JP4206458B2 - 塗膜転写具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転写テープ基材の表面にコーティングされた修正用塗膜、接着用粘着剤、装飾用塗膜等を被転写面に転写するための塗膜転写具の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の塗膜転写具のうち、交換式の塗膜転写具としては、本体ケースの上下を分割して、開閉自在となすことにより転写テープだけを交換可能とする方式が提案されている。(例えば特許文献1参照)また、交換作業を容易にするため、本体カセットの蓋体を交換カセットと一体とする方式が提案されている。(例えば特許文献2参照)さらに、交換作業、リサイクル性において有利な方式として、本体カセットの端部を中心に蓋体を回転する方式(ヒンジ方式)も提案されている。(例えば特許文献3参照)
【特許文献1】
特開平8−310714号(図2)
【特許文献2】
特開平8−267992号(図3)
【特許文献3】
特開2002−59692号(図1、図7)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の本体ケースの上下を分割して交換する方式は、転写テープの着脱が煩わしく、交換作業に面倒であるという不具合があった。また、上記の本体カセットの蓋体を交換カセットと一体とする方式は、交換作業は容易となるものの、交換カセットを廃棄する際に、本体ケースの開口部を塞ぐ蓋体が交換カセットと一体に設けられているので、蓋体も一緒に廃棄されてしまうこととなり、本体ケース部分のリサイクル性が不十分である。さらに、上記の本体ケースの端部を中心に蓋体を回転する方式では、本体ケースの端部に回転軸を構成しているため、交換カセットの出し入れに際し、蓋体の開閉角度を大きくとらなければならず、また小型化が困難であるという問題があった。また、塗膜を転写する際に、塗膜転写具にかかる押圧力により、交換カセットが本体カセットの蓋を押し上げて、反ヒンジ機構の他端のロック機構が外れ、交換カセットが逸脱するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑み、近年主流になりつつある小型化、スリム化に対応でき、かつ充分なリサイクル性を実現しつつ、交換作業も容易でありながら、塗膜の転写動作時に交換カセットが逸脱しない修正テープや粘着テープ等の塗膜転写具を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、基材に塗膜を塗布した転写テープを巻き回した繰出リールと、塗膜を被転写面に転写する転写ヘッドと、転写後の基材を巻き取る巻取りリールと、両リールを連動する手段とを備えた交換カセットを、開閉可能な蓋体を備えた本体カセットに対して着脱自在とする塗膜転写具において、前記蓋体を回転可能に軸支する回転支持部を、前記蓋体より延びたアーム部であって、本体カセット側面の略中心線上に設けたことを特徴とする塗膜転写具に関する。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記本体カセットの側面に、蓋体の開閉角度を規制するガイドを設けたことを特徴とする請求項1記載の塗膜転写具に関する。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記蓋体より前記回転支持部方向に延びるアーム部の延長上、または上面、または蓋体に一体にクリップを設けたことを特徴とする請求項1記載の塗膜転写具。
【0009】
【作用】
本発明における回転式の蓋体は、前記蓋体より延びたアーム部であって、本体カセット側面の略中心線上に回転中心が設けられていることにより、交換カセットを交換する際に、蓋体の開閉角度が小さい状態で交換カセットの出し入れが可能となる。また、従来のヒンジ方式では、カセット本体の繰出しリール部近傍、つまりカセットとしては一番大きくなる部分の近傍にヒンジ機構を設ける必要があり、ヒンジ部の突起が本体外部に露出する。或いはヒンジ部の突起が本体内部に設けられた場合には、ヒンジ部のみのためのスペースが必要となる。本発明では、蓋体より延びたアーム部であって、本体カセット側面の略中心線上に回転中心を設けることにより、従来の構造では空隙部となっている部分に回転軸を構成することができ、カセット形状を小型化、スリム化することが可能となる。
【0010】
また、従来のヒンジ方式のカセットにおける、塗膜の転写動作時の押圧力によって交換カセットが本体の蓋体を押し上げて発生する、反ヒンジ機構の他端のロック機構の外れ現象を、蓋体の回転中心を本体カセットの略中心線上に設けることにより、塗膜の転写動作時の押圧力によって交換カセットが蓋体を押し上げる力が蓋体の開口する方向には作用せず、常に蓋体の回転円周の法線方向に作用するので、結果として蓋体の開口を防止できるのである。したがって、蓋体が開閉しにくくなるため、強力なロック機構を必要としない。
【0011】
さらに、近年需要が増加傾向にあるペン型の塗膜転写具に装着されているクリップとしての機能を、蓋体から回転支持部方向に延びるアーム部の延長上、またはアーム部の上面、または蓋体に一体的に設けることにより、スリム化と部品点数の削減が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例である塗膜転写具を分解した状態を示すものである。本発明の塗膜転写具は、本体カセット1と、蓋体2と、交換カセット3、キャップ4とから構成されるものである。
【0014】
本体カセット1は、前端に小さい開口部5を設けるとともに、後端に前記開口部5よりもやや大きな開口部6を設けた筒状の中空体となっている。この本体カセット1には、前記後端の開口部6から前端方向に離れた一側面および前記側面と対向する側面に、蓋体2を前記蓋体2より延びたアーム部7、7を回転可能に軸支する回転支持部8、8(一方は図示せず)が設けられている。また、前記回転支持部8、8が設けられている側面の後端開口部6の近傍に、前記蓋体2の係止機構を構成する凸部ないし凹部9、9(一方は図示せず)が設けられている。
【0015】
蓋体2は、本体カセット1における後端の開口部6を塞ぐことができる形状および大きさを有するとともに、蓋体2から延びたアーム部7、7および前記アーム部7、7の一部から本体カセット1側面に向かって垂直に突出し、前記回転支持部8、8によって回転可能に軸支される回転軸10、10とから一体的に構成されている。この回転軸10、10は、本体カセット1の側面に設けられた回転支持部8、8に、回動自在に嵌合することによって、蓋体2は本体カセット1の後端開口部6を開閉自在とすることができる。また、前記アーム部7、7の本体カセット1に対向する側の面には、前記蓋体2の係止機構を構成する、前記本体カセット1側面の凸部ないし凹部9、9に係合する凹部ないし凸部11、11(一方は図示せず)が設けられている。
【0016】
交換カセット3は、2枚の枠板16、16’の前端に転写ヘッド12を設けるとともに、その後方に転写テープの繰出しリール13と転写後の転写テープ基材を巻き取る巻取りリール14を回転自在に設け、2枚の枠板16、16’で嵌合して一体に保持するものである。転写テープはプラスチックフィルム製の転写テープ基材の片面に、修正用塗膜を形成して、その塗膜を紙などの被転写体に転写可能としたものである。この転写テープは、繰出しリール13から転写ヘッド12に送られ、転写ヘッド12によって紙などの被転写体に押圧されることにより塗膜を転写し、その後巻取りリール14に巻き取られる。繰出しリール13と巻取りリール14は図示したごとく、ベルト15を介して、連動して回転可能となっている。前記ベルト15以外にもギヤなどを介して連動させるようにしてもよい。
【0017】
交換カセット3は本体カセット1の内部に後端開口部6から挿入し、前記交換カセット3の前端の転写ヘッド12を、本体カセット1の前端開口部5から外部に露出させる。交換カセット3は本体カセット1の内部で位置決めして固定する必要があるため、本体カセット1の前端内面部と蓋体2の内面部にそれぞれ交換カセット3を前後から挟持して固定するための支持部17、18が設けられている。また、交換カセット3の枠板16、16’の前端部及び後端部には、それぞれ前記の支持部17、18に係合する被支持部19、20が設けられている。
【0018】
キャップ4は、本体カセット1の前端開口部5から外部に露出した転写ヘッド12を不使用時に保護するためのものであり、本体カセット1の前端開口部5を覆うように着脱自在とされている。
【0019】
図2は、本発明の第2の実施例である塗膜転写具を示すもので、それぞれ蓋体2を開閉した状態を表す。図2に示すごとく、前記回転支持部8は、本体カセット1側面の略中心線上に設けることが好ましい。これによって、塗膜の転写動作時の押圧力によって交換カセット3が蓋体2を押し上げても、常に蓋体2の回転円周の法線方向にのみ力が作用するため、蓋体2の開閉を抑制することができる。
【0020】
図3は、本発明の第3の実施例である塗膜転写具の詳細2面図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は後端開口部6をA方向から見た図を表す。図3に示すごとく、前記本体カセット1側面に、前記アーム部7の回転を規制することによって蓋体2の開閉角度を規制するガイド21を設けた構造としてもよい。
【0021】
図4は、本発明の第4の実施例である塗膜転写具の詳細2面図である。図4(a)および(b)はそれぞれ上が平面図、下が正面図を表す。図4(a)および(b)に示すごとく、さらに、部品点数削減を目的として、蓋体2が閉じた状態において、前記蓋体上、前記アーム部7の上面およびアーム部7からさらに延びた延長部分にクリップ22を一体的に設けてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、蓋体より延びたアーム部であって、本体カセット側面の略中心線上に回転中心が設けられていることにより、交換カセットを交換する際に、蓋体の開閉角度が小さい状態での交換カセットのスムースな出し入れが可能となる。また従来の構造では空隙部となる部分に回転軸を構成することができるため、カセット形状を小型化、スリム化することが可能となる。さらに、蓋体の回転中心を本体カセットの略中心線上に設けることにより、塗膜の転写動作時の押圧力によって交換カセットが蓋体を押し上げても蓋体が開閉せず、交換カセットの逸脱を防止することができる。さらに、クリップとしての機能を、蓋体から延びるアーム部の延長上、または上面、または蓋体に一体的に設けることにより、さらなるスリム化と部品点数の削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例である塗膜転写具の分解斜視図である。
【図2】 本発明の第2実施例である塗膜転写具の正面図である。
【図3】 本発明の第3実施例である塗膜転写具の詳細2面図である。
【図4】 本発明の第4実施例である塗膜転写具の詳細2面図である。
【符号の説明】
1 本体カセット
2 蓋体
3 交換カセット
4 キャップ
5 前端開口部
6 後端開口部
7 アーム部
8 回転支持部
9 凸部ないし凹部
10 回転軸
11 凹部ないし凸部
12 転写ヘッド
13 繰出しリール
14 巻取りリール
15 ベルト
16、16’ 枠板
17 支持部
18 支持部
19 被支持部
20 被支持部
21 ガイド
22 クリップ
Claims (3)
- 基材に塗膜を塗布した転写テープを巻き回した繰出リールと、塗膜を被転写面に転写する転写ヘッドと、転写後の基材を巻き取る巻取りリールと、両リールを連動する手段とを備えた交換カセットを、開閉可能な蓋体を備えた本体カセットに対して着脱自在とする塗膜転写具において、前記蓋体を回転可能に軸支する回転支持部を、前記蓋体より延びたアーム部であって、本体カセット側面の略中心線上に設けたことを特徴とする塗膜転写具。
- 前記本体カセットの側面に、蓋体の開閉角度を規制するガイドを設けたことを特徴とする請求項1記載の塗膜転写具。
- 前記蓋体より前記回転支持部方向に延びるアーム部の延長上、または上面、または蓋体に一体にクリップを設けたことを特徴とする請求項1記載の塗膜転写具。
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