JP4203586B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、パチンコ機(アレンジボール機、雀球機等も含む)のような遊技機(弾球遊技機と呼ばれることもある)に関し、詳しくは、遊技盤が装着される本体部と、その本体部に対し一側が開閉機構によって開閉可能に取り付けられ、他側が閉止機構に閉じ状態に保持される開閉扉と、を備えた遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の遊技機(例えばパチンコ機)において、本体部に対し、その一側が開閉機構によって開閉可能に装着され、他側が閉止機構に閉じ状態に保持される開閉扉には、遊技盤の遊技領域を透視可能な開口窓が形成される。
また、開閉扉には、その開口窓を塞ぐ透明板(ガラス板、透明な合成樹脂板等)が装着される。
遊技盤の前面には、立ち上がり寸法18mm程度の無数の釘が打ち込まれ、遊技盤の前面と透明板の後面との間の距離は約19mm、組み付け誤差によるガタツキ等を考慮したとしても約21mm以内とされるのが一般的である。
遊技盤面上には直径約11mmの遊技球(パチンコ球)が発射され、これらの遊技球が無数の釘の間を方向を変えながら流下することにより遊技が実現される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の遊技機において、遊技盤前面と透明板後面との間の距離が不測に変動すると種々の不具合が生ずることが知られている。
例えば、遊技盤前面と透明板後面との間の距離が、想定される最大寸法である21mmを超えた場合には(例えば23mmになった場合には)、遊技盤の前面に打ち込まれた釘の頂部と、透明板の後面との隙間が予想以上に広がることになる(例えば、隙間が1mmから5mmに広がることになる)。
すると、遊技盤の前面に配設されることのある役物装置の角部等において、複数の遊技球が前後方向にほぼ重なった状態で密集し、これによって遊技球の「詰まり」の状態が生ずることがある。
【0004】
このような遊技球の「詰まり」は、例えば開閉扉下部を手前側に引っ張ることで意図的に発生させることも可能である。
最近では、遊技盤前面に配設される入賞口の近傍に、このような遊技球の「詰まり」を意図的に発生させ、この入賞口に入賞する方向へ多くの遊技球を誘導する不正な行為(いわゆる「ゴト」行為)が発見されている。
このような行為が行われると、多くの賞球が不正に獲得されることとなり、遊技機を提供等する事業者にとっては多大な損害を蒙ることになるので問題となっていた。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するために創案されたものであり、パチンコ機等の遊技機において、遊技盤前面と透明板後面との間の距離が変動することに起因する種々の不具合を有効に防止することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願発明は特許請求の範囲の請求項に記載された通りの構成を備えている。
請求項1に記載の遊技機は、遊技盤が装着される本体部と、その本体部に対し一側が開閉機構によって開閉可能に取り付けられ、他側が閉止機構によって閉じ状態に保持される開閉扉と、を備える。
開閉扉には、遊技盤の遊技領域を透視可能な開口窓が形成されるとともに、その開口窓を塞ぐ透明板が設けられている。
加えて、請求項1に記載の遊技機には、遊技盤前面と透明板後面との間の距離を検知する距離検知手段が備えられている。
ここで、「距離検知手段」は、遊技盤前面と透明板後面との間の距離を検知できる各種の手段、例えば、各種の距離センサーやリミットスイッチ等により構成される。
この「距離検知手段」は、「距離」を数値としてデジタル信号あるいはアナログ信号により出力する距離センサーやリミットスイッチ等で構成されてもよく、あるいは、「距離」が所定の範囲にあるか否かを検知して接点信号を出力する距離センサーやリミットスイッチ等で構成されてもよい。
【0007】
このような構成により、請求項1に記載の遊技機によれば、距離検知手段によって遊技盤前面と透明板後面との間の距離が検知される。
したがって、例えば開閉扉が手前側に引っ張られ、前記した「距離」が不測に変動したような場合であっても、このような「距離」の変動を速やかに発見することができる。
これにより、遊技盤前面と透明板後面との間における遊技球の詰まり等の不具合が有効に防止される。
【0008】
本願発明に記載の遊技機では、距離検知手段は、遊技盤前面と透明板後面との間の距離が所定の距離を超えたことを検知して検知信号を出力する。
これにより、例えば開閉扉が手前側に引っ張られ、前記した「距離」が所定の距離を超えて拡大した場合であっても、出力された検知信号に基いて種々の対策を講じることができる。
例えば、距離検知手段により出力された検知信号に基いて、遊技機に備えられたスピーカ等から警告音を発生させることができる。
これにより、前記した「距離」が拡大することによる遊技球の詰まり等に対して迅速に対処することができる。
【0009】
本願発明に記載の遊技機では、距離検知手段が「超えたこと」を検知して検知信号を出力する「所定の距離」は、遊技球の直径の2倍の距離を超えない距離であることを特徴とする。
距離検知手段が「超えたこと」を検知して検知信号を出力するための「所定の距離」は、遊技盤前面と透明板後面との間に遊技球の「詰まり」が生じないようにするための距離、言い換えれば、遊技盤前面と透明板後面との間に遊技球が「重なり合わない」程度の距離に設定されるのが好ましい。
例えば、遊技球がパチンコ球であって、その直径の大きさが11mmに設定されている場合には、遊技盤前面と透明板後面との間が22mmを超えたときに、2つの遊技球が前後に重なり合う状態が生じ得ることとなる。
この場合、例えば役物装置の角部や壁部等において、複数の遊技球が前後に重なり合うことにより密集し、遊技球の「詰まり」が極めて発生し易い状態が形成されることとなる。
したがって、距離検知手段が超えたことを検知する「所定の距離」は、少なくとも、遊技球の直径の2倍の距離である22mmを超えない距離とされるのが好ましい。
さらに、遊技球の「詰まり」をより確実に防止する観点から考察すると、「所定の距離」は、およそ21mm程度とされるのが一層好ましい。
本願発明に記載の遊技機によれば、このような場合に検知信号が出力されることにより、遊技球を詰まらせる等による不正行為をより確実に発見・防止することができる。
【0010】
本願発明に記載の遊技機は、検知信号に基いて作動される外部報知手段を備えている。
ここで、「外部報知手段」とは、外部に音や光を発したり、あるいは、警告画面を表示すること等により外部に報知を行うことのできる手段、例えば、遊技機に備えられたスピーカや発光体LED、液晶表示装置等のことを指している。
外部報知手段は、検知信号に基いて、遊技盤前面と透明板後面との間の距離が所定の距離(例えば21mm)を超えたことをを外部に向けて速やかに報知することができる。
これにより、開閉扉を引っ張ることによる不正行為等を速やかに発見・防止することができる。
【0011】
本願発明に記載の遊技機では、距離検知手段は、開閉扉の一側が閉止機構によって閉じ状態に保持されているときに、遊技盤前面と透明板後面との間の距離を検知する。
開閉扉の一側が閉止機構に閉じ状態に保持されている場合、すなわち、開閉扉が閉じられている場合は、遊技盤前面と透明板との間に遊技球の「詰まり」等が生じることがあるので、距離検知手段によりこれらの間の「距離」を検知するのが好ましい。
反対に、開閉扉の一側が閉止機構に閉じ状態に保持されていない場合、すなわち、開閉扉が開放されている場合は、遊技盤前面と透明板との間に遊技球の「詰まり」等が発生することはないので、距離検知手段により「距離」を検知する必要がない。
つまり、本願発明に記載の遊技機によれば、必要な場合にだけ、距離検知手段により「距離」を検知することになるので、効率的に遊技球の詰まり等を防止することができる。
【0012】
本願発明に記載の遊技機では、距離検知手段は、開閉扉の一側と、開閉扉の他側との間における略中央の位置において、遊技盤前面と透明板後面との間の距離を検知する。
ここで、開閉扉の「一側」とあるのは、開閉機構によって本体部に取付けられる開閉扉の一側のことを指しており、開閉扉の「他側」とあるのは、閉止機構によって閉じ状態に保持される開閉扉の他側のことを指している。
開閉扉の両側部は、開閉機構及び閉止機構によってそれぞれ本体部に対して固定されるので、例えば開閉扉を手前側に引っ張ったとしても、これらの位置では開閉扉自体(例えば窓枠の部分)があまり変形しない。
しかし、これらの両側部の間、特に、これら両側部の略中央の位置では、例えば開閉扉を手前側に引っ張ると、固定された両側部から離れているので、開閉扉自体が手前側に向けて変形し易い。
このように、手前側に引っ張ることで変形し易い略中央の位置では、他の位置と比べて意図的に遊技球の「詰まり」等を発生させやすく、多数の遊技球を入賞口に誘導する不正行為も行われ易い。
本願発明に記載の遊技機によれば、このような不正行為が行われ易い開閉扉の略中央の位置において、遊技盤前面と透明板後面との間の距離が検知される。
これにより、前記したような不正行為をより効果的に防止することができる。
【0013】
本願発明に記載の遊技機では、距離検知手段は、遊技盤の上下方向略中央の位置よりも下方の位置において、遊技盤前面と透明板後面との間の距離を検知する。
遊技盤の前面には、遊技球が入賞すると賞球を払出す複数の入賞口(例えば普通入賞口)が配設されるのが一般的である。
そして、このような複数の入賞口は、遊技盤前面の上下方向略中央の位置よりも下方の位置に多く配設されるのが一般的である。
つまり、このように多くの入賞口が配設される位置では、意図的に遊技球を詰まらせて該入賞口に多くの遊技球を誘導する不正行為が行われやすい。
本願発明に記載の遊技機によれば、このような不正行為が行われ易い遊技盤の下方の位置において、遊技盤前面と透明板後面との間の距離が検知される。
これにより、前記したような不正行為をより効果的に防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
図1は遊技機としてのパチンコ機(弾球遊技機ともいう)の正面図である。
図2は図1のIV−IV線に基づく縦断面図である。
図3は図1のV−V線に基づく平断面図である。
図4は本体部の外枠に対し基枠を開きその基枠に対し開閉扉を開いた状態を示す斜視図である。
図5は本体部の外枠に対し基枠を開いた状態を示す斜視図である。
図1〜図5において、パチンコ機1の本体部は、外枠3と基枠7を主体として構成され、基枠7の前側には開閉扉30が開閉可能に装着されている。
外枠3は方形枠状に形成され、その前面の下部には基枠7の下面を受ける受板3aが設けられている。
【0015】
図4と図5に示すように、外枠3の前側には、基枠7がその一側の基枠用開閉機構をなす基枠用ヒンジ部材6の軸を支点として開閉可能に取り付けられている。
この基枠7の他側は、基枠用閉止機構をなす基枠施錠用フック15によって閉じ状態に保持されている。
なお、周知のように、基枠用閉止機構は、基枠7の後側面に設けられた基枠施錠用フック15と、その基枠施錠用フック15に係脱可能に位置において外枠3の内側面に設けられた係止具(図示しない)とを備えている。
そして、基枠7が閉じられることで、その基枠施錠用フック15が外枠3の係止具に係合して基枠7が閉じ状態に施錠されるようになっている。
また、外枠3に対する基枠7の解錠は、基枠7の鍵穴18に対し鍵を挿入し、その鍵を、所定方向に回動操作することで、基枠施錠用フック15が外枠3の係止具から外れ、外枠3に対し基枠7が解錠されるようになっている。
図2〜図4に示すように、基枠7は、遊技盤10の前面の略全体を露出する開口部を有する方形額縁状に形成されている。
この基枠7の後面には、その開口部周縁に沿って遊技盤装着枠8が設けられている。
そして、遊技盤10は、遊技盤装着枠8の後方から着脱可能に嵌込まれる。
さらに、遊技盤装着枠8の片側において開閉可能に装着された機構板19を閉じ、遊技盤装着枠8の後面に配設された複数の締付具9を固定位置まで回動することによって遊技盤装着枠8に機構板19を介して遊技盤10が固定されるようになっている(図5参照)。
【0016】
図4に示すように、遊技盤10の前面には、球発射通路を構成する外レールと内レールを備えた案内レール11が装着され、その案内レール11の内側には遊技領域12が区画されている。
遊技盤10の前面には、その遊技領域12内においてセンタ役物、入賞口、風車器、多数の釘等が配設されている(図示しない)。
また、遊技盤10の前面には、その遊技領域12の外側においてパネル飾り等の部品28が取り付けられている。
また、図4に示すように、基枠7の前面の下部には、発射レール装置60が配設されるとともに、その発射レール装置60を覆うようにして前板62が開閉可能に装着されている。
前板62の前面には上皿61が装着され、同前板62の下方に位置する基枠7の下部前面には、操作ハンドル16、下皿17等が配設されている。
【0017】
図4に示すように、基枠7の前側には、一側が扉用開閉機構20によって開閉可能に取り付けられ、他側が扉用閉止機構25によって閉じ状態に保持される開閉扉30が配設されている。
なお、この扉用開閉機構20が、本発明の「開閉機構」に対応し、扉用閉止機構25が、本発明の「閉止機構」に対応している。
この実施の形態において、開閉扉30の一側とこれに対向する基枠7前面の一側との間には、扉用開閉機構20を構成する扉用ヒンジ部材21が配設されており、その扉用ヒンジ部材21のヒンジ軸を支点(中心)として開閉扉30が開閉可能に装着されている。
また、開閉扉30後面の他側(自由端側)と基枠7前面の他側との間には、扉閉止用フック26と施錠板27とを備えた扉用閉止機構25が配設されている。
【0018】
すなわち、図4と図5に示すように、開閉扉30後面の他側の上下及び中間の計三箇所には、扉閉止用フック26が突設される一方、基枠7の他側部には開閉扉30が閉じられたときには、その扉閉止用フック26が差し込まれる差込孔7aが形成されている。
また、基枠7の後面の他側部には、各扉閉止用フック26に係脱可能に係合して開閉扉30を閉じ状態に施錠する施錠孔を有する施錠板27が施錠位置と開錠位置とに移動可能(上下動可能)に配設されている。
そして、開閉扉30が閉じられることで、その扉閉止用フック26が施錠板27を、一旦、バネの弾発力に抗して開錠方向に移動しながらその施錠孔に差し込まれ、その後、施錠板27がバネの弾発力によって元の施錠位置に戻されることで、扉閉止用フック26が施錠板27に係合し、これによって、開閉扉30が閉じ状態に施錠されるようになっている。
また、基枠7に対する開閉扉30の解錠は、基枠7の鍵穴18に対し鍵を挿入し、その鍵を、外枠3に対する基枠7の解錠方向とは逆の方向に回動操作することで、施錠板27がバネの弾発力に抗して開錠方向に移動し、これによって施錠板27の施錠孔から扉閉止用フック26が外れ、基枠7に対し開閉扉30が解錠されるようになっている。
【0019】
図2〜図4に示すように、開閉扉30は、本体フレーム32と、その本体フレーム32の前面に装着された合成樹脂製の前面飾り部材33を主体として構成されている。
本体フレーム32は、鉄板等の金属板や硬質合成樹脂より形成され、その本体フレーム32の中央部には、遊技盤10の遊技面を透視可能な略円形の開口窓31が形成されている。
また、前面飾り部材33は合成樹脂の成形品より形成され、その前面には凹凸の装飾が施されるとともに、その一部には光が出射されるレンズ部が適宜に形成されている。
また、本体フレーム32と前面飾り部材33との間には、レンズ部に対応する位置においてランプ、LED等の発光体36を備えたランプ基板35が配設されている。
【0020】
図2〜図4に示すように、開閉扉30の本体フレーム32の後面には、開口窓31を塞ぐ前後二枚の方形の透明板42を保持するするための窓枠40が一体状に形成されている。
この窓枠40は、開口窓31の下方において左右方向に延びる下枠部40aと、その下枠部40aの左右両端から上方に立ち上がって延びる左右の両側枠部40bとをそれぞれ備えて略U字枠状に形成されている。
また、窓枠40の下枠部40a及び左右の両側枠部40bには、透明板42が上方から差し込まれかつその透明板42を保持するための横断面略U字状の保持溝41が形成されている。
【0021】
前後二枚の透明板42を保持するために窓枠40の下枠部40a及び左右の両側枠部40bには、保持溝41が前後2列をなして形成されている。
また、前後の両保持溝41の上端は窓枠40の左右の両側枠部40bの上端に開口している。
そして、前後二枚の透明板42は、その左右両縁部が左右の両側枠部40bのガラス差込口から各保持溝41に差し込まれ、その透明板42の下縁が下枠部40aの保持溝41に差し込まれた状態で保持されるようになっている。
また、窓枠40の左右の両側枠部40bの上端部には、ガラス押え体45が開閉可能あるいは着脱可能に装着されている。
例えば、ガラス押え体45の両端部に開閉アームが設けられ、その両開閉アームが長孔とピンによって窓枠40の左右の両側枠部40bの上端部に取り付けられることで、ガラス押え体45が前後方向に開閉可能に装着されている。
そして、ガラス押え体45は、窓枠40の左右の両側枠部40bの上端に跨って閉じられることで、透明板42の上端を押えるようになっている。
また、ガラス押え体45が開放されることによって、窓枠40の保持溝41の上方開口部から透明板42が着脱交換可能に差し込まれるようになっている。
【0022】
図1と図2に示すように、遊技盤10の前面には、遊技領域12の最下端の位置にアウト口50が設けられている。
遊技球が遊技領域12の上部に発射された後、いずれの入賞口にも流入しなかった場合には、このアウト口50に流入して機外に排出される。
このアウト口50の真下の位置には、図1〜図3に示すように、リミットスイッチ51が配設されている。
【0023】
図6は、図2におけるリミットスイッチ51の周辺を拡大して表した縦断面図である。
図6に示すように、リミットスイッチ51は、先端部が半球状に形成された合成樹脂製のプランジャ52を備えている。
このプランジャ52は、2枚の透明板42のうち遊技盤10に近い側に配設された透明板42aの後面に向けて進退可能に突設されている。
リミットスイッチ51の内部には圧縮スプリングが内設されており、この圧縮スプリングの弾発力によってプランジャ52の先端部が透明板42aの後面に向けて常時押し付けられた状態となっている。
リミットスイッチ51は、遊技盤10の前面と透明板42aの後面との間の距離Dが所定の距離以上に拡大すると「ON」となり、接点信号を外部に出力するように構成されている(つまりB接点として構成されている)。
つまり、リミットスイッチ51は、距離Dの変動を敏感に検知して外部に検知信号を出力する「距離検知手段」として機能する。
【0024】
図7は、図6における前面飾り部材33の下縁部が、手前側の方向(図7中の矢印Y1に示す方向)に向けて引っ張られた状態を示す縦断面図である。
図7に示すように、前面飾り部材33の下縁部が強制的に引っ張られると、窓枠40の下枠部40aが手前側に向けて撓んだ状態となる。
すると、扉用閉止機構25によって開閉扉30の他側部が閉じ状態に保持されているにも拘わらず、遊技盤10の前面と透明板42aの後面との間の距離Dが拡大し、透明板42aの後面に常時押し付けられていたプランジャ52が前方に向けてわずかに突出する。
【0025】
本実施の形態におけるパチンコ機1は、開閉扉30の他側部が扉用閉止機構25によって保持されている場合において、遊技盤10の前面と透明板42aの後面との間の距離Dが19mmとなるように各種の部品等が設計されている。
また、各種部品の設計誤差や、組み付け時のガタツキ等を考慮したとしても、前記距離Dは最大でも21mmであることを想定して、遊技球の直径や役物装置の形状等が設定されている。
したがって、この距離Dが想定していた最大値である21mmを超えた場合には、予測し得ない種々の不具合が発生する。
例えば、入賞口の近傍にて距離Dが21mmを超えると、役物装置の角部等において遊技球の「詰まり」の状態が発生する。
この遊技球の「詰まり」によって遊技球の流れが誘導されると、多くの賞球が不正に払出しされる。
このような不正行為を放置すると、遊技を提供するパチンコホール等は多大な損害を蒙ることになる。
このような理由から、本実施の形態におけるリミットスイッチ51は、距離Dが21mmを超えた場合に外部に向けて検知信号を出力するように設定されている。
これにより、距離Dが不測に拡大することに起因した前述の不具合が有効に防止される。
【0026】
リミットスイッチ51による検知信号は、パチンコ機1の背面側に設けられた中継基板を介して音声基板やランプ基板35、画像制御基板等に出力される。
この出力された検知信号に基いて、音声基板によって制御されるスピーカ等から警告音を発生させると、前述したような不正行為が有効に防止される。
また、この出力された検知信号に基いて、ランプ基板35によって制御される発光体36から光を発生させると、前述したような不正行為が有効に防止される。
さらに、この出力された検知信号に基いて、画像制御基板によって制御される液晶表示装置等に警告画面を表示すると、前述したような不正行為が一層有効に防止される。
この、遊技機に備えられるスピーカや発光体36、液晶表示装置等が、本発明における「外部報知手段」に対応している。
また、リミットスイッチ51による検知信号を、複数のパチンコ機を監視制御するホールコンピューター等に出力させれば、複数のパチンコ機について不正行為が行なわれているか否かを一箇所で集中的に監視することができる。
【0027】
前述したように、本実施の形態におけるリミットスイッチ51は、アウト口50の真下の位置に設置される。
このアウト口50の真下の位置は、開閉扉30の扉用開閉機構20によって取付けられた一側と、開閉扉30の扉用閉止機構25によって保持される他側との間における略中央の位置に対応した位置となっている。
開閉扉30の両側部は、扉用開閉機構20及び扉用閉止機構25によってそれぞれ外枠3に対して固定される。
したがって、例えば開閉扉30の下縁部を手前側に引っ張ったとしても、これらの位置では開閉扉30自体(例えば窓枠40の下枠40aの部分)があまり変形しない。
しかし、これらの両側部の間、特に、これら両側部の略中央の位置では、例えば開閉扉30の下縁部を手前側に引っ張ると、固定された両側部から離れているので、開閉扉30自体(例えば窓枠40の下枠40aの部分)が手前側に向けて変形し易い。
このように、手前側に引っ張ることで変形し易い略中央の位置では、他の位置と比べて遊技球の「詰まり」等を発生させることが容易であり、多数の遊技球を入賞口に誘導する不正行為も行われ易い。
前述したように、リミットスイッチ51はこのような不正行為が行われ易い開閉扉30の両側部から離れた略中央の位置に対応した位置に配設されている。
これにより、遊技盤10前面と透明板42a後面との間の距離Dが変動したことを敏感に察知させることができ、他の位置に設置するよりも前述したような不正行為が有効に防止される。
【0028】
また、リミットスイッチ51が設置されるアウト口50の真下の位置は、遊技盤10の前面の最下端に対応した位置となっている。
遊技盤10の前面には、遊技球が入賞すると賞球を払出す複数の入賞口(例えば普通入賞口)が配設されるのが一般的である。
そして、このような複数の入賞口は、遊技盤10前面の上下方向略中央の位置よりも下方の位置に多く配設されるのが一般的である。
つまり、このように多くの入賞口が配設される位置では、意図的に遊技球を詰まらせて、該入賞口に多くの遊技球を誘導する不正行為が行われやすい。
リミットスイッチ51は、遊技盤10の最下端の位置、すなわち、遊技盤10の上下方向中央の位置よりも下方の位置に設置されているので、他の位置に設置するよりも前述したような不正行為が有効に防止される。
【0029】
本実施の形態において、リミットスイッチ51は、開閉扉30の一側が扉用閉止機構25によって保持されている場合にのみ(つまり開閉扉30が閉じられている場合にのみ)、距離Dを検知してホールコンピューター等に検知信号を出力する。
ここで、開閉扉30が閉じられていることを認識してリミットスイッチ51を作動状態としておくためには、開閉扉30自体の開閉状態を検知するための手段を別個に設置しておくのが好ましい。
このような開閉状態を検知するための手段は、開閉扉30の開閉状態を確実に検知することができるように、例えば、鍵穴18に対し挿入された鍵の回動操作を検知して信号を出力するセンサー等により構成することができる。
【0030】
なお、この発明は前記実施の形態に限定するものではない。
前記実施の形態では、リミットスイッチ51が遊技領域12の最下端の位置に設置される例を示したが、遊技盤10の前面と透明板42aとの間の距離を検知できるのであれば、その他の箇所に設置することもできる。
また、リミットスイッチ51は、1つだけでなく、複数設置してもよい。
【0031】
前記実施の形態では、「距離検知手段」がリミットスイッチである例を示したが、2物体間の距離を検知できる手段であれば、その他のスイッチや距離センサー等を用いることもできる。
例えば、「距離検知手段」として、赤外線フォトセンサー及びその他のフォトセンサー、近接スイッチ、導電性ゴムスイッチ、ホール素子を利用したセンサー、等を用いることもできる。
【0032】
前記実施の形態では、遊技球(パチンコ球)の直径が11mmである例を説明したが、これに限るものではない。
例えば、遊技球の直径が12mmである場合であっても、その遊技球の直径に対応して、距離検知手段が検知する「所定の距離」を大きく設定したり、遊技盤前面と透明板後面との間の距離を適宜設定し直すこと等により、本発明を適用することができる。
【0033】
前記実施の形態では、遊技機がパチンコ機1である例を示したが、遊技盤前面と透明板後面との間の距離の変動に起因して種々の不具合を生ずるおそれのある遊技機であれば、その他の遊技機(スロット機、アレンジボール機等)であっても本発明を適用できる。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、パチンコ機等の遊技機において、遊技盤前面と透明板後面との間の距離が変動することに起因する種々の不具合が有効に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊技機としてのパチンコ機全体を示す正面図である。
【図2】図1のIV−IV線に基づく縦断面図である。
【図3】図1のV−V線に基づく平断面図である。
【図4】本体部の外枠に対し基枠を開きその基枠に対し開閉扉を開いた状態を示すパチンコ機の斜視図である。
【図5】本体部の外枠に対し基枠を開いた状態を示すパチンコ機の斜視図である。
【図6】図2におけるリミットスイッチの周辺を拡大して表した縦断面図である。
【図7】図6における前面飾り部材の下縁部が手前側の方向に向けて引っ張られた状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 パチンコ機(遊技機)
3 外枠(本体部)
7 基枠(本体部)
10
遊技盤
11
案内レール
12
遊技領域
20
扉用開閉機構(開閉機構)
25
扉用閉止機構(閉止機構)
30
開閉扉
31
開口窓
36
発光体(外部報知手段)
42、42a
透明板
50
アウト口
51
リミットスイッチ(距離検知手段)
52
プランジャ

Claims (1)

  1. 遊技盤が装着される本体部と、その本体部に対し一側が開閉機構によって開閉可能に取り付けられ、他側が閉止機構によって閉じ状態に保持される開閉扉と、を備え、前記開閉扉には、前記遊技盤の遊技領域を透視可能な開口窓が形成されるとともに、その開口窓を塞ぐ透明板が設けられている遊技機であって、
    前記本体部と、前記開閉扉は、該開閉扉の開閉状態を検知するための開閉状態検知手段を設け、
    前記遊技盤前面と前記透明板後面との間の距離を検知する距離検知手段をさらに備えている遊技機。
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