JP4204702B2 - 建築工法及び建築構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨造などの建物の建築に用いられる建築工法及び建築構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
敷地に建物を建てる場合、基礎を、敷地の地表面(GL)の下に埋め込むようにして形成した後、建物の主体構造部を形成していき、最後に、外構工事において、建物周囲の敷地部分の整備を行うというのが普通である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建物を建てた後の外構工事において、建物周囲の敷地の整備を行うやり方では、既に建物が建っているために、建物を避けるようにして敷地の整備を遂行していかなければならず、敷地整備が厄介で、建築に長い工期を要するという問題がある。特に、外構工事は建築の最後の工程で行われるため、時間的に逼迫することが多く、にもかかわらず、工程管理上、品質管理上の問題を引き起こさないような配慮をしていかなければならず、結果的に工期が長くならざるをえなかった。
【0004】
また、建物の基礎を敷地の地表面の下に埋め込むようにして形成するやり方では、基礎の形成のために、現場にて敷地を掘らなければならず、また、掘った後は土の埋め戻しを行わなければならず、基礎工事が大掛かりで厄介であるという問題がある。のみならず、この埋め込み式の基礎では、後々の建物の解体や移設を困難なものにしてしまうという問題もある。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、建物の外構部分の敷地の整備の厄介さを解消して建築の短工期を実現することができ、しかも、基礎を容易に形成することができ、また、建物の解体や移設も容易に行うことができる建築工法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、建物を建てる敷地を、建物周囲部分の敷地を含んで、建物を建てる前に予め整備して舗装し、しかる後、この舗装面上に乾式の基礎を設置固定し、建物の主体構造部を形成していくことを特徴とする建築工法によって解決される。
【0007】
即ち、この工法では、建物を建てる敷地を、建物周囲部分の敷地を含んで、建物を建てる前に予め整備して舗装するものであるから、建物周囲部分の敷地の整備を、建物に邪魔されることなく、容易にかつ能率良く遂行していくことができ、同時に、建物を建てた後の外構工事から建物周囲の敷地部分の整備工事を排除ないしは削減することができて、建築の工期短縮を実現することができる。
【0008】
しかも、建物の基礎の工事は、こうして形成された舗装面上に、乾式の基礎を設置して固定するというようにして行うものであるから、土を掘ったり、埋め戻したり等の土工事を排除することができて、基礎の形成を容易にかつ能率的に行っていくことができる。また、基礎は乾式であるから、建築の工業化率を高めえて、現場での施工工期をますます短縮できると共に、建築のより一層の高品質化を実現することができる。
【0009】
舗装は、転圧コンクリート舗装あるいはアスファルト舗装によるのがよい。これらは、施工に必ずしも型枠を必要としないこと、版厚を自由に設定できること、施工機械にアスファルト舗装用のフィニッシャやローラなどの舗設機械を使って能率良く施工できること、竣工直後から荷重に対する抵抗性を有すること、乾燥収縮が小さいことなどの利点を有する。
【0010】
また、乾式基礎は、例えば、鋼製基礎やPCa基礎によるのがよい。これらは、工場にて高品質に製作することができる。特に鋼製基礎は、鉄骨造の建物の場合、鉄骨建方作業者に基礎工事も行わせることができて、工種を削減することができる。
【0011】
上記の工法による建築構造において、建物1階の床が舗装面上に束立てをして形成され、この束立てにより、該1階の床と舗装面との間に空間部が形成されているのがよい。この構造では、束立てのレベル出しを舗装面を利用して容易に行えて、束立て式の床を容易に施工することができ、しかも、1階の床と舗装面との間の空間部を設備配管や設備配線の配設スペースとしたり、床下収納スペースとして用いたりなど、様々な用途に用いることができる。
【0012】
特に、この空間部に設備配管や設備配線を配設する構成とするときは、配管、配線のレベル出しを舗装面を利用して容易に行っていくことができ、配管、配線工事を適正かつ容易に遂行していくことができる。また、地表面下に配管、配線を埋め込むといった厄介な工事も回避でき、更に、配管や配線の交換、保守も容易に行える。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態の工法を、鉄骨造建物の建築に適用した場合について図面に基づき説明する。なお、鉄骨造に限らず、木造建物などの建築に用いられてもよいことはいうまでもない。
【0014】
図1及び図2の(イ)乃至(ヘ)に実施形態の建築工法を順次に示す。図1(イ)は施工前の土地を示し、1,1は敷地の境界線であり、境界線1,1に囲まれた中の敷地2に建物を建てる。敷地2は、建物が建てられる部分2aと、建物周囲の外構敷地部分2bとからなる。
【0015】
本発明の建築工法では、この敷地2を、建物を建てる前に予め整備して舗装する。即ち、図1(ロ)に示すように、敷地2の土を機械3で転圧して路床4を固める。地盤の状態によっては、地盤改良を行うようにしてもよい。その後、図1(ハ)に示すように、路床4に砕石5a…を敷き、これを機械3で転圧して路盤5を形成する。そして、路盤5上に舗装6を施す。舗装6は、転圧コンクリート舗装あるいはアスファルト舗装で行う。3は舗装機械である。機械3,3,3は同じものであってもよいし、それぞれに専用の機械であってもよい。
【0016】
このように、敷地2を、建物を建てる前に予め整備して舗装することで、建物周囲の敷地部分2bの整備を、建物に邪魔されることなく、容易にかつ能率良く遂行していくことができ、建築の工期短縮を実現しうる。
【0017】
なお、図面では、敷地2の全体を平面状、平坦状に整備、舗装する場合を示しているが、敷地2を段差や傾斜のあるものに整備して舗装するようにしてもよいし、また、敷地2の一部に舗装してない部分を残す態様で舗装を行うようにしてもよい。
【0018】
しかる後、図2(ホ)及び図3に示すように、舗装面6上に基礎7を設置して固定する。本実施形態では、基礎として鋼製基礎7を用いている。鋼製基礎7は、外周方形の角形鋼管材からなり、これを横向きにして舗装面6上に設置する。設置した鋼製基礎7の固定は、鋼製基礎7に予め工場などで溶接などにて接合した固定用部材、例えばアングル材8を、現場で、あと施工アンカー、例えばホールインアンカー9…にて舗装部6に固定するというようにして行えばよい。以上により、基礎7が形成される。
【0019】
基礎の形成のために、従来のような土の埋め戻しなどの土工事は不要であり、基礎工事を容易にかつ能率良くに行っていくことができる。また、鉄骨造建物において基礎を鋼製基礎7としているから、基礎工事を鉄骨建方作業者に行わせることができ、工種も削減できる。しかも、乾式の基礎だから、基礎設置後は、待たされることなくすぐに建物主体工事へと移行することができる。更に、乾式基礎7を載置するのが舗装面6上であるから、基礎7のレベル出しも容易で、基礎工事の能率化を実現しうる。のみならず、本実施形態の基礎7は、地表面GL下に埋め込むことなく、舗装面6上に載置して固定するだけであるから、基礎7の取外しも簡易に行え、後々の建物の解体や移設を容易に行うことができる。
【0020】
なお、図4に示すように、鋼製基礎7として、H形鋼材を用いるようにしてもよい。H形鋼による基礎7の場合、基礎7の下フランジ部7aをあと施工アンカー9にて直接に舗装部6に固定することができ、アングル材8などの固定用部材を排除できて、舗装部6への基礎の取付け固定構造が、施工しやすいスッキリとしたものになる。なお、H形鋼による基礎7の場合、必要に応じて、補強板10やプレース11などを用いて、基礎7の安定性や耐力を確保するとよい。
【0021】
なお、本発明では、上記のような特定構造の鋼製基礎7に限らず、その他の鋼製基礎が用いられてもよく、また、PCa基礎など、舗装面上にセットして固定する各種タイプの乾式基礎が用いられてもよい。また、乾式基礎として、杭基礎が用いられてもよい。
【0022】
こうして基礎7を舗装面6上に設置固定した後、図2(ヘ)に示すように、建物20の主体構造部13を形成していく。図3に示すように、建物躯体の柱14は、そのベースプレート15を角形鋼管基礎7の上面に高力ボルト16にて固定する。この角形鋼管基礎7の上面には、このボルト接合作業において手を差し込める作業孔17,17が備えられている。図4に示すH形鋼基礎7の場合は、柱14のベースプレート15を上フランジ7bの上面にセットして高力ボルト接合16すればよく、作業孔などは不要で、基礎7と躯体柱14との接合構造が、施工しやすいスッキリとしたものになる。
【0023】
建物主体工事において、足場を形成する場合は、この足場を、建物周囲の舗装面6を利用して、安定良くかつ容易に設置することができる。
【0024】
この建物主体工事において、建物1階部分の床18は、束立て19…により形成する。束だて19…は、そのレベル出しを、舗装面6を利用することによって、容易にかつ能率良く遂行していくことができる。なお、床をデッキ床とする場合は、束立ても不要である。
【0025】
こうして建物主体工事を終えた後の外構工事では、建物20の周囲の敷地2は、既に整備、舗装されているので、外構工事における敷地の整備は不要であり、時間的に逼迫しやすかった外構工事を、工期を短縮しながら、時間的に余裕を持って、品質良好に遂行していくことができる。
【0026】
図5乃至図8には他の実施形態を示す。図5(イ)に示すように、建物を建てる敷地2を上記と同様に整備して舗装した後、図5(ロ)に示すように、敷地2内に乾式基礎7を設置固定する。そして、図5(ハ)に示すように、鉄骨躯体の建方や、外壁、屋根などの取付けを行う。なお、この段階では、建物1階の床の施工は行わず、残しておく。
【0027】
そして、図6(ニ)に示すように、設備配管22の施工工事を行う。設備配管22は、舗装面6上に沿い、建物の外から舗装面6上の基礎7を貫通して建物内に延ばすように施工する。設備配管22を地中に埋めたりしないから、施工が非常に容易である。図7(イ)に示すように、乾式基礎7がH形鋼による場合は、そのウェブ7cに設けられた通口23を介して設備配管22を通すようにすればよい。乾式基礎であるから、通口23は工場などで予め基礎7に設けておくことができ、設備配管の施工を容易に行える。24は、通口23の補強部材である。また、図7(ロ)に示すように、設備配管22を支持金物27にて所定の高さ位置に保持する場合は、配管22のレベル出しを、舗装面6を利用して容易に行っていくことができる。しかる後、図6(ホ)に示すように、束19…を立て、1階の床18を形成する。これにより、舗装面6と床18との間に空間部25が形成され、この空間部25に設備配管22が配設されたかたちとなる。床下の設備配管22の保守、交換は、床18を取り外して行える。18aは床下地材、18bはタイルカーペット等の床仕上げ材である。なお、設備配線の施工も、設備配管22の施工と同様にして行われてよい。
【0028】
図8は、1階床18と舗装面6との間の空間部25を利用して、床下収納設備26を備えさせた例を示す。このように、床下を各種用途に用いることが可能である。
【0029】
なお、本発明は、主として、簡易店舗、仮設事務所、仮設住宅、倉庫、工場などの簡易建物の建築に好適に用いられるものであるが、各種建物の建築に広く用いられてよいことはいうまでもない。
【0030】
【発明の効果】
上述の次第で、本発明の建築工法及び建築構造は、上記のような構成を有するものであるから、建物の外構部分の敷地の整備の厄介さを解消しえて、建築の短工期を実現でき、しかも、基礎を施工容易に形成することができ、また、建物の解体や移設も容易に行える等の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(イ)乃至図(ニ)は、図2(ホ)及び図2(ヘ)とともに、本発明の実施形態の建築工法の工程を順次に示す断面側面図である。
【図2】図(ホ)及び図(ヘ)は、図1(イ)乃至図1(ニ)とともに、本発明の建築工法の工程を順次に示す断面側面図である。
【図3】基礎部分の構造の一例を示すもので、図(イ)は横断面図、図(ロ)は断面斜視図である。
【図4】基礎部分の構造の他の例を示す横断面図である。
【図5】図(イ)乃至図(ハ)は、図6(ニ)及び図2(ホ)とともに、本発明の他の実施形態の建築工法の工程を順次に示す断面側面図である。
【図6】図(ニ)及び図(ホ)は、図1(イ)乃至図1(ハ)とともに、本発明の建築工法の工程を順次に示す断面側面図である。
【図7】図(イ)は基礎部分における設備配管の配設構造を示す断面図、図(ロ)は床下における設備配管の配設構造を示す断面図である。
【図8】床下空間部の他の利用例を示す断面図である。
【符号の説明】
2…敷地
4…路床
5…路盤
6…舗装部
7…乾式の基礎
13…主体構造部
Claims (4)
- 建物を建てる敷地を、建物周囲部分の敷地を含んで、建物を建てる前に予め整備して転圧コンクリート舗装又はアスファルト舗装し、しかる後、この舗装面上に乾式の基礎を設置固定し、建物の主体構造部を形成していくことを特徴とする建築工法。
- 前記乾式基礎が鋼製基礎又はPCa基礎であり、建物が鉄骨造である請求項1に記載の建築工法。
- 請求項1又は2に記載の工法による建築構造であって、建物1階の床が舗装面上に束立てをして形成され、この束立てにより、該1階の床と舗装面との間に空間部が形成されている建築構造。
- 前記空間部に設備配管及び/又は設備配線が配設されている請求項3に記載の建築構造。
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JP17654699A JP4204702B2 (ja) | 1999-06-23 | 1999-06-23 | 建築工法及び建築構造 |
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