JP4209160B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マンガン酸リチウムを正極活物質として用いた、高温サイクル特性に優れるリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やVTR、ノート型パソコン等の携帯型電子機器の小型軽量化が加速度的に進行しており、その電源用電池として、正極活物質にリチウム遷移元素複合酸化物を、負極活物質に炭素質材料を、電解液にLiイオン電解質を有機溶媒に溶解した有機電解液を用いた二次電池が用いられるようになってきている。
【0003】
このような電池は、一般的にリチウム二次電池、若しくはリチウムイオン電池と称せられており、エネルギー密度が大きく、また単電池電圧も約4V程度と高い特徴を有することから、前記携帯型電子機器のみならず、最近の環境問題を背景に、低公害車として積極的な一般への普及が図られている電気自動車(以下、「EV」と記す。)或いはハイブリッド電気自動車(以下、「HEV」と記す。)のモータ駆動電源としても注目を集めている。
【0004】
このようなリチウム二次電池においては、その電池容量や充放電サイクル特性(以下、「サイクル特性」という。)は、使用する正極活物質の材料特性に依存するところが大きい。ここで、正極活物質として用いられるリチウム遷移元素複合酸化物としては、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等が挙げられる(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001-180939号公報
【特許文献2】
特開平7−272765号公報
【特許文献3】
特開2000−231921号公報
【特許文献4】
特開平11−171551号公報
【特許文献5】
特開2001−48547号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような正極活物質の中で、マンガン酸リチウムスピネル(化学量論組成:LiMn24)は、原料が安価であり、また、出力密度が大きく、電位が高いという特徴がある一方で、特に高温時における充放電サイクルの繰り返しに伴って徐々に放電容量が減少し、良好なサイクル特性が得られ難いことが問題となっている。
【0007】
これは、電解液としてLiPF6系電解液を用いて作製したリチウム二次電池の場合、高温条件下においては系内でフッ化水素(HF)が発生し、これによりマンガン酸リチウムスピネルから一部のMnが電解液中に溶出すると考えられている。即ち、高温条件下においては、正極活物質の劣化、並びに負極活物質への悪影響が引き起こされるために、電池のサイクル特性が低下するものと考えられている。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、正極活物質がマンガン酸リチウムスピネルでありながらも、高温時におけるサイクル特性に優れたリチウム二次電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、正極活物質がスピネル構造を有するマンガン酸リチウムであるリチウム二次電池であって、前記マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が50〜5000ppmであるとともに、前記マンガン酸リチウムの、アルミニウム濃度が10〜30000ppm及び/又は硼素濃度が10〜4000ppm及び/又はバナジウム濃度が10〜4000ppmであることを特徴とするリチウム二次電池が提供される。これを第1の発明とする。
【0010】
第1の発明においては、マンガン酸リチウムが、ナトリウム濃度が30ppm以上である炭酸リチウムと、ナトリウム濃度が50ppm以上である二酸化マンガンを用いて合成されたものであることが好ましい。
【0011】
第1の発明においては、炭酸リチウムのナトリウム濃度が100ppm以上であることが好ましく、また、二酸化マンガンのナトリウム濃度が400ppm以上であることが好ましい。
【0012】
なお、第1の発明においては、マンガン酸リチウムが、ナトリウム濃度が30ppm以上である炭酸リチウムと、ナトリウム濃度が35ppm以上である炭酸マンガンを用いて合成されたものであることが好ましい。
【0013】
第1の発明においては、炭酸リチウムのナトリウム濃度が100ppm以上であることが好ましく、また、炭酸マンガンのナトリウム濃度が100ppm以上であることが好ましい。
【0014】
第1の発明においては、マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が500〜4000ppmであることが更に好ましく、1000〜3000ppmであることが特に好ましい。
【0015】
第1の発明においては、マンガン酸リチウムの、アルミニウム(Al)濃度が10〜30000ppm及び/又は硼素(B)濃度が10〜4000ppm及び/又はバナジウム(V)濃度が10〜4000ppmであることが好ましく、アルミニウム濃度が10〜20000ppmであることが更に好ましく、また、硼素濃度が10〜2000ppmであることが更に好ましく、また、バナジウム(V)濃度が10〜2000ppmであることが更に好ましい。
【0016】
第1の発明においては、マンガン酸リチウムのLi/Mn比が0.5超であることが好ましく、また、マンガン酸リチウム(LiMn24)中の遷移元素Mnの一部を、Tiを含み、その他に、Li、Fe、Ni、Mg、Zn、B、Al、Co、Cr、Si、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる一種類以上の元素からなる、二種類以上の元素で置換してなるLiMZMn2-Z4(但し、Mは置換元素で、Zは置換量を示す。)を正極活物質として用いたものであることが好ましい。
【0017】
第1の発明においては、マンガン酸リチウムの格子定数が8.23オングストローム以下であることが好ましく、更に、格子定数が8.22オングストローム以下であることが好ましい。
【0018】
更に、第1の発明においては、マンガン酸リチウムが、所定比に調整された各元素の塩及び/又は酸化物の混合物を、酸化雰囲気、650〜1000℃の範囲で、5〜50時間かけて焼成して得られたものであることが好ましい。なお、前記焼成は2回以上行うことがより好ましく、更に、焼成回数を重ねる毎に焼成温度を逐次高くすることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明(第1の発明)の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0026】
第1の発明は、正極活物質がスピネル構造を有するマンガン酸リチウムであるリチウム二次電池に関し、マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が50〜5000ppmであるとともに、マンガン酸リチウムの、アルミニウム濃度が10〜30000ppm及び/又は硼素濃度が10〜4000ppm及び/又はバナジウム濃度が10〜4000ppmであることを特徴とするものであり、高温時におけるサイクル特性に優れている。なお、ppmは重量比率を示す。以下、その詳細について説明する。
【0027】
リチウム二次電池を高温条件下で用いた場合においては、フッ化水素が不可避的に発生し、正極活物質であるマンガン酸リチウムからMnが溶出し易くなるために正極活物質の容量が低下してしまい、サイクル特性低下等の不具合が引き起こされる傾向にある。しかしながら、第1の発明のリチウム二次電池に用いられるマンガン酸リチウムには所定の濃度でナトリウムが含まれているために、高温条件下であってもマンガン酸リチウムからのMn溶出量が低減される。従って、第1の発明のリチウム二次電池はLi+の挿入・離脱の効率が良く、また正極活物質自体の容量低下を抑制することが可能であるために、高温サイクル特性に優れている。
【0028】
マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が50ppm未満である場合には、高温サイクル特性を向上させる効果が充分ではないために好ましくなく、5000ppm超である場合には、かえって電池特性に悪影響を及ぼす場合もあるために好ましくない。なお、更にLi+の挿入・離脱の効率が良く、高温サイクル特性に優れたリチウム二次電池を提供するといった観点からは、マンガン酸リチウムのナトリウム濃度は500〜4000ppmであることが好ましく、1000〜3000ppmであることが更に好ましい。
【0029】
また、第1の発明においては、正極活物質として用いられるマンガン酸リチウムが、ナトリウム濃度が各々30ppm以上である炭酸リチウムと50ppm以上である二酸化マンガンを用いて合成されたものであることが好ましく、ナトリウム濃度が各々100ppm以上である炭酸リチウムと400ppm以上である二酸化マンガンを用いて合成されたものであることが更に好ましく、ナトリウム濃度が各々150ppm以上である炭酸リチウムと1000ppm以上である二酸化マンガンを用いて合成されたものであることが特に好ましい。ナトリウム濃度が30ppm未満である炭酸リチウムと、ナトリウム濃度が50ppm未満である二酸化マンガンを用いた場合においては、合成されるマンガン酸リチウムのナトリウム濃度が50ppm未満となるために好ましくない。
【0030】
なお、第1の発明において用いられる炭酸リチウムと二酸化マンガンのナトリウム濃度の上限値については特に限定されるものではないが、得られるマンガン酸リチウムのナトリウム濃度が、第1の発明におけるマンガン酸リチウムのナトリウム濃度の上限値である5000ppmを超えないようにするといった観点からは、炭酸リチウムのナトリウム濃度については24500ppm以下、二酸化マンガンのナトリウム濃度については5000ppm以下であればよい。なお、これらの上限値は、同時に使用される他の材料にはナトリウムが含まれていないことを前提として定まる数値であり、状況に応じて多少の変動があり得る。
【0031】
一方、第1の発明においては、正極活物質として用いられるマンガン酸リチウムが、ナトリウム濃度が各々30ppm以上である炭酸リチウムと35ppm以上である炭酸マンガンを用いて合成されたものであることが好ましく、ナトリウム濃度が各々100ppm以上である炭酸リチウムと100ppm以上である炭酸マンガンを用いて合成されたものであることが更に好ましく、ナトリウム濃度が各々150ppm以上である炭酸リチウムと750ppm以上である炭酸マンガンを用いて合成されたものであることが特に好ましい。ナトリウム濃度が30ppm未満である炭酸リチウムと、ナトリウム濃度が35ppm未満である炭酸マンガンを用いて合成された場合においては、得られるマンガン酸リチウムのナトリウム濃度が50ppm未満となるために好ましくない。
【0032】
なお、第1の発明において用いられる炭酸リチウムと炭酸マンガンのナトリウム濃度の上限値については特に限定されるものではないが、得られるマンガン酸リチウムのナトリウム濃度が、第1の発明におけるマンガン酸リチウムのナトリウム濃度の上限値である5000ppmを超えないようにするといった観点からは、炭酸リチウムのナトリウム濃度については24500ppm以下、炭酸マンガンのナトリウム濃度については3500ppm以下であればよい。なお、これらの上限値は、同時に使用される他の材料にはナトリウムが含まれていないことを前提として定まる数値であり、状況に応じて多少の変動があり得る。
【0033】
正極活物質として用いるマンガン酸リチウムを所定のナトリウム濃度とするためには、これまで述べてきたように、▲1▼ナトリウムが適当量含有するLi原料及びMn原料の両方の原料を用意してこれらを用いる方法の他に、▲2▼ナトリウムがLi原料又はMn原料のいずれか一方の原料にのみ高濃度で含有するものを用いる方法、及び▲3▼ナトリウムが低濃度であるマンガン酸リチウムを合成し、これにナトリウムを添加する方法等を挙げることができる。いずれの方法であっても、最終的に用いられるマンガン酸リチウムのナトリウム濃度を所定の範囲内とすることは可能である。
【0034】
しかしながら、前記▲2▼、▲3▼の方法によるマンガン酸リチウムを用いて作製したリチウム二次電池は、高温サイクル特性の向上が顕著ではないという傾向がある。このような傾向が観察される原因について明らかではないが、高温サイクル特性の向上、即ち、フッ化水素の発生を効果的に抑止する効果は、マンガン酸リチウムの結晶内におけるナトリウム元素の分布状態に依存することが推察される。従って、前記▲1▼に示すように、第1の発明のリチウム二次電池においてはナトリウムを適当量含有するLi原料及びMn原料の両方の原料を使用して得られたマンガン酸リチウムを用いているために、より高温サイクル特性に優れている。
【0035】
第1の発明のリチウム二次電池においては、正極活物質として用いられるマンガン酸リチウムに、上述したナトリウムだけでなく、アルミニウム(Al)及び硼素(B)、又はそのいずれかが含まれていることが好ましい。アルミニウム及び/又は硼素がマンガン酸リチウムに含まれると、リチウム二次電池の高温サイクル特性が更に向上するため好ましい。マンガン酸リチウムのアルミニウム濃度は10〜30000ppmであることが好ましく、10〜20000ppmであることが更に好ましい。10ppmより少ないとアルミニウムを含ませる効果が発現されないことがあり、30000ppmより大きいと、リチウム二次電池の高温サイクル特性が更に向上する効果が認められず、アルミニウムを無駄に使用することになる。マンガン酸リチウムの硼素濃度は10〜4000ppmであることが好ましく、10〜2000ppmであることが更に好ましい。10ppmより少ないと、硼素を含ませる効果が発現されないことがあり、4000ppmより大きいと、マンガン酸リチウムの粒子同士の焼結が進んで硬くなるため、粉砕工程が必要となり、製造コストが高くなることがある。
【0036】
また、マンガン酸リチウムのバナジウム濃度は10〜4000ppmであることが好ましく、10〜2000ppmであることが更に好ましい。10ppmより少ないと、バナジウムを含ませる効果が発現されないことがあり、4000ppmより大きいと、硼素の場合と同様に、マンガン酸リチウムの粒子同士の焼結が進んで硬くなるため、粉砕工程が必要となり、製造コストが高くなることがある。
【0037】
第1の発明のリチウム二次電池においては、正極活物質としてスピネル構造を有するマンガン酸リチウムが用いられる。マンガン酸リチウムの化学量論組成はLiMn24で表されるが、第1の発明においては、このような化学量論組成のものに限られず、遷移元素Mnの一部を、Tiを含み、その他に、Li、Fe、Ni、Mg、Zn、B、Al、Co、Cr、Si、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる一種類以上の元素からなる、二種類以上の元素で置換してなるLiMZMn2-Z4(但し、Mは置換元素で、Zは置換量を示す。)も好適に用いられる。ここで、スピネル構造には当然のことながら、結晶系として立方晶系が含まれる。
【0038】
前記のような元素置換を行った場合には、そのLi/Mn比(モル比)は、MnをLiで置換したLi過剰の場合には(1+Z)/(2−Z)となり、またLi以外の置換元素Mで置換した場合には1/(2−Z)となるので、いずれの場合であっても常にLi/Mn比>0.5となる。
【0039】
第1の発明においては、上述の如くLi/Mn比が0.5超であるマンガン酸リチウムを用いることが好ましい。このことにより、化学量論組成のものを用いた場合と比較して結晶構造が更に安定化されるため、高温サイクル特性に優れる電池を得ることができる。
【0040】
なお、置換元素Mにあっては、理論上、Liは+1価、Fe、Mn、Ni、Mg、Znは+2価、B、Al、Co、Crは+3価、Si、Ti、Snは+4価、P、V、Sb、Nb、Taは+5価、Mo、Wは+6価のイオンとなり、LiMn24中に固溶する元素であるが、Co、Snについては+2価の場合、Fe、Sb及びTiについては+3価の場合、Mnについては+3価、+4価の場合、Crについては+4価、+6価の場合もあり得る。従って、各種の置換元素Mは混合原子価を有する状態で存在する場合があり、また、酸素の量については、必ずしも理論化学組成で表されるように4であることを必要とせず、結晶構造を維持するための範囲内で欠損して、或いは過剰に存在していても構わない。
【0041】
第1の発明のリチウム二次電池において、正極活物質として用いられる、スピネル構造のマンガン酸リチウムの格子定数は、8.23オングストローム以下であることが好ましく、8.22オングストローム以下であることが更に好ましい。8.23オングストロームより大きいと、高温サイクル特性の向上が見られない場合がある。リチウム二次電池が充・放電を繰り返すと、リチウムイオンの、マンガン酸リチウムの結晶格子からの離脱及び結晶格子への挿入、が繰り返され、これにより結晶の体積が膨張・収縮を繰り返すため、結晶構造が劣化し易く(壊れ易く)なる。このとき、結晶の格子定数が大きいほど結晶の体積変化が大きいため結晶構造が劣化し易く、格子定数が小さいほど結晶の体積変化が小さいため結晶構造が劣化し難い。
【0042】
次に、上述した熱的特性を有するマンガン酸リチウムの合成方法について説明する。合成原料としては、各元素(元素置換を行う場合には置換元素Mを含む)の塩及び/又は酸化物が用いられる。各元素の塩は特に限定されるものではないが、原料として適当な純度であり、安価なものを使用することが好ましい。また、昇温時や焼成時に有害な分解ガスが発生しない炭酸塩、水酸化物、有機酸塩を用いることが好ましい。但し、硝酸塩や塩酸塩、硫酸塩等を用いることもできる。なお、Li原料については、通常、酸化物であるLi2Oは吸湿性が強いために取り扱い難く、従って、化学的に安定な炭酸塩が好適に用いられる。
【0043】
ここで、第1の発明においてはナトリウムを所定の濃度で含有している合成原料(炭酸リチウム、二酸化マンガン、及び炭酸マンガン等)を用いることが好ましいことは既に述べた通りであるが、高純度に精製された化合物にナトリウム源を添加することにより、これらの合成原料を得ることも可能であるが、不純物としてのナトリウムが不可避的に混在している、比較的安価な化合物を合成原料として使用することもできる。なお、このような合成原料を用いることは、リチウム二次電池の製造コスト低減の観点からも好ましい。
【0044】
このような合成原料を所定比に混合したものを、先ず酸化雰囲気、650℃〜1000℃の範囲で、5時間〜50時間かけて焼成する。ここで、酸化雰囲気とは、一般に炉内試料が酸化反応を起こす酸素分圧を有する雰囲気を指し、具体的には、大気雰囲気、酸素雰囲気等が該当する。
【0045】
この第1回目の焼成後においては、組成の均一性が必ずしも良好ではないが、Li/Mn比>0.5を満足する場合、即ち、化学量論組成に対してMnの元素置換を行った場合、特にLiやTi、MgらによりMnの一部を置換してなるLi過剰の組成においては、1回の焼成によっても所定の熱的特性を示すものが得られ易くなることが実験的に確認された。この理由は明らかではないが、置換元素Mの添加によって結晶構造の安定化が図られているものと推測される。
【0046】
このように、一部の組成では、1回の焼成によっても、所定の熱的特性を示すマンガン酸リチウムを合成することが可能ではあるが、より組成に左右されない合成条件を確立するために、焼成を2回以上行うことが好ましい。
【0047】
焼成回数は、大きくは焼成温度と焼成時間に依存し、焼成温度が低い場合及び/又は焼成時間が短い場合には、多くの焼成回数を必要とする。また、置換元素Mの種類によっては、組成の均一化の観点から、焼成回数を多くすることが好ましい場合もある。この場合は置換元素Mの添加によって、結晶成長に適する相雰囲気が形成され難いと考えられる場合である。
【0048】
但し、焼成回数を多くすることは、それだけ生産工程が長くなることを意味するため、焼成回数は必要最小限に止めることが好ましい。このような複数回の焼成を行って得られた試料は、1回の焼成を行って得られた試料よりも、XRDチャート上でのピーク形状が鋭く突出しており、このことから、結晶性の向上が図られていることを確認することができる。
【0049】
なお、焼成温度が600℃未満、及び/又は焼成時間が5時間未満である場合には、焼成物のXRDチャートに原料の残留を示すピーク、例えばリチウム源として炭酸リチウム(Li2CO3)を用いた場合にはLi2CO3のピークが観察され、単相生成物が得られない。一方、焼成温度が1000℃超、及び/又は焼成時間が50時間超である場合には、目的とする結晶系の化合物以外に、高温相が生成し、単相生成物が得られなくなる。
【0050】
また、焼成を2回以上に分けて行う場合、次段階での焼成温度を前段階での焼成温度よりも逐次高くして行うことが好ましい。例えば2回焼成の場合に、2回目の焼成温度を1回目の焼成温度以上として合成を行った場合に得られる生成物は、この2回目の焼成温度及び焼成時間という条件を用いて得られる生成物よりも、XRDチャート上でのピーク形状が鋭く突出し、結晶性の向上を図ることができる。
【0051】
上述したマンガン酸リチウムは結晶構造の安定化が図られていると共にMnの溶出が効果的に抑制されるために、これを正極活物質として用いた第1の発明に係るリチウム二次電池は、特に高温サイクル特性の改善が図られている。このような高温サイクル特性の向上は、特に大量の電極活物質を用いる大容量電池において特に顕著に現れ、従って、その用途としては、例えばEVやHEVのモータ駆動用電源を挙げることができる。但し、第1の発明は、コイン電池等の小容量電池にも当然に用いることができる。
【0052】
さて、前述のマンガン酸リチウムを正極活物質として用いる第1の発明のリチウム二次電池を構成するための他の部材(材料)としては、従来公知の種々の材料を用いることができる。例えば、負極活物質としては、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、人造黒鉛、天然黒鉛等の高黒鉛化炭素材料を用いることができる。中でも、リチウム容量の大きい高黒鉛化炭素材料を用いることが好ましい。
【0053】
非水電解液に用いられる有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)といった炭酸エステル系溶媒や、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルらの単独溶媒若しくは混合溶媒が好適に用いられる。
【0054】
電解質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)やホウフッ化リチウム(LiBF4)等のリチウム錯体フッ素化合物、或いは過塩素酸リチウム(LiClO4)といったリチウムハロゲン化物が挙げられ、一種類若しくは二種類以上を前記溶媒に溶解して用いる。特に、酸化分解が起こり難く、非水電解液の導電性の高いLiPF6を用いることが好ましい。
【0055】
電池構造は、板状に成形された正極活物質と負極活物質の間にセパレータを配して電解液を充填させたコイン型の電池や、金属箔の表面に正極活物質を塗工してなる正極板と、同様に金属箔の表面に負極活物質を塗工してなる負極板とを、セパレータを介して捲回或いは積層してなる電極体を用いた円筒型や箱型といった各種電池を挙げることができる。
【0056】
第2の発明は、正極活物質がスピネル構造を有するマンガン酸リチウムであるリチウム二次電池に関し、マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が50〜50000ppmであり、かつ硼素濃度が10ppm以上であることを特徴とするものであり、高温時におけるサイクル特性に優れている。以下、その詳細について説明する。
【0057】
上述のように、リチウム二次電池を高温条件下で用いた場合においては、フッ化水素が不可避的に発生し、正極活物質であるマンガン酸リチウムからMnが溶出し易くなるために正極活物質の容量が低下してしまい、サイクル特性低下等の不具合が引き起こされる傾向にある。しかしながら、第2の発明のリチウム二次電池に用いられるマンガン酸リチウムには、所定の濃度でナトリウムが含まれると共に所定の濃度で硼素が含まれているために、高温条件下におけるマンガン酸リチウムからのMn溶出量が低減される。従って、第2の発明のリチウム二次電池はLi+の挿入・離脱の効率が良く、また正極活物質自体の容量低下を抑制することが可能であるために、高温サイクル特性に優れている。第2の発明においては、ナトリウムと共に硼素が含まれるため、広範囲(50〜50000ppm)に渡るナトリウム濃度において、優れた高温特性を得ることが可能になる。
【0058】
マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が50ppm未満である場合には、高温サイクル特性を向上させる効果が充分ではないために好ましくなく、50000ppm超である場合には、かえって電池特性に悪影響を及ぼす場合もあるために好ましくない。硼素濃度が10ppm未満である場合には、ナトリウム濃度が大きい場合に高温サイクル特性を向上させることができないために好ましくない。
【0059】
また、第2の発明においては、マンガン酸リチウムの硼素濃度が4000ppm以下であることが好ましい。4000ppm超である場合には、マンガン酸リチウムの粒子同士の焼結が進んで硬くなるため、粉砕工程が必要となり、製造コストが高くなることがある。
【0060】
正極活物質として用いるマンガン酸リチウムを所定のナトリウム濃度及び所定の硼素濃度とするためには、▲1▼ナトリウムが適当量含有するLi原料及びMn原料の両方の原料を用いてこれに硼素含有物質(B23等)を混合する方法、▲2▼ナトリウムがLi原料又はMn原料のいずれか一方の原料にのみ高濃度で含有するものを用いてこれに硼素含有物質(B23等)を混合する方法、及び▲3▼ナトリウムが低濃度であるマンガン酸リチウムを合成し、これにナトリウムを添加し、更に硼素含有物質(B23等)を混合する方法、等を挙げることができる。いずれの方法であっても、最終的に用いられるマンガン酸リチウムのナトリウム濃度を所定の範囲内とすることは可能である。
【0061】
しかしながら、上記▲2▼、▲3▼の方法によるマンガン酸リチウムを用いて作製したリチウム二次電池は、高温サイクル特性の向上が顕著ではないという傾向がある。このような傾向が観察される原因について明らかではないが、高温サイクル特性の向上、即ち、フッ化水素の発生を効果的に抑止する効果は、マンガン酸リチウムの結晶内におけるナトリウム元素の分布状態に依存することが推察される。従って、上記▲1▼に示すように、第2の発明のリチウム二次電池においてはナトリウムが適当量含有するLi原料及びMn原料の両方の原料を使用し、これに硼素含有物質(B23等)を混合する方法で得られたマンガン酸リチウムを用いているために、より高温サイクル特性に優れている。
【0062】
第2の発明のリチウム二次電池においては、正極活物質として用いられるマンガン酸リチウムに、上述したナトリウム及び硼素だけでなく、アルミニウム(Al)及びバナジウム(V)、又はそのいずれかが含まれていることが好ましい。アルミニウム及び/又はバナジウムがマンガン酸リチウムに含まれると、リチウム二次電池の高温サイクル特性が更に向上するため好ましい。マンガン酸リチウムのアルミニウム濃度は10〜30000ppmであることが好ましく、10〜20000ppmであることが更に好ましい。10ppm未満である場合には、アルミニウムを含む効果が発現されないことがあり、30000ppm超である場合には、リチウム二次電池の高温サイクル特性が更に向上する効果が認められず、アルミニウムを無駄に使用することになる。マンガン酸リチウムのバナジウム濃度は10〜4000ppmであることが好ましい。10ppm未満である場合には、バナジウムを含む効果が発現されないことがあり、4000ppm超である場合には、バナジウムの場合と同様に、マンガン酸リチウムの粒子同士の焼結が進んで硬くなるため、粉砕工程が必要となり、製造コストが高くなることがある。
【0063】
第2の発明のリチウム二次電池においては、正極活物質としてスピネル構造を有するマンガン酸リチウムが用いられる。マンガン酸リチウムの化学量論組成はLiMn24で表されるが、第2の発明においては、このような化学量論組成のものに限られず、遷移元素Mnの一部を、Tiを含み、その他に、Li、Fe、Ni、Mg、Zn、B、Al、Co、Cr、Si、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる一種類以上の元素からなる、二種類以上の元素で置換してなるLiMZMn2-Z4(但し、Mは置換元素で、Zは置換量を示す。)も好適に用いられる。ここで、スピネル構造には当然のことながら、結晶系として立方晶系が含まれる。
【0064】
前記のような元素置換を行った場合には、そのLi/Mn比(モル比)は、MnをLiで置換したLi過剰の場合には(1+Z)/(2−Z)となり、またLi以外の置換元素Mで置換した場合には1/(2−Z)となるので、いずれの場合であっても常にLi/Mn比>0.5となる。
【0065】
第2の発明においては、上述の如くLi/Mn比が0.5超であるマンガン酸リチウムを用いることが好ましい。このことにより、化学量論組成のものを用いた場合と比較して結晶構造が更に安定化されるため、高温サイクル特性に優れる電池を得ることができる。
【0066】
なお、置換元素Mにあっては、理論上、Liは+1価、Fe、Mn、Ni、Mg、Znは+2価、B、Al、Co、Crは+3価、Si、Ti、Snは+4価、P、V、Sb、Nb、Taは+5価、Mo、Wは+6価のイオンとなり、LiMn24中に固溶する元素であるが、Co、Snについては+2価の場合、Fe、Sb及びTiについては+3価の場合、Mnについては+3価、+4価の場合、Crについては+4価、+6価の場合もあり得る。従って、各種の置換元素Mは混合原子価を有する状態で存在する場合があり、また、酸素の量については、必ずしも理論化学組成で表されるように4であることを必要とせず、結晶構造を維持するための範囲内で欠損して、或いは過剰に存在していても構わない。
【0067】
第2の発明のリチウム二次電池において、正極活物質として用いられる、スピネル構造のマンガン酸リチウムの格子定数は、8.23オングストローム以下であることが好ましく、8.22オングストローム以下であることが更に好ましい。8.23オングストロームより大きいと、高温サイクル特性の向上が見られない場合がある。リチウム二次電池が充・放電を繰り返すと、リチウムイオンの、マンガン酸リチウムの結晶格子からの離脱及び結晶格子への挿入、が繰り返され、これにより結晶の体積が膨張・収縮を繰り返すため、結晶構造が劣化し易く(壊れ易く)なる。このとき、結晶の格子定数が大きいほど結晶の体積変化が大きいため結晶構造が劣化し易く、格子定数が小さいほど結晶の体積変化が小さいため結晶構造が劣化し難い。
【0068】
次に、上述した熱的特性を有するマンガン酸リチウムの合成方法について説明する。合成原料としては、各元素(元素置換を行う場合には置換元素Mを含む)の塩及び/又は酸化物が用いられる。各元素の塩は特に限定されるものではないが、原料として適当な純度であり、安価なものを使用することが好ましい。また、昇温時や焼成時に有害な分解ガスが発生しない炭酸塩、水酸化物、有機酸塩を用いることが好ましい。但し、硝酸塩や塩酸塩、硫酸塩等を用いることもできる。なお、Li原料については、通常、酸化物であるLi2Oは吸湿性が強いために取り扱い難く、従って、化学的に安定な炭酸塩が好適に用いられる。また、硼素原料としては、B23が好適に用いられる。
【0069】
ここで、第2の発明においてはナトリウムが所定の濃度で含有している合成原料(炭酸リチウム、二酸化マンガン、及び炭酸マンガン等)を用いることが好ましい。高純度に精製された化合物にナトリウム源を添加することにより、これらの合成原料を得ることも可能であるが、不純物としてのナトリウムが不可避的に混在している、比較的安価な化合物を合成原料として使用することもできる。なお、このような合成原料を用いることは、リチウム二次電池の製造コスト低減の観点からも好ましい。
【0070】
このような合成原料を所定比に混合したものを、先ず酸化雰囲気、650℃〜1000℃の範囲で、5時間〜50時間かけて焼成する。ここで、酸化雰囲気とは、一般に炉内試料が酸化反応を起こす酸素分圧を有する雰囲気を指し、具体的には、大気雰囲気、酸素雰囲気等が該当する。
【0071】
この第1回目の焼成後においては、組成の均一性が必ずしも良好ではないが、Li/Mn比>0.5を満足する場合、即ち、化学量論組成に対してMnの元素置換を行った場合、特にLiやTi、MgらによりMnの一部を置換してなるLi過剰の組成においては、1回の焼成によっても所定の熱的特性を示すものが得られ易くなることが実験的に確認された。この理由は明らかではないが、置換元素Mの添加によって結晶構造の安定化が図られているものと推測される。
【0072】
このように、一部の組成では、1回の焼成によっても、所定の熱的特性を示すマンガン酸リチウムを合成することが可能ではあるが、より組成に左右されない合成条件を確立するために、焼成を2回以上行うことが好ましい。
【0073】
焼成回数は、大きくは焼成温度と焼成時間に依存し、焼成温度が低い場合及び/又は焼成時間が短い場合には、多くの焼成回数を必要とする。また、置換元素Mの種類によっては、組成の均一化の観点から、焼成回数を多くすることが好ましい場合もある。この場合は置換元素Mの添加によって、結晶成長に適する相雰囲気が形成され難いと考えられる場合である。
【0074】
但し、焼成回数を多くすることは、それだけ生産工程が長くなることを意味するため、焼成回数は必要最小限に止めることが好ましい。このような複数回の焼成を行って得られた試料は、1回の焼成を行って得られた試料よりも、XRDチャート上でのピーク形状が鋭く突出しており、このことから、結晶性の向上が図られていることを確認することができる。
【0075】
なお、焼成温度が600℃未満、及び/又は焼成時間が5時間未満である場合には、焼成物のXRDチャートに原料の残留を示すピーク、例えばリチウム源として炭酸リチウム(Li2CO3)を用いた場合にはLi2CO3のピークが観察され、単相生成物が得られない。一方、焼成温度が1000℃超、及び/又は焼成時間が50時間超である場合には、目的とする結晶系の化合物以外に、高温相が生成し、単相生成物が得られなくなる。
【0076】
また、焼成を2回以上に分けて行う場合、次段階での焼成温度を前段階での焼成温度よりも逐次高くして行うことが好ましい。例えば2回焼成の場合に、2回目の焼成温度を1回目の焼成温度以上として合成を行った場合に得られる生成物は、この2回目の焼成温度及び焼成時間という条件を用いて得られる生成物よりも、XRDチャート上でのピーク形状が鋭く突出し、結晶性の向上を図ることができる。
【0077】
上述したマンガン酸リチウムは結晶構造の安定化が図られていると共にMnの溶出が効果的に抑制されるために、これを正極活物質として用いた第2の発明に係るリチウム二次電池は、特に高温サイクル特性の改善が図られている。このような高温サイクル特性の向上は、特に大量の電極活物質を用いる大容量電池において特に顕著に現れ、従って、その用途としては、例えばEVやHEVのモータ駆動用電源を挙げることができる。但し、第2の発明は、コイン電池等の小容量電池にも当然に用いることができる。
【0078】
さて、前述のマンガン酸リチウムを正極活物質として用いる第2の発明のリチウム二次電池を構成するための他の部材(材料)としては、従来公知の種々の材料を用いることができる。例えば、負極活物質としては、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、人造黒鉛、天然黒鉛等の高黒鉛化炭素材料を用いることができる。中でも、リチウム容量の大きい高黒鉛化炭素材料を用いることが好ましい。
【0079】
非水電解液に用いられる有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)といった炭酸エステル系溶媒や、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルらの単独溶媒若しくは混合溶媒が好適に用いられる。
【0080】
電解質としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)やホウフッ化リチウム(LiBF4)等のリチウム錯体フッ素化合物、或いは過塩素酸リチウム(LiClO4)といったリチウムハロゲン化物が挙げられ、一種類若しくは二種類以上を前記溶媒に溶解して用いる。特に、酸化分解が起こり難く、非水電解液の導電性の高いLiPF6を用いることが好ましい。
【0081】
電池構造は、板状に成形された正極活物質と負極活物質の間にセパレータを配して電解液を充填させたコイン型の電池や、金属箔の表面に正極活物質を塗工してなる正極板と、同様に金属箔の表面に負極活物質を塗工してなる負極板とを、セパレータを介して捲回或いは積層してなる電極体を用いた円筒型や箱型といった各種電池を挙げることができる。
【0082】
【実施例】
以下、本発明(第1の発明及び第2の発明)を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(マンガン酸リチウムの合成)
出発原料としてLi2CO3、MnO2若しくはMnCO3を用いて、LiMn24の組成となるようにそれぞれを秤量し、混合した。次いで、酸化雰囲気中、800℃、24時間焼成を行いマンガン酸リチウムを合成した(実施例1〜12、比較例1〜4)。なお、出発原料であるLi2CO3、MnO2若しくはMnCO3、及び得られたLiMn24のNa濃度(ppm)をプラズマ誘導発光分析(ICP)により定量した。結果を表1、2に示す。
【0083】
【表1】
Figure 0004209160
【0084】
【表2】
Figure 0004209160
【0085】
また、出発原料としてLiCO、MnO若しくはMnCOを用いて、LiMnの組成となるようにそれぞれを秤量し、更にAl又はBを所定量混合した。次いで、酸化雰囲気中、800℃、24時間焼成を行いマンガン酸リチウムを合成した(実施例13〜40、比較例5〜8、参考例3〜9)。実施例25〜28については、合成時にLiCO量とMnO量とを調整して格子定数を変化させた。得られたLiMnについて、Na、Al及びBの濃度(ppm)をプラズマ誘導発光分析(ICP)により定量した。また、実施例15、21、25〜28については、以下の方法により格子定数の測定も行った。結果を表3に示す。なお、実施例1〜40比較例1〜4及び参考例1〜8は第1の発明の実施例及び比較例であり、参考例9及び比較例5〜8は第2の発明の実施例及び比較例である。
【0086】
【表3】
Figure 0004209160
【0087】
(格子定数の測定方法)
理学電機(株)製の「粉末X線回折装置RINT」を使用して、下記に示す条件でX線回折測定を行った。得られた正極活物質のX線回折パターンを、理学電機(株)製の「RINT2000シリーズアプリケーションソフトウエア WPPFプログラム」を用いて解析し、正極活物質の格子定数を求めた。測定の際には、内部標準物質としてZnOを用いた。
【0088】
X線回折測定条件:
X線源:CuKα線
管電圧及び管電流:50kV、300mA
発散スリット:0.5deg
散乱スリット:0.5deg
受光スリット:0.15mm
ステップ:0.02°
計数時間:0.5sec
走査範囲:10〜120°
【0089】
(マンガン酸リチウムの電解液浸漬処理)
合成したマンガン酸リチウム(実施例1〜40、比較例1〜8、参考例1〜9)の5gずつをエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を等体積比(1:1)で混合した有機溶媒に、電解質としてLiPF6を1mol/lの濃度となるように溶解して調製した20ml、80℃の電解液に400時間浸漬した。次に、各試料(マンガン酸リチウム)を濾紙フィルターで電解液と分離し、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合有機溶媒、エチレンカーボネート(EC)の順に洗浄した。
【0090】
また、マンガン酸リチウムと分離して採取した電解液を用いて、プラズマ誘導発光分析(ICP)により、電解液中に溶出したMn(Mn溶出量(%))を定量した。結果を表4(Mn源がMnO2又はMnCO3、ナトリウム含有)、表5(Mn源がMnO2、ナトリウム含有、アルミニウム又は硼素含有)、表6(Mn源がMnCO3、ナトリウム含有、アルミニウム又は硼素含有)、表7(Mn源がMnO2、ナトリウム含有、アルミニウム又は硼素含有、格子定数変更)に示す。なお、Mn溶出量(%)は、実施例1〜、実施例13〜15、実施例19〜21、実施例25〜31、実施例36〜37比較例2比較例5〜8、参考例1、参考例3、参考例5〜6及び参考例9については、比較例1のMn溶出量(質量)を100%とした場合、実施例7〜11、実施例16〜18、実施例22〜24、実施例33〜34、実施例0及び比較例4、参考例2、4及び参考例7〜8については、比較例3のMn溶出量(質量)を100%とした場合の相対値である。
【0091】
(電池の作製)
前述のマンガン酸リチウム(実施例1〜40、比較例1〜8、参考例1〜9)を正極活物質として使用し、導電助材たるアセチレンブラック粉末と結着材たるポリフッ化ビニリデンを、質量比で50:2:3の割合で添加・混合して正極材料を調製した。その正極材料0.02gを300kg/cm2の圧力で直径20mmφの円板状にプレス成形して正極とした。次に、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)が等体積比(1:1)で混合された有機溶媒に、電解質としてLiPF6を1mol/lの濃度となるように溶解して調製した電解液と、カーボンからなる負極、正極と負極を隔てるセパレータ、及び、前述の通り作製した正極を用いてコインセルを作製した(実施例1〜40、比較例1〜8、参考例1〜9)。
【0092】
(高温サイクル特性の評価)
作製したコインセル(実施例1〜40、比較例1〜8、参考例1〜9)を内温60℃の恒温槽内に設置し、正極活物質の容量に応じて、1Cレートの定電流、定電圧で4.1Vまで充電した。次いで、同じく1Cレートの定電流で2.5Vまで放電させる充放電を1サイクルとして、100サイクルまで行い、100サイクル経過後のサイクル効率(%)を算出した。結果を表4〜7に示す。なお「サイクル効率(%)」とは、100サイクル経過後の放電容量を、初回の放電容量で除して得た数値のことである。
【0093】
【表4】
Figure 0004209160
【0094】
【表5】
Figure 0004209160
【0095】
【表6】
Figure 0004209160
【0096】
【表7】
Figure 0004209160
【0097】
(考察)
第1の発明においては、マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が高い程、電解液中へのMn溶出量が抑制され、その結晶構造の破壊進行が抑制されていることが判明した。そして、アルミニウム又は硼素を含有させることにより更に電解液中へのMnの溶出量が抑制され、結晶構造の破壊進行が更に抑制されていることが判明した。アルミニウムと硼素は、本実施例のように、どちらか一方を含有させるようにしてもよいが、アルミニウムと硼素を同時に含有させても電解液中へのMnの溶出が効果的に抑制される。また、比較例2、4についてはMn溶出量が最も少なかったが、サイクル効率も低下する傾向にあることが判明した。即ち、マンガン酸リチウムのナトリウム濃度は、適当な数値範囲内であることが、サイクル特性の面から好ましいことが明らかとなった。これらの効果は硼素をバナジウムに代えた場合でも、硼素の場合とほぼ同様の効果が得られる。
【0098】
従って、ナトリウム濃度が所定の数値範囲内であるマンガン酸リチウムを正極活物質として用いた第1の発明のリチウム二次電池は、高温サイクル特性に優れていることを確認することができ、更にアルミニウム濃度及び/又は硼素濃度及び/又はバナジウム濃度を所定の数値範囲にすると、更に高温サイクル特性に優れることを確認できた。
【0099】
また、表7より、格子定数が小さいほうが、Mn溶出量が少なく、サイクル効率がよいことがわかる。本実施例では、原料のMn源にMnO2を使用しているが、MnCO3を使用しても同様に、格子定数が小さいほうがサイクル特性が向上する。なお、硼素をバナジウムに代えた場合でも、硼素の場合とほぼ同様の効果が得られる。
【0100】
表5に示す結果から明らかな通り、第2の発明においては、参考例9と比較例5とを比較すると、ナトリウム濃度が50000ppm程度という大きな値でも、硼素濃度が所定の値(10ppm以上)であれば、硼素の存在によりサイクル特性は良好といえる。一方、ナトリウム濃度が50000ppmより大きな値では、サイクル効率は硼素有りのほうがよいといえるが、ナトリウム濃度及び硼素濃度が所定の範囲内にあるものと比較すると、よいとはいえない。但し、硼素の効果により、比較例6よりは比較例7のほうがよいといえる。更に、比較例8をみると、硼素濃度が所定の範囲内であるにも関わらず、ナトリウム濃度が所定の範囲外であるためにサイクル特性は悪い。これらの結果から、ナトリウムと硼素とで何らかの相互作用があると考えられ、ナトリウム及び硼素の濃度が、第2の発明で規定する濃度範囲内にあれば、サイクル効率が向上することが判明した。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の発明のリチウム二次電池は、正極活物質として用いるスピネル構造を有するマンガン酸リチウムのナトリウム濃度が所定の数値範囲内であるために、電解液中へのMnの溶出が効果的に抑制され、高温サイクル特性に優れているといった特性を有する。第2の発明のリチウム二次電池は、正極活物質として用いるスピネル構造を有するマンガン酸リチウムのナトリウム濃度及び硼素濃度が所定の数値範囲内であるために、ナトリウム及び硼素の相互作用により、高温サイクル特性に優れているといった特性を有する。

Claims (19)

  1. 正極活物質がスピネル構造を有するマンガン酸リチウムであるリチウム二次電池であって、
    前記マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が50〜5000ppmであるとともに、
    前記マンガン酸リチウムの、アルミニウム濃度が10〜30000ppm及び/又は硼素濃度が10〜4000ppm及び/又はバナジウム濃度が10〜4000ppmであることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 前記マンガン酸リチウムが、
    ナトリウム濃度が30ppm以上である炭酸リチウムと、ナトリウム濃度が50ppm以上である二酸化マンガンを用いて合成されたものである請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記炭酸リチウムのナトリウム濃度が100ppm以上である請求項2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記二酸化マンガンのナトリウム濃度が400ppm以上である請求項2に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記マンガン酸リチウムが、
    ナトリウム濃度が30ppm以上である炭酸リチウムと、ナトリウム濃度が35ppm以上である炭酸マンガンを用いて合成されたものである請求項1に記載のリチウム二次電池。
  6. 前記炭酸リチウムのナトリウム濃度が100ppm以上である請求項5に記載のリチウム二次電池。
  7. 前記炭酸マンガンのナトリウム濃度が100ppm以上である請求項5に記載のリチウム二次電池。
  8. 前記マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が500〜4000ppmである請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  9. 前記マンガン酸リチウムのナトリウム濃度が1000〜3000ppmである請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  10. 前記アルミニウム濃度が10〜20000ppmである請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  11. 前記硼素濃度が10〜2000ppmである請求項1〜10のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  12. 前記バナジウム濃度が10〜2000ppmである請求項1〜11のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  13. 前記マンガン酸リチウムのLi/Mn比が0.5超である請求項1〜12のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  14. 前記マンガン酸リチウム(LiMn)中の遷移元素Mnの一部を、Tiを含み、その他に、Li、Fe、Ni、Mg、Zn、B、Al、Co、Cr、Si、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、Mo及びWからなる群から選ばれる一種類以上の元素からなる、二種類以上の元素で置換してなるLiMZMn−ZO(但し、Mは置換元素で、Zは置換量を示す。)を正極活物質として用いた請求項1〜1のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  15. 前記マンガン酸リチウムの格子定数が8.23オングストローム以下である請求項1〜1のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  16. 前記マンガン酸リチウムの前記格子定数が8.22オングストローム以下である請求項1に記載のリチウム二次電池。
  17. 前記マンガン酸リチウムが、所定比に調整された各元素の塩及び/又は酸化物の混合物を、酸化雰囲気、650〜1000℃の範囲で、5〜50時間かけて焼成して得られたものである請求項1〜1のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。
  18. 前記マンガン酸リチウムが、前記焼成を2回以上行って得られたものである請求項1に記載のリチウム二次電池。
  19. 前記マンガン酸リチウムが、焼成回数を重ねる毎に焼成温度を逐次高くして得られたものである請求項1に記載のリチウム二次電池。
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