以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る画像処理装置2を備える画像形成装置100の構成を示すブロック図である。画像形成装置100(例えば、デジタルカラー複写機、又はコピア機能、プリンタ機能、ファイリング機能、ファクシミリ送信機能若しくはScan to E-mail機能等を備えた複合機)は、画像入力装置1、画像処理装置2、画像形成手段としての画像出力装置3、CPU等で構成され装置全体を制御するための制御部4、画像処理装置2で処理するデータ又は処理後のデータ等を外部へ送受信し、あるいは記憶する記憶部51を備えた送受信部5、液晶ディスプレイや操作ボタンなどを有する操作パネル(不図示)などを備える。
画像入力装置1は、例えば、CCD(Charged Coupled Device)ラインセンサを備え、原稿から反射した光をR、G、B(R:赤、G:緑、B:青)に色分解された電気信号に変換する。CCDラインセンサにより入力されたカラー画像信号(RGBアナログ信号)は、A/D(アナログ・デジタル)変換部201にてデジタル信号に変換され、シェーディング補正部202にて画像入力装置1の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みが取り除かれる。その後、入力処理部203においてRGB信号のそれぞれに対してγを補正する処理などが施される。
入力処理部203は、画像データを送受信部5へ出力する。
送受信部5は、入力された画像データをハードディスク又は半導体メモリなどの記憶部51に一旦記憶する。そして、一旦記憶された画像データに対して、後段の色補正処理を含む各処理を施す。また、一旦記憶された画像データは、所要のフォーマット(例えば、PDFファイルフォーマット)に変換後に、例えば、イーサーネットワーク(登録商標)やファクシミリなどのネットワーク網又は通信回線を介して外部接続装置又は通信回線へ送信される。
割付原稿判定手段としての割付原稿判定部204は、記憶部51から読み出された画像データ、あるいは入力処理部203より出力された画像データに対して、原稿の割付状態の判定処理を行う。すなわち、原稿画像が複数頁の原稿を割り付けた割付原稿を示す画像(割付原稿画像)であるか否かを判定する。
割付原稿(Nin1原稿)の判定は、例えば、以下の方法を用いることができる。すなわち、(1)操作パネルより、画像モード(例えば、分割画像出力モード)を選択するようにし、制御部4で割付原稿の判定を行う方法、(2)パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に接続されたスキャナの場合、スキャナの読み取り条件の設定画面(例えば、スキャナドライバの設定画面)において、原稿種別を選択するようにし、制御部4で割付原稿の判定を行う方法などがある。
また、割付原稿の別の判定方法として、原稿の主走査方向及び副走査方向のライン毎に、画素値が0から1、あるいは1から0に変化(反転)する反転回数(あるいは、エッジの数)の分布を求める方法がある。この場合、ライン毎の画素値の平均値や分散値を用いることもできる。そして、下記の条件を満たす場合に、割付原稿(例えば、2in1原稿)であると判定することができる。すなわち、(1)主走査方向の反転回数に関し、連続した分布が2つ存在し、分布と分布の間に空白領域が存在する。(2)副走査方向の反転回数に関し、行間があるので、所定の間隔毎に反転回数が現れる分布になる。(3)空白領域に関し、原稿のレイアウトに依存するものの、反転回数が所定値(例えば、20)以下のラインが、特徴量の分布の間に、20mm程度(解像度が300dpiの場合、170ライン程度)存在する。この場合、原稿周辺部の余白は除いて判定を行う(反転回数が所定値以下のラインに、最初のラインまたは最終のラインが含まれる場合は除く)。なお、割付数が4の場合は、主走査方向、副走査方向ともに空白領域が現れる。
さらに、割付原稿の別の判定方法として、後述する天地判別処理を利用して割付状態を判定することができる。図2及び図3は天地判別処理を用いた割付原稿の判定方法を示す説明図である。なお、図2及び図3の例は、原稿画像に2頁の原稿が割り付けられた(2in1原稿)場合(割付数が2)を示すが、他の割付数についても同様である。
まず、原稿の天地判別処理について説明する。原稿の天地判別処理は、例えば、OCR技術を用いて文字認識を行い、原稿内の各文字を切り出し、切り出した文字をパターン化する。
次に、文字パターンの特徴とデータベース化された文字パターン情報とを比較する。マッチングの方法としては、データベース化された文字パターンに切り出された文字パターンを重ね合わせ、画素ごとの白黒を比較し、全てが合致したときのデータベース化された文字パターンを入力パターンの文字であると判別する。全てが合致する文字パターンがない場合、マッチングする画素が最も多い文字パターンの文字であると判別する。なお、所定のマッチング割合に達しなければ判別不能と判断する。
そして、切り出された文字パターンを90°、180°、270°回転させ、上記処理を繰り返す。切り出された文字パターンの回転角毎の判別可能な文字数の比較を行い、判別可能な文字数が最も多い回転角を文字の方向、すなわち、原稿の天地方向とする。
図2(b)は、図2(a)に示すような異なる方向(天地方向が異なる)2頁の原稿が割り付けられた原稿画像に対して、上述の天地判別処理を行った結果を示す。このように1つの原稿内に天地方向が異なる複数頁の原稿が割り付けられている場合には、割付原稿の天地方向を特定することができない。すなわち、回転角が0°、90°でそれぞれ閾値以上の度数が得られているため、いずれの回転角が天地方向を示すのか特定することができない。
そこで、図3(a)に示すように、例えば、原稿画像の長辺方向を2等分して原稿画像を2つに分割し、分割したそれぞれの分割画像に対して、天地判別処理を行う。「いろは」で示す分割画像に対しては、図3(b)に示すように、回転角が0°で閾値以上の度数が得られ、天地方向が回転角0°に対応する方向であることが分かる。また、「ABC」で示す分割画像に対しては、図3(c)に示すように、回転角が90°で閾値以上の度数が得られ、天地方向が回転角90°に対応する方向であることが分かる。このように、分割画像それぞれについては、天地方向を特定することができるので、この原稿は、天地方向の混在した割付原稿であると判断することができる。なお、図2及び図3では、2in1の原稿を例にしたが、原稿を2分割しても天地方向を特定することができない場合には、さらに割付数を増やすことにより、Nin1割付も判定することができる。
原稿分割手段としての原稿分割部205は、原稿画像が割付原稿画像であると判定された場合に、割付単位に画像を分割する。例えば、1つの原稿画像に4頁の原稿が割り付けられている場合、割り付けられた各原稿に対応する画像を分割画像とし、原稿画像を4つの分割画像に分割する。原稿分割部205は、分割画像を送受信部5又は記憶部51へ出力する。そして、記憶部51に記憶された分割画像それぞれに対して、後述する原稿方向検知部206による原稿方向検知処理、原稿補正部207による原稿補正処理を施す。
図4は原稿分割の例を示す説明図である。図中、番号が付された画像は分割画像である。図4(a)は、番号1が付され、割付数が1、すなわち、非割付原稿であることを示す。図4(a)に示すように、割付原稿でない場合には、原稿分割処理は行わない。
一方、図4(b)は、番号1、2が付され、割付数が2である。すなわち、原稿画像には2頁の原稿(番号1、2)が割り付けられている。同様に、図4(c)は、番号1、2、3、4が付され、割付数が4である。すなわち、原稿画像には4頁の原稿(番号1、2、3、4)が割り付けられている。図4(d)〜(f)についても同様である。割付状態は、割付数で表わされ、2、4、6、8、9、…という数になり、主走査方向及び副走査方向に対して、原稿のサイズ(長さ)を等分することにより、原稿画像を割付数に応じた分割画像に分割する。
なお、原稿サイズ(長さ)を検知する方法としては、例えば、(1)画像入力装置1内に配置されたフォトトランジスタなどの光電変換素子により、原稿台に載置された、主走査方向、副走査方向の原稿サイズを検知する方法、(2)操作パネルよりユーザにより選択された原稿のサイズを検知する方法などがあり、いずれかの方法を用いればよい。
天地判定手段としての原稿方向検知部206は、記憶部51から読み出された分割画像それぞれに対して、天地方向を判定する。より具体的には、原稿方向検知部206は、各分割画像の天地方向が原稿画像(複数頁の分割画像で構成され、複数頁の原稿が割り付けられた原稿画像)の天地方向と一致するか否かを判定する。なお、天地方向は、上述の天地判別処理を用いて判定することができる。原稿方向検知部206は、判定結果(例えば、天地方向、割付状態など)を、原稿補正部207及び表示・印刷コマンド生成部208へ出力する。
原稿補正手段、変倍手段及び回転手段としての原稿補正部207は、原稿方向検知結果(天地方向)、割付検知結果(割付数、割付状態)に応じて、分割画像それぞれに対して、変倍処理、回転処理などの処理を施すことにより分割画像を補正する。
まず、補正処理としての回転処理について説明する。原点を中心に、反時計回りに角度90°、180°、270°回転する場合において、回転前後の座標の関係は、以下の式で表すことができる。そして、下記の式を用いて分割画像の天地方向の補正を行う。すなわち、回転前座標を(X、Y)とし、回転後座標を(X′、Y′)とすると、(1)90°回転時は、X′=元の画像のY方向の長さ−1−Y、Y′=Xとなる。また、(2)180°回転時は、X′=元の画像のX方向の長さ−1−X、Y′=元の画像のY方向の長さ−1−Yとなる。また、(3)270°回転時は、X′=Y、Y′=元の画像のX方向の長さ−1−Xとなる。
次に、補正処理としての変倍処理について説明する。変倍処理は、分割画像の各画素を補間する等の処理を行って、分割画像が、分割前の原稿と同じ大きさになるように、割付数に応じた変倍率を用いて変倍を行う。変倍には、補間処理を使用することができる。
図5は割付数と変倍率との関係を示す説明図である。図5に示すように、例えば、4in1(割付数4)の原稿である場合、分割画像に対して変倍率200%を用いて変倍処理を行う。他の割付数についても同様である。
また、画素を補間する方法としては、例えば、(1)ニアレストネイバ(最近傍補間)による補間処理、すなわち、補間する画素に一番近い画素、あるいは、補間する画素に対して所定の位置関係にある既存画素の値をその補間画素の値とする方法、(2)バイリニア(線形補間)による補間処理、すなわち、補間する画素を囲む周囲4点の既存画素の距離に比例した形で重み付けした値の平均を求め、その値をその補間画素とする方法、(3)バイキュービック(非線形補間)による補間処理、すなわち、補間する画素を囲む4点に加え、更にそれらを囲む12点を加えた計16点の画素の値を用いて、補間演算を行う方法などがあり、いずれのかの方法を用いることができる。
情報生成手段としての表示・印刷コマンド生成部208は、割付単位で分割された分割画像毎に正しい天地方向で表示するための表示情報としての表示コマンドの生成処理、割付状態(分割前の状態)で印刷するための印刷情報としての印刷コマンドの生成処理を行う。
より具体的には、表示・印刷コマンド生成部208は、例えば、分割画像(分割された原稿)を、原稿の順序(頁順)に沿って表示するように、分割画像毎に表示位置、表示の大きさ、表示方向(天地方向)に関する表示コマンド(表示情報)を生成する。
以下、表示コマンドの生成の例について説明する。図6は複数枚の原稿画像の例を示す説明図であり、図7は補正後の原稿画像の例を示す説明図であり、図8は表示用の出力ファイルの例を示す説明図である。図6に示すように、1枚目の原稿画像は原稿P1そのものであり、割付原稿画像ではない。同様に、3枚目の原稿画像も原稿P4そのものであって、割付原稿画像ではないとする。2枚目の原稿画像は、原稿P2、P3が割り付けられた割付原稿画像であるとする。
割付原稿画像である場合、割付数に応じて分割画像P2、P3に分割され、分割画像P2、P3に対して、元の原稿の大きさになるように変倍処理が施され、原稿画像の天地方向と異なる場合には、天地方向が原稿画像の天地方向と一致するように回転処理が施される。これらの変倍処理、回転処理などの補正処理により補正後の原稿画像(分割画像)は図7に示すようになる。
すなわち、分割画像P2に対しては、天地方向を原稿画像の天地方向に一致させるべく時計回りに90°の回転処理が施されるとともに、元の原稿の大きさになるように変倍(拡大)処理が施される。また、分割画像P3に対しては、元の原稿の大きさになるように変倍(拡大)処理のみが施される。
そして、図7の原稿画像P1〜P4をこの順序で表示することができるように、図8に示すように出力ファイルを生成する。図8に示すように、1頁目の原稿画像P1の画像データに表示情報としての表示コマンドを埋め込む。表示コマンドは、画像表示装置により解析及び実行することができ、表示する画像の指定、表示する画像の表示開始位置(座標)、表示サイズなどを含む。同様に、2頁目の原稿画像P2、3頁目の原稿画像P3、4頁目の原稿画像P4の画像データに表示情報としての表示コマンドを埋め込む。図8に示すように、頁毎に表示する画像が指定され、左上を基準に元の原稿の大きさ(100%サイズ)で表示される。
これにより、複数頁の原稿を割り付けた割付原稿をそれぞれの原稿に分けて表示することができるとともに、すべての原稿を正しい向き(例えば、原稿画像と同じ向き)に補正して見やすくすることができる。また、表示情報を含む表示用画像データを生成することにより、表示用画像データを処理する表示装置側で割付原稿のそれぞれの原稿を表示させるための処理を行うことができ、画像表示装置側での処理を簡易にすることができる。
また、表示・印刷コマンド生成部208は、例えば、分割された原稿を、元通りの(分割前の)状態で印刷するように、原稿頁毎に印刷位置、印刷サイズ、印刷方向に関する印刷情報としての印刷コマンドを生成する。
以下、印刷コマンドの生成の例について説明する。図9は印刷用の出力ファイルの例を示す説明図である。なお、複数枚の原稿画像の例は図6と同様であり、補正後の原稿画像の例は図7と同様である。すなわち、図6に示すように、1枚目の原稿画像は原稿P1そのものであり、割付原稿画像ではない。同様に、3枚目の原稿画像も原稿P4そのものであって、割付原稿画像ではないとする。2枚目の原稿画像は、原稿P2、P3が割り付けられた割付原稿画像であるとする。
割付原稿画像である場合、割付数に応じて分割画像P2、P3に分割され、分割画像P2、P3に対して、元の原稿の大きさになるように変倍処理が施され、原稿画像の天地方向と異なる場合には、天地方向が原稿画像の天地方向と一致するように回転処理が施される。これらの変倍処理、回転処理などの補正処理により補正後の原稿画像(分割画像)は図7に示すようになる。
すなわち、分割画像P2に対しては、天地方向を原稿画像の天地方向に一致させるべく時計回りに90°の回転処理が施されるとともに、元の原稿の大きさになるように変倍(拡大)処理が施される。また、分割画像P3に対しては、元の原稿の大きさになるように変倍(拡大)処理のみが施される。
図7に示す原稿画像P2、P3を、補正前の状態、すなわち、図6(b)に示す状態で印刷するために、原稿補正部207でどのような補正内容で補正されたかの情報を取得する。そして、補正される前の分割画像P2、P3になるように、原稿補正部207で行った補正処理と逆の処理を施すべく印刷用補正コマンド(回転情報、変倍情報)を生成する。例えば、原稿補正部207で140%拡大の変倍処理及び90°回転処理が施された場合、これらの補正と逆の処理である、1/1.4(約70%)縮小の変倍処理及び−90°の回転処理を行う印刷用補正コマンドを生成する。これにより、割り付けられた原稿(元の原稿)通りの大きさと天地方向の画像を得ることができる。
そして、大きさと天地方向が元通りとなった画像に対して、印刷位置を指定する印刷位置指定コマンドを生成する。図9の例では、まず、画像P3を左上から印刷するように指定し、画像P2は、画像P3に続いて略中央から印刷するように指定する印刷位置指定コマンドとなる。図9に示すように、上述の印刷用補正コマンドと合わせて、原稿画像を分割する前の割付状態で印刷することができ、元通り(分割前)の画像と同等の原稿を印刷物として得ることができる。すなわち、この場合、分割画像P2、P3に対する印刷コマンドには補正処理(分割、変倍、回転など)が含まれる。
なお、図6の例では、2枚目の原稿画像が割付原稿画像であって、原稿P2、P3が割り当てられており、原稿P2に対応する分割画像の天地方向は、原稿画像の天地方向と異なり、一方、原稿P3に対応する分割画像の天地方向は、原稿画像の天地方向と一致する場合を示しているが、割付原稿画像の例はこれに限定されるものではない。例えば、原稿P3に対応する分割画像の天地方向も原稿P2に対応する分割画像と同様に、その天地方向が原稿画像の天地方向と異なるものでもよい。この場合、原稿P3に対応する分割画像の天地方向と原稿P2に対応する分割画像の天地方向とがお互いに異なる方向でもよい。また、原稿P2に対応する分割画像が原稿P3に対応する分割画像と同様に、その天地方向が原稿画像の天地方向と一致するものでもよい。
表示コマンドの生成は、上述の例に限定されない。以下、表示コマンドの生成の他の例について説明する。図10は表示用の出力ファイルの他の例を示す説明図であり、図11はデータを共通化した場合の表示用の出力ファイルの他の例を示す説明図である。
上述の図6の例と同様に、割付原稿である場合、割付数に応じて分割画像P2、P3に分割表示(部分表示)する表示コマンドを生成する。また、分割画像P2、P3に対して、元の原稿の大きさになるように変倍処理を施す表示コマンドをさらに生成する。さらに、原稿画像の天地方向と異なる場合には、天地方向が原稿画像の天地方向と一致するように回転処理を施す表示コマンドを生成する。これらの分割表示コマンド、変倍表示コマンド、回転表示コマンドなどの表示コマンドにより、補正後の表示画像は図7に示すようになる。
すなわち、部分画像P2に対しては、P2部分が分割され、天地方向を原稿画像の天地方向に一致させるべく時計回りに90°の回転処理が施されるとともに、元の原稿の大きさになるように変倍(拡大)処理が施されて表示される。また、部分画像P3に対しては、元の原稿の大きさになるように変倍(拡大)処理のみが施されて表示される。
そして、図7に示すような表示画像P1〜P4を得るために、図10に示すように出力ファイルを生成する。図10に示すように、1頁目の原稿画像P1の画像データに表示情報としての表示コマンドを埋め込む。表示コマンドは、画像表示装置により解析及び実行することができ、表示する画像の指定、表示する画像の表示開始位置(座標)、表示サイズなどを含む。また、2頁目に対しては、P2を含む原稿画像データのうち、P2部分に対して、部分切り出し、変倍、回転処理を示す表示情報としての表示コマンドを埋め込む。3頁目に対しては、P3を含む原稿画像データのうち、P3部分に対して、部分切り出し、変倍処理を示す表示情報としての表示コマンドを埋め込む。4頁目に対しては、1頁目と同様である。
図11に示す例は、2頁目の表示用の原稿画像データと、3頁目の表示用の原稿画像データとは、同じデータであるため、これらを共通化した場合である。データを共通化してP2部分に対する表示コマンドを埋め込むとともに、P3部分に対する表示コマンドを埋め込む。
このように、原稿画像データから、補正処理を施して表示を行う表示コマンドを生成することにより、表示用画像データを処理する表示装置側で割付原稿のそれぞれの原稿を表示させるための処理を行うことができ、画像処理装置側での処理を簡易にすることができる。この場合、画像処理装置側は、画像に対する分割、変倍、回転の処理を行わず、表示コマンドとしてファイルデータに入れておき、画像表示装置側で、表示時に表示コマンドにしたがって、必要な分割、変倍、回転の処理を行う。
次に、図10及び図11の例で説明した場合のように、画像処理装置側で分割、変倍又は回転の補正処理を行わず、画像表示装置で表示する際に表示コマンドにしたがって必要な分割、変倍、回転の処理を行う場合における印刷コマンドの生成例について説明する。
図12は印刷用の出力ファイルの他の例を示す説明図である。上述したように、画像処理装置側で分割、変倍、回転の補正処理を行わない場合には、印刷用の出力ファイルは図12のようになる。すなわち、ファイル内部には、元の原稿のまま画像データが存在するため、元の原稿の頁の状態で、印刷するように、個々の頁に対して、印刷コマンドを生成する。このとき、分割、変倍、回転の補正処理は必要ない。すなわち、この場合、分割画像P2、P3に対する印刷コマンドには補正処理(分割、変倍、回転など)が含まれない。
色補正部209は、RGB信号の補色であるCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)信号を生成するとともに、色再現性を高める処理を行う。具体的には、色補正部209は、色再現の忠実化を図るため、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行う。
黒生成下色除去部210は、色補正部209から入力されたCMY信号に基づいて、K(黒)信号を生成するとともに、入力されたCMY信号からK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成し、生成したCMYK信号を空間フィルタ部211へ出力する。これにより、CMYの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。
空間フィルタ部211は、黒生成下色除去部210から入力されたCMYK信号に対して、領域分離データに基づいたデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行う。これにより、画像データの空間周波数特性が補正され、画像出力装置3における出力画像のぼやけ、又は粒状性劣化を防止する。例えば、空間フィルタ部211は、後述する領域分離部214において文字領域に分離された領域を、特に黒文字又は色文字の再現性を高めるため、鮮鋭強調処理を施し高周波成分を強調する。また、空間フィルタ部211は、領域分離部214において網点領域に分離された領域を、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理を施す。空間フィルタ部211は、処理後のCMYK信号を中間調生成部212へ出力する。
中間調生成部212は、階調再現処理を行う。例えば、中間調生成部212は、文字領域に分離された領域を、特に黒文字又は色文字の再現性を高めるため、画像出力装置3における高周波成分の再現に適するように二値化処理又は多値化処理を行う。また、網点領域に分離された領域を、最終的に画像を画素に分離して、それぞれの階調を再現できるように階調再現処理(中間調生成)を行う。さらに、写真領域に分離された領域を、画像出力装置3における階調再現性に適するように二値化処理又は多値化処理を行う。
印刷画像データ生成手段としての出力データ生成部213は、印刷を行う場合、印刷用補正コマンド、印刷位置指定コマンドに基づいて、画像データを補正し、画像出力装置3で印刷される印刷データを生成する。なお、印刷用補正コマンド、印刷位置指定コマンドの詳細は後述する。
また、表示画像データ生成手段としての出力データ生成部213は、原稿画像を表示する場合、表示する頁毎に、表示する原稿画像の画像データに表示コマンドを埋め込んだ出力ファイルを生成する。また、表示する原稿画像の画像データは、画像全体が画像表示装置の表示部(例えば、液晶ディスプレイなど)に表示されるように画素を間引く等の処理(画素を間引く処理は、上述の補間処理を用いることができる)がなされ、画像表示装置の表示特性に基づいた階調補正(ガンマ補正)が行われる。
領域分離部214は、入力画像データの各画素が黒文字、色文字、網点、印画紙写真(連続階調領域)等のどのような領域に属する画素であるのか判定する。領域分離部214は、判定結果である領域分離データを黒生成下色除去部210、空間フィルタ部211、中間調生成部212へ出力する。これにより、各種領域に応じた適切な処理が行われる。
画像出力装置3は、原稿画像の画像データを記録紙上に出力する電子写真方式やインクジェット方式などを用いた画像形成手段である。
図13は画像表示装置6を用いる場合の本発明に係る画像処理装置2の構成を示すブロック図である。図13に示すように、原稿画像を画像表示装置6で表示する場合は、色補正部209において、スキャナの画像読取特性に適合したRGBの画像データを画像表示装置6の表示特性に適合したR′G′B′の画像データに変換する処理を行い、必要に応じて、空間フィルタ部211において、領域分離信号に基づいて、強調、あるいは、平滑化処理を行う。そして、出力データ生成部213において、表示頁毎に、表示する原稿画像の画像データに表示コマンドを埋め込んで出力ファイルを生成する。また、画像全体が画像表示装置6の表示部に表示されるように画素を間引く等の処理を行い、画像表示装置6の表示特性に基づいた階調補正(ガンマ補正)を行って画像データを画像表示装置6に出力する。画像データの表示を行う場合には、黒生成下色除去部210及び中間調生成部212での処理は行わない。
上述のとおり、割付原稿判定部204で原稿画像が複数頁の原稿を割り付けた割付原稿画像であるか否かを判定し、割付原稿画像であると判定した場合、原稿分割部205で原稿画像を各頁の原稿毎の分割画像に分割する。そして、原稿補正部207で分割した分割画像を所要の大きさに及び/又は分割画像の向きを補正し、表示・印刷コマンド生成部208で、補正した分割画像に対する補正内容に応じて、分割画像を出力(例えば、表示又は印刷)するための情報(例えば、表示コマンド又は印刷コマンド)を生成する。これにより、分割画像それぞれを所要の大きさや向きに補正することができ、原稿画像に割り付けられた各原稿を所要の状態で表示又は印刷することができる。
また、特に、原稿補正部207は、分割した分割画像の大きさを割付前の原稿の大きさにすべく分割画像を変倍する変倍処理機能を備え、表示・印刷コマンド生成部208は、変倍した変倍率に応じて、分割画像を出力するための情報を生成する。これにより、原稿画像に複数頁の原稿が割り付けられた場合であっても、割り付けられた原稿を元の大きさで出力することができ、原稿が見やすくなる。
また、原稿方向検知部206で、分割した分割画像それぞれの天地方向を判定し、判定した分割画像の天地方向が原稿画像の天地方向と異なる場合、原稿補正部207は、分割画像の天地方向と原稿画像の天地方向とが一致するように分割画像を回転する回転処理を行う。そして、表示・印刷コマンド生成部208は、回転した角度に応じて、分割画像を出力するための情報を生成する。例えば、1つの原稿画像に2頁の原稿が割り付けられている(割付数が2)場合、一方の原稿に対応する分割画像の天地方向が原稿画像の天地方向と同じである場合、分割画像の回転処理は行わない。また、他方の原稿に対応する分割画像の天地方向が原稿画像の天地方向と異なる場合、その分割画像の天地方向が原稿画像の天地方向になるように前記分割画像に対して回転処理を施す。これにより、向きの異なる複数頁の原稿が割り付けられた場合であっても、すべての原稿を正しい向き(例えば、原稿画像と同じ向き)に補正して見やすくすることができる。
次に、本発明に係る画像処理装置2の動作について説明する。図14は画像処理装置2の処理手順を示すフローチャートであり、図15はファイル生成の処理手順を示すフローチャートであり、図16は表示用コマンド生成の処理手順を示すフローチャートであり、図17は印刷用コマンド生成の処理手順を示すフローチャートである。なお、割付原稿判定部204、原稿分割部205、原稿方向検知部206、原稿補正部207、表示・印刷コマンド生成部208、出力データ生成部213などの各部は、専用のハードウエア回路で実現することもでき、あるいは、CPUやRAMにより構成し、所定の処理手順を示すプログラムコードをCPUに実行させることで各部の機能を実現することもできる。これにより、プログラムコードにより、本発明に係る画像処理装置2を実現することができる。まず、図14について説明する。
画像処理装置2(以下、「装置2」という。)は、原稿画像に基づいて原稿サイズを検知し(S11)、原稿画像が割付原稿であるか否かの判定を行う(S12)。原稿画像が割付原稿である場合(S12でYES)、装置2は、割付数に応じて原稿画像を複数頁の分割画像に分割する原稿分割を行う(S13)。原稿画像が割付原稿でない場合(S12でNO)、装置2は、ステップS13の処理を行わずに後述のステップS14の処理を行う。
装置2は、分割した分割画像それぞれに対して1頁毎に原稿方向(天地方向)を検知する(S14)。装置2は、分割画像の天地方向が原稿画像の天地方向と一致するか否かを判定し(S15)、一致しない場合(S15でNO)、一致しない分割画像の天地方向が原稿画像の天地方向と一致するように分割画像に対して回転処理を施して原稿方向を補正する(S16)。一致する場合(S15でYES)、装置2は、ステップS16の処理を行わずに、後述のステップS17の処理を行う。
装置2は、全ての原稿頁の補正を完了したか否かを判定し(S17)、補正を完了していない場合(S17でNO)、ステップS14以降の処理を行う。補正を完了した場合(S17でYES)、装置2は、ファイル生成処理を行い(S18)、処理を終了する。
次に、図15に従ってファイル生成処理について説明する。装置2は、表示用コマンド生成処理を行い(S100)、印刷用コマンド生成処理を行い(S200)、処理を終了する。
次に、図16に従って表示用コマンド生成処理について説明する。装置2は、原稿画像の画像データ(補正が行われている原稿に対しては、補正後の画像データ)を取得し(S101)、表示コマンドを生成する(S102)。装置2は、全ての原稿画像の表示コマンドの生成を完了したか否かを判定し(S103)、完了していない場合(S103でNO)、ステップS101以降の処理を続け、完了した場合(S103でYES)、処理を終了する。
次に、図17に従って印刷用コマンド生成処理について説明する。装置2は、原稿画像の画像データ(補正が行われている原稿に対しては、補正後の画像データ)を取得し(S201)、方向補正された原稿であるか否かを判定する(S202)。方向補正されている場合(S202でYES)、装置2は、分割画像の方向を元に戻すコマンドを生成する(S203)。方向補正されていない場合(S202でNO)、装置2は、ステップS203の処理を行わずに、後述のステップS204の処理を行う。
装置2は、全ての分割画像の方向を補正前の状態に戻すコマンドの生成処理を完了したか否かを判定し(S204)、完了していない場合(S204でNO)、ステップS201以降の処理を続ける。完了した場合(S204でYES)、装置2は、原稿画像の画像データ(補正が行われている原稿に対しては、補正後の画像データ)を取得し(S205)、分割済みの原稿画像であるか否かを判定する(S206)。
分割済みの原稿画像である場合(S206でYES)、装置2は、分割相手の原稿画像の画像データを全て取得し(S207)、分割原稿を分割前の状態に再構成するコマンドを生成する(S208)。分割済みの原稿画像でない場合(S206でNO)、装置2は、ステップS207、S208の処理を行わずに、後述のステップS209の処理を行う。
装置2は、印刷コマンドを生成し(S209)、全ての原稿画像の印刷コマンドの生成を完了したか否かを判定し(S210)、完了していない場合(S210でNO)、ステップS205以降の処理を続け、完了した場合(S210でYES)、処理を終了する。
図18は画像読取装置200の構成を示すブロック図である。図18に示すように、画像読取装置(スキャナ)200に本発明に係る画像処理装置2を用いることもできる。画像読取装置200は、画像入力装置1、画像処理装置2、制御部4、記憶部51などを備えている。また、画像処理装置2は、A/D変換部201、シェーディング補正部202、入力処理部203、割付原稿判定部204、原稿分割部205、原稿方向検知部206、原稿補正部207、表示・印刷コマンド生成部208、出力データ生成部213などを備えている。図1の例と同様の箇所は同一符号を付し説明を省略する。
画像処理装置2において上記各処理が施された後のRGB信号(表示コマンドが埋め込まれた画像信号)、印刷用補正コマンド及び印刷位置指定コマンドよりなる付加情報は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置やMFPなどへ出力される。
以上説明したように、本発明によれば、原稿画像に割り付けられた各原稿を所要の状態で表示又は印刷することができる。そして、特に、1つの原稿画像に向きが異なる複数頁の原稿が割り付けられた場合であっても、原稿画像に割り付けられた複数頁の原稿を所要の状態で出力(表示又は印刷)することができる。すなわち、Nin1原稿において、割付けられた原稿の天地方向が異なる場合に、割付けられた原稿毎に天地方向の判定を行って、プレビューあるいはファイリングを行うことができる。また、分割画像の画像データにNin1原稿であることを示す情報を付加しておき、印刷する際はこの情報を参照して、元のNin1原稿の通りの出力を得ることができる。
上述の実施の形態において、原稿補正部は、変倍処理及び回転処理を行うことができる構成であったが、変倍処理又は回転処理のいずれか一方のみを備える構成でもよい。また、表示・印刷コマンド生成部は、表示コマンド生成部と印刷コマンド生成部とに分離した構成でもよい。この場合、画像処理装置に画像表示装置又は画像出力装置のいずれか、あるいは両方が接続される形態に応じて、表示コマンド生成部又は印刷コマンド生成部のいずれか、あるいは両方を備える構成すればよい。
本発明はコンピュータに実行させるためのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に、上記した画像処理(例えば、図14〜図17)を記録することもできる。この結果、上述の画像処理を行うプログラムを記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
なお、本実施の形態では、この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるためのメモリ(不図示)、例えば、ROMのようなプログラムメディアであってもよく、図示しない外部記憶装置としてのプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。
いずれの場合においても、格納されているプログラムコードはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であってもよいし、プログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムコードが実行される方式であってもよい。この場合、ダウンロード用のコンピュータプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク並びにCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含め
た固定的にプログラムコードを担持する媒体であってもよい。
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。なお、このように通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のコンピュータプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別の記録媒体からインストールされるものであってもよい。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
上記記録媒体は、デジタルカラー画像形成装置やコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで上述した画像処理方法が実行される。
コンピュータシステムは、フラットベッドスキャナ、フィルムスキャナ、デジタルカメラなどの画像入力装置、所定のプログラムがロードされることにより上記画像処理方法など様々な処理が行われるコンピュータ、コンピュータの処理結果を表示するCRTディスプレイ又は液晶ディスプレイなどの画像表示装置、及びコンピュータの処理結果を紙などに出力するプリンタ等より構成される。さらに、ネットワークを介してサーバーなどに接続するための通信手段としてのネットワークカードやモデムなどが備えられる。