JP4204771B2 - 四輪操舵作業車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリング操作に応じて前輪のみを操舵させる二輪操舵モード、並びに、後輪を前記前輪に対して同位相及び又は逆位相に転舵させる四輪操舵モード、のいずれかを選択し、この選択されたモードで操舵制御を行うようにされた四輪操舵作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】
スピードスプレーヤ、トラクター等の四輪作業車にあっては、圃場等において比較的低速で走行しながら作業を行う場合、一般道路上等を比較的高速で走行する場合、傾斜地を等高線に沿うように走行する場合等、運転状況、走行環境等に応じて、それぞれ要求される操舵特性が異なる。
【0003】
そこで、従来、操舵モード選択ダイアル等を操作することにより、運転者が任意に、ステアリング操作に応じて前輪のみを操舵させる二輪操舵モード、並びに、後輪を前輪に対して同位相及び又は逆位相に転舵させる四輪操舵モード、のいずれかを選択し、この選択された操舵モードで操舵制御を行うようにされた四輪操舵作業車が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した如くの四輪操舵作業車においては、操舵制御を行うため、舵角センサが必須であるが、従来においては、前後左右の四輪に対して一個、又は、左右一対の前輪に対して一個と左右一対の後輪に対して一個の計二個、の舵角センサが設けられているのが普通であり、その設けられている舵角センサとしては、ポテンショメータを用いたものが多い。
【0005】
しかしながら、従来の四輪操舵作業車では、舵角センサとしてのポテンショメータがむき出し、もしくは、簡易カバーが装備されている程度の構造となっている。
そのため、舵角センサの耐衝撃、耐水、耐塵、耐異物性が弱く、故障しやすいものとなっており、信頼性が低くなっていた。
特に、スピードスプレーヤ等の作業車においては、 粘泥地や草木等の異物を巻き込みやすい果樹園等を走行することが多いので、舵角センサの取付、保護構造に格別の工夫が要求される。
【0006】
また、従来の四輪操舵作業車においては、舵角センサを含む操舵系の異常を検出(異常の有無を判定)する手段が設けられておらず、したがって、異常が生じた際の対策(フェールセーフ)も講じられていないので、舵角センサが故障した場合等には、操舵不能に陥り、安全性がおびやかされるおそれがあった。
【0007】
一方、例えば、左右一対の前輪のうちの一方と、左右一対の後輪のうちの一方と、の計二個の舵角センサが設けられている四輪操舵作業車においては、操舵機構(通常は、アッカーマン・ジャント式)の構造上、旋回時において舵角センサを配した車輪の舵角が直進中立位置を中心線にした線対称とならず、また、左右一対の舵角センサの分解能が互いに相違することになるので、旋回特性が左右で異なるものとなり、操舵フィーリングが良いとは言えなかった。
【0008】
本発明は、上述した如くの従来の四輪操舵作業車に関する問題を解消すべくなされたもので、その目的とするところは、舵角センサの耐衝撃、耐水、耐塵、耐異物性を高めて故障しにくく、信頼性を高めることができ、また、舵角センサを含む操舵系の異常の有無を自動的に速やかに判定することができるとともに、異常が生じた際にフェールセーフ動作を実行できて、安全性を向上させることができ、さらに、制御精度の向上、操舵フィーリングの向上等も図ることのできる四輪操舵作業車を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る四輪操舵作業車は、基本的には、ステアリング操作に応じて左右一対の前輪を転舵させる前輪操舵装置と、前記前輪からは独立して左右一対の後輪を転舵させる後輪操舵装置と、前記後輪の舵角を0度に維持する二輪操舵モード並びに前記前輪の舵角に応じて前記後輪を同位相及び又は逆位相に転舵させる四輪操舵モードのいずれかで前記後輪操舵装置に対する制御を行う制御手段と、を備える。
【0010】
そして、前記左右一対の前輪にそれぞれ個別に前輪舵角センサが設けられるとともに、前記左右一対の後輪にもそれぞれ個別に後輪舵角センサが設けられ、前記制御手段は、前記左右一対の前輪舵角センサの一方により検出された一方の前輪の検出舵角に基づいて、他方の前輪がとるべき舵角を算出し、この算出舵角と他方の前輪舵角センサにより検出された他方の前輪の検出舵角とを比較して、それらの偏差が所定値以上であるとき、前記前輪舵角センサを含む前輪操舵系に異常が生じたと判定するようにされていることを特徴としている。
【0011】
前記前輪舵角センサ及び前記後輪舵角センサは、好ましくは、ポテンショメータと、ドライブアクスルを内蔵する車軸ケース部とギヤナックルとの間に配設されたギヤユニットにシール部材を介して取り付けられて、前記ポテンショメータを水密的に被包保持するセンサケースと、を備える。
【0012】
好ましい態様では、前記ギヤユニットは、前記車軸ケース部から上方に突出する第一ギヤケースと、該第一ギヤケースに回動可能に連結されて斜め下方に突出する第二ギヤケースとからなり、該第二ギヤケースに前記ギヤナックルを介して前記各車輪が保持されるとともに、前記第二ギヤケース内にそれと一体に回動する舵角検出用シャフトが内装されており、該舵角検出用シャフトの回動が前記ポテンショメータに伝達されるようになっている。
【0013】
前記の如くに、舵角センサの主要部であるポテンショメータをセンサケースで被包保持し、該センサケースを、アクスルを内蔵する車軸ケース部とギヤナックルとの間に配設されたギヤユニットにシール部材を介して取り付けるようにしたことにより、舵角センサの耐衝撃、耐水、耐塵、耐異物性が効果的に高められ、これにより舵角センサが故障しにくくなって、信頼性を高めることができる、
【0015】
また、上記と同様に、前記制御手段は、前記左右一対の後輪舵角センサの一方により検出された一方の後輪の検出舵角に基づいて、他方の後輪がとるべき舵角を算出し、この算出舵角と他方の後輪舵角センサにより検出された他方の後輪の検出舵角とを比較して、それらの偏差が所定値以上であるとき、前記後輪舵角センサを含む後輪操舵系に異常が生じたと判定するようにされる。
【0016】
前記のように、左右一対の前輪及び左右一対の後輪にそれぞれ個別に舵角センサを設け、左右一方の舵角センサの検出舵角に基づいて他方の車輪がとるべき舵角を算出し、この算出舵角と他方の舵角センサにより検出された他方の車輪の検出舵角とを比較することによって、舵角センサを含む操舵系の異常を検出するようにしたことにより、センサが二重化され、舵角センサを含む操舵系の異常を、確実にしかも自動的に、速やかに検出・判定することが可能となる。
また、前記制御手段は、好ましくは、前記前輪舵角センサを含む前輪操舵系に異常が生じたと判定されたとき、前記後輪を中立位置に固定するようにされる。
【0017】
さらに、前記制御手段は、好ましくは、前記後輪舵角センサを含む後輪操舵系に異常が生じたと判定されたとき、前記後輪の転舵を中止するようにされる。
上記に加え、前記制御手段は、好ましくは、前記舵角センサを含む操舵系に異常が生じたと判定され、かつ、高速走行中であると判断されたとき、警報手段を作動させるとともに、走行用原動機を強制的に停止させるようにされる。
【0018】
上記のような、舵角センサを含む操舵系に異常が生じたと判定された際のフェールセーフ動作を行うことにより、安全性が一層向上する。
本発明の四輪操舵作業車のさらに別の好ましい態様では、前記四輪操舵モードでの走行中において、前記前輪が左右に転舵される旋回時に、内輪側に位置する前輪舵角センサにより検出された検出舵角に基づいて、内輪側に位置する前記後輪の目標舵角を算出するとともに、内輪側に位置する前記後輪舵角センサの検出舵角が前記算出された目標舵角となるように、前記後輪を転舵させる制御を行うようにされる。
【0019】
ここで、アッカーマン・ジャント式の操舵機構を持つ四輪操舵作業車では、左旋回時、右旋回時には、外輪転舵角度より内輪転舵角度の方が大きくなる。一方、舵角センサにポテンショメータを用いると、センサの持つ電気的回動角度をデジタル数値に置き換えるため、いくつかの階層に切り分ける(8ビットの場合256分割)が、分割幅はセンサの電気的回動角度(例えば110度)と制御側の分解能(ビット数)によってのみ確定される。例えば、左旋回時には、右前輪が外輪側となり、最大転舵角度は、例えば、33.2度となり、このときは、測定の対象が77.3階層(分解能=256×33.2/110=77.3)しか用いられない。それに対し、右旋回時には、右前輪が内輪側となり、最大転舵角度は、例えば44度となり、このときは、測定の対象が102.4階層(分解能=256×44/110)となる。
【0020】
そのため、前記のように、旋回時に均等でかつ転舵舵角が大きくなる内輪側の前輪及び後輪舵角センサの検出舵角を用いて、言い換えれば、常に分解能が高くなる内輪側の舵角センサを用いて四輪操舵制御を行うことができるので、制御精度の向上、操舵フィーリングの向上等が図られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る四輪操舵作業車としてのスピードスプレーヤの一実施形態の外観を示している。
一般に、スピードスプレーヤは、車体に設置された薬液タンク内の薬液をポンプで車体後部に配設されたノズルに圧送し、そのノズルから外部に向けて吹き出される薬液を、車体後部に配設された送風ファンから外部に向けて吹き出される空気流により拡散し、もって、果樹園等の圃場において走行しながら広域に渡って効率的に散布作業を行うものである。
【0022】
かかるスピードスプレーヤは、前記の如く果樹園等の特定の狭い空間を走行させる必要があることから、小回りが効くとともに旋回半径を可能な限り小さくすることが望まれる一方、移動時等においては一般道路上等での走行も必要であり、さらに、傾斜地を等高線に沿うように走行させる場合もあることから、操舵モードとして、二輪操舵モードに加えて、同位相及び1又は逆位相四輪操舵モードをとりえるようになすことが強く望まれる。
【0023】
図1(A)、(B)は、前記した如くの要望に応えるべく、前記二輪操舵モードと逆位相四輪操舵モードをとりえるようにされたスピードスプレーヤ1を示している。図示のスピードスプレーヤ1は、車体3のフロント側下部に左右一対の前輪12L、12Rが配設されるとともに、前記車体3のリア側下部に左右一対の後輪14L、14Rが配設され、前記車体3の前部にキャビン2が設けられるとともに、該キャビン2内に運転席5が配置され、中央部に断面半円形の薬液タンク4が設置されるとともに、この薬液タンク4の直後にエンジンルーム15が形成され、このエンジンルーム15内に走行用と送風ファン駆動用とを兼ねるリア配置の単一のディーゼル式等のエンジンが原動機18として収容されている。
【0024】
前記エンジンルーム15の後部には、風胴9や吐風口7等で包囲された軸流送風ファン11が配され、前記吐風口7には外部に臨むように所要数の薬液噴霧ノズル6が円弧状に配設されている。
前記運転席5近傍には、前記ノズル6に薬液を圧送するポンプ(図示省略)が配され、前記ノズル6から外部に噴霧される薬液が、前記吐風口7から外部に向けて吹き出される前記送風ファン11からの空気流により拡散され、それにより、果樹園等においてステアリングハンドル10を操作しつつ走行しながら、薬液の散布作業を行うことができるようになっている。
【0025】
図2は、図1に示されるスピードスプレーヤ1の底面を示した図(地面側から見た図)、図3は、前記車体3上に配置されている前記キャビン2、前記運転席5、前記薬液タンク4、前記エンジンルーム15、前記風胴9や前記吐風口7等で包囲された送風ファン11、ポンプ等を取り除いた状態の、操舵系関連部分の概略構成を示している。
【0026】
図3に示される前記スピードスプレーヤ1における操舵系には、ステアリング操作(前記ステアリングハンドル10による操舵操作)に応じて前輪12L、12Rを転舵させるアッカーマン・ジャント式の前輪操舵装置20と、前記前輪12L、12Rからは独立して後輪14L、14Rを転舵させる、同じくアッカーマン・ジャント式の後輪操舵装置40と、運転者により操作される操舵モード選択手段としての操舵モード選択ダイヤル60と、この操舵モード選択ダイヤル60から得られる、運転者により選択された操舵モードを表す信号に基づいて、前記後輪14L、14Rの舵角を0度(中立)に維持する二輪操舵モード、及び、前記後輪14L、14Rを前記前輪12L、12Rとは逆位相に転舵させる逆位相四輪操舵モード、のいずれかで前記後輪操舵装置40に対する制御を行う制御手段としての、マイクロコンピュータ等よりなるコントロールユニット100と、が備えられている。
【0027】
前記前輪操舵装置20は、フロント側の車軸ケース部29に取付固定され、前記車体3の幅方向に往復移動せしめられるタイロッドとしてのピストンロッド26を備えた複動型シリンダである前輪操舵用シリンダ25を有し、この前輪操舵用シリンダ25の左室25L及び右室25Rに対する作動油の給排量を、前記ステアリングハンドル10の操舵操作に応じて調節して、前記ピストンロッド26を前記車体3の幅方向に移動させることにより、前記前輪12L、12Rを、前記ピストンロッド26の両端に連結されたタイロッドエンド22、22及びナックルアーム21、21を介して転舵させるようになっている。
【0028】
前記前輪操舵用シリンダ25の前記左室25L及び前記右室25Rに対する作動油の給排は、オイルタンク31、前輪用ポンプ32F、及びオービット・ロール等からなるステアリングユニット18を介して行われる。すなわち、前記オイルタンク31内の作動油は、前記前輪用ポンプ32Fにより吸入されて該ポンプ32F内で加圧されて吐出され、前記ステアリングユニット18に導入される。
【0029】
このステアリングユニット18においては、前記ステアリングハンドル10の操舵操作に応じて、つまり、該ハンドル10を左に切った場合には、前記前輪用ポンプ31Fからの作動油が前記前輪操舵用シリンダ25の前記右室25Rに供給されるとともに、前記前輪操舵用シリンダ25の前記左室25L内の作動油が排出され、これにより、前記ピストンロッド26が左行して、前記前輪12L、12Rは、図3に示される直進状態(舵角が0度)から左回りに転舵せしめられ、逆に、前記ハンドル10を右に切った場合には、前記前輪用ポンプ32Fからの作動油が前記前輪操舵用シリンダ25の前記左室25Lに供給されるとともに、前記前輪操舵用シリンダ25の前記右室25R内の作動油が排出され、これにより、前記ピストンロッド26が右行して、前記前輪12L、12Rは、右回りに転舵せしめられる。
【0030】
一方、前記後輪操舵装置40は、リア側の車軸ケース部29に取付固定され、前記車体3の幅方向に往復移動せしめられるタイロッドとしてのピストンロッド46を備えた後輪操舵用シリンダ45を有し、この後輪操舵用シリンダ45の左室45L及び右室45Rに対する作動油の給排量を調節して、前記ピストンロッド46を前記車体3の幅方向に移動させることにより、前記後輪14L、14Rを前記ピストンロッド46の両端に連結されたタイロッドエンド22、22及びナックルアーム21、21を介して転舵させるようになっている。
【0031】
前記後輪操舵用シリンダ45の前記左室45L及び前記右室45Rに対する作動油の給排は、前記オイルタンク31、後輪用ポンプ32R、復コイル型の電磁弁35を備えた方向切換弁部34を介して行われる。すなわち、前記オイルタンク31内の作動油は、前記後輪用ポンプ32Rにより吸入されて該後輪用ポンプ32R内で加圧されて吐出され、前記電磁弁35に導かれる。
【0032】
前記電磁弁35においては、そのソレノイド36が通電励磁されていないときには内蔵スプールが中立位置をとり、このときは、前記後輪用ポンプ32Rからの作動油が、前記電磁弁35を介して前記オイルタンク31に戻される。前記ソレノイド36が第一の態様で通電励磁されたときには内蔵スプールが第一作動位置をとり、このときは、前記後輪用ポンプ32Rからの作動油が前記電磁弁35を介して前記後輪操舵用シリンダ45前記の左室45Lに供給されるとともに、前記後輪操舵用シリンダ45の前記右室45R内の作動油が前記電磁弁35を介して前記オイルタンク31に戻され、これにより、前記ピストンロッド46が右行して、前記後輪14L、14Rは、図3において実線で示される直進状態(舵角が0度)から左回りに転舵せしめられ、逆に、前記ソレノイド36が第二の態様で通電励磁されたときには内蔵スプールが第二作動位置をとり、このときは、前記後輪用ポンプ32Rからの作動油が前記電磁弁35を介して前記後輪操舵用シリンダ45の前記右室45Rに供給されるとともに、前記後輪操舵用シリンダ45の前記左室45L内の作動油が前記電磁弁35を介して前記オイルタンク31に戻され、これにより、前記ピストンロッド46が左行して、前記後輪14L、14Rは、右回りに転舵せしめられる。
【0033】
一方、本実施形態においては、前記エンジン18により、前記左右一対の前輪12L、12R及び前記左右一対の後輪14L、14Rを回転駆動する四輪駆動方式が採用されており、前記前輪12L、12R及び前記後輪14L、14Rには、前記エンジン18の動力が、トランスミッション50、プロペラシャフト56、56、フロント及びリアデフ57、58、前後左右のドライブアクスル16、16、16、16、後述するギヤユニット70及びギヤナックル80を介して伝達されるようになっている。
【0034】
前記ドライブアクスル16と前記各車輪12L、12R、14L、14Rとの間に配設された四個の前記ギヤユニット70と、前記ギヤナックル80はそれぞれ同一構成とされており、前記右前輪12Rを代表して示す図4を参照すればよくわかるように、前記ギヤユニット70は、前記ドライブアクスル16を内蔵する前記車軸ケース部29の左右端側にその上部71aが連結されて上方に突出する第一ギヤケース71と、該第一ギヤケース71の筒状下部71bに回動可能に外嵌連結されて、斜め下方に突出する第二ギヤケース72と、からなっており、前記ドライブアクスル16の外端部に固定された駆動ベベルギヤ74が、前記第一ギヤケース71に回動自在に内装された中空回動軸75の上端に固定された入力ベベルギヤ76に噛合せしめられ、前記中空回動軸75の下端に固定された出力ベベルギヤ77が、前記車輪(右前輪)12Rの軸部13に外嵌固定されている、前記ギヤナックル80の大径従動ベベルギヤ81に噛合せしめられている。なお、前記中空回動軸75の中心軸線K(鉛直線に対して内側へ傾斜している)が、前記右前輪12R(12L、14L、14R)の転舵軸線(キングピン軸)となる。
【0035】
そして、本実施形態の四輪操舵作業車1においては、前記左右一対の前輪12L,12Rに、それぞれ個別に前輪舵角センサ51L、51Rが設けられるとともに、前記左右一対の後輪14L、14Rにも、それぞれ個別に後輪舵角センサ52L、52Rが設けられている。
【0036】
前記各舵角センサ51L、51R、52L、52Rは、同一構成とされており、前記右前輪12Rに設けられている右前輪舵角センサ51Rが図4に代表して示されているように、ポテンショメータ53と、前記ギヤユニット70の上部(第一ギヤケース71の上面部)に取り付けられて、前記ポテンショメータ53を水密的に被包保持する金属製のセンサケース55と、を備えている。
【0037】
前記センサケース55は、図4に加えて図5(A)、(B)を参照すればよくわかるように、前記第一ギヤケース71にシール部材(Oリング86)を介してボルト85、85で水密的に取付固定された扁平筒状の基台ケース部材55Aと、該基台ケース部材55Aにシール部材(Oリング88)を介して四本のボルト87で水密的に取付固定された鋳鉄等よりなる適切な強度を有するカップ状のカバーケース部材55Bと、からなっており、前記基台ケース部材55Aに前記ポテンショメータ53が、その入力軸53aを前記中心軸線K上で下方に突出させた状態で、ビス89、89により取付固定されている。また、前記第二ギヤケース72には、前記中空回動軸75の中心部を貫通するように遊嵌された舵角検出用シャフト56の下端部が、一体回動可能に螺着固定されており、前記右前輪12Rの転舵、つまり、前記第二ギヤケース72の回動が、前記舵角検出用シャフト56及び前記基台ケース部材55Aに回動自在に内嵌された連結部材59を介して、前記ポテンショメータ53の前記入力軸53aに伝達されるようになっている。
なお、前記ポテンショメータ53に繋がれたセンサケーブル54の前記センサケース55からの取り出し部には、防水キャップ79が配されている。
【0038】
このように、前記舵角センサ51L、51R、52L、52Rの主要部である前記ポテンショメータ53を前記センサケース55で被包保持し、該センサケース55をギヤユニット70にシール部材としての前記Oリング86、88を介して取り付けるようにしたことにより、前記舵角センサ51L、51R、52L、52Rの耐衝撃、耐水、耐塵、耐異物性が効果的に高められ、これにより前記舵角センサ51L、51R、52L、52Rが故障しにくくなって、信頼性を高めることができる、
【0039】
また、前記ギヤユニット70内の潤滑油の前記ポテンショメータ53側への侵入も、前記基台ケース部材55Aと前記Oリング86により防がれる。
そして、前記後輪操舵装置40に対する制御を行う前記コントロールユニット100には、前記操舵モード選択ダイヤル60からの、運転者によりいずれの操舵モードが選択されているかを表す信号、前記前輪舵角センサ51L、51R及び前記後輪舵角センサ52L、52Rからの前記前輪12L、12R及び前記後輪14L、14Rの舵角を表す検出信号、前記運転席5近傍に配置されたシフトレバー90による変速段位置を検出するシフトボジションセンサ95からの変速段位置を表す信号、等が供給され、前記コントロールユニット100は、前記各信号に基づいて、前記電磁弁35の前記ソレノイド36を選択的に通電励磁する切換制御を行い、前記後輪操舵装置40を、前記前二輪操舵モード、及び、前記逆位相四輪操舵モードのいずれかで制御するようにされる。
【0040】
ここでは、前記コントロールユニット100は、マイクロコンピュータが用いられて構成され、前記した如くの操舵制御を行うのであるが、この際、前記前輪舵角センサ51L、51R及び前記後輪舵角センサ52L、52Rを含む操舵系に異常が生じたか否かを検出して、異常が生じたと判定されるときにはその対策(フェールセーフ動作)を講じるとともに、旋回時における制御精度及び操舵フィーリングを向上させるべく、前記後輪14L、14Rの目標舵角の設定及び逆位相四輪操舵制御を行うようにされている。
【0041】
以下、異常判定及びその対策プログラムの一例を図7に、また、後輪の目標舵角設定プログラムの一例を図8に、それぞれフローチャートで示し、以下においては、該フローチャートを参照しながらそれらの内容を説明する。
【0042】
図7に示される異常判定及びその対策プログラムの一例においては、スタート後、まず、ステップ201において、前記各信号を読み込み、続くステップ202で、左前輪舵角センサ51Lにより検出された左前輪12Lの検出舵角に基づいて、右前輪12Rがとるべき舵角を算出する。
【0043】
ここで、アッカーマン・ジャント式の、平面的には台形リンク構造をとる前記前輪操舵装置20及び前記後輪操舵装置40を持つ本実施形態の四輪操舵作業車1では、操舵角に応じて内外輪の転舵角度に差異が生じるように(一点を中心に旋回できるよう、内輪切角>外輪切角)設定される。つまり、左旋回時、右旋回時には、外輪転舵角度より内輪転舵角度の方が大きくされる。この場合、リンク系のたわみは実質的に無視できるので、左右輪の舵角の差異は関数式に置き換えることができる。したがって、前記ステップ202においては、上記観点に基づいて右前輪12Rがとるべき舵角を算出する。具体的には、例えば、左旋回時には、左前輪12Lが内輪側となり、このときの該左前輪12Lの検出舵角が例えば25度である場合には、外輪側となる右前輪12Rがとるべき舵角は例えば20度と算出される。
【0044】
次いで、ステップ203において、前記右前輪12Rがとるべき前記算出舵角と右前輪舵角センサ51Rにより検出された前記右前輪12Rの検出舵角とを比較して、それらの偏差が所定値(例えば5度)以下であるか否か、つまり、正常範囲内に収まっているか否かを判断し、前記偏差が前記正常範囲内に収まっていないと判断されたときには、前記前輪舵角センサ51L、52Rを含む前輪操舵系に異常が生じたと判定して、ステップ206に進む。
【0045】
ステップ206では、タイマーをスタート(カウントアップ)して時間計測を開始し、続くステップ207で異常が発生してから所定時間(例えば、0.1秒)が経過したか否か判断し、所定時間が経過したとき前輪操舵系の異常が確たるものであると判定してステップ208に進み、フェールセーフとして、前記後輪14L、14Rを中立位置(舵角0度)に固定する。
【0046】
続くステップ220では、前記運転席5近傍に設けられたパイロットランプ92を点滅させ、次いで、ステップ221で高速走行中であるか否かを判断する。この判断は、例えば前記シフトボジションセンサ95からの変速段位置を表す信号に基づいて、変速段が高変速段(副変速がH)であるか否かを判断することにより行い、高速走行中でない場合は元に戻り、高速走行中である場合には、ステップ222に進んで、フェールセーフとして、警報手段としてのブザー96を警鳴させて、運転者(オペレータ)に注意を喚起し、さらに、ステップ223で前記走行用エンジン18を強制的に停止させる。
【0047】
一方、ステップ203において、前記右前輪12Rの算出舵角と検出舵角とを比較して、それらの偏差が正常範囲内に収まっていると判断された場合には、ステップ204、205に進み、前記ステップ202、203と同様に、今度は、右前輪舵角センサ51Rにより検出された右前輪12Rの検出舵角に基づいて、左前輪12Lがとるべき舵角を算出し、この算出舵角と右前輪舵角センサ51Rにより検出された右前輪12Rの検出舵角とを比較して、それらの偏差が所定値(例えば5度)以下であるか否か、つまり、正常範囲内に収まっているか否かを判断し、前記偏差が前記正常範囲内に収まっていないと判断されたときには、前記前輪舵角センサ51L、51Rを含む前輪操舵系に異常が生じたと判定して、ステップ206に進み、ステップ206〜208、220〜223を、前記と同様に実行して元に戻る。
また、ステップ205において、前記左前輪12Lの算出舵角と検出舵角との偏差が正常範囲内に収まっていると判断された場合には、今度は前記後輪14L、14R側の異常判定を行うべく、ステップ211〜214を実行する。
【0048】
すなわち、前記前輪12L、12R側と同様に、ステップ211において、前記左後輪舵角センサ52Lにより検出された前記左後輪14Lの検出舵角に基づいて、前記右後輪14Rがとるべき舵角を算出し、次いで、ステップ212において、前記右後輪14Rがとるべき前記算出舵角と前記右後輪舵角センサ52Rにより検出された前記右後輪14Rの検出舵角とを比較して、それらの偏差が所定値(例えば5度)以下であるか否か、つまり、正常範囲内に収まっているか否かを判断し、前記偏差が前記正常範囲内に収まっていないと判断されたときには、前記後輪舵角センサ52L、52Rを含む輪操舵系に異常が生じたと判定して、ステップ215に進む。
【0049】
ステップ215では、タイマーをスタート(カウントアップ)して時間計測を開始し、続くステップ216で異常が発生してから所定時間(例えば、0.1秒)が経過したか否か判断し、所定時間が経過したとき後輪操舵系の異常が確たるものであると判定してステップ217に進み、フェールセーフとして前記後輪14L、14Rの転舵を中止(その位置で固定)し、以後、前記したステップ220〜223を順次実行して元に戻る。
【0050】
一方、ステップ212において、前記右後輪14Rの算出舵角と検出舵角とを比較して、それらの偏差が正常範囲内に収まっていると判断された場合には、ステップ213、214に進み、前記ステップ211、212と同様に、今度は、前記右後輪舵角センサ52Rにより検出された前記右後輪14Rの検出舵角に基づいて、前記左後輪14Lがとるべき舵角を算出し、この算出舵角と前記右後輪舵角センサ52Rにより検出された前記右後輪14Rの検出舵角とを比較して、それらの偏差が所定値(例えば5度)以下であるか否か、つまり、正常範囲内に収まっているか否かを判断し、前記偏差が前記正常範囲内に収まっていないと判断されたときには、前記後輪舵角センサ52L、52Rを含む後輪操舵系に異常が生じたと判定して、ステップ215に進み、ステップ215〜217、220〜223、を前記と同様に実行して元に戻る。
【0051】
前記の如くに、左右一対の前輪12L、12R及び左右一対の後輪14L、14Rにそれぞれ個別に舵角センサ51L、51R、52L、52Rを設け、左右一方の(例えば左前輪及び左後輪側の)舵角センサの検出舵角に基づいて他方の(例えば右側の)車輪がとるべき舵角を算出し、この算出舵角と、他方の(例えば右前輪及び右後輪側の)舵角センサにより検出された他方の車輪の検出舵角と、を比較することによって、舵角センサを含む操舵系の異常を検出するようにしたことにより、センサが二重化され、舵角センサを含む操舵系の異常を、確実にしかも自動的に、速やかに検出・判定することが可能となる。
【0052】
また、上記のような、舵角センサ51L、51R、52L、52Rを含む操舵系に異常が生じたと判定され際に、ブザー96を鳴らす、後輪14L、14Rを中立位置にする、後輪14L、14Rの転舵を中止する、エンジン18を停止させる等のフェールセーフ動作を行うことにより、安全性が一層向上する。
【0053】
次に、図8に示される、後輪の目標舵角設定及び逆位相四輪操舵制御プログラムの一例を説明する。このプログラムは、逆位相四輪操舵モードでの走行中において、前記前輪12L、12Rが左右に転舵される旋回時に、内輪側に位置する前輪舵角センサ51L又は51Rにより検出された検出舵角に基づいて、内輪側に位置する後輪14L又は14Rの目標舵角を算出するとともに、内輪側に位置する後輪舵角センサ52L又は52Rの検出舵角が、前記算出された目標舵角となるように、前記後輪14L、14Rを転舵させる制御を行うようにされる。
【0054】
具体的には、まず、ステップ301において、各信号を読み込み、続くステップ302で逆位相四輪操舵モードであるか否かを判断し、該モードでない、すなわち前二輪操舵モードであると判断された場合には、元に戻り、逆位相四輪操舵モードであると判断された場合には、ステップ303において前輪12L、12Rが中立位置(舵角が0度付近)にあるか否かを判断し、中立位置にあると判断された場合には、元に戻り、中立位置にないと判断された場合には、旋回中であるので、ステップ304に進む。
【0055】
ステップ304においては、左旋回かどうか、つまり、旋回方向を判断し、左旋回であると判断された場合には、ステップ305において、内輪側に位置する左前輪舵角センサ51Lにより検出された検出舵角に基づいて、内輪側に位置する左後輪14Lの目標舵角を算出し、続く、ステップ306において、前記内輪側に位置する左後輪14Lの舵角が前記算出された目標舵角となるように、言い換えれば、左後輪舵角センサ52Lの検出舵角が前記目標舵角となるように、前記後輪14L、14Rを転舵させる制御を行う。
【0056】
一方、ステップ304において左旋回ではない、つまり、右旋回であると判断された場合には、ステップ307において、内輪側に位置する右前輪舵角センサ51Rにより検出された検出舵角に基づいて、内輪側に位置する右後輪14Rの目標舵角を算出し、続く、ステップ308において、前記内輪側に位置する右後輪舵角センサ52Rの検出舵角が前記算出された目標舵角となるように、前記後輪14L、14Rを転舵させる制御を行う。
【0057】
ここで、アッカーマン・ジャント式の操舵機構を持つ四輪操舵作業車では、左旋回時、右旋回時には、外輪転舵角度より内輪転舵角度の方が大きくなる。一方、舵角センサにポテンショメータを用いると、センサの持つ電気的回動角度をデジタル数値に置き換えるため、いくつかの階層に切り分ける(8ビットの場合256分割)が、図6に右前輪12Rを代表して示される如くに、分割幅は、センサの電気的回動角度θc(例えばθc=110度)と制御側の分解能(ビット数)によってのみ確定される。例えば、左旋回時には、右前輪12R(二点鎖線)が外輪側となり、転舵角度θuは33.2度となり、このときは、測定の対象が77.3階層(分解能=256×33.2/110=77.3)しか用いられない。それに対し、右旋回時には、右前輪12R(一点鎖線)が内輪側となり、最大転舵角度θvは44度となり、このときは、測定の対象が102.4階層(分解能=256×44/110=102.4)となる。
【0058】
そのため、前記のように、前輪12L、12Rが左右に転舵される旋回時に、内輪側に位置する前輪舵角センサ51L又は51Rにより検出された検出舵角に基づいて、内輪側に位置する後輪14L又は14Rの目標舵角を算出し、前記内輪側に位置する後輪舵角センサ52L又は52Rの検出舵角が前記算出された目標舵角となるように、前記後輪14L、14Rを転舵させる制御を行うようにすることにより、旋回時に、分割幅が均等で、かつ転舵舵角が大きくなる内輪側の前輪及び後輪舵角センサの検出舵角を用いて、言い換えれば、分解能が高くなる内輪側の舵角センサを用いて四輪操舵制御を行うことが可能になるので、制御精度の向上、操舵フィーリングの向上等が図られる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において、種々の変更ができるものである。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明によれば、舵角センサの耐衝撃、耐水、耐塵、耐異物性が高められて故障しにくく、信頼性を向上させることができ、また、舵角センサを含む操舵系の異常の有無を自動的に速やかに判定する ことができるとともに、異常が生じた際にフェールセーフ動作を実行できて、安全性を向上させることができ、さらに、制御精度の向上、操舵フィーリングの向上等も図ることのできる 四輪操舵作業車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る四輪操舵作業車としてのスピードスプレーヤの一実施形態を示す外観図であり、(A)は前方よりみた外観図、(B)は後方より見た外観図。
【図2】図1に示される四輪操舵作業車の底面図。
【図3】図1に示される四輪操舵作業車の操舵系関連部分の概略構成図。
【図4】図1に示される四輪操舵作業車の右前輪付近を示す部分切欠拡大図。
【図5】(A)は図4のV矢視線に従う部分切欠拡大図、(B)は図5(A)のB−B矢視断面図。
【図6】旋回時に転舵舵角の大きい内輪側の検出舵角を用いて四輪操舵制御を行うことによる利点の説明に供される図。
【図7】コントロールユニットが実行する操舵系の異常判定及びその対策プログラムの一例を示すフローチャ−ト。
【図8】コントロールユニットが実行する後輪目標舵角設定及び四輪操舵制御プログラムの一例を示すフローチャ−ト。
【符号の説明】
1・・・スピードスプレーヤ(四輪操舵作業車)
12L・・・左前輪
12R・・・右前輪
14L・・・左後輪
14R・・・右後輪
16・・・ドライブアクスル
18・・・走行用原動機
20・・・前輪操舵装置
29・・・車軸ケース部
40・・・後輪操舵装置
51L・・・左前輪舵角センサ
51R・・・右前輪舵角センサ
52L・・・左後輪舵角センサ
52R・・・右後輪舵角センサ
53・・・ポテンショメータ
55・・・センサケース
56・・・舵角検出用シャフト
70・・・ギヤユニット
71・・・第一ギヤケース
72・・・第ニギヤケース
80・・・ギヤナックル
86、88・・・Oリング(シール部材)
92・・・パイロットランプ(警報手段)
96・・・ブザー(警報手段)
100 …コントロールユニット(制御手段)
Claims (8)
- ステアリング操作に応じて左右一対の前輪(12L、12R)を転舵させる前輪操舵装置(20)と、前記前輪(12L、12R)からは独立して左右一対の後輪(14L、14R)を転舵させる後輪操舵装置(40)と、前記後輪(14L、14R)の舵角を0度に維持する二輪操舵モード並びに前記前輪(12L、12R)の舵角に応じて前記後輪(14L、14R)を同位相及び又は逆位相に転舵させる四輪操舵モードのいずれかで前記後輪操舵装置(40)に対する制御を行う制御手段(100)と、を備え、
前記左右一対の前輪(12L,12R)にそれぞれ個別に前輪舵角センサ(51L、51R)が設けられるとともに、前記左右一対の後輪(14L、14R)にもそれぞれ個別に後輪舵角センサ(52L、52R)が設けられている四輪操舵作業車(1)であって、
前記制御手段(100)は、前記左右一対の前輪舵角センサ(51L、51R)の一方により検出された一方の前輪(12L、12R)の検出舵角に基づいて、他方の前輪(12R、12L)がとるべき舵角を算出し、この算出舵角と他方の前輪舵角センサ(51R、51L)により検出された他方の前輪(12R、12L)の検出舵角とを比較して、それらの偏差が所定値以上であるとき、前記前輪舵角センサ(51L、51R)を含む前輪操舵系に異常が生じたと判定するようにされていることを特徴とする四輪操舵作業車。 - 前記前輪舵角センサ(51L、51R)及び前記後輪舵角センサ(52L、52R)は、ポテンショメータ(53)と、ドライブアクスル(16)を内蔵する車軸ケース部(29)とギヤナックル(80)との間に配設されたギヤユニット(70)にシール部材(86、88)を介して取り付けられて、前記ポテンショメータ(53)を水密的に被包保持するセンサケース(55)と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の四輪操舵作業車。
- 前記ギヤユニット(70)は、前記 車軸ケース部(29)から上方に突出する第一ギヤケース(71)と、該第一ギヤケース(71)に回動可能に連結されて斜め下方に突出する第二ギヤケース(72)とからなり、該第二ギヤケース(72)に前記ギヤナックル(80)を介して前記各車輪(12L、12R、14L、14R)が保持されるとともに、前記第二ギヤケース(72)内にそれと一体に回動する舵角検出用シャフト(56)が内装されており、該舵角検出用シャフト(56)の回動が前記ポテンショメータ(53)に伝達されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の四輪操舵作業車。
- 前記制御手段(100)は、前記左右一対の後輪舵角センサ(52L、52R)の一方により検出された一方の後輪(14L、14R)の検出舵角に基づいて、他方の後輪(14R、14L)がとるべき舵角を算出し、この算出舵角と他方の後輪舵角センサ(52R、52L)により検出された他方の後輪(14R、14L)の検出舵角とを比較して、それらの偏差が所定値以上であるとき、前記後輪舵角センサ(52L、52R)を含む後輪操舵系に異常が生じたと判定するようにされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の四輪操舵作業車。
- 前記制御手段(100)は、前記前輪舵角センサ(51L、51R)を含む前輪操舵系に異常が生じたと判定されたとき、前記後輪(14L、14R)を中立位置に固定するようにされていることを特徴とする請求項1に記載の四輪操舵作業車。
- 前記制御手段(100)は、前記後輪舵角センサを含む後輪操舵系に異常が生じたと判定されたとき、前記後輪(14L、14R)の転舵を中止するようにされていることを特徴とする請求項4に記載の四輪操舵作業車。
- 前記制御手段(100)は、前記舵角センサ(51L、51R、52L、52R)を含む操舵系に異常が生じたと判定され、かつ、高速走行中であると判断されたとき、警報手段(92、96)を作動させるとともに、走行用原動機(18)を強制的に停止させるようにされていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の四輪操舵作業車。
- 前記制御手段(100)は、前記四輪操舵モードでの走行中において、前記前輪(12L、12R)が左右に転舵される旋回時に、内輪側に位置する前輪舵角センサ(51L、51R)により検出された検出舵角に基づいて、内輪側に位置する前記後輪(14L、14R)の目標舵角を算出するとともに、内輪側に位置する前記後輪舵角センサ(52L、52R)の検出舵角が前記算出された目標舵角となるように、前記後輪(14L、14R)を転舵させる制御を行うようにされていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の四輪操舵作業車。
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