JP4209962B2 - 平板型固体電解質燃料電池の単セルとこれを利用したセルスタック - Google Patents

平板型固体電解質燃料電池の単セルとこれを利用したセルスタック Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平板型の固体電解質燃料電池の単セルとこれを利用したセルスタックに関する。さらに詳述すると、本発明は単セルの構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体電解質燃料電池は、外部から酸素を含む空気が供給される空気極と、外部から水素または一酸化炭素やメタン等の燃料ガスが供給される燃料極と、これら両極の間で酸素イオンが通過可能な電解質とを備え、燃料ガスと酸イオンとの電気化学的反応により発電するように構成されている。空気極には外部から電子を与えて空気中の酸素と反応させて酸素イオンを生成する。そして、この酸素イオンが電解質を通過して燃料極に達すると、燃料極で酸素イオンと燃料ガスとが反応して生成物を放出して電子を外部回路に送り出す。
【0003】
この固体電解質燃料電池の形態の一つとして、従来、平板型がある。平板型の固体電解質燃料電池では、電解質板の一面例えば表面側に燃料極膜を成膜して他方の面たる裏面側に空気極膜を成膜して単セルが形成されると共に、複数の単セルを気体流路の形成されたセパレータ板を挟んで積み重ねて、周囲に気体を電極ごとに分配するための金属製のマニホールド板を取り付けてセルスタックが形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した平板型の固体電解質燃料電池では、セルスタックの強度を電解質板及びセパレータ板により維持しているので、発電時等の加熱時に生じた熱応力によりセルスタックが破損することを防止するために電解質板及びセパレータ板の寸法や平面性等について非常に高い精度が要求される。このため、加工コストが高くなってしまうと共に品質管理を厳しくしなければならない。
【0005】
また、セパレータ板と単セルとを別部材にして積み重ねているので、これらの間での電気的な抵抗が大きくなってしまいセルスタックの電気出力に損失を生じてしまう。
【0006】
しかも、セパレータ板は気体を流通させるためにリブ等を設けて各電極との間に流路を形成しているので、強度の不足により破損し易いと共に加工コストが高くなってしまう。
【0007】
さらに、セパレータ板に使用する材料は比較的高価であるため、セルスタックの材料コストが高くなってしまう。
【0008】
また、単セルを積層した積層体の周囲に設けたマニホールド板は金属製であるため、熱膨張率が単セルの積層体と大きく異なってしまう。このため、発電時に積層体とマニホールド板との間に熱応力が生じてしまいセルスタックの破損の原因となってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、セルスタックの強度を向上すると共に部品加工を容易にして加工コストを削減し、尚かつ出力特性を向上させて、さらに材料コストを低減する平板型固体電解質燃料電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の平板型固体電解質燃料電池の単セルは、燃料ガスまたは空気を十分に流通可能な多孔質体から成る第1の電極部材と、該第1の電極部材の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜した電解質膜と、該電解質膜に成膜した第2の電極膜と、第1の電極部材の他方の面に成膜したセパレータ膜と、第2の電極膜に接合した多孔質体から成る第2の電極部材とを備え、第1の電極は燃料極または空気極のうちの一方であると共に前記第2の電極は燃料極または空気極のうちの他方であり、電解質膜の一部あるいは前記セパレータ膜の一部の少なくとも一方は、第1の電極部材の前記電解質膜とセパレータ膜との間の側面の一部分を覆うガスシール膜として機能するシール部を有し、該シール部は前記第1の電極部材の対向する2組の側面のうちの一方の組の側面の全域と第1の電極部材の他の組の側面の両端の隅部とを覆い、前記他の組の側面のうちシール部に覆われていない部分の全域をガス流出入用開口とするようにしている。また、請求項2記載の平板型固体電解質燃料電池の単セルは、燃料ガスまたは空気を十分に流通可能な多孔質体から成る第1の電極部材と、該第1の電極部材の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜した電解質膜と、該電解質膜に成膜した第2の電極膜と、前記第1の電極部材の他方の面に成膜したセパレータ膜と、第2の電極膜に接合した多孔質体から成る第2の電極部材とを備え、第1の電極は燃料極または空気極のうちの一方であると共に第2の電極は燃料極または空気極のうちの他方であり、電解質膜の一部あるいはセパレータ膜の一部の少なくとも一方は、第1の電極部材の電解質膜とセパレータ膜との間の側面の一部分を覆うガスシール膜として機能するシール部を有し、該シール部は前記第1の電極部材の対向する2組の側面のうちの一方の組の側面の全域を覆い、第1の電極部材の他の組の側面の全域をガス流出入用開口とするようにしている。
【0011】
したがって、燃料極及び空気極を多孔質体により形成しているので、気体が各電極部材の内部を流通しながら電極部材に接触して反応を起こすことができる。このため、気体流路形成用のリブ等を設ける必要がないので、単セルの構造を簡素化して強度を向上させることができる。
【0012】
また、これら燃料極及び空気極に多孔質体を用いているので、各電極部材の材質から成る無垢の固体よりも軟らかいものにできる。このため、単セルを積層したセルスタックの発電動作時の熱応力を吸収して緩和することができるので、セルスタックの高い柔軟性を得て強度を向上できる。また、熱応力による破損を防止するための単セルの高い加工精度を必要としなくなるので、製造コストを低減できる。
【0013】
さらに、気体を多孔質体の内部に流通させているので、電極部材の単位容積当たりの気体との接触面積を広くできる。このため、単セルでの発電性能を向上することができる。
【0014】
また、セパレータを多孔質体から成る燃料極若しくは空気極のいずれかに直接膜付けしているので、燃料極若しくは空気極の多数の微小な孔にセパレータ膜が入り込んでこれらの間の接触面積を大きくできる。このため、燃料極若しくは空気極とセパレータとの間の接触抵抗(接触部分の電気抵抗)を大幅に低減することができるので、発電性能を向上することができる。
【0015】
しかも、セパレータと電解質がいずれも膜であるので、これらの内部抵抗による電力損失を小さくすることができる。これにより、発電性能を向上することができる。また、セパレータを膜から成るようにしているので、高価なセパレータ材の使用量を減少することができる。このため、単セルの製造コストを低減することができる。ここで、請求項3記載の平板型固体電解質燃料電池の単セルのように、燃料ガスまたは空気を十分に流通可能な多孔質体から成る第1の電極部材と、該第1の電極部材の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜した電解質膜と、該電解質膜に成膜した第2の電極膜と、第1の電極部材の他方の面に成膜したセパレータ膜と、第2の電極膜に接合した多孔質体から成る第2の電極部材とを備え、第1の電極は燃料極または空気極のうちの一方であると共に第2の電極は燃料極または空気極のうちの他方であり、電解質膜の一部あるいはセパレータ膜の一部の少なくとも一方は、第1の電極部材の電解質膜とセパレータ膜との間の側面の全域を覆うものとしてもよい。
【0016】
また、請求項記載の平板型固体電解質燃料電池のセルスタックでは、請求項1〜3のいずれか一つに記載の単セルを直列に積層して成ると共に積層方向に隣り合う単セルの間に導電性の接合材を介在させた積層体を備えるようにしている。
【0017】
したがって、積層方向に隣り合う単セルの多孔質体とセパレータ膜との接触面積を大きくすることができるので、これらの間の接触抵抗を小さくすることができる。これにより、セルスタックによる発電性能を向上することができる。
【0018】
さらに、請求項記載の平板型固体電解質燃料電池のセルスタックでは、積層体に対してセラミックス製のマニホールド板を備えるようにしている。したがって、マニホールド板の切削を容易に行うことができるので、積層体を組み立ててその周囲にマニホールド板を設けてからマニホールド板に気体の流通孔を穿孔することができる。ここで、この穿孔作業はマニホールド板を積層体に取り付けてからマニホールド板の取り付けられていない積層体の側面を見て流通孔を設ける位置を確認して行うことができるので、マニホールド板に予め透孔を形成しておく必要はなく透孔の位置の精度を容易に向上させることができる。このため、従来のように積層体の実測値に基づき取付前のマニホールド板に流通孔を予め形成しておく必要がないので、高い加工精度を不要にできる。ここで、請求項6に記載したように、セラミックスは、快削性ガラスセラミックスであることが好ましい。また、請求項7に記載したように、積層体の積層方向を水平にして、燃料極および空気極を鉛直に配置するようにしてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図1及び図5に示すように、本実施形態の平板型固体電解質燃料電池の単セル1は、多孔質体から成る燃料極(以下、多孔質燃料極という)2と、該多孔質燃料極2の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜した電解質膜3と、該電解質膜3に成膜した空気極膜4と、多孔質燃料極2の他方の面に成膜したセパレータ膜5と、空気極膜4に接合した多孔質体から成る空気極(以下、多孔質空気極という)6とを備えるようにしている。
【0020】
多孔質燃料極2はニッケル(製造時は酸化ニッケル)とイットリアを固溶して安定化したジルコニア(YSZ)とを混合して焼結した多孔性の板材から成る。このニッケルとYSZの混合材料は、平板型固体電解質燃料電池(SOFC)の燃料極材料として一般的に用いられている。そして、この多孔性の板材は、燃料ガスを十分に流通できると共に、単セル1として必要な強度と電子や酸素イオンの十分な導電性とを有するように形成する。このため、燃料極を多孔質体により形成しているので、電極部材の単位容積当たりの燃料ガスとの接触面積を広くして発電性能の向上を図ることができる。また、リブ等を設けてガス流路を形成する従来の単セルの複雑な構造に比べて単セル1の構造を簡素化できるので、組立精度を高くする必要が無くなる。よって、セルスタック14の製造を容易にできると共に熱応力や外力に対して高強度化を図ることができる。さらに、セルスタック14が高強度化されるので、多孔質燃料極2等の寸法を拡大してセルスタック14の発電性能の向上を図ることができる。
【0021】
ここで、多孔質燃料極2に使用する材料としては、本願出願人が既に出願した発明に係る燃料極材料の使用が好ましい。この燃料極材料は、比較的大きな粒径を有するYSZ粗粒子群と比較的小さな粒径を有するYSZ微粒子群と酸化ニッケルまたはニッケル粒子群との混合物(特願平7−127375号参照)である。この混合物によれば、多孔質燃料極2の内部でYSZ粗粒子により骨格が形成されるので単セル1の強度を向上することができると共に、高温・還元雰囲気下において気孔率の変化や体積の収縮を極めて低減できるので多孔質燃料極2の長寿命化及び高性能の長期安定化を図ることができる。
【0022】
本実施形態では多孔質燃料極2をニッケルとYSZとの混合材料から成るものとしているが、これには限られず燃料極材料として既知の若しくは新規の材料を使用できるのは勿論である。この場合も燃料極を多孔質燃料極2により形成しているので発電性能の向上を図ることができると共に、単セル1の構造の簡素化により熱応力や外力に対して高強度化を図ることができる。
【0023】
そして、燃料極と空気極との間に介在される電解質膜3としては、例えば燃料ガスや空気を流通させない程度に緻密なYSZ膜の使用が好ましい。本実施形態では、電解質膜3は、多孔質燃料極2の表面あるいは裏面のいずれか一方の面だけでなく、周縁の側面の一部にも成膜されている。そして、多孔質燃料極2の表面あるいは裏面のいずれか一方の面を覆っている部分が電解質として機能する電解質部7を、側面部分を覆う電解質膜3がガスシール膜として機能するシール部8をそれぞれ構成するようにしている。更にシール部8は、多孔質燃料極2の対向する1組の側面の電解質部7寄りの縁部全域を覆って当該縁部のガスシールを行う縁膜部8aと、他の対向する1組の側面の両隅を覆ってその間の側面にガス流出入用開口18を残すようにガスシールを行う隅膜部8bとを備えている。
【0024】
また、成膜法によっては多孔質燃料極2の微小な多数の孔に電解質膜3のYSZが入り込む。このため、従来のようにYSZの平板上に比較的緻密な燃料電極を成膜させる場合よりも、燃料極の電解質との接触面積を広くして電極反応場を増大すると共に酸素イオンパスを多量に形成することができる。したがって、平板型固体電解質燃料電池の性能を向上できる。また、本実施形態では電解質膜3をYSZ膜から成るものとしているが、これには限られず電解質膜として使用可能な既知の若しくは新規の材料を使用するようにしても良い。この場合も燃料極と電解質との接触面積を広くして電極反応場を増大することができる。
【0025】
ここで、本実施形態では燃料極及び空気極を多孔質体から成るものとしているので、これら燃料極及び空気極そのものにより単セル1の強度を担保することができるように成る。このため、従来の単セル1ではその強度を担保するためある程度厚みのある板材でなければならなかった電解質及びセパレータを膜にすることができる。例えば、電解質膜3及びセパレータ5の膜厚は数十μm程度としている。このため、電解質膜3及びセパレータ5の中での電力損失を防止して、平板型固体電解質燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0026】
セパレータ膜5は、単セル1同士の間に介在されて燃料ガスと空気とを混ざらないように分離する。このセパレータ膜5は、例えば燃料ガスや空気を流通させない程度に緻密なストロンチウムドープランタンクロマイト系酸化物(ランタンクロマイト)等のセラミックス製の膜から成るものとしている。本実施形態では、セパレータ膜5を、多孔質燃料極2の電解質部7が成膜された面とは反対側の面と、縁膜部8aが形成された多孔質燃料極2の1組の側面の全面を覆うように成膜している。このため、セパレータ膜5は成膜された全域でガスシール膜として機能するので、多孔質燃料極2はセパレータ膜5及び電解質膜3の形成されない1組の側面の中央部のガス流出入用開口18でのみ気体の出入が可能になる。このため、燃料ガスは、多孔質燃料極2内で全体として一方向に流れる。
【0027】
セパレータ膜5は電解質膜3と同じ位の厚さ、即ち膜厚を数十μm程度としている。このため、セパレータ膜5中での電力損失を防止して、平板型固体電解質燃料電池の発電性能を向上することができる。しかも、セパレータ膜5に必要な材料の量を従来のセパレータ板を使用する場合に比べて極めて少なくすることができるので、高価なセパレータ材料の削減により材料コストを低減することができる。本実施形態ではセパレータ膜5をランタンクロマイト等のセラミックス製の膜から成るものとしているが、これには限られずセパレータ膜5として使用される既知の若しくは新規の材料を使用しても良い。この場合もセパレータ膜5中での電力損失を防止して、平板型固体電解質燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0028】
さらに、本実施形態では多孔質燃料極2へのガス流出入用開口18を単セル製造段階で予め作成しているが、これには特に限られず例えば図11に示すように電解質部7のみならず多孔質燃料極2の側面全体を電解質膜3で覆うようにして単セル製造段階では気体の出入口を設けないようにしても良い。この場合、単セル1を製造する段階では多孔質燃料極2へのガス流出入用開口18が形成されないが、セルスタック14を組み立てる段階でマニホールド板11に燃料ガス流通口12及び空気流通口13を形成する際にマニホールド板11の穴開けと同時に電解質膜3の燃料ガス流通口12及び空気流通口13に対向する部分を削り取ってガス流出入用開口18を形成するようにすれば良い。
【0029】
一方、空気極膜4は、図4に示すように、電解質膜3を挟んで多孔質燃料極2と反対側に形成される。本実施形態では、空気極膜4を電解質膜3の電解質部7に重ねて形成している。この空気極膜4は、ランタンストロチウムマンガナイト(La,Sr,Mn,Oの化合物)の膜から成るものとしている。このランタンストロチウムマンガナイトは平板型固体電解質燃料電池の空気極材料として一般的に用いられている。
【0030】
ここで、多孔質燃料極2と電解質膜3とセパレータ膜5と空気極膜4との材料の熱膨張係数は、各部材が熱応力等で破損しない程度に同等の大きさとしている。これにより、燃料電池の作動時の発熱で各部材に熱膨張が生じても単セルが破損することを防止できる。
【0031】
さらに、多孔質空気極6は、ランタンストロチウムマンガナイトを焼結した多孔性の板材から成るものとしている。この多孔性の板材は、空気を十分に流通できると共に、単セル1として必要な強度と電子や酸素イオンの十分な導電性とを有するように形成する。このため、空気極が多孔質体を備えているので、電極部材の単位容積当たりの空気との接触面積を広くして発電性能の向上を図ることができる。また、リブを有する従来の単セルの複雑な構造に比べて単セル1の構造を簡素化できるので、組立精度を高くする必要が無くなる。よって、セルスタック14の製造を容易にできると共に熱応力や外力に対して高強度化を図ることができる。
【0032】
空気極膜4及び多孔質空気極6に使用する材料としては、本願出願人が既に出願した発明に係る空気極材料が好ましい。この空気極材料は、元素が(La1-xSrx1-yMnO3-zであり、かつ0<x<0.2及び0.025<y<0.75を満たすストロンチウムドープランタンマンガナイト(特願平2−273174号参照)である。この材料によれば、燃料電池の作動温度付近においても単相であり化学的に安定なので、YSZとの化学的反応性が小さくYSZ膜を成膜するときや発電作動中に発電性能に悪影響を及ぼす反応生成物を生ずることがない。本実施形態では空気極膜4及び多孔質空気極6をランタンストロチウムマンガナイトから成るものとしているが、これには限られず空気極材料として既知の若しくは新規の材料を使用できるのは勿論である。この場合も空気極を空気極膜及び多孔質空気極6により形成しているので発電性能の向上を図ることができると共に、単セル1の構造の簡素化により熱応力や外力に対して高強度化を図ることができる。
【0033】
以上のように構成された単セル1を積み重ねて直列に接続することによってスタックが構成すれる。即ち、上述した単セル1を直列に複数積層すると共に、積層方向に隣り合う単セル1の多孔質空気極6とセパレータ膜5との間に導電性の接合材9を介在させて積層体10を形成している。
【0034】
接合材9は、例えばLa,Cr,Ni,Oを主な構成元素として電子導電性を有するセラミックス製としている。そして、接合材9は多孔質空気極6の空気極膜4と反対側の面に成膜されている。この接合材9に隣り合う単セル1のセパレータ膜5は、化学的な反応によりこの接合材9に接合される。このため、多孔質空気極6とセパレータ膜5との間での接触面積を大きくすることができるので、これらの間の電気的な接触抵抗を小さくすることができ、セルスタック14による発電性能を向上することができる。本実施形態では接合材9をLa,Cr,Ni,Oを主な構成元素とするセラミックス製としているが、これには限られず電子導電性を有する接合材として使用可能な既知の若しくは新規の材料としても良い。この場合も多孔質空気極6とセパレータ膜5との間での接触面積を大きくすることができるので、セルスタック14による発電性能を向上することができる。
【0035】
さらに、セルスタック14は、積層体10と、その側部を囲って燃料ガス及び空気を各電極多孔質体2,6に分配するセラミックス製のマニホールド板11とを備えている。本実施形態では、マニホールド板11をガラスセラミックス製としている。このマニホールド板11が積層体10の側部に溶着することにより、セルスタック14のガスシールを行うと共に単セル1同士の結合を行っている。ここで、マニホールド板11はガラスセラミックス製であるので、その快削性によりマニホールド板11を積層体10に取り付けてから燃料ガス流通口12や空気流通口13の穿孔作業を容易に行うことができる。本実施形態ではマニホールド板11をガラスセラミックス製としているが、これには限られず他のセラミックス製としても良い。この場合も、セラミックスの快削性によりマニホールド板11を積層体10に取り付けてから穿孔作業を容易に行うことができる。
【0036】
積層体10の多孔質燃料極2の側面が電解質膜3で覆われずに露出した側面に向き合う1組のマニホールド板11,11には、多孔質燃料極2のガス流出入用開口18と対向する位置に開口する燃料ガス流通口12と、多孔質空気極6のガス流出入用開口たる側面と対向する位置に開口する空気流通口13とが形成されている。このため、燃料ガスの流路と空気の流路とを平行にすることができる。例えば、この1組のマニホールド板11,11のうちの一方から燃料ガス及び空気を吸気して他方から排気するようにすれば、燃料ガス及び空気の流れ方向を同方向とすることができる。また、この1組のマニホールド板11,11のうちの一方では燃料ガスを吸気して空気を排気すると共に他方では燃料ガスを排気して空気を吸気するようにすれば、燃料ガス及び空気の流れ方向を反対方向にすることができる。
【0037】
ここで、気体の多孔質体2,6の内部での流れは、全体として見ると一側面から他側面への一方向のものと成っているが、局部的に見ると多孔質体2,6の微小な孔のランダムな配置により気体が真っ直ぐに流れることはできず上下左右前後の各方向を向いたものに成っている。
【0038】
本実施形態では単セル1を形成する各板材を水平に設置して単セル1を鉛直方向に積み重ねている。このため、燃料ガス及び空気の流通方向は全て水平になる。本実施形態では単セル1を形成する各板材を水平に設置しているが、これには限られず本実施形態の単セル1が高強度を有することを利用して単セル1を形成する各板材を鉛直に設置することもできる。すなわち、電極部材に多孔質体を使用しない従来のセルスタックでは各板材を鉛直にして設置すると自重を支持できずに反ってしまう可能性があるが、本実施形態の単セル1を積層したセルスタック14は高強度であるので鉛直に設置しても従来のものより反りに対する強度を向上できる。更にこの場合、燃料ガス及び空気の流れ方向を鉛直の同方向または反対方向にすることができる。また、このセルスタック14の設置方向によっては、燃料ガス及び空気の流路を水平や鉛直の他に斜め方向に設定することもできる。
【0039】
本実施形態ではセルスタック14の多孔質燃料極2が電解質膜3に覆われずに露出した側面に向き合う1組のマニホールド板11,11に燃料ガス流通口12と空気流通口13とを形成しているが、これには限られず図8に示すようにセルスタック14の多孔質燃料極2が露出した側面に向き合う1組のマニホールド板11に燃料ガス流通口12のみを形成すると共に他の1組のマニホールド板11,11に空気流通口13を形成するようにしても良い。この場合は、燃料ガスの流路と空気の流路とを、セルスタック14を積層方向から見たときに直交させることができる。そして、単セル1の各板材を水平にしてこのセルスタック14を設置した場合は、燃料ガス及び空気の流通方向がいずれも水平になる。また、単セル1の各板材を鉛直にしてこのセルスタック14を設置した場合は、燃料ガス及び空気のうちの一方の流通方向が鉛直で他方の流通方向が水平となったり、あるいは両方の流通方向が斜めになる。
【0040】
上述したセルスタック14を備えた平板型固体電解質燃料電池の製造手順を以下に説明する。多孔質燃料極2を製造する際は、酸化ニッケルとYSZを混合してから例えばメチルセルロースやポリビニルアルコール等の成形剤を加えてプレス成形する。または、この酸化ニッケルとYSZと成形剤の混合材を粘土状にして押し出し成形する。そして、得られた成形材を1400℃程度で焼結して多孔質燃料極2を形成する。ここで、プレスや押し出しの圧力の強さや焼結温度の製造条件は、形成された多孔質燃料極2が燃料ガスを容易に通過できる程度の気孔率を有し、尚かつ単セル1として必要な機械的強度を有するように設定する。ここで、機械的強度を多孔質燃料極の材質から成る無垢の固体よりも弱く設定した場合は、セルスタック14の発電動作時の熱応力を吸収して緩和することができるので、セルスタック14の強度を向上できる。
【0041】
得られた多孔質燃料極2に、図2に示すように電解質膜3を成膜する。さらに、この多孔質燃料極2に、図3に示すようにセパレータ膜5を成膜する。これら電解質膜3及びセパレータ膜5の成膜方法は、既知の湿式法、スラリーコート法、塗布熱分解法、ゾルゲル法等のいずれも用いることができ、特定の方法に限定されない。いずれの方法によっても厚さ数十μmの膜を成膜することができる。また、例えば、未焼成の多孔質燃料極2にテープキャスト法で作製した未焼成膜を取り付けてこれらを同時に焼結する同時焼結法によって作製することも可能である。この場合には、熱処理回数を少なくできるので、製造コストを低減することができる。
【0042】
さらに、図4に示すように電解質膜3に空気極膜4を成膜する。この成膜方法は、電解質膜3等の成膜方法と同様に特に限定されず上述の各種方法を使用することができる。
【0043】
また、多孔質空気極6を製造する際は、ランタンストロチウムマンガナイトに例えばメチルセルロースやポリビニルアルコール等の成形剤を加えて、多孔質燃料極2と同様にプレス成形または押し出し成形してから1100〜1200℃程度で焼結する。このとき、形成された多孔質空気極6が空気を容易に通過できる程度の気孔率と単セル1として必要な機械的強度を有するように設定する。ここで、多孔質空気極6の焼結温度(1100〜1200℃)は多孔質燃料極2の焼結温度(1400℃)よりも低温としている。このため、多孔質空気極6は多孔質燃料極2よりも機械的強度が弱くなり変形性を有する。これにより、発電時の熱応力や外力によりセルスタック14の内部に生ずる応力を多孔質空気極6の変形により吸収して破壊を防止することができる。
【0044】
そして、図5に示すように、多孔質燃料極2をセパレータ膜5を下方に向けて載置する。この多孔質燃料極2の空気極膜4に多孔質空気極6を載置する。さらに、この多孔質空気極6の上面にスラリー化した接合材9を塗布する。この接合材9の上に他の多孔質燃料極2をセパレータ膜5を下方に向けて載置する。このように単セル1を積層して積層体10を形成する。単セル1の積層数は形成される平板型固体電解質燃料電池に必要とされる電圧に応じて設定する。
【0045】
さらに、図6に示すように、積層体10の互いに反対側に位置する1組の側面に、燃料ガス流通口12及び空気流通口13を有しない2枚のマニホールド板11,11を接触させて束ねておく。この状態で例えば1100℃程度の熱処理を行う。この熱処理により、積層体10とマニホールド板11とを溶着させて接合を行うことができると共に、多孔質空気極6とセパレータ膜5との接合を図ることができる。
【0046】
そして、熱処理終了後に、図7に示すようにマニホールド板11に穴開け加工を行って燃料ガス流通口12及び空気流通口13を形成する。この穴開け加工はマニホールド板11の設けられていない積層体10の側面から多孔質燃料極2や多孔質空気極6の位置を見ながらできるので、燃料ガス流通口12及び空気流通口13を容易に適正位置に形成することができる。しかも、本実施形態ではマニホールド板11をガラスセラミックス製としているので、その快削性により穴開け加工を容易に行うことができる。このため、積層体10に取り付けた後のマニホールド板11であっても、燃料ガス流通口12及び空気流通口13を容易に形成することができる。これにより、セルスタック14を製造することができる。また、本実施形態ではマニホールド板11をガラスセラミックス製としているので、積層体10と熱膨張率を同等にすることができる。このため、熱応力によるセルスタック14の破壊を防止することができる。
【0047】
ここで、図11に示す電解質膜3で全体を覆った多孔質燃料極2を使用している場合は、マニホールド板11に燃料ガス流通口12及び空気流通口13を穴開けするのと共に電解質膜3を削り取って気体の流通口を形成する。また、図8に示すように燃料ガス流通口12と空気流通口13とを別個の組のマニホールド板11,11に形成する場合は、先に1組のマニホールド板11,11を取り付けてこれに例えば燃料ガス流通口12を形成して、その後にもう1組のマニホールド板11,11を取り付けてこれに空気流通口13を形成する。この場合、空気流通口13の穿孔を行う際は積層体10の内部の多孔質空気極6の位置を見ることはできないが、燃料ガス流通口12の位置を基にして空気流通口13の位置を決めることができる。
【0048】
本実施形態のセルスタック14によれば、燃料極及び空気極を多孔質体2,6により形成して燃料ガスまたは空気を内部に流通させているので、従来の平板形状の極板に比べて電極部材の単位容積当たりの気体への接触面積を広くすることができる。このため、電極反応場の数を増大させて発電性能の向上を図ることができる。また、従来の平板型構造に用いられているセパレータのリブを不要にできる。このため、単セル1の構造の簡素化により組立精度を高くする必要が無くなるので、セルスタック14の製造が容易に成ると共に熱応力や外力に対して高強度化を図ることができる。これにより、セルスタック14の大型化を図ることができるので、発電性能を向上させることができる。
【0049】
さらに、本実施形態のセルスタック14によれば、多孔質空気極6は熱応力を吸収できる程度に軟らかく形成されているので、セルスタック14の熱応力や外力に対して変形により容易に追従できる高い柔軟性の確保を図ることができる。そして、セルスタック14を縦置きまたは横置きの何れに設置しても高強度を維持することができる。また、従来の平板型セルの積層では製造時及び発電時の応力による破損を防ぐために高い加工精度が要求されるが、本実施形態のセルスタック14によれば高い加工精度は要求されなくなるので、品質管理を容易に行うことができるようになる。
【0050】
また、本実施形態のセルスタック14によれば、セパレータを膜から成るようにしているので、高価なセパレータ材料の使用量を低減することができる。このため、セルスタック14の低コスト化を図ることができる。
【0051】
さらに、本実施形態のセルスタック14によれば、多孔質燃料極2にセパレータ膜5を直接形成しているため、多孔質燃料極2とセパレータ膜5との接触面積を広くすることができる。このため、従来から問題となっている燃料極とセパレータ間の電気的な接触抵抗を大幅に低減することができるので、発電性能の向上を図ることができる。
【0052】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態の単セル1は多孔質燃料極2に電解質膜3とセパレータ膜5と空気極膜4とを形成しその上に多孔質空気極6を積層しているが、これには特に限られず図9に示すように多孔質空気極15に電解質膜3とセパレータ膜5と燃料極膜16とを形成してその上に多孔質燃料極17を積層するようにしても良い。
【0053】
具体的には、多孔質空気極15を例えばランタンストロチウムマンガナイトを焼結した多孔性の板材から成るものとする。この多孔質空気極15に対して、電解質膜3及びセパレータ膜5を形成する。これら電解質膜3及びセパレータ膜5の材質や成膜方法は上述した多孔質燃料極2に対するものと同様であるので説明を省略する。また、多孔質空気極15には、図4の多孔質燃料極2と同様に、電解質膜3で縁膜部8aと隅膜部8bとから成るシール部8が形成されている。ここで、燃料極膜16はニッケルとYSZとを混合して焼結した多孔性の板材から成るものとする。さらに、多孔質燃料極17は、ニッケルとYSZとの混合物を焼結した多孔性の板材から成るものとしている。この実施形態では多孔質燃料極17をニッケルとYSZとの混合物を焼結した多孔性の板材としているが、これには限られず例えばニッケルフェルトにより形成しても良い。
【0054】
そして、上述した単セル1を直列に複数積層すると共に、積層方向に隣り合う単セル1の多孔質空気極15とセパレータ膜5との間に導電性の接合材9を介在させて積層体10を形成している。この積層体10に上述したセルスタック14と同様のマニホールド板11を設けてセルスタック14を形成する。
【0055】
この図9に示す実施形態のセルスタック14によっても、上述した図1に示す実施形態と同様に燃料極及び空気極を多孔質体15,17にして燃料ガスまたは空気の流路としているので、電極部材の単位容積当たりの気体への接触面積を広くして発電性能の向上を図ることができる。また、セパレータのリブを不要にできるので、セルスタック14の製造が容易に成ると共に熱応力や外力に対する高強度化を図ることができる。さらに、多孔質燃料極17を応力を吸収できる程度に軟らかく形成しているので、セルスタック14の熱応力や外力に対していずれの方向にも変形により追従して高い柔軟性を確保して高強度化を図ることができると共に高い加工精度が要求されなくなり品質管理を容易に行うことができるようになる。しかも、セパレータを膜から成るようにしているので、セルスタック14の低コスト化を図ることができる。さらに、多孔質空気極15にセパレータ膜5を直接形成しているため、多孔質空気極15とセパレータ膜5との接触面積を広くすることができ、発電性能の向上を図ることができる。
【0056】
また、上述した各実施形態ではセルスタック14は複数の単セル1を積層した積層体10を備えるようにしているが、これには限られず単セル1を1つだけ用いてセルスタック14を形成するようにしても良い。この場合も、燃料極及び空気極を多孔質体にして内部に燃料ガスまたは空気を流通させているので、気体と電極部材との接触面積を広くして発電性能の向上を図ることができる等の上述した各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
本実施形態では、電解質膜3のシール部8を縁膜部8aと隅膜部8bとから成るものとしているが、これには特に限られず例えば図10に示すようにガス流出入用開口18を区画する隅膜部8bを形成せずに電解質部7の縁部を覆うシール部8aのみを形成するようにしても良い。この場合、同図に示すように多孔質燃料極2の側面の全面にシール部8aを形成しても良く、また図2に示す縁膜部8aのように当該側面の電解質部7寄りの縁部全域を覆うようにしても良い。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の平板型固体電解質燃料電池の単セルによれば、燃料極及び空気極を多孔質体により形成しているので、気体が各電極部材の内部を流通しながら電極部材に接触して反応を起こすことができる。このため、気体流路形成用のリブ等を設ける必要がないので、単セルの構造を簡素化して強度を向上させることができる。これにより、単セルの大型化を図ることができるので、発電特性を向上させることができる。
【0059】
また、これら燃料極及び空気極に多孔質体を用いているので、各電極部材の材質から成る無垢の固体よりも軟らかいものにできる。このため、単セルを積層したセルスタックの発電動作時の熱応力を吸収して緩和することができるので、セルスタックの高い柔軟性を得て強度を向上できる。また、熱応力による破損を防止するための単セルの高い加工精度を必要としなくなるので、製造コストを低減できると共に品質管理を容易に行うことができるようになる。
【0060】
さらに、気体を多孔質体の内部に流通させているので、電極部材の単位容積当たりの気体との接触面積を広くできる。このため、単セルでの発電性能を向上することができる。
【0061】
また、セパレータを多孔質体から成る燃料極若しくは空気極のいずれかに直接膜付けしているので、燃料極若しくは空気極の多数の微小な孔にセパレータ膜が入り込んでこれらの間の接触面積を大きくできる。このため、燃料極若しくは空気極とセパレータとの間の接触抵抗を大幅に低減することができるので、発電性能を向上することができる。
【0062】
しかも、セパレータと電解質がいずれも膜であるので、これらの内部抵抗による電力損失を小さくすることができる。これにより、発電性能を向上することができる。また、セパレータを膜から成るようにしているので、高価なセパレータ材の使用量を減少することができる。このため、単セルの製造コストを低減することができる。
【0063】
そして、本発明の平板型固体電解質燃料電池のセルスタックでは、本発明の単セルを直列に積層して成ると共に積層方向に隣り合う単セルの間に導電性の接合材を介在させた積層体を備えているので、多孔質体とセパレータ膜との接触面積を大きくすることができる。このため、これらの間の電気的な接触抵抗を小さくすることができるので、セルスタックによる発電性能を向上することができる。
【0064】
さらに、本発明の平板型固体電解質燃料電池のセルスタックでは、積層体を囲うセラミックス製のマニホールド板を備えているので、積層体を組み立ててその周囲にマニホールド板を設けてから気体の流通孔を穿孔することができる。ここで、この穿孔作業はマニホールド板を積層体に取り付けてからマニホールド板の取り付けられていない積層体の側面を見て孔を設ける位置を確認して行うことができるので、マニホールド板に予め透孔を形成しておく必要はなく透孔の位置の精度を容易に向上させることができる。このため、従来のように積層体の実測値に基づき取付前のマニホールド板に流通孔を予め形成しておく必要がないので、高い加工精度を不要にできる。これにより、製造コストを低減できると共に品質管理を容易に行うことができるようになる。
【0065】
しかも、マニホールド板はセラミックス製であるので、積層体と熱膨張率を同等にすることができる。このため、発電時等の熱応力の発生を抑えてセルスタックの破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平板型固体電解質燃料電池のセルスタックを示す側面図である。
【図2】多孔質燃料極に電解質膜を形成した状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示す多孔質燃料極にセパレータ膜を形成した状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す多孔質燃料極に空気極膜を形成した状態を示す斜視図である。
【図5】単セルを積層して積層体を作成する状態を示す斜視図である。
【図6】積層体にマニホールド板を取り付ける状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の平板型固体電解質燃料電池のセルスタックを示す斜視図である。
【図8】平板型固体電解質燃料電池のセルスタックの他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】積層体の他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】電解質膜の他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】電解質膜の別の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 単セル
2 多孔質燃料極
3 電解質膜
4 空気極膜
5 セパレータ膜
6 多孔質空気極
9 接合材
11 マニホールド板
14 セルスタック
15 多孔質空気極
16 燃料極膜
17 多孔質燃料極

Claims (7)

  1. 燃料ガスまたは空気を十分に流通可能な多孔質体から成る第1の電極部材と、該第1の電極部材の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜した電解質膜と、該電解質膜に成膜した第2の電極膜と、前記第1の電極部材の他方の面に成膜したセパレータ膜と、前記第2の電極膜に接合した多孔質体から成る第2の電極部材とを備え、前記第1の電極は燃料極または空気極のうちの一方であると共に前記第2の電極は燃料極または空気極のうちの他方であり、前記電解質膜の一部あるいは前記セパレータ膜の一部の少なくとも一方は、前記第1の電極部材の前記電解質膜と前記セパレータ膜との間の側面の一部分を覆うガスシール膜として機能するシール部を有し、該シール部は前記第1の電極部材の対向する2組の側面のうちの一方の組の側面の全域と前記第1の電極部材の他の組の側面の両端の隅部とを覆い、前記他の組の側面のうち前記シール部に覆われていない部分の全域をガス流出入用開口とすることを特徴とする平板型固体電解質燃料電池の単セル。
  2. 燃料ガスまたは空気を十分に流通可能な多孔質体から成る第1の電極部材と、該第1の電極部材の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜した電解質膜と、該電解質膜に成膜した第2の電極膜と、前記第1の電極部材の他方の面に成膜したセパレータ膜と、前記第2の電極膜に接合した多孔質体から成る第2の電極部材とを備え、前記第1の電極は燃料極または空気極のうちの一方であると共に前記第2の電極は燃料極または空気極のうちの他方であり、前記電解質膜の一部あるいは前記セパレータ膜の一部の少なくとも一方は、前記第1の電極部材の前記電解質膜と前記セパレータ膜との間の側面の一部分を覆うガスシール膜として機能するシール部を有し、該シール部は前記第1の電極部材の対向する2組の側面のうちの一方の組の側面の全域を覆い、前記第1の電極部材の他の組の側面の全域をガス流出入用開口とすることを特徴とする平板型固体電解質燃料電池の単セル。
  3. 燃料ガスまたは空気を十分に流通可能な多孔質体から成る第1の電極部材と、該第1の電極部材の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜した電解質膜と、該電解質膜に成膜した第2の電極膜と、前記第1の電極部材の他方の面に成膜したセパレータ膜と、前記第2の電極膜に接合した多孔質体から成る第2の電極部材とを備え、前記第1の電極は燃料極または空気極のうちの一方であると共に前記第2の電極は燃料極または空気極のうちの他方であり、前記電解質膜の一部あるいは前記セパレータ膜の一部の少なくとも一方は、前記第1の電極部材の前記電解質膜と前記セパレータ膜との間の側面の全域を覆うものであることを特徴とする平板型固体電解質燃料電池の単セル。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の単セルを直列に積層して成ると共に積層方向に隣り合う前記単セルの間に導電性の接合材を介在させた積層体を備えることを特徴とする平板型固体電解質燃料電池のセルスタック。
  5. 前記積層体の側面には、セラミックス製のマニホールド板が取り付けてあることを特徴とする請求項4記載の平板型固体電解質燃料電池のセルスタック。
  6. 前記セラミックスは、快削性ガラスセラミックスであることを特徴とする請求項5記載の平板型固体電解質燃料電池のセルスタック。
  7. 前記積層体の積層方向を水平にして、前記第1の電極部材および前記第2の電極部材を鉛直に配置したことを特徴とする請求項4記載の平板型固体電解質燃料電池のセルスタック。
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