JP4206287B2 - 乗り物用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートベルト一体式の乗り物用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両に設けられたシートに対して、シートベルトが一体的に備えられたものが知られている(例えば、特許文献1)。
このものは、シートバック及びシートクッションからなるシート本体を設けるとともに、シートバックにはベルト巻き取り用のリトラクタが内蔵されており、シートベルトの先端部分がシートバックの上面側部に設けられた引き出し口(開口部)より外部に引き出される。
一方、シートクッション側にはベルト固定具(下部アンカ)が設けられており、ここに、引き出されたシートベルトの先端部分が固定される。かくして、シートベルトはシートバック側部の表面側に上下に配されることとなる。
【0003】
【特許文献1】
実開平5−76913号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記構造によると、未使用時の見栄え、乗降性等を考慮して、常にはシートベルトをシートバックの表面に沿わせてある。そのため、シートベルトが掴みづらく、装着時の作業性(特に、シートベルトを引き出し口から引き出す操作)が十分によいとはいえない状況にあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シートベルトの装着作業性を改善することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、シートバック及びシートクッションを備えてなるとともに、前記シートバックにおける左右いずれか一方側の側部の上部側には乗客拘束用のシートベルトを吊り下げるショルダベルト支持具が設けられる一方、前記側部の下方であって、前記シートクッション側には吊られたシートベルトの先端を固定するためのラップベルト支持具が取り付けられ、これら両支持具によって前記シートベルトが前記側肩部の表面に沿って上下に張り渡されるシートベルト一体式の乗り物用シートであって、前記ショルダベルト支持具と前記ラップベルト支持具との間の前記シートバックには収容凹部が設けられるとともに、当該収容凹部には、蛇腹状をなすと共に、筒の軸線を前後方向に向けた単一個の中空状の筒体と、前記筒体の前面を塞いで前記筒体と共に前面閉止型の有底筒を形成する可動部材と、が配され、エアの供給により前記筒体が前方に向かって伸張することで前記可動部材を前記収容凹部内の待機位置から外側に押し出して前記シートベルトを前記側部から浮かせる一方、エアを抜いた時には、前記筒体自体の弾性により前記可動部材を前記待機位置に復帰させる構成であると共に、復帰する前記可動部材を前記待機位置にて停止させるストッパピンを、前記筒体の内部に配置したところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記シートバック或いは前記シートクッションには、前記筒体に対しエアを供給するエア供給手段と、乗客の着座状態を検知する検知手段と、前記検知手段からの検知信号に基づいて前記エア供給手段を作動させる制御部が設けられているところに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、シートベルトは常にはシートバックの側部の表面に沿った状態にあるから外観に優れるとともに、乗降時に邪魔にならない。また、シートベルト装着時には、エアを供給してやれば蛇腹状をなす筒体が伸張してシートベルトを側部から浮かせることができる。そのため、シートベルトを容易に手で掴むことができ装着性に優れる。
一方、エアを抜いてやれば、蛇腹状をなす筒体の弾性により可動部材は待機位置に自動的に復帰する。このように、筒体は内部にエアを貯めることで伸張し可動部材を押出す機能と、可動部材を復帰させる機能を併せ持つから構造が簡便である。
【0008】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、乗客が着座すると、検知手段がこれを検知するとともに、制御部が検知信号に基づいてエア供給手段、ひいては筒体を自動的に作動(伸縮)させる。このように、可動部材の移動動作が自動的に行われるから、人手による専用の操作を行う必要がなく、使い勝手がよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図1ないし図12によって説明する。
図1は本実施形態に適用されたアウタベルト一体移動式の乗り物用シート20の斜視図を示すものである。この乗り物用シート20は例えば自動車(普通自動車、バンタイプの車両等)の座席に適用され、シートクッション21、シートバック25、シート全体を移動可能に支持するスライド機構40を主体として構成されている。以下、同図の手前側を車外側(左側)、その逆側を車内側(右側)とし、車両の進行方向を前側として説明する。
【0010】
本実施形態においてシートバック25はヘッドレスト26を一体的に形成している。また、シートバック25は通常のものと比べてその幅寸法が広く設定されるとともに、ヘッドレスト26の左右両側では上面の高さが異なっており、車外側(本発明の側部に相当するものであり、以下、車外側部27とする)が車内側より高くなっている。この車外側部27にはリトラクタ34が内蔵されている。リトラクタ34は内部に巻き取り手段を内蔵しており、アウタベルト(本発明のシートベルト)が引き出されると、それに抗じてアウタベルト38を巻き取り方向に付勢するようになっている。
【0011】
車外側部27の上部側には引き出し口27Aが開口する一方、シートクッション21の側方には樹脂カバー23が取り付けられるとともにその上面側には引き込み口23Aが開口している。引き出し口27Aより引き出されたアウタベルト38は車外側部27の表面に沿って上下に配されるとともに、その先端側が引き込み口23Aを通じて樹脂カバー23内に引き込まれている。
また、アウタベルト38には金属製の係止金具39が遊挿される一方、シートクッション21の側方(同図の右側)にはインナベルト48が配されている。インナベルト48は金属製のステー48Aの先端側に係止金具39と係止可能とされた受け部(図示せず)を内蔵するバックル48Bを備えてなり、ステー48Aの下部が次述するスライド機構40にボルト締めされている。
【0012】
続いて、乗り物用シート20の骨格構造及びスライド機構40について説明する。図3に示すように、シートクッション21の下部には平板状をなすフロアベース41が配されている。このフロアベース41はボディ側のフロアパネルに固定されており、その左右両側には前後方向に沿って一対の平行な固定レール42が配されている。これら左右両固定レール42には長手方向に沿った嵌合溝42Aが形成されている。嵌合溝42Aは上方及び前後に貫通して形成されるとともに、各嵌合溝42Aには平板状をなす可動レール43、44が摺動可能に嵌め合わされている。両可動レール43、44は共に、前端部分から中央部分にかけては同幅で形成されるとともに中央部分から後方部分が上方に張り出すようにして形成されている(以下、張り出し部43A、44Aとする)。この張り出し部43A、44Aは詳細には後述するがシートクッション21の構造部分を支持するためのものである。
【0013】
また、両可動レール43、44のうち車外側の可動レール43の張り出し部43Aにはラップベルト支持具46がボルト締めされており、樹脂カバー23内に引き込まれたアウタベルト38の先端側が固定されるようになっている。一方、車内側の可動レール44の張り出し部44Aには前述したインナベルト48のステー48Aが取り付けられている。両可動レール43はその前端同士、後端同士間が連結パイプ45によって架設され全体が支持枠を構成している。
一方、シートバック25の骨格を形成するバックフレーム31は、金属製のパイプをU字状に折り曲げて形成され、その一端側が連結部材32を介して車外側の可動レール43の張り出し部43Aに、他端側が同じく連結部材32を介して室内側の可動レール44の張り出し部44Aにそれぞれ接続されている。連結部材32と張り出し部43A、44Aとの間には図示しないリクライニング機構が設けられており、シートバック25の車両に対する倒れ角の調整を行うことが出来る。
【0014】
また、バックフレーム31の上端の左側部には後述する可動部材77を支持するためのベースプレート33が配されている。このベースプレート33は対向する一対の取付け壁(前側を前面壁33A、後側を後面壁33Bとする)を設けてコの字状に形成されるとともに、バックフレーム31に対し側方から差し込まれ、図6に示すように両壁33A、33B間に前記バックフレーム31を挟み込むようにして固定されている。
【0015】
このベースプレート33の下端部には前記したアウタベルト用のリトラクタ34が取り付けられている。このリトラクタ34には上向きのベルト出入り口34Aを設けており、アウタベルト38はこの出入り口34Aよりベースプレート33の後面壁33Bに沿って上方に引き出される。(図10参照)
一方、後面壁33Bの上部にはショルダベルト支持具36が取り付けられており、アウタベルト38はこのショルダベルト支持具36を経由するようになっている。すなわち、ショルダベルト支持具36には後面壁33Bの上方より突出した位置に横長形状のスリット36Aが形成されている。そのため、アウタベルト38はこのスリット36Aを通過することで前方を向くように方向転換され、その後、前記引き出し口27Aを通じて車外側部27の表面側に引き出されるようになっている。
【0016】
ところで、図4に示すように、シートバック25の引き出し口27Aの下方にはベースプレート33に達する深さの貫通孔27Bが形成されており、ベースプレート33の前面壁33Aと貫通孔27Bの孔壁によって収容凹部50が形成されている。この収容凹部50内には、アウタベルト38に当接可能とされた可動部材77を図6、図7に示すように収容凹部50内に退避した待機位置と、図8、図9に示すように、待機位置より前進してアウタベルト38を車外側部27の表面より浮かせる押出し位置との間で変位させる押出し手段80が取り付けられている。
【0017】
より具体的に図4、図5、図6を参照して説明すると、可動部材77は収容凹部50に対し嵌め込み可能な大きさに形成された基板77Aの全縁に後向きのフランジ77Bを設けてなり、収容凹部50に対して若干の隙間を持って進退可能に嵌め合わされている。基板77Aの前面には樹脂製のパッド78が取り付けられている。このパッド78の表面側は緩やかな曲率をもって形成されており、左右両側が中央部より高く形成されている。これは、アウタベルト38を持ち上げる際に、ベルトの位置ずれ防止を図るためのものである。
【0018】
また、基板77Aの裏面側には環状をなす取付けリング83が溶接にて固定されている。一方、ベースプレート33の前面壁33Aにも、可動部材77側の取付けリング83と同形の取付けリング84Aを一体に形成した支持ブラケット84が取り付けられており、これら両リング83、84A間を架設するようにして蛇腹状をなす中空の伸縮筒(本発明の筒体に相当する)81が配されている。
【0019】
伸縮筒81は例えば軟質塩化ビニル等の合成樹脂製或いはゴム製であって弾性変位可能とされている。伸縮筒81はその一端側が支持ブラケット84の取付けリング84Aの外面側に、他端が可動部材77の取付けリング83の外面側にそれぞれ嵌め合わされるが、その内径は各取付けリング83、84Aの外径より幾らか小さく設定されている。そのため、組み付けの際には、伸縮筒81の端部をやや広げて装着することで伸縮筒81を取付けリング83、84Aの外周に密着させるようにしてある。また、伸縮筒81はその両端に取り付けられる一対の留め具86によって抜止めされている。留め具86は金属製の板材を折り曲げて形成されたものであって取付けリング83、84Aに嵌め込み可能な環状のクランプ部86Aを有し、取付けリングと各クランプ部86Aとの間に伸縮筒81を挟み込んだ状態で、対向する両端部86B同士をボルト締めするものである。
【0020】
これら可動部材77、支持ブラケット84、伸縮筒81は内部に空気を貯留可能な閉じた空気貯留空間を形成している。また、伸縮筒81は自然状態においては隣合う山同士及び谷同士が密着した縮んだ状態にあって、可動部材77を引き込み方向(収容凹部50側)に付勢する。
【0021】
続いて、可動部材77の位置規制を行うストッパピン65について図6、図8を参照して説明する。
可動部材77の基板77Aの裏面の中央部分には棒状のストッパピン65が取り付けられている。このストッパピン65は基端側に設けられた位置決め用の鍔部65Cに加えて、その先端部分と中央部分にそれぞれ第1の鍔部65A、第2の鍔部65Bを設けている。一方、ベースプレート33の前面壁33Aには断面がコの字状をなすストッパブラケット67がベースプレート33側に閉じるようにして取り付けられている。このストッパブラケット67には前記ストッパピン65の軸部を貫通させる大きさの貫通孔が、ベースプレート33にはストッパピン65の第1の鍔部65Aを貫通させる大きさに形成された逃がし孔33Dが両壁33A、33Bを貫通して形成されている。そして、可動部材77が収容凹部50内に引き込まれると、第2の鍔部65Bがストッパブラケット67の上面に当接する設定とされており、これにて、可動部材77を待機位置で停止させる。
【0022】
図6、図7に示すように、この待機位置においては、可動部材77全体が収容凹部50内に収容されるとともに、パッド52の前面がシートバック25の車外側部27とほぼ面一となり、更に、パッド52表面の中央部分にアウタベルト38が沿うようになっている。
尚、図示していないが、ストッパブラケット67の貫通孔にはゴム製のシールリングが取り付けられており、伸縮筒81内の気密性を確保するようになっている。
【0023】
また、この状態から後述するエア供給手段によって伸縮筒81内にエアが供給されると、伸縮筒81内にエアが充填され、これにより、伸縮筒81は伸張して可動部材77を収容凹部50より押し出すようになっている。図8に示すように、可動部材77が押出し位置に到ると、ストッパピン65の第1の鍔部65Aがストッパブラケット67の裏面側に当接して、可動部材77の位置規制を行うようになっている。この押出し位置において、伸縮筒81の先端側が収容凹部50より突出し、可動部材77ひいてはアウタベルト38全体を車外側部27の表面より浮かせるようになっている。
【0024】
次に、エア供給手段すなわちエアポンプ70は、図10に示すように、駆動モータ70Aを付設するとともに、ベースプレート33の下方に配されている。一方、伸縮筒81の一端側(ベースプレート33側)には導入口が開口しており、エアポンプ70と伸縮筒81との間がチューブ71によって接続されている。これにより、駆動モータ70Aを駆動させると、エアポンプ70からチューブ71を介して伸縮筒81内にエアが供給される。
【0025】
また、押出し手段80は、図12に示す制御装置72を備えている。本実施形態において制御装置72は乗員検知用の圧力センサ(本発明の検知手段に相当する)74、ソレノイドバルブ75及び制御部73を主体として構成されており、乗員の搭乗を検知して押出し手段80を自動的に作動させるように構成されている。具体的には、乗員検知用の圧力センサ74としては、例えば圧電素子よりなるシート材をシートクッション21の中央部分に内蔵させておき、乗員が着座するとその圧力でシート材が歪むように設定しておけばよい。これにより、圧電素子からは歪み量に対応した電気信号(起電力)が得られ、乗員の搭乗を検出することが出来る。一方、ソレノイドバルブ75は伸縮筒81の端部においてチューブ71と併設され、常開式であり常には伸縮筒81内のエアを抜くようにしてある。
【0026】
ソレノイドバルブ75及び駆動モータ70Aの各駆動回路(図示せず)にはそれぞれ電磁リレーが設けられるとともに、これら電磁リレーと圧力センサ74がいずれも信号線を介して制御部73に接続されている。制御部73は圧力センサ74からの検出信号(乗員検知)に基づいて、各電磁リレーを作動させ各駆動回路を通電させる設定とされている。これにより、乗員の検知がなされると、ソレノイドバルブ75が閉止するとともに、エアポンプ70によりエアの供給が開始される。
【0027】
また、駆動モータ70Aは可動部材77が押出し位置に至ると、その後停止するように制御部73によって制御されており、更に、ソレノイドバルブ75は、バルブ閉止後所定時が経過すると自動的にバルブ75を開放するように制御されている。このような制御を行うのは、乗客がアウタベルト38の装着を完了した後、押出し位置にある可動部材77を待機位置に自動復帰させるためである。
尚、駆動モータ70Aの制御方法としては、伸縮筒81の圧力を検出することによって動作の切り替え(オン・オフ)の行う形式や、オン時間を予め制御しておき所定時間経過後に自動的にオフ状態に切り替わる形式のものであってもよい。
【0028】
次に、乗客が車両に乗り込んでシートベルトを装着する手順について説明しつつ、本実施形態の作用効果を説明する。
まず、乗客が車内に乗り込んでいない時には、図6、図10に示すように、可動部材77は収容凹部50内の待機位置にあって、更に、リトラクタ34によって巻き取り方向に付勢されることで、アウタベルト38はシートバック25の車外側部27の表面に若干の張力を持って張り付いた状態にある。なお、この待機位置において、ソレノイドバルブ75は開放し、伸縮筒81は隣合う山同士及び谷同士が密着した縮んだ状態にあって、可動部材77を引き込み方向(収容凹部50側)に付勢した状態にある。
【0029】
この状態から車内に乗り込んで乗り物用シート20に着座すると、乗客の自重によって押されてシートクッション21はその中央部分が凹む。これにより、内蔵される圧力センサー74に歪みが生じ、これが電気信号として検出され制御部73に伝達される。すると、制御部73は電磁リレーを閉じてモータ駆動回路を通電させ駆動モータ70Aを作動させるとともに、ソレノイドバルブ75を閉止させる。これにより、伸縮筒81内にエアポンプ70からエアが供給されるため、伸縮筒81が徐々に前方に伸びるように膨張し可動部材77を収容凹部50より押し出してゆく。
【0030】
やがて、可動部材77が、図8、図11に示す押出し位置に至ると、ストッパピン65の第2の鍔部65Bがストッパブラケット67の裏面側に当接することで可動部材77の前進動作が規制される。そして、伸縮筒81の圧力が所定値に達すると、制御部73によって駆動モータ70Aへの通電が断たれエアの供給がストップする。この時、ソレノイドバルブ75は閉止した状態にあるため、伸縮筒81内にはエアが充填された状態にあり、可動部材77は伸縮筒81の張力によって同位置に保持される。
【0031】
この押出し位置において、アウタベルト38は可動部材77によって前方に押し出され、全体が車外側部27の表面より浮いた状態、すなわち、アウタベルト38の裏面側に容易に指が入り易い状態である。従って、乗客は操作の煩わしさを感じることもなく簡単にアウタベルト38を手で掴むことが出来る。その後、アウタベルト38を引き出し口27Aより引き出すとともに、係止金具39をインナベルト48のバックル48Bに対して係止させる。これにて、シートベルトの装着が完了する。
【0032】
また、伸縮筒81内へのエアの供給が断たれた後所定時間が経過(乗客がベルトを装着するのに十分な時間)が経過すると、制御部73によってソレノイドバルブ75側への通電が断たれソレノイドバルブ75が開放される。これにより、伸縮筒81内のエアが開放されることとなる。すると、張力を失った伸縮筒81は今度は自身のばね力によって可動部材77を引き込み方向に付勢し、収容凹部50内の待機位置に格納する。
【0033】
このように、本実施形態によれば、乗客を拘束するためのシートベルト(アウタベルト38、インナベルト48)がいずれも乗り物用シート20内で取り付けが完結している。従って、シートのスライドポジションに拘わらず、同じ条件で乗客を拘束することができ、安全性に優れる。
また、アウタベルト38を装着する際には、伸縮筒81にエアを供給してやればアウタベルト38をシートバック25から浮かせることが出来るから装着作業を簡単に行うことが出来る。一方、エアを抜いてやれば、伸縮筒81は縮んだ自然状態に戻ろうとするため可動部材77を待機位置に自動的に復帰させる。このように、伸縮筒81は内部にエアを貯めることで伸張し可動部材77を押し出す機能と、そのばね力によって可動部材77を収容凹部50に引き込む機能を併せ持つから構造が簡便である。
【0034】
また、可動部材77を出入りさせる機構部分は押出し位置においてシートの表面より露出するが、これを伸縮筒81により構成しているからクッション性を持たすことが出来る。従って、仮に外力が加わった場合でも衝撃に強く、又、乗客に対する危害防止にもなる。
更に、押出し手段80には制御装置72が設けられており、乗員の搭乗を検知して可動部材77の出入り動作が全て自動で行われるから、使い勝手がよい。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0036】
(1)本実施形態では、本発明をスライド機構40を備えたシートに適用したが、固定式のシートに適用するものであってもよい。
【0037】
(2)本実施形態においては、押出し位置から待機位置への復帰は伸縮筒81の弾性を利用する形態としたが、この他に補助的にスプリング等を設けてもよく、この場合には、例えば、図13、図14に示すように伸縮筒81の内部においてコイルばね90を同軸状に配せばよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る乗り物用シートの斜視図
【図2】シートベルトが車外側部から浮いた状態を示す乗り物用シートの斜視図
【図3】乗り物用シートの骨格構造を示す斜視図
【図4】押出し手段とシートバックの関係を表す斜視図
【図5】押出し手段の分解斜視図
【図6】可動部材の待機位置を表す水平断面図
【図7】可動部材の待機位置を表す縦断面図
【図8】可動部材の押出し位置を表す水平断面図
【図9】可動片の押出し位置を表す縦断面図
【図10】乗り物用シートの縦断面図(可動部材が待機位置にある状態を示す)
【図11】乗り物用シートの縦断面図(可動部材が押出し位置にある状態を示す)
【図12】制御装置のブロック図
【図13】可動部材が待機位置にある状態を示す水平断面図(他の実施形態)
【図14】可動部材が押出し位置にある状態を示す水平断面図(他の実施形態)
【符号の説明】
20…乗り物用シート
21…シートクッション
25…シートバック
27…車外側部
36…ショルダベルト支持具
38…アウタベルト(シートベルト)
46…ラップベルト支持具
50…収容凹部
77…可動部材
81…伸縮筒(筒体)
Claims (2)
- シートバック及びシートクッションを備えてなるとともに、前記シートバックにおける左右いずれか一方側の側部の上部側には乗客拘束用のシートベルトを吊り下げるショルダベルト支持具が設けられる一方、
前記側部の下方であって、前記シートクッション側には吊られたシートベルトの先端を固定するためのラップベルト支持具が取り付けられ、これら両支持具によって前記シートベルトが前記側肩部の表面に沿って上下に張り渡されるシートベルト一体式の乗り物用シートであって、
前記ショルダベルト支持具と前記ラップベルト支持具との間の前記シートバックには収容凹部が設けられるとともに、当該収容凹部には、
蛇腹状をなすと共に、筒の軸線を前後方向に向けた単一個の中空状の筒体と、
前記筒体の前面を塞いで前記筒体と共に前面閉止型の有底筒を形成する可動部材と、が配され、
エアの供給により前記筒体が前方に向かって伸張することで前記可動部材を前記収容凹部内の待機位置から外側に押し出して前記シートベルトを前記側部から浮かせる一方、エアを抜いた時には、前記筒体自体の弾性により前記可動部材を前記待機位置に復帰させる構成であると共に、
復帰する前記可動部材を前記待機位置にて停止させるストッパピンを、前記筒体の内部に配置したことを特徴とする乗り物用シート。 - 前記シートバック或いは前記シートクッションには、
前記筒体に対しエアを供給するエア供給手段と、
乗客の着座状態を検知する検知手段と、
前記検知手段からの検知信号に基づいて前記エア供給手段を作動させる制御部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の乗り物用シート。
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