JP4205818B2 - 脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法 - Google Patents

脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、精錬炉の脱炭精錬の際に生成した脱炭スラグを用いて、溶銑の脱燐を行う脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製鋼に用いる溶銑は、シリコンや硫黄、燐〔P〕等の不純物を含んでおり、予めこれ等の不純物を除去する脱珪、脱硫、脱燐等の予備処理が行われている。
脱燐処理では、溶銑に、生石灰、ソーダ灰等の脱燐フラックスと、燐を酸化する気体酸素あるいは固体酸化剤である酸化鉄やスケール、集塵ダスト、スラジ等を添加したり、吹き込む(インゼクション)ことにより、燐を酸化させて燐酸化物(P25 )にし、スラグ中のCaO等に捕捉させて除去する。
しかし、脱燐処理を行うことによって、生石灰や酸化鉄等が反応したスラグが多量に発生し、このスラグの処理を行たっり、資源としてリサイクルする際に制約を受ける等の問題がある。
この対策として、特開昭60−194005号公報には、溶融あるいは高温の転炉の脱炭スラグをそのまま容器に添加して溶銑と接触させ、脱燐等の処理を行うことが記載されており、脱炭スラグ中に含まれる酸化鉄、CaO及び脱炭スラグの保有熱等を脱燐処理に有効利用することが記載されている。
更に、特開平1−252717号公報には、転炉の脱炭時のスラグ生成量を最小限に抑えた精錬(レススラグ法)の脱炭スラグを容器内の溶銑に添加して不活性ガスにより攪拌しながら、別のランスから酸素ガスを溶銑に吹き付けて、脱燐処理を行い、スピッティングを抑制している。
また、特公平4−37132号公報には、2基の上底吹き転炉を用い、脱炭専用の上底吹き転炉の脱炭スラグを他の上底吹き転炉内の溶銑に添加して、ランスと底吹きノズルから酸素の吹き込みを行って、溶銑中の燐を酸化して脱燐を行う。そして、脱炭スラグ中に含まれる鉄やマンガン等の還元回収を行うと共に、脱燐コストの低減を図ることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭60−194005号公報では、溶融あるいは高温の転炉の脱炭スラグを用いるため、溶滓鍋による搬送等のハンドリングに多大の手間を要し、しかも、溶銑の容器内で急激な反応が生じてフォーミングが発生し、スラグや溶銑が容器から溢れて重大事故を招いたり、操業が不安定化する。
脱炭スラグが赤熱状態で固化している場合は、大きな塊を形成するため、溶銑との接触表面が小さくなるので、脱燐反応が低下し、脱燐に時間を要する等の問題がある。
更に、特開平1−252717号公報では、脱炭スラグを容器内の溶銑の上に添加して、不活性ガスを吹き込んで攪拌することにより脱燐するため、スラグ・メタル(溶銑)界面の脱燐反応が主体になり、脱燐効率が低下し、処理に時間を要し、到達燐濃度も高くなる。
しかも、酸化鉄を含んだ脱炭スラグに酸素を吹き付けるため、容器内の攪拌に伴って巻き込まれた脱炭スラグと溶銑中の炭素の急激な反応が起こり、突発的なフォーミングが発生し易く、操業が中断したり、スラグや溶銑が容器から溢れる等の事故を招く場合がある。
また、特公平4−37132号公報では、2基の上底吹き転炉を用いているため、脱燐処理設備が大型化し、設備保全や脱燐処理コストが高くなる。
更に、脱燐用の上底吹き転炉への溶銑の装入や処理後の溶銑の出銑の際の温度降下量が大きくなり、脱炭用上底吹き転炉の精錬の際に、スクラップの配合を制限するか、あるいは炭材等の熱源の消費が必要になる等の問題がある。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、脱炭スラグを溶銑の脱燐に用い、溶銑の脱炭精錬及び溶銑の脱燐処理により発生する総合的なスラグ量を低減し、脱燐効率を向上させて、フォーミング等を抑制して安定した操業を行うことができる脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法は、精錬炉内の溶銑Aを吹酸して脱炭精錬する際に生成した脱炭スラグを破砕し該脱炭スラグを、脱珪処理した別の溶銑Bに添加しながら酸素を供給して脱燐する溶銑の脱燐方法において、前記脱炭スラグの塩基度を3.5以下、T・Fe(トータルFe)を15重量%以上にして前記溶銑Bに吹き込む、即ちインゼクション(injection)する。
この方法により、溶融(プリメルト)され、複合化合物を生成して固まったものを破砕した脱炭スラグを溶銑中にインゼクションするので、浮上中に溶銑の熱により溶解し、直接溶銑に接触して起きる脱燐反応と、浮上して迅速に溶融したスラグによるスラグ・メタル界面の脱燐反応との相乗作用を利用して、脱燐効率を高めることができ、脱炭スラグに含まれる酸化鉄や吹き付けた酸素と反応して生成したP25 をCaOにより安定してスラグ中に捕捉することができる。
この脱炭スラグの塩基度(CaO/SiO2 )が3.5を超えると、溶銑の熱により溶解する量が少なくなったり、スラグの融点が高くなって滓化が悪くなり、脱燐効率が低下する。更に、T・Feが15重量%より少ないと、脱炭スラグ中の酸化鉄が不足し過ぎて溶銑中の燐の酸化が不十分になり、脱燐反応が低下する。
【0006】
ここで、前記脱炭スラグに含有されるP25 を2.5重量%以下にすると好ましい。
これにより、脱炭スラグの脱燐能力を高め、溶銑を脱燐処理した後のスラグからの復燐を防止して到達燐濃度を低減することができる。なお、P25 が2.5重量%を超えると脱燐効率が低下する。
【0007】
また、前記溶銑Bの脱燐処理中のスラグの塩基度を2.5以上に調整する。これにより、スラグ中にP25として捕捉された燐が溶銑中の炭素やSi等によって、還元されて溶銑中に復燐するのを防止して到達燐濃度を低くすることができる。
【0008】
更に、前記酸素を固体酸素剤を用いて溶銑中に添加することもできる。
溶銑中に酸素を十分に供給して燐の酸化を促進でき、脱燐効率を向上することができる。
【0009】
また、前記脱炭スラグの吹き込みにより脱燐される推定燐濃度値と到達燐濃度値を比較して、脱燐量が不足する場合に、不足量に応じて、脱燐フラックスを前記溶銑B中に吹き込んでもよい。
この方法により、脱炭スラグを最大限に使用して脱燐でき、不足する量に対して脱燐フラックスを用いるので、安定した操業が可能になり、到達燐濃度を確実に低くすることができる。
【0010】
更に、前記脱炭スラグと前記脱燐フラックスを2系統の吹き込み装置を用いて別々に吹き込むことができる。
別の系から不足する脱燐フラックスを吹き込むので、迅速に且つ連続して脱燐処理を行うことができ、処理中のスラグ組成を任意に調整することができるので、操業の安定性の確保や処理時間の短縮、生産性等が向上できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明の一実施の形態に係る脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法に適用される溶銑予備処理装置の全体図、図2は同脱炭スラグが製造される精錬炉の説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法に用いられる溶銑予備処理装置10は、予備処理容器の一例であるトピードカー11と、冷却して破砕を行った粒の脱炭スラグ12を貯蔵するブロータンク13と、ブロータンク13に取付けられた切り出し弁14に連通したフレキシブルホース15と、フレキシブルホース15の一端に接続され、先端に溶銑16内に浸漬される吐出口17を設けた吹き込みランス18を設けている。
更に、脱燐フラックスの一例である生石灰19を貯蔵する貯蔵ホッパー20及びその切り出し弁21と、固体酸素剤の一例である酸化鉄含有ダスト(以下、酸化鉄ダストという)22を貯蔵する貯蔵ホッパー23及びその切り出し弁24と、切り出し弁21、24に連通したブロータンク25と、一端がブロータンク25に取付けられたフレキシブルホース26の他端に接続され、溶銑16内に浸漬される吐出口27を設けた吹き込みランス28を備えている。
従って、脱炭スラグ12と生石灰19(又は酸化鉄ダスト22)の吹き込みは、2系統の吹き込み装置により行われることになる。
なお、符号29は、トピードカー11内に生成したスラグである。
また、図2に示すように、脱炭スラグ12が生成する精錬炉の一例である上底吹き転炉30は、脱燐処理した後の溶銑16aを投入しており、吹酸する上吹きランス31と、不活性ガスや酸素を吹き込む底吹きノズル32と、脱炭精錬の際に、上底吹き転炉30内に副原料である生石灰や鉄鉱石、ドロマイト等を添加する副材シュート33を備えている。
なお、符号34は脱炭精錬された溶鋼を取鍋等に出鋼するための出鋼口である。
【0012】
次に、本発明の一実施の形態に係る脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法について説明する。
脱珪処理を行った後の1300〜1400℃、燐を0.120重量%含んだ溶銑16をトピードカー11に250トン入れた。
この溶銑16内に、ブロータンク13に貯蔵した250〜2500kgの脱炭スラグ12を4kg/cm2 の圧力を有する窒素ガスにより搬送し、溶銑16内に浸漬した吹き込みランス18の吐出口17から窒素ガスと共に、150〜500kg/分の速度で吹き込み(インゼクション)を行った。
更に、脱炭スラグ12のインゼクションの開始と同時に、貯蔵ホッパー23から切り出され、ブロータンク25に貯留した酸化鉄ダスト22を吹き込みランス28の吐出口27から溶銑16中にインゼクションした。
【0013】
ここでの脱燐反応は、脱炭スラグ12を溶銑16中に直接インゼクションして行われるので、脱炭スラグ12が溶銑16と接触して溶銑16の熱により表層が溶融し、表層に含まれるT・Fe中の酸化鉄や酸化鉄ダスト22中の酸化鉄と燐が反応してP25 を生成し、脱炭スラグ12中に含まれるCaOと結合して脱燐される場合と、脱炭スラグ12や酸化鉄ダスト22が溶銑16の上部に浮上して生成したスラグ29と溶銑16の界面でのスラグ・メタル間で下記(1)式の脱燐反応が生じる場合とがある。
後者の脱燐反応に必要な酸素は、脱炭スラグ12中のT・Feの酸化鉄と酸化鉄ダスト22から供給される。
6P+5Fe23 →10Fe+3P25 ・・・・・(1)
しかし、酸素の供給速度が速くなると、溶銑16中の酸素が局部的に過剰になり、この酸素が溶銑16中に含まれる炭素と反応してCOガスを発生し、スラグ29がフォーミングを起こし、トピードカー11からスラグ29や溶銑16が溢れ出て操業の中断や設備事故等のトラブルを招く場合がある。
このスラグ29のフォーミングを抑制するには、酸化鉄ダスト22の供給速度を50〜250kg/分にすることが必要である。
これは、酸化鉄ダストの供給速度が50kg/分より少ないと、脱燐反応が遅くなり、脱燐処理時間が延長したり、到達燐濃度が高くなる。一方、酸化鉄ダストの供給速度が250kg/分より多くなると、スラグ中の酸素濃度が極端に高くなり、スラグのフォーミングが生じ易くなる。
従って、酸化鉄ダスト22の供給速度は、100〜200kg/分にするとより好ましい結果が得られる。
【0014】
なお、前記脱燐処理に用いられる脱炭スラグ12は、図2に示すように、上底吹き転炉30に投入された脱燐処理した後の溶銑16aに副材シュート33から生石灰や鉄鉱石等を添加し、上吹きランス31から酸素を上吹きし、底吹きノズル32から攪拌用のガスを供給して、所定の炭素値まで脱炭する脱炭精錬によって生成される。
この脱炭スラグ12は、脱炭精錬を終了する際に、脱炭スラグ12の塩基度(CaO/SiO2 )を3.5以下に、T・Feを15重量%以上、P25 を2.5重量%以下になるように調整されており、この他にAl23 、MnO、MgO等の酸化物を含んでいる。
ここで、T・Feは、0.6〜0.8倍のFeOと、0.3〜0.5倍のFe23 を含んでおり、残部が1〜3重量%の金属鉄である。
また、塩基度の調整は、上底吹き転炉30に使用する生石灰の量を増減したり、珪石等を添加することによって行うことができる。T・Feは、吹酸量や吹酸するランスの位置を変化させて吹き付ける(ソフトブローあるいはハードブロー等)ことにより調整を行うことができる。
【0015】
そして、溶融状態で上底吹き転炉30から図示しない排滓鍋に移され、冷却してから、150μm以下のサイズのものが70重量%以上含まれるように破砕される。
脱炭スラグの塩基度が3.5を超えると、融点が高くなって溶銑との反応性が悪くなり、脱燐効果が低下する。更に、脱炭スラグ中のT・Feが15重量%より少ないと、酸素の含有量が不足して溶銑中の燐を十分に酸化することができず脱燐反応が低下する。
しかし、塩基度が低くなる場合は、脱燐反応によって生成したP25 を捕捉して安定させるCaOが不足して復燐等を生じるので2.5以上にすると良く、T・Feについても30重量%以下にすることにより、溶銑中の炭素と反応する過剰の酸素を抑制してフォーミングを防止することができる。
更に、150μm以下のものが70重量%より少ない粒度になると、粒が大きくなり過ぎ、インゼクションの際に吐出口に詰まったり、溶銑と接触した際の反応性が悪くなる。
この脱炭スラグ12は、溶解(プリメルト)されたものを微細な粒にしているので、溶解性に優れており、溶銑16中にインゼクションすることによって、溶銑16の熱により容易に溶解することができる。
その結果、インゼクションされた脱炭スラグ12の粒は、溶銑16中の燐と直接に接触して起きる固液反応と、浮上して迅速に溶融したスラグによるスラグ・メタル界面の脱燐反応との相乗作用により脱燐が行われる。
しかも、酸化鉄ダスト22から溶銑16中に供給される酸素が局部的に多くなって、この酸素が炭素と反応してフォーミングを助長するのを脱炭スラグ12中の酸化鉄を活用することで抑制することができる。
【0016】
次に、脱炭スラグ12を吹き込んで酸化鉄をスラグ29に添加して脱燐を行っている途中で、溶銑16をサンプリングし、溶銑16の燐濃度を測定し、現時点の脱炭スラグ12の使用量から、全量を使用した際の溶銑16中の燐濃度値を過去あるいは直近の測定データから予測する。
この推定燐濃度値が到達燐濃度値より高くなる場合は、その差に相当する燐を脱燐するのに必要な量の生石灰19を脱炭スラグ12とは別の系統に備えた貯蔵ホッパー20の切り出し弁21を開いてブロータンク25に搬送し、生石灰19を単独、あるいは酸化鉄ダスト22と混合して、吹き込みランス28から溶銑16中に吹き込む。
この生石灰19を吹き込むことにより、溶銑16中の燐を容易に到達燐濃度まで脱燐することができる。
この生石灰19の使用量は、例えば燐濃度0.001重量%に対して0.10〜0.15kg/溶銑トンに見合う量を用いるが、溶銑温度、スラグ29の塩基度等によって多少増減する。
そして、溶銑16の脱燐処理に対し、脱炭スラグ12を全量もしくは最大限使用することができ、脱炭スラグ12に起因するフォーミングを抑制でき、脱炭スラグ12を有効利用することで、製鋼工程で発生する総合的なスラグ量を減少することができる。
【0017】
【実施例】
次に、脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法の実施例について説明する。
脱珪処理を行った後の1350℃、燐を0.120重量%含む溶銑を250トントピードカーに入れ、脱炭スラグを溶銑中にインゼクションし、固体酸素剤の一例として集塵ダストを溶銑中に添加しながら脱燐処理を行った。そして、到達燐濃度に達しないと予想された場合のみ生石灰のインゼクションを行った。その結果を表1に示す。
実施例1は、脱炭スラグの塩基度を3.5、T・Feを15重量%の脱炭スラグ5400kgを用い、150kg/分の吹き込み速度にし、集塵ダストの添加速度を150kg/分として溶銑中にインゼクションして脱燐を行い、生石灰をインゼクションしなかった場合であり、到達燐濃度を0.020重量%にすることができ、脱炭スラグを全量使用したにも係わらずフォーミング等の操業トラブルが無く(○)、生産性やスラグの総量等を含めた総合評価は良い(○)結果が得られた。
実施例2は、脱炭スラグの塩基度を2.5、T・Feを20重量%の脱炭スラグ6300kgを用い、150kg/分の吹き込み速度にし、集塵ダストの添加速度を150kg/分として溶銑中にインゼクションして脱燐を行い、生石灰をインゼクションしなかった場合であり、到達燐濃度を0.025重量%にすることができ、脱炭スラグを全量使用したにも係わらずフォーミング等の操業トラブルが無く(○)、生産性やスラグの総量等を含めた総合評価は良い(○)結果が得られた。
実施例3は、脱炭スラグの塩基度を2.5、T・Feを20重量%の脱炭スラグ6300kgを用い、150kg/分の吹き込み速度にし、集塵ダストの添加速度を150kg/分として溶銑中にインゼクションして脱燐し、到達燐濃度が0.005重量%高くなることが予想されたので、生石灰を950kg追加インゼクションした場合であり、到達燐濃度を0.020重量%にすることができ、脱炭スラグを全量使用したにも係わらずフォーミング等のトラブルが無く(◎)、生産性やスラグの総量等を含めた総合評価は良い(◎)結果が得られた。
【0018】
【表1】
Figure 0004205818
【0019】
これに対し、比較例1は、脱炭スラグの塩基度を4.5、T・Feを15重量%の脱炭スラグ4200kgを用い、150kg/分の吹き込み速度で溶銑中にインゼクションし、気体の酸素を別のランスからスラグに吹き付けた場合であり、到達燐濃度が0.030重量%と高くなり、フォーミング等の操業トラブルが発生し(×)、生産性やスラグの総量等を含めた総合評価は悪い(×)結果になった。
比較例2は、脱炭スラグの塩基度を3.5、T・Feを12重量%の脱炭スラグ5500kgを用い、溶銑の上に入れ置きし、気体の酸素を別のランスからスラグに吹き付けた場合であり、到達燐濃度が0.027重量%と高くなり、フォーミング等の操業トラブルが発生し(×)、生産性やスラグの総量等を含めた総合評価は悪い(×)結果になった。
【0020】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、固体酸素剤としては、製鉄工程で発生するスラジ、集塵ダスト等で酸化鉄を含有したダストの他に鉄鉱石粉を用いることができ、酸化鉄を含有したダストに鉄鉱石粉を混合しても良い。
更に、固体酸素剤に替えて、気体酸素をランスからスラグに吹き付けることもでき、固体酸素剤と気体酸素を併用することもできる。
【0021】
【発明の効果】
請求項1〜記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法は、精錬炉内の溶銑Aを吹酸して脱炭精錬した際に生成した脱炭スラグを破砕し脱炭スラグを、脱珪処理した別の溶銑Bに添加しながら酸素を供給して脱燐する溶銑の脱燐方法において、脱炭スラグの塩基度を3.5以下、T・Feを15重量%以上にして溶銑Bに吹き込むので、脱燐効率を高めることができる。更に、溶銑の脱炭精錬と溶銑の脱燐によって発生する総合スラグ量を低減することができ、フォーミング等を抑制した安定操業を行うことができる。
また、溶銑の脱燐処理中のスラグの塩基度を2.5以上に調整するので、脱燐処理中あるいは処理後の復燐を確実に防止でき、到達燐濃度を低くすることができる。
【0022】
特に、請求項2記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法は、脱炭スラグに含有されるP25 を2.5重量%以下にするので、脱炭スラグによる脱燐能力を高め、到達燐濃度を安定して低減することができ、脱炭精錬での脱燐を行うための生石灰等の副材料を節減することができる。
【0024】
請求項記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法は、酸素を固体酸素剤を用いて溶銑中に添加するので、酸素の供給速度を適正にしてスラグのフォーミングの発生を安定して抑制し、スラグ等の溢れや操業の中断等を防止でき、脱燐処理の生産性を向上することができる。
【0025】
請求項記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法は、脱炭スラグの吹き込みにより脱燐される推定燐濃度値と到達燐濃度値を比較して、脱燐量が不足する場合に、不足量に応じて、脱燐フラックスを溶銑B中に吹き込むので、脱炭スラグを最大限に使用して脱燐を行い、処理コストを低減でき、フォーミング等のない安定した操業を可能にし、到達燐濃度を効率良く低くすることができる。
【0026】
請求項記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法は、脱炭スラグと脱燐フラックスを2系統の吹き込み装置を用いて別々に吹き込むので、迅速に且つ連続して脱燐処理を行うことができ、処理中のスラグ組成を任意に調整して操業の安定性の確保や処理時間の短縮、生産性等が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法に適用される溶銑予備処理装置の全体図である。
【図2】同脱炭スラグが製造される精錬炉の説明図である。
【符号の説明】
10:溶銑予備処理装置、11:トピードカー、12:脱炭スラグ、13:ブロータンク、14:切り出し弁、15:フレキシブルホース、16:溶銑、16a:溶銑、17:吐出口、18:吹き込みランス、19:生石灰、20:貯蔵ホッパー、21:切り出し弁、22:酸化鉄含有ダスト、23:貯蔵ホッパー、24:切り出し弁、25:ブロータンク、26:フレキシブルホース、27:吐出口、28:吹き込みランス、29:スラグ、30:上底吹き転炉、31:上吹きランス、32:底吹きノズル、33:副材シュート、34:出鋼口

Claims (5)

  1. 精錬炉内の溶銑Aを吹酸して脱炭精錬する際に生成した脱炭スラグを破砕し該脱炭スラグを、脱珪処理した別の溶銑Bに添加しながら酸素を供給して脱燐する溶銑の脱燐方法において、前記脱炭スラグの塩基度を3.5以下、T・Feを15重量%以上にして前記溶銑Bに吹き込み、しかも、前記溶銑Bの脱燐処理中のスラグの塩基度を2.5以上に調整することを特徴とする脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法。
  2. 請求項1記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法において、前記脱炭スラグに含有されるP25を2.5重量%以下にしていることを特徴とする脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法。
  3. 請求項1又は2記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法において、前記酸素を固体酸素剤を用いて前記溶銑B中に添加することを特徴とする脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法において、前記脱炭スラグの吹き込みにより脱燐される推定燐濃度値と到達燐濃度値を比較して、脱燐量が不足する場合に、不足量に応じて、脱燐フラックスを前記溶銑B中に吹き込むことを特徴とする脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法。
  5. 請求項記載の脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法において、前記脱炭スラグと脱燐フラックスを2系統の吹き込み装置を用いて別々に吹き込むことを特徴とする脱炭スラグを用いた溶銑の脱燐方法。
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