JP4210047B2 - ローラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸方向の中央部が太鼓状に膨らんだローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、オーディオ機器やビデオ機器等では、一対のリールに巻回した磁気テープを、カセットケース内に走行可能に保持して記録、再生を行う磁気テープカセットが多用されている。
【0003】
例えば、放送局等で業務用として使用する磁気テープカセットは、ケースを構成する上ハーフと下ハーフとの間に、下フランジと、下フランジの上側に一体的に固定されたハブと、ハブの上側に取付けられた上フランジと、で構成された一対のリールが回動自在に軸支されており、この一対のリールには磁気テープが巻回されている。
【0004】
磁気テープカセットの前部側の開口の近くには、シャフトが立設している。このシャフトにはガイドローラ(ローラ)が外挿され、ガイドローラはシャフトを軸として回転可能に軸支されている。このガイドローラによって、繰出し時或いは巻戻し時に磁気テープが案内される。
【0005】
また、図6(B)に示すように、ガイドローラ100は、軸方向の両端部から中心部へ向かって徐々に外径寸法が大きくなる形状を成しており(いわゆる、太鼓形状)、これにより、磁気テープの走行安定性を確保し、磁気テープが効率的にガイドされる。
【0006】
ここで、図6(A)に示すように、ガイドローラ100を成形する金型102では、ガイドローラ100の外周面に相当する軸方向の中央部を金型102のパ−ティングラインS1として固定側金型104と可動側金型106とで分割する構成としている。
【0007】
これにより、図6(B)に示すように、ガイドローラ100の外周面の軸方向の中央部には、固定側金型と可動側金型との合わせ面を示すパーティングラインT1が形成されるが、このパーティングラインT1では若干の段差108等が生じる。
【0008】
一方、図7(A)、(B)に示すように、ガイドローラ100によって磁気テープTが案内されるとき、磁気テープTは幅方向の中央部に一番テンションが掛かると共に、ガイドローラ100の中央部に線接触した状態で案内されるため、段差108によって、磁気テープが損傷する恐れがある。このため、ガイドローラ100の成形後、ガイドローラ100の段差108を取り除くため、二次加工を行う必要があり、コストが掛かってしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、二次加工を行うことなく磁気テープに与える損傷を防止することができるローラを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、軸方向の中央部が太鼓状に膨らみ、回転可能に支持され、走行する長尺状のテープをガイドするローラであって、軸方向に沿って略フラット面が設けられ、前記フラット面内に軸方向へパーティングラインを配置したことを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、軸方向に沿って略フラット面を設けており、このフラット面内に軸方向へパーティングラインを配置している。これにより、パーティングラインにより生じる段差はフラット面内に軸方向へ設けられるが、フラット面、ローラ平面視した場合、他の部分よりも軸芯側に位置している。
【0011】
このため、磁気テープ等がフラット面部に面接することはない。従って、パーティングラインにより生じる段差に磁気テープが面接することはないので、この段差を取り除く二次加工を行う必要はなく、ローラのコストダウンを図ることができる。
【0012】
一方、例えば、ローラの外周部の一部をインサート部材で構成し、このインサート部材を金型にインサートした状態で成形し、ローラの残部を形成する成形部と一体となるようにする。このとき、成形部を成形するときのパーティングラインをインサート部材の周方向に設ける。
【0013】
ここで、成形部を成形するとき、成形材料はインサート部材の外周面を流れるわけではないので、パーティングラインをインサート部材の周方向に設けてもローラの外周面にパーティングラインが形成されることはない。このため、段差を取り除くための二次加工を行う必要がない。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態に係るローラが用いられた磁気テープカセットについて、概要を説明する。
【0015】
図1に示すように、放送局で業務用に使用される磁気テープカセット(ベータカムLカセット)10は、ケースを構成する上ハーフ12と下ハーフ14とを備えている。
【0016】
上ハーフ12及び下ハーフ14によって形成されるケース内には、下フランジ24と、下フランジ24の上側に一体的に固定されたハブ26と、ハブ26の上側に取付けられた上フランジ28と、で構成された一対のリール20が回動自在に軸支されており、この一対のリール20には、磁気テープTが巻回されている。
【0017】
また、上ハーフ12と一対のリール20との間には、一対の圧縮コイルバネ30A、30Bがそれぞれ介在しており、圧縮コイルバネ30A、30Bにより、対応するリール20A、20Bがそれぞれ下ハーフ14に向けて付勢されている。
【0018】
また、磁気テープカセット10の下ハーフ14の内壁面14Uにはシャフト50が立設しており、このシャフト50には中心軸に沿って貫通孔44Hが形成されたガイドローラ44(ローラ)が外挿している。これにより、ガイドローラ44がシャフト50を軸として回転可能に支持される。
【0019】
このガイドローラ44は、滑性があり、かつ機械的強度が比較的強いもの、例えばPOM等の樹脂にて成形されており、このガイドローラ44によって磁気テープTが案内される。
【0020】
また、ガイドローラ44の近傍には、磁気テープTの裏面側に摺接すると共に押圧して磁気テープTの弛みを防止するテープパッド46が設けられており、このテープパッド46によって磁気テープTは適度な付勢力で押圧される。
【0021】
次に、本発明の実施の形態に係るローラについて説明する。
【0022】
図3(B)に示すように、ガイドローラ44は軸方向の両端部から中心部へ向かって徐々に外径寸法が大きくなる形状を成している(いわゆる、太鼓形状)。このガイドローラ44の外周面には、ガイドローラ44の軸方向に沿って一対のフラット面部72(以下、「Dカット部72」という)を設けている。
【0023】
ところで、ガイドローラ44を成形する金型では、図3(A)に示すように、固定側金型62と可動側金型64とのパーティングラインS(合わせ面)をガイドローラ44の軸方向に沿って配設しており、このパーティングラインSをDカット部72(図3(B)参照)内に設けている。このため、ガイドローラ44のDカット部72には、ガイドローラ44の軸方向に沿ってパーティングラインT2が形成される。
【0024】
一方、図2(A)、(B)に示すように、ガイドローラ44の軸方向に沿った各断面で平面視した場合、フラット面部72は他の部分よりも軸芯側に位置しており、パーティングラインT2により生じる段差70の部分に、磁気テープTが面接することはない。従って、この段差70を取り除く二次加工を行う必要はなく、ガイドローラ44のコストダウンを図ることができる。
【0025】
以上説明したように、上記実施例によれば、磁気テープTの走行安定性を確保し、磁気テープTを効率的にガイドすると共に、成形後にパーティングラインT2に生じる段差70の二次加工を行う必要のない安価なガイドローラ44を得ることができる。
【0026】
一方、図2(A)、(B)に示すように、ガイドローラ44の軸方向に沿った各断面において、円74を切り落とした状態で対面する直線76が形成されることとなる。
【0027】
このため、直線76と弧78の境界ではエッジ部72A、72Bとなるが、このエッジ部72A、72Bはガイドローラ44の軸方向に沿って連続して形成されているため、従来のように、一番テンションが掛かる磁気テープTの幅方向の中央部に位置しているわけではないので、磁気テープTに損傷を与えるものではない。
【0028】
なお、ここでは、ガイドローラ44の軸方向に沿ってDカット部72を設け、このDカット部72内にガイドローラ44の軸方向に沿ってパーティングラインT2を設けたが、磁気テープTに損傷を与えなければ良いため、これに限るものではない。
【0029】
例えば、ここでは、一般的な射出成形の場合について説明したが、多色成形によりガイドローラを成形しても良い。具体的には、図4に示すように、ガイドローラ88を中心部(インサート部材)88Aと端部(成形部)88B、88Cとに分けて成形を行う。
【0030】
ここで、中央部88Aを略円筒状とし、軸芯側に複数の中空部90を設けている。図5(A)に示すように、この中央部88Aを成形可能な金型92を用い、中央部88Aを成形する。中央部88AのパーティングラインS3は中央部88Aの端部に設けており、このため、中央部88Aの外周面にはパーティングラインは形成されない。
【0031】
次に、図5(B)に示すように、金型94内に中央部88Aを固定し、端部88B、88Cを成形する。ここで、パーティングラインS4は中央部88Aの周方向に沿って設けており、金型94のゲート位置(図示省略)を端部88C側に配置し、端部88Cから流れ込んだ樹脂を、中央部88Aに設けられた中空部90を経て端部88B側へ流すようにしている。
【0032】
これにより、図5(C)に示すように、中央部88Aと端部88B、88Cとが融和して一体となり、ガイドローラ88が形成される。
【0033】
以上のような構成により、図5(B)で金型94のパーティングラインS4をインサート部材である中央部88Aの周方向に沿って設けることにより、ガイドローラ88の外周面にパーティングラインを設けることなく成形することができる。
【0034】
すなわち、パーティングラインS3を端部に配置させた状態で成形された中央部88Aを金型94内に固定した状態でガイドローラ88を成形する。このため、金型94で中央部88Aの周方向に沿ってパーティングラインS4を配置させたとしても、樹脂が中央部88Aの外周面を流れるわけではないので、パーティングラインS4による段差は生じない。このため、段差を取り除くための二次加工を行う必要がない。
【0035】
なお、ここでは、ガイドローラ88を中心部88Aと端部88B、88Cとに分けて成形を行ったが、ガイドローラ88の外周面にパーティングラインを設けることなく成形することができれば良いため、これに限るものではなく、例えば、中央部88A及び端部88Cと端部88Bとに分けて成形しても良い。
【0036】
また、本発明では、磁気テープを案内するガイドローラについて説明したが、長尺状のテープに接触するローラであれば良いため、これに限るものではない。
【0037】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、磁気テープ等がフラット面部に面接することはない。従って、パーティングラインにより生じる段差に磁気テープが面接することはないので、この段差を取り除く二次加工を行う必要はなく、ローラのコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るガイドローラが用いられた磁気テープカセットの構成を示す分解斜視図である。
【図2】(A)は本発明の実施形態に係るガイドローラに磁気テープを巻き回した状態を示す斜視図であり、(B)は(A)の平面図である。
【図3】(A)は本発明の実施形態に係るガイドローラを成形するための金型の分割面を示す断面図であり、(B)は成形後のガイドローラを示す斜視図である。
【図4】ガイドローラの他の成形方法による例を示す説明図である。
【図5】(A)はガイドローラの中央部を成形するための金型を示す断面図であり、(B)はガイドローラの端部を成形するための金型を示す断面図であり、(C)はガイドローラが成形された状態を示す断面図である。
【図6】(A)は従来のガイドローラを成形するための金型の分割面を示す断面図であり、(B)は成形後のガイドローラを示す斜視図である。
【図7】(A)は従来の実施形態に係るガイドローラに磁気テープを巻き回した状態を示す斜視図であり、(B)は(A)の平面図である。
【符号の説明】
10 磁気テープカセット
44 ガイドローラ(ローラ)
2 パーティングライン

Claims (1)

  1. 軸方向の中央部が太鼓状に膨らみ、回転可能に支持され、走行する長尺状のテープをガイドするローラであって、
    軸方向に沿って略フラット面が設けられ、前記フラット面内に軸方向へパーティングラインを配置したことを特徴とするローラ。
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