JP4208369B2 - 画像処理装置及び画像処理方法、記憶媒体及び画像処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、記憶媒体及び画像処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー原稿画像をデジタル的に読みとって複写画像を生成するシステムとして図10に示すようないわゆるカラー原稿複写装置が知られている。
【0003】
図10において、1001はイメージスキャナー部であり、原稿を読み取り、ディジタル信号処理を行う部分である。また、1002は、プリンタ部であり、イメージスキャナー1001によって読み取られた原稿画像に対応した画像を用紙にフルカラーでプリント出力する部分である。イメージスキャナー1001において、1000は鏡面圧板であり、原稿台ガラス(以下プラテン)1003上の原稿1004は、ランプ1005で照射され、ミラー1006、1007、1008に導かれ、レンズ1009によって、3ラインの個体撮像素子センサ(以下CCD)1010上に像を結び、フルカラー情報としてのレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの画像信号が信号処理部1011に送られる。なお、1005、1006は速度vで、1007、1008は速度1/2vでラインセンサの電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に動くことによって、原稿全面を走査(副走査)する。ここで、原稿1004は、主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で読みとられる。
【0004】
信号処理部1011においては、読み取られた画像信号を電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各成分に分解し、プリンタ部1002に送る。また、イメージスキャナ1001における一回の原稿走査につき、M、C、Y、Bkのうちひとつの成分がプリンタ部1002に送られ、計4回の原稿走査によって、一回のプリントアウトが完成する。
【0005】
イメージスキャナ部1001より送られてくるM、C、Y、Bkの各画素信号は、レーザードライバー1012に送られる。レーザードライバー1012は、送られてきた画像信号に応じ、半導体レーザー1013を変調駆動する。レーザー光は、ポリゴンミラー1014、f−θレンズ1015、ミラー1016を介し、感光ドラム1017上を走査する。ここで、読取と同様に主走査および副走査ともに600dpi(dots/inch)の解像度で書込まれる。
【0006】
1018は回転現像器であり、マゼンタ現像部1019、シアン現像部1020、イエロー現像部1021、ブラック現像部1022より構成され、4つの現像部が交互に感光ドラム1017に接し、感光ドラム上に形成された静電現像をトナーで現像する。
【0007】
1023は転写ドラムであり、用紙カセット1024または1025より供給される用紙をこの転写ドラム1023に巻き付け、感光ドラム上に現像された像を用紙に転写する。
【0008】
この様にして、M、C、Y、Bkの4色が順次転写された後に、用紙は、定着ユニット1026を通過して、トナーが用紙に定着された後に排紙される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したような従来例では、基本的に原稿を読みとるイメージスキャナー部と複写画像を出力するプリンター部が同期して動作する必要がある。すなわちCCDセンサーで読みとられたR、G、Bの画像信号は一画素ごとに信号処理部で処理されてM、C、Y、Bkに変換され、逐次プリンター部に送られて感光ドラム上にレーザーで書き込まれ複写画像を形成する。
【0010】
ただし、この従来例では画像形成を行うのはM、C、Y、Bkのいずれかひとつであり、各々について画像形成プロセスを繰り返すので、原稿の読み取りは4回連続に行われる。
【0011】
また原稿の読み取り動作は必ずしも4回連続して行う必要はなく、一回だけ読み取った画像データを一時記憶手段に記憶してM、C、Y、Bkそれぞれの画像形成に同期して記憶された画像データを読み出し出力する構成も考えられる。
【0012】
しかしながら、前者の構成においては画像データを記憶手段に記憶しておく必要は無いが、スキャナー部とプリンター部は同時に動作する必要があるため、例えばプリンター部の定着ユニット(通常の加熱定着タイプの場合)のヒーター部が十分に加熱されていない場合はプリンター部が待機状態となっているため、複写動作および原稿読みとり動作を行うことができない。
【0013】
また複数原稿を各々複数部複写する場合、一つの原稿を複数部出力に対応して複数回読みとるという動作を行う必要があり、これを複数原稿のそれぞれについて行わねばならなず、そのために使用者が費やさなければならない時間は多大なものとなる。
【0014】
後者の構成ではスキャナー部はプリンター部とは同期せずに原稿読みとり動作を行うことができ、また複数部の複写出力の場合も原稿読みとり動作はひとつの原稿に対し1回行えばよいことになる。しかし、記憶手段に蓄積すべき画像データの容量は非常に膨大となるため、複数の原稿画像を同時に記憶するのは困難である。従って複数の原稿画像を一括して読み込み、読み込み終了後にページの入れ替えや複数原稿画像の合成出力、などを実現させようとすると膨大な記憶装置が必要となり現実的ではなくなる。また記憶されている画像データの拡大、縮小によるレイアウト合成などを行うことはできない。
【0015】
又、画像データの特徴を考慮して最適な処理を行おうとした場合、画像の特徴を検出する必要がある。この特徴データを用いた処理を拡大、縮小によるレイアウト合成を行う場合に画像の取り扱いを容易にし、高品位な画像出力を行う点は十分検討されていなかった。
【0016】
本発明は上述の点を解決することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、カラー画像データを入力する入力手段、前記カラー画像データを記憶する記憶手段、前記カラー画像データから前記カラー画像データに応じた画像の特徴を示すフラグデータを生成する生成手段、前記生成されたフラグデータを記憶するフラグデータ記憶手段、前記記憶手段から読み出されたカラー画像データを指定した倍率で画素密度変換する第1の画素密度変換手段、前記フラグデータ記憶手段から読み出されたフラグデータを前記指定した変倍率と同一倍率で画素密度変換する第2の画素密度変換手段、前記画素密度変換された画像データと前記画素密度変換されたフラグデータを画素単位に対応づけてプリンター部に出力する出力手段とを有し、前記第2の画素密度変換手段は、前記指定した変倍率が拡大の場合に第1の変換方法により画素密度変換し、前記指定した変倍率が縮小の場合に第2の変換方法により画素密度変換し、前記第1の画素密度変換処理手段は、注目画素近傍の複数画素から補間処理を行なう処理であり、前記第2の画素密度変換処理による前記第1の変換方法は、注目画素の最近傍画素を用いる処理であり、前記第2の変換方法は、注目画素近傍の複数のフラグ値の論理演算処理であることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
〈第一の実施の形態〉
以下本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
【0019】
図1は第1の実施の形態の構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
(読みとり部)
複写すべき原稿は101のスキャナー部の図示しない原稿載置台ガラス上におかれ読みとられる。スキャナー部は図10と同様、カラーの3ラインCCDにより原稿画像を画素ごとにデジタル的に読みとって入力画像処理部102にカラー画像信号を転送する。入力画像処理部102ではスキャナー部から送られてきたRGBのカラー画像信号に対しシェーディング補正、CCDライン間補正、色補正など、周知の画像処理を行う。
【0021】
103は102から出力される入力画像処理済みのカラー画像信号に対し像域分離処理を行うブロックであり、入力画像の画素ごとに写真領域、文字領域、網点領域、といった画像の特徴を検出して、像域ごとの属性を表すフラグデータを生成する像域分離処理部である。
【0022】
(像域分離処理)
ここで像域分離処理部について説明する。像域分離処理とは、原稿画像に含まれる画像の特徴に応じて最適な画像処理を施すために原稿画像の特徴を抽出して像域属性を示す信号(以後フラグデータという)を生成するために行われる。例えば原稿中には連続階調のフルカラーの写真領域や、黒一色の文字領域、あるいは新聞印刷のような網点印刷領域など、様々な画像領域が混在しているのが普通である。これらを一律に同一の画像処理手順で処理して出力すると、その出力画像は一般に好ましい画質が得られない場合が多い。そこで第1の実施の形態では102から入力されるカラー画像信号を用いて原稿画像中に含まれる画像データの属性を検出し、それを識別するためのフラグデータを生成する、具体的な手順を図2に示す。
【0023】
図2は原稿画像の一例を示すものであり、ひとつのページ201内に銀塩写真領域202、黒文字領域203、網点印刷領域204、カラーのグラフィック領域205が混在している様子を示している。ここでスキャナー部はこの原稿画像をカラーのCCDセンサーによって走査し画素ごとのカラーデジタル信号(R、G、B)として読み取る。読み取られたRGB信号は画像の領域ごとの属性によって決まる特徴を持っている。各領域においてCCDセンサーが読み取る信号値(R、G、B)のうちのG信号をCCDの並び方向にプロットしてみると例えば図3のようになる。図3で302、303、304、305はそれぞれ図2の202から205までの領域を読み取った場合に特徴的に現れる特性の一例であり横軸はCCDならび方向の画素位置、縦軸は読みとり信号値で上に行くほど白に近い(明るい)画素であることを表している。
【0024】
各領域ごとの特徴を説明すると、202は銀塩写真領域であるので、読み取られる画像信号の位置による変化302は比較的ゆるやかであり、近距離の画素値の差分312は小さな値となる。303は黒文字領域203の特性であり、白地に黒い文字が書かれているので、その信号値のプロットは白地部313から文字部323にかけて急激に読み取り信号値が変化するような特性となる。304は網点領域204の特性であり、網点領域というのは白地314とその上に印刷された網点324との繰り返しとなるので信号値のプロットしたものは図のように白と黒が高い頻度で繰り返す特性となる。305はグラフ領域のプロット図である。グラフィックのエッジ部315では信号値は急激に小さくなり、内部の色塗り部分316は一定の中間レベルがつづくような特性となる。
【0025】
これらの属性を判定するためには、上で説明したような領域ごとの特徴を読みとり信号値から検出して判定するようにすればよい。そのためには注目画素近傍での画像データの変化量あるいは変化量の一定区間内の積算値、周辺画素の輝度値(白地か色のついた背景か)、一定区間内の画像データの白から黒への変化の回数、など周知の手法を用いた特徴抽出手法を用い、それに基づいた周知の属性判別手法を用いることができる。
【0026】
このようにして図2の原稿画像に対して生成された属性フラグの一例を図4に示す。ここでは属性フラグ(フラグデータ)として文字フラグ、図形フラグ、網点フラグの3種類のフラグを生成しているが、もちろんそれに限定されるわけではない。図4(a)は文字フラグであり図中の黒で表す画素が文字属性を持つ画素であり文字フラグ=1が生成され、それ以外は文字フラグ=0(図では白い部分)となっている。(b)は図形フラグであり、グラフィック領域で1となりそれ以外で0となる領域、(c)は網点フラグであり網点領域で1となりそれ以外で0となるような領域を表している。
【0027】
銀塩写真領域はこれらのいずれにもあてはまらないので、すべてのフラグが0となり、図4には表れてこないことになる。
【0028】
以上の像域分離処理により画像の属性が画素ごとに検出されると、次に104の第二の入力画像処理部で画像属性に応じた画像処理が施される。ここでは例えば文字領域に対して画像の高周波成分を強調して文字の鮮鋭度を強調し、また網点領域に対してはいわゆるローパスフィルター処理を行い、デジタル画像に特有のモアレ成分を除去する、といった処理を行うことができる。これらの処理の切り替えを103で生成した属性フラグデータに応じて画素単位で行うことが可能である。
【0029】
(画像データの蓄積)
スキャナーで読みとられ、種々の入力画像処理を施された画像データ、および上記の手順で生成された属性フラグデータはそれぞれ105の画像メモリー1および106のフラグメモリー1に一時的に記憶される。このとき画像データおよび属性フラグデータは原稿1ページ分全体もしくは1ページのうちのあらかじめ決められたサイズ分の部分画像として記憶される。この記憶の構成により、1ページのデータの量に応じて種々に変化する圧縮処理にかかる時間に相応する期間画像データとフラグデータを保持することが可能となる。
【0030】
一時記憶された画像データおよび属性フラグデータは、データ圧縮部109で圧縮されて記憶装置110に記憶される。110は半導体記憶装置のような高速の記憶手段であることが望ましい。またデータ圧縮部では画像データ、およびフラグデータに対し、それぞれ異なるデータ圧縮処理を行う。すなわち、画像データに対してはJPEG圧縮のような非可逆であるが、人間の視覚特性を考慮して画像の劣化が目立たなくするような高能率の圧縮処理をほどこし、またフラグデータに対しては属性フラグ情報の欠落や変化が発生しないためJBIG圧縮のような可逆圧縮方式を用いるのが望ましい。かかる構成によりデータの種類に応じて適切な圧縮方法を用いたデータ量の削減を実現できる。このようにして110には異なる圧縮処理を施された画像データおよびフラグデータが原稿1ページ単位で記憶される。記憶されたデータまたは111の補助記憶装置に書き出す場合もある。補助記憶装置は望ましくはハードディスクのような、記録スピードは若干遅いが大容量のデータの記憶が可能な媒体を用いる。以上の様に半導体記憶装置に加え、ハードディスクの様な補助記憶装置を用いることで多数ページの原稿画像を効率的に記憶蓄積することができるようになる。
【0031】
(画像データの読み出し)
110または111に記憶された画像データおよび属性フラグデータはプリント部から出力するために読み出され、それぞれ112のデータ伸長部で圧縮データの解凍が行われ、それぞれ114の画像メモリー2および115のフラグメモリー2に書き出される。このとき113a,113bの画素密度変換部では記憶された画像データの画素密度の変換を行う場合がある。これは、例えば蓄積された画像データを拡大、または縮小してプリント出力したい場合、あるいは蓄積された複数ページを1枚のプリント出力用紙上にレイアウト合成して出力したい、といった場合に使用される。
【0032】
複数ページの合成出力は例えば図5に示すような場合である。すなわち2つの原稿画像501と502があらかじめ記憶装置に記憶されているものとする。これを原稿と同一サイズの出力用紙に2枚を合成して503のようなプリント出力を得ようとする場合である。そのために、まず記憶されている画像データ501を記憶手段から読み出し圧縮データの解凍を行い、113aの画素密度変換部1で所定の倍率で縮小し、かつ図示しない回転処理部で左90度回転して画像メモリー2の所定の領域に書き込まれる(図5の504に相当する領域)。
【0033】
次に画像データ502を読み出し、同様に解凍、解像度変換、回転処理を行い画像メモリー2の505に相当する領域に書き込む。このとき、原稿A,Bに対応するフラグデータも同様に解凍、解像度変換、回転処理(画像データと同一倍率、同一回転処理)されフラグメモリー2の対応する領域に書き込まれるが、この場合の画素密度変換処理(縮小処理)は第2の画素密度変換部113bで実行される。この様に画像データを対応するフラグデータに対し同様に変倍、回転処理するのでレイアウトプリントを行う際にもフラグデータに従った後述する適応的な画像処理が可能となる。ここで画像データの画素密度変換とフラグデータの画素密度変換はそれぞれ異なる手法を適用することが望ましい。例えば画像データに対しては線形補間法や双3次スプライン補間法などの周知の手法を適用することができる。またフラグデータの画素密度変換には最近傍処理法などの2値データに適した画素密度変換方法を用いることが望ましい。詳細については後述する。
【0034】
(画像データの出力)
画像メモリー2およびフラグメモリー2に一時的に記憶された画像データおよびフラグデータは所定のサイズに達すると出力画像処理部116に転送される。出力画像処理部116ではRGBの画像データをプリント出力するための周知の画像処理、すなわち輝度濃度変換、RGB→CMYK変換、ガンマ補正、2値化処理、などといった処理を行い、プリンター部117へ転送する。プリンター部117は転送されたCMYKの画像信号によってレーザー駆動し図10と同様の手順で転写紙上に可視画像を形成し出力する。
【0035】
ここでフラグメモリー2に記憶されたフラグデータは出力画像処理部116の処理の切り替えに用いられる。すなわち写真領域と文字領域ではRGB→CMYK変換のマスキング係数を異ならせることにより出力画像の画質を向上させることができる。例えば文字領域すなわち文字フラグ=1である画素に対しては黒文字が黒トナーのみで再現できるような変換係数(すなわち画像データが無彩色の場合はC、M、Y=0となるような係数)を適用し、それ以外では無彩色であってもC、M、Yが0とならず、深みのある黒を再現できるような係数を用いることができる。
【0036】
また2値化処理においてはC、M、Y、K信号を周知の誤差拡散処理やディザ処理を用いて0または1の2値信号に変換するが、このとき文字領域やグラフ領域では出力画像の鮮鋭度が優先されるので誤差拡散処理を適用し、写真や網点領域では階調性が重視されるのでディザ処理を適用する、というように2値化処理の内容を、やはり属性フラグデータにより切り替えることで出力画像の画質向上を図ることができる。
【0037】
このときの構成のブロック図の一例を図6に示す。114の画像メモリー2、115のフラグメモリー2、およびプリンター部117は図1と同一である。画像メモリー2から読み出されたRGBのカラー画像データは並列に601,602の2つのRGB→CMYK変換回路に入力され、それぞれ独立にCMYK画像信号に変換される。601、602の出力はフラグメモリーのフラグ信号に従って603のセレクタ1でいずれか一方が選択される。601に文字領域用の変換係数が設定されており602にそれ以外の場合の係数が設定されている場合にはフラグメモリー内の文字フラグ=1のときに601の出力を選択し、文字フラグ=0のときは602の出力を選択する。
【0038】
セレクタ1の出力は、やはり並列に2系統に分離され、一方は604のガンマ補正回路1と606の誤差拡散2値化処理部を通って2値のCMYK信号として608のセレクタ2に入力される。もう一方は605のガンマ補正回路2、607のディザ処理2値化回路を通ってやはり2値のCMYK信号として608のセレクタ2に入力される。
【0039】
セレクタ2では606または607のいずれかの出力を選択してプリンター部へ転送するが、ここでは文字領域およびフラグ領域で誤差拡散処理を選択するので、文字フラグ=1または図形フラグ=1の場合セレクタ2は606の出力を選択し、そうでない場合は607の出力を選択するようにすればよい。
【0040】
(画像データの画素密度変換)
ここで、前述した画素密度変換方法について詳細に説明する。ここではデータ伸長部で伸長された画像データおよびフラグデータを113aおよび113bの画素密度変換部で拡大もしくは縮小して画像メモリー3とフラグメモリー2に出力する場合の処理方法について説明する。
【0041】
図7(a),(b)はそれぞれ、読みとられた画像データおよびフラグデータをプロットしたものである。横軸は画像読みとり部のCCDの配列方向の画素位置(座標)を表しており、縦軸はそれぞれ画像の画素値(0〜255)、およびフラグ値(0または1)を表している。また(a)はRGBのうちの例えばG信号、(b)は複数のフラグデータのうちの例えば文字フラグを示しているものとする。
【0042】
図中の白丸701および702がそれぞれ1画素分のデータを示しており、本実施の形態ではリーダー部の読みとり解像度が600dpiであるので各画素の間隔は原稿上に換算すると600dpi相当(25.4/600mm)となっている。
【0043】
このような画像データを例えば0.75倍に縮小する場合を考える。(図5の例では縮小率に相当する。)その場合、図中の点線の矢印で示される位置の画素値を新たに生成して縮小後の画像データを作る必要がある。これは原画像データの3画素から縮小間引きして2画素分のデータを生成することに相当する。従って縮小後の座標が703の位置に来る場合は原画像データをそのまま縮小後画像の画素値とすればよいが、704の位置となる場合は前後の画素値から演算生成する必要が生じる。そのため線形補間法が用いると、縮小後の画素値は図7(c)の黒丸印となる。図中705の画素値は座標位置703に対応するので、もとの(a)の対応する座標の画素値そのものであるが、706の画素値は座標704に対応するため、その位置を挟む両隣の原画素値2画素の平均値に置き換えられている。
【0044】
以上の処理は113aの画素密度変換部1で実行される。
【0045】
次にフラグデータの縮小処理について説明する。フラグデータの解像度は画像データの解像度と同一であるため、図7(b)は図7(a)と同じ画素配列を示しており、0.75倍に縮小する場合の縮小後データに対応する画素座標は(a)と同様(b)でも点線の矢印で示された位置となる。従って座標707に対応する画素値709はもとの(b)の対応する座標の画素値そのものであるが、座標708に対応する画素値710は両隣の画素値(フラグ値)から演算して生成する必要がある。
【0046】
しかし、(b)のフラグデータは0または1の2値情報であるため、上述の線形補間法を適用することはできない。そこで、ここでは縮小後の画素位置に対応する原画像座標のうち最も距離の近い位置にある画素値(フラグ値)を縮小後の画素値として用いる構成とすればよい。これは最近傍法縮小処理を呼ばれるものである。
【0047】
ただし単純にこの方法を用いると(b)で1であった画素711に対応する画素値が(d)で710となりは消滅してしまっていることがわかる。そこで、ここでは縮小後画素位置の両隣のフラグ値の論理和をもって縮小後のフラグ値とするような処理方法をとることにする。こうすることにより縮小後の画素値は712のようになり縮小前のもとのフラグ情報が縮小処理により欠落してしまうのを防ぐことができる。
【0048】
以上の処理は113bの画素密度変換部2で実行される。
【0049】
以上のようにして生成された縮小画像データおよび縮小フラグデータを図1の画像メモリー2およびフラグメモリー2に格納すれば、先に説明した手順により縮小されたプリント出力を得ることができる。
【0050】
ここで、画像データおよびフラグデータを1次元の配列として説明したが、線形変倍法は周知のとおり2次元データに拡張可能であり、またフラグデータの変倍処理も2次元に拡張可能である。図8はフラグデータの変倍方法を2次元に拡張した場合を説明するための図である。図中801の白丸で表されるデータは変倍前の原画像のフラグデータを示しており、0または1の値を持っている。802の黒丸は変倍(この場合縮小)後に生成すべき画素位置を示しており、やはり0または1の値をとる。ここで注目画素位置が803であったとすると、803を囲む4つの原画像フラグデータ804のすべてを用いて論理和処理することにより変倍後フラグデータ803を得ることができる。すなわち804で示される4画素がすべて0だった場合は注目画素に0を生成し、それ以外の場合は1を生成する。
【0051】
ここで、変倍後の画素値の生成を近傍画素の倫理和処理で生成するように説明したが、もちろんそれに限定されるわけではなく、例えば最近傍の一画素だけを検出してそれと同じ値に設定する、あるいは周辺近傍画素の1である画素数をカウントし、カウント値が所定の値以上であれば変倍後画素値を1に設定する、など種々の方法が考えられる。
【0052】
また変倍率に応じて変倍後画素値の生成方法を変えることも可能である。例えば変倍率が1以下(縮小)の場合は注目画素近傍の複数画素の論理和によって注目画素値を生成し、変倍率が1以上(拡大)の場合は注目画素最近傍の1画素の画素値をそのまま注目画素値として生成する、といった処理も可能である。
【0053】
またフラグの属性に応じて変倍後画素値の生成方法を変えることも可能である。本実施形態では文字属性、図形属性、網点属性の3通りのフラグを示したが、縮小時に論理和処理が適するか、近傍1画素のみへの置き換えが適するか、は属性ごとに異なっている場合もある。従って例えば文字フラグ、図形フラグは論理和処理で縮小し、網点フラグは再近傍画素値への置き換え処理で縮小するようにすれば、網点判定精度が十分でない場合の誤判定フラグを縮小処理時に取り除くような効果が期待できる。又、周辺近傍画素のフラグデータが1である画素数をカウントし、カウント値が所定値以上であれば変倍後の画素を1とする方法を網点フラグに用いると、誤判定で誤って網点領域以外で、網点フラグ=1となっても周辺には網点フラグが存在しないのでカウント値が所定以上とならず、誤判定の影響をなくせる。
【0054】
又、操作部にフラグデータの補間方法を切り変えるマニュアル切換部及び、サンプルプリント(サムネールプリント)を出力させるサンプル指示部を設け、実際のプリントをサンプル出力指示に応じて行わせてから、マニュアル指示で補間方法を操作者に選択させる構成としてもよい。またさらに画素密度変換におけるサンプリング座標にオフセットを持たせるような処理も可能である。図9はその場合の処理を説明する図である。
【0055】
図9(a)は図7(a)と同じく、画像データの画素密度変換を説明する図であるが、画素密度変換後の画素位置に相当する→の開始位置が903で示されるようにΔXだけシフトしている。矢印の間隔は図7と同一である。
【0056】
このようにすることで、図7のように、もともとの画素値がそのまま出力される場合と、原画素値を補間して出力される場合とが交互に発生してしまうことがなくなり、全ての出力画素値が近傍隣接画素間の補間演算で生成されるので出力画質が向上する場合がある。
【0057】
このように第1の画素密度変換手段でサンプリング位置にオフセットを持たせた場合には、第2の画素密度変換手段にも同一のオフセット値ΔXを設定する必要がある。これを図に示したのが図9(b)であり、出力画素位置の開始位置907が、(a)と同様にΔXだけシフトされている。
【0058】
この場合は出力画素位置と原画素位置の距離関係がずれるので、論理和演算される両隣りの画素は図7とは異なるものとなり、画像データの画素密度変換画素とフラグデータの画素密度変換画素との対応位置関係は良好に保たれる。
【0059】
〈他の実施例〉
以上の説明では図1のスキャナー部101からの画像データの流れについて説明したが、同様に外部通信路119から通信インターフェース118を介して入力される画像データに対しても第1の実施形態の処理を適用できる。
【0060】
119から送られてくる画像データとして代表的なものはいわゆるPDL(ページ記述言語)で記述された画像データである。ここで入力されるPDLデータは画像を記述するコマンド群であって、それを解釈してスキャナー読みとり画像と同様のビットマップデータに変換すればそのまま適用可能である。
【0061】
すなわち118から入力されたPDLデータはインタープリンター108でディスプレーリストと呼ばれる中間言語形式に変換される。このディスプレーリストを107のRIP(ラスター・イメージ・プロセッサー)に送り、ビットマップデータに展開する。展開された画像データは105の画像メモリー1に記憶されるが、このときRIP107は同時に展開した画像データの属性情報をフラグデータとして生成して106のフラグメモリー1に記憶させる。
【0062】
ここでは第一の実施の形態で説明したような画像データを参照した像域分離処理によってフラグデータを生成する、という必要はなく、RIPに入力されるPDLデータがその部品ごとに保持している属性情報(写真であるとか文字やグラフィックである、など)を参照して、展開画像の対応する画素のフラグデータを生成するようにすればよい。
【0063】
つまり文字部品を生成するPDLコマンドがRIPに入力されたら、RIPはこの文字データのビットマップ画像を生成すると同時に、文字が生成された領域に対応するフラグデータとして文字フラグ=1を生成すればよいのである。以上により画像データおよびフラグデータが生成されたら、それ以降の処理は第一の実施形態と全く同一に扱うことができる。
【0064】
〈本発明の他の実施形態〉
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれるし、前述のプログラムが記憶された記憶媒体も上述の実施形態に含まれる。
【0065】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0066】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限られず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同そて、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、画像の扱いを容易にし、ユーザーに多大な負担を強いることなく、高品位な画像出力を可能とするデータ出力を行える上任意の変倍率で画像生成することが可能になる。又、画像記憶容量も記憶するデータの種類で好適に決めることができる。更には、画素密度変換処理を適応的に行える上、画質の向上をも実現できる。
【0068】
またさらに原稿画像をスキャナーで読み込んでプリント出力する場合と、PDL(ページ記述言語)を用いたプリント画像を出力する場合とで同一の処理が可能となり、画像を構成する個々の部品に対して最適な画像処理を任意の変倍率で施すことができ、いずれの場合においても高画質な出力画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に適用される原稿画像の一例である。
【図3】本発明の像域分離処理の一例を説明する図である。
【図4】本発明によるフラグデータの一例を説明する図である。
【図5】本発明によるレイアウト合成出力の一例を説明する図である。
【図6】本発明の出力画像処理構成の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明の画素密度変換方法の一例を説明する図である。
【図8】本発明の画素密度変換方法の2次元での処理の一例を説明する図である。
【図9】本発明の画素密度変換方法におけるオフセット処理の一例を説明する図である。
【図10】従来のカラー画像複写装置を説明する図である。
Claims (18)
- カラー画像データを入力する入力手段、
前記カラー画像データを記憶する記憶手段、
前記カラー画像データから前記カラー画像データに応じた画像の特徴を示すフラグデータを該画像の画素ごとに生成する生成手段、
前記生成されたフラグデータを記憶するフラグデータ記憶手段、
前記記憶手段から読み出されたカラー画像データを指定した倍率で画素密度変換する第1の画素密度変換手段、
前記フラグデータ記憶手段から読み出されたフラグデータを前記指定した変倍率と同一倍率で画素密度変換する第2の画素密度変換手段、
前記画素密度変換された画像データと前記画素密度変換されたフラグデータを画素単位に対応づけてプリンター部に出力する出力手段とを有し、
前記第2の画素密度変換手段は、前記指定した変倍率が拡大の場合に第1の変換方法により画素密度変換し、前記指定した変倍率が縮小の場合に第2の変換方法により画素密度変換し、
前記第1の画素密度変換処理手段は、注目画素近傍の複数画素から補間処理を行なう処理であり、前記第2の画素密度変換処理による前記第1の変換方法は、注目画素の最近傍画素を用いる処理であり、前記第2の変換方法は、注目画素近傍の複数のフラグ値の論理演算処理であることを特徴とする画像処理装置。 - 前記フラグデータは文字フラグ、図形フラグ、網点フラグであることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記画像の特徴とは注目画素近傍の画像データの変化であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記読み出されたフラグデータに応じて前記読み出された画像データに画像処理が施されることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記フラグデータが文字フラグの場合、前記画像データに鮮鋭度強調が施されることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
- 前記フラグデータが網点フラグの場合、前記画像データにローパスフィルタ処理が施されることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
- 前記画像データは、前記記憶手段による記憶の前に人間の知覚特性を考慮して画像の劣化が目立たなくする非可逆圧縮が施されることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記フラグデータには、前記フラグデータ記憶手段による記憶の前に可逆圧縮が施されることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記入力される画像データは圧縮される前に、画像の1頁分もしくは予め決められたサイズ分の部分画像として一時的に記憶されることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
- 前記画像データ記憶手段及びフラグデータ記憶手段は、高速にデータ処理できる記憶媒体と記録スピードは遅いが大容量のデータ記憶が可能な記憶媒体を用いることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記解凍された画像データとフラグデータ双方に回転処理、レイアウト合成処理の少なくとも1つを行なう画像処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記画像データに対する解像度変換には、線形補間法もしくは双3次スプライン補間のいずれかを用いることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記フラグデータに対する解像度変換には、2値データに適した解像度変換を行なうことを特徴とする請求項11記載の画像処理装置。
- 前記読み出された画像データの色変換処理では、前記読み出された文字フラグデータに応じて色変換係数の変更が行われることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
- 前記読み出された画像データの2値化処理では、前記読み出された文字フラグ及び図形フラグにより誤差拡散処理とディザ処理を切り換えることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
- 前記入力される画像データとは、頁記述言語で記述されたデータであり、前記フラグデータは、前記頁記述言語の属性情報であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- カラー画像データを入力する入力工程、
前記カラー画像データを記憶手段に記憶する記憶工程、
前記カラー画像データから前記カラー画像データに応じた画像の特徴を示すフラグデータを該画像の画素ごとに生成する生成工程、
前記生成されたフラグデータを記憶手段に記憶するフラグデータ記憶工程、
前記記憶手段から読み出されたカラー画像データを指定した倍率で画素密度変換する第1の画素密度変換工程、
前記記憶手段から読み出されたフラグデータを前記指定した変倍率と同一倍率で画素密度変換する第2の画素密度変換工程、
前記画素密度変換された画像データと前記画素密度変換されたフラグデータを画素単位に対応づけてプリンター部に出力する出力工程とを有し、
前記第2の画素密度変換工程は、前記指定した変倍率が拡大の場合に第1の変換方法により画素密度変換し、前記指定した変倍率が縮小の場合に第2の変換方法により画素密度変換し、
前記第1の画素密度変換処理手段は、注目画素近傍の複数画素から補間処理を行なう処理であり、前記第2の画素密度変換処理による前記第1の変換方法は、注目画素の最近傍画素を用いる処理であり、前記第2の変換方法は、注目画素近傍の複数のフラグ値の論理演算処理であることを特徴とする画像処理方法。 - コンピュータを請求項1に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ可読な記録媒体。
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