JP4205913B2 - 差動排気シール装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば半導体製造装置の一部を構成する差動排気シール装置に関し、詳細には、例えば、固定の部材とその固定の部材に関して可動の部材とによって画成された一つの空間と、その空間と雰囲気(圧力、清浄度、ガスの種類等)が異なる他の空間との間にある隙間を非接触でシールするのに適した、差動排気シール(Differential Pumping Seal)と呼ばれるシール要素を備えた差動排気シール装置の改良に関する。
【0002】
【従来技術】
差動排気シールについては、古くは米国特許第4,118,042号(1977年出願)の「Air Bearing Vacuum Seal Assembly」や米国特許第4,191,358号(1979年出願)の「Vacuum sealed Gas bearing Assembly」などがあり、1982年出願の米国特許第4,425,508号の「Electron beam Lithographic Apparatus」において、半導体製造装置に適用した例が知られている。
このような従来から知られて差動排気シールは、真空空間に代表される清浄空間内で、物の移動(回転運動、直線運動)をさせるにあたって、清浄な空間を汚染させることなく高速に又は滑らかに実現したい場合に用いられてきた。
その用いられ方には、少なくとも二つの方向性があり、一つは、移動の駆動源やガイド機構などは清浄空間外に配置し、最小限の構造体と被移動試料のみを清浄空間内に入れるために用いる場合でり、二つめは、静圧流体軸受(例えば、エアベアリング)を用いる場合に非接触軸受けのメリットを損なわずに2つの空間をシールする場合である。この場合、「二つの空間」として、1)軸受けを清浄空間内で行い、軸受流体の存在する空間と清浄空間とをシールする場合と、2)軸受けは清浄空間の外で行い、清浄空間とその外部とをシールする場合とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
差動排気シールは、非接触状態で2つの空間を分離することができる。この特徴は十分に利点として理解され、具体的な装置へ適用される傾向にある。差動排気シールが機能している定常状態では、確かに非接触シールという優れた機能を有する利点がある。しかし、具体的な装置の信頼性や寿命、清浄度などトータル的な視点で考えると、差動排気シールが機能していない状態、すなわち非定常な状態での影響(特徴)を十分理解する必要がある。
【0004】
差動排気シールを備えた装置の運用を想定すれば、シール機能が継続不能になった場合(装置の緊急停止時など)や装置全体が運休する場合などがある。この時、差動排気シールが非接触シールであるが故のデメリットがある。このことは、二つの空間を分離していた見えない壁が、シール機能が停止した時点で無くなるわけであるから、想像し易いことである。例えば、清浄な空間(真空中)とその外の空間(大気中)とを非接触で分離していた差動排気シールが急に動作停止すると、瞬く間に大気中の空気が清浄であった真空空間を満たしてしまう。
通常真空度を向上するために、一番影響のある物質は水分であり、大気の湿度がそれである。通常のクリーンルーム内湿度は、40〜55%程度であり、多くの水分を含んでいる。これを差動排気シールが機能停止する度に大気がクリーンルーム内に流れ込んでしまう装置では、清浄化したい真空チャンバー内の真空度は、向上させ難い。また、真空チャンバー外の大気中のパーティクルが混入するということも否定できない。通常の真空チャンバを備えた装置では、真空チャンバー内に大気を入れることは無く、入れるガスの湿度も極めて低く制御されている。
【0005】
このように、差動排気シールでは非接触シールの機能が停止した状態では、外部と仕切る隔壁に大きな亀裂のできた真空チャンバーと同じで、従来の真空装置分野の常識的立場から言えば「厄介な装置」であると言える。
以上に述べたような、清浄空間(例えば、真空)を必要とする装置の運用上のデメリットを内在しているのが、従来使用されていた差動排気シールに代表される非接触シールである。
非接触シールを実際の半導体製造装置に適用するには、これらの運用上のデメリットを他の要素を付加することで補う必要がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時においても、清浄空間を構成する一つの空間を他の空間から確実に遮断して清浄空間の汚染を防止できる差動排気シール装置を提供することである。
本発明の他の目的は、互いに雰囲気の異なる二つの空間の間に形成された隙間を差動排気シールによりシールする差動排気シール装置であって、差動排気シールが機能している時(定常状態)は動作せず、機能しなくった時(非定常状態)は流体圧の作用により動作してその隙間を画定する部材と接触して二つの空間の間の連通を遮断するダイヤフラム状シール部材を備えた差動排気シール装置を提供することである。
本発明の他の目的は、互いに雰囲気の異なる二つの空間の間に形成された隙間を差動排気シールによりシールする差動排気シール装置であって、差動排気シールが機能している時(定常状態)は動作せず、機能しなくった時(非定常状態)はその隙間を画定する二つの部材の一方を押圧手段により部材の他方に向かって押圧して一方の部材をシール部材と接触させ、それによって二つの空間の間の連通を遮断する差動排気シール装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願の発明は、互いに雰囲気の異なる第1の空間及び第2の空間の少なくとも一方の空間を画定する第1の部材と、前記第1の部材に関して相対移動可能な第2の部材との間の隙間であって前記第1の空間と前記第2の空間との間にある隙間を非接触状態でシールするための差動排気シールを備えた差動排気シール装置において、前記差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時にのみ前記第1及び第2の両者の部材に接触して前記第1の空間と第2の空間と遮断する有体のシール要素を備え、前記差動排気シール装置の前記有体のシール要素が、周辺部が前記第1の部材に固定せれていて流体圧の作用を受けて前記第2の部材側に突出して前記第2の部材と接触する伸長可能なダイヤフラム状シール部材で構成されている。
差動排気シール装置を上記のように構成することにより、本発明では、差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時でも、第1及び第2の二つの空間の連通を効果的に遮断できる。また、ダイヤフラム状シール部材は、シール機能を果たす時にエネルギーの供給なしにその機能を果たせる構造であり、接触という状態(エネルギーレベルが低い状態)をシール機能を維持できるようになっている。
前記差動排気シール装置において、隙間が前記第2の部材の両側に形成され、隙間を非接触状態でシールするための前記差動排気シールが前記第2の部材の少なくとも相反する2面側に設けられてもよい。また、差動排気シール装置が、前記隙間で機能する静圧軸受けを更に備え、前記静圧軸受け及び前記差動排気シールが前記隙間において隣接してかつ前記静圧軸受けが前記他方の空間側になるように配置され、前記有体のシール要素が前記静圧軸受けと前記他方の空間との間に配置されていてもよい。
【0008】
本願の他の発明は、互いに雰囲気の異なる第1の空間及び第2の空間の少なくとも一方の空間を画定する第1の部材と、前記第1の部材に関して相対移動可能な第2の部材との間の隙間であって前記第1の空間と前記第2の空間との間にある隙間を非接触状態でシールするための差動排気シールを備えた差動排気シール装置において、前記差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時にのみ前記第1及び第2の両者の部材に接触して前記第1の空間を第2の空間と遮断する有体のシール要素を備え、前記隙間が前記第2の部材の片側にのみ形成されて前記一方の空間が前記第1の部材と第2の部材とによって画成され、前記有体のシール要素が、前記第1の部材に固定せれていて前記第2の部材と接触可能な固定シール部材で構成され、前記差動排気シール装置が、更に、差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時にのみ前記第2の部材を前記第1の部材側に押して前記第2の部材を前記固定シール部材と接触させる押圧手段を備えて構成されている。
差動排気シール装置を上記のように構成することにより、本発明では、差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時でも、第1及び第2の二つの空間の連通を効果的に遮断できる。また、固定シール部材は、シール機能を果たす時にエネルギーの供給なしにその機能を果たせる構造であり、接触という状態(エネルギーレベルが低い状態)をシール機能を維持できるようになっている。
上記差動排気シール装置が、前記隙間で機能する静圧軸受けを更に備え、前記静圧軸受け及び前記差動排気シールが前記隙間において隣接してかつ前記静圧軸受けが前記他方の空間側になるように配置され、前記有体のシール要素が前記静圧軸受けと前記他方の空間との間に配置されていてもよい。
【0009】
【実施例】
以下図面を参照して本発明の差動排気シール装置の第1の実施形態について説明する。なお、この実施形態では差動排気シールと静圧軸受けを用いた例について簡略化した図面を用いて説明する。
図1ないし図3において、本発明の差動排気シール装置の第1の実施形態が全体を10で示されている。同図において、11は清浄空間を構成し得る第1の空間1を画定する第1の部材であり、その部材11の外周側(図1及び2では左側にのみ表示)は第1の空間と雰囲気(圧力、清浄度或いは充填ガス種類等)が異なる第2の空間、例えば大気圧の空間2になっている。第1の部材11の側壁12には、第1の部材により画定された第1の空間1と第2の空間2とを連通する通路13がその側壁を貫通して形成され、その通路13を通して第2の部材21が配置されている。上記第1の部材11は第1の空間1(例えば真空チャンバ)を画定するハウジングであり、第2の部材21はそのハウジングに関して相対的に直線移動(図1及び図2において)可能なスライダであり得る。したがって、以下においては第1の部材をハウジングとし、第2の部材をスライダとして説明する。スライダ21はこの実施形態では横断面形状が矩形であり、したがって、そのスライダ21を受ける通路13も矩形である。スライダ21とハウジング11との間には所望の寸法、例えば約5〜50μm程度の隙間gが形成され、スライダ21がハウジング11と非接触で移動できるようになっている。
【0010】
ハウジング11に形成された通路13を画成する内周面14には、第2の空間2側に近い位置に静圧軸受け30を構成する溝31が形成されている。この溝31は通路13の周方向に亘って、スライダ21を囲むように全周に伸長しているが、図1及び図2では内周面14上部分及び下部分のみ表示されている。この溝31は清浄な空気又は清浄な不活性ガスの供給源35と開閉弁32を介して接続され、溝31内に清浄な空気又は不活性ガスを供給できるようになっている。内周面14には、また、溝31と第1の空間1との間に、差動排気シール40を構成する複数個(この実施形態では3個)の溝が41が形成されている。この溝41も通路13の周方向に亘ってスライダ21の外周を囲むように伸長しているが、図1及び図2では内周面14上下部分のみ表示されている。この溝41は図示しない真空源(真空タンク、真空ポンプ等を含む)45に開閉弁42を介して接続され、隙間内を流れるガスをこれらの溝を通して排出するようになっている。
【0011】
通路13の内周面14には、更に、静圧軸受け30の溝31と空間2との間に溝51が形成されている。溝51もスライダ21を囲むように通路13の周方向に亘って全周に伸びている。この溝51は気体又は液体等の流体の供給源55と開閉弁52を介して接続され、溝51内に気体又は液体を供給できるようになっている。溝51内には横断面が略U字形又はV字形を有するダイヤフラム状シール部材54が配置され、そのシール部材の両端縁は溝51の通路側開口端に公知の方法により固定されている。このシール部材54は溝51内に流体が供給されていないとき、図1に示されるように溝51内に引っ込んでいる形状になっている。ダイヤフラム状シール部材の材質は、フッソ系、シリコン系、酢酸ブチル系の樹脂やゴムなどが良い。
【0012】
上記構成の差動排気シール装置において、スライダ21は大気圧下にある空間2内に配置された図示しない駆動機構により水平方向(図1及び図3で左右方向)に直線往復移動可能になっている。このスライダの移動により第1の空間内において試料片などを移動させることができる。
開閉弁32が開いて清浄空気又は清浄不活性ガスの供給源35から静圧軸受け30の溝31内に清浄空気又は清浄不活性ガスが供給されると、その空気又はガスは溝31から隙間g内に流れ、スライダ21をハウジング11と接触しない状態(非接触状態)に保持する。したがって、スライダ21は図示しない駆動機構よりハウジングと非接触状態で滑らかに往復移動される。隙間g内に流れた空気又はガスの大部分は差動排気シール40の複数の溝41から開閉弁を介して負圧源45内に流れ、残りの一部は大気圧下にある第2の空間内に流れる。したがって、ほんの僅かな量の空気又はガスが清浄空間としての第1の空間1に流れるのみである。このような状態では、第1の空間1と第2の空間2との間は、見えない壁(非接触シールすなわち差動排気シール)で分離されていることになる。
なお、上記実施形態において、差動排気シールの三つの溝41のうち第1の空間側の一つの溝は排気用として使用せずに、パージガスポートとして使用することも可能である。
【0013】
静圧軸受け30の開閉弁32が閉じられて溝31内への清浄空気又は清浄不活性ガスの供給が停止されるとき又は/及び停止されているとき、差動排気シール装置40の開閉弁32も閉じられて溝31からの隙間g内の空気又はガスの排気を停止する。開閉弁32が閉じられるのと同時又は直後に開閉弁52が開かれて流体が溝51内に送られる。このため、ダイヤフラム状のシール部材54は図2に示されるように中央部が溝51の外に突出するように変形され、シール部材がスライダの外面22と接触する。このため、第1の空間1と第2の空間2との間の隙間gを介しての連通は、シール部材54によって遮断される。したがって、第2の空間2内の真空度或いは清浄度は差動排気シールが動作しているときより若干低下するが、差動排気シール装置を備えた装置の運転に支障を来すほどひどく低下することはない。上記のようにシール部材54により第1の空間と第2の空間との連通を遮断した後、第1の空間内に清浄度の高いガスを供給しても良い。
なお、上記実施形態ではスライダ21及び通路13の横断面形状が矩形の場合について説明したが、スライダ及び通路の横断面形状を円形、楕円形等の形状にしてもよい。
【0014】
図4ないし図6において、本発明の差動排気シール装置の第2の実施形態が示されている。なお、前記第1の実施形態に対応する構成要素には同じ参照番号に接尾語aを付して示し、構造及び機能が同じものについては詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
同図において、11a、11a′は清浄空間を構成し得る第1の空間1を画定するハウジングとしての第1の部材であり、21aはハウジング11a,11a′に関して相対移動(図4において左右方向に)可能なスライダとしての第2の部材である。この実施形態においては、ハウジングは二つあり、ハウジング11aはスライダ21aの上側に配置され、ハウジング11a′はスライダの下側に配置された部分とを備えている。ハウジング11a、11a′の外周側(図4では左側にのみ表示)は、第1の空間と雰囲気(圧力、清浄度或いは充填ガスの種類等)が異なる第2の空間、例えば大気圧の空間2になっている。
なお、ハウジング11aとスライダ21aとの間に設けられる静圧軸受け及び差動排気シールと、ハウジング11a′とスライダ21aとの間に設けられる静圧軸受け及び差動排気シールとは実質的に同じ構造であるから、前者についてのみ説明する。
【0015】
この実施形態では、ハウジング11aの側壁12aは、スライダの上側において第1の空間1を囲むように環状に(ハウジングが矩形の場合は角環状にまたハウジングが円形の場合には円環状に)伸び、側壁12aの下縁面14aは全周に亘ってスライダから所望の距離隔てられ、下縁面とスライダの間には所望の寸法、例えば約5〜50μm程度の隙間gが形成されている。したがって、スライダ21aがハウジング11aと非接触で移動できるようになっている。
ハウジング11aの下縁面14aには、第2の空間2側に近い位置に静圧軸受け30aを構成する溝31aが形成されている。この溝31aは下縁面の伸長方向に全周に亘って第2の空間を囲むように伸長しているが、図3ではその一部のみ表示されている。この溝31aは清浄な空気又は清浄な不活性ガスの供給源35aと開閉弁32aを介して接続され、溝31a内に清浄な空気又は不活性ガスを供給できるようになっている。下縁面14aには、また、溝31aと第1の空間1との間に、差動排気シール40aを構成する複数個(この実施形態では3個)の溝が41aが形成されている。この溝41aも下縁面の伸長方向に全周に亘って第2の空間を囲むように伸長している。この溝41aは図示しない真空源(真空タンク、真空ポンプ等を含む)45aに開閉弁42aを介して接続され、隙間内を流れるガスをこれらの溝を通して排出するようになっている。
【0016】
下縁面14aには、更に、静圧軸受け30aの溝31aと側壁12aの外周との間にダイヤフラム状シール部材54aが配置されている。このシール部材54aも溝31aと同様に下縁面の伸長方向に全周に亘って第1の空間を囲むように伸長している。シール部材の両縁は下縁面14aに公知の方法により固定されている。側壁12aには、このシール部材54aのほぼ中間の位置に開口する流体通路53a内に流体が供給されていないとき、図3に示されるように平坦状になっていて、下縁面14aに接した状態を保っている。このダイヤフラム状シール部材も、フッソ系、シリコン系、酢酸ブチル系の樹脂やゴムなどが良い。
静圧軸受け30a及び差動排気シール40aの動作は前記実施形態と同じである。静圧軸受け30aの開閉弁32aが閉じられて溝31a内への清浄空気又は清浄不活性ガスの供給が停止されるとき又は/及び停止されているとき、差動排気シール装置40aの開閉弁42aも閉じられて溝41aからの隙間g内の空気又はガスの排気を停止する。開閉弁32aが閉じられるのと同時又は直後に開閉弁52aが開かれて流体がダイヤフラム状のシール部材54aの後側に流入するため、シール部材54aは図6に示されるように中央部がスライダ側に突出し、スライダの外面22aと接触する。このため、第1の空間1と第2の空間2との間の隙間gを介しての連通は、シール部材54aによって遮断される。その他の動作は前記第1の実施形態と同じである。
なお、図4の実施形態では、シール部材54aの取付面を下縁面と面一にしてあるが、図7に示されるように取り付け面をシール部材の厚さ分だけ引っ込めてシール部材54aの外側面が下縁面と面一になるようにしてもよい。
更に、第2の実施形態のシール部材を第1の実施形態の差動排気シール装置に適用しても、また、第1の実施形態のシール部材を第2の実施形態の差動排気シール装置に適用してもよい。
【0017】
図8において本発明の差動排気シール装置の第3の実施形態が示されている。なお、第1の実施形態に対応する構成要素には同じ参照番号に接尾語bを付して示し、構造及び機能が同じものについては詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
同図において、11bは、スライダとしての第2の部材21bと共に清浄空間を構成し得る第1の空間1を画定するハウジングとしての第1の部材である。この部材11bの外周側は第1の空間と雰囲気(圧力、清浄度或いは充填ガス種類等)が異なる第2の空間、例えば大気圧の空間2になっている。この実施形態ではハウジングはスライダの片方(図6で上側)にのみに配置されている。スライダ用の駆動機構は、前記実施形態と同様に第2の空間内に配置され、スライダの移動により第1の空間内において試料片などを移動させることができる。
この実施形態では、ハウジング11bの側壁12bは、スライダの上側において第1の空間1を囲むように環状に(ハウジングが矩形の場合は角環状にまたハウジングが円形の場合には円環状に)伸び、側壁12bの下縁面14bは全周に亘ってスライダから所望の距離隔てられ、下縁面とスライダの間には所望の寸法、例えば約5〜50μm程度の隙間gが形成されている。したがって、スライダ21bがハウジング11bと非接触で移動できるようになっている。
【0018】
ハウジング11bの下縁面14bには、第2の実施形態と同様に静圧軸受け30bを構成する溝31b及び差動排気シール40bを構成する複数個(この実施形態では3個)の溝41bが形成されている。下縁面14bには、更に、静圧軸受け30bの溝31bと側壁12bの外周との間に固定シール部材54bが下縁面より突出するように固定されている。この固定シール部材とは、前記二つの実施形態のように流体圧の作用を受けて変形してスライダと接触するのでなく、流体圧の作用を何ら受けずに、以下で説明するようにスライダがハウジング側に押されることによってスライダと接触する機能を有するシール部材である。具体的には断面円形のいわゆるOリングシールでよいが、上記のような機能を有すればその他の形状シール部材でもよい。なお、図8では固定シール部材54bはハウジングの左右の下縁面にのみ示されているが、側壁12bが第1の空間1を囲むように形成されているので、この固定シール部材も側壁の下縁面全周に亘って無端状に配置されている。固定シール部材の材質も、フッソ系、シリコン系、酢酸ブチル系の樹脂やゴムなどが良い。
スライダ21bの下側には、スライダの移動方向に隔てられた固定シール部材の位置に対応した位置に、押圧装置60bが配置されている。この押圧装置60bは、ばね61bによってハウジング側に弾圧されたプランジャ62bを有し、そのプランジャの上端(スライダ側の端)にはスライダ21bの下面と接触するローラ63bが公知の方法により回転自在に固定されている。したがって、スライダ21bはローラ63bに接しながら図8で左右に直線的に往復移動するようになっている。
【0019】
上記構造の差動排気シール装置において、静圧軸受け30b及び差動排気シール40bの動作は前記実施形態と同じである。すなわち、開閉弁32bが開いて清浄空気又は清浄不活性ガスの供給源35bから静圧軸受け30bの溝31b内に清浄空気又は清浄不活性ガスが供給されると、その空気又はガスは溝31bから隙間g内に流れ、スライダ21を押圧装置60bによる押圧に抗してハウジングから離れる方向に押す。このため、スライダ21bはハウジング11の下縁面に固定された固定シール部材54bと接触しない状態(非接触状態)に保持される。したがって、スライダ21bは図示しない駆動機構よりハウジングと非接触状態で滑らかに往復移動される。隙間g内に流れた空気又はガスの大部分は差動排気シール40bの複数の溝41bから開閉弁を介して負圧源45b内に流れ、残りの一部は大気圧下にある第2の空間内に流れる。したがって、ほんの僅かな量の空気又はガスが清浄空間としての第1の空間1に流れるのみである。このような状態では、第1の空間1と第2の空間2との間は、見えない壁(非接触シールすなわち差動排気シール)で分離されていることになる。
なお、上記実施形態において、差動排気シールの三つの溝41のうち第1の空間側の一つの溝は排気用として使用せずに、パージガスポートとして使用することも可能である。
【0020】
静圧軸受け30bの開閉弁32bが閉じられて溝31b内への清浄空気又は清浄不活性ガスの供給が停止されるとき又は/及び停止されているとき、差動排気シール装置40bの開閉弁32bも閉じられて溝31bからの隙間g内の空気又はガスの排気を停止する。このため、隙間g内の流体圧の作用がなくなり、スライダ21bは押圧装置60bのばね61bの作用によりハウジング11b側に押し上げられ(図8において鎖線図示のように)、上面22bが固定シール部材54bに当接する。このため、第1の空間1と第2の空間2との間の隙間gを介しての連通は、シール部材54bによって遮断される。したがって、第2の空間2内の真空度或いは清浄度は差動排気シールが動作しているときより若干低下するが、差動排気シール装置を備えた装置の運転に支障を来すほどひどく低下することはない。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、差動排気シール装置に流体圧の作用で動作するダイヤフラム式シール部材を設けたことにより、或いは押圧装置で一方の部材を他方の部材に押圧することにより機能する固定シール部材を設けたことにより、差動排気シールに代表される非接触シールを備えた装置(例えば、半導体製造装置)を素性の良い装置にできるる。すなわち、装置の緊急停止時や運休時における清浄空間(真空チャンバー)内の清浄度を維持でき、装置の再起動時の真空到達速度が改善された装置とできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の差動排気シール装置の第1の実施例の部分断面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿ってみた図である。
【図3】図1に示される差動排気シール装置の異なる動作状態を示す図である。
【図4】本発明の差動排気シール装置の第2の実施例の部分断面図である。
【図5】第2の実施例の差動排気シール装置が設けられたハウジング及びスライダの全体を示す斜視図である。
【図6】図4に示される差動排気シール装置の異なる動作状態を示す図である。
【図7】ダイヤフラム式シール部材の取付方法の変形例を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の差動排気シール装置の第3の実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 第1の空間 2 第2の空間
11、11a、11b 第1の部材(ハウジング)
21、21a、21b 第2の部材(スライダ)
30、30a、30b 静圧軸受け
40、40a、40b 差動排気シール
54、54a ダイヤフラム式シール部材
54b 固定シール部材

Claims (3)

  1. 互いに雰囲気の異なる第1の空間及び第2の空間の少なくとも一方の空間を画定する第1の部材と、前記第1の部材に関して相対移動可能な第2の部材との間の隙間であって前記第1の空間と前記第2の空間との間にある隙間を非接触状態でシールするための差動排気シールを備えた差動排気シール装置において、
    前記差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時にのみ前記第1及び第2の両者の部材に接触して前記第1の空間を第2の空間と遮断する有体のシール要素を備え、
    前記有体のシール要素が、周辺部が前記第1の部材に固定れていて流体圧の作用を受けて前記第2の部材側に突出して前記第2の部材と接触する伸長可能なダイヤフラム状シール部材であり、
    前記差動排気シールと有体のシール要素との相互間に静圧軸受けを備え、
    前記前記第1の空間は前記第2の空間よりも圧力の低い清浄空間であり、
    前記第1の空間側から第2の空間に向かって順に前記差動排気シール、静圧軸受け及び有体のシール要素が配置されていることを特徴とする差動排気シール装置。
  2. 請求項1に記載の差動排気シール装置において、
    前記隙間が前記第2の部材の両側に形成され、隙間を非接触状態でシールするための前記差動排気シールが前記第2の部材の少なくとも相反する2面側に設けられている差動排気シール装置。
  3. 互いに雰囲気の異なる第1の空間及び第2の空間の少なくとも一方の空間を画定する第1の部材と、前記第1の部材に関して相対移動可能な第2の部材との間の隙間であって前記第1の空間と前記第2の空間との間にある隙間を非接触状態でシールするための差動排気シールを備えた差動排気シール装置において、
    前記差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時にのみ前記第1及び第2の両者の部材に接触して前記第1の空間を第2の空間と遮断する有体のシール要素を備え、
    前記隙間が前記第2の部材の片側にのみ形成されて前記一方の空間が前記第1の部材と第2の部材とによって画成され、
    前記有体のシール要素が、前記第1の部材に固定れていて前記第2の部材と接触可能な固定シール部材で構成され、
    前記差動排気シール装置が、更に、差動排気シールの機能が停止する時又は停止している時にのみ前記第2の部材を前記第1の部材側に押して前記第2の部材を前記固定シール部材と接触させる押圧装置を備える差動排気シール装置。
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