易くなっていた。
ここで、流出孔へのアルミナ系介在物や地金の付着が軽微な場合は、SNノズル83の中プレート81の摺動に伴う流出孔内の溶鋼の流れ変化で、付着したアルミナ系介在物や地金を溶鋼流で洗い流すことができるが、時間の経過と共に再び付着が起こり徐々に堆積していく。このため、流出孔の連通部分の開口面積が変動することになって溶鋼の注湯量も変動し、鋳型内の湯面レベルが変動していた。その結果、鋳造操業が不安定化し、流出孔へのアルミナ系介在物や地金の堆積が顕著になると、鋳造過程でSNノズル83の閉塞が発生して鋳造が中断していた。
更に、上、下2枚のプレートで構成されるSNノズルの下プレートに形成された流出孔についても同様の現象が発生する。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に示す発明では、SNノズルを構成するプレートを繰り返し使用することで、耐火物コストの低減は可能となるが、プレートの流出孔におけるアルミナ系介在物の付着や堆積、及び地金付着に起因した注湯量の変動による鋳造操業の不安定化(極端な場合に鋳造中断)を解消することはできない。
また、特許文献3〜5に示す発明は、リング形状の耐火部材の耐用性を向上させるもので、プレートの流出孔におけるアルミナ系介在物の付着や堆積、及び地金付着を抑制するものではなく、流出孔におけるアルミナ系介在物の付着と地金の付着の相乗した作用で流出孔が詰まりSNノズルが閉塞するという問題を解消することはできない。
【0008】
一方、特許文献6に記載されているように、浸漬ノズルの溶鋼が通過する内面側に黒鉛を含有しないで、シリカ、アルミナ、マグネシア、及びジルコニアの中から選ばれる1種以上の耐火骨材を使用した成形体を目地を介して浸漬ノズルの溶鋼が通過する内面側に装着させて、浸漬ノズルの内面側の凹凸発生を抑制してアルミナ系介在物が付着するのを防止することが提案されている。
しかし、実際には浸漬ノズルの内面にはアルミナ系介在物が付着し堆積して連続鋳造用ノズルの閉塞が生じ、鋳造過程での操業の不安定化を招いていた。更に、耐火物の耐溶損性の向上や、亀裂発生の抑制の効果も乏しく、浸漬ノズルの寿命を向上させるには到っていない。
また、特許文献7に記載されているように、浸漬ノズルを石灰と炭素を主体に構成し、これにアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の塩類を配合した浸漬ノズルが提案されている。
しかし、この発明を適用した浸漬ノズルでは、浸漬ノズル中の内面側の炭素が酸化されて浸漬ノズル内面側に凹凸が形成され、この凹凸に起因してアルミナ系介在物が付着するため、ノズル詰まりや閉塞を解消することができない。しかも、炭素が溶鋼中に浸炭し、溶鋼の炭素ピックアップを招く等の問題が生じている。
【0009】
このため、特許文献6に記載された考案や特許文献7に記載された発明をSNノズルに適用して、プレートの流出孔におけるアルミナ系介在物及び地金の相乗した付着を防止して鋳造操業の安定化を図ることは困難と考えられる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、スライディングノズルを構成するプレートの流出孔の内側にアルミナ系介在物及び地金が相乗して付着することを防止し、鋳型内に注湯される溶鋼量の変動を抑えると共に安定した鋳造を行うことが可能な溶鋼の連続鋳造方法及びそれに使用するスライディングノズルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る溶鋼の連続鋳造方法は、複数枚のプレートにそれぞれ設けられた流出孔を前記プレートの摺動によって連通させて溶鋼の流路を形成するスライディングノズルを用いた溶鋼の連続鋳造方法において、
前記スライディングノズルの少なくとも1枚のプレートに設けられた前記流出孔の内面部分に、骨材としてドロマイトクリンカーが配合されMgO成分の含有量が20質量%以上かつ70質量%以下であって、炭素を0.1質量%以上で10質量%以下含み、更に、0.1質量%以上かつ3質量%以下のSiO 2 及び0.1質量%以上かつ3質量%以下のFe 2 3 の少なくとも一方を含有する内装体を配置して、前記溶鋼を通過させる。
【0011】
骨材にドロマイトクリンカーが配合されている内装体が、流出孔、あるいは特に淀み部と接する流出孔の内面部分に配置されているので、アルミナ系介在物や地金がこの淀み部を起点に生成し、これが徐々に成長して大きな付着物、堆積物となるのを、内装体中のCaOと溶鋼中のAlから生成したアルミナや脱酸により生成したアルミナ等のアルミナ系介在物が反応して稼動面にAl23 −CaO系液相を形成し、Al23 −CaO系液相内ではドロマイトクリンカー中の未溶解のCaO成分が徐々にAl23 −CaO系液相中に溶解していき、Al23 −CaO系液相が溶鋼の流れと共に流出して、流出孔内にアルミナ系介在物が付着するのを抑制できる。
しかも、稼動面にAl23 −CaO系液相が存在するため、放熱に伴う溶鋼の凝固した地金が付着するのをこのAl23 −CaO系液相の形成により防止することができる。
【0012】
一方、Al23 −CaO系液相の近傍に存在するMgO粒子はAl23 −CaO系液相が形成されている稼動面側から遠ざかる方向に移動しながら徐々に凝集していくものと考えられる。そして、このようなMgO粒子のAl23 −CaO系液相中での移動と凝集が繰り返されることにより、MgO粒子が粗大化を伴いつつ、稼動面側にMgOリッチな層が形成されるものと考えられる。
更に、MgOリッチな層の背部に存在するドロマイトクリンカー中のCaOがMgOリッチな層を介してAl23 −CaO系液相の形で稼動面側に持続的に供給されるので、溶鋼中のAl23 が稼動面側に付着するのを防止する。
更に、稼動面側に形成されるMgOリッチな層により、稼動面側の耐食性が向上するという特徴が出現する。
【0013】
ここで、MgO成分の含有率が20質量%以上であれば、MgO粒子の粗大化とMgO粒子の稼動面からの後退によるMgOリッチな層が形成され易くなる。このため、稼動面側の耐食性が向上し、内装体の寿命が延長する。
一方、全MgO成分の含有率が70質量%を超えると、溶鋼中のAl23 と反応してAl23 −CaO系液相を形成するためのCaO供給量が不足する。このため、稼動面側にAl23 系介在物が付着し易くなる。
以上のことから、MgO成分の含有率は20質量%以上かつ70質量%以下、好ましくは25質量%以上かつ65質量%以下がよい。
【0014】
特に、溶鋼流の淀み部と接する流出孔の稼動面に骨材としてドロマイトクリンカーが配合されている内装体を配置して溶鋼を通過させると、稼動面に低融点のAl23 −CaO系液相が生成し、溶鋼中に流出していく。このため、内装体の表面にアルミナ系介在物の付着とそれに伴って生じる堆積が起こらない。同時に、内装体の表面にはAl23 −CaO系液相が形成されるため、地金の付着も抑制される。しかも、内装体の表面にはAl23 −CaO系液相が存在するため、アルミナ系介在物や地金が少量付着した段階では、プレートの摺動により流出孔内の溶鋼流を変化させて容易に剥落させることができる。
更に、溶鋼中のアルミナ系介在物及び地金が稼動面に付着するのを防止しながら稼動面の耐食性を向上させることができる。その結果、流出孔の形状を正常な状態に保つことができ、各流出孔を連通させた際の開口面積を一定にすることができる。
【0015】
本発明に係る溶鋼の連続鋳造方法において、前記溶鋼としてAlを含有する脱酸剤を用いて脱酸処理されたものを対象とするのがよい。
Alを含有する脱酸剤、例えば、Al、Al−Ti、Al−Siを用いて脱酸処理を行った溶鋼中にはアルミナ、あるいは溶鋼中に溶解したAlが多量に含まれている。そして、溶鋼中のAlの酸化や混入したアルミナは、鋳造中に流出孔、特に淀み部と接する流出孔の内面部分にアルミナ系介在物として付着し易いため、溶鋼の温度低下に起因する地金の付着と相乗して急激な付着と堆積現象が生じて流出孔の閉塞が発生し易い。
そこで、流出孔の内面部分、特に淀み部と接する流出孔の内面部分に内装体を配置すると、稼動面に接触するアルミナが内装体に含まれるCaO成分と反応して稼動面にAl23 −CaO系液相を形成し溶鋼流と共に流下するので、アルミナ系介在物及び地金の付着が抑制され、流出孔の閉塞が防止できる。
【0016】
本発明に係る溶鋼の連続鋳造方法において、前記内装体はリング形状で、前記流出孔の内面に一体的に配置されていることが好ましい。
内装体を流出孔の内面に一体的に配置することにより、流出孔の形状を安定して維持することができる。この場合、内装体の周方向における膨張を緩和するため、内装体と流出孔の間には全周目地を形成する必要がある。
また、前記内装体は前記流出孔の内面の面積の10%以上で98%以下の領域に配置するようにしてもよい。
ここで、内装体を配置する面積を流出孔の内面の10%以上、すなわち、淀み部に接する流出孔の内面で最もアルミナ系介在物が付着や堆積し易い部位、及び地金が付着し易い部位に内装体を配置することにより、アルミナ系介在物の付着や堆積、及び地金の付着を防止して溶鋼を常時通過させることができる。
また、内装体を配置する面積を流出孔の内面の面積の最大でも98%に相当する領域に配置することにより2%に相当する目地を設けることができ、内装体に発生する熱膨張をこの目地で緩和することができる。その結果、内装体の破損を防止して安定した鋳造を行うことができる。
【0017】
本発明に係る溶鋼の連続鋳造方法において、前記内装体には、該内装体が前記流出孔の軸方向と平行な方向の拘束面圧を受ける部位の内周側の角部に、切欠部が少なくとも1箇所設けられていることが好ましい。
流出孔に溶鋼を通過させると、内装体は加熱されて熱膨張する。一方、内装体は周囲から拘束を受けているため、自由に熱膨張することができない。このため、内装体内には圧縮の熱応力が発生し、この状態で内装体が配置されているプレートを摺動させると内装体の内周側の角部に剪断力が負荷され微細損傷が蓄積される。そして、摺動を繰り返すことにより微細損傷が徐々に成長し破損に到る。
ここで、内装体の内周側の角部に切欠部を設けることにより、内装体が溶鋼の熱により加熱されて生じる熱膨張を吸収して熱歪みを緩和することができ、内装体に生じる熱応力を低下させることができる。
なお、切欠部は、最大拘束面圧が発生する箇所に1つだけ設けても、最大拘束面圧が発生する箇所を中心に内周に沿って分散するように複数個設けてもよい。更に、切欠部は、拘束面圧を受ける部位の一方側の角部に設けても、両側の角部にそれぞれ設けてもよい。
更に、リング形状(円形)の内装体を用いる場合に、リングの全内周縁に切欠部を形成するとより好ましい。
【0018】
本発明に係る溶鋼の連続鋳造方法において、前記切欠部は側面視した際の最大断面形状が直角を挟む一方の辺が前記流出孔の軸方向に平行となった直角三角形であって、該一方の辺と斜辺の交わる角度が1°以上で60°以下、好ましくは5°以上で40°以下にするのがよい。
ここで、角度が1°未満では切欠部の大きさが小さ過ぎて、溶鋼により加熱されて生じる熱膨張を十分に吸収することができず、熱歪みを緩和することができず好ましくない。
一方、角度が60°を超えると摺動部、あるいは接合部に生じる隙間が大きくなって、通過する溶鋼がこの隙間に差し込み易くなる。その結果、隙間に地金が付着し摺動抵抗が増加して好ましくない。
【0019】
本発明に係る溶鋼の連続鋳造方法において、複数枚の前記プレートは上プレートと、下プレートと、該上プレート及び該下プレートの間で摺動する中プレートであって、該中プレートの前記流出孔の内面に前記内装体が配置されていることが好ましい。
スライディングノズルを上プレート、下プレート、及び中プレートで構成した場合、上、下プレートの流出孔の投影円から外れた中プレートの流出孔の部分に溶鋼流の淀み部が発生する。従って、中プレートの流出孔の内面に内装体を配置することにより、アルミナ系介在物の付着とそれに伴って生じる堆積、及び地金の付着を抑制することができる。
なお、スライディングノズルは上プレート、下プレートから構成することもできる。この場合では、上プレートの流出孔の投影円から外れた下プレートの流出孔の部分に淀み部が顕著に発生するので、下プレートの流出孔の内面に内装体を配置することにより、アルミナ系介在物の付着とそれに伴って生じる堆積、及び地金の付着を抑制することができる。
【0020】
本発明に係る溶鋼の連続鋳造方法において、前記内装体が配置される前記流出孔を備えた前記プレートは、マグネシア−炭素系耐火物を主体(例えば、80〜100質量%)に形成されていることが好ましい。
内装体を配置する流出孔が設けられているプレートをマグネシア−炭素系耐火物を主体に形成することにより、内装体とプレートとの間の体積膨張の差を30体積%以下にすることができ、体積膨張によって生じる割れや剥落防止することができる。また、溶鋼が通過して内装体が高温になってもプレートとの反応を防止することができる。
【0021】
本発明に係る溶鋼の連続鋳造方法において、前記内装体は0.1質量%以上かつ3質量%以下のSiO2及び0.1質量%以上かつ3質量%以下のFe23の少なくとも一方を含有している。
内装体中にSiO2及びFe23の少なくとも一方が存在すると、内装体の表面に付着したアルミナ系介在物と内装体に含まれるCaOを活性化して、CaOとの反応から形成されるAl23−CaO系液相の生成、及び生成したAl23−CaO系液相の低融点化が促進される。
【0022】
ここで、SiO2 、Fe23 がいずれも0.1質量%未満であると、内装体中のCaOの活性化が不十分となる。このため、MgOリッチな層を介してのCaOの供給が十分に確保できなくなる。その結果、溶鋼接触面において、Al23 介在物の付着が進行すると解される。
一方、SiO2 、Fe23 がいずれも3質量%を超えると、溶鋼中のAlと反応して溶鋼接触面でAl23 が生成し、溶鋼接触面においてAl23 系介在物の付着が生じ易くなる。更に、Al23 と内装体中のSiO2 、Fe23 が反応して低融点化合物を形成し、内装体の溶損を促進させる。
以上のことから、内装体中のCaOを活性化させAl23 −CaO系液相の低融点化と液相量を確保して、Al23 系介在物の付着を抑制するために、SiO2 、Fe23 のそれぞれの含有率を0.1質量%以上かつ3質量%以下になるように規定した。
なお、その他の成分としては、炭素を0.1質量%以上で10質量%以下含む。更に、場合によりZrO2 、SiC等を含んで、全体の組成が100質量%になるように配合される。
【0023】
前記目的に沿う本発明に係るスライディングノズルは、複数枚のプレートにそれぞれ設けられた流出孔を連通させて溶鋼の通過する流路を形成するスライディングノズルにおいて、
少なくとも前記流路内に発生する溶鋼流の淀み部に接する前記流出孔の内面部分には、骨材にドロマイトクリンカーが配合されMgO成分の含有量が20質量%以上かつ70質量%以下であって、炭素を0.1質量%以上で10質量%以下含み、更に、0.1質量%以上かつ3質量%以下のSiO 2 及び0.1質量%以上かつ3質量%以下のFe 2 3 の少なくとも一方を含有する内装体が配置されている。内装体を上記の組成で形成することにより、稼動面に低融点のAl23−CaO系液相を生成させて溶鋼中に流出させることができ、内装体の表面におけるアルミナ系介在物の付着とそれに伴って生じる堆積を防止することができる。同時に、内装体の表面にはAl23−CaO系液相が形成されるため、地金の付着も防止できる。更に、稼動面側にMgOリッチな層が形成されることにより、稼動面の耐食性を向上させることができる。
【0024】
本発明に係るスライディングノズルにおいて、前記内装体には、該内装体が前記流出孔の軸方向と平行な方向の拘束面圧を受ける部位の内周側の角部に、切欠部が少なくとも1箇所設けられている。
内装体の内周側の角部に切欠部を設けることにより、内装体が溶鋼の熱により加熱されて生じる熱膨張を吸収して熱歪みを緩和することができ、内装体に生じる熱応力の集中を解消することができる。その結果、内装体の欠損が抑制され、流出孔の形状不良の発生や摺動抵抗の増加を抑制することができる。
更に、内装体の全内周縁に切欠部を設けることがより好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係るスライディングノズルを使用した注湯系ノズルの断面図、図2(a)は図1のA−A断面図、(b)は変形例に係るリング形状の内装体の平断面図、図3(a)は本発明の一実施の形態に係るスライディングノズルにおける溶鋼の流れを示す説明図、(b)は同スライディングノズルの変形例における溶鋼の流れを示す説明図、図4、図5は同スライディングノズルに配置された内装体にMgOリッチな層が形成されるメカニズムの説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るスライディングノズル13を使用した注湯系ノズル10は、溶鋼を貯留するタンディッシュ11の底に設けられた開口部に挿入された上ノズル12と、上ノズル12の排出口側に流入口側が接続するスライディングノズル13と、スライディングノズル13の流出口側に流入口側が接続する下ノズル14と、下ノズル14の流出口側に接続し吐出口15が図示しない鋳型内に配置される浸漬ノズル16を有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0026】
タンディッシュ11は鉄皮17の内側に耐火物18を内張りし、その表面にMgO耐火物のコーティング層18aを形成して構成された溶鋼を一定量貯留する容器である。そして、貯留されている溶鋼は、耐火物で形成された上ノズル12を介して排出される。
また、スライディングノズル13は、例えば、流出孔19が形成された上プレート20と、流出孔21が形成された中プレート22と、流出孔23が形成された下プレート24を密着させて構成されている。そして、上プレート20と下プレート24は各流出孔19、23の中心を一致させて配置され、中プレート22は上プレート20及び下プレート24の間で密接して摺動可能に設けられている。従って、中プレート22を摺動させることにより、各流出孔19、21、23を連通させることができスライディングノズル13内に溶鋼の流路を形成することができる。
【0027】
上プレート20と下プレート24は、例えば、アルミナ−炭素系耐火物で構成され、中プレート22はマグネシア−炭素系耐火物で構成されている。更に、図2(a)に示すように、中プレート22に形成されている流出孔21の内面において、流出孔21を平面視して中プレート22の摺動方向Dの片側の半周の領域には内装体25がモルタル(例えば、マグネシア質)が充填されている目地26を介して配置されている。
ここで、図2(a)に示すように、内装体25において流出孔21の軸方向と平行な方向の拘束面圧を受ける部位、例えば、内装体25を流出孔21の軸方向から平面視した際の中央部の内周側の角部には、切欠部25aが設けられている。なお、切欠部25aの形状は、側面視した際の断面形状が直角を挟む一方の辺が流出孔21の軸方向に平行となった直角三角形であって、最大断面形状において一方の辺と斜辺の交わる角度が1°以上で60°以下、好ましくは5°以上で40°以下に調整されている。
このような形状の切欠部25aを設けることにより、溶鋼を通過させてもこの切欠部25aに溶鋼が差し込むのを抑制しながら、溶鋼の熱による内装体25の熱膨張をこの切欠部25aにおいて吸収して、熱歪みを緩和することができる。その結果、内装体25に生じる熱応力を低下させることができる。
更に、図2(b)に示すように内装体25bをリング形状として流出孔21の内面に一体的に配置し、その全内周縁の角部に切欠部25cを設けることにより、熱歪みによって発生する面圧の分散を良好にすることができるのでより好ましい。
【0028】
内装体25は、骨材にドロマイトクリンカーが配合されMgO成分の含有量が20質量%以上かつ70質量%以下の組成を有するように調製されている。更に、0.1質量%以上かつ3質量%以下のSiO2 及び0.1質量%以上かつ3質量%以下のFe23 の少なくとも一方を含有するように調製されている。また、下ノズル14は例えば、Al23 −C質耐火物、浸漬ノズル16は例えばアルミナ−黒鉛質耐火物を用いて形成することができる。
このような構成とすることにより、上、下プレート20、24に対して中プレート22を摺動させて、各流出孔19、21、23を導通させることにより、上ノズル12、スライディングノズル13、下ノズル14、及び浸漬ノズル16までの注湯系ノズル10を連通状態にすることができ、タンディッシュ11内の溶鋼を所定の注湯量で浸漬ノズル16の吐出口15から鋳型内に吐出させることができる。
【0029】
次に、本発明の一実施の形態に係る溶鋼の連続鋳造方法について詳細に説明する。
先ず、タンディッシュ11内に溶鋼を注入する。そして、図2(a)、(b)に示すように、スライディングノズル13の中プレート22を上、下プレート20、24に対して摺動させて、流出孔21で内装体25が配置された半周側を上プレート20の流出孔19(下プレート24の流出孔23)の中心から遠ざける。これによって、図3(a)及び図3(b)(図3(b)は内装体25bを使用した場合の断面図である)に示すように、スライディングノズル13内には、各流出孔19、21、23が部分的に連通状態になって流路が形成される。その結果、上ノズル12、スライディングノズル13、下ノズル14、及び浸漬ノズル16までの注湯系ノズル10が導通状態になり、前工程の脱炭精錬、あるいは二次精錬において取鍋内でAlを含有する脱酸剤を用いたAl脱酸処理、Al−Ti脱酸処理、及びAl−Si脱酸処理のいずれかひとつの脱酸処理が施されたタンディッシュ11内の溶鋼は浸漬ノズル16内を通過して浸漬ノズル16の吐出口15から鋳型内に吐出する。
【0030】
このとき、上プレート20の流出孔19の投影円から外れた中プレート22の流出孔21の領域は、上方からは上プレート20で、下方からは下プレート24で挟まれる状態になっているので、この領域に溶鋼流の淀み部27が形成される。そして、淀み部27内の溶鋼中のアルミナ系介在物、例えば、Alから生成したアルミナや脱酸により生成したアルミナはこの淀み部27に接する領域に配置されている内装体25(内装体25bも同様)の稼動面に付着する。
この淀み部は、上方に位置する摺動する中プレート22の流出孔21の投影面下で見て外れる下方部位(図3に示す淀み部27a)、あるいは中プレート22の摺動側の流出孔21に形成される限定された部位(淀み部27である。
【0031】
ここで、図4に示すように、内装体25には骨材としてドロマイトクリンカーが配合されているため、付着したアルミナはドロマイトクリンカー内のCaOと反応して低融点のAl23 −CaO系液相を形成する。また、内装体25には0.1質量%以上かつ3質量%以下のSiO2 及び0.1質量%以上かつ3質量%以下のFe23 の少なくとも一方が含有されるように調製されているので、ドロマイトクリンカー内のCaOはSiO2 又はFe23 と反応して低融点の化合物を形成して、CaOの移動を活発化させると共に、CaOの反応性を向上させることができる。
その結果、付着したAl23 とドロマイトクリンカー内のCaOとの反応が促進されて、低融点のAl23 −CaO系液相の形成が促進される。
ドロマイトクリンカーの稼動面では、生成したAl23 −CaO系液相が溶鋼中に流出しても、溶鋼中のAlから生成したアルミナや脱酸により生成したアルミナが頻繁に付着する。このため、ドロマイトクリンカーの稼動面側にはAl23 −CaO系液相がほぼ連続して形成されるようになる。そして、このAl23 −CaO系液相には、ドロマイトクリンカー中の未溶解のCaO粒子が徐々に溶解していき、MgO粒子の周囲にAl23 −CaO系液相が存在するようになる。
【0032】
図5に示すように、MgO粒子の周囲にAl23 −CaO系液相が存在し、このAl23 −CaO系液相中にCaO粒子が溶解している状態では、MgO粒子は溶解したCaO粒子とその位置を交換するように徐々に稼動面側から遠ざかる方向に移動し、徐々に凝集していく。そして、MgO粒子のAl23 −CaO系液相中での移動と凝集が繰り返されることにより、MgO粒子が粗大化し、稼動面側にMgOリッチな層が連続して形成される。
更に、このMgOリッチな層内にはAl23 −CaO系液相が存在するため、CaOはこのAl23 −CaO系液相中に、温度で決まる飽和濃度に達するまで連続して溶解する。その結果、Al23 −CaO系液相の融点は徐々に低下し、流動し易い状態になる。このため、MgOリッチな層の背部に存在するドロマイトクリンカー中のCaOがMgOリッチな層を介してAl23 −CaO系液相の形で稼動面側に供給されるようになる。
その結果、稼動面側にMgOリッチな層が形成されても、溶鋼中のアルミナが稼動面側に付着するのを防止する。なお、稼動面側に形成されるMgOリッチな層により、稼動面側の耐食性が向上する。
【0033】
そして、スライディングノズル13に配置されている内装体25は、使用前にあっては、MgO成分とCaO成分を主体とするマトリックスの集合体として構成されている。また、使用を開始した前期においては、淀み部27の溶鋼中のアルミナと内装体25中のCaO成分との反応によりAl23 −CaO系の低融点生成物を稼動面側に生成させて流出させることにより、内装体25の稼動面側のCaO成分を選択的に除去しながら稼動面側にMgOリッチな層を徐々に形成する機能を備えている。
更に、使用を開始した中期以降には、マトリックスを構成するMgO粒子に比べて、稼動面側では粒径が相対的に増大し、稼動面から内部に向かうにつれて徐々に粒径が減少するMgO粒子を有するMgOリッチな層を構成して内装体25としての耐食性を向上させると共に、MgOリッチな層の背部のマトリックス中のCaO成分をMgOリッチな層を介して稼動面側に供給して、淀み部27の溶鋼中のアルミナと反応させる機能を維持している。
その結果、使用後のスライディングノズル13を回収して、内装体25の稼動面側の組織を観察すると、図5に見られるような組織状態が観察されることになる。
【0034】
更に、図3(a)、(b)において、中プレート22の流出孔21の投影円から外れた下プレート24の流出孔23の領域では、上方は中プレート24で覆われているので、この領域にも溶鋼流の淀み部27aが形成されることになる。従って、下プレート24に形成されている流出孔23の内面において、この淀み部27aに接する片側の半周の領域に内装体をモルタル(例えば、マグネシア質)が充填されている目地を介して配置してもよい。
また、上、下2枚のプレートで構成されるSNノズルの場合では、上プレートの流出孔の投影円から外れた下プレートの流出孔の領域が、上方を上プレートで覆われているため、溶鋼流の淀み部となる。従って、下プレートに形成されている流出孔の内面において、この淀み部に接する片側の半周の領域に内装体をモルタル(例えば、マグネシア質)が充填されている目地を介して配置することが好ましい。
【0035】
【実施例】
図1に示す注湯系ノズルを使用して鋳型内に、Al脱酸処理、Al−Ti脱酸処理、及びAl−Si脱酸処理のいずれかひとつの脱酸処理を施した溶鋼を供給し、鋳造速度1.2m/分で鋳造幅1250mm、鋳片厚み250mmの鋳片の連続鋳造を行った。
ここで、スライディングノズルの上プレート及び下プレートはアルミナ−黒鉛質の耐火物で形成し、中プレートはマグネシア−炭素系耐火物を主体に形成した。更に、中プレートの流出孔(内径は70mm)の内面において、中プレートの摺動方向に垂直な対称軸の片側半周の領域には厚さ10mmの半リング状の内装体をマグネシア質モルタルが充填された目地を介して配置した。
なお、内装体は骨材にドロマイトクリンカーを配合し、CaO成分の含有量を44質量%、MgO成分の含有量を49質量%、ピッチ系炭素を3質量%、SiO2 の含有量を1.0質量%、及びFe23 の含有量を1.0質量%、その他酸化防止剤等を加えて全体で100質量%になるように調整した。
【0036】
そのときのSN開度(中プレートの流出孔に形成される連通時の開口面積の割合)の変動と、鋳型内の湯面レベルの変動を図6に示す。図6から判るように、鋳造操業中の鋳型内の湯面レベル及びSN開度の変動は非常に小さく、安定した鋳造を行うことが確認できた。
また、連続鋳造終了後のスライディングノズルを回収し、中プレートに配置した内装体の稼動面の状況を確認した。稼動面のはアルミナ系介在物の付着や堆積、地金の付着は認められず、異常な溶損も発生していなかった。このことから、ノズル詰まりや閉塞を解消できることが確認できた。
【0037】
実施例で使用した注湯系ノズルのスライディングノズルを、アルミナ−黒鉛質の耐火物で形成した上プレート、中プレート(流出孔の内径は70mm)、及び下プレートで構成したスライディングノズルに置き換えて鋳型内に溶鋼を供給し、鋳造速度1.2m/分で鋳造幅1250mm、鋳片厚み250mmの鋳片の連続鋳造を行った。そのときのSN開度の変動と、鋳型内の湯面レベルの変動を比較例として図7に示す。
比較例ではアルミナ系介在物の付着速度が大きいためにスライディングノズルが閉塞傾向となり、一定量の溶鋼を供給するためSN開度を徐々に大きくする必要が生じている。そして、SN開度が大きくなって通過する溶鋼量が多くなると、付着していたアルミナ系介在物の剥離が生じることがあり、そのとき溶鋼の供給量が急激に増加するため溶鋼供給量を低下させるようにSN開度を小さくする必要が生じる。
その結果、鋳型内の溶鋼の湯面レベルの変動幅が大きくなった。また、鋳造開始から10〜30分で付着による閉塞の兆候が現れ、60分経過するとアルミナ系介在物の付着が顕著となって、SN開度は急増して100%に達し、鋳型内への溶鋼の流量制御が不能になった。
【0038】
図8に、前記実施例及び比較例で鋳造した鋳片から製造した成品の表面に発生した疵の個数を指数化して示す。
実施例では、比較例と比較して成品表面疵発生指数が1/10になっている。これは、実施例で使用したスライディングノズルの流出孔にはアルミナ系介在物が付着しないため、鋳型内に安定した溶鋼の供給が可能になる。このため、鋳型内の溶鋼の湯面の変動がなくなり、湯面に浮遊しているモールドパウダーの巻き込みがなくなって鋳片表層部の介在物が減少した結果と考えられる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の溶鋼の連続鋳造方法及びそれに使用するスライディングノズルを構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、内装体を中プレートの摺動方向の片側半周(内面の面積の50%)の領域に配置したが、淀み部に接する流出孔の内面で最もアルミナ系介在物が付着や堆積し易い部位、及び地金が付着し易い部位を主体に内面の面積の10%以上で50%未満の領域に内装体を配置して、溶鋼が常時通過できるようにしても、また、内面の面積の50%超えて98%以下の領域に内装体を配置して、アルミナ系介在物の付着や堆積、及び地金の付着がより防止されて安定した鋳造を行うことができるようにしてもよい。
【0040】
リング形状の内装体を流出孔の内面に一体的に配置して、流出孔の形状を安定にして溶鋼の精密な流量制御を行うようにする場合、流出孔と内装体の間には全周目地が形成されるので、目地部が溶鋼と接触する側には現れないような取付け構造を採用するか、目地部の耐溶損性を向上させることが必要になる。
また、内装体には切欠部を内周側の角部の一部分又は全周に設けたが、内周に沿って複数分散させて設けてもよい。更に、切欠部は、内装体の上、下側の角部に設けたが、一方側の角部に設けてもよい。
上中下の3枚のプレートで構成されたスライディングノズルを使用したが、上下の2枚のプレートで構成されるスライディングノズルを使用することもできる。この場合は、下プレートの流出孔の内面にリング状の内装体を一体的に配置したり、流出孔の内面の面積の10%以上で98%以下の領域に内装体を配置する。
【0041】
【発明の効果】
請求項1〜8記載の溶鋼の連続鋳造方法においては、スライディングノズルの少なくとも1枚のプレートに設けられた流出孔の内面部分に、骨材としてドロマイトクリンカーが配合されMgO成分の含有量が20質量%以上かつ70質量%以下の内装体を配置して溶鋼を通過させるので、アルミナ系介在物が付着し堆積するのを抑制することができると共に、相乗して生じる地金の付着も抑制することができ、流出孔の詰まりや閉塞を防止することが可能になる。そして、各流出孔を連通させた際の連通部分の開口面積を一定にすることができ、鋳型内に供給する溶鋼量を所定の範囲で安定して注湯することが可能になる。
また、湯面変動が抑制されて初期凝固シェルの形成が良好になると共に、注湯量の変動に伴う各種介在物、気泡、モールドパウダーの巻き込みがなくなり鋳片の品質を向上することができる。更に、アルミナ系介在物や地金の付着が抑制できるため、プレートを多数回使用することができ、耐火物コストを低減することが可能になる。
また、この溶鋼の連続鋳造方法においては、内装体は0.1質量%以上かつ3質量%以下のSiO 2 及び0.1質量%以上かつ3質量%以下のFe 2 3 の少なくとも一方を含有するので、稼動面で低融点のAl 2 3 −CaO系液相の形成を促進すると共に内装体としての極端な低融点化を抑制することができ、溶損、アルミナ系介在物の付着及び堆積、更に、地金の付着を抑制することが可能になる。
【0042】
特に、請求項2記載の溶鋼の連続鋳造方法においては、溶鋼はAlを含有する脱酸剤を用いて脱酸処理されているので、溶鋼中にアルミナが多量に含まれているても稼動面にAl23 −CaO系液相を形成させてアルミナ系介在物及び地金の付着を防止することができ、安定した鋳造操業を行うことが可能になる。また、付着が防止されるため付着物が剥離して溶鋼中に混入することがなく、鋳片の品質低下を防止することが可能になる。
【0043】
請求項3記載の溶鋼の連続鋳造方法においては、内装体はリング形状で、流出孔の内面に一体的に配置されているので、流出孔の形状を安定して維持することができ、鋳型に溶鋼を安定して注湯することが可能になる。
また、請求項4記載の溶鋼の連続鋳造方法においては、内装体は流出孔の内面の面積の10%以上で98%以下の領域に配置されているので、内装体の配置領域を限定することにより内装体の熱膨張により発生する歪を軽減することができ、内装体としての寿命を延長を図ることが可能になる。
【0044】
請求項5記載の溶鋼の連続鋳造方法においては、内装体が流出孔の軸方向と平行な方向の拘束面圧を受ける部位の内周側の角部には、切欠部が少なくとも1箇所設けられているので、内装体が溶鋼の熱により加熱されて生じる熱膨張を吸収して熱歪みを緩和して内装体に生じる熱応力の集中を解消することができ、内装体の欠損を防止することが可能になる。
その結果、流出孔の形状不良の発生や摺動抵抗の増加を抑制することが可能になって、安定した鋳造を行うことが可能になる。
【0045】
請求項6記載の溶鋼の連続鋳造方法においては、切欠部は側面視した際の最大断面形状が直角を挟む一方の辺が流出孔の軸方向に平行となった直角三角形であって、一方の辺と斜辺の交わる角度が1°以上で60°以下であるので、溶鋼により加熱されて生じる熱膨張を十分に吸収することができると共に溶鋼が切欠部に差し込むのを防止して、摺動面の面荒れや摺動抵抗の増加を防止することが可能になる。その結果、安定した鋳造を行うことが可能になる。
【0046】
請求項7記載の溶鋼の連続鋳造方法においては、複数枚のプレートは上プレートと、下プレートと、上プレート及び下プレートの間で摺動する中プレートであって、中プレートの流出孔の内面に内装体が配置されているので、中プレートの流出孔に溶鋼流の淀み部が発生してもアルミナ系介在物の付着と堆積、及び地金の付着を抑制することができ、鋳型内に供給する溶鋼量を所定の範囲で安定して注湯することが可能になる。
【0047】
請求項8記載の溶鋼の連続鋳造方法においては、内装体が配置される流出孔を備えたプレートは、マグネシア−炭素系耐火物を主体に形成されているので、内装体とプレートとの間の体積膨張の差を30体積%以下にして使用時の内装体の破損を防止することができ、鋳型内に溶鋼量を安定して注湯することが可能になる。また、溶鋼が通過して内装体が高温になってもプレートとの反応を防止することができ、内装体を流出孔に配置し安定して使用することができる。
【0049】
請求項9及び10記載のスライディングノズルにおいては、少なくとも流路内に発生する溶鋼流の淀み部に接する流出孔の内面部分には、骨材にドロマイトクリンカーが配合されMgO成分の含有量が20質量%以上かつ70質量%以下の内装体が配置されているので、使用中に稼動面にMgOリッチな層を形成して耐食性を向上させると共に、アルミナ系介在物の付着や堆積、及び地金付着を防止することができ、安定した鋳造を行うことが可能になる。
【0050】
特に、請求項10記載のスライディングノズルにおいては、内装体が流出孔の軸方向と平行な方向の拘束面圧を受ける部位の内周側の角部には、切欠部が少なくとも1箇所設けられているので、内装体が溶鋼の熱により加熱されて生じる熱膨張を吸収し熱歪みを緩和して内装体に生じる熱応力の集中を解消することができ、内装体の欠損を防止することが可能になる。その結果、スライディングノズルの寿命を延長させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスライディングノズルを使用した注湯系ノズルの断面図である。
【図2】(a)は図1のA−A断面図、(b)は変形例に係るリング形状の内装体の平断面図である。
【図3】(a)は本発明の一実施の形態に係るスライディングノズルにおける溶鋼の流れを示す説明図、(b)は同スライディングノズルの変形例における溶鋼の流れを示す説明図である。
【図4】同スライディングノズルに配置された内装体にMgOリッチな層が形成されるメカニズムの説明図である。
【図5】同スライディングノズルに配置された内装体にMgOリッチな層が形成されるメカニズムの説明図である。
【図6】実施例のスライディングノズルを使用した場合の鋳造時におけるスライディングノズル(SN)開度及び鋳型内の湯面レベルの変動を示すグラフである。
【図7】比較例のスライディングノズルを使用した場合の鋳造時におけるスライディングノズル(SN)開度及び鋳型内の湯面レベルの変動を示すグラフである。
【図8】実施例及び比較例の各スライディングノズルを使用して鋳造した鋳片から製造した成品表面疵発生指数を示すグラフである。
【図9】(a)は従来のスライディングノズルの使用方法を示す説明図、(b)は従来のスライディングノズルで発生したアルミナ系介在物の付着と堆積、及び地金の付着状況を示す説明図である。
【符号の説明】
10:注湯系ノズル、11:タンディッシュ、12:上ノズル、13:スライディングノズル、14:下ノズル、15:吐出口、16:浸漬ノズル、17:鉄皮、18:耐火物、18a:コーティング層、19:流出孔、20:上プレート、21:流出孔、22:中プレート、23:流出孔、24:下プレート、25:内装体、25a:切欠部、25b:内装体、25c:切欠部、26:目地、27、27a:淀み部

Claims (10)

  1. 複数枚のプレートにそれぞれ設けられた流出孔を前記プレートの摺動によって連通させて溶鋼の流路を形成するスライディングノズルを用いた溶鋼の連続鋳造方法において、
    前記スライディングノズルの少なくとも1枚のプレートに設けられた前記流出孔の内面部分に、骨材としてドロマイトクリンカーが配合されMgO成分の含有量が20質量%以上かつ70質量%以下であって、炭素を0.1質量%以上で10質量%以下含み、更に、0.1質量%以上かつ3質量%以下のSiO 2 及び0.1質量%以上かつ3質量%以下のFe 2 3 の少なくとも一方を含有する内装体を配置して、前記溶鋼を通過させることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  2. 請求項1記載の溶鋼の連続鋳造方法において、前記溶鋼はAlを含有する脱酸剤を用いて脱酸処理されていることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の溶鋼の連続鋳造方法において、前記内装体はリング形状で、前記流出孔の内面に一体的に配置されていることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  4. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の溶鋼の連続鋳造方法において、前記内装体は前記流出孔の内面の面積の10%以上で98%以下の領域に配置されていることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶鋼の連続鋳造方法において、前記内装体には、該内装体が前記流出孔の軸方向と平行な方向の拘束面圧を受ける部位の内周側の角部に、切欠部が少なくとも1箇所設けられていることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  6. 請求項5記載の溶鋼の連続鋳造方法において、前記切欠部は側面視した際の最大断面形状が直角を挟む一方の辺が前記流出孔の軸方向に平行となった直角三角形であって、該一方の辺と斜辺の交わる角度が1°以上で60°以下であることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶鋼の連続鋳造方法において、複数枚の前記プレートは上プレートと、下プレートと、該上プレート及び該下プレートの間で摺動する中プレートであって、該中プレートの前記流出孔の内面に前記内装体が配置されていることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶鋼の連続鋳造方法において、前記内装体が配置される前記流出孔を備えた前記プレートは、マグネシア−炭素系耐火物を主体に形成されていることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
  9. 複数枚のプレートにそれぞれ設けられた流出孔を連通させて溶鋼の通過する流路を形成するスライディングノズルにおいて、
    少なくとも前記流路内に発生する溶鋼流の淀み部に接する前記流出孔の内面部分には、骨材にドロマイトクリンカーが配合されMgO成分の含有量が20質量%以上かつ70質量%以下であって、炭素を0.1質量%以上で10質量%以下含み、更に、0.1質量%以上かつ3質量%以下のSiO 2 及び0.1質量%以上かつ3質量%以下のFe 2 3 の少なくとも一方を含有する内装体が配置されていることを特徴とするスライディングノズル。
  10. 請求項記載のスライディングノズルにおいて、前記内装体には、該内装体が前記流出孔の軸方向と平行な方向の拘束面圧を受ける部位の内周側の角部に、切欠部が少なくとも1箇所設けられていることを特徴とするスライディングノズル。
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