JP4204365B2 - 支柱の制振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は鉄道車両における客室の床と天井とを結ぶ支柱の振動を抑制するための制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
鉄道車両にはブレーキ,空気ばね用等にコンプレッサが客室の床下に取り付けられている。
このコンプレッサは防振ゴムにて弾性支持されているが、この防振ゴムだけでは振動絶縁が十分でなく、コンプレッサで発生した振動が客室へ伝わってしまう。
【0003】
特に近年、技術革新により客室の軽量化が進んでおり、コンプレッサから客室の床に伝わった振動が、床と天井とを結ぶ支柱に伝わってこれを振動させ、更にその振動が天井にも伝わり、ひいては客室の骨格を成す枠全体を振動させてしまい、客室内に騒音を発生させたり客室の乗り心地を悪化させるといった問題を生ずる。
【0004】
その対策として、上記コンプレッサにダイナミックダンパを取り付けてこれを制振するといったことが考えられるが、この場合制振効果を出すためにはダイナミックダンパにおけるマス重量が重くなり過ぎるといった問題があり、現実的な対策とはなり難い。
【0005】
従来、鉄道車両における制振装置としては、容器内部に粒状体を収納した制振装置を牽引リンクに取り付けたもの(下記特許文献1,特許文献2)、同様の制振装置を台車枠に取り付けたもの(下記特許文献3)、車軸の中空部に多数の粒状体を封入し、或いは容器内部に多数の粒状体を封入したものを車輪に取り付けて、それぞれ車軸,車輪を制振するようにしたもの(下記特許文献4)等が提示されているが、客室の床と天井とを結ぶ支柱に着目しその支柱の振動を抑制して車両における客室の振動ないし騒音を低減するものについては未だ提供されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−158349号公報
【特許文献2】
特開2001−219848号公報
【特許文献3】
特開2001−199334号公報
【特許文献4】
特開2001−233003号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような事情を背景としてなされたもので、軽量で効果高く支柱の振動を抑制することのできる支柱の制振装置を提供することを目的とする。
而して請求項1の支柱の制振装置は、鉄道車両における客室の床と天井とを結ぶ支柱の制振装置であって、前記支柱と一体変位する剛性の当り部と、該当り部に対して振動方向に遊動状態に設けられ、振動時に該当り部に衝突するマス部材と、該当り部とマス部材との間に形成され、該マス部材を該振動方向に遊動させるための隙間と、それら当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成された弾性体とを有しており、前記当り部は内側に遊動室を有する剛性のハウジングにて構成されていて、該ハウジング内の該遊動室内に前記マス部材が遊動状態に収容されており、該ハウジングは前記支柱と別体に構成されていて該ハウジングがパイプ状を成す前記支柱の内面に固定されているとともに、前記制振装置は固定部材としてのスリーブを有していて、該スリーブの内部に保持された前記ハウジング及び前記マス部材が該スリーブを介して前記支柱の内面に固定されており、且つ前記スリーブには縦のスリットが設けられていて、該スリットにより軸直角方向の変形能が付与されているとともに、該スリーブと前記ハウジングとの各接触面にカム面が設けられていて、該スリーブ内への該ハウジングの押込時に該カム面の作用で該スリーブが拡開され、該拡開力により該スリーブが前記支柱の内面に固定されていることを特徴とする。
【0008】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、支柱と一体変位する剛性の当り部と、その当り部に対し振動方向に遊動状態に設けられたマス部材と、それらの間に形成された隙間と、更にマス部材と当り部との間に介在する弾性体とを有する制振装置を支柱に装着し、以って支柱の振動を抑制するようになしたものである。
【0009】
この制振装置は次のように働く。
即ちこの制振装置の場合、支柱が振動を始めるとこれと一体である当り部が変位し、振動部と同期して振動を始める。
一方マス部材は当り部に対して振動方向に遊動状態にあるため、即ち当り部に対し同方向に独立して自由に移動するため、当り部の振動時にその当り部に衝突し、当り部の振動即ち支柱の振動を打ち消すように作用する。
【0010】
このとき当り部に衝突したマス部材にはその当り部から逆向きに運動エネルギーが与えられ(従って当り部の振動エネルギーの一部がマス部材の運動エネルギーとして吸収される)、マス部材は逆方向に運動を行う。
そして最初の当り面とは逆位置にある当り面に再び衝突してそこで再び当り部、即ち支柱の振動を打ち消すように作用する。
【0011】
マス部材は以後も同様の運動を、当り部とは逆位相ないし異なった位相で繰り返し行い、衝突の度に当り部の振動エネルギーを吸収するとともに、これを自身の運動エネルギーに変換して振動する当り部に衝突を続ける。これにより支柱の振動エネルギーは吸収され、振動が減衰し効果高く制振される。
【0012】
尚、当り部とマス部材との何れもが剛体から成っていると、衝突時に大きな異音(衝突音)が発生してしまう。
しかるに本発明における制振装置では、当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面にゴム,樹脂等の弾性体が形成してあるため、衝突時に大きな異音が発生する問題がないとともに、衝突時における滑り摩擦,弾性体の粘性挙動により振動エネルギーが熱に変換・吸収され、即ち弾性体による制振作用が働いて振動部の振動減衰が助長される。
【0013】
尚、前述のようにコンプレッサにダイナミックダンパを取り付ける代りに支柱にダイナミックダンパを装着して支柱の振動を抑制するといったことも考えられる。
このダイナミックダンパは、振動部に対しダンパマスをばねを介して付加するもので、それらダンパマスとばねとから成る付加振動系の固有振動数を、主振動系の固有振動数(振動部の固有振動数)に対しチューニングすることで、振動部の共振倍率を低くし制振することができる。
【0014】
しかしながらダイナミックダンパによる制振では、単一の共振周波数の振動に対して効果を発揮するに過ぎず、他の周波数の共振を有効に防止することができない。即ち複数の周波数の共振に対しては有効でない。
しかもダイナミックダンパの場合には共振点の前後に新たに別の共振を生じる問題がある。
加えてばねとしてゴム弾性体を用いたときに、ゴム弾性体のばね定数が温度によって変化するために制振特性の温度依存性が高く、高温時や低温時に制振効率が減少してしまう。
【0015】
更にまたダイナミックダンパではダンパマスとして大きな質量が必要であって(振動部材の10%程度の質量が必要)、装置全体の重量が重くなるとともに、必要な設置スペースも大きく、更にまた制振可能な方向も定まっていて、多方向の振動に対して有効に働かないといった種々の問題が内在している。
【0016】
しかるに本発明における制振装置では、マス部材を独立移動可能に設けておいて、これを制振すべき支柱の振動部とは逆位相ないし異なった位相で運動させて当り部に衝突させ、振動エネルギーを吸収減衰するものであるため周波数依存性が特になく、広い周波数範囲に亘って振動を抑制することができ、また衝突方向を多方向に取ることが容易且つ簡単であって、多方向の振動を抑制することができ、しかも温度に対する依存性も小さく、高温から低温までの幅広い温度範囲で良好な制振効果を発揮する。
またマス部材の必要な質量も軽量で足り(振動部材の5%程度の質量で足りる)、装置全体の所要スペースも小さくコンパクトにでき、尚且つ振動部に対し簡単に装着できるなど種々の特長を有している。
【0017】
因みに図1は本発明における制振装置の一形態例をダイナミックダンパと比較して模式的に表したもので、図中1はその制振装置を、2はダイナミックダンパを表している。
尚、3は制振装置1におけるマス部材、4はマス部材3の外周面即ち当り面に形成した弾性体を、5は当り部を成すハウジングを示しており、また6はダイナミックダンパ2におけるダンパマス、7はばね(ゴム)を、更に8は振動部材を示している。
【0018】
図1(イ)のダイナミックダンパ2を装着した場合、特定の周波数領域において共振を抑制できるものの、共振点の前後に別の新たな共振を生じるが、図1(ウ)の制振装置1の場合高周波数から低周波数に亘る広い周波数域にかけて制振でき、共振点の前後に別の新たな共振を生ぜしめるといった現象も生じない。
【0019】
以上から明らかなように本発明に従う制振装置を支柱に取り付けることで、支柱の振動を良好に抑制でき、ひいてはその支柱を介して客室の枠に伝わる振動を効果的に抑制できる。これにより乗客が体感し得る振動レベルを低減し、また乗り心地を良好となすことができる。
【0020】
本発明において、剛性の当り部は鉄,アルミニウム合金等の金属や硬質の樹脂その他の硬質材にて構成することができる。
またマス部材はそれ自体、ゴム,樹脂等の弾性体にて構成することができる。但しこの場合、その内部に金属粉等を混入させて成る高比重ゴム,高比重樹脂等として構成しておくことが望ましい。
尚、マス部材をゴム,樹脂等の弾性体で構成する場合には、マス部材自体によって、剛性の当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成されるゴム,樹脂等の弾性体を構成することが可能である。
またこのマス部材は、ゴム,樹脂等の弾性体の発泡体として構成することもできる。
【0021】
但しより効果的な制振をなす上でマス部材は鉄,アルミニウム合金,鉛等の金属でこれを構成しておくことが望ましい。
その場合には、剛性の当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面にゴム,樹脂等の弾性体が形成される。
【0022】
本発明において、上記隙間はマス部材を当り部に対し最も効果的に衝突させる上で重要な意味があり、この意味において隙間は0.05〜2.0mmの範囲で形成するのが望ましく、より望ましくは0.2〜1.0mmの範囲である。
【0023】
本発明においては、上記弾性体としてゴム,樹脂を用いることができる。
ここでゴムとしては例えばNR,SBR,BR等のジエン系ゴム,EPDM系ゴム,ウレタン系ゴム,シリコン系ゴム等各種のゴムを用いることができる。
また樹脂としては例えばポリプロピレンやポリアミド等の熱可塑性樹脂,ポリオレフィンやウレタン,ポリエステル系の熱可塑性エラストマその他のものを用いることができる。
【0024】
ここで弾性体はマス部材又は当り部の当り面に加硫接着等によって接着固定しておいても良いし或いはまた非接着状態で当り面に形成しておくこともできる。
【0025】
本発明においては、上記の制振装置を支柱の振動の腹となる上下中間位置に取り付けておくことが望ましい。
またその制振装置は支柱に内蔵しておく。
このようにすることで、制振装置が支柱の外面に突き出した状態とならず、乗客が支柱を握るときにその制振装置が邪魔になることがなく、また支柱の外観を従来と同様のすっきりとした外観に維持することができる。
【0026】
本発明においては、制振装置に剛性のハウジングを具備させて当り部を構成させ、そのハウジング内の遊動室内にマス部材を遊動状態に収容しておくとともに、ハウジングを支柱と別体に構成してマス部材とともに支柱に内蔵し、そのハウジングにおいて支柱に固定する。
このようにすることで容易に制振装置を支柱に内蔵状態で固定することができる。
【0027】
更にこの場合において、制振装置に固定部材としてのスリーブを具備させ、そのスリーブの内部に保持したハウジング及びマス部材を、そのスリーブを介し支柱の内面に固定する。
このようにスリーブを介在させることによって、支柱への制振装置の固定を更に容易化することができる。
【0028】
更にこの場合においてスリーブに縦のスリットを設けて、スリーブに軸直角方向の変形能を付与し、またスリーブの内面とハウジング外面との接触面にカム面を設けて、スリーブ内へのハウジングの押込みによりカム面の作用でスリーブを拡開させ、その拡開力によりスリーブを支柱の内面に固定する。
このようになした場合、単にハウジングをスリーブ内部に押し込むだけで簡単にこれをスリーブを介し支柱の内面に取付固定することができる。
【0029】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図2において、10は鉄道車両における客室で12はその床であり、この床12の下側にコンプレッサ14が防振ゴムを介し吊持された状態で取り付けられている。
【0030】
16は客室10の天井で、18は床12と天井16とを結ぶ支柱である。
支柱18は図2(B)に示しているように全体が中空のパイプから成っており、その下端部と上端部とが取付部材20,22にて床12と天井16とに固定されている。
この支柱18は上部18Aと下部18Bとに分かれていて、それらが長さ調節された状態で互いに嵌合状態に連結されている。
【0031】
図2(B)及び(C)に示しているように、支柱18の上下中央部、詳しくは支柱18の振動の腹となる上下中央部に、本例の制振装置26が内蔵状態で取付固定されている。
この制振装置26は、取付固定用の金属製のスリーブ28と、上下一対の本体30,30とを有している。
【0032】
本体30はそれぞれ剛性のハウジング32を有している。これらハウジング32は、円筒形状の周壁部32Aと、周壁部32Aと一体に形成された底部32Bと、周壁部32Aの開放側の端部を閉鎖するキャップ32Cとから成っており、内部に遊動室34がそれぞれ形成されている。
そしてその遊動室34内に球から成るマス部材36が、その外周面をゴム等の弾性体38で被覆された状態で、ハウジング32との間に所定の隙間を形成する状態で遊動可能に収容されている。
【0033】
ここで隙間Sは、マス部材36が遊動室34内において丁度左右中央位置に位置したときのマス部材36(厳密には弾性体38。以下同じ)と周壁部32Aとの間の片側の隙間を表しており、また隙間2Sは、マス部材36が底部32B或いはキャップ32Cに接してこれにより支持された状態の下での、それらマス部材36とキャップ32C又は底部32Bとの間の隙間を表している。
【0034】
図3及び図4に示しているように、スリーブ28にはそれぞれ上端と下端とから中間部に向って軸方向に延びる複数のスリット40が形成されており、それらスリット40によってスリーブ28に、詳しくは上部と下部とに軸直角方向の変形能が付与されている。
このスリーブ28にはまた、上端部近傍と下端部近傍の各内面に雌テーパ面(カム面)42が形成されている。
一方各本体30におけるハウジング32には、各周壁部32Aにおける対応位置に雄テーパ面(カム面)44が形成されている。
【0035】
本例の制振装置26は次のようにして支柱18の内部に取付固定される。
即ち、スリーブ28内部に一対の本体30,30を挿入しておき、そしてスリーブ28をそれら本体30,30とともに支柱18の上下中央部まで挿入する。
そしてそこにおいて上下一対の本体30,30に対し、上下両方から押込力を加えると、ここにおいて各本体30におけるハウジング32の雄テーパ面44とスリーブ28の雌テーパ面42とのカム作用で、スリーブ28の上下両端部が押し広げられ(拡開させられ)、その拡開力でスリーブ28が支柱18の内面に強い摩擦力で固定される。
【0036】
本例の制振装置26の場合、支柱18が振動を始めるとこれと一体であるハウジング32が変位し、支柱18と同期して振動を始めるが、一方のマス部材36はハウジング32に対して振動方向に遊動状態にあって独立して自由に移動するため、ハウジング32の振動時にマス部材36がハウジング32に対し振動方向に衝突し、ハウジング32の振動即ち支柱18の振動を打ち消すように作用する。
【0037】
このときマス部材36にはハウジング32から逆向きに運動エネルギーが与えられ、マス部材36は逆方向に運動を行う。そして最初の当り面とは逆位置にある当り面に再び衝突して支柱18の振動を打ち消すように作用する。
【0038】
マス部材36は以後も同様の運動を、ハウジング32とは逆位相ないし異なった位相で繰り返し行い、衝突の度にハウジング32、即ち支柱18の振動エネルギーを吸収するとともに、これを自身の運動エネルギーに変換する。これによりまたその際の滑り摩擦により支柱18の振動エネルギーは吸収され、振動が減衰し効果高く制振される。
【0039】
因みに図5は制振装置を支柱18に取り付けた場合の制振効果を、制振装置を取り付けない場合との比較において示したものである。
但し図5の結果は、支柱18を単独で横向きに寝かせて軸方向中央部に、図6(A)に示す本発明例Aの制振装置45又は(B)に示す本発明例Bの制振装置46を取り付け、その状態で支柱18をハンマで加振して、そのときの軸直角方向の振動を測定して伝達関数を求めたものである。
【0040】
ここでAのものは、一対の制振装置45をブロック状の取付部材47で支柱18に取り付けたもので、またBのものは同じく一対の制振装置46をブロック状の取付部材48で支柱18に取り付けたものである。
上記Aにおいて、一対の制振装置45はそれぞれが互いに並んで設けられた円柱形状の剛性の一対のハウジング50,50を有していて、それぞれの内側に遊動室51,51が形成され、そこに円柱状をなす一対のマス部材52,52のそれぞれが、外周面を弾性体53で被覆された状態で所定の隙間をもって遊動状態に収容されたものである。
【0041】
ここで各ハウジング50,50のそれぞれからはアーム54が一体に延び出していて、それらアーム54,54の先端部において、上記ブロック状の取付部材47により支柱18に取付固定されている。
【0042】
一方Bにおいて一対の制振装置46のそれぞれは、ドーム状の剛性のハウジング56を有しており、その内側に形成された遊動室57内部に、球から成るマス部材58がその外周面を弾性体59で被覆された状態で所定の隙間をもって遊動状態に収容されている。
【0043】
図5の測定結果は、以上のようにしてAの制振装置45又はBの制振装置46をそれぞれ支柱18に一対ずつ取り付け、その状態で支柱18をハンマで加振して取付部材47,48に設けた加速度センサ55により軸直角方向の振動加速度を測定した結果を示したものである。
【0044】
尚、ここで制振装置45のマス部材52は金属(鉄)とし、その重量は45g、弾性体53の厚みは0.5〜1mmとし、隙間Sを0.1〜0.2mmとした。また制振装置46のマス部材58も同じく金属(鉄)とし、重量22g、弾性体59の厚み0.5〜1mm、隙間Sを0.1〜0.2mmとした。
【0045】
図5に示しているように、制振装置45,46を支柱18の上下中央部(軸方向中央)に取り付けることで支柱18の振動、特に30Hz前後の振動を効果的に抑制できることが分る。
【0046】
また本例の制振装置26は、ダイナミックダンパと異なって周波数依存性が特になく、広い周波数範囲に亘って振動を抑制することができ、また温度に対する依存性も小さく、高温から低温までの幅広い温度範囲で良好な制振効果を発揮する。
またマス部材36の必要な質量も軽量で足りるため、装置全体の所要スペースが小さくコンパクトであり、従って支柱18への内蔵も容易に行えるなど種々の特長を有する。
【0047】
本例に従って制振装置26を支柱18に取り付けた場合、支柱18を介して客室10の枠に伝わる振動を効果的に抑制でき、乗客が体感し得る振動レベルを低減し、また乗り心地を良好となすことができる。
【0048】
また本例の制振装置26は支柱18内に内蔵してあるため、制振装置26が支柱18の外面に突き出した状態とならず、乗客が支柱18を握るときに制振装置26が邪魔になることがなく、また支柱18の外観を従来と同様のすっきりとした外観に維持することができる。
【0049】
更に本例の制振装置26はスリーブ28を具備していて、そのスリーブ28の内部に保持したハウジング32及びマス部材36をそのスリーブ28を介し支柱18の内面に固定してあるため、支柱18への制振装置26の固定を容易に行うことができる。
【0050】
加えて本例ではスリーブ28にスリット40を設けてスリーブ28に軸直角方向の変形能を付与するとともに、スリーブ40とハウジング32との接触面にカム面としての雌テーパ面42,雄テーパ面44をそれぞれ設けて、単にハウジング32をスリーブ28内部に押し込むだけでスリーブ28を強く拡開でき、その拡開力を利用してこれを容易に支柱18の内面に取付固定することができる。
【0051】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、例えば本発明の制振装置を支柱18に対して外付けしたり、また上記スリーブを樹脂製としても良いし、断面形状をCリング状その他の形状とすることも可能である。
また本発明は、上例以外の他の様々な形態で制振装置を構成し、或いはまた他の様々な形態ないし構造で制振装置を支柱内部に取付固定することが可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における制振装置の一形態例をダイナミックダンパと比較して模式的に示す図である。
【図2】 本発明の一実施例の制振装置を支柱への取付状態で示す図である。
【図3】 同実施例の制振装置を各部材に分解して示す断面図である。
【図4】 同実施例の制振装置を各部材に分解して示す斜視図である。
【図5】 本発明の制振装置の効果を説明するための説明図である。
【図6】 図5に示す効果を確認するために用いた制振装置を支柱への取付状態で示す図である。
【符号の説明】
10 客室
12 床
16 天井
18 支柱
26,45,46 制振装置
28 スリーブ
32,50,56 ハウジング(当り部)
34,51,57 遊動室
36,52,58 マス部材
38,53,59 弾性体
40 スリット
42 雌テーパ面(カム面)
44 雄テーパ面(カム面)
S,2S 隙間
Claims (1)
- 鉄道車両における客室の床と天井とを結ぶ支柱の制振装置であって、
前記支柱と一体変位する剛性の当り部と、該当り部に対して振動方向に遊動状態に設けられ、振動時に該当り部に衝突するマス部材と、該当り部とマス部材との間に形成され、該マス部材を該振動方向に遊動させるための隙間と、それら当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成された弾性体とを有しており、
前記当り部は内側に遊動室を有する剛性のハウジングにて構成されていて、該ハウジング内の該遊動室内に前記マス部材が遊動状態に収容されており、
該ハウジングは前記支柱と別体に構成されていて該ハウジングがパイプ状を成す前記支柱の内面に固定されているとともに、
前記制振装置は固定部材としてのスリーブを有していて、該スリーブの内部に保持された前記ハウジング及び前記マス部材が該スリーブを介して前記支柱の内面に固定されており、
且つ前記スリーブには縦のスリットが設けられていて、該スリットにより軸直角方向の変形能が付与されているとともに、該スリーブと前記ハウジングとの各接触面にカム面が設けられていて、該スリーブ内への該ハウジングの押込時に該カム面の作用で該スリーブが拡開され、該拡開力により該スリーブが前記支柱の内面に固定されていることを特徴とする支柱の制振装置。
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