JP2023075833A - 振動減衰装置及びこの振動減衰装置を備えた車両用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】1つの振動減衰装置で、シートの複数の共振周波数に対応させる。【解決手段】振動減衰装置40は、シートフレーム10Aに取り付けられた段付きボルト42と、段付きボルト42が挿通される第1貫通孔46Aを有し、段付きボルト42の軸方向Dに沿って移動可能な内側錘部材46と、段付きボルト42が挿通される第2貫通孔50Aを有し、段付きボルト42の軸方向Dに沿って移動可能な外側錘部材50と、内側錘部材46及び外側錘部材50の軸方向Dの両側に配置され、内側錘部材46と外側錘部材50を別々に振動可能とする内側コイルばね48と外側コイルばね52と、を備えている。【選択図】図6
Description
本発明は、振動減衰装置及びこの振動減衰装置を備えた車両用シートに関する。
車両等のシートに、シートの振動を減衰する振動減衰装置を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、重錘と、この重錘を振動可能に支持する弾性部材とを備えたダイナミックダンパが、重錘の所定方向の移動を規制する移動規制手段を備える技術が開示されている。これにより、ダイナミックダンパにおいて、重錘の所定方向の移動を規制できるようにして、本来制振すべき特定方向の振動に対する制振効果を効率よく発揮できるようにする。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、1つの振動減衰装置で、シートの複数の共振周波数に対応させることができない、という問題がある。
本発明は、上記事実を考慮して、1つの振動減衰装置で、シートの複数の共振周波数に対応させることができる振動減衰装置及びこの振動減衰装置を備えた車両用シートを提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明に係る振動減衰装置は、シートフレームに取り付けられた軸部材と、前記軸部材が挿通される貫通孔を有し、前記軸部材の軸方向に沿って移動可能な複数の錘部材と、それぞれの前記錘部材の前記軸方向の両側に配置され、それぞれの前記錘部材を別々に振動可能とするコイルばねと、を備える。
請求項1記載の本発明によれば、軸部材に沿って、別々に振動可能な錘部材を複数備えることで、それぞれの錘部材が同心上において別々の動作が可能となる。そのため、複数の錘部材が、互いに異なる固有振動数を有するように設定されると、振動減衰装置は、複数の固有振動数を有するように設定されることになる。その結果、1つの振動減衰装置で、シートの複数の共振周波数に対応させることができる。
請求項2記載の本発明に係る振動減衰装置では、請求項1に記載の振動減衰装置において、前記錘部材は、前記軸部材が挿通される第1貫通孔を有する環状の内側錘部材と、前記内側錘部材が挿通される第2貫通孔を有する環状の外側錘部材と、を備え、前記コイルばねは、前記軸部材の外周を取り巻くように、前記内側錘部材の前記軸方向の両側に配置された内側コイルばねと、前記内側コイルばねの外周を取り巻くように、前記外側錘部材の前記軸方向の両側に配置された外側コイルばねと、を備える。
請求項2記載の本発明によれば、軸部材が挿通され、軸方向の両側に内側コイルばねが配置された内側錘部材と、内側錘部材が挿通され、軸方向の両側に外側コイルばねが配置された外側錘部材と、を備えることで、内側錘部材と外側錘部材とが、別々に動作可能となる。そのため、内側錘部材と外側錘部材とが、互いに異なる固有振動数を有するように設定されると、振動減衰装置は、2つの固有振動数を有するように設定されることになる。その結果、1つの振動減衰装置で、シートの2つの共振周波数に対応させることができる。
請求項3記載の本発明に係る振動減衰装置では、請求項2に記載の振動減衰装置において、前記軸部材の外周面は、樹脂製のカラー部材で覆われ、前記内側錘部材の外周面は、潤滑層で覆われている。
請求項3記載の本発明によれば、軸部材の外周面が樹脂製のカラー部材で覆われることで、軸部材と内側錘部材との間に樹脂製のカラー部材が介在されることになる。そのため、軸部材と内側錘部材との間で発生する異音を抑制することができる。また、内側錘部材の外周面が潤滑層で覆われることで、内側錘部材と外側錘部材との間に潤滑層が介在されることになる。そのため、内側錘部材と外側錘部材との間で発生する異音を抑制することができる。
請求項4記載の本発明に係る振動減衰装置では、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の振動減衰装置において、前記コイルばねは、圧縮された状態で配置されている。
請求項4記載の本発明によれば、コイルばねが圧縮された状態で配置されることで、錘部材が軸部材に沿って移動した際に、一方のコイルばねはさらに圧縮され、他方のコイルばねは伸長されつつも圧縮された状態が維持される。そのため、錘部材が振動した際に、コイルばねが常に錘部材に当接される。その結果、錘部材とコイルばねとの間で発生する異音を抑制することができる。
請求項5記載の本発明に係る車両用シートでは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動減衰装置は、着座した乗員の上体を支持するシートバック、又は着座した乗員の頭部を支持するヘッドレストに設けられている。
請求項5記載の本発明によれば、シートクッション側よりも振動が大きいシートバック又はヘッドレストに、振動減衰装置を設けることで、車両用シートの振動エネルギーを効果的に吸収し、車両用シートの振動を減衰させる減衰効率を向上させることができる。
請求項6記載の本発明に係る車両用シートでは、請求項5に記載の車両用シートにおいて、それぞれの前記錘部材の固有振動数は、互いに異なり、車両用シートの複数の共振周波数の何れかと同じになるように設定されている。
請求項6記載の本発明によれば、それぞれの錘部材の固有振動数が、互いに異なり、車両用シートの複数の共振周波数の何れかと同じになるように設定されることで、車両用シートの複数の共振周波数に対応させることができる。
請求項7記載の本発明に係る車両用シートでは、請求項5又は請求項6に記載の車両用シートにおいて、前記振動減衰装置は、前記シートバックの骨格を構成するシートバックフレームの上端側に設けられている。
請求項7記載の本発明によれば、シートバックの骨格を構成するシートバックフレームの上端側に振動減衰装置を設けることで、振動減衰装置を設置するためのスペースを十分に確保することができる。
請求項8記載の本発明に係る車両用シートでは、請求項5から請求項7の何れか1項に記載の車両用シートにおいて、前記軸部材は、シート幅方向に沿って設置されている。
請求項8記載の本発明によれば、軸部材がシート幅方向に沿って設置されることで、車両用シートのシート幅方向に沿った振動に対して減衰させることができる。
請求項9記載の本発明に係る車両用シートでは、請求項5から請求項8の何れか1項に記載の車両用シートにおいて、前記軸部材は、シート前後方向に沿って設置されている。
請求項9記載の本発明によれば、軸部材がシート前後方向に沿って設置されることで、車両用シートのシート前後方向に沿った振動に対して減衰させることができる。
請求項10記載の本発明に係る車両用シートでは、請求項5から請求項9の何れか1項に記載の車両用シートにおいて、前記軸部材は、シート幅方向、シート前後方向及びシート上下方向の成分を含んで設置されている。
請求項10記載の本発明によれば、軸部材がシート幅方向、シート前後方向及びシート上下方向の成分を含んで設置されることで、車両用シートのシート幅方向、シート前後方向及びシート上下方向の成分を含む振動に対して減衰させることができる。
本発明に係る振動減衰装置によれば、1つの振動減衰装置で、シートの複数の共振周波数に対応させることができる。
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態に係る振動減衰装置について、図面を参照して説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRはシート前後方向の前方を示し、矢印UPはシート上下方向の上方を示し、矢印RHはシート幅方向の右方を示している。また、矢印Dは、段付きボルトの軸方向を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両用シートの前後、車両用シートの上下、進行方向を向いた場合の車両用シートの左右を示すものとする。また、単に一端側及び他端側を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、段付きボルトの軸方向に対するものとする。また、図2では、シートフレームを構成するヘッドレストのヘッドレストステーの図示を省略している。
以下、第1実施形態に係る振動減衰装置について、図面を参照して説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRはシート前後方向の前方を示し、矢印UPはシート上下方向の上方を示し、矢印RHはシート幅方向の右方を示している。また、矢印Dは、段付きボルトの軸方向を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両用シートの前後、車両用シートの上下、進行方向を向いた場合の車両用シートの左右を示すものとする。また、単に一端側及び他端側を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、段付きボルトの軸方向に対するものとする。また、図2では、シートフレームを構成するヘッドレストのヘッドレストステーの図示を省略している。
第1実施形態の振動減衰装置は、車両に設けられた車両用シートに適用される例を説明する。
[車両用シートの構成]
図1及び図2に示されるように、車両用シート10は、乗員が着座するシートクッション12と、乗員の上体を支持するシートバック14と、シートバック14のシート上方側に設けられ乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、車両用シート10の骨組を形成するシートフレーム10Aと、を備えている。シートフレーム10Aは、クッションフレーム18と、シートバックフレーム28と、を備えている。
図1及び図2に示されるように、車両用シート10は、乗員が着座するシートクッション12と、乗員の上体を支持するシートバック14と、シートバック14のシート上方側に設けられ乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、車両用シート10の骨組を形成するシートフレーム10Aと、を備えている。シートフレーム10Aは、クッションフレーム18と、シートバックフレーム28と、を備えている。
シートクッション12は、例えば、ウレタンパッドなどの発泡体によって形成されており、図2に示すクッションフレーム18に固定されている。
図2に示されるように、クッションフレーム18のシート幅方向の両端側の下側には、シート前後方向に沿って延在するスライドレール20がそれぞれ設けられている。左右一対のスライドレール20は、スライドレール20の前部にそれぞれ設けられた前側シートブラケット22、及びスライドレール20の後部にそれぞれ設けられた後側シートブラケット24を介して、車体フロア部26に固定されている。そして、左右一対のスライドレール20を介して、車両用シート10が車両前後方向に沿ってスライド可能となっている。
図1に示されるように、シートバック14は、シートクッション12と同様に、例えば、ウレタンパッドなどの発泡体によって形成されており、図2に示すシートバックフレーム28に固定されている。
図2に示されるように、シートバックフレーム28は、シートバックフレーム28の下側に配置されたロアフレーム25と、シートバックフレーム28の上側に配置されたアッパフレーム27と、を備えている。ロアフレーム25には、クッションフレーム18に対して車両前後方向にシートバックフレーム28を傾倒可能にするリクライニング装置29が設けられている。アッパフレーム27には、ヘッドレスト16の不図示のヘッドレストステーが連結される。ロアフレーム25とアッパフレーム27とは、複数のボルト32を介して連結されている。
図2に示されるように、アッパフレーム27の上端を形成する上端部材27Aに不図示の取付金具等によって取り付けられた金属製のブラケット34には、振動減衰装置40が取り付けられている。振動減衰装置40は、シート幅方向の略中央に設けられている。
図3に示されるように、ブラケット34は、L字状に形成され、シート幅方向に延在する第1片34Aと、シート前後方向に延在する第2片34Bと、を有している。
[振動減衰装置の構成]
図4に示されるように、振動減衰装置40は、軸部材としての段付きボルト42と、カラー部材44と、錘部材としての内側錘部材46と、コイルばねとしての内側コイルばね48と、錘部材としての外側錘部材50と、コイルばねとしての外側コイルばね52と、ベース板54と、を備えている。
図4に示されるように、振動減衰装置40は、軸部材としての段付きボルト42と、カラー部材44と、錘部材としての内側錘部材46と、コイルばねとしての内側コイルばね48と、錘部材としての外側錘部材50と、コイルばねとしての外側コイルばね52と、ベース板54と、を備えている。
(段付きボルト42)
図4及び図5に示されるように、段付きボルト42は、金属製で形成され、軸部42Aと、軸部42Aの一端側に形成された雄ネジ部42Cと、軸部42Aの他端側に形成された頭部42Bと、を有している。
図4及び図5に示されるように、段付きボルト42は、金属製で形成され、軸部42Aと、軸部42Aの一端側に形成された雄ネジ部42Cと、軸部42Aの他端側に形成された頭部42Bと、を有している。
軸部42Aは、円柱状に形成されている。雄ネジ部42Cは、軸部42Aより小さい外径を有する円柱状で、外周面にネジ山が形成されている。頭部42Bは、軸部42Aより大きい外径を有する円柱状に形成されている。頭部42Bの他端側の面には、雄ネジ部42Cを、後述するナット43に装着する際に使用する工具(例えば、六角レンチ)用の工具用孔42Dが形成されている。
(カラー部材44)
カラー部材44は、段付きボルト42の軸部42Aの径方向外側に配置されている。カラー部材44は、樹脂製で、円筒状に形成されている。カラー部材44の内径は、軸部42Aの外径と略同じ大きさに形成されている。カラー部材44に、段付きボルト42の軸部42Aが挿入されて、軸部42Aの外周面がカラー部材44に覆われている。言い換えると、内側錘部材46と軸部42Aとの間には、カラー部材44が介在されている。また、軸部42Aと内側コイルばね48との間には、カラー部材44が介在されている。
カラー部材44は、段付きボルト42の軸部42Aの径方向外側に配置されている。カラー部材44は、樹脂製で、円筒状に形成されている。カラー部材44の内径は、軸部42Aの外径と略同じ大きさに形成されている。カラー部材44に、段付きボルト42の軸部42Aが挿入されて、軸部42Aの外周面がカラー部材44に覆われている。言い換えると、内側錘部材46と軸部42Aとの間には、カラー部材44が介在されている。また、軸部42Aと内側コイルばね48との間には、カラー部材44が介在されている。
(内側錘部材46)
内側錘部材46は、カラー部材44の径方向外側に配置されている。内側錘部材46は、金属製で円筒状に形成されている。内側錘部材46は、段付きボルト42及びカラー部材44が挿通される第1貫通孔46Aを有している。第1貫通孔46Aの内径は、カラー部材44の外径と略同じ大きさに形成されている。内側錘部材46は、カラー部材44に沿った軸方向Dに移動可能に構成されている。
内側錘部材46は、カラー部材44の径方向外側に配置されている。内側錘部材46は、金属製で円筒状に形成されている。内側錘部材46は、段付きボルト42及びカラー部材44が挿通される第1貫通孔46Aを有している。第1貫通孔46Aの内径は、カラー部材44の外径と略同じ大きさに形成されている。内側錘部材46は、カラー部材44に沿った軸方向Dに移動可能に構成されている。
(内側コイルばね48)
内側コイルばね48は、カラー部材44の径方向外側に配置されている。内側コイルばね48は、内側に段付きボルト42及びカラー部材44が挿通可能な大きさに形成されている。内側コイルばね48の外径は、内側錘部材46の内径より大きく形成されている。内側コイルばね48は、第1内側コイルばね48Aと、第2内側コイルばね48Bと、を備えている。
内側コイルばね48は、カラー部材44の径方向外側に配置されている。内側コイルばね48は、内側に段付きボルト42及びカラー部材44が挿通可能な大きさに形成されている。内側コイルばね48の外径は、内側錘部材46の内径より大きく形成されている。内側コイルばね48は、第1内側コイルばね48Aと、第2内側コイルばね48Bと、を備えている。
第1内側コイルばね48Aは、内側錘部材46の他端側に配置されている。第1内側コイルばね48Aは、圧縮された状態で、内側錘部材46の他端側の端面と、頭部42Bの一端側の端面との間に配置されている。第1内側コイルばね48Aは、カラー部材44の外周を取り巻くように配置されている。
第2内側コイルばね48Bは、内側錘部材46の一端側に配置されている。第2内側コイルばね48Bは、圧縮された状態で、内側錘部材46の一端側の端面と、段付きボルト42の雄ネジ部42Cに取り付けられたベース板54の他端側の端面との間に配置されている。第2内側コイルばね48Bは、カラー部材44の外周を取り巻くように配置されている。
内側錘部材46は、第1内側コイルばね48Aによって一端側に付勢され、第2内側コイルばね48Bによって他端側に付勢されている。第1内側コイルばね48A及び第2内側コイルばね48Bには、弾性エネルギ(付勢力)が蓄積されている。これにより、内側錘部材46は、段付きボルト42の軸部42Aの軸方向Dの略中央部に配置される。すなわち、内側錘部材46は、第1内側コイルばね48A及び第2内側コイルばね48Bによる付勢力が作用する、いわゆる強制振動となる。
(外側錘部材50)
外側錘部材50は、内側錘部材46の径方向外側に配置されている。外側錘部材50は、金属製で円筒状に形成されている。外側錘部材50は、内側錘部材46が挿通される第2貫通孔50Aを有している。第2貫通孔50Aの内径は、内側錘部材46の外径と略同じ大きさに形成されている。外側錘部材50の軸方向Dの長さは、内側錘部材46の軸方向Dの長さと略同じとすることができる。なお、外側錘部材50の軸方向Dの長さは、内側錘部材46の軸方向Dの長さより短くしてもよいし、長くしてもよい。
外側錘部材50は、内側錘部材46の径方向外側に配置されている。外側錘部材50は、金属製で円筒状に形成されている。外側錘部材50は、内側錘部材46が挿通される第2貫通孔50Aを有している。第2貫通孔50Aの内径は、内側錘部材46の外径と略同じ大きさに形成されている。外側錘部材50の軸方向Dの長さは、内側錘部材46の軸方向Dの長さと略同じとすることができる。なお、外側錘部材50の軸方向Dの長さは、内側錘部材46の軸方向Dの長さより短くしてもよいし、長くしてもよい。
外側錘部材50と内側錘部材46との間には、潤滑層としてのグリースGが介在されている。言い換えると、内側錘部材46の外周面は、潤滑層としてのグリースGで覆われている。外側錘部材50は、内側錘部材46に沿った軸方向Dに移動可能に構成されている。なお、カラー部材44の外周面も、潤滑層としてのグリースGで覆われていてもよい。
(外側コイルばね52)
外側コイルばね52は、内側コイルばね48の径方向外側に配置されている。外側コイルばね52は、内側に内側コイルばね48が挿通可能な大きさに形成されている。外側コイルばね52の外径は、外側錘部材50の内径より大きく形成されている。外側コイルばね52は、第1外側コイルばね52Aと、第2外側コイルばね52Bと、を備えている。
外側コイルばね52は、内側コイルばね48の径方向外側に配置されている。外側コイルばね52は、内側に内側コイルばね48が挿通可能な大きさに形成されている。外側コイルばね52の外径は、外側錘部材50の内径より大きく形成されている。外側コイルばね52は、第1外側コイルばね52Aと、第2外側コイルばね52Bと、を備えている。
第1外側コイルばね52Aは、外側錘部材50の他端側に配置されている。第1外側コイルばね52Aは、圧縮された状態で、外側錘部材50の他端側の端面と、頭部42Bの一端側の端面との間に配置されている。第1外側コイルばね52Aは、第1内側コイルばね48Aの外周を取り巻くように配置されている。
第2外側コイルばね52Bは、外側錘部材50の一端側に配置されている。第2外側コイルばね52Bは、圧縮された状態で、外側錘部材50の一端側の端面と、段付きボルト42の雄ネジ部42Cに取り付けられたベース板54の他端側の端面との間に配置されている。第2外側コイルばね52Bは、第2内側コイルばね48Bの外周を取り巻くように配置されている。
外側錘部材50は、第1外側コイルばね52Aによって一端側に付勢され、第2外側コイルばね52Bによって他端側に付勢されている。第1外側コイルばね52A及び第2外側コイルばね52Bには、弾性エネルギ(付勢力)が蓄積されている。これにより、外側錘部材50は、段付きボルト42の軸部42Aの軸方向Dの略中央部に配置される。すなわち、外側錘部材50は、第1外側コイルばね52A及び第2外側コイルばね52Bによる付勢力が作用する、いわゆる強制振動となる。
(ベース板54)
段付きボルト42の雄ネジ部42Cには、ベース板54が取り付けられている。ベース板54は、外側コイルばね52より大きい外径を有する円柱状に形成されている。ベース板54には、板厚方向に貫通して、内周面に雌ネジが形成されたネジ穴54Aが形成されている。ベース板54のネジ穴54Aに、段付きボルト42の雄ネジ部42Cが装着されるようになっている。
段付きボルト42の雄ネジ部42Cには、ベース板54が取り付けられている。ベース板54は、外側コイルばね52より大きい外径を有する円柱状に形成されている。ベース板54には、板厚方向に貫通して、内周面に雌ネジが形成されたネジ穴54Aが形成されている。ベース板54のネジ穴54Aに、段付きボルト42の雄ネジ部42Cが装着されるようになっている。
図3に示されるように、このように形成された振動減衰装置40は、段付きボルト42の雄ネジ部42Cに、第2片34Bを介して、ナット43を装着することで、ブラケット34に取り付けられている。振動減衰装置40は、段付きボルト42の軸方向Dが、シート幅方向に沿うよう、ブラケット34に取り付けられている。振動減衰装置40は、ブラケット34を介して、シートフレーム10Aの上端側に配置された上端部材27Aに取り付けられている。
なお、振動減衰装置40は、着座した乗員の頭部を支持するヘッドレスト16の不図示のヘッドレストステーに設けることもできる。
[錘部材の固有振動数]
内側錘部材46の固有振動数と、外側錘部材50の固有振動数とは、互いに異なるように設定されている。内側錘部材46の固有振動数は、車両用シート10の2つの共振周波数のうち、一方の共振周波数と同じになるように設定されている。外側錘部材の50の固有振動数は、車両用シート10の2つの共振周波数のうち、他方の共振周波数と同じになるように設定されている。
内側錘部材46の固有振動数と、外側錘部材50の固有振動数とは、互いに異なるように設定されている。内側錘部材46の固有振動数は、車両用シート10の2つの共振周波数のうち、一方の共振周波数と同じになるように設定されている。外側錘部材の50の固有振動数は、車両用シート10の2つの共振周波数のうち、他方の共振周波数と同じになるように設定されている。
図6に示されるように、第1内側コイルばね48Aのバネ定数k1及び第2内側コイルばね48Bのバネ定数k2が、車両用シート10の2つの共振周波数の一方と内側錘部材46の固有振動数が同じになるように設定されている。例えば、自由振動において、内側錘部材46の質量をMとし、ばね定数をkとすると、内側錘部材46の周波数(固有振動数)fは、式(1)で求められる。第1実施形態では、強制振動であるため、内側錘部材46の固有振動数fは、式(2)で求められる。つまり、車両用シート10の2つの共振周波数のうち、一方の共振周波数に内側錘部材46の固有振動数fが設定されるように、第1内側コイルばね48Aのバネ定数k1及び第2内側コイルばね48Bのバネ定数k2を設定する。
同様に、車両用シート10の2つの共振周波数のうち、他方の共振周波数に外側錘部材50の固有振動数fが設定されるように、第1外側コイルばね52Aのバネ定数k1及び第2外側コイルばね52Bのバネ定数k2を設定する。
[振動減衰装置の動作]
アイドリング時や走行時に車両に振動が発生すると、車体フロア部26を介して、車両用シート10が振動する。車両用シート10が一方の共振周波数で振動すると、図7(A)に示されるように、内側錘部材46がカラー部材44に沿って軸方向Dの一端側に移動する。この際、第2内側コイルばね48Bは圧縮され、第1内側コイルばね48Aは伸長するものの圧縮された状態が維持される。次いで、図7(B)に示されるように、内側錘部材46がカラー部材44に沿って軸方向Dの他端側に移動する。この際、第1内側コイルばね48Aは圧縮され、第2内側コイルばね48Bは伸長するものの圧縮された状態が維持される。
アイドリング時や走行時に車両に振動が発生すると、車体フロア部26を介して、車両用シート10が振動する。車両用シート10が一方の共振周波数で振動すると、図7(A)に示されるように、内側錘部材46がカラー部材44に沿って軸方向Dの一端側に移動する。この際、第2内側コイルばね48Bは圧縮され、第1内側コイルばね48Aは伸長するものの圧縮された状態が維持される。次いで、図7(B)に示されるように、内側錘部材46がカラー部材44に沿って軸方向Dの他端側に移動する。この際、第1内側コイルばね48Aは圧縮され、第2内側コイルばね48Bは伸長するものの圧縮された状態が維持される。
このようにして、第1内側コイルばね48A及び第2内側コイルばね48Bによって、内側錘部材46は、カラー部材44に沿って軸方向Dに往復移動して共振する。すなわち、車両用シート10の一方の共振周波数の振動による振動エネルギーは、内側錘部材46が移動する運動エネルギーに変換される。その結果、車両用シート10の一方の共振周波数の振動による振動エネルギーは吸収され、車両用シート10の振動は減衰される。
車両用シート10が他方の共振周波数で振動すると、図8(A)に示されるように、外側錘部材50が内側錘部材46に沿って軸方向Dの一端側に移動する。この際、第2外側コイルばね52Bは圧縮され、第1外側コイルばね52Aは伸長するものの圧縮された状態が維持される。次いで、図8(B)に示されるように、外側錘部材50が内側錘部材46に沿って軸方向Dの他端側に移動する。この際、第1外側コイルばね52Aは圧縮され、第2外側コイルばね52Bは伸長するものの圧縮された状態が維持される。
このようにして、第1外側コイルばね52A及び第2外側コイルばね52Bによって、外側錘部材50は、内側錘部材46に沿って軸方向Dに往復移動して共振する。すなわち、車両用シート10の他方の共振周波数の振動による振動エネルギーは、外側錘部材50が移動する運動エネルギーに変換される。その結果、車両用シート10の他方の共振周波数の振動による振動エネルギーは吸収され、車両用シート10の振動は減衰される。すなわち、内側錘部材46と外側錘部材50とは、別々に振動可能に構成されている。
[第1実施形態の作用及び効果]
次に、第1実施形態の振動減衰装置40及び車両用シート10の作用及び効果について説明する。
次に、第1実施形態の振動減衰装置40及び車両用シート10の作用及び効果について説明する。
第1実施形態の振動減衰装置40は、シートフレーム10Aに取り付けられた段付きボルト42と、段付きボルト42が挿通される第1貫通孔46Aを有し、段付きボルト42の軸方向Dに沿って移動可能な内側錘部材46と、段付きボルト42が挿通される第2貫通孔50Aを有し、段付きボルト42の軸方向Dに沿って移動可能な外側錘部材50と、を備えている。さらに、振動減衰装置40は、内側錘部材46及び外側錘部材50の軸方向Dの両側に配置され、内側錘部材46と外側錘部材50を別々に振動可能とする内側コイルばね48と外側コイルばね52と、を備えている。
段付きボルト42に沿って、別々に振動可能な内側錘部材46と外側錘部材50を備えることで、内側錘部材46と外側錘部材50が同心上において別々の動作が可能となる。そのため、内側錘部材46と外側錘部材50が、互いに異なる固有振動数を有するように設定されると、振動減衰装置40は、2つの固有振動数を有するように設定されることになる。その結果、1つの振動減衰装置40で、車両用シート10の2つの共振周波数に対応させることができる。
また、2つの振動減衰装置を取り付けて2つの共振周波数に対応させる場合と比較して、振動減衰装置40の取付作業性を向上させることができる。また、2つの振動減衰装置を取り付ける場合と比較して、振動減衰装置40の部品費の削減や重量の低減を図ることができる。
第1実施形態の振動減衰装置40では、段付きボルト42が挿通される第1貫通孔46Aを有する環状の内側錘部材46と、内側錘部材46が挿通される第2貫通孔50Aを有する環状の外側錘部材50と、段付きボルト42の外周を取り巻くように、内側錘部材46の軸方向Dの両側に配置された内側コイルばね48と、内側コイルばね48の外周を取り巻くように、外側錘部材50の軸方向Dの両側に配置された外側コイルばね52と、を備えている。
段付きボルト42が挿通され、軸方向Dの両側に内側コイルばね48が配置された内側錘部材46と、内側錘部材46が挿通され、軸方向Dの両側に外側コイルばね52が配置された外側錘部材50と、を備えることで、内側錘部材46と外側錘部材50とが、別々に動作可能となる。そのため、内側錘部材46と外側錘部材50とが、互いに異なる固有振動数を有するように設定されると、振動減衰装置40は、2つの固有振動数を有するように設定されることになる。その結果、1つの振動減衰装置40で、車両用シート10の2つの共振周波数に対応させることができる。
しかも、外側錘部材50は、内側錘部材46が挿通される第2貫通孔50Aを有することで、外側錘部材50が内側錘部材46を軸として振動可能となる。そのため、内側錘部材46及び外側錘部材50を1つの段付きボルト42の軸方向Dに沿って振動可能となる。その結果、内側錘部材46と外側錘部材50の軸を共通化させることができる。そのため、振動減衰装置40の部品費の削減や重量の低減を図ることができる。
また、内側コイルばね48の外周を取り巻くように外側コイルばね52が配置されることで、内側コイルばね48は、外側コイルばね52の内側に配置される。そのため、外側コイルばね52を設けるスペースが省略される。その結果、振動減衰装置40の小型化を図ることができる。
また、内側錘部材46を付勢する付勢部材として内側コイルばね48が用いられ、外側錘部材50を付勢する付勢部材として外側コイルばね52が用いられている。そのため、付勢部材としてゴム部材が用いられた場合と比較して、内側錘部材46及び外側錘部材50のストロークを長くすることができる。その結果、内側錘部材46及び外側錘部材50の運動エネルギーを大きくすることができる。このため、振動減衰装置40では、簡単な構成で、コンパクトかつ軽量化を図ることができると共に、振動エネルギーを効果的に吸収することができる。
さらに、内側錘部材46と外側錘部材50は、段付きボルト42の軸部42Aの軸方向Dに沿って移動可能とされている。そのため、内側錘部材46と外側錘部材50は、1つの自由度となる。その結果、振動減衰装置40において、固有振動数を容易に設定することができる。
第1実施形態の振動減衰装置40では、段付きボルト42の外周面は、樹脂製のカラー部材44で覆われ、内側錘部材46の外周面は、グリースGで覆われている。
段付きボルト42の外周面が樹脂製のカラー部材44で覆われることで、段付きボルト42と内側錘部材46との間に樹脂製のカラー部材44が介在されることになる。そのため、段付きボルト42と内側錘部材46との間で発生する異音を抑制することができる。
また、段付きボルト42と内側錘部材46との間で発生する摩擦熱も抑制されることになる。そのため、段付きボルト42と内側錘部材46との間で発生する摩擦熱による各部品の変形が抑制される。その結果、内側錘部材46が所望の動作をすることになり、狙いの共振周波数で内側錘部材46を振動させることができる。
また、内側錘部材46の外周面がグリースGで覆われることで、内側錘部材46と外側錘部材50との間にグリースGが介在されることになる。そのため、内側錘部材46と外側錘部材50との間で発生する異音を抑制することができる。
また、内側錘部材46と外側錘部材50との間で発生する摩擦熱も抑制されることになる。そのため、内側錘部材46と外側錘部材50との間で発生する摩擦熱による各部品の変形が抑制される。その結果、外側錘部材50が所望の動作をすることになり、狙いの共振周波数で外側錘部材50を振動させることができる。
第1実施形態の振動減衰装置40では、内側コイルばね48及び外側コイルばね52は、圧縮された状態で配置されている。
内側コイルばね48及び外側コイルばね52が圧縮された状態で配置されることで、内側錘部材46及び外側錘部材50が段付きボルト42に沿って移動した際に、一方の内側コイルばね48及び外側コイルばね52はさらに圧縮され、他方の内側コイルばね48及び外側コイルばね52は伸長されつつも圧縮された状態が維持される。そのため、内側錘部材46及び外側錘部材50が振動した際に、内側コイルばね48及び外側コイルばね52が常に内側錘部材46又は外側錘部材50に当接される。その結果、内側錘部材46及び外側錘部材50と内側コイルばね48及び外側コイルばね52との間で発生する異音を抑制することができる。
第1実施形態の振動減衰装置40は、着座した乗員の上体を支持するシートバック14、又は着座した乗員の頭部を支持するヘッドレスト16に設けられている。
ところで、車両用シート10は、車体フロア部26に対し、スライドレール20及びシートブラケットを介して、車両前後方向に沿ってスライド可能に取付けられている。つまり、車両用シート10の下端は、スライドレール20によって支持されているため、車両用シート10において、シートクッション12の振動と比較して、シートバック14やヘッドレスト16は自由端となり、振動が大きくなる。このため、シートクッション12よりも振動が大きいシートバック14又はヘッドレスト16に、振動減衰装置40を設けることで、車両用シート10の振動エネルギーを効果的に吸収し、車両用シート10の振動を減衰させる減衰効率を向上させることができる。
第1実施形態の車両用シート10では、内側錘部材46と外側錘部材50の固有振動数は、互いに異なり、車両用シート10の2つの共振周波数の何れかと同じになるように設定されている。
内側錘部材46と外側錘部材50の固有振動数が、車両用シート10の共振周波数と同じになるように設定されることで、車両用シート10の共振に内側錘部材46と外側錘部材50が共振する。これにより、車両用シート10の振動エネルギーが、内側錘部材46と外側錘部材50の振動エネルギーに変換される。その結果、車両用シート10の振動エネルギーが吸収され、車両用シート10の振動が効果的に減衰される。
しかも、内側錘部材46と外側錘部材50の固有振動数が、互いに異なり、車両用シート10の2つの共振周波数と同じになるように設定されることで、車両用シート10の2つの共振周波数に対応させることができる。
第1実施形態の車両用シート10では、振動減衰装置40は、シートバック14の骨格を構成するシートバックフレーム28の上端側に設けられている。
ところで、シートバック14は、ヘッドレスト16よりも外形が大きい分、振動減衰装置40を設置するためのスペースを確保しやすい。シートバック14の骨格を構成するシートバックフレーム28の上端側に振動減衰装置40を設けることで、振動減衰装置40を設置するためのスペースを十分に確保することができる。
第1実施形態の車両用シート10では、段付きボルト42は、シート幅方向に沿って設置されている。
段付きボルト42がシート幅方向に沿って設置されることで、車両用シート10のシート幅方向に沿った振動に対して減衰させることができる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態の振動減衰装置は、錘部材の構成が異なる点で第1実施形態の振動減衰装置と相違する。
第2実施形態の振動減衰装置は、錘部材の構成が異なる点で第1実施形態の振動減衰装置と相違する。
[振動減衰装置の構成]
以下、第2実施形態の振動減衰装置の構成を説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は符号を用いて説明する。
以下、第2実施形態の振動減衰装置の構成を説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は符号を用いて説明する。
図9に示されるように、振動減衰装置140は、軸部材としての段付きボルト42と、カラー部材44と、錘部材としての内側錘部材46と、コイルばねとしての内側コイルばね48と、錘部材としての第2内側錘部材146と、ベース板54と、を備えている。
(第2内側錘部材146)
第2内側錘部材146は、内側錘部材46より軸方向Dの一端側に配置されている。第2内側錘部材146は、カラー部材44の径方向外側に配置されている。第2内側錘部材46は、金属製で円筒状に形成されている。第2内側錘部材146は、段付きボルト42及びカラー部材44が挿通される第3貫通孔146Aを有している。第3貫通孔146Aの内径は、カラー部材44の外径と略同じ大きさに形成されている。内側錘部材46は、カラー部材44に沿った軸方向Dに移動可能に構成されている。
第2内側錘部材146は、内側錘部材46より軸方向Dの一端側に配置されている。第2内側錘部材146は、カラー部材44の径方向外側に配置されている。第2内側錘部材46は、金属製で円筒状に形成されている。第2内側錘部材146は、段付きボルト42及びカラー部材44が挿通される第3貫通孔146Aを有している。第3貫通孔146Aの内径は、カラー部材44の外径と略同じ大きさに形成されている。内側錘部材46は、カラー部材44に沿った軸方向Dに移動可能に構成されている。
(内側コイルばね48)
内側コイルばね48は、第1内側コイルばね48Aと、第2内側コイルばね48Bと、第3内側コイルばね48Cと、を備えている。
内側コイルばね48は、第1内側コイルばね48Aと、第2内側コイルばね48Bと、第3内側コイルばね48Cと、を備えている。
第1内側コイルばね48Aは、内側錘部材46の他端側に配置されている。第1内側コイルばね48Aは、圧縮された状態で、内側錘部材46の他端側の端面と、頭部42Bの一端側の端面との間に配置されている。
第2内側コイルばね48Bは、内側錘部材46の一端側に配置されている。第2内側コイルばね48Bは、圧縮された状態で、内側錘部材46の一端側の端面と、第2内側錘部材146の他端側の端面との間に配置されている。
第3内側コイルばね48Cは、第2内側錘部材146の一端側に配置されている。第3内側コイルばね48Cは、圧縮された状態で、第2内側錘部材146の一端側の端面と、段付きボルト42の雄ネジ部42Cに取り付けられたベース板54の他端側の端面との間に配置されている。
このような構成の振動減衰装置140であっても、1つの振動減衰装置で、車両用シート10の2つの共振周波数に対応させることができる。なお、他の構成及び作用効果については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
〔第3実施形態〕
第3実施形態の振動減衰装置は、錘部材の構成が異なる点で上記実施形態の振動減衰装置と相違する。
第3実施形態の振動減衰装置は、錘部材の構成が異なる点で上記実施形態の振動減衰装置と相違する。
[振動減衰装置の構成]
以下、第3実施形態の振動減衰装置の構成を説明する。なお、上記実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は符号を用いて説明する。
以下、第3実施形態の振動減衰装置の構成を説明する。なお、上記実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は符号を用いて説明する。
図10に示されるように、振動減衰装置240は、軸部材としての段付きボルト42と、カラー部材44と、錘部材としての内側錘部材46と、コイルばねとしての内側コイルばね48と、錘部材としての外側錘部材50と、コイルばねとしての外側コイルばね52と、錘部材としての最外側錘部材250と、コイルばねとしての最外側コイルばね252と、ベース板54と、を備えている。
(最外側錘部材250)
最外側錘部材250は、外側錘部材50の径方向外側に配置されている。最外側錘部材250は、金属製で円筒状に形成されている。最外側錘部材250は、外側錘部材50が挿通される第4貫通孔250Aを有している。第4貫通孔250Aの内径は、外側錘部材50の外径と略同じ大きさに形成されている。最外側錘部材250の軸方向Dの長さは、外側錘部材50の軸方向Dの長さと略同じとすることができる。なお、最外側錘部材250の軸方向Dの長さは、外側錘部材50の軸方向Dの長さより短くしてもよいし、長くしてもよい。
最外側錘部材250は、外側錘部材50の径方向外側に配置されている。最外側錘部材250は、金属製で円筒状に形成されている。最外側錘部材250は、外側錘部材50が挿通される第4貫通孔250Aを有している。第4貫通孔250Aの内径は、外側錘部材50の外径と略同じ大きさに形成されている。最外側錘部材250の軸方向Dの長さは、外側錘部材50の軸方向Dの長さと略同じとすることができる。なお、最外側錘部材250の軸方向Dの長さは、外側錘部材50の軸方向Dの長さより短くしてもよいし、長くしてもよい。
最外側錘部材250と外側錘部材50との間には、潤滑層としてのグリースGが介在されている。言い換えると、外側錘部材50の外周面は、潤滑層としてのグリースGで覆われている。最外側錘部材250は、外側錘部材50に沿った軸方向Dに移動可能に構成されている。
(最外側コイルばね252)
最外側コイルばね252は、外側コイルばね52の径方向外側に配置されている。最外側コイルばね252は、内側に外側コイルばね52が挿通可能な大きさに形成されている。最外側コイルばね252の外径は、最外側錘部材250の内径より大きく形成されている。最外側コイルばね252は、第1最外側コイルばね252Aと、第2最外側コイルばね252Bと、を備えている。
最外側コイルばね252は、外側コイルばね52の径方向外側に配置されている。最外側コイルばね252は、内側に外側コイルばね52が挿通可能な大きさに形成されている。最外側コイルばね252の外径は、最外側錘部材250の内径より大きく形成されている。最外側コイルばね252は、第1最外側コイルばね252Aと、第2最外側コイルばね252Bと、を備えている。
第1最外側コイルばね252Aは、最外側錘部材250の他端側に配置されている。第1最外側コイルばね252Aは、圧縮された状態で、最外側錘部材250の他端側の端面と、頭部42Bの一端側の端面との間に配置されている。第1最外側コイルばね252Aは、第1外側コイルばね52Aの外周を取り巻くように配置されている。
第2最外側コイルばね252Bは、最外側錘部材250の一端側に配置されている。第2最外側コイルばね252Bは、圧縮された状態で、最外側錘部材250の一端側の端面と、段付きボルト42の雄ネジ部42Cに取り付けられたベース板54の他端側の端面との間に配置されている。第2最外側コイルばね252Bは、第2外側コイルばね52Bの外周を取り巻くように配置されている。
このような構成の振動減衰装置240は、1つの振動減衰装置で、車両用シート10の3つの共振周波数に対応させることができる。なお、他の構成及び作用効果については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
以上、本発明の振動減衰装置及びこの振動減衰装置を備えた車両用シートを、上記実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これら実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
上記実施形態では、振動減衰装置40は、段付きボルト42の軸方向Dが、シート幅方向に沿うよう、ブラケット34に取り付けられている例を示した。しかし、図11に示されるように、振動減衰装置40は、段付きボルト42の軸方向Dが、シートバック14が起立した起立姿勢において、シート前後方向に沿うように、ブラケット34の第1片34Aに取り付けられていてもよい。この場合、車両用シート10のシート前後方向に沿った振動に対して減衰させることができる。
図12に示されるように、振動減衰装置40は、段付きボルト42の軸方向Dが、シート幅方向、シート前後方向及びシート上下方向の成分を含む方向に沿うように、ブラケット134に取り付けられていてもよい。この場合、車両用シート10では、車両用シート10のシート幅方向、シート前後方向及びシート上下方向の成分を含む振動に対して減衰させることができる。
第1実施形態では、錘部材を、内側錘部材46と外側錘部材50とで2重にして設け、第3実施形態では、錘部材を、内側錘部材46と外側錘部材50と最外側錘部材250とで3重にして設ける例を示した。しかし、錘部材としては、4重以上にして設けることもできる。
上記実施形態では、車両用シート10に振動減衰装置40を1つ設ける例を示した。しかし、振動減衰装置は、車両用シート10に複数設けることもできる。
上記実施形態では、外側錘部材50と内側錘部材46との間には、潤滑層としてのグリースGが介在されている例を示した。しかし、内側錘部材46の外周面に樹脂コーティングを施して、潤滑層を形成してもよい。
上記実施形態では、振動減衰装置40は、シート幅方向の略中央であって、アッパフレーム27の上端に設けられる例を示した。しかし、振動減衰装置40は、シート幅方向の右側又は左側に設けられても良いし、ヘッドレストステー、ロアフレーム25又はクッションフレーム18に設けられてもよい。
上記実施形態では、内側錘部材46を円柱状に形成する例を示した。しかし、内側錘部材は、外周面に複数の突起を有していてもよい。この場合、内側錘部材46と外側錘部材50との接触面積が低減され、潤滑層としてのグリースGを省略することができる。
上記実施形態では、本発明の振動減衰装置を車両用シートに適用する例を示した。しかし、本発明の振動減衰装置は、列車、航空機、船舶その他の乗り物のシートに適用することができる。
10 車両用シート
10A シートフレーム
14 シートバック
16 ヘッドレスト
28 シートバックフレーム
40 振動減衰装置
42 段付きボルト(軸部材の一例)
44 カラー部材
46 内側錘部材(錘部材の一例)
46A 第1貫通孔(貫通孔の一例)
48 内側コイルばね(コイルばねの一例)
50 外側錘部材(錘部材の一例)
50A 第2貫通孔(貫通孔の一例)
52 外側コイルばね(コイルばねの一例)
D 軸方向
G グリース(潤滑層の一例)
10A シートフレーム
14 シートバック
16 ヘッドレスト
28 シートバックフレーム
40 振動減衰装置
42 段付きボルト(軸部材の一例)
44 カラー部材
46 内側錘部材(錘部材の一例)
46A 第1貫通孔(貫通孔の一例)
48 内側コイルばね(コイルばねの一例)
50 外側錘部材(錘部材の一例)
50A 第2貫通孔(貫通孔の一例)
52 外側コイルばね(コイルばねの一例)
D 軸方向
G グリース(潤滑層の一例)
Claims (10)
- シートフレームに取り付けられた軸部材と、
前記軸部材が挿通される貫通孔を有し、前記軸部材の軸方向に沿って移動可能な複数の錘部材と、
それぞれの前記錘部材の前記軸方向の両側に配置され、それぞれの前記錘部材を別々に振動可能とするコイルばねと、
を備える振動減衰装置。 - 前記錘部材は、
前記軸部材が挿通される第1貫通孔を有する環状の内側錘部材と、
前記内側錘部材が挿通される第2貫通孔を有する環状の外側錘部材と、を備え、
前記コイルばねは、
前記軸部材の外周を取り巻くように、前記内側錘部材の前記軸方向の両側に配置された内側コイルばねと、
前記内側コイルばねの外周を取り巻くように、前記外側錘部材の前記軸方向の両側に配置された外側コイルばねと、を備える
請求項1に記載の振動減衰装置。 - 前記軸部材の外周面は、樹脂製のカラー部材で覆われ、
前記内側錘部材の外周面は、潤滑層で覆われている
請求項2に記載の振動減衰装置。 - 前記コイルばねは、圧縮された状態で配置されている
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の振動減衰装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動減衰装置は、着座した乗員の上体を支持するシートバック、又は着座した乗員の頭部を支持するヘッドレストに設けられている
車両用シート。 - それぞれの前記錘部材の固有振動数は、互いに異なり、車両用シートの複数の共振周波数の何れかと同じになるように設定されている
請求項5に記載の車両用シート。 - 前記振動減衰装置は、前記シートバックの骨格を構成するシートバックフレームの上端側に設けられている
請求項5又は請求項6に記載の車両用シート。 - 前記軸部材は、シート幅方向に沿って設置されている
請求項5から請求項7の何れか1項に記載の車両用シート。 - 前記軸部材は、シート前後方向に沿って設置されている
請求項5から請求項8の何れか1項に記載の車両用シート。 - 前記軸部材は、シート幅方向、シート前後方向及びシート上下方向の成分を含んで設置されている
請求項5から請求項9の何れか1項に記載の車両用シート。
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