JP4208452B2 - 画像形成装置 - Google Patents
画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4208452B2 JP4208452B2 JP2001335792A JP2001335792A JP4208452B2 JP 4208452 B2 JP4208452 B2 JP 4208452B2 JP 2001335792 A JP2001335792 A JP 2001335792A JP 2001335792 A JP2001335792 A JP 2001335792A JP 4208452 B2 JP4208452 B2 JP 4208452B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- charging
- magnetic
- particles
- image carrier
- charging member
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
- Dry Development In Electrophotography (AREA)
- Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電圧を印加した帯電部材により被帯電体面を帯電する接触帯電方式の帯電装置を像担持体の帯電処理手段として備えた画像形成装置に関する。
【0002】
また、該帯電装置を像担持体の帯電処理手段として備えた画像形成装置に関する。
【0003】
また、本発明は、像担持体上にトナー画像を形成後、記録媒体上にトナー画像を転写させて画像形成する複写機、プリンター、ファックシミリ及びプロッターなどの帯電装置、及び画像形成装置に関する。
【0004】
【従来の技術】
従来、画像形成装置としては、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法などを用いた装置が多数知られている。例えば、電子写真法は、一般には潜像担持体としての光導電性物質を利用した感光体上に、種々の手段により電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像して可視像とし、必要に応じて紙などの記録媒体(転写材)にトナー像を転写した後、熱・圧力等により記録媒体上にトナー画像を定着して画像を得るものである。
【0005】
電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置においては、電子写真感光体、静電記録誘電体などの像担持体(被帯電体)を所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。
【0006】
コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、例えば、ワイヤ電極等の放電電極と該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を被帯電体である像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより、生じる放電電流(コロナシャワー)に像担持体面をさらすことで像担持体面を所定に帯電させるものである。
【0007】
近年は、コロナ帯電器に比べて低オゾン、低電力等の利点があることから、前記したように被帯電体に電圧を印加した帯電部材を当接させて被帯電体を帯電する接触方式の帯電装置(接触帯電装置)が実用化されてきている。
【0008】
接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材を接触させ、この帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器、以下、接触帯電部材と記す)に所定の帯電バイアスを印加して、被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0009】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、(1)放電帯電機構と(2)直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0010】
(1)放電帯電機構
接触帯電部材と被帯電体との間の微小間隙に生じる放電現象により被帯電体表面が帯電する機構である。
【0011】
放電帯電機構は接触帯電部材と被帯電体に一定の放電閾値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾンなど活性イオンによる弊害は避けられない。
【0012】
たとえば、接触帯電部材として帯電ローラを用いた帯電方式は帯電の安定性と言う点で好ましく、広く用いられているが、このローラ帯電ではその帯電機構は放電帯電機構が支配的である。
【0013】
即ち、帯電ローラは導電あるいは中抵抗のゴム材あるいは発泡体を用いて生成される。さらにこれらを積層して所望の特性を得たものもある。帯電ローラは被帯電体との一定の接触を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動あるいは若干の速度差を持って駆動される。従って、ローラ上の形状のムラや被帯電体の付着物により非接触状態が避けられないため、従来のローラ帯電ではその帯電機構は放電帯電機構が支配的となる。
【0014】
より具体的に説明すると、被帯電体としてのOPC感光体に対して帯電ローラを加圧当接させて帯電処理を行なわせる場合には、帯電ローラに印加する電圧が帯電開始電圧Vth以下では感光体の表面電位が上昇せず、帯電開始電圧Vth以上の電圧を印加すれば感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対して傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。
【0015】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには帯電ローラにはVd+Vthという必要とされる以上のDC電圧が必要となる。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して像担持体の帯電を行なう方式を「DC帯電方式」と称する。
【0016】
しかし、DC帯電方式においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗が変動するため、また像担持体としての感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0017】
このため更なる帯電の均一化を図るために特開昭63−149669号公報等に開示されるように、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した振動電圧を接触帯電部材に印加して像担持体の帯電を行なう「AC帯電方式」が用いられる。これはACによる電位のならし効果を目的としたものであり、像担持体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0018】
しかしながら、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は帯電部材から像担持体への放電現象を用いているため、先に述べたように帯電に必要とされる電圧は像担持体表面電位+放電しきい値以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。
【0019】
また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合にはさらなるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による被帯電体表面の劣化が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0020】
(2)直接注入帯電機構
接触帯電部材から被帯電体へ電荷が直接注入されることで、被帯電体表面を帯電する機構である。特開平6−3921号公報等で提案されている。
【0021】
中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電機構を基本的に用いないで、被帯電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この直接注入帯電機構はイオンの発生を伴わないため放電生成による弊害は生じない。
【0022】
より具体的には、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電部材に電圧を印加し、被帯電体(像担持体)表面にあるトラップ順位または電荷注入層の導電粒子等の電荷保持部材に電荷を注入して直接注入帯電を行う機構である。放電現象が支配的でないため、帯電に必要とされる電圧は所望する像担持体表面のみであり、オゾンの発生も無い。
【0023】
接触部材として、スポンジローラのような多孔状のローラに、接触帯電性を向上させるための導電性粒子をコートしたものを用いる場合には、接触帯電部材と被帯電体間の接触を極めて密にすることが可能であり、良好な帯電性を得ることが可能となる。
【0024】
ところで、転写方式の画像形成装置においては、転写後の感光体(像担持体)に残存する転写残トナーはクリーナー(クリーニング装置)によって感光体面から除去される。しかしながら、クリーニング装置を配していても、長期の繰り返し画像形成の過程で転写残トナー或は現像剤成分を完璧に感光体面から除去することは困難である。帯電装置として像担持体に接触する帯電部材(帯電ローラ等)を使用する場合、これら感光体面から除去しきれなかった転写残トナー或は現像剤成分が接触帯電部材に付着或は混入し、接触帯電部材による像担持体の一様帯電を阻害する問題があった。
【0025】
これらの課題に対し、例えば、特開平5−150539号公報には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、現像剤中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性粒子を含有させることが開示されている。
【0026】
しかし、この方法では、ブレードクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することは抑制することは可能なものの、導電性の粒子の形態に関して十分には記載されておらず、一度トナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積してしまった後の帯電手段表面からのトナー粒子やシリカ微粒子の排出、回収は考慮されていない。更に、クリーナーレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して多量の転写残トナーが帯電工程を通過することによる被帯電体の帯電性の低下、これら多量の転写残トナーの現像工程における回収性、回収された転写残トナーによる現像剤の現像特性への影響等に関して何ら考慮されていない。また、ここで用いられた接触帯電或いは近接帯電は放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。更には、接触帯電部材に導電性の粒子が付着した場合の像担持体の磨耗、傷の発生についても十分な考慮がなされていない。
【0027】
更に近年、クリーナー(クリーニング装置)によって転写後の感光体(像担持体)に残存する転写残トナーを除去することにより発生する廃トナーが、環境保護の面から問題視されるようになり、クリーナーをなくし、転写後の感光体上の転写残トナーは現像装置によって「現像同時クリーニング」で感光体上から除去し現像装置に回収・再用する装置構成にしたトナーリサイクルプロセスの画像形成装置も出現している。しかし、このようにクリーニング装置を有さない画像形成装置に接触帯電部材を適用すると、クリーニング装置を有する場合と比較して格段に多くの転写残トナーが接触帯電部材に付着或は混入し、接触帯電部材による像担持体の一様帯電阻害がより深刻な課題となっている。
【0028】
接触帯電装置について、帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行なうために、接触帯電部材に被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成が特公平7−99442号公報に開示されているが、接触帯電部材が被帯電体に従動回転であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、帯電原理は前述のローラ帯電の場合と同様に依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためにはDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合や、クリーナーレスの画像形成装置を長期に使用した場合において、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすく、接触帯電部材に塗布した粉末の脱落或いは劣化も懸念される。
【0029】
また、市販の電子写真プリンターの中には、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラ部材を用いて現像での転写残トナー回収性を補助或いは制御する、或いは接触帯電部材にバイアス印加が可能な部材を当接させて接触帯電部材上の転写残トナーの帯電性を制御して転写残トナーの回収性を向上させることを意図した、或いは接触現像プロセスを用いることで転写残トナーの現像での回収性を高めて現像バイアスを非画像部電位とのコントラストを十分に大きく取るように設定することで像担持体上の一様帯電が不均一となった場合でも帯電不良が画像上では確認しにくくなるよう設計された現像兼クリーニング画像形成装置もある。しかし、このような画像形成装置においても、像担持体上の一様帯電性自体は劣化しており、より高速、高耐久性が求められる画像形成装置にも適用可能な、非接触現像プロセスあるいは交番電界を現像バイアスに取り入れた現像方法を適用可能とすることが求められている。転写残トナーの帯電性を制御して転写残トナーの現像での回収性を高める効果についても更なる改良が望まれる。また、ここで用いられた接触帯電は放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではなく、放電帯電による前述の問題がある。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が介在することなく接触帯電部材による像担持体の一様帯電を行うこととなるため、均一な像担持体の帯電を行うことができない。
【0030】
これらに対し、特開平10−307456号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含む現像剤を直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。しかしながら、やはり、帯電手段の表面に付着・蓄積してしまったトナー粒子やトナー組成物の排出、回収に関しては更なる改良の余地が有り、転写残トナーの帯電性を制御して転写残トナーの現像での回収性を高める効果についても更なる改良が望まれる。
【0031】
トナーリサイクルプロセス(クリーナーレスシステム)
前述した現像同時クリーニングとは、転写後に感光体上に残留したトナーを次工程以降の現像時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、該潜像の現像時にかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以後に再用されるため、廃トナーをなくし、メンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。またクリーナーレスであることでスペース面での利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになる。
【0032】
現像同時クリーニング画像形成においては、転写後に像担持体上に残留したトナーを次工程以降の現像時にかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって現像装置内に回収する。このため、現像部に至る直前の像担持体上に存在する現像装置に回収されるべきトナー粒子の帯電を、トナーの正規な帯電極性で、かつ現像装置に回収されやすい帯電量範囲に緻密に制御する必要がある。
【0033】
しかしながら、この現像装置に回収するべきトナー粒子の帯電、転写工程におけるトナー粒子の帯電極性とは逆極性の転写バイアス印加により、トナー粒子ごとに大きなばらつきを有するようになってしまう。このため、現像装置に回収されるべきトナー粒子の帯電を制御しきれずに、現像装置へトナー粒子を高効率に回収することができないという課題があった。
【0034】
現像同時クリーニング画像形成においては、この回収すべきトナー粒子の帯電制御は、帯電工程における一様帯電のための帯電バイアス印加によって行われるが、転写残トナー粒子の帯電のばらつきが大きいこと及び帯電バイアスによってトナー粒子に付与される帯電量が均一ではない(例えば大きな粒子の影となった微小な粒子は帯電されない)ため、これだけでは十分な転写残トナーの帯電制御を行うことができない。
【0035】
帯電部材に接触帯電部材を用いる場合には、転写残トナー粒子が接触帯電部材に接触する機会があるため、転写残トナー粒子と接触帯電部材との摩擦帯電を利用して転写残トナーの帯電制御を行うこともできるが、これによっても転写残トナーの帯電制御を緻密に行い、現像装置へトナー粒子を高効率に回収するには更なる改良が求められている。
【0036】
これらの課題は、現像装置へトナー粒子を回収する際に、転写残トナー粒子と現像部材とが接触して機械的或いは物理的にトナー粒子を回収することができず、転写残トナー粒子の帯電と現像電界の関係による電気的力の寄与が大きな非接触現像方法においてより深刻である。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
従来、クリーニング部材の微小な欠損等により転写残トナーが帯電部に至り、接触帯電部材を汚染することにより生じる帯電不良は、クリーニング装置の複雑化或いは像担持体への摺擦力等の負荷の増大による像担持体の短寿命化と引き換えに防止されてきた。しかしながら、同一書式の縦罫線画像を多量に印字する場合に、縦罫線に対応して転写残トナーが局所的に集中することによるクリーニング不良、接触帯電部材の汚染或は帯電不良は、より厳しい課題である。実質的にクリーニング機構を有さないクリーナーレス画像形成においてはこの問題は更に深刻であり、接触帯電部材への転写残トナーの固着による帯電不良等の致命的画像欠陥を防止する有効かつ簡易な機構が求められている。
【0038】
本発明はこのような問題を解決する有効かつ簡易な帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供するものである。
【0039】
また、本発明は、上記の従来の技術の項に記載したように、現像同時クリーニング画像形成において現像装置に回収されるべきトナー粒子の帯電を緻密に制御し、現像装置へトナー粒子を高効率に回収することを可能とする帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供するものである。
【0040】
また、本発明は、クリーナーレスの画像形成装置においては、転写残トナーが帯電部において帯電不良を引き起こしてしまうことや、転写残トナーが帯電部からそのまま排出されて、画像露光を遮光してしまう問題を解決できる帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供するものである。
【0041】
また、本発明は、接触帯電において、帯電ローラやファーブラシなどの簡易な接触帯電部材を用いてより帯電均一性に優れ且つ長期に渡り安定した直接注入帯電を実現し、画像形成装置にあっては絶対的帯電不良による画像のかぶり(反転現像の場合には白地部が現像される)や帯電ムラを有効に抑制することができる帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供するものである。
【0042】
また、本発明は、これにより、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストで、像担持体を長寿命化することができ、高画質画像を長期に渡り安定に出力させることができる帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供するものである。
【0043】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする画像形成装置である。
【0044】
(1)像担持体に当接して像担持体表面を一様に帯電させる帯電装置と、前記一様に帯電された像担持体を露光し静電潜像を形成する露光装置と、前記像担持体上の静電潜像を可視化するための磁性トナーを含む現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上のトナー像を転写材上に転写するための転写装置と、を有する画像形成装置において、前記帯電装置は、前記像担持体表面に対して帯電を行う回動可能な帯電部材と、前記帯電部材に当接する弾性を備える磁界発生部材を備え、前記磁界発生部材の表面は、前記磁性トナー粒子との摩擦帯電極性が前記磁性トナー粒子自体の帯電極性とは逆極性であり、前記帯電部材に付着した磁性トナーは、前記像担持体に移動した後、前記現像装置で回収されることを特徴とする画像形成装置。
【0050】
(2)前記磁界発生部材は、画像形成時に前記帯電部材に対して押圧され、画像形成時の前後には、前記帯電部材に対する押圧を解除する或いは前記帯電部材から離間させることを特徴とする(1)の画像形成装置。
【0053】
(3)前記帯電部材表面における前記磁界発生部材による磁束密度の最大値が、10〜150 mT であることを特徴とする(1)又は(2)の画像形成装置。
【0080】
(作用)
(1) 被帯電体としての像担持体と、被帯電体と当接し、被帯電体表面に対して帯電を行う回動可能な帯電部材と、この帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材とを少なくとも有する帯電装置により、接触帯電部材に付着或は混入する磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することで、接触帯電部材の磁性粒子による汚染を抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う被帯電体への帯電の阻害を抑制することができる。
【0081】
また、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子が接触帯電部材に固着することを防止し、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な被帯電体の帯電欠陥の発生を抑制することができる。同時に、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を、一旦、磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去した後に、磁性粒子を接触帯電部材へ転移させることにより、接触帯電部材への磁性粒子の付着力を弱める或いは接触帯電部材の表層に保持させることにより、被帯電体への帯電を阻害することなく、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を被帯電体上へ効率よく排出することが容易となる。
【0082】
さらに、多量の磁性粒子が局所的に接触帯電部材に付着或は混入した場合でも、磁界発生部材が接触帯電部材に付着或は混入した多量の磁性粒子を分散させて均す効果に優れるため、磁性粒子の局在化を抑制し、接触帯電部材に磁性粒子が局所的に付着或は混入した部位に対応する被帯電体の局所的な帯電不良を防止することができる。
【0083】
例えば、回動可能な帯電部材が、ファーブラシ又は弾性体のローラである帯電装置により、帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材の配置の自由度が高く、簡易な構成の帯電装置とすることができる。
【0084】
例えば、回動可能な帯電部材が弾性発泡体で構成される帯電装置により、帯電部材表面と帯電部材に付着する磁性粒子との付着力を低減することができ、帯電部材に付着する磁性粒子をより確実に磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができる。このため、接触帯電部材の磁性粒子による汚染をより有効に抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う被帯電体への帯電の阻害をより確実に防止することができる。
【0085】
例えば、回動可能な帯電部材が、Asker−C硬度で15度以上、70度以下の硬度を有する弾性ローラである帯電装置により、接触部材と被帯電体との接触性を高めることができ、被帯電体上の磁性粒子を接触部材表面に有効に転移させた後に、帯電部材に付着する磁性粒子を磁界発生部材によって接触部材から磁気的に剥離、除去することができる。このため、接触部材と被帯電体との間に磁性粒子が滞留すること或は接触部材と被帯電体との間隙を磁性粒子がすり抜けることによる被帯電体の帯電欠陥を防止することができる。
【0086】
例えば、回動可能な帯電部材が、Asker−C硬度で20度以上、50度以下の硬度を有する弾性ローラである帯電装置により、接触部材と被帯電体との接触性をより高めることができ、接触部材と被帯電体との間に磁性粒子が介在することによって発生する帯電欠陥をより確実に防止することができる。
【0087】
例えば、回動可能な帯電部材は、体積固有抵抗が103〜108Ωの抵抗を有するローラ部材であることが好ましい。回動可能な帯電部材が、体積固有抵抗が103未満の抵抗を有するローラ部材である帯電装置では、被帯電体面の抵抗の不均一が存在する場合、抵抗の低い部位への帯電バイアスのリークを生じてしまう。回動可能な帯電部材が、体積固有抵抗が108Ωよりも高い抵抗を有するローラ部材である帯電装置では、被帯電体を帯電するために帯電部材により高電圧を印加することが必要となり、放電生成物が発生しやすくなるために被帯電体表面の汚染及び劣化による被帯電体の帯電性が低下しやすくなる。
【0088】
例えば、磁界発生部材が回動可能である帯電装置により、より多くの接触帯電部材に付着或は混入する磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することが可能となり、接触帯電部材の磁性粒子による汚染をより有効に抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う被帯電体への帯電の阻害をより確実に防止することができる。
【0089】
また、磁界発生部材と接触帯電部材の間に磁性粒子が過剰に滞留することにより磁性粒子が接触帯電部材に固着することを防止することが可能であり、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な被帯電体の帯電欠陥の発生を抑制することができる。
【0090】
例えば、磁界発生部材が、回動可能である円筒状スリーブによって内包されている帯電装置により、磁界発生部材によって接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を均一に磁気的に剥離、除去することが容易となり、接触帯電部材に残留する磁性粒子の量を均一化することができる。このため、接触帯電部材の磁性粒子による汚染の程度にムラが有ることで、被帯電体の帯電ムラが目立つようになる現象を抑制することができる。また、接触帯電部材に磁性粒子を均一に排出することが容易となり、接触帯電部材から被帯電体面への磁性粒子の排出も均一とすることが容易となる。
【0091】
例えば、回動可能である磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する回動可能である円筒状スリーブに当接する部材を有する帯電装置により、磁界発生部材に転移させた磁性粒子の摩擦帯電極性及び帯電量を制御することが可能となる。詳細には、回動可能である磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する回動可能である円筒状スリーブとこれに当接する部材との摺擦を利用して、磁界発生部材に転移させた磁性粒子を摩擦帯電する。この際、回動可能である磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する回動可能である円筒状スリーブ表面と、これに当接する部材の摩擦帯電性を考慮することで、磁性粒子に付与する摩擦帯電極性を制御することが可能であり、磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する円筒状スリーブの磁性粒子付着させる或いは搬送する能力(磁界発生部材が発生する実効的な磁気力、磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する円筒状スリーブの表面粗さ等の表面特性を要因する)、及び当接部材の当接圧を適宜設定することにより、磁性粒子に付与する摩擦帯電量を制御することが可能となる。また、磁界発生部材での磁性粒子の付着量をより均一にすることが可能であり、一旦、磁界発生部材に転移させた磁性粒子を接触帯電部材上に均一に排出することができ、接触帯電部材から像担持体への一様帯電の阻害を軽減することができる。
【0092】
(3)帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値は、10〜150 mT であることが好ましい。帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値が10 mT 未満である場合は、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去する力が小さいため、接触帯電部材から剥離、除去することができない磁性粒子が増加しやすく、この場合〈作用〉の(1)で上述した効果が十分に得られない場合がある。逆に、帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値が150 mT よりも大きい場合は、磁界発生部材と接触帯電部材の間に磁性粒子が過剰に滞留する場合が有り、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な被帯電体の帯電欠陥を発生することがある。
【0093】
例えば、被帯電体としての像担持体と、像担持体に当接して像担持体表面を一様に帯電させる帯電装置と、前記一様に帯電された像担持体を露光し静電潜像を形成する露光装置と、前記像担持体上の静電潜像を可視化するためのトナーを含む現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上のトナー像を転写材上に転写するための転写装置と、を有する画像形成装置であって、前記帯電装置が像担持体に対して一様帯電を行う回動可能な帯電部材と、この帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材とを有する帯電装置である画像形成装置により、接触帯電部材に付着或は混入する現像剤起因の磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができ、接触帯電部材の磁性粒子による汚染を抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う像担持体への帯電の阻害による画像不良の発生を抑制することができる。また、接触帯電部材に付着或は混入する現像剤起因の磁性粒子による像担持体の研磨及び傷の発生を抑制し、像担持体の摩耗による画像品位の変化或は劣化、及び像担持体の傷の発生による画像欠陥の発生を抑制することができる。
【0094】
また、接触帯電部材に付着或は混入した現像剤起因の磁性粒子が接触帯電部材に固着することを防止し、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な像担持体の一様帯電欠陥の発生を抑制することで、像担持体の一様帯電不良による画像欠陥の発生を防止することができる。同時に、像担持体への帯電を阻害することなく、接触帯電部材に付着或は混入した現像剤起因の磁性粒子を像担持体へ排出することが容易となる。
【0095】
さらに、クリーナーレス画像形成方法を適用した場合やクリーニング機構が局所的に破綻した場合のように、多量の現像剤起因の磁性粒子が局所的に接触帯電部材に付着或は混入した場合でも、磁界発生部材が接触帯電部材に付着或は混入した多量の磁性粒子を分散させて均す効果に優れるため、磁性粒子の局在化を抑制し、接触帯電部材に磁性粒子が局所的に付着或は混入した部位に対応する像担持体の局所的な帯電不良を防止することができる。
【0096】
例えば、回動可能な帯電部材が、ファーブラシ又は弾性体のローラである帯電装置により、帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材の配置の自由度が高く、簡易な構成の画像形成装置とすることができる。
【0097】
回動可能な帯電部材が弾性発泡体で構成される帯電装置により、帯電部材表面と帯電部材に付着する現像剤起因の磁性粒子との付着力を低減することができ、帯電部材に付着する磁性粒子をより確実に磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができる。このため、接触帯電部材の磁性粒子による汚染をより有効に抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う像担持体への帯電の阻害をより確実に防止することができる。
【0098】
回動可能な帯電部材が、Asker−C硬度で15度以上、70度以下の硬度を有する弾性ローラである帯電装置により、接触部材と像担持体との接触性を高めることができ、像担持体上の現像剤起因の磁性粒子を接触部材表面に有効に転移させた後に、帯電部材に付着する磁性粒子を磁界発生部材によって接触部材から磁気的に剥離、除去することができる。このため、接触部材と像担持体との間に磁性粒子が滞留すること或は接触部材と像担持体との間隙を磁性粒子がすり抜けることによる像担持体の帯電欠陥を防止することができる。
【0099】
また、接触部材と像担持体との接触性をより高めることができ、帯電欠陥をより確実に防止することができる点で、回動可能な帯電部材は、Asker−C硬度で20度以上、50度以下の硬度を有する弾性ローラであることがより好ましい。
【0100】
回動可能な帯電部材は、体積固有抵抗が103〜108Ωの抵抗を有するローラ部材であることが好ましい。帯電部材の体積固有抵抗が103〜108Ωであることで、像担持体の点欠陥が存在する場合のピンホールリークを防止し、放電生成物が発生しない或は発生し難い低印加電圧での像担持体の一様帯電を行うことができる。
【0101】
磁界発生部材が回動可能である帯電装置により、より多くの接触帯電部材に付着或は混入する磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することが可能となり、接触帯電部材の磁性粒子による汚染をより有効に抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う像担持体への帯電の阻害をより確実に防止することができる。また、磁界発生部材と接触帯電部材の間に磁性粒子が過剰に滞留することにより磁性粒子が接触帯電部材に固着することを防止することが可能であり、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な像担持体の帯電欠陥の発生を抑制することができる。
【0102】
磁界発生部材が回動可能である円筒状スリーブによって内包されている帯電装置により、磁界発生部材によって接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を均一に磁気的に剥離、除去することが容易となり、接触帯電部材に残留する磁性粒子の量を均一化することができる。このため、接触帯電部材の磁性粒子による汚染の程度にムラが有ることで、像担持体での軽微な帯電ムラが画像上では目立つようになる現象を抑制することができる。また、接触帯電部材に磁性粒子を均一に排出することが容易となり、接触帯電部材から像担持体への磁性粒子の排出も均一とすることが容易となる。このため、多量の磁性粒子が一括して像担持体上に排出されて画像露光を遮り潜像を乱すことをより確実に防止することができる。
【0103】
回動可能である磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する回動可能である円筒状スリーブに当接する部材を有する帯電装置により、磁界発生部材に転移させた磁性粒子の摩擦帯電極性及び帯電量を制御することが可能となる。このため、上述した方法等により、現像剤起因の磁性粒子の帯電をトナー粒子の帯電極性と同極性とし、適当な帯電量を付与することにより、像担持体上に排出した磁性粒子を、現像部において像担持体上から現像装置内へより効率よく回収することが可能となる。
【0104】
帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値を、10〜150mTとすることで、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができない磁性粒子を減少させることができ、上述した効果をより確実に得ることができる。また、帯電部材表面における磁界発生部材による磁気力が大きすぎることによる磁界発生部材と接触帯電部材の間での磁性粒子の過剰な滞留による磁性粒子の接触帯電部材への固着をより確実に防止することができる。これらによって、像担持体の一様帯電不良の発生をより有効に抑制することができる。
【0105】
例えば、回動可能な接触帯電部材が像担持体表面に対して相対速度を有して回動することにより、像担持体上の磁性粒子をより確実に接触帯電部材表面に転移させることができ、接触帯電部材に付着或いは混入する磁性粒子を磁界発生部材によって接触帯電部材から磁気的に剥離、除去することで、接触帯電部材と像担持体との間に磁性粒子が滞留すること或いは接触帯電部材と像担持体との間隙を磁性粒子がすり抜けることによる像担持体の一様帯電の欠陥発生を防止することができる。
【0106】
例えば、回動可能な帯電部材と前記像担持体とが、それらが対向する表面において互いに逆方向に移動することにより、像担持体上の磁性粒子をさらに確実に接触部材表面に転移させることができ、上述したように像担持体の一様帯電の欠陥発生を防止することができる。
【0107】
例えば、回動可能である磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する回動可能である円筒状スリーブに当接する部材を有し、該当接部材の少なくとも表面のトナー粒子との摩擦帯電極性がトナー粒子自体の帯電極性とは逆極性であることにより、磁界発生部材に転移させた磁性粒子の摩擦帯電極性をより確実にトナー粒子の帯電極性と同極性に制御することが可能となり、像担持体上に排出した磁性粒子を現像部において像担持体上から現像装置内へ効率よく回収するために適当な帯電量を付与することが容易となる。このため、像担持体上に排出した磁性粒子が現像装置内へ回収されることなく現像部を通過して画像汚れを生じることをより確実に防止することができる。
【0108】
例えば、像担持体の最表面層における体積抵抗が1×109〜1×1014Ω・cmであることにより、一様帯電工程における像担持体表面への電荷注入を容易に行うことができ、接触帯電部材に付着或は混入する磁性粒子が接触帯電部材を汚染して像担持体への一様帯電を阻害することを防止しつつ、オゾン、NOxなどの放電性生物を生成することなく、低印加電圧で像担持体を一様帯電することが可能な直接注入帯電機構を適用した画像形成装置を得ることが可能となる。
【0109】
例えば、像担持体の最表面層が、金属酸化物導電微粒子が少なくとも分散された樹脂層であることにより、一様帯電工程における像担持体表面への電荷注入をより均一に行うことができ、接触帯電部材に付着或は混入する磁性粒子が接触帯電部材を汚染して像担持体への一様帯電を阻害することを防止しつつ、直接注入帯電機構を適用したより一様帯電が均一な画像形成装置を得ることが可能となる。
【0110】
例えば、像担持体の表面の水に対する接触角が85度以上であることにより、像担持体上の磁性粒子と像担持体表面との付着力を低減することができるため、像担持体上の磁性粒子をより確実に接触帯電部材表面に転移させることができ、接触帯電部材に付着する磁性粒子を磁界発生部材によって接触帯電部材から磁気的に剥離、除去することで、接触帯電部材と像担持体との間に磁性粒子が滞留すること或は接触帯電部材と像担持体との間隙を磁性粒子がすり抜けることによる像担持体の一様帯電の欠陥発生を防止することができる。
【0111】
例えば、像担持体の最表面層が、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂から選ばれる1種以上の材料からなる滑剤微粒子が、少なくとも分散された層であることにより、像担持体上の磁性粒子と像担持体表面との付着力をより低減することができるため、像担持体上の磁性粒子をより確実に接触帯電部材表面に転移させることができ、接触帯電部材に付着する磁性粒子を磁界発生部材によって接触帯電部材からより確実に磁気的に剥離、除去することで、磁性粒子による像担持体の摩耗及び傷の発生を著しく低減することができ、像担持体を長寿命化することができる。
【0112】
例えば、本発明は、磁性粒子を含有する現像剤(磁性キャリアを用いた2成分現像剤及び磁性体を外部添加したトナーを含む)を用いる画像形成装置において、作用が顕著に発現するが、特に、現像剤が少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子である場合により顕著に作用が発現する。現像剤が少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子であることにより、必然的に磁性トナー粒子からなる転写残トナーが発生し、この転写残トナー粒子を完璧にクリーニング装置において回収することが困難であり、極微量であっても転写残の磁性トナー粒子或は磁性トナー粒子から脱離した磁性体等が接触帯電部材に付着、蓄積してしまうことによる像担持体の一様帯電性の低下及び像担持体の短寿命化等の課題を解決するものである。
【0113】
例えば、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜40Am2/kgであることで、接触帯電部材に付着或は混入した磁性トナー粒子を磁界発生部材によってより確実に磁気的に剥離、除去することができ、接触帯電部材の磁性粒子による汚染を抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う像担持体への帯電の阻害による画像不良の発生を抑制することができる。また、像担持体への帯電を阻害することなく、接触帯電部材に付着或は混入した磁性トナー粒子を像担持体へ排出することが容易となる。
【0114】
磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも小さすぎる場合には、接触帯電部材に付着或は混入した磁性トナー粒子のうち磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができない磁性トナー粒子が増加する傾向にあり、接触帯電部材の磁性粒子による汚染により、像担持体への帯電の阻害による画像不良を生じることがある。磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも大きすぎる場合には、磁性トナー粒子が磁界発生部材近傍に過剰に滞留しやすくなる傾向があり、過剰に滞留した磁性トナー粒子が一括して像担持体上に排出された場合には、磁性トナー粒子が画像露光を遮り潜像を乱すことによる画像欠陥を生じる。
【0115】
例えば、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける抗磁力が1〜30kA/mであることが好ましい。磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける抗磁力が上記範囲よりも小さすぎる場合には、磁界発生部材に転移した磁性トナー粒子が磁界発生部材から飛散して画像形成装置内を汚す場合があり、上記範囲よりも大きすぎる場合には、磁界発生部材に転移した磁性トナー粒子が磁気凝集を生じ易くなり、像担持体へ排出された後も磁性トナー粒子が凝集している場合には、画像露光を遮り潜像を乱すことによる画像欠陥を生じる。また、磁性トナー粒子に限らず、磁性粒子の磁場79.6kA/mにおける抗磁力が上記範囲よりも大きすぎる場合には、磁性粒子が排出されることなく磁界発生部材近傍に強固に付着し、新たに接触帯電部材に磁性粒子が付着或は混入した際に磁性粒子を接触帯電部材から剥ぎ取る効果が低下する場合があり好ましくない。
【0116】
例えば、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さをσs、体積平均粒径をDとするとき、下記(1)式を満たすことが好ましい。
100 < σs × D < 300 (1)
【0117】
本発明者の検討によれば、接触帯電部材に磁性トナー粒子が付着或は混入した場合の接触帯電部材からの磁性トナー粒子の磁界発生手段による磁気的剥離、除去には、磁性トナー粒子の磁気力とともに磁性トナーの粒径が大きく関与することが判明した。同じ磁気力を有するトナー粒子でも粒径の小さな粒子ほど磁界発生手段によって接触帯電部材から剥ぎ取る効率が低下しやすい。また、磁気力が大きく粒径も大きい粒子は、磁気力が大きいために磁界発生手段近傍に滞留しやすい傾向があり、磁界発生手段近傍に滞留する粒径が大きい粒子は新たに接触帯電部材に磁性粒子が付着或は混入した際に磁性粒子を接触帯電部材から剥ぎ取る効果を阻害する傾向が著しく強まることが判明した。本発明者は、これらの知見をもとに鋭意検討の末、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さσsと磁性トナーの体積平均粒径Dとの積が、上記式(1)を満たす場合、接触帯電部材からの磁性トナー粒子の磁界発生手段による磁気的剥離、除去をより安定して行わせることができることを解明した。
【0118】
さらに、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さσsと磁性トナーの体積平均粒径Dとの積が、150〜300であることがより好ましい。これは、粒度分布を有するトナーでは、接触帯電部材に付着或は混入する転写残トナーの体積平均粒径が、もとの磁性トナーの体積平均粒径Dよりも小さくなる傾向があるが、粒度分布が比較的広いトナー等では転写残トナーの体積平均粒径がもとの磁性トナーの体積平均粒径Dよりも小さくなる傾向がより強まる場合があることを考慮したものである。
【0119】
例えば、本発明においては、現像剤が少なくとも導電性微粉末が添加された現像剤であることが好ましい。現像剤に導電性微粉末が添加されていることで、導電性微粉末が接触帯電部材に付着或は保持され、接触帯電部材と像担持体とのより緻密な接触性を得られることにより、接触帯電部材に付着或は保持された導電性微粉末を介しての接触帯電部材による像担持体の直接注入帯電機構を適用したより一様帯電が均一な画像形成装置を得ることが可能となる。
【0120】
上記について詳細に説明する。現像剤に添加された導電性微粉末は、像担持体に形成された静電潜像が現像される際に、トナー粒子とともに適当量がトナー粒子を担持する現像剤担持体から像担持体に移行する。静電潜像が現像されることにより像担持体上に形成されたトナー画像は、転写工程において紙などの転写材に転移する。このとき、像担持体上の導電性微粉末も一部は転写材に付着するが、残りは像担持体上に付着保持されて残留する。このため、導電性微粉末のごく一部は転写材に付着するものの残りの大半は像担持体上に付着保持されて残留する。像担持体上に繰り返して作像が行われ、転写工程と帯電工程との間にクリーニング工程の如く、像担持体上に付着保持されて残留した現像剤成分を像担持体上から取り除く工程を持たない画像形成方法では、転写後の像担持体表面に残存した導電性微粉末は、像担持体において像を担持する面(以下、これを「像担持体表面」という)の移動に伴って帯電部に持ち運ばれる。また、転写工程と帯電工程との間にクリーニング工程を有する場合にも、転写後の像担持体表面に残存した導電性微粉末がクリーニング工程をすり抜けて帯電部に持ち運ばれることがある。例えば、通常のクリーニングブレードを適用した画像形成装置においては、導電性微粉末の平均粒径が5μm以下となる場合に、導電性微粉末がクリーニングブレードをすり抜けて帯電部に持ち運ばれる現象が見られるようになり、導電性微粉末の平均粒径が小さくなるほどクリーニングブレードをすり抜けて帯電部に持ち運ばれる導電性微粉末が増加する傾向にある。帯電工程に接触帯電部材を用いる本発明では、導電性微粉末は像担持体と接触帯電部材とが接触する帯電部に持ち運ばれ、接触帯電部材に付着或いは混入する。従って、上記帯電部に導電性微粉末が介在した状態で像担持体の接触帯電が行なわれる。
【0121】
導電性微粉末を接触帯電部材に付着或いは混入させ、帯電部に導電性微粉末が介在することにより、転写残トナー粒子の付着或いは混入で接触帯電部材が汚染されることによる接触帯電部材と像担持体表面との絶縁を防止し、抵抗を維持できるため、接触帯電部材による像担持体の帯電を良好に行うことができる。
【0122】
更に、帯電部において接触帯電部材の像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材による像担持体への直接注入帯電を良好に行なわせることができる。
【0123】
また、現像剤に導電性微粉末が添加されていることで、トナー粒子の転写性が高まり、転写残トナー量を大幅に減少させることができる。このため、廃トナーの発生量を抑制できる。さらには、接触帯電部材に付着或は混入する転写残トナー量を大幅に低減することができ、帯電不良を生じ難い、より安定した一様帯電を行うことができる。
【0124】
例えば、現像剤に添加される導電性微粉末は非磁性であることが好ましい。導電性微粉末が磁性を有している場合、導電性微粉末が接触帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材に剥ぎ取られてしまう傾向があり、接触帯電部材に付着或は保持された導電性微粉末を介しての接触帯電部材による像担持体の直接注入帯電機構を適用したことにより一様帯電が均一な画像形成装置を得ることを可能とする効果を減じてしまうことが有る。また、多量の磁性を有する導電性微粉末が磁界発生部材に付着或いは保持されてしまった場合、接触帯電部材による像担持体の一様帯電を阻害する磁性粒子を磁界発生部材によって接触帯電部材から磁気的に剥ぎ取り除去することが困難となる場合があり、上記した効果を損ねてしまう場合もある。
【0125】
例えば、現像剤に添加される導電性微粉末の抵抗は109Ω・cm以下であることが好ましい。導電性微粉末の抵抗が109Ω・cm以下であることにより、導電性微粉末が接触帯電部材に付着或は保持されることにより、転写残トナー粒子の付着或いは混入で接触帯電部材が汚染されることによる接触帯電部材と像担持体表面との絶縁をより確実に防止し、抵抗を維持できる。
【0126】
例えば、現像剤に添加される導電性微粉末の抵抗は106Ω・cm以下であることがより好ましい。導電性微粉末の抵抗が106Ω・cm以下であることにより、接触帯電部材による像担持体の一様帯電を阻害する転写残トナーが多量に混入した際にでも、接触帯電部材と像担持体表面との絶縁を防止し、抵抗を維持し、接触帯電部材による像担持体の帯電を良好に行うことができる。更に、接触帯電部材による像担持体への直接注入帯電を良好に行なわせることができる。
【0127】
例えば、現像剤に添加される導電性微粉末は、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していることが好ましい。
【0128】
本発明における導電性微粉末としては、例えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉末;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などの導電性微粉末が使用できる。これらの中でも、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していることが、導電性微粉末の抵抗を低く設定することが可能である点で好ましい。また、非磁性であり、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される導電性微粉末がカブリとして目立たない点でも好ましい。
【0129】
例えば、本発明においては、現像剤の前記導電性微粉末の含有量がトナー粒子の0.5〜10質量%であることが好ましい。
【0130】
導電性微粉末の含有量を上記範囲とすることにより、像担持体の帯電を促進するための適度な量の導電性微粉末を帯電部に供給できる。現像剤の導電性微粉末の含有量が上記範囲よりも小さすぎる場合には、帯電部に供給される導電性微粉末量が不足し易く、安定した像担持体の一様帯電を促進する効果が得にくい。また、現像剤の導電性微粉末の含有量が上記範囲よりも大きすぎる場合には、過剰の導電性微粉末が帯電部に供給され易く、帯電部に保持しきれない導電性微粉末が多量に像担持体上に排出されることによる露光不良を生じ易くなる。また、トナー粒子の摩擦帯電性を低下させる或いは乱し、画像濃度低下やカブリの増加の原因となることがある。このような観点から、現像剤の導電性微粉末の含有量は、トナー粒子の0.8〜5質量%であることがより好ましく、更に好ましくは1.2〜4質量%である。
【0131】
例えば、本発明においては、現像剤が現像剤中で0.6〜3μmの粒径の導電性微粉末をトナー粒子100個あたり5〜500個有することが好ましい。
【0132】
導電性微粉末が接触帯電部材に付着或いは混入した際に、導電性微粉末を介した接触帯電部材と像担持体とのより緻密な接触性を得て、直接注入帯電によるより均一な像担持体の一様帯電を行うためには、導電性微粉末の粒径は小さいことが好ましい。これは、導電性微粉末の粒径が大きすぎると、接触帯電部材から導電性微粉末が脱落しやすくなること、接触帯電部材に均一に付着或いは保持することができなくなること、更には導電性微粉末と接触帯電部材或い像担持体との接触点が減少すること等が原因と推測される。しかし、現像剤に添加する導電性微粉末の粒径が小さすぎると、導電性微粉末のトナー粒子への付着性が増大し、導電性微粉末がトナー粒子表面に付着して挙動するようになり、像担持体の非画像部に導電性微粉末が単独で供給されにくくなり、トナー粒子とともに大半が転写材に転写されてしまうようになる。このため、接触帯電部材に付着或いは混入する導電性微粉末の量が顕著に減少し、像担持体の一様帯電性を促進する効果が得られにくくなる。
【0133】
すなわち、接触帯電部材に付着或いは保持されて像担持体の一様帯電性を促進する効果を得るために最適な導電性微粉末の粒径範囲が存在する。本発明者の検討によると、この最適な導電性微粉末の粒径範囲はおよそ0.6〜3μmであり、この粒径範囲の粒径を有する導電性微粉末を適正量現像剤中に含有させることにより、像担持体の一様帯電性を促進する効果を最大限に引き出せることが判明した。
【0134】
0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子は、トナー粒子から遊離して挙動し易く、帯電部材に均一に付着しかつ安定して保持されるために、現像剤中に0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子をトナー粒子100個あたり5〜500個有することで、現像工程及び転写工程において像担持体上への導電性微粉末の供給がより促進され、接触帯電部材への導電性微粉末の供給も促進されるため、より安定して像担持体の一様帯電性を均一化できる。
【0135】
現像剤中で0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子がトナー粒子100個あたり5個未満の場合には、導電性微粉末に起因する像担持体の帯電促進効果が著しく減少する場合もある。また、現像剤中で0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子がトナー粒子100個あたり500個よりも大幅に多いと、トナー粒子に対する導電性微粉末の粒子の比率が高すぎるために、トナー粒子の摩擦帯電を阻害し、現像剤としての現像性および転写性を低下させ、画像濃度の低下、カブリの増加、転写残トナー粒子の増加による一様帯電性の低下を生じ易くなる。このような観点から、現像剤中に0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子をトナー粒子100個あたり10〜300個有することがより好ましい。
【0136】
本発明において現像剤中でのトナー粒子100個あたりの0.6〜3μmの導電性微粉末の個数は、以下のように測定することにより得られる値である。すなわち、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した現像剤の写真と、更に走査型電子顕微鏡に付属させたX線マイクロアナライザー(XMA)等の元素分析手段によって導電性微粉末の含有する元素でマッピングされた現像剤の写真を対照し、トナー粒子を100個に対して、トナー粒子表面に付着或いは遊離して存在している導電性微粉末を特定する。走査型電子顕微鏡により拡大撮影した現像剤の写真(例えば、(株)日立製作所製FE−SEM S−800 で3000〜5000倍の視野で撮影した写真)から、または走査型電子顕微鏡からインターフェースを介して導入した(3000〜5000倍に拡大した)画像情報から、特定された導電性微粉末の画像を画像処理装置(例えば(株)ニコレ社製画像解析装置 Luzex III )に導入し、解析することによって求められる円相当径0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子数をトナー粒子100個あたりでカウントして得られる値である。
【0137】
例えば、本発明の画像形成装置は、帯電装置が像担持体に接触する回動可能な帯電部材に、現像手段によって像担持体に付着し、転写手段による転写が行われた後もこの像担持体に残留している、少なくとも導電性微粉末を含有する現像剤の成分が付着或いは混入した状態で、帯電部材に電圧を印加することにより、導電性微粉末を介して像担持体を帯電する装置である画像形成装置とすることが好ましい。
【0138】
例えば、本発明の画像形成装置は、現像装置がトナー画像を形成するとともに、トナー画像が転写材に転写された後に像担持体に残留した現像剤を回収する手段を具備する装置である画像形成装置とすることが好ましい。
【0139】
すなわち本発明は、上記のごとく現像装置を、静電潜像をトナーによって現像しトナー像を形成させる機能と、像担持体に残留した現像剤を現像装置内に回収する機能とを併せ持つ装置とすることが好ましい。
【0140】
本発明によれば、像担持体に残留した現像剤を現像装置内に効率よく回収することができる。
【0141】
転写後に感光体上に残留したトナーを次工程以降の現像時、即ち引き続き感光体を帯電し、露光して潜像を形成し、該潜像の現像時にかぶり取りバイアス(トナー粒子を像担持体上からトナー担持体へ引き戻す方向に付勢する現像バイアス電位と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像装置に回収されて次工程以後に再用されるため、廃トナーをなくし、メンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。また、クリーニング機構を省略することにより、スペース面で得られる利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになる。
【0142】
このような画像形成においては、転写後に像担持体上に残留したトナーを次工程以降の現像時にかぶり取りバイアスによって現像装置内に回収するため、現像部に至る直前の像担持体上に存在する現像装置に回収されるべきトナー粒子の帯電を、トナーの正規な帯電極性で、かつ現像装置に回収されやすい帯電量範囲に緻密に制御する必要がある。
【0143】
しかしながら、この現像装置に回収するべきトナー粒子には、転写工程におけてトナー粒子の帯電極性とは逆極性の転写バイアス印加されることにより、トナー粒子ごとに大きな帯電量のばらつきを有するようになってしまう。このため、転写工程の後現像工程に至るまでの間に現像装置に回収されるべきトナー粒子の帯電を適正に制御しなければならない。
【0144】
この回収すべきトナー粒子の帯電制御は、帯電工程における一様帯電のための帯電バイアス印加によっても行われるが、転写残トナー粒子の帯電のばらつきが大きいこと及び帯電バイアスによってトナー粒子に付与される帯電量が均一ではない(例えば大きな粒子の影となった微小な粒子は帯電されない)ため、これだけでは十分な転写残トナーの帯電制御を行うことができない。
【0145】
帯電部材に接触帯電部材を用いる場合には、転写残トナー粒子が接触帯電部材に接触する機会があるため、転写残トナー粒子と接触帯電部材との摩擦帯電を利用して転写残トナーの帯電制御を行うこともできるが、これによっても転写残トナーの帯電制御を十分に緻密に行うことはできず、現像装置へトナー粒子を高効率に回収するには更なる改良が必要である。
【0146】
本発明によれば、帯電装置が像担持体に当接して一様帯電を行う回動可能な帯電部材と、この帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材とを少なくとも有する帯電装置である画像形成装置により、接触帯電部材に付着或は混入する現像剤起因の磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができるため、接触帯電部材に残留して付着或は保持される磁性粒子の量を減じることができる。接触帯電部材に残留して付着或は保持される磁性粒子の量が少ないほど、磁性粒子の帯電量を制御することが容易となり、現像装置へ磁性粒子の回収性が向上する。
【0147】
また、本発明によれば、接触帯電部材として回動可能な弾性発泡体で構成される部材を用いることにより、帯電部材表面と帯電部材に付着する磁性粒子との付着力を低減することができ、帯電部材に付着する磁性粒子をより確実に磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができるため、接触帯電部材に残留して付着保持される磁性粒子の量を更に減じることができる。接触帯電部材に残留して付着される磁性粒子の量がより少なくなること、磁性粒子の帯電量を制御することがより容易となり、現像装置へ磁性粒子の回収性がより向上する。
【0148】
また、本発明によれば、接触帯電部材として回動可能な帯電部材のAsker−C硬度を本発明の規定の範囲とする弾性ローラを用いることにより、接触帯電部材と像担持体との接触性を高めることができ、像担持体上の磁性粒子を接触部材表面に有効に転移させた後に、接触帯電部材に付着する磁性粒子を磁界発生部材によって接触帯電部材から磁気的に剥離、除去することができる。このため接触帯電部材と像担持体との間隙を磁性粒子がすり抜けることにより、帯電量が十分には制御されていない磁性粒子が現像装置へ回収されきらずに、画像を汚す問題を軽減することができる。
【0149】
また、本発明によれば、磁界発生部材が回動可能であることにより、磁界発生部材によって接触帯電部材に付着或は混入する磁性粒子をより多く磁気的に剥離、除去することが可能となり、接触帯電部材に残留して付着或は保持される磁性粒子の量を減じることができる。接触帯電部材に残留して付着或は保持される磁性粒子の量がより少ないほど、磁性粒子の帯電量を制御することが容易となり、現像装置へ磁性粒子の回収性がより向上する。
【0150】
また、本発明によれば、磁界発生部材が、回動可能である円筒状スリーブによって内包されていることにより、磁界発生部材によって接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を均一に磁気的に剥離、除去することが容易となり、磁界発生部材での磁性粒子の付着量を均一にすることが可能であり、一旦、磁界発生部材に転移させた磁性粒子を接触帯電部材上に均一に排出することができ、接触帯電部材から像担持体へも磁性粒子を像担持体上に均一に排出することができる。
【0151】
また、接触帯電部材に残留する磁性粒子の量を均一化することができる。このため、接触帯電部材の残留する磁性粒子による汚染の程度にムラがより少なくなり、磁性粒子の帯電量をより安定して制御することができる。
【0152】
これらによって、現像装置へ磁性粒子の回収性がさらに向上する。
【0153】
また、本発明によれば、回動可能である磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する回動可能である円筒状スリーブに当接する部材を有することにより、磁界発生部材に転移させた磁性粒子の摩擦帯電極性及び帯電量を制御することが可能となる。
【0154】
回動可能である磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する回動可能である円筒状スリーブ表面と、これに当接する部材の摩擦帯電性を考慮することで、磁界発生部材に転移させた磁性粒子に付与する摩擦帯電極性を制御することが可能である。特に、当接部材の少なくとも表面のトナー粒子との摩擦帯電極性がトナー粒子自体の帯電極性とは逆極性であることにより、磁界発生部材に転移させた磁性粒子の摩擦帯電極性をより確実にトナー粒子の帯電極性と同極性に制御することが可能となる。
【0155】
また、磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する円筒状スリーブの磁性粒子を付着させる或いは搬送する能力及び当接部材の当接圧を適宜設定することにより、磁性粒子に付与する摩擦帯電量を制御することが可能となる。このため、磁性粒子の帯電を緻密に制御することが可能となる。さらに、磁界発生部材での磁性粒子の付着量をより均一にすることが可能であり、一旦、磁界発生部材に転移させた磁性粒子を接触帯電部材上に均一に排出することができ、接触帯電部材から像担持体へも磁性粒子を像担持体上に均一に排出することができる。これらによって、現像装置へ磁性粒子の回収性を著しく向上させることができる。
【0156】
また、本発明によれば、帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値を、10〜150 mT とすることが好ましい。帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値が10 mT 未満である場合は、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去する力が小さいため、接触帯電部材から剥離、除去することができない磁性粒子が増加しやすく、磁性粒子の帯電が十分には制御されることなく、接触帯電部材から像担持体上に排出されやすくなり、現像装置へ磁性粒子の回収性が低下する場合がある。逆に、帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値が150 mT よりも大きい場合は、磁界発生部材と接触帯電部材の間に磁性粒子が過剰に滞留する場合が有る。この滞留部では磁性粒子間での摩擦帯電を生じやすくなるため、磁性粒子の帯電量のばらつきが大きくなりやすく、やはり現像装置へ磁性粒子の回収性が低下する場合がある。
【0157】
また、本発明によれば、接触帯電部材が像担持体表面に対して相対速度を有して回動することによって、像担持体上の磁性粒子をより確実に接触帯電部材表面に転移させることができる。このため、接触帯電部材と像担持体との間隙を磁性粒子がすり抜けることを防止することができ、帯電を制御されることなく像担持体上に残留或いは排出される磁性粒子が減少する。また、一旦、磁性粒子を接触帯電部材に転移させた磁性粒子を像担持体上に排出することで、磁性粒子の像担持体への付着力を低減することができる。これらによって、現像装置へ磁性粒子の回収性を向上させることができる。
【0158】
また、本発明によれば、像担持体と像担持体に当接し、かつ回動可能な帯電部材とが、それらが対向する表面において互いに逆方向に移動することにより、像担持体上の磁性粒子をさらに確実に接触部材表面に転移させることができる。このため、接触帯電部材と像担持体との間隙を磁性粒子がすり抜けることをより確実に防止することができ、帯電を制御されることなく像担持体上に残留或いは排出される磁性粒子がより減少する。また、一旦、磁性粒子を接触帯電部材に転移させた磁性粒子を像担持体上に排出することで、磁性粒子の像担持体への付着力を低減することができる。これらによって、現像装置へ磁性粒子の回収性をより向上させることができる。
【0159】
また、本発明によれば、像担持体の表面の水に対する接触角が85度以上であることにより、像担持体上の磁性粒子と像担持体表面との付着力を低減されるため、現像装置へ磁性粒子の回収性を向上させることができる。
【0160】
また、像担持体上の磁性粒子をより確実に接触帯電部材表面に転移させることができる。このため、一旦、磁性粒子を接触帯電部材に転移させた磁性粒子を像担持体上に排出することで、磁性粒子の像担持体への付着力をさらに低減することができる。さらに、接触帯電部材と像担持体との間隙を磁性粒子がすり抜けることをより確実に防止することができ、帯電を制御されることなく像担持体上に残留或いは排出される磁性粒子がより減少する。これらによって、現像装置へ磁性粒子の回収性をより向上させることができる。
【0161】
また、本発明によれば、像担持体の最表面層が、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂から選ばれる1種以上の材料からなる滑剤微粒子が少なくとも分散された層であることにより、像担持体上の磁性粒子と像担持体表面との付着力をより低減することができるため、現像装置へ磁性粒子の回収性をより向上させることができる。
【0162】
また、本発明によれば、現像剤が少なくとも結着樹脂及び磁性体を含有する磁性トナー粒子である場合により顕著に現像装置へ磁性粒子の回収性を向上させる作用が発現する。現像剤が磁性トナー粒子であることにより、接触帯電部材に付着或は混入した転写残トナー粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができ、接触帯電部材に残留して付着或は保持される転写残トナー粒子の量を減じることができる。接触帯電部材に残留して付着或は保持される転写残トナー粒子の量がより少ないほど、転写残トナー粒子の帯電量を制御することが容易となり、現像装置へ転写残トナー粒子の回収性が向上する。
【0163】
また、本発明によれば、現像剤磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜40Am2/kgであることで、接触帯電部材に付着或は混入した磁性トナー粒子を磁界発生部材によってより確実に磁気的に剥離、除去することができ、接触帯電部材に残留して付着或は保持される転写残トナー粒子の量をさらに減じることができる。転写残トナー粒子の帯電量を制御することがより容易となり、現像装置へ転写残トナー粒子の回収性がより安定する。
【0164】
磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも小さすぎる場合には、接触帯電部材に付着或は混入した磁性トナー粒子のうち磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができない磁性トナー粒子が増加する傾向にあり、転写残トナー粒子の帯電量を制御が困難となりやすく、現像装置へ転写残トナー粒子の回収性が低下する場合がある。
【0165】
磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも大きすぎる場合には、転写残トナー粒子が磁界発生部材近傍に過剰に滞留しやすくなる傾向があり、過剰に滞留している転写残トナー粒子はトナー粒子間での摩擦帯電を生じやすくなるため、転写残トナー粒子の帯電量のばらつきが大きくなったまま像担持体上に排出されることで、現像装置へ磁性粒子の回収性が低下する場合がある。
【0166】
また、本発明によれば、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける抗磁力が1〜30kA/mであることが好ましい。
【0167】
磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける抗磁力が上記範囲よりも小さすぎる場合には、磁界発生部材に転移した転写残トナー粒子が磁界発生部材から飛散して画像形成装置内を汚す場合がある。
【0168】
磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける抗磁力が上記範囲よりも大きすぎる場合には、磁界発生部材に転移した転写残トナー粒子が磁気凝集を生じ易くなり、像担持体へ排出された後も転写残トナー粒子が凝集している場合には、現像装置へ磁性粒子の回収性が低下しやすい。また、転写残トナー粒子に限らず、磁性粒子の磁場79.6kA/mにおける抗磁力が上記範囲よりも大きすぎる場合には、磁性粒子が排出されることなく磁界発生部材近傍に強固に付着し、新たに接触帯電部材に転写残トナー粒子が付着或は混入した際に転写残トナー粒子を接触帯電部材から剥ぎ取る効果が低下する場合がある。
【0169】
また、本発明によれば、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さをσs、体積平均粒径をDとするとき、下記(1)式を満たすことが好ましい。
100 < σs × D < 300 (1)
【0170】
同じ磁気力を有するトナー粒子でも粒径の小さな粒子ほど磁界発生手段によって接触帯電部材から剥ぎ取る効率が低下しやすい。また、磁気力が大きく粒径も大きい粒子は、磁気力が大きいために磁界発生手段近傍に滞留しやすい傾向があり、磁界発生手段近傍に滞留する粒径が大きい粒子は新たに接触帯電部材に磁性粒子が付着或は混入した際に磁性粒子を接触帯電部材から剥ぎ取る効果を阻害する傾向が強まる。本発明者は、これらより磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さσsと磁性トナーの体積平均粒径Dとの積が、上記式(1)を満たす場合、接触帯電部材からの磁性トナー粒子の磁界発生手段による磁気的剥離、除去をより安定して行わせることができ、接触帯電部材に残留して付着或は保持される転写残トナー粒子の量を減じることができることを解明した。接触帯電部材に残留して付着或は保持される転写残トナー粒子の量がより少ないほど、転写残トナー粒子の帯電量を制御することが容易となり、現像装置へ転写残トナー粒子の回収性が向上する。
【0171】
さらに、磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さσsと磁性トナーの体積平均粒径Dとの積が、150〜300であることがより好ましい。
【0172】
また、本発明によれば、現像剤が少なくとも導電性微粉末が添加された現像剤であることにより、像担持体上に存在する導電性微粉末が転写残トナー粒子の回収助剤としての効果を発揮するために、現像装置へ転写残トナー粒子の回収性が顕著に向上する。
【0173】
また、現像剤に導電性微粉末が添加されていることで、トナー粒子の転写性が高まり、転写残トナー量を大幅に減少する。現像装置に回収すべき転写残トナー粒子が少ないことで、転写残トナー粒子の回収不良を生じにくくなる。
【0174】
また、本発明によれば、現像剤に添加される導電性微粉末は非磁性であることにより、磁性トナーの現像を行う場合には像担持体上に供給される導電性微粉末量が増加し、像担持体上に残留して付着する転写残トナー粒子の回収助剤としての導電性微粉末量も増加するため、現像装置へ転写残トナー粒子の回収性がより向上する。
【0175】
また、本発明によれば、現像剤に添加される導電性微粉末は、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していることにより、非磁性であり、像担持体上に供給され残留して付着する導電性微粉末量が増加し、現像装置への転写残トナー粒子の回収性がより向上する。
【0176】
また、本発明によれば、導電性微粉末の含有量がトナー粒子の0.5〜10質量%であることにより、現像装置へ転写残トナー粒子の回収を促進するための適度な量の導電性微粉末を像担持体上に供給できることで、より安定した現像装置へ転写残トナー粒子の回収性を得ることができる。現導電性微粉末の含有量が上記範囲よりも小さすぎる場合には、像担持体上に残留して付着する転写残トナー粒子の回収助剤としての導電性微粉末量を十分には維持することができず、現像装置へ転写残トナー粒子の回収を促進する効果を安定して得ることが困難となる傾向がある。また、導電性微粉末の含有量が上記範囲よりも大きすぎる場合には、トナー粒子の摩擦帯電性を低下させる或いは乱し、転写残トナー粒子が増加する傾向がある。現像装置に回収すべき転写残トナー粒子が増加すると、現像装置への転写残トナー粒子の回収不良を生じやすくなる。
【0177】
また、本発明によれば、現像剤中で0.6〜3μmの粒径の導電性微粉末をトナー粒子100個あたり5〜500個有することにより、現像装置への転写残トナー粒子の回収性がより向上する。
【0178】
すなわち、現像装置への転写残トナー粒子の回収性を高める効果を得るために最適な導電性微粉末の粒径範囲が存在する。本発明者の検討によると、この最適な導電性微粉末の粒径範囲はおよそ0.6〜3μmであり、この粒径範囲の粒径を有する導電性微粉末を適正量現像剤中に含有させることにより、現像装置への転写残トナー粒子の回収性を高める効果を最大限に引き出せることが判明した。
【0179】
また、本発明によれば、像担持体に接触する回動可能な帯電部材に、現像手段によって像担持体に付着し、転写手段による転写が行われた後もこの像担持体に残留している、少なくとも導電性微粉末を含有する現像剤の成分が付着或いは混入した状態で、帯電部材に電圧を印加することにより、導電性微粉末を介して像担持体を帯電することにより、接触帯電部材に付着或は混入する転写残トナー粒子が多い場合にでも、良好な像担持体の一様帯電性が安定して得られるため、像担持体の帯電不良による現像装置への転写残トナー粒子の回収阻害が発生しにくくなる。さらには、直接注入帯電機構を適用した像担持体の一様帯電と、クリーナーレス画像形成或いは現像同時クリーニング画像形成を両立した画像形成装置を得ることが可能となる。
【0180】
以上のように、本発明によれば、転写後に像担持体上に残留する磁性粒子を安定して高効率で現像装置内へ回収することができ、転写残粒子の回収不良によるポジゴーストやかぶりの発生を抑制することができる。
【0181】
例えば、本発明の画像形成装置は、転写装置が転写材を介して像担持体に当接してトナー画像を転写材に転写する転写部材を有する装置であることが好ましい。
【0185】
【発明の実施の形態】
本実施の形態は本発明に従う接触帯電装置を備えた画像形成装置例である。
【0186】
本実施の形態の画像形成装置は、転写式電子写真プロセス利用、接触帯電方式、クリーナーレスシステム、プロセスカートリッジ着脱方式のレーザープリンター(記録装置)である。
【0187】
図1はその概略構成模型図である。図2は接触帯電部材としての帯電ローラ部分と接触帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材部分の拡大模型図である。
【0188】
(1)画像形成装置(プリンター)の全体的な概略構成
図1において、1面の静電潜像をトナー像として反転現像する。
【0189】
現像スリーブ3aには現像バイアス印加電源S2より所定の現像電圧が印加される。本例においては、その現像電圧は、−500VのDC電圧と、周波数1800Hz、ピーク間電圧1600Vの矩形のAC電圧を重畳したものである。
【0190】
現像剤としての磁性一成分絶縁トナーは、結着樹脂、色材、磁性体粒子、電荷制御材等を混合し、混練、粉砕、分級の各行程を経て作成し、さらに流動化剤を外添して作成されたものである。トナーの重量平均粒径は7μmであった。
【0191】
また本例においては1は像担持体(被帯電体)としての感光体である。本例では直径30mmの回転ドラム型のOPC感光体(ネガ帯電性感光体)であり、矢印の時計方向に120mm/secのプロセススピード(周速度、表面の速度)をもって回転駆動される。
【0192】
2は接触帯電部材で、本例では直径12mmの帯電ローラ(芯金と弾性発泡体で構成された導電ローラ)である。該帯電ローラ2は感光体1に対して弾性に抗して所定の押圧力をもって3mmのニップ幅を形成させて接触させてある。nは帯電ローラ2により感光体1を一様帯電する帯電部(帯電ニップ部)である。
【0193】
この帯電ローラ2は、その外周面に予め導電性微粉末mを塗布してあり、時計方向すなわち帯電部nにおいて感光体1の回転方向と逆方向(カウンター)に感光体1と等速度で移動するよう回転駆動され、感光体1面に対して速度差をもって接触する。本例で用いた導電性微粉末は粒径3μmの導電性酸化亜鉛粒子である。
【0194】
そしてこの帯電ローラ2に帯電バイアス印加電源S1から所定の帯電電圧、本例では−700Vの直流電圧が印加されることで、回転感光体1面が所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。本例では該帯電ローラ2による感光体1の接触帯電は後述するように直接注入帯電が支配的となって行なわれ、回転感光体表面は帯電ローラ2に対する印加帯電電圧とほぼ等しい電位に帯電される。
【0195】
7はレーザーダイオード・ポリゴンミラー等を含む露光器としてのレーザービームスキャナである。このレーザービームスキャナは目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザー光を出力し、該レーザー光で上記回転感光体1の一様帯電面を走査露光Lする。7aはレーザービームスキャナ7の出力レーザー光を感光体1の露光部へ偏向するミラー部材である。この走査露光Lにより回転感光体1の面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0196】
3は現像装置であり、回転感光体1面の静電潜像はこの現像装置によりトナー像として現像される。本例の現像装置3は磁性一成分絶縁トナー(ネガトナー)を用いた反転現像装置である。3aは非磁性の回転現像スリーブであり、固定(非回転)のマグネットロール3bを内包し、反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0197】
現像装置内の磁性一成分絶縁トナーは現像スリーブ3aの外面に内部のマグネットロール3bの磁気力でトナー層として磁気拘束されて保持され、現像スリーブ3aの回転に伴い搬送され、その搬送過程で規制ブレード3cで層厚規制され、かつ電荷が付与され、感光体1と現像スリーブ3aとの対向部である現像部位dに搬送されて回転感光体像装置3内に収容させた現像剤である磁性一成分絶縁トナー100重量部に対して導電性微粉末(粒径3μmの導電性酸化亜鉛粒子)を2重量部の比率で添加混合させてある。
【0198】
4は接触転写手段としての中抵抗で弾性のある回転転写ローラであり、感光体1に所定に圧接させて転写ニップ部(転写部)eを形成させてある。
【0199】
この転写ニップ部eに不図示の給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ4に転写バイアス印加電源S3から所定の転写電圧が印加されることで、感光体1側のトナー像が転写ニップ部eに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0200】
本例ではローラ抵抗値は5×108Ωのものを用い、+2000VのDC電圧を印加して転写を行なった。即ち、転写ニップ部eに導入された転写材Pはこの転写ニップ部eを挟持搬送されて、その表面側に回転感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0201】
5は熱定着方式等の定着装置である。転写ニップ部eに給紙されて感光体1側のトナー像の転写を受けた転写材Pは回転感光体1の面から分離されてこの定着装置5に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0202】
6は、接触帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材であり、本例においては4極の磁極を有するマグローラを内包する非磁性金属スリーブである。この磁界発生部材は、更に当接部材6aを有しており、本例において非磁性金属スリーブに対してカウンター回転する弾性ローラであり、表層をナイロン樹脂で被覆することにより、正帯電性の摩擦帯電特性を有する。
【0203】
この磁界発生部材6は接触帯電部材1に対して従動回転し、感光体1面に付着して帯電部nに持ち運ばれ、帯電ローラ2に付着・混入した転写残トナー粒子を磁気的に剥離、除去することで、接触帯電部材の磁性粒子による汚染を抑制し、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナー粒子による汚染に伴う感光体への一様帯電の阻害を抑制する。
【0204】
当接部材6aは、帯電ローラ2から磁気的に剥離、除去し、マグローラを内包する非磁性金属スリーブ上に転移させた転写残トナー粒子(負帯電性磁性トナー)を摺擦して攪乱・分散するとともに、摩擦帯電付与(転写残トナーに負帯電性を付与)して転写残トナー粒子の帯電を制御する。この転写残トナー粒子がマグローラを内包する非磁性金属スリーブ上から帯電ローラ2を介して感光体1上に排出される。負帯電性を付与され、帯電量を制御された転写残トナー粒子は、現像部において印加される現像バイアスにより像担持体上から現像装置内へ効率よく回収される。このため、感光体1上に排出した転写残トナー粒子が現像装置内へ回収されることなく現像部を通過して画像汚れを生じることをより確実に防止することができる。また、クリーナーレスの画像形成装置において転写残トナーが主要因のゴーストの目立ちやすい中間調画像におけるゴーストを防止する作用をする。
【0205】
本実施の形態のプリンターは、感光体1、接触帯電部材としての帯電ローラ2、磁界発生部材6(当接部材6aを含む)、現像装置3の4つのプロセス機器をカートリッジ20に包含させてプリンター本体に対して一括して着脱交換自在のカートリッジ方式の装置である。21・22はプロセスカートリッジ20の着脱案内・保持部材である。プロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は上記に限られるものではなく任意である。なお、本発明において画像形成装置はカートリッジ方式の装置に限られるものではない。
【0206】
(2)像担持体
像担持体としての感光体は、アモルファスセレン、CdS、ZnO2、アモルファスシリコン又は有機系感光物質の様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトを適用することが可能である。これらの中でも、アモルファスシリコン感光層又は有機感光層を有する感光体が特に好ましく用いられる。
【0207】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は電荷輸送層と電荷発生層とを有する機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0208】
本例においては、負帯電用の有機光導電性物質を用いた感光体(以下「 OPC感光体」と表記する)を用いた。感光体の基体には、直径30mmのアルミニウム製のシリンダーを用いた。このシリンダー上に下記の各層を浸漬塗布により順次積層して、図8に示すような構成の積層型感光体を作製した。
【0209】
第1層は導電層であり、アルミニウム基体11の欠陥等をならすため、また露光光としてのレーザー光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
【0210】
第2層は正電荷注入防止層13であり、アルミニウム基体11から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果し、メトキシメチル化ナイロンによって106Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0211】
第3層は電荷発生層14であり、ジスアゾ系の顔料をブチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0212】
第4層は電荷輸送層15であり、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾン化合物を分散した厚さ約25μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0213】
第5層は電荷注入層16であり、光硬化性のアクリル樹脂に導電性酸化スズ超微粒子及び粒径約0.25μmの四フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、樹脂100質量%に対して、アンチモンをドーピングし低抵抗化した粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を100質量%、更に四フッ化エチレン樹脂粒子を20質量%、分散剤を1.2質量%を分散したものである。このようにして調製した塗工液をスプレー塗工法にて厚さ約3μmに塗工して電荷注入層16とした。
【0214】
このようにして得られた感光体の最表面層における体積抵抗は、5×1012Ω・cm、感光体表面の水に対する接触角は、103度であった。
【0215】
感光体1の最表面層が樹脂中に導電性微粒子を分散させた形態であり、体積抵抗が、5×1012Ω・cmであることにより、電荷の直接注入による帯電方式において、より効率良く電荷の授受が行え、高湿環境下においても微小な潜像まで乱されることなく静電潜像を保持することができる。
【0216】
また、感光体の最表面層が樹脂中に四フッ化エチレン樹脂粒子を分散させた形態であり、感光体表面の水に対する接触角が103度であることにより、感光体表面がトナー粒子に対して高い離型性を示す。この効果により、現像兼クリーニング工程において転写残トナー粒子の回収効率が大きく向上する。また、転写残トナー粒子を著しく減少させることができるため、転写残トナー粒子による感光体の一様帯電性低下をさらに抑制することができる。
【0217】
像担持体の表面抵抗を調整することによって電荷注入をより効率化或いは促進する目的で、電子写真感光体の表面に電荷注入層を設けることが好ましく、樹脂中に導電性微粒子を分散させた形態の電荷注入層とすることが特に好ましい。
【0218】
電荷注入層を設ける形態としては、例えば、
(i)セレン、アモルファスシリコンの如き無機感光体または単一層型有機感光体の上に、電荷注入層を設ける
(ii)機能分離型有機感光体の電荷輸送層として、電荷輸送剤と樹脂を有する表面層を持つものに電荷注入層としての機能を兼ねさせる(例えば、電荷輸送層として樹脂中に電荷輸送剤と導電性粒子を分散させる、あるいは電荷輸送剤自体もしくはその存在状態によって、電荷輸送層に電荷注入層としての機能を持たせる)
(iii)機能分離型有機感光体上にさらに最表面層として電荷注入層を設ける等があるが、最表面層の体積抵抗が好ましい範囲にあることが重要である。
【0219】
電荷注入層としては、例えば、金属蒸着膜等の無機材料の層、あるいは導電性微粒子を結着樹脂中に分散させた導電粉分散樹脂層等によって構成され、蒸着膜は蒸着、導電粉分散樹脂層はディッピング塗工法、スプレー塗工法、ロールコート塗工法及びビーム塗工法等の適当な塗工法にて塗工することによって形成される。また、絶縁性のバインダーに光透過性の高いイオン導電性を持つ樹脂を混合もしくは共重合させて構成するもの、または中抵抗で光導電性のある樹脂単体で構成するものでもよい。
【0220】
この中でも、像担持体の最表面層が、少なくとも金属酸化物からなる導電性微粒子(以下、「酸化物導電微粒子」と表記する)が分散された樹脂層であることが好ましい。すなわち、像担持体の最表面層をこのような構成にすることにより、電子写真感光体の表面の抵抗を下げることによってより効率良く電荷の授受を行うことができ、かつ表面の抵抗を下げたことで像担持体が静電潜像を保持している間に潜像電荷が拡散することによる潜像のボケ及び流れを抑制できるため好ましい。
【0221】
上記酸化物導電微粒子が分散された樹脂層の場合、分散された粒子による入射光の散乱を防ぐために、入射光の波長よりも酸化物導電微粒子の粒径の方が小さいことが必要である。従って、分散される酸化物導電微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。酸化物導電微粒子の含有量は、最外層の総重量に対して2〜90質量%であることが好ましく、5〜70質量%であることがより好ましい。酸化物導電微粒子の含有量が上記範囲よりも少なすぎる場合には、所望の体積抵抗値を得にくくなる。また、含有量が上記範囲よりも多すぎる場合には、膜強度が低下しやすく、電荷注入層が削り取られて感光体の寿命が短くなる傾向があり、また抵抗が低くなりすぎてしまうことによって潜像電位が流れることによる画像不良を生じやすくなる。
【0222】
また、電荷注入層の層厚は、0.1〜10μmであることが好ましく、潜像の輪郭のシャープさを得る上では5μm以下であることがより好ましく、電荷注入層の耐久性の点からは1μm以上であることがより好ましい。
【0223】
電荷注入層のバインダーは下層のバインダーと同じとすることも可能であるが、この場合には電荷注入層の塗工時に下層(例えば電荷輸送層)の塗工面を乱してしまう可能性があるため、形成方法を特に選択する必要がある。
【0224】
なお、像担持体の最表面層の体積抵抗の測定方法は、表面に金を蒸着させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に像担持体の最表面層と同様の組成からなる層を作成し、これを体積抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140B pA MATER)にて、温度23℃、湿度65%の環境で100Vの電圧を印加して測定するというものである。
【0225】
また、本発明においては、像担持体表面に離型性を付与することが好ましく、像担持体表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましい。より好ましくは像担持体表面の水に対する接触角は90度以上である。
【0226】
像担持体表面が大きい接触角を有することは、像担持体表面がトナー粒子に対して高い離型性を有することを示す。この効果により、現像兼クリーニング工程において転写残トナー粒子の回収効率が大きく向上する。また、転写残トナー粒子を著しく減少させることができるため、転写残トナー粒子による像担持体の帯電性低下をさらに抑制することができる。
【0227】
像担持体表面に離型性を付与する手段としては、例えば、
▲1▼ 膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いること、
▲2▼ 撥水、親油性を付与するような添加剤を加えること、
▲3▼ 高い離型性を有する材料を粉体状にして分散すること、
等が挙げられる。▲1▼としては、樹脂の構造中にフッ素含有基またはシリコーン含有基を導入することが挙げられる。▲2▼としては、界面活性剤を添加剤として添加すればよい。▲3▼としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン及びフッ化カーボンの如きフッ素原子を含む化合物、シリコーン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂等を用いることが挙げられる。
【0228】
これらの手段によって像担持体表面の水に対する接触角を85度以上とすることが可能である。
【0229】
これらの中でも像担持体の最表面層が、少なくともフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の材料からなる滑剤微粒子が分散された層であることが好ましい。特にポリ四フッ化エチレンやポリフッ化ビニリデンの如き含フッ素樹脂を用いることが好適である。▲3▼の離型性粉体として含フッ素樹脂を用いた場合には、最表面層への分散が好適である。
【0230】
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最表面層に該粉体を分散させれば良い。
【0231】
上記離型性粉体の像担持体表面層への添加量は、表面層総質量に対して、1〜60質量%とすることが好ましく、さらには2〜50質量%とすることがより好ましい。添加量が上記範囲よりも少なすぎると、転写残トナー粒子が充分に減少せず、現像兼クリーニング工程での転写残トナー粒子の回収効率を高める効果が充分でなく、添加量が上記範囲よりも大きすぎると、膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下して像担持体の帯電性を損ねたりするため好ましくない。該粉体の粒径については、画質の面から1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。該粉体の粒径が上記範囲よりも大きすぎると、入射光の散乱によりラインの切れが悪くなり実用に耐えないことがある。
【0232】
本発明において、接触角の測定は、純水を用い、装置は協和界面科学(株)製接触角計CAーDS型を用いて行うことができる。
【0233】
(3)接触帯電部材
帯電部材に電圧を印加することにより像担持体を帯電するために、帯電部材は導電性であることが好ましい。
【0234】
また、像担持体上の転写残トナー粒子を一時的に帯電部材に回収するとともに、導電性微粉末を帯電部材に担持し、像担持体と帯電部材との接触部であるニップ部を設けて直接注入帯電を優位に実行するために、接触帯電部材が弾性を有することが好ましい。また、接触帯電部材によって転写残トナーのパターンを均すことで現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収性を高める上でも、接触帯電部材が弾性を有することが好ましい。
【0235】
従って、接触帯電部材は、弾性導電ローラまたは導電性繊維からなるブラシであることが好ましい。
【0236】
ローラ部材としての導電性弾性ローラの硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、更に、帯電ニップ部に介在する現像剤成分が導電性弾性ローラ表層を削り或いは傷つけてしまうため、像担持体の安定した帯電性を得にくい。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電ニップ部を十分には確保できないだけでなく、被帯電体(像担持体)表面へのミクロな接触性が悪くなるので、均一な直接注入帯電性を得にくい。更には、転写残トナーのパターンを均す効果が低下して転写残トナーの回収性を高めることが困難になる。そこで、帯電ニップ部及び均し効果が十分得られるように像担持体へのローラ帯電部材の接触圧を高めると、帯電部材或いは像担持体の削れ、傷等が発生し易くなる。これらの観点より、ローラ部材としての導電性弾性ローラのアスカーC硬度は15〜70の範囲であることが好ましく、20〜50の範囲であることがさらに好ましい。接触帯電部材の特定の硬度は、材料の選択及び公知の方法による硬度の調整により得ることができる。
【0237】
接触帯電部材としてのローラ部材表面は導電性微粒子の保持性を高めるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。接触帯電部材表面が微少なセルまたは凹凸を有していることで、像担持体への接触帯電部材の接触圧をより低くして、像担持体を良好に注入帯電するのに十分な帯電ニップ部を設けることができ、帯電部材及び像担持体の削れ、傷等の発生を抑制することができる。また、転写残トナーのパターンを均す効果が高まるため、転写残トナーの回収性をより向上させることができる。微少なセルまたは凹凸を有する接触帯電部材表面は、公知の方法によって形成することができるが、ローラ部材の少なくとも表層に発泡体を用いることも接触帯電部材の好ましい形態の一つである。
【0238】
また、導電性弾性ローラは弾性を持たせて像担持体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する像担持体を充電するために十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では、像担持体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合にも帯電バイアスのリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真用感光体等の像担持体を用いた場合、像担持体の十分な帯電性と耐リークを得るには、導電性弾性ローラの抵抗は、103〜108Ω・cmであることが好ましく、104〜107Ω・cmであることがより好ましい。ローラの抵抗は、直径30mmの円筒状アルミドラムにローラを圧着し、導電性弾性ローラの像担持体との長手方向での接触長1mあたり39.2Nの加重をローラの芯金に行った状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vの電圧を印加し、計測することができる。
【0239】
例えば、本例の帯電ローラ2は、電極を兼ねる芯金2a上にゴムあるいは発泡体の中抵抗層2bを形成することにより作製した。
【0240】
中抵抗層2bは樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金2aの上にローラ状に形成した。その後表面を研磨して直径12mm、長手長さ250mmの導電性弾性ローラである帯電ローラ2を作製した。
【0241】
本例の帯電ローラ2のローラ抵抗を測定したところ1×105Ωであった。
【0242】
導電性弾性ローラの材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものが挙げられる。また、導電性物質を分散せずに、或いは導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0243】
導電性弾性ローラは被帯電体である像担持体に対して、弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設され、導電性弾性ローラと像担持体のニップ部である帯電ニップ部が形成される。この帯電ニップ部の幅は特に制限されるものではないが、導電性弾性ローラの像担持体への安定して密な密着性を得るため1mm以上、より好ましくは2mm以上が良い。この帯電ニップ部の幅は、導電性弾性ローラの弾性、導電性弾性ローラの像担持体への押圧力、導電性弾性ローラ及び像担持体の径または接触部での曲率等によって適宜設定することができる。
【0244】
また、接触帯電部材は、導電性繊維からなるブラシ(ブラシ部材)に電圧を印加することにより像担持体を帯電するものを用いることもできる。このような接触帯電部材としての帯電ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものを用いることができる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えば、ナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等の繊維が挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性の金属酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。これら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。上記導電材の使用に際しては、繊維への分散性や生産性を考慮して適宜選択して用いる。
【0245】
接触帯電部材は、導電性繊維からなるブラシ(ブラシ部材)に電圧を印加することにより像担持体を帯電するものであっても良い。このような接触帯電部材としての帯電ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものを用いることができる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えば、ナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等の繊維が挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性の金属酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。これら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。上記導電材の使用に際しては、繊維への分散性や生産性を考慮して適宜選択して用いる。
【0246】
接触帯電部材として用いる帯電ブラシは、回動可能であることが必要である。回動可能な接触帯電部材としてロール状のものがある。ロール状の帯電ブラシとしては、例えば導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。導電性繊維としては、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本程度(1平方インチ当たり1万〜30万本)のものが好ましく用いられる。
【0247】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイント数を決定しているのは、主には帯電部材と像担持体との帯電ニップ部及びその近傍の導電性微粉末の介在密度であるため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0248】
帯電ブラシの抵抗値は、弾性導電性ローラの場合と同様に、像担持体の十分な帯電性と耐リークを得るために103〜108Ω・cmの抵抗であることが好ましく、104〜107Ω・cmであることがより好ましい。帯電ブラシの抵抗は、上述の導電性弾性ローラの場合と同様にして測定することができる。
【0249】
帯電ブラシの材料としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、さらに東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10が特に好ましい。
【0250】
(4)導電性微粉末
本例において、接触帯電部材としての帯電ローラ2に予め塗布し、また現像装置3の現像剤に添加混入させた導電性微粉末は、接触帯電部材による像担持体の一様帯電を促進させることを目的として塗布される。本例では、比抵抗が5×105Ω・cm、二次凝集体を含めた平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛粒子を用いた。
【0251】
導電性微粉末の材料としては、他の金属酸化物などの導電性無機粒子や有機物との混合物など各種導電粒子も使用可能である。
【0252】
導電性微粉末の抵抗は導電性微粉末を介した電荷の授受を行うため比抵抗としては109Ω・cm以下が望ましく、さらには、106Ω・cm以下がより望ましい。導電性微粉末の抵抗109Ω・cm以下であることで、像担持体の帯電促進効果および転写残トナー回収性の向上効果が顕著に得られる。導電性微粉末の抵抗が、上記範囲よりも大きすぎると、導電性微粉末を帯電部材と像担持体とのニップ部或いはその近傍の帯電領域に介在させ、接触帯電部材の導電性微粉末を介しての像担持体への緻密な接触性を維持させても、像担持体の良好な帯電性を得るための帯電促進効果が小さくなる。導電性微粉末が実質的に絶縁性に近い抵抗値を示す場合は、接触帯電部材への付着により像担持体の一様帯電を著しく阻害する。
【0253】
また、導電性微粉末の抵抗が106Ω・cm以下であることで、絶縁性の転写残トナー粒子の付着・混入による接触帯電部材への帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電をより良好に行なわせることができる。導電性微粉末の抵抗は、100〜105Ω・cmであることがさらに好ましい。
【0254】
更に、導電性微粉末による像担持体の帯電促進効果を十分に引き出し、像担持体の良好な一様帯電性を安定して得るためには、導電性微粉末の抵抗が、接触帯電部材の表面部或いは像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましく、この接触帯電部材の抵抗の1/100以下であることがさらに好ましい。
【0255】
なお、導電性微粉末の抵抗測定は、錠剤法により測定し正規化して求めることができる。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に約0.5gの粉体試料を入れ、粉体試料の上下に配置された上下電極間に15kgの加重を行うと同時に100Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化して比抵抗を算出する。
【0256】
また、導電性微粉末粒径は良好な一様帯電の均一性を得るために10μm以下が望ましい。粒径の下限値は粒子が安定して得られるものとして10nmが限界である。
【0257】
粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義した。粒径の測定には、光学あるいは電子顕微鏡による観察から、100個以上抽出し、水平方向最大弦長をもって体積粒度分布を算出し、その50%平均粒径をもって決定した。
【0258】
導電性微粉末は、一次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在することもなんら問題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として一様帯電を促進する機能が実現できればその形態は重要ではない。
【0259】
また、導電性微粉末は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉末であることが、転写材上に転写される導電性微粉末がカブリとして目立たないため好ましい。潜像形成工程における露光光の妨げになることを防ぐ意味でも導電性微粉末は、透明、白色或いは淡色の導電性微粉末であることが好ましい。さらに、導電性微粉末はこの静電潜像を形成する像露光光に対する透過率が30%以上であることが好ましい。この透過率は35%以上であることがさらに好ましい。
【0260】
以下、導電性微粉末の光透過性の測定方法の一例を示す。片面に接着層を有する透明のフィルムの接着層上に導電性微粉末を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射し、フィルム背面まで透過した光を集光してその光量を測定する。フィルムのみの場合と導電性微粉末を付着した場合の光量の差に基づいて、正味の光量としての光透過率を算出する。実際的にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定することができる。
【0261】
また、導電性微粉末は、非磁性であることが好ましい。導電性微粉末を非磁性とすることで、透明、白色或いは淡色の導電性微粉末が得られ易い。反対に、磁性を有する導電性材料は、磁性を有することで、透明、白色或いは淡色とすることが困難となる。また、現像剤を磁気力を利用して搬送及び保持する画像形成法においては、磁性を有する導電性微粉末は現像されにくくなり、像担持体上への導電性微粉末の供給が不足する或いは現像剤担持体表面に導電性微粉末が蓄積してトナー粒子の現像を妨げる等の弊害を起こし易い。更に、磁性トナー粒子に磁性を有する導電性微粉末を添加する場合には、磁気的凝集力によりトナー粒子から導電性微粉末が遊離しにくくなる傾向があり、導電性微粉末の像担持体上への供給性が低下し易い。
【0262】
導電性微粉末は、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していることが、導電性微粉末の抵抗を低く設定することが可能である点で好ましい。また、非磁性であり、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される導電性微粉末がカブリとして目立たない点でも好ましい。
【0263】
また、導電性微粉末の抵抗値を制御する等の目的で、アンチモン、アルミニウムなどの元素を含有させた金属酸化物の微粒子、導電性材料を表面に有する微粒子なども導電性微粉末として使用できる。例えば、アルミニウム元素を含有する酸化亜鉛微粒子、アンチモン元素を含有する酸化スズ微粒子などである。
【0264】
さらに、導電性微粉末としてアルミニウム元素を含有する酸化亜鉛を用いることが、白色度が高く、安定して低抵抗な導電性微粉末が得られる点で特に好ましい。酸化亜鉛にアルミニウム元素を含有させる方法としては、特に限定はないが、特開平1−126228号公報等に開示されているような導電性酸化亜鉛の製法によることが格別に好ましい。
【0265】
また、本例のごとく、導電性微粉末を現像剤に添加することも好ましい。現像時に感光体1上に導電性微粉末が供給され、帯電部に逐次持ち運ばれることで、帯電部に介在する導電性微粉末量が感光体1上に排出されて減少することを補うことができる。さらには、トナー粒子の転写性が高まり、転写残トナー量を大幅に減少させることができる。このため、帯電不良を生じ難い、より安定した一様帯電を行うことができ、転写残トナー粒子の現像部での回収性をより安定して向上させることができる。
【0266】
導電性微粉末を現像剤に添加する量としては、導電性微粉末の含有量がトナー粒子の0.5〜10質量%であることが好ましい。導電性微粉末の含有量を上記範囲とすることにより、像担持体の帯電を促進するための適度な量の導電性微粉末を帯電部に供給でき、現像兼クリーニングにおいて転写残トナー粒子の回収性を高めるために必要な量の導電性微粉末を像担持体上に供給できる。導電性微粉末の含有量は、トナー粒子の0.7〜6質量%であることがより好ましく、1.2〜4質量%であることが特に好ましい。
【0267】
導電性微粉末の現像剤中での存在状態として、0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子がトナー粒子100個あたり5〜500個存在することが好ましい。0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子は、トナー粒子から遊離して挙動し易く、帯電部材に均一に付着しかつ安定して保持されるために、現像剤中に0.6〜3μmの導電性微粉末の粒子をトナー粒子100個あたり5〜500個有することで、現像工程及び転写工程において像担持体上への導電性微粉末の供給がより促進され、より安定して像担持体の帯電性を均一化できる。また、現像兼クリーニング工程における転写残トナー粒子の回収性がより安定する。
【0268】
(5)現像剤
現像剤に、好ましく添加される導電性微粒子については上述したが、他の現像剤成分について説明する。
【0269】
トナー粒子は、結着樹脂及び着色剤を含有する粒子である。
【0270】
本例で用いた現像剤は、負帯電性の磁性1成分現像剤である。より詳細には下記に示すようにして現像剤を得た。
【0271】
スチレン−ブチルアクリレート−ジビニルベンゼン共重合体(ガラス転移点:Tg 62℃) 100質量部、マグネタイト(磁場796kA/m下で飽和磁化が82Am2/kg、残留磁化が7.5Am2/kg、抗磁力が7.8kA/m) 80質量部、負帯電性制御剤としてのジーターシャルブチルサリチル酸の鉄錯体 2質量部、及び低分子量ポリプロピレン 4質量部をブレンダーにて混合し、混合物を150℃に加熱したエクストルーダーにより溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕品をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で厳密に分級して磁性トナー粒子を得た。得られた磁性トナー粒子の体積平均粒径は8.8μm、磁場79.6kA/m下で飽和磁化は28Am2/kg、抗磁力は6.5kA/m、抵抗は1014Ω・cm以上であった。この磁性トナー粒子に対し、ヘキサジメチルジシラザン及びジメチルシリコーンオイルで処理された乾式シリカ(一次粒子の平均径16nm、BET120m2/g)1.2質量%、導電性酸化亜鉛粒子(比抵抗が5×105Ω・cm、二次凝集体を含めた平均粒径3μm)2.0質量%を外添添加し、負帯電性の磁性一成分現像剤を得た。
【0272】
上記現像剤を用いた場合、転写残トナーが接触帯電部材に付着或いは混入しても、接触帯電部材に当接或いは近接する磁界発生部材の効果により、像担持体の帯電性低下が抑制される。また、本例では、接触帯電部材から磁界発生部材上に磁気的に剥離・除去された転写残トナーが、磁界発生部材に当接する部材により適度な負帯電性を付与されるため、転写残トナーが磁界発生部材に当接する部材を通過した後に、接触帯電部材を経由して像担持体上に排出された時の現像での転写残トナーの回収性が向上する。
【0273】
上記磁性トナー粒子の作製において、粉砕及び分級工程の条件のみを変更し、体積平均粒径が3.1μm、5.6μm、11.8μmの磁性トナー粒子を作製し、上記と同様にシリカ及び導電性酸化亜鉛粒子を外添添加して磁性1成分現像剤として本例に適用してみたところ、体積平均粒径5.6μmの磁性トナー粒子では本例と同様な効果が得られたが、体積平均粒径が3.1μmの磁性トナー粒子では、接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナーの多くが磁界発生部材上に磁気的に剥離・除去されることなく、接触帯電部材に残留して蓄積し、本発明の効果を十分には得られず像担持体の帯電不良を生じた。また、体積平均粒径が11.8μmの磁性トナー粒子では、初期は接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナーが磁界発生部材上に磁気的に剥離・除去されていたが、磁界発生部材近傍に滞留する転写残トナーの量が多く、繰り返し使用により転写残トナーが磁界発生部材上に磁気的に剥離・除去されることなく、磁界発生部材をすり抜けるようになり、徐々に像担持体の帯電性が低下した。
【0274】
本例のマグネタイトの代わりに長径/短径の軸比が5〜7の針状磁性体を用いて、体積平均粒径8.8μm、磁場79.6kA/m下で飽和磁化が25Am2/kg、抗磁力が32kA/mの磁性トナー粒子を作製したところ、磁界発生部材近傍に滞留する転写残トナーの量は多いものの、転写残トナーが磁界発生部材上に磁気的に剥離・除去されることなく、磁界発生部材をすり抜け、像担持体の帯電性が低下した。また、本例のマグネタイトの代わりに抗磁力が低い銅亜鉛フェライトを用いる以外は本例と同様にして、体積平均粒径8.7μm、磁場79.6kA/m下で飽和磁化が35Am2/kg、抗磁力が0.6kA/mの磁性トナー粒子を作製した。本例同様に外添添加を施し、本例の画像形成装置に適用したところ、接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナーが磁界発生部材上に磁気的に剥離・除去されるが、磁界発生部材上或いは磁界発生部材に当接する部材から転写残トナーが飛散し、画像形成装置を汚染した。
【0275】
トナー粒子の抵抗は、1010Ω・cm以上であることが好ましく、1012Ω・cm以上であることがより好ましい。トナー粒子が実質的に絶縁性を示さなければ、現像性と転写性を両立することが困難である。また、トナー粒子への現像電界による電荷の注入を生じ易く、現像剤の帯電を乱しカブリを生ずることがある。
【0276】
トナー粒子の抵抗は、錠剤法により測定し正規化して求めることができる。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に0.2〜0.5gの粉体試料を入れ、粉体試料の上下に配置された上下電極間に15kgの加重を行うと同時に1000Vの電圧を印加し抵抗値を計測、その後正規化してトナー粒子の抵抗を算出する。
【0277】
トナー粒子が含有する結着樹脂の種類としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が使用できる。
【0278】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;例えば、アクリル酸又はアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;例えば、メタクリル酸又はメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル等のメタクリル酸エステル類;例えば、マレイン酸又はマレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル等のような二重結合を有するジカルボン酸エステル類;例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン又は塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のようなビニルエステル類;例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のようなエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のようなビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のようなビニルエーテル類等のビニル系単量体が単独でまたは2つ以上用いられる。
【0279】
結着樹脂の製造においては架橋剤を用いても良く、ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物及び3個以上のビニル基を有する化合物が単独でまたは混合物として用いられる。
【0280】
結着樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、50〜70℃であることが好ましい。ガラス転移点温度が上記範囲よりも低すぎる場合には現像剤の保存性が低下し、高すぎる場合には定着性に劣ることがある。
【0281】
トナー粒子にワックス成分を含有させるのは好ましい形態のひとつである。本発明に用いられるトナー粒子に含有されるワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類などの、飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セチルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0282】
該ワックスは、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部の範囲で用いられる。
【0283】
トナー粒子が含有する着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系染顔料等、従来公知の染顔料を単独でまたは混合して使用し得る。
【0284】
磁性トナーが、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜40Am2/kgである磁性トナーであることが好ましい。磁性トナーの磁化の強さは20〜35Am2/kgであることがより好ましい。
【0285】
磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定する理由は以下の通りである。通常、磁性体の磁気特性を表わす量としては、磁気飽和における磁化の強さ(飽和磁化)が用いられるが、本発明においては画像形成装置内で実際に磁性現像剤に作用する磁場における磁性現像剤の磁化の強さが重要であるためである。画像形成装置に磁性トナーが適用される場合、磁性トナーに作用する磁場は、画像形成装置外への磁場の漏洩を大きくしないため或いは磁場発生源のコストを低く抑えるために、市販されている多くの画像形成装置において数十から百数十kA/mであり、画像形成装置内で実際に磁性現像剤に作用する磁場の代表的な値として磁場79.6kA/m(1000エルステッド)を選択し、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定したものである。
【0286】
磁性トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも小さすぎる場合には、磁気力により現像剤搬送を行うことが困難となり、現像剤担持体上に均一に現像剤を担持させることができなくなることがある。また、磁気力により現像剤搬送を行う場合には、現像剤の穂立ちを均一に形成できないために、導電性微粉末の像担持体への供給性が低下し、転写残トナー粒子の回収性も低下することがある。磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも大きすぎる場合には、トナー粒子の磁気凝集性が高まり、導電性微粉末の現像剤中での均一な分散及び像担持体への供給が困難となり、本発明の効果である像担持体の帯電促進効果又はトナー粒子回収性促進効果が損なわれることがある。
【0287】
このような磁性現像剤を得る手段としては、トナー粒子に磁性体を含有させることが挙げられる。本発明において現像剤を磁性現像剤とするためトナー粒子に含有させる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケル等の金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金及び混合物が挙げられる。
【0288】
これらの磁性体の磁気特性としては、磁場796kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/mであるものが好ましく用いられる。これらの磁性体は結着樹脂100質量部に対し、通常には20〜200質量部で用いられる。このような磁性体の中でもマグネタイトを主とするものが特に好ましい。
【0289】
本発明において磁性現像剤の磁化の強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定することができる。また、磁性体の磁気特性は、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測定することができる。
【0290】
現像剤は、1次粒子の個数平均径4〜80nmの無機微粉末を有することが好ましい。
【0291】
無機微粉末の1次粒子の個数平均径が上記範囲よりも大きすぎる場合、或いは1次粒子の個数平均径が上記範囲の無機微粉末が添加されていない場合には、導電性微粉末を現像剤中でトナー粒子に対して均一に分散させることができず、像担持体上に均一に導電性微粉末を供給することが困難である。本発明にて用いられる導電性微粉末は、トナー粒子から遊離し易い性質とともに現像剤中に均一に分散し難い傾向がある。このため、より現像剤への流動性付与能の高い1次粒子の個数平均径のより小さい無機微粉末を併用することで、導電性微粉末を現像剤中に均一に分散させることが可能であることが判明した。導電性微粉末が現像剤中に均一に分散していない場合、像担持体上への導電性微粉末の長手方向での供給むらを生じ易く、接触帯電部材への供給むらを生じた場合には導電性微粉末の供給むらに対応した像担持体の帯電不良を生じ、現像兼クリーニング時には像担持体上の導電性微粉末の介在量の減少部に対応して転写残トナー粒子の回収性が低下することによる回収不良を生じ、筋状の画像欠陥として現れる。また、転写残トナー粒子が帯電部材へ付着した際に帯電部材に固着し易くなり、像担持体の安定して良好な帯電特性を得ることが困難となる。更に、良好な現像剤の流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられない。
【0292】
無機微粉末の1次粒子の個数平均径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉末の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、無機微粉末の凝集体の現像による画像抜け、像担持体、現像担持体或いは接触帯電部材等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。また、これらの観点から、無機微粉末の1次粒子の個数平均径は6〜50nmであることが好ましい。
【0293】
すなわち本発明において、無機微粉末は、トナー粒子の表面に付着させることで現像剤の流動性を改良し、トナー粒子を均一に帯電させるために添加されるのみでなく、凝集体を有する導電性微粉末を現像剤中でトナー粒子に対して均一に分散させ、像担持体上に均一に導電性微粉末を供給せしめる効果も併せ持つ。
【0294】
本発明において無機微粉末の1次粒子の個数平均径の測定は、以下のように行うことができる。すなわち、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した現像剤の写真と、更に走査型電子顕微鏡に付属させたX線マイクロアナライザー(XMA)等の元素分析手段によって無機微粉末の含有する元素でマッピングされた現像剤の写真を対照し、トナー粒子表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉末の1次粒子を100個以上測定し、個数平均径を求めることが出来る。
【0295】
また本発明において無機微粉末は、1次粒子の個数平均径4〜80nmのシリカ、チタニア及びアルミナから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。例えば、シリカ微粉体としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO3 −等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0296】
また本発明において無機微粉末は、疎水化処理されたものであることが好ましい。無機微粉末を疎水化処理することによって、無機微粉末の高湿環境における摩擦帯電性の低下を防止し、無機微粉末が表面に付着したトナー粒子の摩擦帯電量の環境安定性を向上させることで、現像剤としての画像濃度、カブリ等の現像特性の環境安定性をより高めることができる。環境による無機微粉末の摩擦帯電性及び無機微粉末が表面に付着したトナー粒子の摩擦帯電量の変動を抑制することで、導電性微粉末のトナー粒子からの遊離し易さが変動することを防止でき、環境による導電性微粉末の像担持体上への供給量を安定化し、像担持体への一様帯電性及び転写残トナー粒子回収性の環境安定性を高めることができる。
【0297】
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。その中でも、無機微粉末は少なくともシリコーンオイルで処理されたものであることが特に好ましい。処理は公知の方法に従って行うことができる。
【0298】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。シリコーンオイルの粘度が上記範囲よりも小さすぎる場合には、無機微粉末の処理に安定性が無く、熱および機械的な応力により、処理したシリコーンオイルが脱離、転移或いは劣化して画質が劣化する傾向がある。また、粘度が上記範囲よりも大きすぎる場合には、無機微粉末の均一な処理が困難になる傾向がある。
【0299】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0300】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシランカップリング剤で処理された無機微粉末とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉末にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉末の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0301】
シリコーンオイルの処理量は無機微粉末100質量部に対し1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が上記範囲よりも少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずることがある。
【0302】
また本発明において無機微粉末は、少なくともシラン化合物で処理されると同時に、またはその後にシリコーンオイルで処理されたものであることが好ましい。無機微粉末の処理にシラン化合物を用いることが、シリコーンオイルの無機微粉末への付着性を高めて、無機微粉末の疎水性及び摩擦帯電性を均一化する上で特に好ましい。
【0303】
無機微粉末の処理条件としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行ないシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することが挙げられる。
【0304】
また、本発明の現像剤は、無機微粉末の含有量が現像剤全体の0.1〜3.0質量%であることが好ましい。無機微粉末の含有量が上記範囲より少なすぎる場合には、無機微粉末を添加することの効果が十分に得られず、また上記範囲より多すぎる場合には、トナー粒子に対して過剰な無機微粉末が導電性微粉末を被覆してしまい、像担持体上への導電性微粉末の供給性の低下、像担持体の帯電促進効果の低下、転写残トナーの回収性の低下等を生じ、本発明の効果を損なうようになる傾向がある。無機微粉末の含有量は、現像剤全体の0.3〜2.0質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。
【0305】
本発明で用いられる1次粒子の個数平均径が4〜80nmの無機微粉末は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が40〜300m2/gの範囲内のものが好ましく、60〜250m2/gのものがより好ましい。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
【0306】
現像剤は、荷電制御剤を含有することが好ましい。
【0307】
荷電制御剤のうち、現像剤を正荷電性に制御するもの及び現像剤を負荷電性に制御するものとして公知の荷電制御剤または荷電制御樹脂を用いることができる。
【0308】
荷電制御剤を現像剤に含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法とがある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法等によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0309】
トナー粒子を製造するにあたっては、上述したような構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、粉砕、分級、必要に応じてトナー形状調整等の処理を行なってトナー粒子を得る方法を用いることができ、他には、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法;結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナー粒子を得る方法:特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法:水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法:樹脂微粒子及び着色剤等を溶液中において会合させてトナー粒子を生成させる会合重合法;単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法;あるいはコア材、シェル材から成るいわゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるいはシェル材、あるいはこれらの両方に所定の材料を含有させる方法等の方法が応用できる。
【0310】
トナー粒子の形状調整のための処理としては、粉砕法により得られたトナー粒子を水中或いは有機溶液中に分散させ加熱或いは膨潤させる方法、熱気流中を通過させる熱処理法、機械的エネルギーを付与して処理する機械的衝撃法などが挙げられる。機械的衝撃力を加える手段としては,例えばホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように,高速回転する羽根によりトナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナー粒子に機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0311】
(6)磁界発生部材
磁界発生部材6は、接触帯電部材に当接或いは近接して配される。本例においては、帯電ローラ2に接触して配される非回転に固定されたマグローラを内包する回動可能な非磁性金属スリーブである。マグローラの極大磁束密度を示すN1極位置(スリーブ上で80mT)で、非磁性スリーブを介して接触帯電部材に当接している。従って、本例における磁界発生部材による接触帯電部材表面の磁束密度の最大値は80mTである。本例のごとく、非磁性スリーブの帯電部材への当接位置に磁極があってもよいが、上流方向或いは下流方向にあってもよく、接触帯電部材表面の磁束密度の最大値を示す位置は、帯電部材の磁界発生部材との当接位置或いは最近接位置に限られず、上流方向或いは下流方向に寄っていてもよい。接触帯電部材表面の磁束密度の最大値は10〜150mTであることが好ましい。
【0312】
磁界発生部材としては、被帯電体に当接しかつ回動可能な帯電部材に、当接或いは近接することが必要である。
【0313】
接触帯電部材に付着或いは混入した磁性粒子を、磁界発生部材に磁気的に引き付けることが可能なように磁界発生部材を配することが好ましい。また、接触帯電部材に付着或いは混入した磁性粒子を磁気的に剥離或いは除去することが可能であるように磁界発生部材を配することが好ましい。更には、接触帯電部材から磁気的に剥離或いは除去した磁性粒子を磁界発生部材に担持させるよう構成することが好ましい。
【0314】
また、磁界発生部材に当接部材を配することが好ましい。磁界発生部材に担持させた磁性粒子を局在化しないように均し効果が発現するように磁界発生部材への当接部材を配することが好ましい。さらに、磁界発生部材に担持させた磁性粒子に帯電付与行うことが可能であるように磁界発生部材への当接部材を配することが好ましい。
【0315】
以下、図3〜図7を用いて、磁界発生部材及び磁界発生部材への当接部材について説明する。
【0316】
図3では、磁界発生部材6を帯電ローラ2に近接して配している。被帯電体としての感光体1は図面上時計回りに回転駆動され、接触帯電部材の例としての帯電ローラ2は反時計回りに回転駆動される。
【0317】
接触帯電部材に付着或いは混入した磁性粒子は、磁界発生部材6の発生する磁界によって、磁界発生部材6に磁気的に引き付けられ、接触帯電部材と磁界発生部材との間隙に滞留する。或いは磁気力によって、幾分接触帯電部材との付着力を弱めつつも上記間隙をすり抜けていく。接触帯電部材と磁界発生部材との間隙に磁性粒子が滞留する分、接触帯電部材に残留する磁性粒子が減少するため、接触帯電部材と像担持体との接触部或いはその近傍の帯電部に介在することによる磁性粒子も減少し、磁性粒子が帯電部に介在することによる像担持体の一様帯電性の劣化を抑制することができる。また、接触帯電部材と磁界発生部材との間隙をすり抜けた磁性粒子も幾分なりとも接触帯電部材との付着力が低下し(接触帯電部材がブラシローラである場合、磁界発生部材の発生する磁界によって磁性粒子がブラシローラ表層付近に掘り出され、磁性粒子がブラシの繊維の奥に蓄積することを防ぐことができ)、接触帯電部材から像担持体上に磁性粒子が排出されやすくなる。このため、接触帯電部材への磁性粒子の蓄積が抑制され、帯電部に介在する磁性粒子が減少することで、像担持体の一様帯電性の低下を抑制することができる。
【0318】
また、図3において、磁界発生部材6を電磁石のごとく発生磁界をオン−オフ或いは磁界強度を可変とすることが可能な構成を用いることもできる。例えば、画像形成時には磁界により接触帯電部材に付着或いは混入した磁性粒子を磁界発生部材近傍に滞留させ、画像形成時の前後(例えば、前回転、紙間、後回転時等)のタイミングで磁界を弱め、滞留させていた磁性粒子を接触帯電部材上を介して像担持体上に排出するような構成も可能である。磁性粒子の現像での回収が主に画像形成時以外に行われることで、たとえ回収不良が生じたとしても直接画像上に欠陥が発生しなくなる。
【0319】
図4は、磁界発生部材6を帯電ローラ2に当接するように配した例である。やはり、被帯電体としての感光体1は図面上で時計回りに回転駆動され、接触帯電部材の例としての帯電ローラ2は反時計回りに回転駆動される。図4において、磁界発生部材6はウレタン或いはシリコーンゴム等の弾性体に永久磁石を分散・配向したものである。
【0320】
このような構成によって、磁性粒子が接触帯電部材に局所的に付着或いは混入した場合でも、磁性粒子を磁界発生部材6近傍に滞留させる効果により、単に接触帯電部材に当接部材を設けた場合よりも大きな磁性粒子の撹乱・分散効果が得られ、像担持体の一様帯電性の低下をより有効に抑制することができる。すなわち、接触帯電部材に局所的に大量に磁性粒子が付着或いは混入した場合、接触帯電部材の特定部位に継続的により多くの磁性粒子が付着或いは混入する場合に生じやすい筋状の帯電不良を抑制する効果が大きい。
【0321】
また、接触帯電部材に当接する磁界発生部材の少なくとも表面の摩擦帯電極性を、接触帯電部材に付着或いは混入する磁性粒子との摩擦帯電において磁性粒子が本来有するべき摩擦帯電極性(現像部で正規に制御されるべき帯電極性)に磁性粒子に対して遺伝付与できるように磁性粒子とは逆極性とすることが好ましい。例えば、本例の負帯電性の磁性トナーを用いる場合、接触帯電部材に付着或いは混入する転写残の磁性トナーに負帯電を付与することが可能なように、接触帯電部材に当接する磁界発生部材の少なくとも表面の摩擦帯電特性を設定することが好ましい。本例における具体的手段としては、磁界発生部材としての弾性体当接部材に、永久磁石とともに正帯電性の荷電制御剤を分散させる、弾性体を負帯電付与性の高い(自らは正帯電性が高い)含窒素樹脂で形成する、当接部材表面を正帯電性の高い化合物で被覆する等が挙げられる。
【0322】
このように、接触帯電部材に当接する磁界発生部材に、接触帯電部材に付着或いは混入する磁性粒子の摩擦帯電を制御する機能を持たせることで、磁性粒子が像担持体上に排出された後の現像での回収性が向上する。
【0323】
また、実質的に剛体として挙動する磁界発生部材を接触帯電部材に対して押圧することが可能な構成とすることも可能である。
【0324】
このような構成によっても、接触帯電部材に局所的に付着或いは混入した磁性粒子を磁界発生部材近傍に滞留させる効果により、単に接触帯電部材に当接部材を設けた場合よりも大きな磁性粒子の撹乱・分散効果が得られ、像担持体の一様帯電性の低下をより有効に抑制することができる。
【0325】
また、画像形成時には磁界発生部材を接触帯電部材に対して押圧し、画像形成時の前後(例えば、前回転、紙間、後回転時等)のタイミングで押圧を解除する或いは磁界発生部材を接触帯電部材から離間させるような構成も可能である。
【0326】
更には、図4の構成と同様に接触帯電部材に当接する磁界発生部材6に、接触帯電部材に付着或いは混入する磁性粒子の摩擦帯電を制御する機能を持たせることも可能である。
【0327】
図5は、接触帯電部材に当接する磁界発生部材6として、回動可能な多極マグローラを用いた例である。多極マグローラの代わりに多極に着磁された円筒ローラを用いてもよい。
【0328】
接触帯電部材に付着或いは混入する磁性粒子をマグローラ上に転移させることが可能な構成とした物で、接触帯電部材からより多くの磁性粒子を磁気的に剥離或いは除去することができ、像担持体の一様帯電性の低下をより有効に抑制することができる。
【0329】
被帯電体としての感光体1は図面上で時計回りに回転駆動され、接触帯電部材の例としての帯電ローラ2は反時計回りに回転駆動される。多極マグローラは接触帯電部材に従動回転しても良く、接触帯電部材の回転方向と同方向或いは逆方向に回転駆動されてもよい。但し、静止していないことが好ましい。多極マグローラの極数には特に制限はないが、極数が少ない場合には接触帯電部材に付着或いは混入する磁性粒子を均一に磁界発生部材上に転移させるためにはマグローラを高速で回転駆動しなければならなくなる。
【0330】
このように回動可能な磁界発生部材を用いることで、帯電部材に積極的に導電性微粉末を付着或いは混入させて像担持体の帯電特性を向上させようとする場合、非磁性の導電性微粉末を用いることで、像担持体の帯電を阻害する転写残磁性トナーのごとき磁性粒子を磁界発生部材上に転移させ、像担持体の帯電特性を向上させる帯電部材に付着或いは混入させた非磁性の導電性微粉末は接触帯電部材に安定して保持させることができる。このため、直接注入帯電機構を適用する場合のように、帯電部材に付着或いは混入させた導電性微粉末による帯電促進効果の寄与が大きい場合に、特に像担持体の帯電特性を安定させ、向上させることができる。
【0331】
図6は、接触帯電部材に当接する磁界発生部材として、固定マグローラとこれを内包する非磁性金属スリーブ及び非磁性金属スリーブに対して押圧される当接部材とからなる構成の例である。被帯電体としての感光体1は図面上で時計回りに回転駆動され、接触帯電部材の例としての帯電ローラ2は反時計回りに回転駆動される。
【0332】
固定マグローラとこれを内包する非磁性金属スリーブを用いることで、図5の多極マグローラを用いた例よりも、接触帯電部材に付着或いは混入した磁性粒子を磁界発生部材上により均一に転移させることができ、非磁性金属スリーブの回転周速を低く設定することができる。非磁性金属スリーブは、接触帯電部材に従動回転しても良く、接触帯電部材の回転方向と同方向或いは逆方向に回転駆動されてもよい。但し、静止していないことが好ましい。
【0333】
非磁性金属スリーブに対して押圧される当接部材を有することで、接触帯電部材に局所的に付着或いは混入した磁性粒子を磁界発生部材上に転移させ、この際に得られる磁性粒子の撹乱・分散効果に加え、非磁性金属スリーブに対して押圧される当接部材によって機械的に均されること(弾性体である帯電ローラ2上よりも剛体である非磁性金属スリーブ上での当接部材による均らし効果は大きい)で、像担持体の一様帯電性の低下をさらに有効に抑制することができる。
【0334】
また、非磁性金属スリーブに対して押圧される当接部材に、磁界発生部材上に転移した磁性粒子の摩擦帯電を制御する機能を持たせることも可能である。中抵抗である帯電ローラ2上よりも非磁性金属スリーブ上での当接部材による帯電付与は効率が良い。
【0335】
さらに、非磁性金属スリーブの表面粗さ及び摩擦帯電性等を制御することで、磁界発生部材上に転移した磁性粒子への帯電付与をより緻密に制御することができ、転写バイアスによって逆極性に帯電してしまった磁性粒子まで正規な帯電極性に再帯電することが容易となる。
【0336】
すなわち、磁界発生部材上で磁性粒子が効率よく帯電付与されることにより、磁性粒子が接触帯電部材を経由して像担持体上に排出された後の現像での回収性が向上する。
【0337】
図7は、図6における非磁性金属スリーブに対して押圧される当接部材を弾性部材とした例である。
【0338】
図3〜図7は、被帯電体としての感光体1は図面上で時計回りに回転駆動され、接触帯電部材の例としての帯電ローラ2は反時計回りに回転駆動される例であるが、帯電ローラ2は帯電ブラシローラであってもよく、帯電ローラ2の回転方向は感光体1と同様に時計回りに回転駆動されてもよい。
【0339】
但し、接触帯電部材から排出される磁性粒子が、帯電部である接触帯電部材と感光体との当接部(ニップ部)を通過しなくとも良い点からも、接触帯電部材と感光体の回転方向は逆方向に設定されることが好ましい。
【0340】
【発明の効果】
以上説明したように、本願の請求項1記載の発明によれば、接触帯電部材に付着或は混入する磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することで、接触帯電部材の磁性粒子による汚染を抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う被帯電体への帯電の阻害を抑制することができる。また、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子が接触帯電部材に固着することを防止し、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な被帯電体の帯電欠陥の発生を抑制することができる。同時に、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を、一旦、磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去した後に、磁性粒子を接触帯電部材へ転移させることにより、接触帯電部材への磁性粒子の付着力を弱める或いは接触帯電部材の表層に保持させることにより、被帯電体への帯電を阻害することなく、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を被帯電体上へ効率よく排出することが容易となる。
【0349】
請求項3記載の発明によれば、帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値は、10〜150mTであることが好ましい。その理由として、帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値が10mT未満である場合は、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去する力が小さいため、接触帯電部材から剥離、除去することができない磁性粒子が増加しやすく、効果が十分に得られない場合がある。逆に、帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値が150mTよりも大きい場合は、磁界発生部材と接触帯電部材の間に磁性粒子が過剰に滞留する場合が有り、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な被帯電体の帯電欠陥を発生することがある。
【0351】
また、接触帯電部材に付着或は混入した現像剤起因の磁性粒子が接触帯電部材に固着することを防止し、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な像担持体の一様帯電欠陥の発生を抑制することで、像担持体の一様帯電不良による画像欠陥の発生を防止することができる。同時に、像担持体への帯電を阻害することなく、接触帯電部材に付着或は混入した現像剤起因の磁性粒子を像担持体へ排出することが容易となる。
【0352】
さらに、クリーナーレス画像形成方法を適用した場合やクリーニング機構が局所的に破綻した場合のように、多量の現像剤起因の磁性粒子が局所的に接触帯電部材に付着或は混入した場合でも、磁界発生部材が接触帯電部材に付着或は混入した多量の磁性粒子を分散させて均す効果に優れるため、磁性粒子の局在化を抑制し、接触帯電部材に磁性粒子が局所的に付着或は混入した部位に対応する像担持体の局所的な帯電不良を防止することができる。
【0354】
回動可能な帯電部材が弾性発泡体で構成される帯電装置により、帯電部材表面と帯電部材に付着する現像剤起因の磁性粒子との付着力を低減することができ、帯電部材に付着する磁性粒子をより確実に磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができる。このため、接触帯電部材の磁性粒子による汚染をより有効に抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う像担持体への帯電の阻害をより確実に防止することができる。
【0355】
回動可能な帯電部材が、Asker−C硬度で15度以上、70度以下の硬度を有する弾性ローラである帯電装置により、接触部材と像担持体との接触性を高めることができ、像担持体上の現像剤起因の磁性粒子を接触部材表面に有効に転移させた後に、帯電部材に付着する磁性粒子を磁界発生部材によって接触部材から磁気的に剥離、除去することができる。このため、接触部材と像担持体との間に磁性粒子が滞留すること或は接触部材と像担持体との間隙を磁性粒子がすり抜けることによる像担持体の帯電欠陥を防止することができる。
【0356】
また、接触部材と像担持体との接触性をより高めることができ、帯電欠陥をより確実に防止することができる点で、回動可能な帯電部材は、Asker−C硬度で20度以上、50度以下の硬度を有する弾性ローラであることがより好ましい。
【0357】
回動可能な帯電部材は、体積固有抵抗が103〜108Ωの抵抗を有するローラ部材であることが好ましい。帯電部材の体積固有抵抗が103〜108Ωであることで、像担持体の点欠陥が存在する場合のピンホールリークを防止し、放電生成物が発生しない或は発生し難い低印加電圧での像担持体の一様帯電を行うことができる。
【0358】
磁界発生部材が回動可能である帯電装置により、より多くの接触帯電部材に付着或は混入する磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することが可能となり、接触帯電部材の磁性粒子による汚染をより有効に抑制し、接触帯電部材の磁性粒子による汚染に伴う像担持体への帯電の阻害をより確実に防止することができる。また、磁界発生部材と接触帯電部材の間に磁性粒子が過剰に滞留することにより磁性粒子が接触帯電部材に固着することを防止することが可能であり、磁性粒子が接触帯電部材に固着することによる不可逆な像担持体の帯電欠陥の発生を抑制することができる。
【0359】
磁界発生部材が回動可能である円筒状スリーブによって内包されている帯電装置により、磁界発生部材によって接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を均一に磁気的に剥離、除去することが容易となり、接触帯電部材に残留する磁性粒子の量を均一化することができる。このため、接触帯電部材の磁性粒子による汚染の程度にムラが有ることで、像担持体での軽微な帯電ムラが画像上では目立つようになる現象を抑制することができる。また、接触帯電部材に磁性粒子を均一に排出することが容易となり、接触帯電部材から像担持体への磁性粒子の排出も均一とすることが容易となり、多量の磁性粒子が一括して像担持体上に排出されて画像露光を遮り潜像を乱すことをより確実に防止することができる。
【0360】
回動可能である磁界発生部材あるいは磁界発生部材を内包する回動可能である円筒状スリーブに当接する部材を有する帯電装置により、磁界発生部材に転移させた磁性粒子の摩擦帯電極性及び帯電量を制御することが可能となる。このため、現像剤起因の磁性粒子の帯電をトナー粒子の帯電極性と同極性とし、適当な帯電量を付与することにより、像担持体上に排出した磁性粒子を、現像部において像担持体上から現像装置内へより効率よく回収することが可能となる。
【0361】
帯電部材表面における磁界発生部材による磁束密度の最大値を、10〜150mT とすることで、接触帯電部材に付着或は混入した磁性粒子を磁界発生部材によって磁気的に剥離、除去することができない磁性粒子を減少させることができる。また、帯電部材表面における磁界発生部材による磁気力が大きすぎることによる磁界発生部材と接触帯電部材の間での磁性粒子の過剰な滞留による磁性粒子の接触帯電部材への固着をより確実に防止することができる。これらによって、像担持体の一様帯電不良の発生をより有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である接触帯電機構を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1における接触帯電部材としての帯電ローラ部分とそれに近接する磁界発生部材部分の拡大模型図である。
【図3】図2における帯電ローラに当接する磁界発生部材の一構成例を示した図である。
【図4】図2における帯電ローラに当接する磁界発生部材の一構成例を示した図である。
【図5】図2における帯電ローラに当接する磁界発生部材として多極マグローラを用いた一構成例を示した図である。
【図6】帯電ローラに当接する磁界発生部材として、固定マグローラとこれを内包する非磁性金属スリーブ及び非磁性金属スリーブに対して押圧される当接部材とからなる一構成例を示した図である。
【図7】図6における非磁性金属スリーブに対して押圧される当接部材を弾性部材とした際の一構成例を示した図である。
【図8】本発明の一実施例である接触帯電機構を備えた画像形成装置における積層型感光体の構成を説明する図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電ローラ
3 現像装置
4 回転転写ローラ
5 定着装置
6 磁界発生部材
7 露光器
Claims (3)
- 像担持体に当接して像担持体表面を一様に帯電させる帯電装置と、前記一様に帯電された像担持体を露光し静電潜像を形成する露光装置と、前記像担持体上の静電潜像を可視化するための磁性トナーを含む現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上のトナー像を転写材上に転写するための転写装置と、を有する画像形成装置において、
前記帯電装置は、前記像担持体表面に対して帯電を行う回動可能な帯電部材と、前記帯電部材に当接する弾性を備える磁界発生部材を備え、
前記磁界発生部材の表面は、前記磁性トナー粒子との摩擦帯電極性が前記磁性トナー粒子自体の帯電極性とは逆極性であり、前記帯電部材に付着した磁性トナーは、前記像担持体に移動した後、前記現像装置で回収されることを特徴とする画像形成装置。 - 前記磁界発生部材は、画像形成時に前記帯電部材に対して押圧され、画像形成時の前後には、前記帯電部材に対する押圧を解除する或いは前記帯電部材から離間させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材表面における前記磁界発生部材による磁束密度の最大値が、10〜150 mT であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001335792A JP4208452B2 (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001335792A JP4208452B2 (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 画像形成装置 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003140440A JP2003140440A (ja) | 2003-05-14 |
JP2003140440A5 JP2003140440A5 (ja) | 2007-03-08 |
JP4208452B2 true JP4208452B2 (ja) | 2009-01-14 |
Family
ID=19150728
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001335792A Expired - Fee Related JP4208452B2 (ja) | 2001-10-31 | 2001-10-31 | 画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4208452B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4125199B2 (ja) * | 2003-08-01 | 2008-07-30 | キヤノン株式会社 | 画像形成方法 |
-
2001
- 2001-10-31 JP JP2001335792A patent/JP4208452B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003140440A (ja) | 2003-05-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100427201B1 (ko) | 자성 토너, 그의 제조 방법, 및 상기 토너를 사용하는화상 형성 방법, 장치 및 프로세스 카트리지 | |
US6416914B1 (en) | Image formation process and developer used therein | |
JP3997065B2 (ja) | プロセスカートリッジ及び画像形成装置 | |
JP3907418B2 (ja) | トナー、トナーの製造方法、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4298114B2 (ja) | 現像剤並びに該現像剤を用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ | |
JPWO2006016643A1 (ja) | 静電潜像現像用磁性1成分トナーおよび画像形成方法 | |
JP3416444B2 (ja) | 画像形成方法及び非磁性トナー | |
JP2004021127A (ja) | 磁性トナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ | |
JP4378051B2 (ja) | 磁性トナーおよび該磁性トナーを用いた画像形成方法 | |
JP3684103B2 (ja) | トナー及び画像形成方法 | |
JP4154104B2 (ja) | 磁性トナー及び該トナーを用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP3210732B2 (ja) | 電子写真用トナー | |
JP2001235897A (ja) | 磁性トナーおよび画像形成方法 | |
JP4208372B2 (ja) | 磁性トナー及び画像形成方法 | |
JP4405697B2 (ja) | 画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ | |
JP4072384B2 (ja) | 磁性トナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ | |
JP4208452B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP4040349B2 (ja) | 現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ | |
JP2005010328A (ja) | 画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ及び該画像形成装置に用いられる現像装置 | |
JP4590066B2 (ja) | 磁性トナー及び画像形成方法 | |
JP2002202627A (ja) | 画像形成方法及び磁性トナー | |
JP4298113B2 (ja) | 現像剤および画像形成方法 | |
JP3173321B2 (ja) | 現像方法 | |
JPH11190916A (ja) | 画像形成方法 | |
JP4467764B2 (ja) | 磁性トナー、該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041029 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070124 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071005 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071030 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080304 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080507 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080722 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080908 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081007 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081021 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111031 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121031 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131031 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |