JP4208443B2 - キースライド機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるノートブック型パソコンや携帯情報端末装置やワープロやタイプライタ等のキースライド機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、いわゆるノートブック型パソコンに代表される携帯型パソコン等の情報機器のように、持ち運びのしやすさを商品コンセプトとするものにおいては、さらなる軽量化,薄型化が望まれてきている。一方、このような情報機器の操作性については、特に、主入力手段であるキーボードのキーストロークをできるだけ大きくして、デスクトップ型パソコンに用いられている通常のキーボードの感覚に近づけたいという要望がある。
【0003】
このような相反する課題を解決するものとして、例えば特開平8−54964号公報(特許第2857353号)に記載されている如く、個々のキーが蓋の開閉に応じて伸縮できるキーボード構造が開示されている。
【0004】
具体的には、上側及び下側を有するキー支持構造と、前記キー支持構造の前記上側に支持されて、各々が拡張位置及び後退位置間で垂直のキーストローク距離分、相対垂直移動する一連のキーと、前記キー支持構造の下で支持され、前記キー支持構造の前記下側に面する上側を有するベース構造と、前記ベース構造の前記上側に配置された一連の離間された弾性キー復帰部材とを備え、前記キー支持構造及び前記ベース構造は、前記キー復帰部材が前記キーの下にあり、前記キーを前記拡張位置に弾性的に保持する第1の位置と、前記キー復帰部材が前記弾性キー復帰部材を垂直に圧縮しないで前記拡張位置から前記後退位置に移動させることを可能にする第2の位置との間で、相互に水平にシフト可能である構成としている。
【0005】
また、例えば特開平5−298000号公報(特許第2875697号)に記載されている如く、情報処理装置の入力に用いるキーボード装置において、未使用時にはキートップを押し下げて、装置の厚さを薄くして、持ち運び性を良くし、使用時にはキートップを持ち上げて、十分なキーストロークを確保し、操作感を良くする構成のものが開示されている。
【0006】
具体的には、板バネシートに復帰バネと接点押圧バネを一体に形成し、この板バネシートをスライド機構によってスライドさせてキートップの高さを変える構成としている。また、キートップを含むキースイッチベースをスライドバーのスライド操作によって上下に移動させ、キートップの全高及びストローク量を変える構成としている。さらに、複数のキー接点部を有するシート部材と、キー接点部に対応するようにシート部材上に設けられた複数のキースイッチ部と、シート部材の回りに形成されたカバーと、カバーの一端に回動自在に設けられ、突出した押圧部材を有する蓋と、シート部材を上方向に押圧するバネとから構成され、前記蓋を開閉してシート部材を上下に移動することによりキーボード全高を変更可能とする構成としている。
【0007】
また、例えば特開平9−259684号公報に記載されている如く、蓋の開閉動作によってキーボードを昇降させて装置の使い勝手を良くし、結果として携帯に容易な薄型化を可能とする構成のものが開示されている。
【0008】
具体的には、キートップをスライド可能に支持するハウジングユニットと、前記キートップによって作動されるスイッチを備えたサポートパネルユニットとからなるキーボードであって、前記ハウジングユニットは前記サポートパネルユニットに対して離間した第一の位置と、近接した第二の位置とを移動可能であり、第一の位置に位置するときには、前記キートップのスライドによりスイッチが作動し、第二の位置に位置するときには、前記キートップが押下されてもスイッチが作動しないように、前記ハウジングユニットが第一の位置と、第二の位置とを移動する構成としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平8−54964号公報(特許第2857353号)に記載されているような構成では、ベース構造(信号パッド構造)を第1の位置から第2の位置まで駆動するカム突出部は、ディスプレイスクリーンを有する蓋ハウジングから突設しているものであり、薄型化が不十分になるとともに、安全上や外観上等の問題が生じる。
【0010】
また、上記特開平5−298000号公報(特許第2875697号)に記載されているような構成では、板バネシートをスライドさせるスライド機構や、スライドバーをスライド操作する機構、或いは蓋の開閉によりシート部材を上下に移動させる機構が大型となり、軽量化や薄型化が不十分になる。また、上記特開平9−259684号公報に記載されているような構成では、ハウジングユニットを移動させる機構が大型となり、軽量化や薄型化が不十分になる。
【0011】
そこで、このような問題点に鑑み、携帯型パソコン等の操作性や信頼性を確保しつつ、従来よりさらなる軽量化や薄型化を可能とするために、例えば以下に示すような構成のものが使用されている。即ち、摺動部材を摺動させることでキートップが昇降する機能を備えたキーボードのキースライド機構において、回動部材による回動動作をカム部材により移動動作に変換し、この移動動作をレバー部材により拡大して、拡大された移動動作を摺動部材に与えることでキートップを昇降させる構成としている。
【0012】
これは、例えばノートブック型パソコンの表示部の開動作に連動してキートップがポップアップする、いわゆるポップアップ式キーボードとして実用化されている。このような構成のキースライド機構においては、各部品の精度さらには組立精度が非常に重要であり、そのバラツキが無視できない問題となっている。本発明は、このような部品の寸法精度さらには組立精度のバラツキがもたらす悪影響を解消し、キーボードに過負荷を与えずによりスムーズで確実なキートップの昇降を可能とする、キーボード構造におけるキースライド機構を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、摺動部材を摺動させることでキートップが昇降する機能を備えたキーボードのキースライド機構であって、回動可能な回動部材と、前記回動部材による回動動作を移動動作に変換するカム部材と、前記カム部材で変換された移動動作を拡大させるレバー部材と、前記摺動部材の移動先の位置決めを行う位置決め部材とを備え、前記回動部材による回動動作を前記カム部材により移動動作に変換し、この移動動作を前記レバー部材により拡大して、拡大された前記移動動作を前記摺動部材に与えることで前記キートップを昇降させるキースライド機構において、前記摺動部材が前記位置決め部材に当接した状態から、前記レバー部材が拡大された移動動作をするオーバーストローク分のトルクを吸収する機構を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、前記トルクを吸収する機構は、前記レバー部材に取り付けられたバネ部材と、前記レバー部材の回転中心に開けられた孔と、該孔を貫通して前記レバー部材を回動自在に枢支する軸部材とを備え、前記孔は前記拡大された移動動作の方向に長手の長孔であって、前記バネ部材は該長孔の一端が前記軸部材に当接する方向に前記レバー部材を付勢することを特徴とする。
【0016】
さらに、前記バネ部材は線状の弾性材料を略リング状に巻回し、その一端を前記軸部材に係合し他端を前記レバー部材に係合してなることを特徴とする。その他、前記長孔の一端が直線状であることを特徴とする。その他、前記摺動部材の移動先の位置決めを行う位置決め部材を設けたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明のキースライド機構が適用される一例としては、ノートブック型パソコンを想定している。このようなノートブック型パソコンは、周知の如く大別して表示部と本体とに分類される(不図示)。これより以降、本体において、表示部が開閉される先端側を手前側と呼び、開閉の根元側(中心側)を奥側と呼ぶ。
【0018】
表示部は、その内側表面に例えば液晶表示パネルが取り付けられており、また根元側の左右端において後述するヒンジ部にて本体と連結されている。そして、このヒンジ部を中心に表示部が回転し、開閉が行われる。一方、本体はキーボードと回路基板等を備えている。そして、本体の奥側右端部には、本発明に係るキースライド機構が設けられている。このキースライド機構が、これに含まれるヒンジ部を介して表示部の開閉に連動することにより、キーボード内の中間シートを、これより突設するピンを介して左右にスライドさせ、各キートップを上下させる仕組みである。詳しくは後述する。
【0019】
図1は、本発明のキースライド機構の一実施形態を示す平面図である。同図は上記表示部が閉じたときのキースライド機構の状態を示している。また、図2はこのキースライド機構を示す右側面図であり、同図(a)は表示部が所定の角度開いたときの状態、同図(b)は表示部が閉じたときの状態をそれぞれ示している。
【0020】
これらの図において、本実施形態におけるキースライド機構は、概ねヒンジ部3,連動カム部5,及びスライド量拡大レバー部6より構成されている。ヒンジ部3は、表示部側に固定される略L形レバー状の表示固定部10と、本体側に固定される長板を巻回した形状の軸受9及びコの字形の連動カム支持部11を有している。そして、連動カム支持部11及び軸受9には軸12が回転自在に軸支されており、また軸12はその右端部で表示固定部10の根元側端部と連結している。また連動カム支持部11の左右両端部を奥側に折り曲げることにより、軸12を軸支する軸受部11a,11bが形成されている。
【0021】
連動カム部5は、軸12が貫通する中央に位置した略円筒形のカム8と、軸12が嵌合して左側に固定された略円筒形のカム13と、軸12が嵌合して右側に固定された略円筒形のカム14とより構成されている。カム13とカム14は、軸12を含めて貫通したピンで軸に固定されている。従って、カム13及び14は軸12の回転に連動して回転するが、カム8は軸12に対して回転摺動方向に自在であり、直接には連動しない。
【0022】
スライド量拡大レバー部6は、主に長板状のレバー15より構成されている。レバー15は、本体側より上方に突設するピン17にて回動自在に枢支されている。なお、レバー15の厚さがカム8,13,及び14の厚さを超えないようにすることにより、より薄型の構成とすることができる。そして、カム8より手前側に突出する略直方体状の突起部8gが連動カム支持部11に開けられた矩形のスライド孔11dを貫通して、レバー15奥側端部に設けられた略U字状の切り欠き部15aと嵌合している。
【0023】
カム8は、軸12の回転角度によってカム13或いはカム14と噛み合った状態になる。カム8は軸12に対して回転自由なので、軸12の回転によってカム13或いはカム14と噛み合った状態を維持して回転しようとする。そこで、その回転をカム8の突起部8gと連動カム支持部11のスライド孔11dで抑制する。一方、レバー15手前側端部に設けられたU字状の切り欠き部15bは、上記キーボード内の中間シート22奥側右端部より上方へ突設するピンpと嵌合している。
【0024】
ここで、レバー15には、その中央より奥側において、左右方向に若干長手の長孔15cが開けられており、ここに上記ピン17が貫通している。一方、レバー15の中央付近には、線状のバネ材を略リング状に巻回したバネ16が設けられている。これは、両端のアーム部16a及び16bが互いに交差するように形成され、これらのアーム部がレバー15を挟み込むようにして取り付けられている。そして、アーム部16aはピン17に係合し、アーム部16bはレバー15の左側面に設けられた切り欠き部15dに係合している。これにより、アーム15の長孔15c左端部が、通常はピン17に当接するように付勢されている。
【0025】
上述した構成において、表示部を開閉すれば表示固定部10が回動し、それに連動して軸12が回転する。連動カム部5は、軸12が貫通する中央に位置した略円筒形のカム8と、軸12と嵌合して左側に固定された略円筒形のカム13と、軸12と嵌合して右側に固定された略円筒形のカム14とより構成されている。ここで、上述したように、カム13とカム14は軸12の回転に連動して回転するが、カム8は軸12に対して回転摺動方向に自在であり、直接には連動しない。カム8は、軸12の回転とは無関係であって回転せず、カム13とカム14の噛み合わせにより、軸12に沿って左右に往復運動をする。
【0026】
今、表示部が閉じた状態であるとすると、図1に示すように、カム8はカム14に噛み合うように接している。具体的には、カム8のカム山8aとカム14のカム山14aが噛み合っている。一方、カム8とカム13は、カム山8bとカム山13aのそれぞれ頂上で当接している。そして、カム8は往復運動する範囲内で右に位置する。カム8に一体化された突起部8gも、当然右の位置にある。
【0027】
表示部が開き始めて、軸12が回転すると、カム8とカム14の噛み合っていたカム山8aとカム山14aが徐々にねじれて、噛み合いが外れて行く。それとは逆に、カム8のカム山8bとカム13のカム山13aは噛み合い始めて行く。それに伴い、カム8は左の方向に移動する。
【0028】
表示部が所定の角度開いて、後述するキートップが浮き上がったときの状態では、カム8とカム14は、カム山8aとカム山14aのそれぞれ頂上で当接している。一方、カム8のカム山8bとカム13のカム山13aは噛み合っている状態であり、カム8が往復運動する範囲内で左に位置する。カム8に一体化された突起部8gも、当然左の位置にある。
【0029】
上述したように、カム8の突起部8gは、カム8と同じ動きをし、本発明の実施形態では例えば3mm移動する。カム8より手前側に突出する突起部8gの動きは、これに嵌合する切り欠き部15aによってレバー15に伝達され、ピン17を支点としてレバー15が左回転することにより、切り欠き部15bで拡大される。
【0030】
そして、この動きがピンpに伝達され、中間シート22が当初の状態から右方向へ例えば4mm移動することとなる。この後、表示部が更に開いても、カム14のカム山14aはカム8のカム山8aと擦り合わされるのみであり、またカム8とカム13の回転方向の噛み合い範囲には余裕が設けてあるので、カム8は移動せず、従って中間シート22も位置を保ったままとなる。
【0031】
なお、図1に示すように、例えば中間シート22右方に、本体側より上方へ突設する突出部18が設けられている。これは、表示部が開いてレバー15が左回転したときに、中間シート22をこの突出部18に当接させることにより、中間シート22を所望の位置に確実に位置決めするものである。これについては後述する。但し、突出部18に中間シート22を当接させる構成には限定されるものではなく、例えばレバー15を当接させるようにしても良いし、その他のストッパー構造としても良い。また、中間シート22のストロークの一端(本実施形態では右端)で中間シート22が所望の位置に確実に位置決めされる構成としても良い。この場合は突出部18は不要である。突出部18がないとき、本実施形態のキースライド機構の平面図は図7のようになる。ここでは上記表示部が閉じたときの状態を示している。
【0032】
図3は、本実施形態で用いられるキーボードのキー構造を模式的に示す正面図である。同図(a)は表示部が開くことによりキーが立ち上がった状態、同図(b)は表示部が閉じることによりキーが沈み込んだ状態をそれぞれ示している。上記本体には、同図に示すように、上記キーボードの土台を成すキーベース21が固定されており、その上には、中間シート22が重畳されている。また、これらの上には、例えば樹脂成形されたキートップ23が、第1のアーム24と第2のアーム25とを組み合わせたリンク部材Lにより下方より支持されつつ、キーとして配設されている。これによりキーボードが形成される。
【0033】
第1のアーム24と第2のアーム25は、正面から見て略X字状に交差連結されてリンク部材Lを構成し、中心軸X周りに互いに回動自在となっている。そして、第1のアーム24の下端に設けられた軸24aは、キーベース21上面より突設する軸受21aと嵌合し、これにより第1のアーム24が回動自在に枢支されている。また、第1のアーム24の上端に設けられた軸24bは、キートップ23下面より突設する、長孔を有するスライド軸受23aと嵌合し、これにより第1のアーム24がキートップ23に対して回動自在並びに所定の範囲だけスライド自在に枢支されている。
【0034】
一方、第2のアーム25の下端に設けられた軸25aは、キーベース21上面より突設するスライド軸受21bと嵌合し、これにより第2のアーム25が回動自在に枢支されている。また、第2のアーム25の上端に設けられた軸25bは、キートップ23下面より突設する軸受23bと嵌合し、これにより第2のアーム25がキートップ23に対して回動自在に枢支されている。
【0035】
また、第1のアーム24の下部からは、正面から見て中央寄り斜め下方に板バネ状の押圧部24cが延びている。同図(a)に示す状態において、この押圧部24c直下の中間シート22には、いわゆるメンブレンスイッチ(不図示)が設けられている。そして、キートップ23が押し下げられたときに、押圧部24cの先端が中間シート22を押圧し、メンブレンスイッチがONとなる仕組みである。
【0036】
今、開いていた表示部が閉じられたとすると、上記キースライド機構の働きにより、同図(a)から(b)にかけて示すように、中間シート22が矢印Cで示す方向即ち左方向へとスライドする。そして、中間シート22に開けられた孔22aが押圧部24c直下に位置し、ここへ押圧部24cがはまり込む。このとき、リンク部材Lが折り畳まれ、キートップ23が沈み込むこととなる。
【0037】
逆に、閉じていた表示部が開かれたとすると、キースライド機構の働きにより、中間シート22が矢印Cで示す方向と反対方向即ち右方向へとスライドする。そして、中間シート22に開けられた孔22aが押圧部24cから離脱し、押圧部24cが中間シート22に乗り上がる。このとき、リンク部材Lが開かれ、キートップ23が立ち上がることとなる。なお、作図の都合上、同図では孔22aの移動距離を実際より大きく描いてある。
【0038】
図4は、本実施形態のキースライド機構の各部の移動距離を説明する平面図である。同図は表示部が閉じているときのキースライド機構の状態を示している。同図において、表示部が閉じた状態から開いた状態となったときの、カム8ひいては突起部8gの移動距離をDとおき、中間シート22上のピンpの動作距離をEとおく。また、ピンpの後述するオーバーストローク時の最大移動距離をFとおく。そして、ピンpについて、表示部が閉じた状態,表示部が開いた状態,及びオーバーストローク時の、それぞれの位置を起点(O点),動作点(P点),帰点(Q点)とおく。
【0039】
例えば上述したように、カム8の移動距離Dを3mmに設定して、ピンpの動作距離Eを4mmとした場合、各部品の寸法精度や組立精度のバラツキにより、この動作距離E=4mmが精度良く得られない場合がある。このような場合、キートップの確実なポップアップ動作によるキー操作時のクリック感及び接点接触状態を得ることは難しい。
【0040】
そこで、動作距離Eが本例の如く仮に4mm必要ならば、それ以上のオーバーストロークをかけることが、確実な動作を行う上で必要になる。本実施形態では、このオーバーストローク時の最大移動距離Fを例えば5mmとしている。そして、動作距離Eが4mmとなる位置、即ち上記動作点(P点)で中間シート22が上記突出部18に当接するようになっており、それ以上のオーバーストローク分は、上記バネ16によるキャンセル機構で吸収される。これについて以下に説明する。なお、上述したように、中間シート22のストロークの右端で中間シート22が所望の位置に確実に位置決めされるのであれば、突出部18は不要である。
【0041】
図5は、本実施形態のキースライド機構の動作を説明する平面図である。同図(a)は表示部が閉じている状態、同図(b)は表示部が或る程度開いた状態、同図(c)は表示部が完全に開いた状態をそれぞれ示している。また、図6(a),(b)は、それぞれ図5(b)のA部詳細図、図5(c)のB部詳細図を示している。
【0042】
まず、図5(a)に示す表示部が閉じている状態では、ピンpは起点(O点)に位置し、中間シート22は突出部18から離れている。次に、図5(b)に示す表示部が或る程度(所定の角度)開いた状態で、ピンpは動作点(P点)に位置し、中間シート22は突出部18に当接する。ここでは、A部で示したバネ16近傍は、図6(a)で示す状態となっており、レバー15の長孔15cの左端15caは、ピン17に当接したままである。
【0043】
最後に、図5(c)に示す表示部が完全に開いた状態では、中間シート22は突出部18に動作を規制されているため、ピンpは帰点(Q点)には到らず、動作点(P点)に位置したままとなる。そして、このときの動作点(P点)から帰点(Q点)までのオーバーストローク分を吸収するために、ピンpを中心としてレバー15を左回転させるトルクが生じる。
【0044】
即ちここでは、B部で示したバネ16近傍は、図6(b)で示す状態となっており、レバー15の長孔15cの左端15caはピン17から離れ、長孔15cの右端15cbはピン17に接近し、ピン17に押されてバネ16は撓んだ状態で釣り合っている。このようなキャンセル機構により、レバー15に生じたトルク、ひいては上記オーバーストローク分が吸収される。
【0045】
表示部が再び閉じ始めると、レバー15とピン17の位置関係は、バネ16の付勢力により、図6(a)の状態に戻る。そして、表示部が閉じて行くにつれてキースライド機構は図5(c)から(b)を経て(a)の状態に戻る。なお、レバー15の長孔15cの左端15caは、レバー15の長手方向の寸法誤差を吸収するために直線状となっており、長孔15cはD字形状となっているが、このような形状に限定されるものではなく、左端15caを例えば円弧状としても良い。また、バネ16は実施形態の形状に限定されるものではなく、コイルバネ,板バネ等、他の形状で同様の付勢力をもたらすものとしても良い。
【0046】
なお、特許請求の範囲で言う回動部材は実施形態におけるヒンジ部3に、摺動部材は中間シート22に、位置決め部材は突出部18に、軸部材はピン17にそれぞれ対応している。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、部品の寸法精度さらには組立精度のバラツキがもたらす悪影響を解消し、キーボードに過負荷を与えずによりスムーズで確実なキートップの昇降を可能とする、キーボード構造におけるキースライド機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキースライド機構の一実施形態を示す平面図。
【図2】本実施形態のキースライド機構を示す右側面図。
【図3】本実施形態で用いられるキーボードのキー構造を模式的に示す図。
【図4】本実施形態のキースライド機構の各部の移動距離を説明する図。
【図5】本実施形態のキースライド機構の動作を説明する図。
【図6】図5の部分詳細図。
【図7】突出部がないときのキースライド機構を示す平面図。
【符号の説明】
1
3 ヒンジ部
5 連動カム部
6 スライド量拡大レバー部
8,13,14 カム
9 軸受
10 表示固定部
11 連動カム支持部
12 軸
15 レバー
16 バネ
17 ピン
18 突出部
21 キーベース
22 中間シート
23 キートップ
24 第1のアーム
25 第2のアーム
L リンク部材
p ピン
Claims (4)
- 摺動部材を摺動させることでキートップが昇降する機能を備えたキーボードのキースライド機構であって、回動可能な回動部材と、前記回動部材による回動動作を移動動作に変換するカム部材と、前記カム部材で変換された移動動作を拡大させるレバー部材と、前記摺動部材の移動先の位置決めを行う位置決め部材とを備え、前記回動部材による回動動作を前記カム部材により移動動作に変換し、この移動動作を前記レバー部材により拡大して、拡大された前記移動動作を前記摺動部材に与えることで前記キートップを昇降させるキースライド機構において、前記摺動部材が前記位置決め部材に当接した状態から、前記レバー部材が拡大された移動動作をするオーバーストローク分のトルクを吸収する機構を設けたことを特徴とするキースライド機構。
- 前記トルクを吸収する機構は、前記レバー部材に取り付けられたバネ部材と、前記レバー部材の回転中心に開けられた孔と、該孔を貫通して前記レバー部材を回動自在に枢支する軸部材とを備え、前記孔は前記拡大された移動動作の方向に長手の長孔であって、前記バネ部材は該長孔の一端が前記軸部材に当接する方向に前記レバー部材を付勢することを特徴とする請求項1に記載のキースライド機構。
- 前記バネ部材は線状の弾性材料を略リング状に巻回し、その一端を前記軸部材に係合し他端を前記レバー部材に係合してなることを特徴とする請求項2に記載のキースライド機構。
- 前記長孔の一端が直線状であることを特徴とする請求項2に記載のキースライド機構。
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