JP2024522673A - 電気化学装置及び電子装置 - Google Patents

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Figure 2024522673000001
電気化学装置の高温サイクル特性を向上させるための電気化学装置及び電子装置。
【課題】
【解決手段】本発明における電気化学装置は、正極、負極、セパレータ及び電解液を含み、前記正極は正極集電体と前記正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた正極活物質層とを含み、前記正極活物質層はリチウムマンガン酸化物を含み、前記リチウムマンガン酸化物はアルミニウムとナトリウムを含み、前記正極活物質の重量に対して、前記アルミニウムの含有量をA%とし、前記ナトリウムの含有量をB%としたとき、A及びBは、0.01≦A≦2、0.001≦B≦1を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学技術分野に関し、具体的には電気化学装置及び電子装置に関する。
リチウムイオン電池は体積と質量エネルギー密度が大きく、サイクル寿命が長く、公称電圧が高く、自己放電率が低く、体積が小さく、重量が軽いなど多くの利点があり、消費電子分野で広く応用されている。近年の電気自動車とモバイル電子デバイスの急速な発展に伴い、市場ではリチウムイオン電池に対してより高い要求が出されており、例えば、リチウムイオン電池は高温環境下でも安定していることが求められている。
しかし、現在のリチウムイオン電池は高温での比容量の減衰が比較的に深刻であり、これは高温がリチウムイオン電池内部の副反応の発生を促すことにより、正極活物質の構造が破壊され、リチウムイオン電池の安定性と使用寿命に影響を与えたためである。そのため、高温で長時間の使用寿命を有するリチウムイオン電池が必要となっている。
本発明は、電気化学装置の高温サイクル特性を向上させるための電気化学装置及び電子装置を提供することを目的とする。具体的な技術案は以下のとおりである。
本発明の第1の態様は、電気化学装置であって、正極を含み、正極は正極集電体と正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた正極活物質層とを含み、正極活物質層はリチウムマンガン酸化物を含み、リチウムマンガン酸化物はアルミニウムとナトリウムを含み、正極活物質の重量に対して、アルミニウムの含有量をA%とし、ナトリウムの含有量をB%としたとき、A及びBは、0.01≦A≦2、0.001≦B≦1を満たす、電気化学装置を提供する。
本発明の正極活物質層はリチウムマンガン酸化物を含み、リチウムマンガン酸化物はアルミニウムとナトリウムを含む。アルミニウムとナトリウムの含有量を上記の範囲内に制御することにより、マンガン(Mn)の溶出を低減することができ、電気化学装置の高温サイクル特性を改善することができる。いかなる理論にも限定されないが、これは、上記の含有量の範囲にあるアルミニウムが、リチウムマンガン酸化物中のMn-O結合の安定性を高め、リチウムマンガン酸化物の結晶構造を改善し、マンガン元素のヤーン・テラー(Jahn-Teller)効果を低下させることができ、不純物元素であるナトリウムは、上記の含有量の範囲内にあると、電気化学装置の高温サイクル特性にほとんど影響を与えないためと考えられる。したがって、全体として、本発明は、アルミニウムとナトリウムの含有量を上記の範囲内に制御することにより、Mnの溶出を低減するとともに、ナトリウムの正極の性能に対する影響を低減し、電気化学装置のサイクル特性と保存容量維持特性を改善することができる。
本発明のリチウムマンガン酸化物は、変性LiMn(以下、変性LMOと略称する)を含んでもよいが、これに限定されない。本発明のリチウムマンガン酸化物の変性方法は、特に限定されないが、例えば、LiMnの合成中にアルミニウム含有化合物を添加することにより、本発明のリチウムマンガン酸化物にアルミニウムを含有させることができる。
本発明の正極活物質層は、正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられていてもよく、例えば、正極活物質層は正極集電体の一方の表面に設けられており、あるいは、正極活物質層は正極集電体の両方の表面に設けられている。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、(a)A及びBは、0.011≦A+B≦2.5を満たすことと、(b)A及びBは、0.1≦A/B≦125を満たすこととのうちの少なくとも一方を満たす。
本発明の一つの実施形態において、A及びBは、0.03≦A+B<2、2<A/B≦125を満たす。
正極活物質中のアルミニウム含有量とナトリウム含有量の和、すなわちA+Bの値を上記の範囲内に制御し、及び/又は、正極活物質中のアルミニウム含有量とナトリウム含有量の比、すなわちA/Bの値を上記の範囲内に制御することにより、優れた高温サイクル特性と保存容量維持特性を有する電気化学装置を得ることができる。
本発明の一つの実施形態において、本発明のリチウムマンガン酸化物は、さらにニオブを含み、正極活物質の重量に対して、ニオブの含有量をC%としたとき、Cは、0<C≦1を満たす。
いかなる理論にも限定されないが、上記の含有量の範囲内にあるニオブは、リチウムマンガン酸化物の結晶構造をさらに改善し、外表面に露出するリチウムマンガン酸化物の活性結晶面(111)の数を減少させ、すなわち電解液に接触する活性結晶面(111)の数を減少させることにより、電解液とリチウムマンガン酸化物表面との副反応を減少させ、Mnの溶出をさらに減少させ、それにより電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性を向上させることができると、本発明の発明者は見出した。リチウムマンガン酸化物の変性中に、ニオブ含有化合物を添加し、ニオブ含有化合物の添加量を制御することにより、正極活物質層中のニオブの含有量を制御することができる。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、(c)A及びCは、0.011<A+C≦2.8を満たすことと、(d)A、B及びCは、0.011≦A+B+C≦3.3を満たすことと、(e)B及びCは、0<C/B≦40を満たすこととの(c)~(e)のうちの少なくとも一方を満たす。いかなる理論にも限定されないが、正極活物質中のアルミニウムとニオブの含有量の和、すなわちA+Cの値を上記の範囲内に制御し、及び/又は、正極活物質中のアルミニウムとナトリウムとニオブとの含有量の和、すなわちA+B+Cの値を上記の範囲内に制御し、及び/又は、正極活物質中のニオブ含有量とナトリウム含有量の比、すなわちC/Bの値を上記の範囲内に制御することにより、優れた高温サイクル特性と保存容量維持特性を有する電気化学装置を得ることができる。
本発明の一つの実施形態において、A及びCは、0.07≦A+C<2.3を満たす。
正極活物質中のアルミニウムとニオブの含有量の和、すなわちA+Cの値を上記の範囲内に制御することにより、より優れた高温サイクル特性と保存容量維持特性を得ることができる。本発明の一実施形態において、X線回折(XRD)を用いて本発明の正極片粉末を測定した場合、リチウムマンガン酸化物は、(f)リチウムマンガン酸化物は18°~20°で(111)結晶面に対応する第1回折ピークが現れ、第1回折ピークのピーク強度はI(111)であることと、(g)リチウムマンガン酸化物は43°~45°で(400)結晶面に対応する第2回折ピークが現れ、第2回折ピークのピーク強度はI(400)であることと、(h)リチウムマンガン酸化物は63°~65°で(440)結晶面に対応する第3回折ピークが現れ、第3回折ピークのピーク強度はI(440)であることとの(f)~(h)のうちの少なくとも一方を満たす。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、(i)I(400)及びI(111)は、0.25<I(400)/I(111)<0.55を満たすことと、(j)I(440)及びI(400)は、0.35<I(440)/I(400)<0.55を満たすこととのうちの少なくとも一方を満たす。
いかなる理論にも限定されないが、I(400)/I(111)を上記の範囲内に制御し、及び/又は、I(440)/I(400)を上記の範囲内に制御することにより、リチウムマンガン酸化物の結晶構造をさらに改善し、外表面に露出するリチウムマンガン酸化物の活性結晶面(111)の数を減少させることにより、電解液とリチウムマンガン酸化物表面との副反応を減少させ、Mnの溶出をさらに減少させ、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性を向上させることができると、本発明の発明者は見出した。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物をさらに含んでもよく、前記正極活物質の重量に対して、前記コバルトの重量分率は15%より小さく、または15%である。
本発明の正極活物質層は、さらにリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物を含んでもよく、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物表面に残された塩基(例えば、LiCO又はLiOH)は、電解液中のフッ化水素酸(HF)と反応し、電解液の酸度を低下させ、Mnの溶出をさらに減少させることにより、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性を向上させることができる。したがって、本発明においては、正極活物質の重量に対して、正極活物質中のコバルトの重量分率を15%より小さく、または15%に制御することにより、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性をさらに向上させると共に、生産コストを低減することができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層中のニッケルとマンガンのモル比は0.02:1~0.7:1であり、コバルトとマンガンのモル比は0.3:1より小さく、または0.3:1である。
正極活物質層中のニッケルとマンガンのモル比及びコバルトとマンガンのモル比を上記の範囲内に制御することにより、正極活物質層中のニッケル、マンガン及びコバルトを合理的に配置することができ、優れた高温サイクル特性と保存容量維持特性を有する電気化学装置を得ることができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層は、リン酸鉄リチウム(LiFePO、すなわちLFP)をさらに含んでもよく、リン酸鉄リチウムの平均粒子径はリチウムマンガン酸化物の平均粒子径より小さい。
いかなる理論にも限定されないが、リン酸鉄リチウムの粒子径が小さいため、リチウムマンガン酸化物の少なくとも一部の表面にリン酸鉄リチウムが存在し、すなわち、リチウムマンガン酸化物は部分的にリン酸鉄リチウムで覆われてもよく、全て覆われてもよく、それによって、リチウムマンガン酸化物の表面の副反応を抑制し、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性をさらに改善することができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層中の鉄とマンガンのモル比は0.02:1~0.25:1である。
正極活物質層中の鉄とマンガンのモル比を上記の範囲内に制御することにより、正極活物質層中の鉄とマンガンを合理的に配置し、リチウムマンガン酸化物の表面の副反応を抑制することで、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性をさらに向上させることができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層の重量を基準として、リン酸鉄リチウムの重量分率は≦30%である。
いかなる理論にも限定されないが、リン酸鉄リチウムの含有量が正極活物質層において高すぎる(例えば、30%を超える)と、電気化学装置のエネルギー密度に影響を与える。正極活物質層中のリン酸鉄リチウムの重量分率を上記の範囲内に制御することにより、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性をさらに向上させるとともに、電気化学装置に高いエネルギー密度を持たせることができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層の圧縮密度Pは2.7g/cm≦P≦4.0g/cmを満たす。いかなる理論にも限定されないが、正極活物質層の圧縮密度が低すぎる(例えば、2.7g/cm未満である)と、電気化学装置のエネルギー密度の向上に不利である。正極活物質層の圧縮密度が高すぎる(例えば、4.0g/cmを超える)と、正極は脆性破壊が発生しやすく、電気化学装置の安全性に不利である。正極活物質層の圧縮密度を上記の範囲内に制御することにより、電気化学装置に高いエネルギー密度を持たせると共に、優れた安全性を持たせることができる。
本発明は、電気化学装置及び電子装置を提供し、当該電気化学装置の正極は正極集電体と正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた正極活物質層とを含み、正極活物質層はリチウムマンガン酸化物を含み、リチウムマンガン酸化物はアルミニウムとナトリウムを含み、正極活物質中のアルミニウムの含有量A%とナトリウムの含有量B%が0.01≦A≦2、0.001≦B≦1を満たすように制御することにより、リチウムマンガン酸化物の結晶構造を改善し、マンガンの溶出を低減し、電気化学装置のサイクル特性、特に高温条件下のサイクル特性を高め、さらに電気化学装置の高温保存特性を高めることができる。
本発明及び先行技術の技術案をより明確に説明するために、以下では実施例及び先行技術で必要とされる図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例にすぎない。
図1は、本発明実施例35の正極片粉末のXRD図である。
本発明の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本発明についてさらに詳しく説明する。明らかに、説明された実施例は本発明の実施例の一部にすぎず、全部の実施例ではない。本発明の実施例に対して、当業者が得られた他のすべての技術案は、本発明の保護範囲にある。
なお、本発明の具体的な実施形態において、リチウムイオン電池を電気化学装置の例として本発明を説明するが、本発明の電気化学装置はリチウムイオン電池に限定されるものではない。
本発明の第1の態様は、電気化学装置であって、正極を含み、正極は正極集電体と正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた正極活物質層とを含み、正極活物質層はリチウムマンガン酸化物を含み、リチウムマンガン酸化物はアルミニウムとナトリウムを含み、正極活物質の総重量に対して、アルミニウムの含有量をA%とし、ナトリウムの含有量をB%としたとき、A及びBは、0.01≦A≦2、0.001≦B≦1を満たす、電気化学装置を提供する。本発明の一つの実施形態において、A及びBは、0.49≦A≦1.8、0.001≦B<0.5を満たす。
本発明の正極活物質層はリチウムマンガン酸化物を含み、リチウムマンガン酸化物はアルミニウムとナトリウムを含む。アルミニウムとナトリウムの含有量を上記の範囲内に制御することにより、マンガン(Mn)の溶出を低減することができ、電気化学装置の高温サイクル特性を改善することができる。いかなる理論にも限定されないが、これは、上記の含有量の範囲にあるアルミニウムが、リチウムマンガン酸化物中のMn-O結合の安定性を高め、リチウムマンガン酸化物の結晶構造を改善し、マンガン元素のヤーン・テラー(Jahn-Teller)効果を低下させることができ、不純物元素であるナトリウムは、上記の含有量の範囲内にあると、電気化学装置の高温サイクル特性にほとんど影響を与えないためと考えられる。したがって、全体として、本発明は、アルミニウムとナトリウムの含有量を上記の範囲内に制御することにより、Mnの溶出を低減するとともに、ナトリウムの正極の性能に対する影響を低減し、電気化学装置のサイクル特性と保存容量維持特性を改善することができる。
本発明のリチウムマンガン酸化物は、変性LiMn(以下、変性LMOと略称する)を含んでもよいが、これに限定されない。本発明のリチウムマンガン酸化物の変性方法は、特に限定されないが、例えば、LiMnの合成中にアルミニウム含有化合物を添加することにより、本発明のリチウムマンガン酸化物にアルミニウムを含有させることができる。
本発明の正極活物質層は、正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられていてもよく、例えば、正極活物質層は正極集電体の一方の表面に設けられており、あるいは、正極活物質層は正極集電体の両方の表面に設けられている。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、(a)A及びBは、0.011≦A+B≦2.5を満たすことと、(b)A及びBは、0.1≦A/B≦125であることとのうちの少なくとも一方を満たす。いくつかの実施例において、A+Bは、0.011、0.03、0.05、0.07、0.1、0.3、0.5、0.9、1.0、1.1、1.3、1.5、1.7、1.9、2.0、もしくは2.5であり、又は上記の任意の2つの数値からなる範囲にあってもよい。本発明の一つの実施形態において、A/Bは、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、3.0、5.0、7.0、10、15、20、25、40、60、80、100、110、120、もしくは125であり、又は上記の任意の2つの数値からなる範囲にあってもよい。
いかなる理論にも限定されないが、本発明は、正極活物質中のアルミニウム含有量とナトリウム含有量の和、すなわちA+Bの値を上記の範囲内に制御し、及び/又は、正極活物質中のアルミニウム含有量とナトリウム含有量の比、すなわちA/Bの値を上記の範囲内に制御することにより、優れた高温サイクル特性と保存容量維持特性を有する電気化学装置を得ることができる。A/Bが大きすぎると、電気化学装置のサイクル特性に対する改善がわずかであり、A/Bの値が小さすぎると、電気化学装置の可逆容量に影響を与える可能性がある。
本発明の一つの実施形態において、リチウムマンガン酸化物は、さらにニオブを含み、正極活物質の総重量に対して、ニオブの含有量をC%としたとき、Cは、0<C≦1を満たす。いくつかの実施例において、Cは、0.0001≦C≦0.7を満たす。いくつかの実施例において、Cは、0.0001≦C≦0.5を満たす。いくつかの実施例において、Cは、0.001、0.003、0.005、0.008、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、もしくは1.0であり、又は以上の任意の2つの数値からなる範囲にあってもよい。
いかなる理論にも限定されないが、上記の含有量の範囲内にあるニオブは、リチウムマンガン酸化物の結晶構造をさらに改善し、外表面に露出するリチウムマンガン酸化物の活性結晶面(111)の数を減少させ、すなわち電解液に接触する活性結晶面(111)の数を減少させることにより、電解液とリチウムマンガン酸化物表面との副反応を減少させ、Mnの溶出をさらに減少させ、それにより電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性を向上させることができると、本発明の発明者は見出した。リチウムマンガン酸化物の変性中に、ニオブ含有化合物を添加し、ニオブ含有化合物の添加量を制御することにより、正極活物質層中のニオブの含有量を制御することができる。本発明では、ニオブ含有化合物は特に制限はなく、例えば、Nb、NbFを含んでもよいが、これらに限定されない。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、A及びCが0.01<A+C≦2.8を満たす。いくつかの実施例において、A及びCが0.011<A+C≦2を満たす。いくつかの実施例において、A及びCが0.07≦A+C≦2.3を満たす。いくつかの実施例において、A及びCが0.01≦A+C≦1.6を満たす。いくつかの実施例において、A+Cは、0.011、0.03、0.05、0.07、0.09、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、もしくは2.8であり、又は以上の任意の2つの数値からなる範囲にあってもよい。
正極活物質中のアルミニウムとニオブの含有量の和、すなわちA+Cの値を上記の範囲内にを制御することにより、電気化学装置の特性は比較的に優れた状態にあり、A+Cの値が高すぎると、電気化学装置のサイクル特性の向上がわずかであり、かつ電気化学装置の可逆容量に影響を与える可能性がある。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、A、B及びCが0.011≦A+B+C≦3.3を満たす。いくつかの実施例において、A、B及びCが0.1≦A+B+C≦2.0を満たす。いくつかの実施例において、A+B+Cは、0.011、0.05、0.07、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.5、3.0、もしくは3.3であり、又は以上の任意の2つの数値からなる範囲にあってもよい。
A+B+Cの値を上記の範囲内に制御することにより、電気化学装置は優れたサイクル特性と保存特性を有する。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、B及びCが0<C/B≦40を満たす。いくつかの実施例において、B及びCが0<C/B≦10を満たす。いくつかの実施例において、B及びCが0<C/B≦5を満たす。いくつかの実施例において、B及びCが0<C/B≦3を満たす。いくつかの実施例において、C/Bは、0.0001、0.0005、0.001、0.003、0.005、0.007、0.009、0.01、0.03、0.05、0.07、0.09、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、1.2、1.5、1.7、1.9、2.0、3.0、5.0、7.0、9.0、10.0、15、20、25、30、35、もしくは40であり、又は以上の任意の2つの数値からなる範囲にあってもよい。
C/Bの値を上記の範囲内に制御することにより、優れた高温サイクル特性と保存容量維持特性を有する電気化学装置を得ることができる。C/Bの値が高すぎると、電気化学装置のサイクル特性に影響を与える可能性があり、C/Bの値が低すぎると、リチウムマンガン酸化物活性結晶面(111)に対する保護が小さく、Mnの溶出に対する抑制がわずかであり、電気化学装置の可逆容量の損失が増大する可能性がある。
本発明の一つの実施形態において、X線回折(XRD)を用いて本発明の正極片粉末を測定した場合、リチウムマンガン酸化物は18°~20°で(111)結晶面に対応する第1回折ピークが現れ、第1回折ピークのピーク強度はI(111)である。
本発明の一つの実施形態において、X線回折(XRD)を用いて本発明の正極片粉末を測定した場合、リチウムマンガン酸化物は43°~45°で(400)結晶面に対応する第2回折ピークが現れ、第2回折ピークのピーク強度はI(400)である。
本発明の一つの実施形態において、X線回折(XRD)を用いて本発明の正極片粉末を測定した場合、リチウムマンガン酸化物は63°~65°で(440)結晶面に対応する第3回折ピークが現れ、第3回折ピークのピーク強度はI(440)である。
本発明の正極片は正極活物質層を含み、正極活物質層は正極活物質を含み、正極活物質の主成分はリチウムマンガン酸化物であり、XRD測定により、本発明のリチウムマンガン酸化物は(111)結晶面、(400)結晶面及び(440)結晶面を含む。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、I(400)及びI(111)が0.25<I(400)/I(111)<0.55を満たす。
本発明の一つの実施形態において、本発明の電気化学装置は、I(440)及びI(400)が0.35<I(440)/I(400)<0.55を満たす。
いかなる理論にも限定されないが、I(400)/I(111)を上記の範囲内に制御し、及び/又は、I(440)/I(400)を上記の範囲内に制御することにより、リチウムマンガン酸化物の結晶構造をさらに改善し、外表面に露出するリチウムマンガン酸化物の活性結晶面(111)の数を減少させることにより、電解液とリチウムマンガン酸化物表面との副反応を減少させ、Mnの溶出をさらに減少させ、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性を向上させることができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質はさらにM元素を含み、M元素はCu、Fe、Mg、Ti、Zr、Zn、W、Sr、Yのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施例において、M元素はMgを含み、かつCu、Fe、Ti、Zr、Zn、W、Sr、Yのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質の重量に対して、M元素の含有量は、5%より小さく、または5%である。いくつかの実施例において、M元素の含有量は、0.01%、0.03%、0.05%、0.07%、0.1%、0.3%、0.5%、0.7%、1.0%、2.0%、3.0%、もしくは5.0%であり、又は上記の任意の2つの数値からなる範囲にあってもよい。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質はX元素をさらに含み、X元素はS、P、B、F、及びClのうちの少なくとも1つを含む。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質の重量に対して、X元素の含有量は、3%より小さく、または3%である。いくつかの実施例において、X元素の含有量は、0.01%、0.03%、0.05%、0.07%、0.1%、0.3%、0.5%、0.7%、1.0%、2.0%、もしくは3.0%であり、又は上記の任意の2つの数値からなる範囲であってもよい。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層は、さらにリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物を含んでもよく、正極活物質の重量に対して、コバルトの重量分率は15%より小さく、または15%である。
いかなる理論にも限定されないが、本発明の正極活物質層は、さらにリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物を含んでもよく、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物表面に残された塩基(例えば、LiCO又はLiOH)は、電解液中のフッ化水素酸(HF)と反応し、電解液の酸度を低下させ、Mnの溶出をさらに減少させることにより、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性を向上させることができる。コバルトの含有量が高すぎると、電気化学装置の生産コストの上昇につながる。したがって、本発明においては、正極活物質の重量に対して、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物中のコバルトの重量分率を15%より小さく、または15%に制御することにより、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性をさらに向上させると共に、生産コストを低減することができる。
本発明におけるリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物は特に制限はなく、本発明の目的を達成できればよく、例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物はニッケルコバルトマンガン酸リチウム(以下、NCMと略称する)であってもよい。当該ニッケルコバルトマンガン酸リチウムは、単結晶ニッケルコバルトマンガン酸リチウム又は多結晶ニッケルコバルトマンガン酸リチウムであってもよい。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層中のニッケルとマンガンのモル比は0.02:1~0.7:1である。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層中のニッケルとマンガンのモル比は0.3:1より小さく、または0.3:1である。
本発明において、正極活物質層中のニッケルとマンガンのモル比及びコバルトとマンガンのモル比を上記の範囲内に制御することにより、正極活物質層中のニッケル、マンガンとコバルトを合理的に配置させ、優れた高温サイクル特性と保存容量維持特性を有する電気化学装置を得ることができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層は、さらにリン酸鉄リチウム(LiFePO、すなわちLFP)を含んでもよく、リン酸鉄リチウムの平均粒子径はリチウムマンガン酸化物の平均粒子径より小さい。
本発明の一つの実施形態において、リン酸鉄リチウムの平均粒子径は2μmより小さく、または2μmである。いくつかの実施例において、リン酸鉄リチウムの平均粒子径は1.8μmより小さく、または1.8μmである。いくつかの実施例において、リン酸鉄リチウムの平均粒子径は1.5μmより小さく、または1.5μmである。いくつかの実施例において、リン酸鉄リチウムの平均粒子径は1.2μmより小さく、または1.2μmである。いくつかの実施例において、リン酸鉄リチウムの平均粒子径は1.0μmより小さく、または1.0μmである。
本発明の一つの実施形態は、リン酸鉄リチウムの粒子径が小さいという特徴を利用し、リチウムマンガン酸化物の少なくとも一部の表面にリン酸鉄リチウムが存在するようにし、すなわち、リチウムマンガン酸化物は部分的にリン酸鉄リチウムで覆われてもよく、全て覆われてもよく、それによって、リチウムマンガン酸化物の表面の副反応を抑制し、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性をさらに改善することができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層中の鉄とマンガンのモル比は0.02:1~0.25:1である。いくつかの実施例において、正極活物質層中の鉄とマンガンのモル比は0.03:1~0.13:1である。いくつかの実施例において、正極活物質層中の鉄とマンガンのモル比は0.05:1~0.12:1である。いくつかの実施例において、正極活物質層中の鉄とマンガンのモル比は0.03:1~0.13:1である。
正極活物質層中の鉄とマンガンのモル比を上記の範囲内に制御することにより、正極活物質層中の鉄とマンガンを合理的に配置させ、リチウムマンガン酸化物の表面の副反応を抑制することができ、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性をさらに向上させることができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層の重量を基準として、リン酸鉄リチウムの重量分率は≦30%である。
いかなる理論にも限定されないが、リン酸鉄リチウムの含有量が正極活物質層において高すぎる(例えば、30%を超える)と、電気化学装置のエネルギー密度に影響を与える。正極活物質層中のリン酸鉄リチウムの重量分率を上記の範囲内に制御することにより、電気化学装置の高温サイクル特性と保存容量維持特性をさらに向上させるとともに、電気化学装置に高いエネルギー密度を持たせることができる。
本発明の一つの実施形態において、正極活物質層の圧縮密度Pは2.7g/cm≦P≦4.0g/cmを満たす。いかなる理論にも限定されないが、正極活物質層の圧縮密度が低すぎる(例えば、2.7g/cm未満である)と、電気化学装置のエネルギー密度の向上に不利である。正極活物質層の圧縮密度が高すぎる(例えば、4.0g/cmを超える)と、正極は脆性破壊が発生しやすく、電気化学装置の安全性に不利である。正極活物質層の圧縮密度を上記の範囲内に制御することにより、電気化学装置に高いエネルギー密度を持たせると共に、優れた安全性を持たせることができる。
本発明はリチウムマンガン酸化物の調製方法に特に制限はなく、当業者に公知の調製方法を採用することができ、例えば、リチウムマンガン酸化物を合成する過程において、LiMnにアルミニウム含有化合物(例えば、Al、Al(OH)、AlF)を添加して、上記のリチウムマンガン酸化物、すなわち変性LMOを得ることができる。なお、本発明は、例えばアルミニウム含有化合物の添加量を制御して、リチウムマンガン酸化物中のアルミニウムの含有量を調整することにより、正極活物質層中におけるアルミニウムの含有量の変化を図ることができる。LiMnの前駆体中のナトリウムの含有量を調整することにより、正極活材料層中におけるナトリウムの含有量の変化を図ることができ、本発明ではその調整過程は具体的に限定されなく、本発明の目的を達成できればよい。
本発明における正極片は、特に制限されず、本発明の目的を達成できればよい。例えば、正極片は通常、正極集電体及び正極活物質層を含む。なお、正極集電体は、特に制限されず、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔又は複合集電体など、当分野の任意の正極集電体であってもよい。
本発明における負極片は、特に制限されず、本発明の目的を達成できればよい。例えば、負極片は通常、負極集電体及び負極活物質層を含む。負極集電体は、特に制限されず、金属箔材又はエキスパンドメタルなどの材料を用いることができる。例えば、銅、ニッケル、チタン、若しくは鉄などの金属又はそれらの合金の箔材又は多孔質板であり、例えば銅箔である。負極活物質層は、負極活物質、導電剤、粘着剤及び増粘剤を含む。負極活物質は、特に制限されず、当該分野の任意の負極活物質を用いることができる。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン、シリコン-カーボン、SiO、Li-Sn合金、Li-Sn-O合金、Sn、SnO、SnO、スピネル構造のチタン酸リチウムLiTi12、Li-Al合金、及び金属リチウムのうちの少なくとも1種を含んでもよい。導電剤は、黒鉛、超伝導炭素、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、及びカーボンナノファイバーのうちの少なくとも1種であってもよい。粘着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルブチラール(PVB)、水性アクリル樹脂(water-based acrylic resin)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)のうちの少なくとも1種であってもよい。増粘剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)であってもよい。
本発明のセパレータの基材は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)及びアラミドのうちから選ばれる少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。例えば、ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレンのうちから選ばれる少なくとも1種の成分を含む。特にポリエチレンとポリプロピレンは、短絡防止に優れた効果を有し、かつ、シャットダウン効果により電気化学装置の安定性を改善することができる。基材は単層構造であってもよく、複数種類を混合した多層複合構造であってもよい。厚さは3μm~20μmである。
本発明のリチウムイオン電池は、さらに電解質を含み、電解質は、ゲル電解質、固体電解質、及び電解液のうちの少なくとも1種であってもよく、電解液はリチウム塩と非水溶媒を含む。本発明のいくつかの実施形態において、リチウム塩は、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiSiF、LiBOB及びジフルオロホウ酸リチウムから選ばれる少なくとも1種である。例えば、LiPFは、高いイオン伝導率を与え、サイクル特性を改善することができるため、リチウム塩として選択されることができる。非水溶媒は、カーボネート化合物、カルボン酸エステル化合物、エーテル化合物、その他の有機溶媒、又はこれらの組み合わせであってもよい。上記カーボネート化合物は、鎖状カーボネート化合物、環状カーボネート化合物、フルオロカーボネート化合物、又はこれらの組み合わせであってもよい。上記鎖状カーボネート化合物の実例は、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、及びこれらの組み合わせである。環状カーボネート化合物の実例は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、及びこれらの組み合わせである。フルオロカーボネート化合物の実例は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,2-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロエチレンカーボネート、1,1,2,2-テトラフルオロエチレンカーボネート、1-フルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、1-フルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1,2-ジフルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、及びこれらの組み合わせである。上記カルボン酸エステル化合物の実例は、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、γ-ブチロラクトン、デカラクトン、バレロラクトン、メバロン酸ラクトン、カプロラクトン、及びこれらの組み合わせである。上記エーテル化合物の実例は、ジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、及びこれらの組み合わせである。上記その他の有機溶媒の実例は、ジメチルスルホキシド、1,2-ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチル-2-ピロリドン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル、及びリン酸エステル、及びこれらの組み合わせである。
本発明の第2の態様は、本発明の上述の実施形態に記載された電気化学装置を含む電子装置を提供する。
本発明の電子装置は、特に限定されるものではなく、従来技術に用いられる既知の任意の電子装置であってもよい。いくつかの実施例において、電子装置は、ノートパソコン、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯型テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、アシスト自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、家庭用大型蓄電池、及びリチウムイオンキャパシタなどを含むことができるが、これらに限定されない。
電気化学装置の調製過程は当業者に周知されるものであり、本発明では特に制限されない。例えば、リチウムイオン電池は、正極と負極をセパレータを介して重ね合わせ、これを必要に応じて巻き取り、折り畳むなどの操作をしてからケース内に入れ、電解液をケースに注入して封口することにより製造することができる。また、必要に応じて過電流防止素子、リード板などをケースに入れてもよく、それによって、リチウムイオン電池内部の圧力上昇、過充電・過放電を防止する。
本発明は、電気化学装置及び電子装置を提供し、当該電気化学装置の正極は正極集電体と正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた正極活物質層とを含み、正極活物質層はリチウムマンガン酸化物を含み、リチウムマンガン酸化物はアルミニウムとナトリウムを含み、正極活物質中のアルミニウムの含有量A%とナトリウムの含有量B%が0.01≦A≦2、0.001≦B≦1を満たすように制御することにより、リチウムマンガン酸化物の結晶構造を改善し、マンガンの溶出を低減し、電気化学装置のサイクル特性、特に高温条件下のサイクル特性を高め、さらに電気化学装置の高温保存特性を高めることができる。
測定方法と装置:
正極活物質層の元素含有量測定:
電圧2.8Vまで放電したリチウムイオン電池を分解し、その後、乾燥後の正極片上の正極活物質層を混合溶媒で溶解し(例えば、正極活物質0.4gに10ml(硝酸と塩酸を1:1で混合)の王水と2mlのHFの混合溶媒を使用)、100mLに定容し、次に、ICP(Inductively coupled plasma、誘導結合プラズマ)分析装置を用いて溶液中のAl、Na、Nbなどの元素の含有量を測定した。
XRD測定:
電圧2.8Vまで放電したリチウムイオン電池を分解し、その後、正極片を取り出し、正極活物質層をドクターブレードで掻き落とし、正極活物質層粉末を得た後、正極活物質層粉末をXRD測定装置(型番:ブルカー、D8)の試料台に置き、2°/minの走査速度、10°~90°の走査角度範囲で、XRD回折パターンを得た。XRD回折パターンでリチウムマンガン酸化物の特徴的なピーク(111)、(400)、(440)に対応するピーク値を取り、次に、I(400)とI(111)の比を得て、I(400)/I(111)と表記し、I(440)とI(400)の比をI(440)/I(400)と表記する。
正極活物質層中の粒子の粒子径測定:
電圧2.8Vまで放電したリチウムイオン電池を分解し、その後、乾燥した正極片をスライスした後、走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスライス断面を観察し、断面中の粒子を探し、その後、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて単粒子の成分を確定し、SEMを用いて単粒子の粒子径の大きさを測定し、測定時の拡大倍率は1000倍で、3枚の画像を選択し、平均値を計算した。なお、測定装置はOXFORD EDS(X-max-20mm)である。
正極活物質層の圧縮密度測定:
電圧2.8Vまで放電したリチウムイオン電池を分解し、その後、正極片を取り出し、正極片をDMC(ジメチルカーボネート)に30min浸漬し、正極片の表面の電解液及び副生成物を除去し、その後、ドラフトチャンバーで4時間乾燥し、乾燥後の正極片を取り出し、5cm×5cmの大きさの正極片5枚を選択し、正極片の厚さを精度0.0001mmのマイクロメータでそれぞれ測定し、d0と表記し、正極片の正極活物質層をドクターブレードで掻き落とし、正極活物質層の重量を天秤で秤量し、mと表記し、活物質を除去した集電体の厚さを精度0.0001mmのマイクロメータで測定し、dと表記し、下式に従って正極活物質層の圧縮密度を計算した。
圧縮密度P=m/[5cm×5cm×(d0-d)]、単位g/cm
正極活物質層の圧縮密度は、5枚の正極片の平均値である。
リチウムイオン電池の容量測定:
リチウムイオン電池4個を取り、25℃の環境下、充電電流0.5Cで上限電圧が4.2Vになるまで充電を行い、その後、放電電流0.2Cで最終電圧が2.8Vになるまで定電流放電を行い、0.2Cの最初の放電容量をこのリチウムイオン電池の容量として計算した。
リチウムイオン電池のサイクル特性測定:
リチウムイオン電池に対して次の手順で充電と放電を繰り返し、リチウムイオン電池の放電容量維持率を計算した。
25℃の環境下、最初の充電と放電を行い、充電電流0.5Cで電圧が4.2Vになるまで充電を行い、その後、放電電流1Cで最終電圧が2.8Vになるまで定電流放電を行い、放電容量を記録し、初回サイクルの放電容量とし、そして、上記の手順を繰り返して充電と放電のサイクルを1000回行い、1000回目のサイクルの放電容量を記録した。
25℃サイクル容量維持率=(1000回目のサイクルの放電容量/初回サイクルの放電容量)×100%。
45℃の環境下、充電電流0.5Cで電圧が4.2Vになるまで充電を行い、その後、放電電流1Cで最終電圧が2.8Vになるまで定電流放電を行い、放電容量を記録し、初回サイクルの放電容量とし、そして、上記の手順を繰り返して充電と放電のサイクルを500回行い、500回目のサイクルの放電容量を記録した。
45℃サイクル容量維持率=(500回目のサイクルの放電容量/初回サイクルの放電容量)×100%。
リチウムイオン電池の高温保存特性測定:
25℃の環境下、充電電流0.5Cで上限電圧が4.2Vになるまで充電を行い、その後、放電電流1Cで最終電圧が2.8Vになるまで定電流放電を行い、放電容量を記録し、保存前容量とした。
0.5C倍率の定電流で電圧が3.85Vになるまで充電し、4.2Vの定電圧で電流が0.05C未満になるまで充電し、電池を60℃のオーブンに置いて14日間保存した後、放電電流1Cで最終電圧が2.8Vになるまで定電流放電を行い、その後、充電電流0.5Cで電圧が4.2Vになるまで充電を行い、その後、放電電流1Cで電圧が2.8Vになるまで定電流放電を行い、電池放電容量を記録し、保存後容量とした。
リチウムイオン電池の容量維持率=保存後容量/保存前容量×100%。
実施例1
<リチウムマンガン酸化物の調製>
炭酸リチウム203.3g(そのうち、リチウム含有量18.71%)、二酸化マンガン1000.0g(そのうち、Mn含有量60.22%、Na含有量0.27%)、三酸化アルミニウム29.96g(アルミニウム含有量52.91%)を秤量し、高速混合機中で300r/minで20min混合し、混合物を空気窯炉に置き、5℃/minで820℃に昇温し、24時間保持し、自然冷却後に取り出し、300メッシュ篩に通した後、リチウムマンガン酸化物(すなわち変性LMO)を得た。
<正極片の調製>
得られた正極活物質、粘着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)を重量比95:2:1.8:1.2で混合した後、溶媒としてNMP(N-メチルピロリドン)を加え、真空攪拌下で均一、透明状、固形分含有量75%の正極スラリーに調製した。正極スラリーを厚さ9μmのアルミニウム箔の一方の表面に均一に塗布し、90℃の条件下で乾燥し、冷間圧延して、正極活物質層の総厚さが100μmである正極片を得た後、この正極片の他方の表面に上記の手順を繰り返し、正極活物質層が両面に塗布された正極片を得た。正極片を74mm×867mmのサイズに切断し、タブを溶接し、待機させた。そのうち、正極活物質層中のアルミニウム含有量は1.52%であり、ナトリウム含有量は0.26%であり、正極活物質層の圧縮密度は2.8g/cmであった。
<負極片の調製>
負極活物質である人造黒鉛、スチレンブタジエンゴム(SBR)、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を重量比98:1:1で混合し、次いで溶媒として脱イオン水を加え、固形分含有量70wt%のスラリーに調製し、均一に攪拌した。スラリーを厚さ8μmの銅箔の一方の表面に均一に塗布し、110℃の条件下で乾燥し、冷間圧延して、負極活物質層の厚さが150μmである片面に負極活物質層が塗布された負極片を得た後、この負極片の他方の表面に上記の塗布手順を繰り返し、負極活物質層が両面に塗布された負極片を得た。負極片を74mm×867mmのサイズに切断し、タブを溶接し、待機させた。
<セパレータの調製>
厚さ15mμのポリエチレン(PE)多孔質重合フィルムをセパレータとした。
<電解液の調製>
含水量10ppm未満の環境下で、非水有機溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を重量比1:1:1で混合した後、非水有機溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を加えて溶解し、均一に混合した。電解液中のLiPFのモル濃度は1.15mol/Lである。電解液の総重量に対して、2%のフルオロエチレンカーボネート、2%のエチレンカーボネート、1%のエチレンスルファートを加え、均一に混合して電解液を作製した。
<リチウムイオン電池の調製>
上記で調製した正極片、セパレータ、負極片を順に積層し、セパレータを正極片と負極片の間に位置させて隔離の役割を果たし、それらを巻き取り、電極アセンブリを得た。電極アセンブリをアルミニウムラミネートフィルム包装袋に入れ、80℃で水分を除去し、調製された電解液を注入し、真空封止、静置、フォーメーション、整形などの工程を経て、リチウムイオン電池を得た。
実施例2~実施例7
実施例1の調製方法と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量及びリチウムマンガン酸化物粒子径にあった。
実施例8
実施例1の調製方法と類似して、相違点は二酸化マンガン1000.0gの代わりに、四酸化三マンガン850.3gを使用することにあり、その他のパラメータの相違点は表1~2に示した。
実施例9
実施例1の調製方法と類似して、相違点はリチウムマンガン酸化物にニオブ含有化合物Nbを添加し、正極活物質層中のアルミニウム含有量を1.01%、ナトリウム含有量を0.26%、ニオブ含有量を0.09%に調整し、正極活物質層の圧縮密度を3.0g/cmに調整したこと以外は、実施例1の調製方法と同様であった。
実施例10
実施例9の調製方法と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量及びリチウムマンガン酸化物粒子径にあった。
実施例11
炭酸リチウム203.3g(そのうち、リチウム含有量18.71%)、四酸化三マンガン850.3g(そのうち、Mn含有量70.82%、Na含有量0.01%)、三酸化アルミニウム19.10g(アルミニウム含有量52.91%)、五酸化ニオブ2.87g(ニオブ含有量79.46%)を秤量し、高速混合機中、300r/minで20min混合し、混合物を空気窯炉に置き、5℃/minで750℃に昇温し、24時間保持し、自然冷却後に取り出し、300メッシュ篩を通過した後、リチウムマンガン酸化物(すなわち変性LMO)製品を得た。
実施例12~実施例13
実施例11の調製方法と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量及びリチウムマンガン酸化物粒子径にあった。
実施例14~実施例21
実施例9の調製方法と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量及びリチウムマンガン酸化物粒子径にあった。
実施例22
正極活物質である変性LMO(その調製方法は実施例9と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量と粒子径にある)と平均粒子径15.3μmの多結晶リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNi0.60Co0.10Mn0.30、NCMと表記する:15.8(601030))を混合し、混合物を得、ニッケルとマンガンのモル比、コバルトとマンガンのモル比が表1~2に示す割合を満たすように、表1~2に示すパラメータに従って配合し、正極活物質層中の元素含有量と粒子径は表1~2に示され、正極活物質層の圧縮密度は3.3g/cmであること以外は、実施例9と同様であった。
実施例23~実施例33
実施例22の調製方法と類似して、相違点は表1~2に示すように元素含有量、変性LMO平均粒子径、多結晶リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物の種類及び平均粒子径、ニッケルとマンガンのモル比、コバルトとマンガンのモル比などのパラメータを調整したことにあった。
実施例34
正極活物質である変性LMO(その調製方法は実施例11と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量と粒子径にある)と平均粒子径15.3μmの多結晶リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNi0.50Co0.20Mn0.30、NCMと表記する:15.9(502030))を混合し、混合物を得た。ニッケルとマンガンのモル比、コバルトとマンガンのモル比が表1~2に示す割合を満たすように、LMOとNCMの割合を調整した。正極活物質層中の元素含有量及び粒子径を表1~2に示す。それ以外は、実施例11と同様であった。
実施例35
正極活物質である変性LMO(その調製方法は実施例11と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量と粒子径にある)と平均粒子径1μmのリン酸鉄リチウム(LFPと略記する)を混合し、混合物を得た。鉄とマンガンのモル比が表1~2に示す割合を満たすように、LMOとLFPの割合を調整した。正極活物質層中の元素含有量及び粒子径を表1~2に示す。それ以外は、実施例11と同様であった。
実施例36
実施例35の調製方法と類似して、相違点は表1~2に示すパラメータにあった。
実施例37
正極活物質である変性LMO(その調製方法は実施例9と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量と粒子径にある)と平均粒子径16.2μmの多結晶リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNi0.55Co0.15Mn0.30、NCMと表記する:16.2(551530))と平均粒子径1μmのリン酸鉄リチウム(LFPと略記する)を混合し、混合物を得、ニッケルとマンガンのモル比、コバルトとマンガンのモル比が表1~2に示す割合を満たし、正極活物質層中の元素含有量と粒子径は表1~2に示され、正極活物質層の圧縮密度は3.3g/cmであった。それ以外は、実施例9と同様であった。
実施例38
正極活物質である変性LMO(その調製方法は実施例11と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量と粒子径にある)と平均粒子径6.4μmの単結晶リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNi0.55Co0.15Mn0.30、NCMと表記する:6.4(551530))と平均粒子径1μmのリン酸鉄リチウム(LFPと略記する)を混合し、混合物を得、ニッケルとマンガンのモル比、コバルトとマンガンのモル比が表1~2に示す割合を満たした。それ以外は、実施例11と同様であった。
実施例39
正極活物質である変性LMO(その調製方法は実施例9と類似して、相違点は表1~2に示す元素含有量と粒子径にある)と平均粒子径16.2μmの多結晶リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(LiNi0.55Co0.15Mn0.30、NCMと表記する:16.2(551530))と粒子径1μmのリン酸鉄リチウム(LFPと略記する)を混合し、混合物を得、ニッケルとマンガンのモル比、コバルトとマンガンのモル比が表1~2に示す割合を満たした。それ以外は、実施例9と同様であった。
実施例40~実施例41
調製方法は実施例9と類似して、相違点は表1~2に示すパラメータにあった。
比較例1
正極活物質がアルミニウムをドープしていないLiMnであること以外は、実施例1と同様であった。
比較例2
正極活物質がアルミニウムをドープしていないLiMnであること以外は、実施例22と同様であった。
比較例3
正極活物質がアルミニウムをドープしていないLiMnであること以外は、実施例37と同様であった。
比較例4
表1~2に示すように正極活物質の元素含有量を調整したこと以外は、実施例9と同様であった。
比較例5
表1~2に示すように正極活物質の元素含有量を調整したこと以外は、実施例9と同様であった。
Figure 2024522673000002
Figure 2024522673000003
そのうち、A、B、Cの組み合わせのパラメータを表3~4に示す:
Figure 2024522673000004
Figure 2024522673000005
表1~2及び表3~4において、「/」は含有していない、又は測定されていないことを示す。
実施例1~8及び比較例1から分かるように、正極活材料層中にアルミニウム含有量A%及びナトリウム含有量B%を有し、かつ0.01≦A≦2、0.001≦B≦1を満たす本発明のリチウムイオン電池は、25℃サイクル容量維持率、45℃サイクル容量維持率及び保存容量維持率のいずれも明らかに向上し、本発明のリチウムイオン電池は優れたサイクル特性、特に高温サイクル特性、及び優れた高温保存特性を有することを示した。
実施例1~8及び比較例1~3から、正極活物質中に本発明のリチウムマンガン酸化物が含まれていない場合(例えば、比較例1~3)、I(400)/I(111)及びI(440)/I(400)は本発明の範囲を超えていることが分かった。それに対して、本発明のI(400)/I(111)、I(440)/I(400)の範囲を有するリチウムイオン電池は、優れたサイクル特性、特に高温サイクル特性、及び優れた高温保存特性を有していることが分かった。
実施例9~21及び比較例4~5から、正極活物質中のアルミニウム含有量が高すぎる場合(例えば、比較例4)、及びナトリウム含有量が高すぎる場合(例えば、比較例5)、I(400)/I(111)及びI(440)/I(400)は本発明の範囲を超えていることが分かった。それに対して、本発明のアルミニウム及びナトリウムの含有量範囲を有するリチウムイオン電池は、25℃サイクル容量維持率、45℃サイクル容量維持率及び保存容量維持率はいずれも明らかに向上していることが分かった。
実施例1~8と実施例9~21との比較から、正極活物質層中に本発明のニオブ元素をさらに含み、かつ含有量C%が本発明の範囲内にある場合、リチウムイオン電池の高温保存性能はさらに向上していることが分かった。
実施例9~21と実施例22~34との比較から、正極活物質層中にリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物をさらに含有する場合、リチウムイオン電池の25℃サイクル容量維持率、45℃サイクル容量維持率、及び保存容量維持率はさらに向上することが分かった。
実施例22~34から、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物中のコバルトの重量分率が異なり、リチウムイオン電池のサイクル特性と高温保存特性に影響を与えたが、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物の含有量を本発明の範囲内にしさえすれば、サイクル特性と高温保存性能に優れたリチウムイオン電池が得られることが分かった。
実施例37~実施例41から、正極活物質層中にリン酸鉄リチウムをさらに含有させる場合、リチウムイオン電池の25℃サイクル容量維持率、45℃サイクル容量維持率、及び保存容量維持率はさらに向上することが分かった。
アルミニウムの含有量、ナトリウムの含有量及びニオブの含有量の関係、すなわちA+B値、A/B値、A+C値、A+B+C値、C/B値も通常リチウムイオン電池のサイクル特性と高温保存特性に影響を与えるが、実施例1~41から、上記A、B、Cの組み合わせのパラメータを本発明の範囲内にしさえすれば、サイクル特性、高温保存特性に優れたリチウムイオン電池が得られることが分かった。
変性LMOの粒子径、NCMの粒子径、LFPの粒子径、正極活物質層中のCoの含有量、NiとMnのモル比、CoとMnのモル比、FeとMnのモル比、及び正極活物質層の圧縮密度も通常、リチウムイオン電池のサイクル特性と高温保存特性に影響を与えるが、実施例1~41から、上記パラメータを本発明の範囲内にしさえすれば、サイクル特性、高温保存特性に優れたリチウムイオン電池が得られることが分かった。
図1は本発明の実施例35の正極片粉末のXRD図であり、図1から、本発明の正極活物質は、18°~20°で(111)結晶面に対応する第1回折ピークが現れ、43°~45°で(400)結晶面に対応する第2回折ピークが現れ、63°~65°で(440)結晶面に対応する第3回折ピークが現れ、0.25<I(400)/I(111)<0.5、0.35<I(440)/I(400)<0.55を満たすことが分かった。
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するためではなく、本発明の主旨と原則の範囲内で行われた修正、同等の置換、改善などは、本発明の保護範囲に含まれる。

Claims (15)

  1. 電気化学装置であって、
    正極、負極、セパレータ及び電解液を含み、
    前記正極は正極集電体と前記正極集電体の少なくとも一方の表面に設けられた正極活物質層とを含み、
    前記正極活物質層はリチウムマンガン酸化物を含み、前記リチウムマンガン酸化物はアルミニウムとナトリウムを含み、
    前記正極活物質の重量に対して、前記アルミニウムの含有量をA%とし、前記ナトリウムの含有量をB%としたとき、A及びBは、0.01≦A≦2、0.001≦B≦1を満たす、電気化学装置。
  2. 前記電気化学装置は、
    (a)A及びBは、0.011≦A+B≦2.5を満たすことと、
    (b)A及びBは、0.1≦A/B≦125を満たすことと、
    のうちの少なくとも一方を満たす、請求項1に記載の電気化学装置。
  3. A及びBは、0.03≦A+B<2、2<A/B≦125を満たす、請求項1に記載の電気化学装置。
  4. 前記リチウムマンガン酸化物はニオブをさらに含み、前記正極活物質の重量に対して、前記ニオブの含有量をC%としたとき、Cは、0<C≦1を満たす、請求項1に記載の電気化学装置。
  5. 前記電気化学装置は、
    (c)A及びCは、0.011<A+C≦2.8を満たすことと、
    (d)A、B及びCは、0.011≦A+B+C≦3.3を満たすことと、
    (e)B及びCは、0<C/B≦40を満たすことと、
    の(c)~(e)のうちの少なくとも一方を満たす、請求項4に記載の電気化学装置。
  6. A及びCは、0.07≦A+C≦2.3を満たす、請求項4に記載の電気化学装置。
  7. XRDにより測定して、前記リチウムマンガン酸化物は、
    (f)前記リチウムマンガン酸化物は18°~20°で(111)結晶面に対応する第1回折ピークが現れ、前記第1回折ピークのピーク強度はI(111)であることと、
    (g)前記リチウムマンガン酸化物は43°~45°で(400)結晶面に対応する第2回折ピークが現れ、前記第2回折ピークのピーク強度はI(400)であることと、
    (h)前記リチウムマンガン酸化物は63°~65°で(440)結晶面に対応する第3回折ピークが現れ、前記第3回折ピークのピーク強度はI(440)であることと、
    の(f)~(h)のうちの少なくとも一方を満たす、請求項1に記載の電気化学装置。
  8. 前記電気化学装置は、
    (i)I(400)及びI(111)は、0.25<I(400)/I(111)<0.55を満たすことと、
    (j)I(440)及びI(400)は、0.35<I(440)/I(400)<0.55を満たすことと、
    のうちの少なくとも一方を満たす、請求項7に記載の電気化学装置。
  9. 前記正極活物質層はさらに、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物を含み、前記正極活物質の重量に対して、コバルトの重量分率は15%より小さく、または15%である、請求項1に記載の電気化学装置。
  10. 前記正極活物質層中のニッケルとマンガンのモル比は0.02:1~0.7:1であり、コバルトとマンガンのモル比は0.3:1より小さく、または0.3:1である、請求項9に記載の電気化学装置。
  11. 前記正極活物質層はさらに、リン酸鉄リチウムを含み、前記リン酸鉄リチウムの平均粒子径は前記リチウムマンガン酸化物の平均粒子径より小さい、請求項1~10のいずれか1項に記載の電気化学装置。
  12. 前記正極活物質層中の鉄とマンガンのモル比は0.02:1~0.25:1である、請求項11に記載の電気化学装置。
  13. 正極活物質層の重量を基準として、リン酸鉄リチウムの重量分率は≦30%である、請求項11に記載の電気化学装置。
  14. 前記正極活物質層の圧縮密度Pは2.7g/cm≦P≦4.0g/cmを満たす、請求項1に記載の電気化学装置。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の電気化学装置を含む、電子装置。
JP2023576229A 2021-08-11 電気化学装置及び電子装置 Pending JP2024522673A (ja)

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