JP4205777B2 - Fe基急冷金属薄帯 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトランス、磁気シールド、チョークコイル等の鉄心材料として用いられる、体積%で少なくとも 70 %以上が非晶質の Fe 基急冷金属薄帯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合金を溶融状態から急冷することによって、連続的に薄帯を製造する方法として遠心急冷法、単ロール法、双ロール法等が知られている。これらの方法は高速回転する金属製ドラムの内周面または外周面に溶融金属をオリフィス等から噴出させることによって、急速に溶融金属を凝固させて薄帯や線を製造するものである。さらに、合金組成を適正に選ぶことによって、液体金属に類似した非晶質合金を得ることができる。
【0003】
非晶質合金は、特徴ある性質を持っているため、実用的に注目されており、その一部については既に実用化されている。特に、Fe基非晶質合金は、電力トランスや高周波トランス用の鉄心材料として大きく期待されている。
従来、この様な急冷金属薄帯を製造する際の合金用原料は高純度原料を使用してきた。例えば、鉄源としては電解鉄、ボロン源としては高品位フェロボロンと言った様にである。これは、低品位原料中に含有される不純物による悪影響(磁気特性等の劣化など)を避けるためである。
【0004】
不純物についてはこれまで多くの研究が報告されている。例えば、特開昭57-137451 号公報では、Fe-Si-B 非晶質合金薄帯の不純物の最大許容量が示されている。公報中の実施例から例を挙げると、Fe-15.3at%B-5.8%Siの場合の最大許容量は、Mnが0.14% 、S が0.014%、P が0.005%(いずれも重量%)である。これらの許容量範囲を満たすためには、高純度原料を使用せざるを得ず、そのために、製造コストが高くなっていた。また、不純物による磁気特性や機械的特性等の特性劣化についても、幾つかの研究が報告されており、例えば、不純物Al含有による特性劣化の原因は、薄帯表面での結晶化であることが明らかにされている(例えば、C. Kaido et al. : Rapidly Quenched Metals IV vol.2 (1981) 957 )。
【0005】
しかし、急冷金属薄帯の機械的特性の劣化については、結晶化だけでは説明がつかず、高純度原料を用いて製造した場合でも、薄帯の鋳造・巻取り中に突然の破断が起きることや、ロット間あるいはロット内における場所によって、曲げ破壊歪みεf の標準偏差σが平均値< εf>の50% を越えるような機械的特性の大きなバラツキが生じることも多々あった。トランス製作において巻鉄心として薄帯を用いる場合、数mから数十mに及ぶ長尺の薄帯を必要とするので、同一ロット内で機械的特性のバラツキがある場合に、薄帯の機械的特性の悪い部分を切断して、機械的特性の良い部分のみを使用するという用い方は非常に困難である。従って、従来、トランス製作中の薄帯破断が殆んどなくなるような信頼性の高い、機械的特性のバラツキの少ない薄帯はなかった。更に、このことがトランス製作における薄帯の歩留まりの低下を招き、コストアップの原因となっていた。
【0006】
急冷金属薄帯中の非金属介在物に関しては、それが存在することの報告も殆んどなく、まして、その非金属介在物が薄帯の曲げ強度等の機械的特性や磁気特性に与える影響等について述べた報告は皆無である。非金属介在物について述べた例は、Alによる結晶化の原因がAl酸化物であるとの報告(H.C. Fiedler et al.: J. Magn. Magn. Mat., 26 (1982) 157 )があるぐらいである。
【0007】
一方、急冷金属薄帯という観点から従来材を見てみると、例えば、板厚:25μmレベルの材料においては、急冷金属薄帯中に存在する非金属介在物(例えば、Feを主体とする酸化物、あるいはAlまたはSiを主体とする酸化物)の存在密度が107 個/mm3程度で、その粒度分布は3 μm以下という小さい非金属介在物が圧倒的に多いという材料もあることが今回初めて分かった。しかしながら、実際にはほとんどの材料が前述の非金属介在物存在密度および粒度分布が全くランダムな状態で存在し、しかも過去には殆んど認識すらされていなかったという実情がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、機械的特性が改善されるとともに、そのバラツキが低減された、体積%で少なくとも 70 %以上が非晶質のFe基急冷金属薄帯を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は以下の通りである。
【0011】
(1)組成が原子%で、Feが70%以上86%以下、
Siが1%以上19%以下、
Bが7%以上20%以下であり、かつ、体積%で少なくとも70%以上が非晶質の急冷金属薄帯であって、
薄帯の板厚が10μm以上20μm以下であり、
薄帯中に含まれる非金属介在物の大きさの最大値が薄帯板厚の50%以下であり、
3μm以上10μm以下の大きさの非金属介在物の存在密度が、1個/mm3以上1×104個/mm3以下であり、
0.3μm以上3μm未満の大きさの非金属介在物の存在密度が、10個/mm3以上1×106個/mm3以下である急冷金属薄帯であって、
薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>>0.1であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の50%以下であることを特徴とするFe基急冷金属薄帯。
ここで、εf=t/(D-t)であり、tは薄帯の板厚(mm)、Dは薄帯が破壊したときの曲げ直径(mm)である。
(2)組成が原子%で、Cを0.1%以上4%以下含むことを特徴とする前記(1)に記載の急冷金属薄帯。
【0012】
(3)最も大きな非金属介在物の大きさが10μm以下であり、3μm以上10μm以下の大きさの非金属介在物の存在密度が、1個/mm3以上3×103 個/mm3以下である急冷金属薄帯であって、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>>0.1であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の30%以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のFe基急冷金属薄帯。
【0014】
(4)3μm以上10μm以下の大きさの非金属介在物の存在密度が、1個/mm3以上3×103個/mm3以下であり、0.3μm以上3μm未満の大きさの非金属介在物の存在密度が、10個/mm3以上5×105 個/mm3以下である急冷金属薄帯であって、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>=0.8〜1.0であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の30%以下であることを特徴とする前記(3)に記載のFe基急冷金属薄帯。
【0015】
(5)薄帯中に存在する、単位体積当たりの非金属介在物の数の20%以上が、Fe,Al,Si,B,Cr,Ni,Mn,Mg,Ca,Cu,Sn,Zrの1種または2種以上の元素を含む非晶質酸化物であり、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>>0.1であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の40%以下であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のFe基急冷金属薄帯。
【0016】
(6)薄帯中に存在する、単位体積当たりの非金属介在物の数の20%以上が、Fe,Al,Si,B,Cr,Ni,Mn,Mg,Ca,Cu,Sn,Zrの1種または2種以上の元素を含む非晶質酸化物であり、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>>0.1であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の20%以下であることを特徴とする前記(3)に記載のFe基急冷金属薄帯。
【0018】
(7)薄帯中に存在する、単位体積当たりの非金属介在物の数の20% 以上が、Fe,Al,Si,B,Cr,Ni,Mn,Mg,Ca,Cu,Sn,Zrの少なくとも1種または2種以上の元素を含む非晶質酸化物であり、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>=0.8〜1.0であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の20%以下であることを特徴とする前記(4)に記載のFe基急冷金属薄帯。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、従来、誰もが注目しなかった、薄帯中の非金属介在物の大きさおよびその存在密度と機械的特性の関係を詳細に検討した結果、その大きさおよび存在密度を制御することにより、低純度の原料を用いた場合でも機械的特性が改善されるとともに、そのバラツキが低減された、体積%で少なくとも 70 %以上が非晶質のFe基急冷金属薄帯(以下、急冷金属薄帯、急冷薄帯、または、薄帯ということがある。)である。更に、介在物をより厳密に制御することにより、焼鈍後において、機械的特性が改善されたFe基急冷金属薄帯である。以下に、本発明者らがFe基急冷金属薄帯の研究過程で得た知見を説明する。
【0024】
本発明者らは、種々の合金素材を用いた薄帯を作製し、曲げ強度などの機械的特性や磁気特性を調べている過程において、ロット間あるいはロット内においても場所により曲げ強度の測定値がばらつくことに気が付いた。そして、その原因を調べていく中で、薄帯の内部を詳細に組織観察した結果、1ロットの中でも場所によって非金属介在物(以後介在物と記す。)の大きさと存在密度が異なることが分かった。更に、曲げ破断させた薄帯の破断面近傍の介在物の大きさおよびその存在密度の関係を調べた結果、それらは曲げ強度と密接に関係していることが明らかになった。特に、薄帯が破壊する場合、介在物が破壊起点となっていることを破面観察から見いだすことができた。図1にSEM 観察で捉えた破壊起点を示す。この起点の元素分析の結果、Fe-Si-B-Al系酸化物であることが分かった。そして、薄帯の曲げ強度のバラツキが、介在物の大きさおよび存在密度との相関があるとの知見を得た。
【0025】
薄帯中の介在物を透過電子顕微鏡(TEM) 、走査電子顕微鏡(SEM) 、X線マイクロアナライザー(EPMA)等を用いて詳しく分析した結果、介在物は、主として酸化物であり、その他に、TiB2等のほう化物、Fe-Cr 炭化物等が存在する。酸化物は、Fe, Al, Si, B, Cr, Ni, Mn, Mg, Ca, Cu, Sn, Zr の1種または2種以上の元素を含むものであり、主なものは、Fe2O3 等のFeを主成分とするもの、SiO2等のSiを主成分とするもの、Al2O3 等のAlを主成分とするものである。また、結晶質の酸化物ばかりでなく、非晶質の酸化物が存在することが分った。結晶質の酸化物の形状は、角張っているものや丸いものが混在しているのに対し、非晶質酸化物は殆んど丸い形であった。図2(a) に角張っている結晶質酸化物のTEM 写真の明視野像と、図2(b) に同酸化物の回折像を示す。また、図3(a) に丸い非晶質酸化物のTEM 写真の明視野像を示し、図3(b) に同酸化物の回折像を示す。
【0026】
本発明者らは、原料(原料から溶製された母合金も含む)中の介在物についても同様に分析し、薄帯中の介在物と比較した。その結果、原料中の介在物がそのまま薄帯中に残ったもの、原料中の介在物へ原料の溶解途中に溶湯中の他の元素が入ることによって別の介在物に変化したと推定されるものが見られた。このように変化した介在物は結晶質と非晶質の両者が存在していた。非晶質酸化物は原料中には観察されないことから、原料中に存在した結晶質酸化物が溶湯中の他の元素(特に非晶質形成元素であるB)を吸収して非晶質化したと考えられる。これらのことから、薄帯中の介在物の多くが原料中の介在物を起源としていることが明らかになったのである。原料起源の介在物の他には、ルツボ等の耐火物を起源としている介在物(Al2O3 、MgO 等)も観察された。以上より、原料起源の介在物が多く存在することから、原料中の介在物を制御することにより、薄帯中の介在物が制御可能であること見いだしたのである。
【0027】
本発明者らが得た上述した知見より、介在物を限りなくゼロに向かって減少させると薄帯の機械的特性の向上が見られる。しかし、介在物を限りなくゼロに向かって減少させることは、高純度な原料の使用や介在物を減少させるために複雑な精製工程の設置が必要となるために製造コストの上昇を招き、工業的見地から考えて好ましくない。そこで、本発明者らはさらに研究を進め、薄帯中の介在物の大きさと存在密度を一定範囲内に制御することにより、機械的特性に優れ、かつ、その特性のバラツキが少ない急冷金属薄帯が得られることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
【0028】
本発明の特徴は、介在物を相当量含んでも薄帯がトランス鉄心用途等の実用に耐える機械的特性を持つことにある。破壊のGriffith理論によれば、介在物を球状と仮定すると介在物の大きさにより破壊歪みが決まる。大きい介在物は小さい曲げ歪みで破壊起点となり薄帯の破壊に至るのである。つまり、薄帯の破壊が単純曲げ破壊であるとすると、単純曲げ応力がかかっている領域に存在する介在物のうち、最も大きい介在物が破壊起点となり一気に亀裂進展が起こり破壊に至るのである。従って、薄帯の機械的特性を向上させるには、介在物の大きさを出来るだけ小さくする必要がある。本発明者らは介在物の薄帯の機械的特性に及ぼす影響を調査した結果、従来から言われている介在物の大きさだけでなく、その存在密度が薄帯の機械的特性に大きく関係していることを新たに見いだした。ここで、介在物の存在密度は、単位体積中の介在物の存在個数で表すこととする。幾つかの介在物が互いにくっついて見かけ上1つの介在物と考えられるときは、その集合体を1つの介在物として数える。また、介在物の大きさとは、介在物が単体で存在している時はその介在物の持つ最大の長さを、幾つかの介在物が互いにくっついている場合は、その集合体が持つ最大の長さをそれぞれ介在物の大きさとする。その模式図を図4(a), (b)にそれぞれ示す。図4(a) は単体の介在物の例であり、図4(b) は介在物が集積の例である。
【0029】
本発明者らは、低品位から高品位までの様々な品位の原料を用いて製造した薄帯(鋳造・巻取り中に破断した薄帯も含む)中の介在物と機械的特性を調査した結果、薄帯中の介在物が薄帯の機械的特性に及ぼす影響を、介在物の大きさを指標にして、5種類の群に分類できることを明らかにした。
分類の第1群は、薄帯板厚の50% を越えるような大きな介在物である。この大きさの介在物は、鋳造・巻取り中に破断を起こした薄帯のみにごく少数観察された。鋳造・巻取り中には、薄帯に引っ張り応力がかかるため、薄帯板厚の50% を越えるような大きな介在物が存在すると、その場所から破断すると考えられる。
【0030】
第2群は、大きさが10μm超、薄帯板厚の50% 以下である介在物である。この範囲の大きさの介在物の存在密度は、102 個 / mm3以下と少数であった。この範囲の大きさの介在物は、薄帯の破壊起点となることと、薄帯の機械的特性のバラツキの原因となっていることが分かった。薄帯の曲げ強度を調査している中で、際だって悪い特性を示す薄帯がときどき見られ、これらの薄帯では、薄帯中に存在する10μm超、薄帯板厚の50% 以下である介在物が破壊起点となっていた。この大きさが10μm超、薄帯板厚の50% 以下である介在物は数が少なく偏在しているため、曲げ応力が負荷されている領域にこの介在物があれば、薄帯の平均曲げ強度より際だって弱い曲げ強度を示すが、その領域にこの介在物がなければそうはならない。従って、この範囲の大きさの介在物の存在密度が高いと、機械的特性のバラツキが大きくなるのである。
【0031】
第3群は、大きさが3 μm以上10μm以下の介在物で、その存在密度は105 個 / mm3以下である。この範囲の大きさの介在物も破壊起点となる。しかし、介在物の存在密度が低いと、亀裂が発生してもその進展が起きても途中で停止するため、薄帯の破壊にまでは至らない。ところが、この大きさの介在物の存在密度が高いと、一旦亀裂が発生すると幾つかの介在物を亀裂が伝わっていく様式で最終的な破壊に至る。
【0032】
第4群は、0.3 μm以上3 μm未満の介在物で、その存在密度は、108 個 / mm3以下である。この0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物は、破壊起点となることは少ない。また、破壊起点となっても亀裂が途中で停止する場合が多く、破壊まで至らないことが多い。しかし、存在密度が非常に高くなると、亀裂が介在物をわたって伝播しやすくなるため、機械的特性は劣化する。
【0033】
第5群が、0.3 μm未満の大きさの介在物である。この大きさの介在物は機械的特性の劣化に関与しない。
更に5つの群に分類した中で、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物と0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物が薄帯の機械的特性に大きく関係することも明らかになった。すなわち、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物が破壊起点となり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物と0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度により亀裂が進展するかどうか決まることが分かった。これらの大きさの介在物の存在密度が少なければ破壊に至る確率が低くなり、多くなれば破壊に至る確率は高くなる。
【0034】
介在物の実態については、3 μm未満の介在物は、Al2O3 やSiO2などの単体の介在物が多く、3 μm以上の介在物はいくつかの単体の介在物が集合して大きな介在物を構成している場合が多い。
非晶質酸化物は、前述した通り、Fe, Si, Al, B, Cr, Ni, Mn, Mg, Ca, Cu, Sn, Zr の1種または2種以上の元素を含むものであり、Feを主成分とするもの、Siを主成分とするもの、Alを主成分とするものが主体である。そして、薄帯中の全介在物の中で非晶質酸化物の存在密度の割合が大きくなるほど、薄帯の機械的特性のバラツキが小さくなる傾向が見られた。これは、結晶質酸化物の形状が角張っているものがあるのに対し、非晶質酸化物の形状が丸いものであるためであると考えられる。角張った介在物が応力を受けると、角の所で応力集中が起こるため、破壊起点となり易くなるからである。従って、全介在物の中で非晶質酸化物の存在密度の割合が大きくなるほど、機械的特性のバラツキが小さくなる。
【0035】
以上の知見より、本発明で特定した急冷金属薄帯の数値の限定理由を述べる。本発明による急冷金属薄帯は、その板厚を、10μm以上、70μm以下の範囲で、 10 μm以上、 20 μm以下とする。10μm未満では、均一な厚さの薄帯が製造しにくくなり、70μm超では鋳造が不安定になるため、何れも歩留まりが低下するので、好ましくないからである。本発明では介在物の大きさをその最大径と定義し、薄帯中に含まれる介在物の大きさを薄帯板厚の50%以下とする。大きさが薄帯板厚の50%超の介在物を含むと薄帯の鋳造・巻取り中に破断するため好ましくないからである。なお、本発明の薄帯の板厚は機械的特性の評価を、曲げ試験において薄帯が破壊したときの最大引っ張り歪みεfで規定した。これを曲げ破壊歪みと呼び、εf = t/(D-t)で与えられる。ここで、tは薄帯の板厚(mm)、Dは破壊したときの曲げ直径(外径:mm)である。例えば、板厚60μmの場合の曲げ破壊歪みεfが0.01以下であるとその薄帯を直径6mmの円筒に巻くことができないことを意味する。この様にεfが小さくなると、薄帯をトランス等の巻鉄心に用いる場合、コーナー部の曲率半径に制約を与えるほか、巻き加工中の薄帯破断の頻度が多くなるため、利用上の欠点となる。
【0036】
本発明において、< εf> > 0.1 と規定したのは、< εf>が0.1 以下であれば実際にトランス等に加工する場合に薄帯が破壊しやすくなるためである。また、バラツキの指標として、εf の標準偏差σが平均値< εf>に対して50% 以下とした。これもトランス製造工程での歩留まりを向上させるためである。< εf>およびσの母集団は、鋳造した1ロットとする。また、その母集団をトランスの巻鉄心1個分のコイルとしても良い。
【0037】
薄帯の板厚が20μm超70μm以下の場合、これらの値を実現するためには、10μm超から、薄帯板厚の50% 以下までの大きさの介在物の存在密度が、10個 / mm3以下であることが必要である。これは、前述したように、10μm超の介在物が存在するとその場所の機械的特性が周辺に比べて劣化し、薄帯の平均曲げ破壊歪み< εf>よりかなり小さい歪みで、介在物が破壊起点となり薄帯が一気に破壊する場合が生じるからである。この種の破壊は< εf>から相当小さなεf で薄帯が破壊するため、機械的特性のバラツキの原因となる。そのため、この範囲の大きさの介在物をできるだけ少なくする必要があるが、10μm超から、薄帯板厚の50% 以下までの大きさの介在物の存在密度が10個 / mm3以下であれば、この大きさの介在物を破壊起点とする破壊の出現確率が殆んどなくなることから、この値であれば、機械的特性のバラツキが抑えられる。更に、< εf> > 0.1 を達成するためには、3 μm以上10μm以下の介在物の存在密度が1 ×104 個 / mm3以下であり、かつ、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×106 個 / mm3以下とすればよい。
【0038】
薄帯の板厚が10μm以上20μm以下の薄い薄帯の場合でも、介在物の大きさで分類された前述の各群の介在物の作用は20μm超70μm以下の薄帯と同じである。ただし、薄帯の板厚の50% が10μm以下となるので、本発明の薄帯で、薄帯の板厚が10μm以上20μm以下の薄い薄帯中に存在する介在物は第3群から第5群までの介在物となる。各群の介在物の作用は板厚が20μm超70μm以下の厚い薄帯の場合と同じであるので、< εf> > 0.1 を達成するには、3 μm以上10μm以下の介在物の存在密度が1 ×104 個 / mm3以下であり、かつ、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×106 個 / mm3以下とすればよい。
εf のバラツキの範囲を小さくすれば、トランス製造における破断等のトラブル減少に効果が有り薄帯の信頼性が向上する。このεf のバラツキの範囲を小さくすることは、バラツキの原因となる大きい介在物をより制限することにより実現可能である。σが< εf>の30% 以下とするには、薄帯中に含まれる介在物の大きさの最大値を10μm以下とし、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、3 ×103 個 / mm3以下であり、かつ、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×106 個 / mm3以下であればよい。この様に介在物の大きさと存在密度を制限することにによって、10μm以上70μm以下の板厚範囲において、< εf> > 0.1 、σを< εf>の30% 以下にすることができる。
【0039】
完全密着曲げが可能な薄帯、つまり、εf = 1 に近い薄帯であればさらに好ましい。これにより、トランス製造工程での歩留まりのより一層の向上が期待できるからである。これは、機械的特性に大きく影響する、0.3 μm〜10μmの大きさの介在物の存在密度をより制限することにより実現可能である。
20μm超70μm以下の薄帯の場合、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、3 ×103 個 / mm3以下、かつ、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、5 ×105 個 / mm3以下に制限することにより、曲げ破壊歪みの平均値< εf>が0.8 〜1.0 を達成できる。なお、10μm超、薄帯板厚の50% 以下の介在物の存在密度は、10個 / mm3以下である。
【0040】
10μm以上70μm以下の板厚範囲において、曲げ破壊歪みの平均値< εf>が0.8 〜1.0 、かつ、σが< εf>の30% 以下を達成するには、薄帯中に含まれる介在物の大きさを最大でも10μm以下とし、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、3 ×103 個 / mm3以下であって、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、5 ×105 個 / mm3以下に制限すればよい。
【0041】
また、薄帯中の全介在物の中での非晶質酸化物の存在密度の割合を大きくすることにより、薄帯の機械的特性のバラツキを小さくすることができる。
薄帯の板厚が20μm超70μm以下であり、10μm超から薄帯板厚の50% 以下までの大きさの介在物の存在密度が、10個 / mm3以下であり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、1 ×104 個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×106 個 / mm3以下である急冷金属薄帯の場合、および、薄帯の板厚が10μm以上20μm以下であり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、1 ×104 個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×106 個 /mm3 以下である急冷金属薄帯の場合、薄帯中に存在する単位体積当たりの介在物の数の20% 以上を非晶質酸化物とすることにより、< εf> > 0.1 、かつ、σが< εf>の40% 以下を達成できる。
【0042】
薄帯の板厚が20μm超70μm以下であり、10μm超から薄帯板厚の50% 以下までの大きさの介在物の存在密度が、10個 / mm3以下であり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、3 ×103 個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、5 ×105 個 / mm3以下である急冷金属薄帯の場合、薄帯中に存在する単位体積当たりの介在物の数の20% 以上を非晶質酸化物とすることにより、< εf>が0.8 〜1.0 、かつ、σが< εf>の40% 以下を達成できる。
【0043】
薄帯の板厚が10μm超70μm以下であり、最も大きな介在物の大きさが10μm以下であり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、3 ×103 個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×106 個 / mm3以下である急冷金属薄帯の場合、薄帯中に存在する単位体積当たりの介在物の数の20% 以上を非晶質酸化物とすることにより、< εf> > 0.1 、かつ、σが< εf>の20% 以下を達成できる。
【0044】
薄帯の板厚が10μm超70μm以下であり、最も大きな介在物の大きさが10μm以下であり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、3 ×103 個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、5 ×105 個 / mm3以下である急冷金属薄帯の場合、薄帯中に存在する単位体積当たりの介在物の数の20% 以上を非晶質酸化物とすることにより、< εf>が0.8 〜1.0 、かつ、σが< εf>の20% 以下を達成できる。
【0045】
この様に薄帯中の介在物を制御して得られる機械的特性の改善効果は急冷ままの薄帯のみならず、焼鈍した薄帯でも得ることができる。しかしながら、Fe基急冷金属薄帯では、結晶化温度以下の焼鈍によっても脆化してしまう欠点があるので、機械的特性を改善した薄帯を得るためには、薄帯中の介在物をより厳密に制御する必要がある。
【0046】
すなわち、薄帯の板厚が10μm以上70μm以下の薄帯において、最も大きな介在物の大きさが10μm以下であり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、1 ×102 個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×103 個 / mm3以下とすると、薄帯を結晶化温度以下の温度で焼鈍した後の、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεf の平均値< εf>が、< εf> > 0.1 であり、かつ、曲げ破壊歪みεf の標準偏差σが< εf>の50% 以下となる。
【0047】
さらに、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、10個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×102 個 / mm3以下とすると、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεf の平均値< εf>が、< εf> = 0.8 〜1.0 であり、かつ、曲げ破壊歪みεf の標準偏差σが< εf>の50% 以下となる。
【0048】
更に、薄帯中の全介在物の中での非晶質酸化物の存在密度の割合を大きくすることにより、薄帯の機械的特性のバラツキを小さくすることができる。
薄帯の板厚が10μm以上70μm以下の薄帯において、最も大きな介在物の大きさが10μm以下であり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、1 ×102 個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×103 個 / mm3以下の急冷金属薄帯の場合、薄帯中に存在する、単位体積当たりの介在物の数の20% 以上を非晶質酸化物とすることにより、焼鈍後の薄帯において、< εf> > 0.1 、かつ、σが< εf>の40% 以下が達成できる。
【0049】
薄帯の板厚が10μm以上70μm以下の薄帯において、最も大きな介在物の大きさが10μm以下であり、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物の存在密度が、10個 / mm3以下であり、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物の存在密度が、1 ×102 個 / mm3以下の急冷金属薄帯の場合では、薄帯中に存在する、単位体積当たりの介在物の数の20% 以上を非晶質酸化物とすることにより、焼鈍後の薄帯において、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεf の平均値< εf>が、< εf> = 0.8 〜1.0 、かつ、曲げ破壊歪みεf の標準偏差σが< εf>の40% 以下が達成できる。
【0050】
介在物の存在密度を低下させるほど、薄帯の機械的特性は良くなると考えられるが、その介在物の存在密度の低下は、入手可能な工業的高純度原料を使用しても限界がある。従って、本発明では、薄帯中に存在する介在物の存在密度の下限を、0.3 μm以上3 μm未満の大きさの介在物では10個 / mm3以上、3 μm以上10μm以下の大きさの介在物では1 個 / mm3以上とするのが好ましい。
【0051】
本発明はFe基急冷金属薄帯として、特に構成元素等を限定していないが、主として、Fe-Si-B 系およびFe-Si-B-C 系のものである。これらの急冷金属薄帯は体積%で少なくとも70%以上が非晶質である。非晶質の割合が70%未満であると優れた磁気特性および機械的特性を維持できなくなるためである。また、これらの薄帯の好適組成範囲は、Fe-Si-B-C 系を例に取ると、Fe含有量が70原子%以上、86原子%以下、Siが1原子%以上、19原子%以下、Bが7原子%以上、20原子%以下であり、Cを含有させる場合は、0.1原子%以上、4原子%以下とする。これらの元素の好適範囲を設けた理由を以下に説明する。
【0052】
例えば、薄帯をトランスの鉄心として用いる場合、鉄心の飽和磁束密度はFeの含有量により決まる。鉄心の飽和磁束密度の実用的なレベルとして1.5T(テスラ)以上の高い値とする必要があるので、これを実現するためにFe含有量は70原子%以上とする必要がある。一方、Fe含有量が86原子%超となると非晶質の形成が困難になり良好な特性が得られなくなる。磁気特性および薄帯製造の安定性を得るためには、77原子%以上、83原子%以下とすることが望ましい。BとSiは非晶質形成能および特性の熱安定性を向上させるために添加する。Bが7原子%未満、Siが1原子%未満では非晶質が安定して形成されず、一方、Bが20原子%超,Si が19原子%超としても原料コストが高くなるだけで、非晶質形成能、熱安定性に向上が認められない。従って、Bが7原子%以上、20原子%以下、Siが1原子%以上、19原子%以下が好ましい。
【0053】
更に、Cは薄帯の鋳造性向上に効果のある元素である。Cを含有させることにより、冷却基板との濡れ性が向上し良好な薄帯を形成することができる。この点から、Cの含有量は0.1%原子以上、4原子%以下が好ましい。
これら主要元素の他に、 Al, Cr, Ni, Mn, Mg, Ca, Cu, Sn, Zr等の不可避的不純物を含んでも良い。
【0054】
また、薄帯の焼鈍は、結晶化温度以下の温度で、鋳造中に入った歪みを緩和させることが目的であり、Fe基急冷金属薄帯では、焼鈍温度は300 ℃〜400 ℃、焼鈍時間は30min 〜4hを好適範囲とする。焼鈍雰囲気は、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の非酸化性雰囲気が好ましい。
しかし、これらの元素の限定や焼鈍条件の限定は、トランス鉄心用途に適した薄帯の特性(磁気特性や機械的特性)を発現させるためのものである。本発明の特徴は、介在物の存在密度を制御することにより、薄帯の機械的特性を改善することにある。従って、高耐食性材料であるFe-Ni-Cr-B-C系等の他のFe基急冷金属薄帯にも用いることができる。
【0055】
また、本発明では、薄帯の板幅の寸法は特に限定しないが、板幅は0.3 mm以上が好ましい。
本発明によるFe基急冷金属薄帯は、合金原料を溶解し、溶湯をスロットノズル等を通して高速で移動している冷却基板の上に噴出し、該溶湯を急冷凝固させる方法、例えば、単ロール法、双ロール法によって製造することができる。
【0056】
先ず、合金原料を溶解して薄帯の母合金を溶製し、その後、母合金を再溶解してから薄帯を得る方法が介在物を制御するために最も簡便である。そして、介在物の制御は次の方法により行うことができる。鉄源、ボロン源など数種類ある合金原料には各々、様々な品位の原料が存在するので、各々で選択した品位の原料の組み合わせによって、介在物の大きさと存在密度を好適範囲に制御することが可能となる。Fe-Si-B-C 系合金を例に取ると、鉄源とボロン源、特にボロン源であるフェロボロンの品位の選択によって、大きな範囲の制御ができる。一旦母合金を溶製するのは、介在物制御の指標として母合金の酸素濃度を採ることが最も容易であるからである。母合金の介在物の大きさと密度は製造する薄帯の介在物の大きさと密度に密接に関係している上、介在物の主体が酸化物であることと合金組成の大部分が鉄であり、酸素の鉄に対する溶解度が殆んどないので、測定の容易な酸素濃度で基準を示すことができるからである。母合金の酸素濃度制御により薄帯の介在物の好適範囲への制御ができる。
【0057】
選択した合金原料を溶解し、母合金を溶製する時、石英ルツボ等の緻密なルツボを用い、減圧下、真空中、不活性ガス中等の非酸化性雰囲気で溶解を行うことが好ましい。溶解中の非金属介在物の生成をできるだけ抑制することができ、介在物制御を効果的に行えるからである。
母合金の再溶解も、石英ルツボ等の緻密なルツボを用い、減圧下、真空中、不活性ガス中等の非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。更に、介在物を制御して機械的特性の向上を図るには、母合金を高周波加熱により、溶解後、溶湯を暫く一定温度で保定することが効果的である。この保定により、介在物が強撹拌され、合体し、浮上して、溶湯より除去され、介在物が低減される。特に大きい介在物の低減が著しい。保定時間は1分以上1時間以下が好ましい。保定時間が1分未満では、保定の効果がないだけでなく、鋳造が安定せず、薄帯が形成しない場合があり、1時間超では、浮上した介在物が再度溶湯に巻き込まれやすくなるので好ましくない。
【0058】
また、溶湯を非酸化性雰囲気で溶解し、暫く一定温度で保定すると、薄帯中の介在物の主体である酸化物が反応して非晶質化が進行し、薄帯中の介在物の存在密度に対する非晶質酸化物の存在密度の割合が高くすることができ、薄帯の機械的性質の改善の効果的である。
その後、溶湯をスロットノズルを通して高速に移動している冷却基板上に噴出して薄帯を得る方法、いわゆる、単ロール法、双ロール法等により薄帯を得る。単ロール装置には、ドラム内壁を使う遠心急冷装置、エンドレスタイプのベルトを使う装置、および、これらの改良型である補助ロールやロール表面温度制御装置を付属させたものも含まれる。
【0059】
これらの方法以外に、酸素濃度の少ない原料を選び、直接溶解して鋳造する方法も用いることができる。
また、合金原料や、母合金を溶解した後、アルミナやCaO 等で作られた多孔質フィルタであるセラミックフィルタを用いて、溶湯中の介在物を低減させ、薄帯中の介在物の大きさと存在密度を好適範囲に制御することも可能である。
【0060】
【実施例】
本発明を、参考例および実施例を用いてさらに詳細に説明する。
(参考例1)合金組成が原子百分率でFe80.5Si6.5B12C1で、板幅25mmの急冷薄帯を製造した。使用した合金素材の鉄源には電解鉄と転炉鋼を用い、ボロン源のフェロボロンには高品位と低品位の2種類を使用した。Si源は、99.9999%クリスタルシリコン、C源は99.99%のグラファイトを用いた。介在物の制御は2種類づつの鉄源およびボロン源の混合比率を変えることにより行う。その指標は母合金の酸素濃度である。初めに母合金を溶製した。使用したルツボは石英ルツボ、溶解雰囲気はアルゴンである。次に、溶製した母合金を石英ルツボ、アルゴン雰囲気中で、再溶解し、溶湯をノズルから700rpmで回転している直径580mm のCu合金製ロールの上に溶湯を噴射した。溶解温度は1350℃である。溶解量は1kgである。使用したノズルは、一重スロット(幅0.4mm、長さ25mm)、および、二重スロット、三重スロット(幅0.4mm、長さ25mm、間隔1mm)である。その結果を表1に示す。
【0061】
母合金中の介在物のうち、大きなものは、溶解中に浮上するため、薄帯中に残る介在物の最大径は母合金中より小さくなる。それでも、母合金の酸素濃度が400ppm以上のものは、薄帯中の介在物のうち、最も大きい介在物の大きさが薄帯板厚の50%超となり、その薄帯は鋳造中に破断した。本発明のごとく、最も大きい介在物の大きさを薄帯板厚の50%以下とすることによって、途中破断させずに薄帯の鋳造・巻取りが可能となることが分かる。
【0062】
【表1】
【0063】
(参考例2)合金組成が原子百分率でFe80.5Si6.5B12C1で、板幅25mmの急冷薄帯を製造した。使用した合金原料の鉄源には転炉鋼を用い、ボロン源のフェロボロンには低品位のものを使用した。Si源は、99.9999%クリスタルシリコン、C源は99.99%のグラファイトを用いた。初めに、母合金を溶製した。使用したルツボは石英ルツボ、溶解雰囲気はアルゴンである。その結果、母合金の酸素濃度は350ppmであった。次に、溶製した母合金を石英ルツボ、アルゴン雰囲気中で再溶解し、溶湯をノズルから700rpmで回転している直径580mmのCu合金製ロールの上に溶湯を噴射した。溶解温度は1350℃である。保定時間を0.5minから100minの間で変化させた。溶解量は1kgである。使用したノズルは、二重スロット(幅0.4mm、長さ25mm、間隔1mm)である。
【0064】
薄帯が得られた場合、鋳造ままの薄帯の介在物の存在密度と機械的特性を評価した。介在物の大きさと存在密度は、SPEED 法により介在物を薄帯表面に露出させた、数多くの面をSEM で検鏡して評価し、機械的特性は、急冷ままの薄帯の180 ゜曲げ試験にて評価した。なお、曲げ試験サンプルは1ロットの鋳造ままの薄帯から1mおきに100 箇所サンプリングした。その結果を表2に示す。
【0065】
また、薄帯中の介在物の存在密度に対する非晶質酸化物の存在密度の割合も表2に示した。評価方法は、検鏡した面からレプリカ法により介在物をカーボン膜に移した後にTEM により評価した。
保定時間1minでは、薄帯を形成しなかった。また、保定時間70min では薄帯の板厚の50%以上の大きさの介在物が存在し、そこから破断した。保定時間が1minから60min までの薄帯は、板厚の50% 以上の介在物が存在せず、破断なく、巻取れた。特に、保定時間20min 〜40min の場合は、< εf>とσで規定される、本発明の機械的特性を満足している。
【0066】
【表2】
【0067】
(参考例3)合金組成が原子百分率でFe80.5Si6.5B12C1で、板幅25mmの急冷薄帯を製造した。使用した合金原料の鉄源には電解鉄と転炉鋼を用い、ボロン源のフェロボロンには高品位と低品位の2種類を使用した。Si源は、99.9999%クリスタルシリコン、C源は99.99%のグラファイトを用いた。介在物の制御は2種類づつの鉄源およびボロン源の混合比率を変えることにより行った。初めに母合金を溶製した。使用したルツボは石英ルツボ、溶解雰囲気はアルゴンである。次に、溶製した母合金を石英ルツボ、アルゴン雰囲気中で再溶解し、溶湯をノズルから700rpmで回転している直径580mmのCu合金製ロールの上に溶湯を噴射した。溶解温度1350℃、保定時間30minである。溶解量は1kgである。使用した装置は参考例1と同じであり、使用したノズルは、一重スロット(幅0.4mm、長さ25mm)、および、二重スロット、三重スロット(幅0.4mm、長さ25mm、間隔1mm)である。
【0068】
得られた鋳造ままの薄帯の介在物の存在密度と機械的特性を評価した。介在物の大きさと存在密度は、SPEED 法により介在物を薄帯表面に露出させた、数多くの面をSEM で検鏡して評価し、機械的特性は、急冷ままの薄帯の180 ゜曲げ試験にて評価した。なお、曲げ試験サンプルは1ロットの鋳造ままの薄帯から1mおきに50〜200 箇所サンプリングした。その結果を表3に示す。
【0069】
また、薄帯中の介在物の存在密度に対する非晶質酸化物の存在密度の割合も表3に示した(薄帯No.16〜18を除く。)評価方法は、検鏡した面からレプリカ法により介在物をカーボン膜に移した後にTEM により評価した。
今回評価したNo.1〜18までの薄帯では、薄帯板厚の50% 超の大きさの介在物はなかったので、破断せずに巻きとれることができた。さらに、その中で、薄帯No.1〜12までの薄帯は、介在物の存在密度をより厳しく制限したので、数十mから数百mの薄帯の全長にわたって、< εf>とσで規定される、本発明の機械的特性を満足している。
【0070】
また、薄帯No.16〜18は、No.2と同じ条件で作製した別ロットの薄帯である。これら4つの薄帯のロット間の差は殆んどない。このことは、従来、高純度材料を用いた場合でも、ロット間において曲げ破壊歪みεf の標準偏差σが平均値< εf>の50% を越えるような機械的特性の大きなバラツキが生じることも多々あったことに比較して、介在物を規定することにより機械的特性のバラツキの少ない薄帯が安定して製造できることを示している。
【0071】
表3中の薄帯No.14の薄帯の曲げ破壊後の破面のSEM 像を図5に示す。この破面の破壊起点と思われる部分に直径約17μmの空隙が観察される。この空隙は、17μmの大きさの介在物が存在していたと考えている。この時の、曲げ破壊歪みεf は、0.008 であり、この薄帯の平均値< εf>=0.028と比較して、非常に悪い値を示している。10μm超の介在物が存在している場所は機械的的特性が劣化しているため、周辺より小さい応力で破壊が開始してしまう。それがσ/<εf>=70(%)という薄帯の機械的特性の大きなバラツキの原因となっているのである。
【0072】
【表3】
【0073】
(参考例4)参考例1と同じ装置を用いて、種々の合金原料を溶解し、いくつかの組成の薄帯を製造した。使用した合金原料の鉄源には電解鉄および転炉鋼を用い、ボロン源のフェロボロンには高品位と低品位の2種類を使用した。介在物の制御はそれぞれ2種類の鉄源とボロン源の混合比率を変えることにより行った。原料取り扱い、溶解方法は参考例1と同じく、母合金を溶製し、次に、再溶解して鋳造した。これらの薄帯の板幅は120mmである。溶解温度1350℃、保定時間5min、溶解量は5kgである。用いたノズルは、一重スロット、二重スロット、三重スロットである。
【0074】
得られた鋳造ままの薄帯の介在物密度と機械的特性を評価した。また、全介在物の存在密度に対する非晶質酸化物の存在密度の割合も評価した。評価方法は全て参考例2と同じである。試験片のサンプリングは1ロットの薄帯から5mおきに採取した。それらの結果を表4に示す。
今回評価したNo.1〜13までの薄帯では、薄帯板厚の50%超の大きさの介在物はなかったので、破断せずに巻きとれることができた。さらに、その中で、薄帯No.1〜9までの薄帯は、介在物の存在密度をより厳しく制限したので、数十mから数百mの薄帯の全長にわたって、<εf>とσで規定される、本発明の機械的特性を満足している。
【0075】
【表4】
【0076】
(実施例1)参考例1と同じ装置を用いて、板厚が10μm〜20μmの薄い急冷薄帯を製造した。板幅は25mmである。介在物制御は参考例1と同じ方法で行った。溶解温度は1350℃、保定時間は30minである。溶解量は1kgである。溶解した合金素材を、ノズルから700rpmで回転している直径580mmのCu合金製ロールの上に溶湯を噴射した。使用したノズルは、一重スロット(幅0.4mm、長さ25mm)である。また、製造した薄帯の合金組成は原子百分率でFe80.5Si6.5B12C1である。
【0077】
得られた鋳造ままの薄帯の介在物の存在密度と機械的特性を評価した。また、全介在物の存在密度に対する非晶質酸化物の存在密度の割合も評価した。評価方法は全て参考例2と同じである。曲げ試験サンプルは1ロットの薄帯から1mおきにサンプリングした。その結果を表4に示す。今回評価したNo.1〜10までの薄帯では、10μm超の大きさの介在物はなかったので、破断せずに巻きとれることができた。さらに、その中で、薄帯No.1〜9までの薄帯は、数十mから数百mの薄帯の全長にわたって、<εf>とσで規定される、本発明の機械的特性を満足する薄帯である。
【0078】
【表5】
【0079】
(実施例2)本実施例では、焼鈍後の薄帯の機械的特性を評価した。参考例1と同じ装置を用いて、板幅25mmの急冷薄帯を製造した。製造した薄帯の合金組成は原子百分率でFe80.5Si6.5B12C1である。使用した合金原料のうち、鉄源に、純度99.99%の高純度鉄、ボロン源には、純度99.99%の高純度ボロンを用いた。他の原料は参考例1と同じである。参考例1と同じ方法で、母合金溶製した。さらに、これらの母合金を再溶解して、ノズルから700rpmで回転している直径580mm のCu合金製ロールの上に溶湯を噴射した。溶解温度1350℃、保定時間30min、溶解量は1kgである。使用したノズルは、一重スロット(幅0.4mm、長さ25mm)、二重スロット、三重スロットである。
【0080】
得られた薄帯を、360℃×1hの窒素雰囲気中での焼鈍を行ってから、薄帯中の介在物の存在密度と機械的特性を評価した。評価方法は参考例2と同じである。曲げ試験サンプルは1ロットの薄帯から1mおきにサンプリングした。その結果を表6に示す。また、薄帯中の介在物の存在密度に対する非晶質酸化物の存在密度の割合も表6に示した。評価方法は、参考例2と同じである。
【0081】
今回評価したNo.6、7の薄帯では、10μm超の大きさの介在物はなかったので、破断せずに巻きとれることができた。さらに、薄帯No.6、7の薄帯は、介在物の存在密度をより厳しく制限したので、数十mから数百mの薄帯の全長にわたって、焼鈍後においても、<εf>とσで規定される、本発明の機械的特性を満足している。
【0082】
【表6】
【0083】
(参考例5)合金組成が原子百分率でFe60B12C4Ni20Cr4で、板厚25μm、板幅0.6mmの急冷薄帯を製造した。使用した合金素材の鉄源には電解鉄と転炉鋼を用い、ボロン源のフェロボロンには高品位と低品位の2種類を使用した。C源は99.99%のグラファイト、Ni源は、99.99%金属Ni、Cr源は99.99%の金属Crを用いた。介在物の制御は2種類づつの鉄源およびボロン源の混合比率を変えることにより行った。原料を石英ルツボを用いて、アルゴン雰囲気で溶解し、母合金を溶製した。次に、溶製した母合金を再溶解し、30min保定した後に、溶湯をノズルから700rpmで回転している直径580mmのCu合金製ロールの上に噴射した。溶解温度は1400℃である。溶解量は1kgである。使用したノズルは単孔(0.6mmφ)である。その結果を表7に示す。
【0084】
薄帯が得られた場合、鋳造ままの薄帯の介在物の存在密度と機械的特性を評価した。介在物の大きさと存在密度は、SPEED 法により介在物を薄帯表面に露出させた、数多くの面をSEM で検鏡して評価し、機械的特性は、急冷ままの薄帯の180 ゜曲げ試験にて評価した。なお、曲げ試験サンプルは1ロットの鋳造ままの薄帯から1mおきに50〜200 箇所サンプリングした。その結果を表7に示す。
【0085】
また、薄帯中の介在物の存在密度に対する非晶質酸化物の存在密度の割合も表7に示した。評価方法は、検鏡した面からレプリカ法により介在物をカーボン膜に移した後にTEM により評価した。
薄帯No.2〜9までの薄帯は、板厚の50% 以上の介在物が存在せず、破断なく、巻取れた。薄帯No.3〜9までの薄帯は、< εf>とσで規定される、本発明の機械的特性を満足している。
【0086】
【表7】
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、介在物を制御した本発明の急冷金属薄帯を用いることにより、機械的特性に優れ、かつ、その特性のバラツキが少ない急冷金属薄帯を提供できる。また、安価原料の使用を可能としたので、コスト削減効果も期待できる。さらに、より介在物を減少させることにより、焼鈍後でも、機械的特性に優れた急冷金属薄帯の製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 薄帯の破壊起点のSEM像。
【図2】 薄帯中の介在物のTEM写真であり、(a)は、角張った形状を持つ結晶質酸化物の明視野像で、(b)は同酸化物の回折像を示す図。
【図3】 薄帯中の介在物のTEM写真であり、(a)は、丸い形状を持つ非晶質酸化物の明視野像で、(b)は同酸化物の回折像を示す図。
【図4】 介在物の大きさを示す模式図であり、(a)は、単体の介在物の例、(b)は、介在物が集積した例を示したものである。
【図5】 (参考例2)の薄帯No.14の薄帯曲げ破壊後の破面のSEM像。
Claims (7)
- 組成が原子%で、Feが70%以上86%以下、
Siが1%以上19%以下、
Bが7%以上20%以下であり、かつ、体積%で少なくとも70%以上が非晶質の急冷金属薄帯であって、
薄帯の板厚が10μm以上20μm以下であり、
薄帯中に含まれる非金属介在物の大きさの最大値が薄帯板厚の50%以下であり、
3μm以上10μm以下の大きさの非金属介在物の存在密度が、1個/mm3以上1×104個/mm3以下であり、
0.3μm以上3μm未満の大きさの非金属介在物の存在密度が、10個/mm3以上1×106個/mm3以下である急冷金属薄帯であって、
薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>>0.1であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の50%以下であることを特徴とするFe基急冷金属薄帯。
ここで、εf=t/(D-t)であり、tは薄帯の板厚(mm)、Dは薄帯が破壊したときの曲げ直径(mm)である。 - 組成が原子%で、Cを0.1%以上4%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のFe基急冷金属薄帯。
- 最も大きな非金属介在物の大きさが10μm以下であり、3μm以上10μm以下の大きさの非金属介在物の存在密度が、1個/mm3以上3×103個/mm3以下である急冷金属薄帯であって、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>>0.1であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の30%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のFe基急冷金属薄帯。
- 3μm以上10μm以下の大きさの非金属介在物の存在密度が、1個/mm3以上3×103個/mm3以下であり、0.3μm以上3μm未満の大きさの非金属介在物の存在密度が、10個/mm3以上5×105個/mm3以下である急冷金属薄帯であって、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>=0.8〜1.0であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の30%以下であることを特徴とする請求項3に記載のFe基急冷金属薄帯。
- 薄帯中に存在する、単位体積当たりの非金属介在物の数の20%以上が、Fe,Al,Si,B,Cr,Ni,Mn,Mg,Ca,Cu,Sn,Zrの1種または2種以上の元素を含む非晶質酸化物であり、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>>0.1であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の40%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のFe基急冷金属薄帯。
- 薄帯中に存在する、単位体積当たりの非金属介在物の数の20%以上が、Fe,Al,Si,B,Cr,Ni,Mn,Mg,Ca,Cu,Sn,Zrの1種または2種以上の元素を含む非晶質酸化物であり、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>>0.1であり、かつ、曲げ破壊歪みεfの標準偏差σが<εf>の20%以下であることを特徴とする請求項3に記載のFe基急冷金属薄帯。
- 薄帯中に存在する、単位体積当たりの非金属介在物の数の20%以上が、Fe,Al,Si,B,Cr,Ni,Mn,Mg,Ca,Cu,Sn,Zrの1種または2種以上の元素を含む非晶質酸化物であり、薄帯の自由表面を外側にした曲げ破壊歪みεfの平均値<εf>が、<εf>=0.8〜1.0であり、かつ、曲げ破壊歪みεf の標準偏差σが<εf>の20%以下であることを特徴とする請求項4に記載のFe基急冷金属薄帯。
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