JP4206930B2 - デジタルフィルタのテスト装置及びデジタルフィルタのテスト方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1では、各積和演算単位を経由するようにスキャンパスを形成するため、配線経路が複雑になってしまう。更に、通常のフィルタ処理を行なう場合とテストを行う場合とで信号処理系路を切換えるため、各積和演算単位にセレクタが必要となる。従って、回路規模が増大するという問題がある。
本発明の発明者は、デジタルフィルタについて上記のように閉ループを形成して演算処理を行なわせ所定時間が経過すると、出力データがある値に収束することを見出した。そして、その収束値並びに収束に要する時間は、デジタルフィルタの伝達関数や演算語長に応じて夫々異なっている。即ち、閉ループを形成することにより、デジタルフィルタに入力されるデータは演算処理が行なわれる毎に順次変化して行き出力データが最終的に収束するので、その収束値が期待値となるためには、デジタルフィルタの演算処理が正常に行なわれる必要がある。
以下、本発明をIIR型デジタルフィルタに適用した場合の第1実施例について図1乃至図6を参照して説明する。図1は、デジタルフィルタ並びにそのテスト装置の構成を示す機能ブロック図である。IIR(Infinite Impulse Response)型のデジタルフィルタ1の入力側と出力側とには、夫々マルチプレクサ(閉ループ形成手段)2,3が配置されている。入力側のマルチプレクサ2の一方の入力端子には、通常のフィルタリング処理を行なうための入力データが与えられており、他方の入力端子には、デジタルフィルタ1の入力端子が接続されている。そして、マルチプレクサ2の出力端子は、デジタルフィルタ1の入力端子に接続されている。
コントローラ8は論理回路で構成され、デジタルフィルタ1のテスト実行を制御するものであり、マルチプレクサ2,3の切換えを制御する。また、コントローラ8は、デジタルフィルタ1に対してテスト用のデータを設定したり、各部にその他の制御信号を出力するようになっている。
H=(b0+b1・Z-1+b2・Z-2)/(1+a1・Z-1+a2・Z-2)
尚、以上の構成において、マルチプレクサ2,3,レジスタ4,判定回路5,判定バッファ6,タイマ7及びコントローラ8がテスト装置19を構成している。また、遅延レジスタ9,10,14,15は、ハードウエアデバッグをより容易に行う目的で、コントローラ8によりデータの読み書きが可能となるように構成されている。
よって、作業者は、LSIチップの外部端子に出力される判定バッファ6の出力レベルを参照することで、デジタルフィルタ1の機能が正常であるか(設計した通りに動作しているか)否かを判別することができる。
これに対して、本発明のテスト装置19を用いれば、図6(b)に示すように、デジタルフィルタ1に関する機能テストは、何れの試験と並行して実施しても良いことになる(所謂コンカレント処理が可能となる)。従って、その分だけ、試験に要する時間を短縮化することができる。
従って、設定するテストデータは予定される収束値と異なる値であれば1種類だけであっても良く、テストデータについて設定を詳細に考慮する必要がなくなる。また、テストを行うにはデジタルフィルタ1の出入力間を短絡する閉ループを形成すれば良いだけなので、そのために必要な構成が極めて簡単になる。
更に、コントローラ8は、デジタルフィルタ1を構成する遅延レジスタ9,10,14,15の全てに同一のテストデータを書き込んでからテストを開始するようにした。 即ち、デジタルフィルタ1は、図5に示したように、より大きなシステムの一部に組み込まれた状態で構成されることが多い。従って、テストデータを入力側に設定しようとすると上位システムの他の構成要素に影響を及ぼすことが想定されるので、遅延レジスタ9〜15にテストデータを書き込んで設定を行えば、他の構成要素にその影響が及ぶことを回避できる。そして、遅延レジスタ9〜15の全てに同一のテストデータを書き込んでからテストを実施するので、全ての遅延レジスタ9〜15が初期設定されて収束結果がより速く得られるようになり、テスト時間を短縮することができる。
図7及び図8は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一の符号を設定して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。第2実施例は、第1実施例の構成において、複数のテストデータ値を設定してテストを行う場合をより詳細に説明するものである。図7は、テスト装置19における判定回路5及び判定バッファ6の構成をより詳細に示す機能ブロック図である。判定回路5は、期待値レジスタ26,比較器27,デマルチプレクサ28によって構成されている。デマルチプレクサ28の切替えは、第1実施例で述べたようにコントローラ8によって行われる。
第1実施例において、コントローラ8は、遅延レジスタ9〜15の少なくとも1つにテストデータを書き込んでからテストを開始しても良い。
また、他の構成要素に影響が及ぶ必要がない場合は、デジタルフィルタ1の入力端子にテストデータを直接設定しても良いし、マルチプレクサ3及び固定値レジスタ4を削除しても良い。
テストデータ値を1種類しか用いない場合には、判定回路5を比較器のみで構成し、テストデータ値をハードウエア的に固定しても良い。また、判定バッファ6は、1個のフリップフロップのみで構成しても良い。
更に、極めて簡単にテストを行う場合にはタイマ7を削除して、最終収束値に達していると予測される時間以降に判定バッファ6の出力結果を参照しても良い。
IIR型のデジタルフィルタ1に限ることなく、FIR(Finite Impulse Response)型のデジタルフィルタに適用しても良い。
Claims (9)
- 入力される時系列デジタルデータを所定の伝達関数により演算処理して出力するデジタルフィルタの機能をテストするためのテスト装置であって、
前記デジタルフィルタの出力データを入力側に与えるように閉ループを形成するもので、入力端子の一方に前記デジタルフィルタの入力データが与えられ、入力端子の他方に前記デジタルフィルタの出力データが与えられるマルチプレクサと、
このマルチプレクサにより前記閉ループを形成した状態で前記デジタルフィルタの入力側にテストデータを設定し、前記デジタルフィルタに動作用クロックの供給を開始させることで演算処理を実行させて機能テストを行なうように制御する制御手段と、
前記デジタルフィルタの出力データ値と期待値とを比較する比較器とを備えたことを特徴とするデジタルフィルタのテスト装置。 - 前記比較器の出力側に配置されるデマルチプレクサと、
このデマルチプレクサを介して前記比較器より出力される比較結果データを格納するための複数のバッファとを備え、
前記制御手段は、1つのテストデータに対するテスト結果が出力されたと判断すると、次のテストデータを前記デジタルフィルタの入力側に設定すると共に、前記デマルチプレクサの出力選択を切換えて次のテストを開始させることを特徴とする請求項1記載のデジタルフィルタのテスト装置。 - 前記複数のバッファの出力データについて論理積をとる論理ゲートを備えたことを特徴とする請求項2記載のデジタルフィルタのテスト装置。
- 前記テストを開始した時点から前記デジタルフィルタの出力データが所定の期待値に収束すると予測される最短時間を計測するタイマを備え、
前記タイマによって計測された最短時間が経過した時点で、前記比較器の比較結果が参照可能となるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のデジタルフィルタのテスト装置。 - 前記制御手段は、前記デジタルフィルタを構成している遅延レジスタの少なくとも1つにテストデータを書き込んでから前記テストを開始するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のデジタルフィルタのテスト装置。
- 前記制御手段は、前記遅延レジスタの全てに同一のテストデータを書き込んでから前記テストを開始するように構成されていることを特徴とする請求項5記載のデジタルフィルタのテスト装置。
- 入力される時系列デジタルデータを所定の伝達関数により演算処理して出力するデジタルフィルタの機能をテストするための方法であって、
前記デジタルフィルタの出力データを入力側に与えるように閉ループを形成し、
前記閉ループを形成した状態で前記デジタルフィルタの入力側にテストデータを設定して演算処理を実行させ、
所定時間が経過した場合の出力データ値と期待値とを比較することを特徴とするデジタルフィルタのテスト方法。 - 前記デジタルフィルタを構成している遅延レジスタの少なくとも1つテストデータを書き込んでから前記テストを開始することを特徴とする請求項7記載のデジタルフィルタのテスト方法。
- 前記遅延レジスタの全てに同一のテストデータを書き込んでから前記テストを開始することを特徴とする請求項8記載のデジタルフィルタのテスト方法。
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