JP4206516B2 - 漏洩検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漏洩検知装置に関し、特に、流体を移送する配管や流体を貯蔵するタンクなどから流体が漏洩した場合にこれを確実に検知するようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、LNGやLNG等の流体を備蓄する基地においては、流体の貯蔵時や移送時においてタンクや配管などから流体が外部に漏洩した場合に、直ちにこれを検知して当該漏洩箇所を補修することが必要となる。特に、LNG基地等では、タンカーからタンクへの流体の受入や、タンクから他のタンクへの流体の移送、タンクから他の設備への流体の払出が適宜配管を介して行われており、これら配管は互いのフランジ同士を突き合わせてボルト止めされて延長されるため、フランジ間に挟持されたガスケットの不良や老朽化などのシール機能低下によってフランジ同士間、すなわち配管の継ぎ目から流体が漏洩する可能性を有している。
【0003】
そのため、LNG等の流体の漏洩を検知する手段として、従来、低温検知器やガス検知器などを漏洩の可能性がある箇所(漏洩監視部)近傍に設置し、これらが流体の漏洩を検知したときには、中央制御室等においてアラームを発し、作業者に対して流体の漏洩が生じたことを知らせるようにしている。なお、低温検知器は低温液体が液体のまま漏出したときにこの低温液体に対して反応するものであり、また、ガス検知器は液体が漏出して気化したときにこの気体に対して反応するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低温検知器やガス検知器などで流体の漏洩を検知するものでは、これら検知器が作動しても漏洩箇所を特定するのに現場調査が必要となり、流体移送停止などの対応操作が遅れてしまうといった問題点を有している。特に、ガス検知器では、流体の気化ガスを検知するため、流体の漏洩から検知まで時間がかかり、より一層対応操作の遅れを生じさせる。さらに、これら検知器は漏洩した流体を検知器で受け止めるものではないため、流体の漏洩による付近の汚損または気化ガスの不必要な放出を抑制できない。
【0005】
また、これら検知器からの検知結果に基づいて、その後の処理、例えば流体を移送する配管の閉塞操作等を行う場合には、警報等により流体の漏洩を知った作業員が配管の弁の開閉またはポンプの起動、停止等を手動で行っており、流体の漏洩から対応操作までが効率的でないことから、システムの自動化等によって対応操作の迅速化が要請されている。その一方、漏洩の検知から配管の閉塞までに電気信号を用いると、例えば基地が停電したときや電気的故障が生じたときに、漏洩の検知さらには配管の閉塞などその後の処理が作動しなくなるといった問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、漏洩箇所の発見を容易にするとともに、漏洩から対応操作までの作業を自動化することができ、さらには基地の停電等においても作動することが可能な漏洩検知装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、配管の一部を漏洩監視部とし、ここからの流体の漏洩を検知する漏洩検知装置であって、漏洩監視部を覆った状態で設置されかつ内部に所定圧力の気体が封入されるカバー体と、カバー体内の圧力変化を検知する検知手段と、検知手段による検知結果に基づいて配管に設けられた弁の閉塞を行う処理系とを備え、弁として、所定の供給路を介して送られた閉塞用流体によって前記配管を閉塞する流体作動弁が用いられ、検知手段として、カバー体内と連通しかつカバー体内の圧力上昇分を駆動源として供給路を開放するパイロット弁が用いられる技術が採用される。この漏洩検知装置では、流体が漏洩するとカバー体内に圧力変化を生じさせるため、この圧力変化を検知手段で検知することにより、流体の漏洩を容易かつ迅速に検知することが可能となる。さらに流体が漏洩した後はカバー体に受け止められるため、付近の汚損または気化ガスの放出を抑制することが可能となる。また、この漏洩検知装置では、検知手段による検知結果に基づいて配管に設けられた弁を閉塞するため、流体の漏洩からその後の対応操作までを迅速化するとともに、流体の漏洩に対する対応を自動化することが可能となる。さらに、この漏洩検知装置では、流体が漏洩するとパイロット弁がカバー体内の圧力変化を受けることにより供給路を開放して閉塞用流体(例えば空気)を弁に供給し、配管を閉塞するため、流体の漏洩に対応する迅速化および対応の自動化の実現は勿論、システムに電気的接続を用いないため基地の停電時などでも流体の漏洩検知および配管の閉塞操作を確実に行うことが可能となる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の漏洩検知装置において、カバー体に封入される気体として、流体に対して不活性な気体が用いられる技術が適用される。この漏洩検知装置では、流体に対して不活性な気体がカバー体に封入されるため、流体が漏洩したときでもカバー体内の気体と流体(例えば気化ガス)とが反応することを回避することが可能となる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の漏洩検知装置において、漏洩監視部が配管同士の継ぎ目である技術が適用される。この漏洩検知装置では、漏洩の可能性が高い配管の継ぎ目を漏洩監視部とするため、当該継ぎ目からの漏洩を効率よく検知することが可能となり、また継ぎ目からの流体の漏洩をカバー体で受け止めて付近の汚損等を抑制する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図2を参照して説明する。
図1は、本発明に係る漏洩検知装置を示す断面図である。この漏洩検知装置は、LNGやLPGなどの低温液体(流体)を貯蔵するタンク1からLNG等を払い出すための配管2の所定箇所に設けられ、配管2からのLNG等の漏洩を建築物位置するものである。なお、流体としてLNGやLPGなどの低温液体に限定されず、常温もしくは高温の液体または気体であってもよい。また、この漏洩検知装置は、流体をタンク1に受け入れるための配管にも適用できる。
【0014】
配管2には、図1に示すように、配管2を開閉する弁として流体作動弁3が設けられる。この流体作動弁3は、供給路4を介して閉塞用流体(例えば空気等)が供給されることにより配管2を閉塞し、タンク1からの流体の移送を遮断する。これら流体作動弁3および供給路4は、後述する漏洩検知装置5の処理系10を構成する。なお、流体作動弁3は、図示しない供給路を介して開放用流体が供給されることにより配管2を開放する。
【0015】
配管2の、流体作動弁3より下流側には漏洩検知装置5が設けられる。この漏洩検知装置5は、カバー体6と、接続管8およびパイロット弁9からなる検知手段7と、処理系10とで概略構成される。なお、処理系10が流体作動弁3および供給路4で構成される点は前記のとおりである。
【0016】
カバー体6は、図1および図2に示すように、配管2のフランジ2a同士を接続した継ぎ目を漏洩監視部11として、この漏洩監視部11を覆った状態で設置される。ところで、フランジ2a間には図示しないガスケットが設置されており、フランジ2a同士を例えば8箇所でボルト止めしてガスケットを挟み込むことによりフランジ2a間をシールしている。ただし、ガスケットの不良や老朽化によってシール機能が損なわれる可能があり、そのため、フランジ2a間を漏洩監視部11とすることは合理的である。
【0017】
また、カバー体6内には、窒素ガス等が所定の圧力(例えば1.1気圧程度)で封入される。窒素ガスを用いるのは、配管2を移送される流体がLNG等の可燃性流体の場合、漏洩した後の燃焼を回避するためであり、特にLNG基地では窒素ガスを多用される(窒素ガスの貯蔵タンクも設置される場合がある)ため、その一部を用いることで足りるからである。ただし、配管2を通る流体が他の性状を持つ流体であるときには、その性状を変化させないような、当該流体に対して不活性なガスが用いられる。なお、このような不活性なガスをカバー体6に封入するか否かは任意であり、単に空気を封入してもよい。
【0018】
検知手段7は、カバー体6と連通状態で配される接続管8と、接続管8の一端に取り付けられたパイロット弁9とで構成される。接続管8は、カバー体6と連通するため内部がカバー体6と同一圧力になっており、カバー体6内の圧力変化に伴って接続管8内の圧力も変化する。パイロット弁9は、供給路4の一部に設置されるとともに接続管8内の圧力上昇(微圧)を駆動源として供給路4を開くように作動する。
【0019】
すなわち、パイロット弁9は、流体の漏洩によってカバー体6内の圧力が上昇することにより駆動するものであり、換言すればカバー体6内での流体漏洩圧力によって供給路4を開放するように作動する。供給路4を開放する結果、処理系10において、流体作動弁3へ閉塞用流体を供給し、配管2を閉塞することになる。
【0020】
以上のように構成された漏洩検知装置5の動作について説明する。先ず、配管2によって移送されている流体が漏洩監視部11から漏洩すると、その漏洩量によってカバー体6内の圧力を上昇させ、その圧力上昇分が接続管8を介してパイロット弁9に伝達される。次いで、接続管8の圧力上昇を受けたパイロット弁9は、供給路4を開放して閉塞用流体を流体作動弁3に供給する。これにより、流体作動弁3は、配管2を閉塞して流体の移送を停止させる。
【0021】
このように、漏洩監視部11から流体が漏洩すると、処理系10によって直ちに配管2を閉塞し、漏洩が継続するのを防止して被害の拡大を回避している。さらに、図1に示すものでは、電気的な動作や信号を用いることなく構成されているため、例えば基地内が停電した場合であっても漏洩監視システムとして機能させることができる。しかも、電気的装置を用いないためシステム構成が安価となり、コストを低減できる。
【0022】
また、図1では、処理系10として配管2の閉塞を行っておるが、これに限定されず、例えば、漏洩検知とともに迂回路に切り替えるような切替弁の動作であってもよい。その他、処理系10として、中央制御室において警報を発し、漏洩箇所を指示してもよく、さらにはこの警報を、流体動作弁3が配管2を閉塞するのに連動して、あるいはパイロット弁9が供給路4を開放するのに連動させるようにしてもよい。
【0023】
図3は、漏洩検知装置の参考実施形態を示す断面図である。図3において、配管2がフランジ2a同士を突き当てて接続され、これらフランジ2a間を漏洩監視部11としている点は、図1に示すものと同様である。また、配管2には、図3に示すように、配管2を開閉する弁として遮断弁13が設けられる。この遮断弁13は、電気信号を受けることにより配管2を閉塞するものが用いられるが、遮断弁13として、図1に示すような流体作動弁3を用いるか他の弁を用いるかは任意であり、いずれであっても電気信号を受けて動作する任意のものが用いられる。
【0024】
漏洩検知装置12は、カバー体14と、圧力センサ16および信号路17からなる検知手段15と、前記した遮断弁13で構成される処理系18とで概略構成される。カバー体14は、図1および図2に示すものと同様に、漏洩対象部11を覆った状態で設置され、内部に窒素ガス等が所定の圧力(例えば1.1気圧程度)で封入されている。
【0025】
検知手段15は、カバー体14内に設置された圧力センサ16と、圧力センサ16からの信号を遮断弁13に送るための信号路17とで構成される。そして、流体の漏洩によってカバー体14内の圧力が上昇すると、その圧力上昇を圧力センサ16で検知するとともに、信号路17を介して検知信号が遮断弁13に送られ、その結果、処理系18において遮断弁13が作動して配管2を閉塞することになる。
【0026】
このように、漏洩監視部11から流体が漏洩すると、処理系18によって直ちに配管2を閉塞し、漏洩が継続するのを防止して被害の拡大を回避している。さらに、処理系18として、圧力センサ16からの信号を中央制御室に送り、漏洩箇所を指示するようにしてもよい。
【0027】
なお、前記実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、タンクの周囲や溶接部分を漏洩監視部として前記した漏洩検知装置を設置してもよい。さらに、カバー体6,14に恒温(保温)手段を設け、環境温度の変化によって封入気体に圧力変化が生じるのを抑制するようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る漏洩検知装置は、流体が漏洩するとカバー体内に圧力変化を生じさせるため、この圧力変化を検知手段で検知することにより、流体の漏洩を容易かつ迅速に検知することができる。さらに、流体が漏洩した後はカバー体に受け止められるため、付近の汚損または気化ガスの放出を抑制することができる。また、検知手段による検知結果に基づいて配管に設けられた弁を閉塞するため、流体の漏洩からその後の対応操作までを迅速化するとともに、流体の漏洩に対する対応を自動化することができる。さらに、流体が漏洩するとパイロット弁がカバー体内の圧力変化を受けることにより供給路を開放して閉塞用流体(例えば空気)を弁に供給し、配管を閉塞するため、流体の漏洩に対応する迅速化および対応の自動化の実現は勿論、システムに電気的接続を用いないため基地の停電時などでも流体の漏洩検知および配管の閉塞操作を確実に行うことができる。さらに、電気的な装置を用いないため安価に構成でき、コストを低減できる。
【0029】
請求項2に係る漏洩検知装置は、流体に対して不活性な気体がカバー体に封入されるため、流体が漏洩したときでもカバー体内の気体と流体(例えば気化ガス)とが反応することを回避できる。
【0030】
請求項3に係る漏洩検知装置は、漏洩の可能性が高い配管の継ぎ目を漏洩監視部とするため、当該継ぎ目からの漏洩を効率よく検知することができ、また継ぎ目からの流体の漏洩をカバー体で受け止めて付近の汚損等を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る漏洩検知装置の実施形態を示す断面図である。
【図2】 図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】 漏洩検知装置の参考実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 配管
3 流体作動弁
4 供給路
5,12 漏洩検知装置
6,14 カバー体
7,15 検知手段
9 パイロット弁
10,18 処理系
11 漏洩監視部
13 遮断弁
16 圧力センサ

Claims (3)

  1. 配管の一部を漏洩監視部とし、ここからの流体の漏洩を検知する漏洩検知装置であって、
    前記漏洩監視部を覆った状態で設置されかつ内部に所定圧力の気体が封入されるカバー体と、当該カバー体内の圧力変化を検知する検知手段と、当該検知手段による検知結果に基づいて前記配管に設けられた弁の閉塞を行う処理系とを備え
    前記弁として、所定の供給路を介して送られた閉塞用流体によって前記配管を閉塞する流体作動弁が用いられ、
    前記検知手段として、前記カバー体内と連通しかつ当該カバー体内の圧力上昇分を駆動源として前記供給路を開放するパイロット弁が用いられることを特徴とする漏洩検知装置。
  2. 前記カバー体に封入される気体として、前記流体に対して不活性な気体が用いられることを特徴とする請求項1記載の漏洩検知装置。
  3. 前記漏洩監視部は、前記配管同士の継ぎ目であることを特徴とする請求項1または2記載の漏洩検知装置。
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