一つの実施形態は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー、並びにポリスチレン、ポリ(スチレン−無水マレイン酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸メチル)、ポリブテン、ポリ(エチレン−ブチレン)、ポリ(ビニルエーテル)、アルカン酸基の炭素原子数が3以上のポリ(アルカン酸ビニル)及びこれらのポリマー系添加剤を1種以上含む組合せからなる群から選択されるポリマー系添加剤を含んでなる硬化性組成物である。
別の実施形態において、硬化性組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンからなり、ポリブテンが約300原子質量単位以上の数平均分子量を有する。好ましくは、硬化性組成物が、約60℃より高く、より好ましくは約75℃以上、さらに好ましくは約90℃以上のゾル−ゲル遷移温度を有するゾル−ゲルを含む。これらの硬化性組成物は、約300原子質量単位以上の数平均分子量を有するポリブテンを含まない組成物と比較して、成形温度に加熱した際の粘度の低下がずっと少なく、そのため良好なガラス担持力と均一なガラス束分布を得ることが可能になる。一例としての成形工程中、充填材を含有する硬化性組成物を加熱された金型に入れる。この硬化性組成物は金型温度に温められ、ゾル−ゲル遷移温度が達成されるか及び/又はそれを超えるとワックス状の固体から流動性の樹脂に変わる。本明細書に記載するゾル−ゲル組成物は、金型内でより長い時間固化した状態に留まることにより、充填材が金型内で沈澱するのが防止されるので、より良好なガラス担持力及びガラス束分布を示すものと考えられる。
本明細書で「ゾル−ゲル」とは、非流動性の多相系として定義される。この多相系は、二元連続構造又は相互連結網目構造と記述することができる。この二元連続構造の一つの相は「足場」と記述することができ、他の相はこの足場内に織り込まれている。ゾル−ゲル遷移温度は、その温度より低いと系の相が分離していて相互連結網目構造を形成しており、その温度より高いと系の相が混和性になりゲルが溶けて流動性の液体になる、その温度である。105℃程度に高いゾル−ゲル遷移温度が達成され得る。
本組成物は官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含んでおり、これは封鎖ポリ(アリーレンエーテル)でも環官能化ポリ(アリーレンエーテル)でもよく、それぞれ以下に定義する。
官能化ポリ(アリーレンエーテル)は封鎖ポリ(アリーレンエーテル)でよい。本発明で、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)とは、対応する未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)中に存在する遊離のヒドロキシル基の50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに一層好ましくは99%以上が封鎖剤との反応によって官能化されているポリ(アリーレンエーテル)と定義される。
封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造によって表すことができる。
Q(J−K)y
式中、Qは一価、二価又は多価フェノールの残基、好ましくは一価又は二価フェノールの残基、より好ましくは一価フェノールの残基であり、yは1〜100であり、Jは次式を有する繰返し構造単位からなる。
式中、mは1〜約200、好ましくは2〜約200であり、R1〜R4は各々が独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C1〜C12アミノアルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC2〜C12ハロ炭化水素オキシなどである。また、前記式中のKはポリ(アリーレンエーテル)上のフェノール性ヒドロキシル基と封鎖試薬との反応によって生成した封鎖基である。得られる封鎖基は次式などで表すことができる。
式中、R5はC1〜C12アルキルなどであり、R6〜R8は各々が独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキル置換アリール、C7〜C18アリール置換アルキル、C2〜C12アルコキシカルボニル、C7〜C18アリールオキシカルボニル、C7〜C18アルキル置換アリールオキシカルボニル、C7〜C18アリール置換アルコキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート、チオカルボキシレートなどであり、R9〜R13は各々が独立に水素、ハロゲン、C1〜C12アルキル、ヒドロキシ、アミノなどであり、Yは次式などのような二価基である。
式中、R14とR15は各々が独立に水素、C1〜C12アルキルなどである。
一つの実施形態において、Qは多官能性フェノールを含めてフェノール類の残基であり、次式の構造の基を包含する。
式中、R1〜R4は各々が独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C1〜C12アルキル、C1〜C12アルケニル、C1〜C12アルキニル、C1〜C12アミノアルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アミノアルキル、C1〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC1〜C12ハロ炭化水素オキシなどであり、Xは水素、C1〜C12アルキル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキル置換アリール、C7〜C18アリール置換アルキル又は上記炭化水素基のいずれかでカルボン酸、アルデヒド、アルコール、アミノ基などのような1以上の置換基を含有するものでよく、またXはイオウ、スルホニル、スルフリル、酸素又はその他の2以上の原子価を有していて各種のビス−又はそれ以上のポリフェノールを生成するような橋架け基でもよく、yとnは各々が独立に1〜約100、好ましくは1〜3、より好ましくは約1〜2であり、好ましい実施形態においてはy=nである。さらにまた、Qは2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジフェノールのようなジフェノールの残基であってもよい。
一つの実施形態において、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は、次式の構造を有する1種以上の一価フェノールの重合生成物から実質的になるポリ(アリーレンエーテル)を封鎖することによって製造される。
式中、R1〜R4は各々が独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C1〜C12アミノアルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC2〜C12ハロ炭化水素オキシなどである。適切な一価フェノールとしてはHayの米国特許第3306875号に記載されているものがあり、極めて好ましい一価フェノールとしては2,6−ジメチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールがある。ポリ(アリーレンエーテル)は2,6−ジメチルフェノールや2,3,6−トリメチルフェノールのような2種以上の一価フェノールのコポリマーであってもよい。
好ましい実施形態において、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する封鎖基を1以上もっている。
式中、R6〜R8は各々が独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキル置換アリール、C7〜C18アリール置換アルキル、C2〜C12アルコキシカルボニル、C7〜C18アリールオキシカルボニル、C7〜C18アルキル置換アリールオキシカルボニル、C7〜C18アリール置換アルコキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート、チオカルボキシレートなどである。極めて好ましい封鎖基としては、アクリレート(R6=R7=R8=水素)及びメタクリレート(R6=メチル、R7=R8=水素)がある。
別の好ましい実施形態では、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する封鎖基を1以上もっている。
式中、R5はC1〜C12アルキル、好ましくはC1〜C6アルキル、より好ましくはメチル、エチル又はイソプロピルである。本発明者らは、驚くべきことに、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)が炭素−炭素二重結合のような重合可能な官能基をもたない場合でも本発明の有利な特性を達成することができるということを見出した。
さらに別の好ましい実施形態においては、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)が次式の構造を有する封鎖基を1以上もっている。
式中、R9〜R13は各々が独立に水素、ハロゲン、C1〜C12アルキル、ヒドロキシ、アミノなどである。このタイプの好ましい封鎖基としては、サリチレート(R9=ヒドロキシ、R10〜R13=水素)がある。
さらに別の好ましい実施形態において、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は次式の構造を有する封鎖基を1以上もっている。
式中、Aは例えば、エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、2−メチル−1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、2,3−ジメチル−1,4−ブチレン、ビニレン(−CH=CH−)、1,2−フェニレンなどのような飽和又は不飽和C2〜C12二価炭化水素基である。これらの封鎖ポリ(アリーレンエーテル)樹脂は、例えば、未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)と環状無水物封鎖剤との反応によって都合よく製造することができる。かかる環状無水物封鎖剤としては、例えば、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、フタル酸無水物などがある。
封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を製造する方法に特に制限はない。封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)と封鎖剤との反応によって生成し得る。封鎖剤としては、フェノール性基と反応することが文献で公知の化合物がある。かかる化合物としては、例えば、無水物、酸塩化物、エポキシ、カーボネート、エステル、イソシアネート、シアネートエステル又はハロゲン化アルキル基を含有するモノマーとポリマーがある。封鎖剤は有機化合物に限定されることはなく、例えば、リン及びイオウ系封鎖剤も包含される。封鎖剤の例としては、例えば、無水酢酸、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、サリチル酸無水物、サリチレート単位を含むポリエステル、サリチル酸のホモポリエステル、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、ジ(4−ニトロフェニル)カーボネートのような炭酸ジフェニル、アクリロイルエステル、メタクリロイルエステル、アセチルエステル、フェニルイソシアネート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルフェニルイソシアネート、シアナトベンゼン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン)、3−(α−クロロメチル)スチレン、4−(α−クロロメチル)スチレン、臭化アリルなど、これらのカーボネート及び置換誘導体、並びにこれらの混合物がある。封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を生成するためのこれら及びその他の方法は、例えば、Holochらの米国特許第3375228号、Goossensの同第4148843号、Percecらの同第4562243号、同第4663402号、同第4665137号及び同第5091480号、Nelissenらの同第5071922号、同第5079268号、同第5304600号及び同第5310820号、Vianelloらの同第5338796号、並びにPetersらの欧州特許第261574号に記載されている。
好ましい実施形態において、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)は、溶媒としてのアルケニル芳香族モノマー中で未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を無水物と反応させることによって製造することができる。このアプローチは、直ちに他の成分とブレンドして硬化性組成物を形成することができる形態の封鎖ポリ(アリーレンエーテル)が生成するという利点を有しており、この方法を使用すると、封鎖ポリ(アリーレンエーテル)の単離も、不要な溶媒又は試薬の除去も必要ない。
未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)と無水物との反応に封鎖触媒を使用してもよい。かかる化合物の例としては、フェノールと上記封鎖剤との縮合を触媒することができる当技術分野で公知のものがある。有用な物質は塩基性化合物、例えば、塩基性化合物水酸化物塩、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラアルキルアンモニウムなど、第三アルキルアミン、例えばトリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルブチルアミンなど、第三混合アルキル−アリールアミン及びこれらの置換誘導体、例えばN,N−ジメチルアニリン、複素環式アミン、例えばイミダゾール、ピリジン及びこれらの置換誘導体、例えば2−メチルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、4−(1−ピロリノ)ピリジン、4−(1−ピペリジノ)ピリジン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどがある。また、例えば、イソシアネート又はシアネートエステルとフェノールとの縮合を触媒することが知られている例えばスズや亜鉛塩のような有機金属塩も有用である。この点で有用な有機金属塩は、当業者に周知の数多くの刊行物及び特許により当技術分野で公知である。
官能化ポリ(アリーレンエーテル)は環官能化ポリ(アリーレンエーテル)であっもよい。本発明で、環官能化ポリ(アリーレンエーテル)とは、次式の繰返し構造単位を含むポリ(アリーレンエーテル)と定義される。
式中、各L1〜L4は独立に水素、アルケニル基又はアルキニル基であり、ここでアルケニル基は次式で表される。
式中、L5〜L7は独立に水素又はメチルであり、aは1〜4の整数である。また、アルキニル基は次式で表される。
式中、L8は水素、メチル又はエチルであり、bは1〜4の整数である。なお、環官能化ポリ(アリーレンエーテル)中の全L1〜L4置換基の約0.02〜約25モルパーセントはアルケニル及び/又はアルキニル基である。この範囲内で、約0.1モルパーセント以上、より好ましくは約0.5モルパーセント以上のアルケニル及び/又はアルキニル基を有するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約15モルパーセント以下、より好ましくは約10モルパーセント以下のアルケニル及び/又はアルキニル基を有するのが好ましいであろう。
環官能化ポリ(アリーレンエーテル)は公知の方法に従って製造することができる。例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のような未官能化ポリ(アリーレンエーテル)をn−ブチルリチウムのような試薬で金属化し、その後臭化アリルのようなハロゲン化アルケニル及び/又は臭化プロパルギルのようなハロゲン化アルキニルと反応させるとよい。環官能化ポリ(アリーレンエーテル)樹脂を製造するためのこの方法及びその他の方法は、例えば、Katayoseらの米国特許第4923932号に記載されている。
本明細書中で「未封鎖」又は「未官能化」として記載するポリ(アリーレンエーテル)は次式を有する繰返し構造単位を含むものと理解されたい。
式中、各構造単位に対して、各Z1は独立に水素、ハロゲン、第一又は第二C1〜C12アルキル、C1〜C12アミノアルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC1〜C12ハロ炭化水素オキシなどであり、各Z2は独立にハロゲン、第一又は第二C1〜C12アルキル、C1〜C12アミノアルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12炭化水素オキシ、ハロゲン原子と酸素原子との間に2以上の炭素原子が介在するC1〜C12ハロ炭化水素オキシなどである。各Z1がC1−4アルキルであり、各Z2が水素又はメチルであるのが好ましい。
官能化ポリ(アリーレンエーテル)の分子量又は固有粘度に特に制限はない。一つの実施形態において、本組成物は、約10000原子質量単位(AMU)以下、好ましくは約5000AMU以下、より好ましくは約3000AMU以下の数平均分子量を有する官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含み得る。かかる官能化ポリ(アリーレンエーテル)はその粘度を低下させることによって本組成物を製造し加工処理する際に有用であろう。
別の実施形態において、本組成物は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が約0.08〜約0.30デシリットル/グラム(dL/g)、好ましくは約0.12〜約0.30dL/g、より好ましくは約0.20〜約0.30dL/gの官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含み得る。一般に、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、対応する未官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度とあまり大きな違いはない。具体的には、官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は一般に未官能化ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度の10%以内である。これらの固有粘度はおよそ約5000〜約25000AMUの数平均分子量に相当し得る。この範囲内で、約8000AMU以上の数平均分子量が好ましいであろう。また、約10000AMU以上の数平均分子量がより好ましいであろう。さらに、この範囲内で、約20000AMU以下の数平均分子量が好ましいであろう。かかる官能化ポリ(アリーレンエーテル)からは、望ましいバランスの靱性と加工性を有する組成物が得られる。異なる分子量と固有粘度を有する2種以上の官能化ポリ(アリーレンエーテル)のブレンドを使用することが明白に考えられる。
好ましい実施形態において、官能化ポリ(アリーレンエーテル)はアルキルアミノ及びジアルキルアミノ置換基を始めとするアミノ置換基を実質的に含まない。ここで、実質的に含まないとは、この官能化ポリ(アリーレンエーテル)が、官能化ポリ(アリーレンエーテル)1グラムにつき約300マイクログラム未満、好ましくは約100マイクログラム未満の原子状窒素を含有することを意味している。多くのポリ(アリーレンエーテル)はアミノ置換基が混入することになる方法で合成されるが、本発明者らは、官能化ポリ(アリーレンエーテル)がアミノ置換基を実質的に含まないときに熱硬化速度が増大することを見出した。アミノ置換基を実質的に含まないポリ(アリーレンエーテル)は、直接合成することもできるし、アミノ−置換ポリ(アリーレンエーテル)を約200℃以上に加熱することによって生成させることもできる。或いは、官能化ポリ(アリーレンエーテル)がアミノ置換基を含有している場合、組成物を約200℃未満の温度で硬化するのが望ましいであろう。
本組成物は2種以上の官能化ポリ(アリーレンエーテル)のブレンドを含んでいてもよい。かかるブレンドは個別に製造し単離した官能化ポリ(アリーレンエーテル)から製造することができる。或いは、かかるブレンドは、単一のポリ(アリーレンエーテル)を2種以上の官能化剤と反応させることによって製造してもよい。例えば、ポリ(アリーレンエーテル)を2種の封鎖剤と反応させてもよいし又はポリ(アリーレンエーテル)を金属化し2種の不飽和アルキル化剤と反応させてもよい。別の代替法においては、2種以上のポリ(アリーレンエーテル)樹脂の混合物を単一の官能化剤と反応させてもよい。
本組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリマー系添加剤の合計100重量部当たり約10〜約90重量部の量で官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含み得る。この範囲内で、約20重量部以上、より好ましくは約30重量部以上の量の官能化ポリ(アリーレンエーテル)を使用するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約80重量部以下、より好ましくは約70重量部以下、さらに好ましくは約60重量部以下、さらにより好ましくは約50重量部以下の量で官能化ポリ(アリーレンエーテル)を使用するのが好ましいであろう。
本組成物はさらにアルケニル芳香族モノマーを含んでいる。アルケニル芳香族モノマーは次式の構造を有し得る。
式中、各R16は独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C6〜C18アリールなどであり、各R17は独立にハロゲン、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシル、C6〜C18アリールなどであり、pは1〜4であり、qは0〜5である。p=1のとき、このアルケニル芳香族モノマーは単官能性アルケニル芳香族モノマーといわれ、p=2〜4であるときは、このアルケニル芳香族モノマーは多官能性アルケニル芳香族モノマーといわれる。適切なアルケニル芳香族モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−第三−ブチルスチレン、α−フェニルスチレンなど、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、フルオロスチレン、ジフルオロスチレン、トリフルオロスチレン、テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロスチレンなどのようなハロゲン化スチレン、クロロメチルスチレンなどのようなハロゲン化アルキルスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレンなどのようなアルコキシスチレン、1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼンなどのような多官能性アルケニル芳香族モノマー及び上記アルケニル芳香族モノマーを1種以上含む混合物がある。上記置換スチレンで、置換基の位置が特定されていない場合、その置換基は芳香環上のいかなる遊離の位置を占めてもよい。
好ましいアルケニル芳香族モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼンなど及び上記アルケニル芳香族モノマーを1種以上含む混合物がある。好ましいアルケニル芳香族モノマーにはさらに、芳香環上に1〜5個のハロゲン置換基を有するスチレン及びかかるハロゲン化スチレンを1種以上含む混合物が包含される。
アルケニル芳香族モノマーは数多くの販売元から市販されている。またこれらは当技術分野で公知の方法で製造してもよい。
本組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリマー系添加剤の合計100重量部当たり約10〜約90重量部の量でアルケニル芳香族モノマーを含み得る。この範囲内で、約20重量部以上、より好ましくは約30重量部以上の量でアルケニル芳香族モノマーを使用するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約80重量部以下、より好ましくは約70重量部以下、さらに好ましくは約60重量部以下、さらにより好ましくは約50重量部以下の量でアルケニル芳香族モノマーを使用するのが好ましいであろう。
本組成物はさらにアクリロイルモノマーを含んでいる。アクリロイルモノマーは次式の構造を有するアクリロイル部分を1種以上含んでいる。
式中、R18及びR19は各々が独立に水素、C1〜C12アルキルなどであって、R18及びR19は炭素−炭素二重結合に関してシス又はトランスの配置をとり得る。R18とR19は各々が独立に水素又はメチルであるのが好ましい。一つの実施形態において、アクリロイルモノマーは上記構造を有するアクリロイル部分を2以上含んでおり、多官能性アクリロイルモノマーといわれる。別の実施形態において、アクリロイルモノマーは上記構造を有するアクリロイル部分を3以上含んでいる。
一つの実施形態において、アクリロイルモノマーは次式の構造を有するアクリロイル部分を1以上含んでいる。
式中、R20〜R22は各々が独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキル置換アリール、C7〜C18アリール置換アルキル、C2〜C12アルコキシカルボニル、C7〜C18アリールオキシカルボニル、C8〜C18アルキル置換アリールオキシカルボニル、C8〜C18アリール置換アルコキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボキシレート、イミデート、チオカルボキシレートなどである。好ましくは、R20〜R22は各々が独立に水素又はメチルである。一つの実施形態において、アクリロイルモノマーは上記構造を有するアクリロイル部分を2以上含んでいる。別の実施形態において、アクリロイルモノマーは上記構造を有するアクリロイル部分を3以上含んでいる。
多くの別の適切なアクリロイルモノマーがYeagerらの米国出願公開第2001/0053820号に記載されている。
好ましい実施形態において、アクリロイルモノマーとしては、1分子当たり2以上のアクリロイル部分、より好ましくは3以上のアクリロイル部分を有する化合物を挙げることができる。実例としては、アクリル酸又はメタクリル酸とジ−エポキシドとの縮合により生成する化合物、例えばビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル又はネオペンチレングリコールジメタクリレートがある。具体例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート及びネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレートなどがある。また、反応性アクリレート又はメタクリレート化合物とアルコール又はアミンとの縮合で得られる多官能性アクリレート又は多官能性アクリルアミドもアクリロイルモノマーに包含される。例としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、メチレンビス((メタ)アクリルアミド)、1,6−ヘキサメチレンビス((メタ)アクリルアミド)、ジエチレントリアミントリス((メタ)アクリルアミド)、ビス(γ−((メタ)アクリルアミド)プロポキシ)エタン、β−((メタ)アクリルアミド)エチルアクリレート、エチレングリコールジ((メタ)アクリレート))、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートグリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ベンゼンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート)、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、2,2−ビス(4−(2−(メタ)アクリルオキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−(メタ)アクリルオキシエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス((4−(メタ)アクリルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス((4−(メタ)アクリルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなど及び上記アクリロイルモノマーを1種以上含む混合物がある。「(メタ)アクリル−」という略称は「アクリル−」又は「メタクリル−」のいずれかを示すものと了解されたい。
極めて好ましいアクリロイルモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ジブチルフマレート、ジブチルマレエート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなど及び上記アクリロイルモノマーを1種以上含む混合物がある。
アクリロイルモノマーは数多くの販売元から市販されている。また、当技術分野で公知の方法によって製造してもよい。
本組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリマー系添加剤の合計100重量部当たり約1〜約50重量部の量でアクリロイルモノマーを含み得る。この範囲内で、約5重量部以上、より好ましくは約10重量部以上の量でアクリロイルモノマーを使用するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約40重量部以下、より好ましくは約30重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下の量でアクリロイルモノマー使用するのが好ましいであろう。
一つの実施形態において、本組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(アルケニル芳香族)化合物及びアクリロイル化合物に加えてさらに、ガラス転移温度が100℃以下で、ヤング率が25℃で1000MPa以下のポリマー系添加剤を含んでいる。ここで、このポリマー系添加剤は混合した官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー及びアクリロイルモノマーに50℃以下の温度で可溶性である。
ポリマー系添加剤は、混合した官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー及びアクリロイルモノマーに40℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下の温度で可溶性であるのが好ましいであろう。溶解度の制限を記述するもう一つ別の方法は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリマー系添加剤が全体で、50℃以下の温度で溶液、好ましくは実質的に均一な溶液を形成することができるということである。実質的に均一な溶液とは、その溶液が、あらゆる寸法が1マイクロメートルより大きい粒子を0.1重量%未満含有することを意味している。この溶液は好ましくは、あらゆる寸法が1マイクロメートルより大きい粒子を0.01重量%未満含有している。
このポリマー系添加剤はガラス転移温度が100℃以下、好ましくは75℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに一層好ましくは25℃以下、さらに一層好ましくは0℃以下である。
ポリマー系添加剤はヤング率が25℃で1000MPa以下、好ましくは25℃で100MPa以下、より好ましくは25℃で10MPa以下である。
一つの実施形態において、ポリマー系添加剤はポリ(アルケニル炭化水素)、ポリ((メタ)アクリル酸メチル)、ポリ(ビニルエステル)、ポリシロキサン及び上記ポリマー系添加剤を1種以上含む組合せからなる群から選択される。
ポリマー系添加剤はポリ(アルケニル炭化水素)からなり得る。適切なポリ(アルケニル炭化水素)としては、次式を有する繰返し構造単位を80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上含むものがある。
式中、R23〜R26は各々が独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アラルキル又はC7〜C18アルキルアリールである。好ましい実施形態において、R23〜R26は各々が独立に水素、C1〜C12アルキル又はC2〜C12アルケニルである。一つの実施形態においては、ポリ(アルケニル炭化水素)はヘテロ原子を含まない。
一つの実施形態において、ポリ(アルケニル炭化水素)は、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、スチレン及び/又はα−メチルスチレンの重合生成物である第1のブロックとブタジエン及び/又はイソプレンの水素化重合生成物である第2のブロックとを含むブロックコポリマーなど又は上記ポリオレフィンを1種以上含む組合せからなり得る。
別の実施形態において、ポリ(アルケニル炭化水素)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリブタジエン、カルボキシ末端ポリブタジエン、ポリイソブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、イソブチレン−イソプレンコポリマー、ブタジエン−イソプレンコポリマーなど又は上記ポリオレフィンを1種以上含む組合せからなり得る。
適切なポリ(アルケニル炭化水素)は、例えば、Zelinskiらの米国特許第3281383号、Waldらの同第3595942号、Isakaらの同第4230767号、Ewenらの同第4892851号、Mayrらの同第4298718号、Mayrらの同第4544717号、Ewenの同第4794096号、Ewenの同第4975403号、Ravaziの同第5243002号、Sugaらの同第5308811号、Matsumotoの同第5444134号及びAlbeらの同第6090872号に記載されているもののような当技術分野で周知の方法に従って製造できる。また、適切なポリ(アルケニル炭化水素)は、例えば、Kraton PolymersによりKRATON(登録商標)L1203及びL2203として販売されているポリ(エチレン−ブチレン)、並びにNoveon SolutionsからHYCAR(登録商標)2000X162及びHYCAR(登録商標)1300X31として販売されているカルボキシ末端ポリブタジエンを始めとして、商業的に供給元から入手することもできる。
一つの実施形態においては、ポリマー系添加剤がポリ((メタ)アクリル酸メチル)からなる。適切なポリ((メタ)アクリル酸メチル)には、次式を有する繰返し構造単位を80重量%以上、好ましくは約90重量%以上、より好ましくは約95重量%以上、さらに好ましくは約98重量%以上含むものがある。
式中、各R27は独立に水素又はメチルであり、各R28は独立にC1〜C12アルキルである。好ましくは、R28はC2〜C6アルキルである。接頭語「(メタ)アクリル−」は「アクリル−」又は「メタクリル−」を意味するものと理解されたい。
適切なポリ((メタ)アクリル酸メチル)としては、例えば、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)、ポリ(アクリル酸2−ヘキシル)など及び対応するモノマーのコポリマー、並びに上記ポリ((メタ)アクリル酸メチル)を1種以上含む組合せがある。
一つの実施形態において、ポリ((メタ)アクリル酸メチル)は、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(アクリル酸2−ヘキシル)など又は上記ポリ((メタ)アクリル酸アルキル)を1種以上含む組合せであり得る。
適切なポリ((メタ)アクリル酸アルキル)は、例えば、Schlatzerの米国特許第3476722号、Baruaらの同第4081418号及びLewisらの同第4158736号に記載されているような当技術分野で公知の方法に従って製造することができる。また、適切なポリ((メタ)アクリル酸アルキル)は供給元から商業的に入手でき、例えば、Aldrich Chemicalから製品番号18221−4として得られる重量平均分子量が約40000AMUでガラス転移温度が約9℃のポリ(アクリル酸メチル)、Aldrich Chemicalから製品番号18188−9として得られる重量平均分子量が約95000AMUでガラス転移温度が約−23℃のポリ(アクリル酸エチル)及びAldrich Chemicalから製品番号18140−4として得られる重量平均分子量が約99000AMUでガラス転移温度が約−49℃のポリ(アクリル酸ブチル)がある。
一つの実施形態において、ポリマー系添加剤はポリ(ビニルエステル)からなる。適切なポリ(ビニルエステル)には、次式を有する繰返し構造単位を80重量%以上、好ましくは約90重量%以上、より好ましくは約95重量%以上、さらに好ましくは約98重量%以上含むものがある。
式中、各R29は独立にC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキルアリール、C7〜C18アラルキルなどであり、これらの基は各々が、場合により、エポキシ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシルなどを始めとする1以上の置換基で置換されていてもよい。一つの実施形態において、各R29は独立にC1〜C18アルキルである。一つの実施形態において、各R29は独立にC3〜C12アルキル、より好ましくはC3〜C10アルキル、さらに好ましくはC3〜C7アルキルである。極めて好ましいポリ(ビニルエステル)としては、ポリ(酢酸ビニル)及び酢酸ビニルと酸含有ビニル化合物(例えば、メタクリル酸又はクロトン酸)とのコポリマーがある。
ポリ(ビニルエステル)は、数平均分子量が約1000〜約150000AMUであるのが好ましい。この範囲内で、数平均分子量は約5000AMU、7000AMU又は10000AMU以上であり得る。また、この範囲内で、数平均分子量は約100000AMU、80000AMU又は50000AMU以下であり得る。
好ましいポリ(ビニルエステル)としては、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ノナン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル(ラウリン酸ビニル)、テトラデカン酸ビニル(ミリスチン酸ビニル)、ヘキサデカン酸ビニル(パルミチン酸ビニル)、オクタデカン酸ビニル(ステアリン酸ビニル)など及び上記モノマーを1種以上含む混合物のポリマーがある。
ポリ(ビニルエステル)は、例えば、M.K.Lindemann in G.E.Han、Ed.「Vinyl Polymerization」、第1巻、Dekker:New York(1967年)、第252〜255頁及びK.K.Georgieffら.J.Appl.Pol.Sci.、1964年、第8巻、第889〜896頁に記載されているように当技術分野で公知の方法によって製造できる。また、ポリ(ビニルエステル)は、例えば、Union CarbideのLP40A、LP90及びNEULON(登録商標)T、BASFからACRONAL(登録商標)、ACROSOL及びSTYRONAL(登録商標)という商標で販売されているもの、BayerのDESMOPHEN(登録商標)A、Cray ValleyからSYNOCRYL(登録商標)という商標で販売されているもの、並びにDegussaからDEGALAN(登録商標)という商標で販売されているものから商業的に入手することもできる。
一つの実施形態において、ポリマー系添加剤は、少なくとも第1のモノマータイプと第2のモノマータイプの重合生成物を約80重量%以上、好ましくは約90重量%以上、より好ましくは約95重量%以上、さらに好ましくは約98重量%以上含むコポリマーであり、この第1のモノマータイプ及び第2のモノマータイプは異なるものであり、独立にアルケニル炭化水素、(メタ)アクリル酸アルキル、アルカン酸ビニル及びニトリルからなる群から選択される。言い換えると、これらコポリマーは、同じタイプの2種のモノマー(例えば、2種類の異なるアルケニル炭化水素)ではなく、2種類の異なるモノマータイプ(例えば、アルケニル炭化水素と(メタ)アクリル酸アルキル)を含んでいる。
好ましいコポリマーとしては、例えば、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、カルボキシ末端ブタジエン−アクリロニトリルコポリマーなど又は上記コポリマーを1種以上含む組合せを挙げることができる。
一つの実施形態において、ポリマー系添加剤はブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポリクロロプレン−ブタジエン−スチレンコポリマー又はこれらの組合せからなる。
別の実施形態において、ポリマー系添加剤はエチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンターポリマー、アクリル酸エチル−アクリロニトリルコポリマー、マレイン酸無水物−グラフト化ポリブタジエン、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸ターポリマー、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸ターポリマーなど又は上記コポリマーを1種以上含む組合せからなり得る。
適切なコポリマーは、例えば、Bertschらの米国特許第5053496号、Siebertらの同第5157077号及びSiebertらの同第5198510号に記載されているような当技術分野で周知の方法に従って製造することができる。また、適切なコポリマーは、例えば、Noveon SolutionsからHYCAR(登録商標)1300X31 CTBNとして得られる、カルボキシル含量酸価が28、溶解度パラメーターが8.14、数平均分子量が3800AMU、ガラス転移温度が−66℃のカルボキシ末端ブタジエン(90%)/アクリロニトリル(10%)コポリマーを始めとする商業的供給元から入手することもできる。
一つの実施形態において、ポリマー系添加剤はポリシロキサンからなる。適切なポリシロキサンには次式を有するものがある。
式中、R30〜R33は各々が独立に水素、ヒドロキシ、C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、C2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキルアリール及びC7〜C18アラルキルであり、上記の各基は、場合により、エポキシ、ヒドロキシ、シアノ、アミド、アミノ及びカルボキシルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、nは約3〜約10000である。好ましくは、nは10以上、より好ましくは100以上である。好ましい実施形態において、R30〜R33は各々が独立にC1〜C12アルキル又はC2〜C12アルケニルである。適切なポリシロキサンとして、さらに、予め形成したポリマー又はオリゴマー(例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)又は上記のようなポリ(アルケニル炭化水素))と、上記ポリシロキサン鎖とから、縮合又はヒドロシレーションによって形成されるグラフト及びブロックコポリマーがある。
適切なポリシロキサンの例としては、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー、ビニル末端ジエチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキサン末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、シラノール末端ビニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ビニルシロキサンガム、ビニルメチルシロキサンホモポリマー、ビニルメトキシシロキサンホモポリマー、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリエチルヒドロシロキサン、シラノール末端ポリジメチルシロキサン、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン、アミノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ポリジメチルシロキサン−ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマー、ポリジメチルシロキサン−ポリ(プロピレンオキシド−エチレンオキシド)コポリマー(例えば、50〜70%のポリ(プロピレンオキシド−エチレンオキシド)を含むもの)、シアノプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、(N−ピリドンプロピル)シロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、エポキシプロポキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、エポキシシクロヘキシルエチルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、(メタ)アクリルオキシプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーなどがある。
好ましいポリシロキサンとして、ビニル末端ポリジメチルシロキサンがある。その他の好ましいポリシロキサンとしては、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンがある。ポリシロキサンは、例えば、Satoらの米国特許第3996195号、Matsumotoらの同第4257936号、Steinの同第4855351号及びFujikiらの同第5405896号に記載されているような当技術分野で公知の方法によって製造することができる。また、ポリシロキサンは、例えば、General Electric Companyの一部門であるGE Siliconesから商業的に入手することもできる。
一つの実施形態において、ポリシロキサンは、場合によりフェニル及び/又はビニル基で置換されていてもよいメチルシリコーンからなる。
一つの実施形態において、本組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(アルケニル芳香族)化合物及びアクリロイル化合物に加えてさらに、ポリスチレン、ポリ(スチレン−無水マレイン酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸メチル)、ポリブテン、ポリ(エチレン−ブチレン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)及び上記ポリマー系添加剤を1種以上含む組合せからなる群から選択されるポリマー系添加剤を含んでいる。
ポリマー系添加剤として使用するのに適切なポリスチレンとしては、次式を有する繰返し構造単位を約80重量%以上、好ましくは約90重量%以上、より好ましくは約95重量%以上、さらに一層好ましくは約98重量%以上含むホモポリマー及びコポリマーがある。
式中、R34は水素、C1〜C8アルキル、ハロゲンなどであり、Zはビニル、ハロゲン、C1〜C8アルキルなどであり、pは0〜5である。好ましいアルケニル芳香族モノマーとしては、スチレン、p−クロロスチレンのようなクロロスチレン及びp−メチルスチレンのようなメチルスチレンがある。上のアルケニル芳香族モノマーのホモポリマー及びコポリマーに加えて、ポリスチレンはさらに、10重量%以下の、例えばアクリロニトリル、ブタジエン及びマレイン酸無水物のような他の共重合可能なモノマーをさらに含むコポリマーからなっていてもよい。好ましいポリスチレンは、数平均分子量が約10000〜約400000原子質量単位(AMU)のスチレンのホモポリマーである。このポリスチレンはアタクチックでも、シンジオタクチックでも、アイソタクチックでもよいが、アタクチックポリスチレンが好ましい。適切なポリスチレンは、例えば、Wrightの米国特許第3280089号に記載されているような当技術分野で公知の方法によって製造することができる。また、適切なポリスチレンは、例えば、Nova ChemicalからDYLARK(登録商標)1200及び1600として、AOC Resinsからスチレン溶液中ポリスチレンN715として、Aldrich Chemicalからカタログ番号18242−7で入手可能な重量平均分子量が280000でガラス転移温度が100℃のポリスチレンとして、並びにPolysciences Inc.から入手可能な各種ポリスチレンとして商業的にも入手することができる。
ポリマー系添加剤として使用するのに適切なポリ(スチレン−無水マレイン酸)コポリマーとして、スチレン含量が約50〜約95重量%で、マレイン酸無水物含量が約5〜約50重量%であるスチレンとマレイン酸無水物のランダムコポリマーがある。かかるコポリマーは、例えば、Tietzの米国特許第3404135号に記載されているような公知の方法によって製造することができる。また、これらは、例えば、Sartomer Companyから重量平均分子量が5500AMU、ガラス転移温度が155℃、酸価が465〜495のSMA(登録商標)1000のようなSMA(登録商標)樹脂として、並びにAldrich Chemical Co.からカタログ番号42695−4で入手可能な14重量%のマレイン酸無水物を有しガラス転移温度が132℃のポリ(スチレン−無水マレイン酸)として商業的に入手することもできる。
ポリマー系添加剤として使用するのに適切なポリ(スチレン−メタクリル酸メチル)コポリマーとしては、スチレン含量が約25〜約90重量%で、メタクリル酸メチル含量が約10〜約75重量%であるスチレンとメタクリル酸メチルのランダムコポリマーがある。かかるコポリマーは、例えばJanowiczらの米国特許第4680352号に記載されているような公知の方法によって製造することができる。また、ポリ(スチレン−メタクリル酸メチル)コポリマーは商業的に入手することもでき、例えば、Nova Chemical Companyから入手可能な、ASTM D1238に従って200℃、5kgで測定したメルトフローレートが1.9g/10min、D1525に従って測定したVicat軟化温度が106℃のNAS(登録商標)樹脂21、Nova Chemical Companyから入手可能な、ASTM D1238に従って200℃、5kgで測定したメルトフローレートが2.2g/10minで、D1525に従って測定したVicat軟化温度が104℃のNAS(登録商標)樹脂30、並びに、Aldrich Chemical Co.からカタログ番号46289−6で入手可能な、約40重量%のスチレンをもち、重量平均分子量が約100000〜150000AMUで、ガラス転移温度が101℃のポリ(スチレン−コ−メタクリル酸メチル)がある。
ポリマー系添加剤として使用するのに適切なポリブテンとしては、1−ブテン、2−ブテン及びイソブテンのホモポリマー及びコポリマーがある。ポリブテンは好ましくは、数平均分子量が約150〜約3000原子質量単位(AMU)であり得る。さらに好ましくは、ポリブテンは約300原子質量単位(AMU)以上の数平均分子量を有する。ポリブテンは、例えばOlundの米国特許第3808286号に記載されているような公知の方法に従って製造することができる。また、これらは商業的に入手することもでき、例えば、AmocoのINDOPOL(登録商標)ポリブテンL−4、L−6、L−10、L−14、H−15、H−25、H−35、H−40、H−50、H−100、H−300、H−1500、H−1900(これらの物質は数平均分子量が約180〜約2500の範囲、多分散度が約1〜約2、ガラス転移温度が−65℃未満である)、並びに、ExxonMobil ChemicalのPARAPOL(登録商標)ポリブテン450、700、950、1300、2350及び2700がある。
別の実施形態において、硬化性組成物はポリブテンを含み、この硬化性組成物は、好ましくは約60℃より高く、より好ましくは約75℃以上、さらに一層好ましくは約90℃以上のゾル−ゲル遷移温度を有するゾル−ゲルを形成する。本明細書で「ゾル−ゲル」とは、非流動性の多相系として定義される。この多相系は、二元連続構造又は相互連結網目構造と記述することができる。この二元連続構造の一つの相は「足場」と記述することができ、他の相はこの足場内に織り込まれている。図3から分かるように、共焦点顕微鏡像は第1の相(10)と第2の相(20)とを有するゾル−ゲルの構造又は網目を示している。この第1の相と第2の相は互いに織り込まれているのが分かる。ゾル−ゲル遷移温度(Tsol−gel)より高温に加熱すると、相互連結した網目が溶けて、この系は混和性(すなわち、単一の相)になる。ゾル−ゲル遷移温度とは、その温度より低いと系の相が分離していて相互連結網目構造を形成しており、その温度より高いと系の相が混和性になりゲルが溶けて流動性の液体になる、その温度である。105℃程度に高いゾル−ゲル遷移温度を達成し得る。一つの非限定例において、ゾル−ゲルは、官能化(ポリアリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンからなる硬化性組成物から形成することができる。
硬化性組成物ゾル−ゲルは、成形するときの良好なガラス担持力及び均一なガラス束分布を提供するものと考えられる。成形は、未硬化の組成物が押圧され同時に加熱される動的プロセスである。ゾル−ゲルは、この遷移過程において非ゲル化類似体より高い粘度を保持する。この粘度保持により、その樹脂が、その複合材のガラス繊維成分を担持し、成形される物体の全ての部分に押し出すものと考えられる。さらにまた、高めの粘度の樹脂により伝達される剪断力は、ガラス束から個々の繊維を分断するのを助け、そのため成形部品中でのその分布を改良するものと考えられる。
約60℃より高いゾル−ゲル遷移温度を有する硬化性組成物ゾル−ゲルを形成するのに適したポリブテンとしては、約300原子質量単位(AMU)以上で約1000AMU以下、好ましくは約500AMU以上で約800AMU以下の数平均分子量を有する1−ブテン、2−ブテン及びイソブテンのホモポリマー及びコポリマーがある。1000AMUより高い数平均分子量を有するポリブテンを使用することもできるが、粘度が増大して加工処理が困難になる可能性がある。適切な市販のポリブテンとしては、AmocoのINDOPOL(登録商標)ポリブテンL−10、L−14、H−15、H−25、H−35、H−40、H−50及びH−100がある。
ゾル−ゲル硬化性組成物に好ましいポリブテンの量は、官能化(ポリアリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンの合計100重畳部に対して約0.1〜約30重量部とすることができる。この範囲内で、ポリブテンの量は、官能化(ポリアリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンの合計100重畳部に対して約1又は約5重量部以上であろう。また、この範囲内で、ポリブテンの量は、官能化(ポリアリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンの合計100重畳部に対して約10又は約20重量部以下であろう。
ポリマー系添加剤として使用するのに適切なポリ(エチレン−ブチレン)コポリマーとしては、エチレン含量が約1〜約99重量%で、ブチレン含量が約99〜約1重量%であるランダム及びブロックコポリマーがある。ここでブチレンとは1−ブテンと定義される。ポリ(エチレン−ブチレン)は、エチレンとブチレンに加えて、10重量%以下の他のモノマー及び官能化剤を含んでいてもよい。例えば、ポリ(エチレン−ブチレン)はモノヒドロキシ−若しくはジヒドロキシ末端ポリ(エチレン−ブチレン)又はモノカルボキシ−若しくはジカルボキシ末端ポリ(エチレン−ブチレン)であってもよい。ポリ(エチレン−ブチレン)コポリマーは好ましくは、約1000〜約5000AMUの数平均分子量を有し得る。適切なポリ(エチレン−ブチレン)コポリマーはブタジエンの重合とその後の水素添加のような公知の方法に従って製造することができる。また、適切なポリ(エチレン−ブチレン)コポリマーは、例えば、Kraton Polymersから約4200の数平均分子量を有するKRATON(登録商標)L1203として及びKraton Polymersから約1700の数平均分子量を有するKRATON(登録商標)L2203として商業的に入射可能である。
ポリマー系添加剤として使用するのに適切なポリ(ビニルエーテル)樹脂としては、次式を有する繰返し構造単位を約80重量%以上、好ましくは約90重量%以上、より好ましくは約95重量%以上、さらに好ましくは約98重量%以上含むものがある。
式中、R35はC1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C18アリール、C7〜C18アルキルアリール、C7〜C18アラルキルなどである。好ましい実施形態において、R39はC1〜C12アルキルである。好ましいポリ(ビニルエーテル)樹脂としては、例えば、ポリ(エチルビニルエーテル)、ポリ(イソブチルビニルエーテル)、ポリ(シクロヘキシルビニルエーテル)など、対応するビニルエーテルのコポリマー及び上記ポリ(ビニルエーテル)を1種以上含む組合せがある。このポリ(ビニルエーテル)は好ましくは、約3000〜約150000AMUの数平均分子量を有し得る。この範囲内で、数平均分子量は約10000AMU以上が好ましいであろう。また、この範囲内で、数平均分子量は約100000AMU以下が好ましいであろう。ポリ(ビニルエーテル)は好ましくはガラス転移温度が20℃以下、より好ましくは0℃以下であろう。ポリ(ビニルエーテル)樹脂は、当技術分野(例えば、Doughertyらの米国特許第5691430号)で公知の方法に従って製造することもできるし又は商業的に入手することもでき、例えば、BASFからLUTENOL(登録商標)という商標で、例えばLUTENOL(登録商標)Mとして販売されているポリ(ビニルメチルエーテル)、LUTENOL(登録商標)Aとして販売されているポリ(ビニルエチルエーテル)、LUTENOL(登録商標)Iとして販売されているポリ(ビニルイソブチルエーテル)及びLUWAX(登録商標)Vとして販売されているポリ(ビニルオクタデシルエーテル)がある。
ポリマー系添加剤として使用するのに適切なポリ(酢酸ビニル)樹脂としては、数平均分子量が約3000〜約150000AMUの酢酸ビニルホモポリマーがある。この範囲内で、数平均分子量は約10000以上が好ましいであろう。また、この範囲内で、数平均分子量は約100000AMU以下であるのが好ましいであろう。ポリ(酢酸ビニル)は、好ましくはガラス転移温度が約70℃以下であろう。ポリ(酢酸ビニル)樹脂は、公知の方法(例えば、MacKenzieらの米国特許第3285895号)に従って製造することができるし又は、例えば、LP40AとしてDowにより販売されている(以前はUnion Carbideにより販売されていた)スチレン中40重量%ポリマー溶液で提供されるカルボキシレート化ポリ(酢酸ビニル)、LP90としてDowにより販売されているスチレン中40重量%ポリマー溶液で提供される非カルボキシレート化ポリ(酢酸ビニル)、NEULON(登録商標)TとしてDowにより販売されているスチレン中40重量%ポリマー溶液で提供されるポリ(酢酸ビニル)コポリマーとして商業的に入手することができる。
一つの好ましい実施形態において、ポリマー系添加剤はポリ(ビニルエーテル)からなる。別の好ましい実施形態において、ポリマー系添加剤はポリ(エチレン−ブチレン)からなる。
ポリマー系添加剤は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリマー系添加剤の合計重量を基準にして約0.1〜約30重量%のポリマー系添加剤の量で使用することができる。この範囲内で、約0.5重量%以上、より好ましくは約1重量%以上、さらに好ましくは約2重量%以上、さらに好ましくは約5重量%以上、さらに一層好ましくは約8重量%以上の量でポリマー系添加剤を使用するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約25重量%以下、より好ましくは約20重量%以下、さらに好ましくは約15重量%以下の量でポリマー系添加剤を使用するのが好ましいであろう。一般に、組成物のいわゆる臨界点未満の量でポリマー系添加剤を使用するのが好ましい。臨界組成は、添加剤があるレベルを超えると相分離した添加剤が小さい分散相から連続相に変化するときのその添加剤のレベルを規定する。二成分ブレンドに対する臨界組成は、熱力学的に導かれた式及び成分の比体積(すなわち、分子量/密度)を用いて評価することができる。多成分のベース樹脂の場合、平均の比体積を評価することができる。T.A.Callaghan及びD.R.Paul、Macromolecules(1993年)、第26巻、第2439〜2450頁、並びにI.C.Sanchez、Polymer(1989年)、第30巻、第471〜475頁に記載されているように、成分1の臨界体積分率組成は、数量1と、成分2の比体積に対する成分1の比体積の比の平方根との和の逆数で計算される。
一つの実施形態において、ポリマー系添加剤は、ポリスチレン、ポリ(スチレン−無水マレイン酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸メチル)、ポリブテン、ポリ(エチレン−ブチレン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)及び上記ポリマー系添加剤を1種以上含む組合せからなる第1のポリマー系添加剤と、ポリブタジエン、ポリアクリレート、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−ブタジエンブロック及びランダムコポリマー、水素化スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー、水素化スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー、水素化スチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなど及び上記第2のポリマー系添加を1種以上含む組合せから選択される第2のポリマー系添加剤とを含んでいてもよい。これらやその他の第2のポリマー系添加剤はYeagerらの米国特許出願公開第2001/0053820号に記載されている。この第2のポリマー系添加剤は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー、第1のポリマー系添加剤及び第2のポリマー系添加剤の合計重量を基準にして約0.1〜約30重量%の量で使用することができる。
極めて好ましい実施形態において、本組成物は、ポリマー系添加剤としてポリ(エチレン−ブチレン)を、第2のポリマー系添加剤としてポリブタジエンを含む。このポリブタジエンは好ましくは数平均分子量が約1000〜約10000AMUであり得る。この範囲内で、数平均分子量は約2000AMU又は3000AMU以上であろう。また、この範囲内で、数平均分子量は約9000AMU又は8000AMU以下であろう。
本組成物は、場合により、さらに、不飽和成分の硬化速度を速めるために硬化触媒を含んでいてもよい。開始剤ともいわれる硬化触媒は、当技術分野で周知であり、数多くの熱可塑性物質並びに不飽和ポリエステル、ビニルエステル及びアリル系熱硬化性物質を始めとする熱硬化性物質のいずれかの重合、硬化又は架橋を開始させるために使われている。硬化触媒の非限定例は、「Plastic Additives Handbook、4th Edition」、R.Gachter及びH.Muller(編)、P.P.Klemchuck(共編)、Hansen Publishers、New York、1993年、並びにSmithらの米国特許第5407972号及びKatayoseらの同第5218030号に記載されている。熱硬化性物質の不飽和部分に対する硬化触媒として、高温でラジカルを生成することができるあらゆる化合物を挙げることができる。かかる硬化触媒として、ペルオキシ及び非ペルオキシ系の両方のラジカル開始剤を挙げることができる。有用なペルオキシ開始剤の例としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、ペルオクタン酸t−ブチル、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘクス−3−イン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、ジ(t−ブチルペルオキシイソフタレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシドなど及び上記硬化触媒を1種以上含む混合物がある。典型的な非ペルオキシ開始剤としては、例えば、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−トリメチルシリルオキシ−2,3−ジフェニルブタンなど及び上記硬化触媒を1種以上含む混合物がある。熱硬化性物質の不飽和部分に対する硬化触媒として、さらに、不飽和成分の陰イオン性重合を開始させることができるあらゆる化合物を挙げることができる。かかる陰イオン性重合触媒としては、例えば、アルカリ金属アミド(例えば、ナトリウムアミド(NaNH2)及びリチウムジエチルアミド(LiN(C2H5)2))、C1〜C10アルコキシドのアルカリ金属及びアンモニウム塩、アルカリ金属及びアンモニウム水酸化物、アルカリ金属シアン化物、有機金属化合物(例えば、アルキルリチウム化合物、n−ブチルリチウム及びグリニャール試薬、臭化フェニルマグネシウムなど)、並びに上記陰イオン性重合触媒を1種以上含む組合せがある。
好ましい実施形態において、硬化触媒はt−ブチルペルオキシベンゾエート又はメチルエチルケトンペルオキシドからなり得る。この硬化触媒は約0〜約200℃の温度で硬化を促進し得る。
存在する場合、硬化触媒は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリマー系添加剤の合計100部当たり約0.1〜約10重量部の量で使用することができる。この範囲内で、約0.5重量部以上、より好ましくは約1重量部以上の量で硬化触媒を使用するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約5重量部以下、より好ましくは約3重量部以下の量で硬化触媒を使用するのが好ましいであろう。
本組成物は、場合により、さらに、ゲル化時間を短縮するために硬化促進剤を含んでいてもよい。適切な硬化促進剤としては、コバルトナフタネートのような遷移金属の塩及び錯体、並びにN,N−ジメチルアニリン(DMA)及びN,N−ジエチルアニリン(DEA)のような有機塩基がある。好ましくは、コバルトナフタネートとDMAを組み合わせて使用する。存在する場合、促進剤は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー及びアクリロイルモノマーの合計100部当たり約0.05〜約3部の量で使用することができる。
本組成物はさらに、粒子状充填材や繊維状充填材を始めとする1種以上の充填材を含んでいてもよい。当技術分野で周知のかかる充填材の例としては、「Plastic Additives Handbook、4th Edition」、R.Gachter及びH.Muller(編)、P.P.Klemchuck(共編)、Hansen Publishers、New York、1993年に記載されているものがある。本発明で粒子状充填材とは、約5:1未満の平均アスペクト比を有する充填材と定義される。充填材の非限定例としては、溶融シリカや結晶質シリカのようなシリカ粉末、低誘電定数及び低誘電正接を有する硬化生成物を得るためのホウ素−窒化物粉末及びホウケイ酸塩粉末、高温伝導率のための上述の粉末並びにアルミナ及び酸化マグネシウム(すなわちマグネシア)、並びに、表面処理ウォラストナイトを始めとするウォラストナイト、硫酸カルシウム(その無水物、二水和物又は三水和物を含む)、チョーク、石灰石、大理石及び合成を始めとする炭酸カルシウム、一般に98+%のCaCO3を含み残部が炭酸マグネシウム、酸化鉄及びアルミノケイ酸塩のような他の無機物であることが多い粉砕粒子の形態にある沈降炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、繊維状、モジュラー、針状及び層状(ラメラ)タルクを始めとするタルク、中空と中実の両方のガラス球及び通例シランカップリング剤のようなカップリング剤を有するか及び/又は導電性コーティングを含有する表面処理ガラス球、硬質、軟質、カ焼カオリン及び熱硬化性樹脂中への分散及び該樹脂との相溶性を向上することが当技術分野で公知の各種のコーティングを含むカオリンを始めとするカオリン、金属化雲母及びコンパウンドしたブレンドに良好な物理的性質を付与するためにアミノシランやアクリロイルシランコーティングで表面処理された雲母を始めとする雲母、長石及び霰石、閃長岩、ケイ酸塩球、煙塵、セノスフェア、フィライト、シラン化及び金属化アルミノケイ酸塩を始めとするアルミノケイ酸塩、天然シリカ砂、石英、石英岩、パーライト、トリポリ石、珪藻土、各種のシランコーティングを有する合成シリカを始めとする合成シリカなどのような充填材がある。
好ましい粒子状充填材としては、平均粒度が約1〜約10マイクロメートルの炭酸カルシウムがある。この範囲内で、平均粒度は約2マイクロメートル以上又は約3マイクロメートル以上でよい。また、この範囲内で、平均粒度は約8マイクロメートル以下又は約7マイクロメートル以下でよい。
繊維状充填材としては、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び硫酸カルシウム半水和物を1種以上含むブレンドから得られるもののような加工鉱物繊維を始めとする短無機繊維がある。また、繊維状充填材の中には、炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、炭素、鉄、ニッケル、銅を含む単結晶繊維又は「ウィスカー」がある。さらにまた、E、A、C、ECR、R、S、D及びNEガラス並びに石英のような織物用ガラス繊維を始めとするガラス繊維が繊維状充填材に包含される。
好ましい繊維状充填材として、直径が約5〜約25マイクロメートルで、コンパウンディング前の長さが約0.5〜約4センチメートルのガラス繊維がある。
その他の多くの適切な充填材がYeagerらの米国特許出願公開第2001/0053820号に記載されている。
存在する場合、粒子状充填材は組成物の総重量を基準にして約5〜約80重量%の量で使用することができる。この範囲内で、約10重量%以上、より好ましくは約20重量%以上、さらに好ましくは約30重量%以上、さらに好ましくは約40重量%以上の量で粒子状充填材を使用するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約70重量%以下、より好ましくは約60重量%以下の量で粒子状充填材を使用するのが好ましいであろう。
存在する場合、繊維状充填材は、組成物の総重量を基準にして約2〜約80重量%の量で使用することができる。この範囲内で、約5重量%以上、より好ましくは約10重量%以上、さらに好ましくは約15重量%以上の量で繊維状充填材を使用するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約60重量%以下、より好ましくは約40重量%以下、さらに好ましくは約30重量%以下の量で繊維状充填材を使用するのが好ましいであろう。
これら上述の充填材は、いかなる処理もしないで又は表面処理をした後、一般に接着促進剤と共に熱硬化性樹脂に添加することができる。
本配合物はまた、充填材又は外部コーティング若しくは基体に対する熱硬化性樹脂の接着力を改良するために接着促進剤を含有していてもよい。また、上述の無機充填材を接着促進剤で処理して接着を改良することも可能である。接着促進剤としては、クロム錯体、シラン、チタネート、ジルコアルミン酸塩、プロピレン−マレイン酸無水物コポリマー、反応性セルロースエステルなどがある。クロム錯体としては、VOLAN(登録商標)という商標でDuPontから販売されているものがある。シランとしては、一般構造(RO)(4−n)SiYnを有する分子があり、ここでn=1−3であり、Rはアルキルまたはアリール基であり、Yはポリマー分子との結合の形成を可能にし得る反応性官能基である。カップリング剤の特に有用な例は構造(RO)3SiYを有するものである。典型的な例としては、ビニル−トリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランがある。チタネートとしては、S.J.Monteら、Ann.Chem.Tech Conf.SPI(1980年)、Ann.Tech Conf.Reinforced Plastics and Composite inst.SPI 1979年、Section 16E、New Orleans及びS.J.Monte、Mod.Plastics Int.14(1984年)6pg.2に開示されているものがある。ジルコアルミン酸塩としては、L.B.Cohen、Plastics Engineering 39(1983年)11、pg.29に記載されているものがある。接着促進剤は熱硬化性樹脂自体に含ませてもよいし又は上記充填材のいずれかを被覆してその充填材と熱硬化性樹脂との間の接着を改良してもよい。例えば、かかる促進剤を用いてケイ酸塩繊維又は充填材を被覆して、樹脂マトリックスの接着力を改良することができる。
好ましい実施形態において、充填材は炭酸カルシウムからなる。別の好ましい実施形態では、充填材はガラス繊維からなる。極めて好ましい実施形態において、充填材は炭酸カルシウムとガラス繊維の両方を含む。
本組成物は、場合により、さらに、難燃剤、離型剤及びその他の滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線安定剤、顔料、染料、着色剤、帯電防止剤、導電剤、硬化促進剤など、並びに上記添加剤を1種以上含む組合せから選択される添加剤を含んでいてもよい。個々の添加剤及びその量の選択は当業者が行うことができる。
本組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリマー系添加剤の密なブレンドを形成することによって製造することができる。官能化ポリ(アリーレンエーテル)が封鎖ポリ(アリーレンエーテル)である場合、本組成物は、未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)をアルケニル芳香族モノマーの一部分に溶解させ、アルケニル芳香族モノマーの存在下で封鎖剤を添加して封鎖ポリ(アリーレンエーテル)を形成し、アクリロイルモノマー、ポリマー系添加剤及びその他のあらゆる成分を添加して本熱硬化性組成物を形成することによって、未封鎖ポリ(アリーレンエーテル)から直接製造することができる。
ゾル−ゲルが望まれる場合、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンを一緒に混合して密なブレンドを形成する。ゾル−ゲルを製造するための混合温度は40℃以上、好ましくは60℃以上、さらに一層好ましくは70℃以上でよいであろう。当業者は、上記成分の密なブレンドを形成するのに必要な混合の時間と温度を容易に決定することができる。このブレンドをゾル−ゲルが形成するのに充分な時間冷却する。相分離とゾル−ゲルの形成は、約1時間以上、好ましくは約5時間以上、さらに好ましくは約10時間以上、ブレンドをゾル−ゲル遷移温度より低い温度に冷却することによって起こり得る。冷却速度は相分離(ゾル−ゲル形成)が起こるのに充分なものにしなければならない。冷却速度を増大すると、相分離とゾル−ゲル形成がうまく起こり得る。
組成物を硬化させる方法に特に制限はない。本組成物は、例えば、熱的に又はUV照射及び電子ビーム照射を始めとする照射技術を用いて硬化させることができる。加熱硬化を使用する場合、選択される温度は約80〜約300℃であり得る。この範囲内で、約120℃以上の温度が好ましいであろう。また、この範囲内で、約240℃以下の温度が好ましいであろう。加熱時間は約30秒〜約24時間でよい。この範囲内で、約1分以上、より好ましくは約2分以上の加熱時間を使用するのが好ましいであろう。また、この範囲内で、約10時間以下、より好ましくは約5時間、さらに好ましくは約3時間以下の加熱時間を使用するのが好ましいであろう。かかる硬化は、部分的に硬化した、多くの場合はタックフリーの樹脂が生成するように実施することができ、その後これを上述の範囲内の長めの時間又は温度に加熱することによって充分に硬化させる。
本組成物は極めて望ましい特性を示す。例えば、幾つかの実施形態において、成形後の本組成物は、ポリマー系添加剤を含まない対応する組成物が示す収縮率より10%以上小さい収縮率を示し得る。収縮率は、成形部品の寸法を対応する金型の寸法と比較することによって決定される。この比較は試料を成形した約24時間後室温で行う。この収縮率は好ましくは、添加剤を含まない比較対照より20%以上小さく、より好ましくは30%以上小さく、さらに好ましくは40%以上小さく、さらに一層好ましくは50%以上小さい。
A級表面の金型で成形後の組成物は好ましくは40未満、より好ましくは35未満、さらに好ましくは30未満、さらに好ましくは25未満、さらに一層好ましくは20未満のミカン肌値を示す。これらの測定は、白色光が部品の表面で反射されるD−Sightといわれる方法を使用して行う。表面粗さ又はうねりは反射光強度における明暗の変化として見られ、ソフトウェアアルゴリズムを用いて性能の数値評価と関連付けられる。これらの測定で、D−Sightカメラと光源は水平線の下23度の角度に設定され、部品はカメラ/光源のベースから50インチ離して設置した。部品自体は検査系に面して水平線の上10度の角度に設定した。測定は、光沢のある黒色塗料を部品に塗布するか又は表面をハイライトオイルで拭うことによって得られた部品の光沢表面で行う。測定の際、光レベルの読みは90〜110に保つ。
A級表面の金型で成形後の組成物は、好ましくは300未満、より好ましくは200未満、さらに好ましくは150未満、さらに好ましくは120未満のうねりを示す。
一つの実施形態において、本硬化性組成物は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンの合計100重量部を基準にして約10〜約90重量部の官能化ポリ(アリーレンエーテル)、約10〜約90重量部のアルケニル芳香族モノマー、約1.0〜約50重量部のアクリロイルモノマー及び約0.1〜約30重量部のポリブテンからなる。ここで、ポリブテンは、約300原子質量単位以上の数平均分子量を有している。
別の実施形態は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンの合計100重量部を基準にして約10〜約90重量部の官能化ポリ(アリーレンエーテル)、約10〜約90重量部のアルケニル芳香族モノマー、約1.0〜約50重量部のアクリロイルモノマー及び約0.1〜約30重量部の約300原子質量単位以上の数平均分子量を有するポリブテンを含み、そして、さらに組成物の総重量を基準にして約2.0〜約80重量パーセントのガラス充填材を含んでいる硬化性組成物である。
別の実施形態は、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、アルケニル芳香族モノマー、アクリロイルモノマー及びポリブテンをブレンドすることを含む、硬化性組成物の形成方法であって、このポリブテンは約300原子質量単位以上の数平均分子量を有している。
他の実施形態は、以上の硬化性組成物を硬化させて得られる反応生成物を包含する。
さらに他の実施形態として、硬化した組成物のいずれかを含んでなる物品がある。本組成物から製造することができる物品としては、例えば、酸浴容器、中和槽、電気精錬槽、軟水化槽、燃料タンク、フィラメント巻きタンク、フィラメント巻きタンクのライニング、電解槽、排気筒、スクラバー、自動車用外装パネル、自動車用フロアーパン、自動車用エアスクープ、トラック荷台ライナー、ドライブシャフト、ドライブシャフト継手、トラクター部品、横リーフスプリング、クランクケースヒーター、熱シールド、鉄道タンク車、ホッパー車カバー、ボートハル、潜水艦ハブ、ボートデッキ、海洋ターミナルフェンダー、航空機部品、プロペラブレード、ミサイル部品、ロケットモーターケース、翼断面、サッカーロッド、機体部品、翼スキン、翼フレアリング、エンジンナセル、貨物口、航空機ストレッチブロック及びハンマーフォーム、橋桁、船橋楼甲板、階段室、レーリング、歩道、パイプ、ダクト、ファンハウジング、タイル、ビルディングパネル、スクラビング塔、フローリング、橋用伸縮継手、構造用コンクリート内の亀裂の継ぎ接ぎ及び修復用射出可能モルタル、タイル用グラウティング、機械用レール、金属ドエル、ボルト、ポスト、電気カプセル材料、電気パネル、プリント基板、電気部品、巻線、電気機械装置用シール、バッテリーケース、抵抗器、ヒューズ、サーマルカットオフ装置、プリント配線板用コーティング、コンデンサー、変圧器、静電防止用電気導電性部品、テニスラケット、ゴルフクラブシャフト、釣竿、スキー、スキーのストック、自転車部品、スイミングプール、スイミングプール滑り台、ホットタブ、サウナ、ミキサー、事務機器ハウジング、トレー、皿洗い機部品、冷蔵庫部品、家具、ガレージドア、格子、保護ボディーギア、旅行用鞄、導光板、レードーム、衛星放送受信アンテナ、看板、太陽エネルギーパネル、電話機開閉装置ハウジング、変圧器カバー、回転機械用絶縁体、整流器、コア絶縁、乾燥トナー樹脂、結合ジグ、検査用備品、染料形成用工業用金属、真空成形工具などがある。
本組成物は特に、例えば、自動車用ボディーパネルのような自動車用部品の製造に有用である。
以下の非限定実施例により本発明をさらに例示する。
参考例1〜7、比較例1
ポリビニルエーテル添加剤が収縮率に及ぼす効果を立証するために、7つの参考例と1つの比較例を調製した。ポリ(アリーレンエーテル)は、クロロホルム中25℃で0.12デシリットル/グラムの固有粘度を有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(「PPO−MAA」)であった。これは、国際公開第01/40354号の実施例1に記載されているようにして調製した。架橋剤はすべての参考例でSartomerから入手したトリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)であった。スチレンとt−ブチルペルオキシベンゾエートはAldrich Chemical Companyから入手した。炭酸カルシウムはOmya CorporationからOMYACARB(登録商標)5として入手した。ガラス繊維はOwens Corning Fiberglass Corporationからチョップト1/2インチ繊維として入手した。
数平均分子量(Mn)がおよそ22000原子質量単位(AMU)のポリ(エチルビニルエーテル)のエタノール溶液はScientific Polymer Productsから入手した。数平均分子量(Mn)がおよそ1000AMUのポリ(エチルビニルエーテル)のエタノール溶液はScientific Polymer Productsから入手した。数平均分子量(Mn)がおよそ15000AMUのポリ(イソブチルビニルエーテル)のエタノール溶液はScientific Polymer Productsから入手した。各ポリ(ビニルエーテル)溶液は回転蒸発によって純粋なポリ(ビニルエーテル)樹脂にした。ポリ(ビニルエーテル)の試料を秤量し、等しい重量のスチレンに溶解した。得られた50%ポリ(ビニルエーテル)/スチレン溶液を、下記表1に示す量(重量部「pbw」で示す)のスチレン中PPO−MAAの42.5重量%溶液及びトリメチロールプロパントリメタクリレートと混合した。この溶液は、およそ50〜70℃に加熱後流体になり、見かけ上均一となった。次いで、ステアリン酸亜鉛と炭酸カルシウム(CaCO3)を加え、混合物を激しく攪拌してペースト状混合物を形成した。t−ブチルペルオキシベンゾエートを加え、このペースト状混合物をミキシングボウル内で1/2インチガラス繊維とブレンドすることによってバルクモールディングコンパウンドを形成した。この組成物を150℃、1200psiで成形し、試料の幅を金型の幅と比較することにより収縮率を測定した。
示されているように、ポリ(エチルビニルエーテル)及び/又はポリ(イソブチルビニルエーテル)を含有するブレンド(参考例1〜7)の収縮率は対照(比較例1)のものよりずっと低く、ポリ(アリーレンエーテル)樹脂を含む熱硬化性組成物の収縮率を低下させる上でのポリ(ビニルエーテル)の有用性を立証している。ポリ(イソブチルビニルエーテル)を含む参考例4は成形部品のわずかな膨張(負の収縮率)を示した。
参考例8〜24、比較例2及び3
主としてポリマー系添加剤の種類と量を変えて25の参考例と2つの比較例を調製した。組成と特性をまとめて表2に示す。
2種類のポリ(アリーレンエーテル)を使用した。表2中で「50/50−0.12IV PPO−MAA/スチレン」と表示したポリ(アリーレンエーテル)は、固有粘度0.12dL/gを有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の50重量%スチレン溶液である。また、「50/50−0.12IV PPO−Psal/スチレン」と表示したポリ(アリーレンエーテル)は、固有粘度0.12dL/gを有するポリサリチレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の50重量%スチレン溶液であり、この物質はWhiteらの米国特許第4760118号の実施例3の手順を用いて調製した。
幾つかのポリマー系添加剤を使用した。表2中で「CTB X162 Hycar」と表示した添加剤は、Noveon SolutionsからHYCAR(登録商標)2000X162 CTBとして入手したカルボキシル含量酸価が25、(モル引力定数に基づく)溶解度パラメーターが8.14、数平均分子量が4200AMU、ガラス転移温度が−77℃のカルボキシ末端ブタジエンホモポリマーである。「CTBN 1300X31 Hycar」は、Noveon SolutionsからHYCAR(登録商標)1300X31 CTBNとして入手したカルボキシル含量酸価が28、溶解度パラメーターが8.14、数平均分子量が3800AMU、ガラス転移温度が−66℃のカルボキシ末端ブタジエン(90%)/アクリロニトリル(10%)コポリマーである。「VTBNX 1300X33 Hycar」は、Noveon SolutionsからHYCAR(登録商標)1300X33 VTBNXとして入手した酸価が5未満、溶解度パラメーターが8.9、数平均分子量が3600AMU、ガラス転移温度が−49℃のメタクリレートビニルブタジエン(82%)/アクリロニトリル(18%)コポリマーである。「PMMA N700 AOC」は、AOC ResinsからN700として入手した32重量%スチレン溶液として提供されたポリ(メタクリル酸メチル)ホモポリマーである。「PS N715 AOC」は、AOC ResinsからN715として入手した32重量%スチレン溶液として提供されたポリスチレンホモポリマーである。「PVac LP40A UC」は、Union CarbideからLP40Aとして入手した40重量%スチレン溶液として提供されたポリ(酢酸ビニル)コポリマーである(この製品は現在はDow Chemicalにより販売されている)。「PVac LP90 UC」は、Union Carbide(現在はDow)からLP90として入手した40重量%スチレン溶液として提供されたポリ(酢酸ビニル)コポリマーである。「PVac NeulonT UC」は、Union Carbide(現在はDow)からNEULON(登録商標)Tとして入手した40重量%スチレン溶液として提供されたポリ(酢酸ビニル)コポリマーである。「SB Copoly XV−2314 AOC」は、AOC ResinsからXV−2314として入手した35重量%スチレン溶液として提供されたスチレン−ブタジエンコポリマーである。
架橋剤は全ての参考例でトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)であった。
有機過酸化物系開始剤はAtofinaからLUPEROX(登録商標)Pとして入手し、全ての試料で樹脂100部当たり2部として用いた。
平均粒度5マイクロメートルの炭酸カルシウムはOmya Corporationから入手し、全ての試料で56重量%として用いた。長さ13ミリメートル、直径17マイクロメートルのガラス繊維はOwens Corning FiberからOCF−163D−17Cとして入手し、全ての試料で20重量%として用いた。
各試料に対して、Cowles羽根車を用いて樹脂成分を約60〜70℃で充分に混合してペーストを形成した。開始剤と無機充填材を加えた後、低剪断Hobartドウミキサーを用いてガラス繊維をペースト中にコンパウンディングした。成形には、米国オハイオ州TailmadgeのHeyden Mold & Bench製造のガラス−A級金型を用いた。各組成物に対して、4つのプラーク(およそ650g、1/8インチ厚×12平方インチ)を1200ポンド/平方インチ(psi)で2分の圧縮成形により作成した。
部品の反りは、プラークを平らな基準面上に置いて所与の角の最大垂直撓みとして測定した。
収縮率の評価には、部品を平らな表面上にクランプ留めし、プラークの対角線を測定した。収縮率は圧縮成形金型キャビティーの大きさに対して計算した。
ミカン肌とうねりはLMI TechnologiesのD−Sight分析機で測定した。これらは、反射光をビデオシステムで捕らえて分析する非接触測定値である。この技術は、完全に平らな面からの短波のずれ(数ミクロン〜約1センチメートル、「ミカン肌」)及び長波のずれ(約1センチメートル〜試料対象面積の寸法程度まで、「うねり」)を分析するのに使用することができる。ある一組のデータについては、全ての測定を同一の測定時間中に行った。ミカン肌及び粗さの値は低い方が望ましい。現在のところA級表面の標準的な定義はないが、一般に、ミカン肌値が約20以下、うねり値が120以下と考えられている。
硬化した相の性質は以下のようにして決定した。無機充填材またはガラス強化材を含まない全ての樹脂成分を実験室で別途配合した。開始剤を含まない樹脂数滴をガラススライドの磨いたウェル内に入れ、カバーをし、METTLER(登録商標)ホットステージを備えた顕微鏡で検査した。混和性は、最初150℃で、その後25℃に冷却した後再び、目視検査を用いて評価した。別の試料で、開始剤を純粋な樹脂に添加し、Micromet Instruments Minipress(MP−2000)を用いて2枚の磨いた金属プレート間で3mm厚のプラークに成形した。未硬化樹脂の混和性の評価は、混和性を「+」で、不混和性を「−」で示す。硬化した樹脂相の様子は単一相を「S」で、多相を「M」で示す。これらの評価は、未硬化樹脂の場合光学顕微鏡で観察可能な程度の大きさの又は硬化した試料の場合かなりの可視光を散乱して試料を半透明又は不透明にする程度の大きさの識別可能な不均一性の存否に基づいている。
表2の結果は、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、カルボキシ末端ポリブタジエン又はカルボキシ末端ポリ(ブタジエン−コ−アクリロニトリル)を有する参考例8〜24が、それぞれの対照(比較例2及び3)と比較して収縮率が低下したことを示している。うねりも殆どの場合で低下した。
参考例25〜30
架橋剤の量、並びにポリマー系添加剤及びその量を変えて6つの試料を調製した。全ての試料でベース樹脂は、固有粘度0.12dL/gを有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の50重量%スチレン溶液であった。
架橋剤はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)又はトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)であった。開始剤は、Atofina ChemicalsからLUPEROX(登録商標)26として入手したペルオキシ−2−エチルヘキサン酸t−ブチルであった。
3種類の異なるポリマー系添加剤を用いた。表3で「PEB Kraton L1203」と表示する添加剤は、Kraton PolymersからKRATON(登録商標)L1203として入手したヒドロキシル当量分子量が4200AMU、概算ヒドロキシル官能性が0.9、比重が0.88g/ccのモノヒドロキシ末端ポリ(エチレン−ブチレン)である。「PB Lithene N4−9000」は、Revertex Chemicals Limited(Hartlepool、UK)からN4−9000として入手した数平均分子量が9000で、10〜20%が1,2ビニル微細構造、50〜60%がトランス−1,4構造、25〜35%がシス−1,4構造の液体ポリブタジエンである。「CTB Hycar 2000X162」は、Noveon SolutionsからHYCAR(登録商標)2000X162 CTBとして入手したカルボキシル含量酸価が25、(モル引力定数に基づく)溶解度パラメーターが8.14、数平均分子量が4200AMU、ガラス転移温度が−77℃のカルボキシ末端ブタジエンホモポリマーである。
各試料は、25重量%の樹脂、54重量%の炭酸カルシウム、20重量%のガラス繊維及び1重量%の離型剤ステアリン酸亜鉛を含有する3キログラムのバッチとして調製した。表3中の成分量はグラムで表されており、3kgのバッチ中の量に対応している。
試料を120℃、1200psiで2分間成形した。ミカン肌を上記のようにして測定した。組成と特性をまとめて表3に示す。この結果は、下記対照参考例4と5で表される対照試料と比べて低下したミカン肌値を示している。
参考例31〜36、比較例4
ポリブタジエンとポリ(エチレン−ブチレン)添加剤の量を変えて9つの組成物を調製した。全ての試料でベース樹脂は、固有粘度0.12dL/gを有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の50重量%スチレン溶液であった。架橋剤はすべての試料でトリメチロールプロパントリメタクリレートであった。数平均分子量が8000、ビニル含量が28%のポリブタジエンはSartomerからRICON(登録商標)134として入手した。ヒドロキシル当量重量が4200、ヒドロキシル官能性が0.9のモノヒドロキシ末端ポリ(エチレン−ブチレン)コポリマーはKraton PolymersからKRATON(登録商標)L1203として入手した。全ての試料は25%の全樹脂、54%の炭酸カルシウム、1%のステアリン酸亜鉛及び20%の13ミリメートルガラス繊維であった。
成形は150℃、1200psiで行った。各試料の収縮率、ミカン肌及びうねりを測定した。
表4に示した結果は、ポリブタジエン又はポリ(エチレン−ブテン)の単独で収縮率が低下し、殆どの場合にミカン肌とうねりが低下したことを示している。これらの結果はさらに、各々5重量%のポリブタジエンとポリ(エチレン−ブチレン)の組合せが、収縮率、ミカン肌及びうねりを低下させるのに特に有効であることを示している。
参考例37、比較例5
ポリブタジエンとポリ(エチレン−ブチレン)の50:50重量/重量混合物を10重量%含む試料と含まない試料の2種を調製した。成分は参考例38〜43について上記したものと同じであった。
成形を150℃、1200psiで行った。収縮率、ミカン肌及びうねりの値は2つの試料の平均を示す。
組成と特性を表5に示す。この結果は、ポリブタジエンとポリ(エチレン−ブチレン)の組合せが収縮率(参考例44で多少膨張を起こすまで)、ミカン肌及びうねりを低下させるのに特に有効であることを示している。
参考例38〜55
架橋剤の種類と量、ポリマー系添加剤の種類と量、開始剤の種類と量及び成形温度を変えて18の試料を調製した。
ベース樹脂はすべての参考例で、固有粘度0.12dL/gを有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、50重量%のスチレン溶液の形態で用いた。開始剤のペルオキシ−2−エチルヘキサン酸t−ブチルはAtofina ChemicalsからLUPEROX(登録商標)26として入手した。開始剤の過安息香酸t−ブチルはAtofina ChemicalsからLUPEROX(登録商標)Pとして入手した。架橋剤はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)又はトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)であった。
5種類の異なるポリマー系添加剤を用いた。重量平均分子量が1700AMUのジヒドロキシ末端ポリ(エチレン−ブチレン)はKraton PolymersからKRATON(登録商標)L2203として入手した。重量平均分子量が4200AMUのモノヒドロキシ末端ポリ(エチレン−ブチレン)はKraton PolymersからKRATON(登録商標)L1203として入手した。数平均分子量が5000AMUで、10〜20%のビニル含量を有するポリブタジエンはRevertex Chemicals Limited、Hartlepool、UKからLithene N4−5000として入手した。エチレン:プロピレン重量比48/52、9.5重量%ジエン、粘度平均分子量7000AMU、重量平均分子量40000AMUを有するエチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンターポリマーはUniroyal ChemicalからTRILENE(登録商標)65として入手した。エチレン:プロピレン重量比45/55、9.5重量%ジエン、粘度平均分子量7500AMU、重量平均分子量40000AMUを有するエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンターポリマーはUniroyal ChemicalからTRILENE(登録商標)67として入手した。
下記表6中の量はすべて3キログラムのバッチ当たりのグラムである。試料はすべて、25重量%の樹脂、54重量%の炭酸カルシウム、20重量%のガラス繊維(OCF 163D−17C、Owens Corning)及び1重量%のステアリン酸亜鉛を含有していた。その他、開始剤量=15g、ステアリン酸亜鉛量=30g、炭酸カルシウム量=1620g、成形時間=2分、成形圧=1200psiはすべての試料で同じである。
表6に挙げた結果は、ポリマー系添加剤を含有する試料ではこれを含まない試料(上記比較例4及び5参照)と比べてミカン肌とうねりが低下していることを示している。
参考例56〜64、比較例6
架橋剤の種類と量、ポリマー系添加剤の種類と量、開始剤の種類と量及び成形温度を変えて10の試料を調製した。ベース樹脂はすべての試料で、固有粘度0.12dL/gを有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、50重量%のスチレン溶液として用いた。
開始剤とポリマー系添加剤は上記したものであるが、RICON(登録商標)134はSartomerから入手した数平均分子量8000AMUで28%のビニル含量を有するポリブタジエンである。
配合物はすべて、25重量%の樹脂、54重量%の炭酸カルシウム、20重量%のガラス繊維及び1重量%のステアリン酸亜鉛からなる1.5キログラムの規模で調製した。表7中の成分量は1.5キログラムのバッチ当たりのグラムである。その他、開始剤量=7.5g、ステアリン酸亜鉛量=15g、炭酸カルシウム量=810g、ガラス繊維量=300g、成形時間=2分、成形圧=1200psiはすべてこれらの試料で一定である。
表7に挙げた結果は、カルボキシ末端ブタジエンが低めの温度(150℃に対して120℃)で成形したときに表面特性を改良するのに有効であったことを示している。この改良は対照(比較例6)と比べて有意である。CTBは低温でより高度に相分離し低プロファイルの添加剤形態及び性能を可能にするようであった。ポリブタジエン(RICON(登録商標)134)とPEB(KRATON(登録商標)L1203)はいずれもそれ自体が対照(比較例6)に対して改良を示したが、これら2種を混合するといずれか単独より相乗的改良があった。
参考例65〜72、比較例7
これらの実験は、ポリマー系添加剤が「ペイントポッピング」といわれる塗装不良を低減するのにも有効であることを示す。ベース樹脂の固有粘度、ポリマー系添加剤の種類及びポリマー系添加剤の量を変えて4種類の組成物を調製した。ベース樹脂は、固有粘度0.12を有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂と、固有粘度0.30dL/gを有するアクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)樹脂であった。ポリマー系添加剤は、Noveon SolutionsからHYCAR(登録商標)2000X162 CTBとして入手したカルボキシ末端ポリブタジエン(「CTB」)と、AOC ResinsからN715として入手したポリスチレン(「PS」)の32重量%スチレン溶液であった。配合物はすべて、25重量%の樹脂、54重量%の炭酸カルシウム、20重量%のガラス繊維及び1重量%のステアリン酸亜鉛からなっていた。開始剤は、ベース樹脂100重量部当たり2部で加えた。Atofina ChemicalsからLUPEROX(登録商標)Pとして入手した過安息香酸t−ブチルを150℃での硬化に用いた。Atofina ChemicalsからLUPEROX(登録商標)26として入手したペルオキシ−2−エチルヘキサン酸t−ブチルを120℃での硬化に使用した。配合した樹脂は15重量%の架橋剤トリメチロールプロパントリメタクリレートを含有していた。成分の量を表8に示す。
2種類のポリマー系添加剤を別々にベース樹脂、開始剤及び架橋剤とブレンドした。これらの混合物に、炭酸カルシウム及びガラスを離型剤と共に添加した。得られた複合材樹脂を適当な重量ずつの材料に分け、各々熱硬化性物質を完全に硬化させることが知られている温度及び圧力条件で圧縮成形して12×12インチのプラークにした。各組成物に対して全部で3つのプラークを調製した。別に対照用として、二日目に全工程を繰り返して、各組成物に対して3つのプラークからなる第2の「複製」セットを生成した。
成形したプラークの各々を強力な縁部研磨プロトコルにかけて、丸まった縁部を形成した。次に、回転式サンダーを用いて、各縁部を円運動により研磨して丸まった輪郭を得た。均一な丸まった縁部を得るには、通例、様々な角度で5〜10回の研磨が必要である。研磨後、全ての試料を自動車塗装業者に送り、工業用熱硬化性複合材から作成された自動車用部品が受けるのと同じ条件でプライミングし塗装した。プライミング/塗装プロトコルは、自動車会社及びその熱硬化性部品供給業者(成形及びプライミング会社)協会に採用されている標準に従った。その後、縁部ポップ欠陥の測定のために全てのプラークを戻した。
プラークを、ビデオカメラの下でプラークの正確な線状位置決めを可能にするコンピューター制御走査スレッドにクランプ留めした。この走査スレッドは、2インチ進み、2.5秒停止し、プラークの次の2インチ部分に進むようにプログラムした。スレッドは、プラーク面の全長12インチをカバーするためにこのスキャン操作を6回行うようにプログラムした。プラークの縁部全てを分析するためにこの手順を4回繰り返した。
縁部ポップの充分なコントラストを達成するために適切な照明の配向が極めて重要であった。二元クロムメッキの自由に曲がる光ファイバー光源を用いてプラーク頂部の下およそ30°に角度を付けた光源とした。影を最小にし、分析するプラーク面の曲がった縁部の両面の縁部ポップを照明するために、各々の自由に曲がる光源をプラークの両面に配置した。
最小の典型的な観察できる縁部ポップ(およそ6ミル)を解明し、各面(6)の処理し易い数の分析領域を可能にし、縁部ポップと滑らかな塗装面との良好なコントラストを保持するように、倍率を最適化した。走査スレッドは、50mmのマクロレンズを取り付けたビデオカメラを有するマクロスタンド上に配置した。このビデオカメラをPC画像分析系に接続した。
この画像分析系をコンピューター制御走査スレッドと同調させて、この画像分析機が自動的に画像をデジタル化し、ハードドライブに記憶させ、プラークの各面の6つの画像を記憶させるようにこのプロセスを6回繰り返した。別のルーチン操作を用いて、先ず最初に縁部の画像のコントラストを増強し、特徴的なグレイレベル範囲の縁部ポップを選択することによりグレイレベルの画像を二値画像に変換した。二値画像が得られたら、画像分析プログラムにより、検出された各欠陥の縁部ポップ欠陥の大きさを決定した。Microsoft EXCEL(登録商標)マクロによって、各プラーク縁部について平均縁部ポップ欠陥直径、最大直径及び数密度を決定した。
各配合物に対して個々のプラーク縁部(プラーク当たり4つの12インチの縁部)について測定した単位面積当たりの塗装ポップ数(研磨した縁部の1平方センチメートル当たりのカウント数)、平均塗装ポップ径(ミリメートル)及び最大塗装ポップ径(ミリメートル)に関する連続データを得た。塗装ポップ数データの分布の正規性により、各配合物及びその複製に対してプールした平均を計算することができた。従って、各測定値のタイプに対して、平均と標準偏差は2つのバッチ×3つのプラーク/バッチ×4つの縁部/プラークに対応して24の測定値に基づいている。例えば、ある所与の配合物に対して、最大ポップ径及びその標準偏差は、その配合物の全部で24の縁部について最大ポップ径を測定した後24の最大ポップ径の集団に関して平均と標準偏差を計算することによって得られる。表8に個々の配合物に対する統計的結果を示す。
これらの実験は、ポリマー系添加剤が縁部ポッピング欠陥を低減することができることを示している。
参考例73、比較例8
ポリ(ビニルエステル)化合物の収縮率に対する効果を立証するために2種類の組成物を調製した。官能化ポリ(アリーレンエーテル)は、固有粘度0.12dL/gを有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の35重量%スチレン溶液として提供された。数平均分子量が110000AMUのポリ(ラウリン酸ビニル)はScientific Polymer Productsから入手した。参考例1〜7に記載のようにして収縮率を測定した。組成と収縮率の値を表9に示す。樹脂と炭酸カルシウムの比及び(樹脂+炭酸カルシウム)とガラス繊維の比は両方の試料で同一であることに注意されたい。この結果は、ポリ(ビニルエステル)の添加により組成物の収縮率が低下したことを示している。
参考例74〜79
ポリ(ビニルエステル)の種類を変えて6種類の組成物を調製した。各試料は、80重量部の固有粘度0.12dL/gを有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の35%スチレン溶液、20重量部のトリメチロールプロパントリメタクリレート、10重量部のポリ(アルカン酸ビニル)及び2重量部のt−ブチルペルオキシベンゾエート開始剤を含有していた。ポリ(ビニルエステル)はポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(ピバリン酸ビニル)、ポリ(ノナン酸ビニル)、ポリ(酪酸ビニル)、ポリ(ネオデカン酸ビニル)及びポリ(ネオノナン酸ビニル)であった。これらのブレンドは、約50〜80℃で封鎖PPE、ポリ(ビニルエステル)及びトリメチロールプロパントリメタクリレートを混合することによって調製した。得られた溶液を約40〜60℃に冷却してから開始剤を添加した。これらの組成物を150℃で硬化した。ブレンドはすべて、硬化したディスクの不透明な白色の外観によって明らかなように相分離を示した。この不透明な外観は、硬化した試片中のキャビテーションの重要な指標である相分離を示す。ポリ(プロピオン酸ビニル)とポリ(ピバリン酸ビニル)は最も高レベルの白色化を示した。
参考例80〜82、比較例9
ポリシロキサン化合物の収縮率に対する効果を立証するために4種類の組成物を調製した。官能化ポリ(アリーレンエーテル)は固有粘度0.12dL/gを有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の35重量%スチレン溶液として提供された。ビニル末端ポリジメチルシロキサン(すなわち、各末端にビニル基を有するポリジメチルシロキサン)はAldrich Chemical Companyから入手した。ポリジメチルシロキサン−コ−メチル−3−ヒドロキシプロピルシロキサン−グラフト−ポリ(エチレン−プロピレン)グリコールはAldrich Chemical Companyから入手した。ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンはAldrich Chemical Companyから入手した。収縮率は参考例1〜7に記載したようにして測定した。組成と収縮率の値を表10に示す。この結果は、ビニル末端及びジヒドロキシ末端のポリジメチルシロキサンを添加すると組成物の収縮率が低下したことを示している。
参考例83〜92、比較例10〜12
3種のポリマー系添加剤の量、並びに酸化マグネシウム、二酸化チタン及び炭酸カルシウムの量を変えて13種類の組成物を調製した。成分は上記の通りであるが、数平均分子量が5300AMUで18〜33%の1,2−ビニル含量を有するマレイン酸無水物官能化ポリブタジエンはSartomerからRICON(登録商標)131MA5として入手し、粒度6マイクロメートルの炭酸カルシウムはCamelFil 6μとして入手し、チョップト1インチガラスロービングはPPGからPPG 5530として入手した。
18kgの量の充填材含有樹脂のバッチを、最初にスチレン樹脂中のベースPPOと架橋剤を35℃に加熱することによって5ガロンのペイル中でCowlesブレードミキサーを用いてコンパウンディングした。次に、セメントミキサー中でケロセン強制空気ヒーターにより55℃〜65℃に予熱した炭酸カルシウムを酸化チタン及びステアリン酸亜鉛と合わせて加えてペーストを形成した。次いで、ポリマー系添加剤を混入した後、コーティングの直前に酸化マグネシウムと開始剤を加えた。
60cm幅のラインを用いてこれらの組成物からシートモールディングコンパウンド(SMC)を製造した。このラインはプロセスに熱を加えるために様々な要素を含んでいた。両方のドクターボックスの下のアルミニウムプレートを循環水により加熱して、第1及び第2のボックスの表面温度をそれぞれ35℃及び45℃とした。90℃の熱水を締め固めローラー中に循環させ、締め固め領域全体を封入し、温かい空気対流ヒーターを用いて40℃に維持した。両方の樹脂ボックス上のドクターブレードは0.098インチの間隙に設定した。圧縮機ロールの圧力は入口で10psi、ロール2〜8が20psi、出口ローラーを40psiに設定した。
カナダ、オンタリオ、WindsorのToolPlas製のA級金型を用いてシートモールディングコンパウンドを圧縮成形した。各々が650gの重量の15平方センチメートルのSMCを4枚重ねて150℃、1200psiで2分間の圧縮成形により3mm厚×30平方cmのプラークを形成した。成形領域上の典型的なチャージ被覆率は25%であったが、幾つかの限られた研究では完全な被覆を検討した。
収縮率の測定では、各成形したプラークを特別に作成したジグ内に平らにクランプ留めし、校正した部品の幅からのずれを直交する側面上の2点で測定した。部品の配向効果を最小にするために各プラークを90度回転して再度測定した。収縮率は装置の製造業者によって確立されたゼロの校正値に対して計算した。各配合に対して3つのプラークを試験した。各組成物に対する平均と標準偏差を表11に示す。ポリ(エチレン−ブテン)とポリブタジエンポリマー系添加剤の組合せを用いたときに4倍以上の収縮率の低下が得られた(参考例83〜92と比較例10〜12)。
光沢のある黒に塗装した表面を用いて上記と同様にしてうねりとミカン肌を測定した。ポリマー系添加剤を含む参考例83〜92は、ポリマー系添加剤を含まない比較例10〜12より実質的に低いうねりとミカン肌の値を示した。
以上の実験の結果は、ポリマー系添加剤を含む組成物が、ポリマー系添加剤を含まない組成物と比べて低下した収縮率と改良された表面平滑性を示すことを示している。
参考例93、実施例94〜97、比較例13〜14
ポリブテン組成物が未硬化の組成物粘度に及ぼす効果を示すために5種類の組成物(参考例93、実施例94〜97)を調製した。試験した組成物及び比較例13〜14の成分を表12に挙げる。ポリブテンの量は、組成物全体の100重量部を基準にした重量部である。50重量%のスチレン中の固有粘度0.12dL/g(25℃、クロロホルム中)を有するメタクリレート封鎖ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)50重量%の混合物80重量%とTMPTMA20重量%を含むベース配合物中にポリブテンを混合した。使用したポリブテンは、Amocoが製造したINDOPOL(登録商標)ポリブテンの商標で市販されているものである。このポリブテンの数平均分子量(Mn)は227〜750原子質量単位(AMU)の範囲であった。成分を約70〜80℃で一緒に混合した後、約12時間冷却してゾル−ゲルを形成させた。
対照例(比較例13)とポリブタジエン例(ポリブタジエン、Sartomerによって販売されているMn=8000のRicon 134)(比較例14)は参考例93、実施例94〜97と同様にして調製した。これらの組成物の粘度を、T−バースピンドルを備えたBrookfield粘度計DVII+型を用いて測定し、センチポアズ(cP)の単位で示す。混合直後の組成物の粘度(ηmix)は約60℃で測定した。混合した組成物を冷却し一晩放置した後に形成されたゾル−ゲルの粘度(ηgel)は25℃で測定した。各配合物について、ゲルを封入したバイアルを調整温度浴中で加熱することによってゾル−ゲル遷移温度(Tsol−gel)も測定した。浴の温度を次第に上げ、反転の際の試料の流動性を検査した。全ての測定値を表13に示し、グラフとして図1及び2に示す。
図1と表13に示されているように、これらの結果は、約326〜約600のMnを有するポリブテンを5pbw添加すると、ポリブテンを含まない対照試料(比較例13)と比べて混合温度での初期粘度(ηmix)が少しだけ増大する(約1300cPまで)することを示している。25℃に冷却するとゾル−ゲルが形成され、ポリブテンは組成物の粘度を4.6×107cPも劇的に増大する(図1、ηgel)。ゾル−ゲルの形成後ポリブテンゾル−ゲル例はポリブテンの分子量に応じて約60〜約105℃の範囲の遷移温度を示す(図2)。比較例13と14はそれより低い遷移温度(55℃)を示す。
好ましい実施形態を参照して本発明を説明して来たが、その要素に対して本発明の範囲から逸脱することなく各種の変更をすることができ、また等価物で置き換えることができることが当業者には理解されよう。さらに、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために本発明の本質的な範囲から逸脱することなく多くの修正をすることができる。従って、本発明を実施する上で最良と考えられる開示した特定の実施形態に本発明が限定されるものではなく、特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を包含するものである。
引用した特許、特許出願及びその他の文献は全て援用により本明細書の開示の一部をなすものとする。