例えば、RFID(Radio Frequency Identification)(無線周波数識別)システムは、機器、荷物、人間、生物等の個体を識別する情報(識別情報)を、タグと呼ばれる安価な装置によって、個体に付加するシステムである。このRFIDシステムでは、リーダ/ライタと呼ばれる無線トランシーバと、1以上のタグとの間で、無線通信が行われる。
RFIDシステムでは、リーダ/ライタは変調無線信号や無変調無線信号を用いてタグと通信し、タグは変調無線信号で応答する。RFIDシステムの通信は、多くの場合、半二重方式で行われる(例えば、特許文献1参照)ため、RFIDシステムで行われる通信のシーケンスは、タグにデータの書き込みを行うライトシーケンスと、タグからデータの読み出しを行うリードシーケンスに分割される。
図1は、従来のバックスキャッタ型のRFIDシステムの一例の構成を示すブロック図である。
図1のRFIDシステムは、リーダ/ライタ11とタグ12から構成される。
リーダ/ライタ11は、外部インタフェース31、データ処理部32、RF(Radio Frequency)処理部33、サーキュレータ34、アンテナ35、およびCW(Continuous Wave)発生部36から構成される。
外部インタフェース31は、図示せぬパーソナルコンピュータや表示装置等の外部の機器との間でデータをやりとするインタフェースとして機能する。
データ処理部32は、外部インタフェース31を介して、例えば、パーソナルコンピュータに接続されている。データ処理部32は、例えば、外部インタフェース31を介して、タグ12に書き込むデータ(以下、適宜、ライトデータという)をパーソナルコンピュータから受信する。データ処理部32は、パーソナルコンピュータ等から受信したライトデータを、例えば、ISO15693(規格)の無線通信規格に適するように符号化等するベースバンド処理を行い、その結果得られるベースバンド信号をRF処理部33に供給する。
また、データ処理部32は、後述するRF処理部33から供給されるベースバンド信号に対して、復号等のベースバンド処理を行い、その結果得られるデータを、例えば、外部インタフェース31を介してパーソナルコンピュータに送信する。
RF処理部33は、RF送信処理部51とRF受信処理部52から構成される。RF処理部33には、データ処理部32からベースバンド信号が供給されるとともに、後述するCW発生部36からキャリアとしての連続的な無変調の無線信号(無変調無線信号)(CW)が供給され、そのベースバンド信号と無変調無線信号は、RF送信処理部51に供給される。また、RF処理部33には、後述するサーキュレータ34から反射変調信号が供給され、RF受信処理部52に供給される。
RF処理部33のRF送信処理部51は、CW発生部36から供給されるキャリアとしての無変調無線信号を、データ処理部32から供給されるベースバンド信号にしたがい、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)による振幅変調することで、ベースバンド信号をRF信号に周波数変換する。そして、RF送信処理部51は、RF信号としての、無変調無線信号を変調した信号、または無変調無線信号そのものを電力増幅し、サーキュレータ34およびアンテナ35を介して、電波として送信する。
RF処理部33のRF受信処理部52は、サーキュレータ34から供給されるRF信号としての反射変調信号を受信し、電力増幅する。さらに、RF受信処理部52は、RF信号としての反射変調信号をASK復調することにより、そのRF信号をベースバンド信号に周波数変換し、データ処理部32に供給する。
サーキュレータ34は、アンテナ35を介してタグ12にRF信号を送信する送信経路と、アンテナ35を介して、タグ12からRF信号を受信する受信経路とのアイソレーションを行う。即ち、サーキュレータ34は、RF処理部33のRF送信処理部51から供給されるRF信号を、アンテナ35に供給し、これにより、そのRF信号をアンテナ35から電波として輻射させる。また、サーキュレータ34は、アンテナ35が電波を受信することにより供給するRF信号を、RF処理部33のRF受信処理部52に供給する。
CW発生部36は、無変調無線信号(CW)を発生し、その無変調無線信号をRF処理部33に供給する。
タグ12は、アンテナ71、送受信部73、データ処理部74、およびメモリ75から構成される。
送受信部73は、RF受信処理部91と反射変調器92から構成される。送受信部73は、アンテナ71が電波を受信することにより供給するRF信号を、RF受信処理部91と反射変調器92に供給する。また、送受信部73は、反射変調器92で得られるRF信号としての反射変調信号を、アンテナ71を介して、電波として送信する。
送受信部73のRF受信処理部91は、アンテナ71が電波を受信することにより供給するRF信号のうちの、無変調無線信号を変調した変調信号を、ASK復調することにより、そのRF信号をベースバンド信号に周波数変換し、データ処理部74に供給する。
送受信部73の反射変調器92は、アンテナ71が電波を受信することにより供給するRF信号のうちの無変調無線信号を、後述するデータ処理部74から供給されるベースバンド信号にしたがい、MBS(Modulated Backscattering)方式で反射変調する。例えば、反射変調器92は、無変調無線信号を全吸収する終端端子と、無変調無線信号を全反射する開放端子とが接続された図示せぬアンテナスイッチから構成され、データ処理部74からのベースバンド信号に基づいて、アンテナスイッチを切り替えることにより、ASK方式の反射変調を行う。その後、反射変調器92は、反射変調を行うことにより得られる変調信号としての反射変調信号を、アンテナ71を介して、電波として送信(再輻射)させる。
データ処理部74は、送受信部73のRF受信処理部91から供給されるベースバンド信号に対して、復号等のベースバンド処理を行い、その結果得られるデータをメモリ75に供給し、記憶させる。
また、データ処理部74は、メモリ75に記憶されているデータを読み出し、そのデータに対して、例えば、ISO15693(規格)の無線通信規格に適するように符号化する等のベースバンド処理を行う。データ処理部74は、そのベースバンド処理により得られるベースバンド信号を、反射変調器92に供給する。
メモリ75は、データ処理部74から供給されるデータを記憶する。
以上のように構成されるRFIDシステムでは、タグ12のメモリ75にライトデータを書き込む場合(ライトシーケンスの場合)、リーダ/ライタ11において、データ処理部32が、外部インタフェース31を介して、パーソナルコンピュータ等からライトデータを受信する。そして、データ処理部32は、そのライトデータを符号化等し、その結果得られるベースバンド信号を、RF送信処理部51に供給する。RF送信処理部51は、ベースバンド信号にしたがい、CW発生部36から供給されるキャリアとしての無変調無線信号を変調し、これにより、変調信号としてのRF信号を得てサーキュレータ34を介して、アンテナ35から電波として輻射させる。
一方、タグ12において、RF受信処理部91は、アンテナ71を介して、リーダ/ライタ11が送信した変調信号としてのRF信号を受信し、復調することで、ベースバンド信号に変換して、データ処理部74に供給する。データ処理部74は、そのベースバンド信号に対して復号等を行い、その結果得られるデータをメモリ75に書き込む。
また、RFIDシステムでは、リーダ/ライタ11がタグ12からデータを読み出す場合(リードシーケンスの場合)、リーダ/ライタ11において、CW発生部36は、無変調無線信号を発生し、RF送信処理部51に供給する。RF送信処理部51は、RF信号としての無変調無線信号を、サーキュレータ34およびアンテナ35を介して、電波として送信する。
一方、タグ12において、データ処理部74は、メモリ75からデータを読み出して符号化し、その符号化されたデータをベースバンド信号として、反射変調器92に供給する。反射変調器92は、アンテナ71を介して、リーダ/ライタ11からの無変調無線信号を受信し、その無変調無線信号に対して、データ処理部74からのベースバンド信号を用いて、ASK方式の反射変調を行う。さらに、反射変調器92は、その反射変調によって得られるRF信号としての反射変調信号を、アンテナ71を介して、電波として送信する。
そして、リーダ/ライタ11において、RF受信処理部52は、アンテナ35およびサーキュレータ34を介して、タグ12からの反射変調信号としてのRF信号を受信し、ベースバンド信号に復調して、データ処理部32に供給する。データ処理部32は、RF受信処理部52からのベースバンド信号に対して復号等を行い、その結果得られるデータを、外部インタフェース31を介して、パーソナルコンピュータに送信する。
図2は、図1のRFIDシステムのライトシーケンスを示すタイミングチャートである。なお、横軸は時間を表している。
ベースバンド信号D1は、リーダ/ライタ11において、データ処理部32が、ライトデータを符号化等した結果であるベースバンド信号を示している。
ベースバンド信号D1は、時刻t0から時刻t1までの間、値が0となっており、時刻t1から時刻t2までの間、値が1となっている。また、ベースバンド信号D1は、時刻t2から時刻t3までの間、値が0となっており、時刻t3から時刻t4までの間、値が1となっている。さらに、ベースバンド信号D1は、時刻t4から時刻t5までの間、値が0となっている。
RF信号D2は、リーダ/ライタ11において、RF送信処理部51が、ベースバンド信号D1にしたがい、キャリアとしての無変調無線信号をASK方式で振幅変調して得られる変調信号、即ち、データの書き込み時にリーダ/ライタ11から送信されるRF信号を示している。
RF信号D2は、キャリアとしての無変調無線信号の振幅を、ベースバンド信号D1の値が0のとき0とし、ベースバンド信号D1の値が1のとき、そのままとなるように、キャリアとしての無変調無線信号を振幅変調したものとなっている。
即ち、時刻t0から時刻t1までは、RF信号D2の振幅は0となっており、時刻t1から時刻t2までは、RF信号D2の振幅は元の値となっている。時刻t2から時刻t3までは、RF信号D2の振幅は0となっており、時刻t3から時刻t4までは、RF信号D2の振幅は元の値となっている。そして時刻t4から時刻t5までは、RF信号D2の振幅は0となっている。
RF信号D3は、リーダ/ライタ11から送信されたRF信号D2としての電波を、タグ12のRF受信処理部91が受信して得られるRF信号を示している。従って、理想的には、RF信号D2とRF信号D3とは、同一の信号となる。
ベースバンド信号D4は、タグ12のRF受信処理部91がRF信号D3を復調することにより得られるベースバンド信号を示している。
ベースバンド信号D4は、RF信号D3の振幅が0のとき値が0となり、RF信号D3の振幅が所定の値のとき値が1となるように、RF信号D3を復調したものとなっている。
即ち、タグ12では、リーダ/ライタ11のデータ処理部32が行う変調の逆の処理である復調が行われるため、理想的には、ベースバンド信号D1とベースバンド信号D4とは同一となる。
図3は、図1のRFIDシステムのリードシーケンスを示すタイミングチャートである。なお、横軸は時間を表している。
ベースバンド信号D11は、値が1のベースバンド信号を示している。
RF信号D12は、リーダ/ライタ11において、CW発生部36が連続的に発生する無変調無線信号、即ち、変調されていないキャリアを示している。
なお、RF信号D12は、値が常に1のベースバンド信号D11によって、キャリアを変調して得られる変調信号と等価である。
ベースバンド信号D13は、タグ12において、データ処理部74が、メモリ75から読み出したデータを処理して得られるベースバンド信号を示している。
図3において、ベースバンド信号D13は、時刻t10から時刻t11までの間、値が1となっており、時刻t11から時刻t12までの間、値が0となっている。また、ベースバンド信号D13は、時刻t12から時刻t13までの間、値が1となっており、時刻t13から時刻t14までの間、値が0となっている。
RF信号D14は、タグ12において、送受信部73の反射変調器92が、リーダ/ライタ11から送信されてきた無変調無線信号であるRF信号D12を、ベースバンド信号D13にしたがって、ASK変調することにより得られる反射変調信号を示している。
図3に示すように、RF信号D14は、ベースバンド信号D13の値が0のとき、振幅が0となっており、ベースバンド信号D13の値が1のとき、リーダ/ライタ11から送信されてくるRF信号D12そのものとなっている。即ち、反射変調器92は、ベースバンド信号D13の値が0のとき、リーダ/ライタ11から受信したRF信号D12を全吸収(終端)し、ベースバンド信号D13の値が1のとき、リーダ/ライタ11から受信したRF信号D12を全反射する。
従って、RF信号D14では、時刻t10から時刻t11までの間、無変調無線信号(RF信号D12)を全反射した、無変調無線信号と同一の信号となり、時刻t11から時刻t12までの間、無変調無線信号を全吸収した振幅が0の信号となる。また、RF信号D14では、時刻t12から時刻t13までの間、無変調無線信号を全反射した、無変調無線信号と同一の信号となり、時刻t13から時刻t14までの間、無変調無線信号を全吸収した振幅が0の信号となる。
RF信号D15は、タグ12がRF信号D14を送信したときに、リーダ/ライタ11のRF受信処理部52が受信するRF信号としての反射変調信号を示している。従って、理想的には、RF信号D14とRF信号D15は、同一の信号となる。
ベースバンド信号D16は、リーダ/ライタ11のRF受信処理部52が、RF信号D15を復調することにより得られるベースバンド信号を示している。
ベースバンド信号D16は、RF信号D15の振幅が0のとき値が0となり、RF信号D15の振幅が所定の値のとき値が1となる。
即ち、リーダ/ライタ11では、タグ12の反射変調器92が行う変調の逆の処理である復調が行われるため、理想的には、ベースバンド信号D13とベースバンド信号D16は同一となる。
以上のように、図1のRFIDシステムでは、リードシーケンスにおいて、タグ12がリーダ/ライタ11が送信した無変調無線信号を全吸収または全反射することにより、反射変調を行い、その反射変調により得られる反射変調信号をリーダ/ライタ11に送信する。従って、タグ12では、キャリアとなる無変調無線信号を発生する必要がなく、その消費電力を非常に低く抑えることができる。
以下に本発明の最良の形態を説明するが、開示される発明と実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。本明細書中には記載されているが、発明に対応するものとして、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が発明に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その発明以外の発明には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、明細書に記載されている発明の全てを意味するものではない。換言すれば、この記載は、明細書に記載されている発明であって、この出願では請求されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により出現し、追加される発明の存在を否定するものではない。
本発明によれば、通信システムが提供される。この通信システムは、第1の通信装置(例えば、図4のリーダ/ライタ11)が、無変調無線信号を間欠的に発生する無線信号発生手段(例えば、図4のCW間欠発生部112)と、無線信号発生手段により発生された無変調無線信号を送信する無変調無線信号送信手段(例えば、図4のRF送信処理部51)と、第2の通信装置が無変調無線信号を反射変調した反射変調信号を受信する反射変調信号受信手段(例えば、図4のRF受信処理部52)とを備え、第2の通信装置(例えば、図4のタグ12)が、第1の通信装置から送信されてくる無変調無線信号を反射変調し、反射変調信号を送信する反射変調信号送信手段(例えば、図4の遅延素子121)を備え、反射変調信号受信手段は、無変調無線信号がオフされている間に、反射変調信号を受信することを特徴とする。
本発明によれば、第1の通信装置も提供される。この第1の通信装置(例えば、図4のリーダ/ライタ11)は、無変調無線信号を間欠的に発生する無線信号発生手段(例えば、図4のCW間欠発生部112)と、無線信号発生手段により発生された無変調無線信号を送信する無変調無線信号送信手段(例えば、図4のRF送信処理部51)と、他の通信装置が無変調無線信号を反射変調した反射変調信号を受信する反射変調信号受信手段(例えば、図4のRF受信処理部52)とを備え、反射変調信号受信手段は、無変調無線信号がオフされている間に、反射変調信号を受信する(例えば、図6のステップS31)ことを特徴とする。
この第1の通信装置は、無変調無線信号または反射変調信号を遅延する遅延手段(例えば、図4の遅延素子111)をさらに備えるようにすることができる。
また、本発明によれば、第1の通信方法が提供される。この第1の通信方法は、無変調無線信号を間欠的に発生する無線信号発生ステップ(例えば、図5のステップS11)と、無線信号発生ステップの処理により発生された無変調無線信号を送信する無変調無線信号送信ステップ(例えば、図5のステップS12)と、他の通信装置が無変調無線信号を反射変調した反射変調信号を受信する反射変調信号受信ステップ(例えば、図6のステップS31)とを含み、反射変調信号受信ステップの処理は、無変調無線信号がオフされている間に、反射変調信号を受信することを特徴とする。
さらに、本発明によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、無変調無線信号を間欠的に発生させる無線信号発生ステップ(例えば、図5のステップS11)と、無線信号発生ステップの処理により発生された無変調無線信号を送信させる無変調無線信号送信ステップ(例えば、図5のステップS12)と、他の通信装置が無変調無線信号を反射変調した反射変調信号を受信させる反射変調信号受信ステップ(例えば、図6のステップS31)とを備え、反射変調信号受信ステップの処理は、無変調無線信号がオフされている間に、反射変調信号を受信させることを特徴とする。
このプログラムは記録媒体に記録することができる。
本発明によれば、第2の通信装置(例えば、図4のタグ12)も提供される。この第2の通信装置は、他の通信装置から間欠的に送信されてくる無変調無線信号を反射変調し、反射変調信号を送信する反射変調信号送信手段(例えば、図7のステップS55の処理を実行する図4の遅延素子121)と、無変調無線信号または反射変調信号を遅延する遅延手段(例えば、図7のステップS54の処理を実行する図4の遅延素子121)とを備えることを特徴とする。
また、本発明によれば、第2の通信方法が提供される。この第2の通信方法は、他の通信装置から間欠的に送信されてくる無変調無線信号を反射変調し、反射変調信号を送信する反射変調信号送信ステップ(例えば、図7のステップS55)と、無変調無線信号または反射変調信号を遅延する遅延ステップ(例えば、図7のステップS54)とを含むことを特徴とする。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図4は、本発明を適用したバックスキャッタ型のRFIDシステムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図4のRFIDシステムでは、図1の従来のRFIDシステムのリーダ/ライタ11とタグ12に、さらに遅延素子(遅延素子111と遅延素子121)が設けられ、リーダ/ライタ11のCW発生部36の代わりに、CW発生部36に、無変調無線信号を周期的にオンオフする機能をさらに加えたCW間欠発生部112が設けられている。
即ち、図4のRFIDシステムでは、リーダ/ライタ11は、外部インタフェース31、データ処理部32、RF送信処理部51とRF受信処理部52から構成されるRF処理部33、サーキュレータ34、アンテナ35、遅延素子111、およびCW間欠発生部112から構成される。タグ12は、アンテナ71、RF受信処理部91と反射変調器92から構成される送受信部73、データ処理部74、メモリ75、および遅延素子121から構成される。
なお、図1と同一の符号を付したもの、即ち、図4の外部インタフェース31、データ処理部32、RF送信処理部51とRF受信処理部52から構成されるRF処理部33、サーキュレータ34、アンテナ35、アンテナ71、RF受信処理部91と反射変調器92から構成される送受信部73、データ処理部74、メモリ75は、図1のそれらと同一のものであり、説明は繰り返しになるので省略する。
遅延素子111は、サーキュレータ34とアンテナ35との間に設けられ、サーキュレータ34は、RF送信処理部51から供給されるRF信号を遅延素子111に供給し、アンテナ35は、電波を受信することにより得られるRF信号を、遅延素子111に供給する。また、遅延素子121は、送受信部73とアンテナ71との間に設けられ、送受信部73の反射変調器92は、RF信号としての反射変調信号を遅延素子121に供給し、アンテナ71は、電波を受信することにより得られるRF信号を、遅延素子121に供給する。
リーダ/ライタ11の遅延素子111は、サーキュレータ34から供給されるRF信号を所定の遅延時間だけ遅延して、アンテナ35に供給し、これにより、そのRF信号をアンテナ35から電波として輻射(送信)させる。即ち、遅延素子111では、RF送信処理部51が、サーキュレータ34、遅延素子111、アンテナ35を介して送信させるRF信号が、所定の遅延時間だけ遅延される。また、遅延素子111は、アンテナ35が電波を受信することにより供給するRF信号を所定の遅延時間だけ遅延して、サーキュレータ34に供給する。
CW間欠発生部112は、図1のCW発生部36と同様に、無変調無線信号を連続的に発生する他、無変調無線信号を間欠的に発生し、RF処理部33に供給する。具体的には、CW間欠発生部112は、無変調無線信号を発生し、その発生した無変調無線信号を周期的にオンオフすることにより、間欠的に無変調無線信号を発生して、RF処理部33に供給する。
タグ12の遅延素子121は、反射変調器92から供給されるRF信号としての反射変調信号を所定の遅延時間だけ遅延して、アンテナ71に供給し、これにより、そのRF信号をアンテナ71から電波として輻射(送信)させる。即ち、遅延素子121では、アンテナ71を介して送信される反射変調信号が、所定の遅延時間だけ遅延される。また、遅延素子121は、アンテナ71が電波を受信することにより供給するRF信号を所定の遅延時間だけ遅延して、RF受信処理部91と反射変調器92に供給する。
なお、上述したリーダ/ライタ11の遅延素子111とタグ12の遅延素子121では、リーダ/ライタ11において、タグ12に送信される間欠的に発生された無変調無線信号がオフしている間に、タグ12から反射変調信号が受信されるように、遅延時間が設定されている。即ち、リーダ/ライタ11のRF送信処理部51は、間欠的に発生された無変調無線信号を遅延素子111により遅延させて送信し、タグ12の遅延素子121は、その無変調無線信号を反射変調した反射変調信号を遅延して送信する。これにより、RF受信処理部52は、RF送信処理部51から送信される無変調無線信号がオフしている間に、タグ12から送信されてくる反射変調信号を受信する。このようにして、リーダ/ライタ11において、反射変調信号が受信される場合、その受信時に、タグ12に送信される無変調無線信号はオフされているので、タグ12から受信する反射変調信号が、タグ12に送信される無変調無線信号により干渉されることを防ぐことができる。
以上のように構成される図4のRFIDシステムでは、タグ12のメモリ75にライトデータを書き込む場合(ライトシーケンスの場合)、リーダ/ライタ11において、データ処理部32が、外部インタフェース31を介して、パーソナルコンピュータ等からライトデータを受信する。そして、データ処理部32は、そのライトデータを符号化等し、その結果得られるベースバンド信号を、RF処理部33のRF送信処理部51に供給する。
また、CW間欠発生部112は、キャリアとしての無変調無線信号を、連続的に発生し、RF送信処理部51に供給する。RF送信処理部51は、データ処理部32からのベースバンド信号にしたがい、CW間欠発生部112からのキャリアとしての無変調無線信号を変調し、これにより、変調信号としてのRF信号を得て、サーキュレータ34を介して、遅延素子111に供給する。そして、遅延素子111では、RF送信処理部51からのRF信号が所定の遅延時間だけ遅延され、アンテナ35から電波として輻射される。
一方、タグ12において、RF受信処理部91は、アンテナ71および遅延素子121を介して、リーダ/ライタ11が送信した変調信号としてのRF信号を受信し、復調することで、ベースバンド信号に変換して、データ処理部74に供給する。データ処理部74は、そのベースバンド信号に対して復号等を行い、その結果得られるデータをメモリ75に書き込む。
また、図4のRFIDシステムでは、リーダ/ライタ11がタグ12からデータを読み出す場合(リードシーケンスの場合)、リーダ/ライタ11において、CW間欠発生部36は、無変調無線信号を間欠的に発生し、RF送信処理部51に供給する。RF送信処理部51は、その無変調無線信号をRF信号として、サーキュレータ34を介して、遅延素子111に供給する。遅延素子111では、CW間欠発生部112からのRF信号が遅延され、アンテナ35を介して、電波として送信される。
一方、タグ12において、データ処理部74は、メモリ75からデータを読み出して符号化し、その符号化されたデータをベースバンド信号として、反射変調器92に供給する。反射変調器92は、アンテナ71および遅延素子121を介して、リーダ/ライタ11からの間欠的に発生された無変調無線信号を受信し、その無変調無線信号に対して、データ処理部74からのベースバンド信号を用いて、ASK方式の反射変調を行う。さらに、反射変調器92は、その反射変調によって得られるRF信号としての反射変調信号を、遅延素子121に供給する。遅延素子121では、その反射変調信号が遅延され、アンテナ71を介して、電波として送信される。
そして、リーダ/ライタ11において、RF受信処理部52は、アンテナ35、遅延素子111、およびサーキュレータ34を介して、タグ12からの反射変調信号としてのRF信号を受信し、ベースバンド信号に復調して、データ処理部32に供給する。データ処理部32は、RF受信処理部52からのベースバンド信号に対して復号等を行い、その結果得られるデータを、外部インタフェース31を介して、パーソナルコンピュータに送信する。
図5は、図4のリーダ/ライタ11がリードシーケンスで行うRF信号としての無変調無線信号を送信する無変調無線信号送信処理を説明するフローチャートを示している。なお、この無変調無線信号送信処理は、例えば、ユーザの不図示の操作部の操作により、タグ12のメモリ75に記憶されているデータの読み出しが指令されたとき開始される。
ステップS11において、CW間欠発生部112は、無変調無線信号を間欠的に発生し、その発生された無変調無線信号を、RF処理部33のRF送信処理部51に供給して、ステップS12に進む。
具体的には、CW間欠発生部112は、無変調無線信号を発生し、例えば、その発生した無変調無線信号を周期的にオンオフする図示せぬスイッチを介することにより、間欠的な無変調無線信号を発生して、RF送信処理部51に供給する。
ステップS12において、RF送信処理部51は、CW間欠発生部112から供給される間欠的に発生された無変調無線信号を、電力増幅し、サーキュレータ34、遅延素子111、およびアンテナ35を介して、所定の遅延時間遅延させて送信し、処理を終了する。即ち、RF送信処理部51は、RF信号としての、間欠的に発生された無変調無線信号を電力増幅し、サーキュレータ34を介して、遅延素子111に供給する。そして、遅延素子111では、その無変調無線信号が所定の遅延時間遅延されて、アンテナ35を介して、電波として輻射させる。
図6は、図4のリーダ/ライタ11が反射変調信号をタグ12から受信する反射変調信号受信処理を説明するフローチャートである。なお、図6の反射変調信号受信処理は、図5の無変調無線信号送信処理と同時に行われる。
ステップS31において、RF処理部33のRF受信処理部52は、図5のステップS12でタグ12に送信される間欠的に発生された無変調無線信号がオフされている間に、アンテナ35、遅延素子111、およびサーキュレータ34を介して供給される、タグ12から送信されてきたRF信号としての反射変調信号を受信し、電力増幅して、ステップS32に進む。具体的には、RF受信処理部52は、CW間欠発生部112が間欠的に発生する無変調無線信号がオフされている間に、アンテナ35が、タグ12からの電波を受信することにより遅延素子111およびサーキュレータ34を介して供給するRF信号としての反射変調信号を受信する。
ここで、リーダ/ライタ11の遅延素子111とタグ12の遅延素子121では、上述したように、リーダ/ライタ11からタグ12に送信される無変調無線信号がオフしている間に、リーダ/ライタ11によりタグ12からの反射変調信号が受信されるように、遅延時間が設定されているので、リーダ/ライタ11は、リーダ/ライタ11からタグ12に送信される無変調無線信号がオフしている間に、タグ12から反射変調信号が受信することができる。従って、リーダ/ライタ11において、タグ12から受信される(タグ12から送信されてくる)反射変調信号が、タグ12に送信される無変調無線信号により干渉されることを防ぐことができる。
ステップS32において、RF受信処理部52は、ステップS31で受信したRF信号としての反射変調信号をASK復調することにより、そのRF信号をベースバンド信号に周波数変換し、データ処理部32に供給して、ステップS33に進む。
ステップS33において、データ処理部32は、RF受信処理部52から供給されるベースバンド信号に対して、復号等のベースバンド処理を行い、処理を終了する。
その後、データ処理部32は、ベースバンド処理の結果得られるデータを、例えば、外部インタフェース31を介してパーソナルコンピュータに送信する。
図7は、図4のタグ12が反射変調信号をリーダ/ライタ11に送信する反射変調信号送信処理を説明するフローチャートである。なお、この反射変調信号送信処理は、例えば、リーダ/ライタ11から、図5に示す無変調無線信号送信処理により間欠的に送信された無変調無線信号を、反射変調器92が、アンテナ71および遅延素子121を介して、受信したとき開始される。
ステップS51において、データ処理部74は、メモリ75に記憶されているデータを読み出し、ステップS52に進む。
ステップS52において、データ処理部74は、ステップS51でメモリ75から読み出されたデータに対して、例えば、ISO15693(規格)の無線通信規格に適するように符号化する等のベースバンド処理を行い、そのベースバンド処理により得られるベースバンド信号を反射変調器92に供給して、ステップS53に進む。
ステップS53において、反射変調器92は、遅延素子121から供給される、間欠的に送信されてくる無変調無線信号を、データ処理部74から供給されるベースバンド信号にしたがい、反射変調し、その反射変調を行うことにより得られる変調信号としての反射変調信号を、遅延素子121に出力し、ステップS54に進む。
例えば、反射変調器92は、無変調無線信号を全吸収する終端端子と、無変調無線信号を全反射する開放端子とが接続された図示せぬアンテナスイッチから構成され、データ処理部74からのベースバンド信号に基づいて、アンテナスイッチを切り替えることにより、ASK方式の反射変調を行う。その後、反射変調器92は、反射変調を行うことにより得られる反射変調信号を、遅延素子121に供給する。
ステップS54において、遅延素子121は、反射変調器92から出力された反射変調信号を所定の遅延時間だけ遅延し、ステップS55に進む。
ステップS55において、遅延素子121は、ステップS54において所定時間だけ遅延された反射変調信号を、アンテナ71に供給し、電波として送信させて、処理を終了する。
なお、ステップS55で、タグ12の遅延素子121により送信された反射変調信号は、図6のステップS31でリーダ/ライタ11のRF受信処理部52により受信される。このとき、図5のステップS12でリーダ/ライタ11のRF送信処理部51により、タグ12に送信される間欠的に発生された無変調無線信号は、オフされている。即ち、RF受信処理部52は、タグ12に送信される無変調無線信号がオフされているとき、ステップS55でタグ12により送信される反射変調信号を受信する。
図8は、図4のRFIDシステムのリードシーケンスを示すタイミングチャートである。なお、横軸は時間を表している。
ベースバンド信号D31は、時間T1の間、値が1となり、時間T2の間、値が0となることを周期的に繰り返すベースバンド信号である。
RF信号D32は、リーダ/ライタ11において、CW間欠発生部112が間欠的に発生する無変調無線信号を示している。
なお、RF信号D32は、時間T1の間、値が1となり、時間T2の間、値が0となるベースバンド信号D31によって、連続的な無変調無線信号を変調して得られる変調信号と等価である。
RF信号D33は、リーダ/ライタ11が、RF信号D32を送信したとき、タグ12の反射変調器92が受信する無変調無線信号を示している。
リーダ/ライタ11では、無変調無線信号であるRF信号D32が、遅延素子111により所定の遅延時間だけ遅延されて送信される。また、タグ12では、反射変調器92において、リーダ/ライタ11からのRF信号D32が、遅延素子121により所定の遅延時間だけ遅延されて受信される。図8では、RF信号D33は、RF信号D32を、時間T3だけ遅延したものとなっており、従って、遅延素子111と遅延素子121との両方による遅延時間は、時間T3となっている。
ベースバンド信号D34は、タグ12において、データ処理部74が、メモリ75から読み出したデータを処理して得られるベースバンド信号を示している。
図8において、ベースバンド信号D34は、時間T3の間、値が0となっている。また、ベースバンド信号D34は、その後の時間T1のうち、時間T4の間、値が1、時間T5の間、値が0、時間T6の間、値が1、時間T7の間、値が0となっている。そして、ベースバンド信号D34は、その時間T1の後、時間T2の間、値が0となっている。さらに、ベースバンド信号D34は、その後の時間T1のうち、時間T8の間、値が0、時間T9の間、値が1、時間T10の間、値が0、時間T11の間値が1、時間T12の間、値が0となっている。そして、ベースバンド信号D34は、その時間T1の後、時間T2の間、値が0となっている。また、ベースバンド信号D34は、その後の時間T1のうち、時間T13の間、値が0、時間T14の間、値が1、時間T15の間、値が0となっている。なお、RF信号D33が0になっている時間T2におけるベースバンド信号D34の値に意味はない。
RF信号D35は、タグ12において、送受信部73の反射変調器92が、リーダ/ライタ11からの無変調無線信号であるRF信号D33を、ベースバンド信号D34にしたがって、ASK変調することにより得られる反射変調信号を示している。
図8に示すように、RF信号D35は、ベースバンド信号D34の値が0のとき、振幅が0となっており、ベースバンド信号D34の値が1のとき、リーダ/ライタ11から受信されるRF信号D33そのものとなっている。即ち、反射変調器92は、ベースバンド信号D34の値が0のとき、リーダ/ライタ11から受信したRF信号D33を全吸収(終端)し、ベースバンド信号D34の値が1のとき、リーダ/ライタ11から受信したRF信号D33を全反射する。
従って、RF信号D35は、時間T3の間、RF信号D33を全吸収した振幅が0の信号となる。また、RF信号D35は、その後の時間T1のうち、時間T4の間、RF信号D33を全反射した、RF信号D33と同一の信号となり、時間T5の間、RF信号D33を全吸収した振幅が0の信号となり、時間T6の間、RF信号D33を全反射した、RF信号D33と同一の信号となり、時間T7の間、RF信号D33を全吸収した振幅が0の信号となる。そして、RF信号D35は、それ以降も同様に、ベースバンド信号D34の値が0のとき、RF信号D33を全吸収した振幅が0の信号となり、ベースバンド信号D34の値が1のとき、RF信号D33を全反射した、RF信号D33と同一の信号となる。
RF信号D36は、タグ12が、RF信号D35を送信したときに、リーダ/ライタ11のRF受信処理部52が受信するRF信号としての反射変調信号を示している。
タグ12では、反射変調信号であるRF信号D35が、遅延素子121により所定の遅延時間遅延されて送信される。また、リーダ/ライタ11では、RF受信処理部52において、タグ12からのRF信号D35が、遅延素子111により所定の遅延時間だけ遅延されて受信される。図8では、RF信号D36は、RF信号D35を、時間T16だけ遅延したものとなっており、従って、遅延素子121と遅延素子111との両方による遅延時間は、時間T16となっている。
ここで、図8では、遅延時間T3と、遅延時間T16との和は、時間T1となっている。即ち、リーダ/ライタ11が送信するRF信号D32がオフされている時間、即ち時間T2の間に、リーダ/ライタ11がRF信号D36(の負荷変調された部分)を受信することができるように、遅延素子111と遅延素子121は、RF信号D36を、RF信号D32に対して、時間T1だけ遅延させる。これにより、リーダ/ライタ11は、タグ12に送信させるRF信号D32がオフされている時間T2の間に、RF信号D36を受信することができ、その結果、リーダ/ライタ11において、タグ12に送信されるRF信号D32が、タグ12から受信される(タグ12から送信されてくる)RF信号D36に対して干渉すること(自家中毒)を防ぐことができる。なお、ここでは、例えば、T1≦T2であるとする。
ベースバンド信号D37は、リーダ/ライタ11のRF受信処理部52が、RF信号D36を復調することにより得られるベースバンド信号を示している。
ベースバンド信号D37は、RF信号D36の振幅が0のとき値が0となり、RF信号D36の振幅が所定の値のとき値が1となる。
即ち、リーダ/ライタ11では、タグ12の反射変調器92が行う変調の逆の処理である復調が行われるため、ベースバンド信号D37は、ベースバンド信号D34に比べて時間T16だけ遅延されたベースバンド信号D34と同一の信号となる。
以上のように、図4に示すRFIDシステムでは、リードシーケンスにおいて、リーダ/ライタ11が、間欠的な無変調無線信号であるRF信号D32を送信するとともに、そのRF信号D32がオフされている間に、タグ12から送信されてくる反射変調信号であるRF信号D36を受信するようにしたので、リーダ/ライタ11において、タグ12に送信される無変調無線信号が、タグ12から受信される反射変調信号を干渉することを防ぎ、これにより、タグ12に送信するRF信号D32の振幅レベルや、RF受信処理部52で受信するRF信号D36の増幅ゲインを上げることで、通信距離を伸ばすことができる。
なお、上述した説明では、リーダ/ライタ11に、サーキュレータ34を設けるようにしたが、リーダ/ライタ11は、サーキュレータ34を設ける代わりに、送信用および受信用のアンテナをそれぞれ別々に設けることもできる。
また、タグ12において、反射変調器92は、無変調無線信号を全吸収する終端端子と無変調無線信号を全反射する開放端子とが接続されたアンテナスイッチから構成されるようにしたが、その他、例えば、無変調無線信号を反射変調した反射変調信号の位相をベースバンド信号に基づいて切り替えるBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調回路などにより構成されるようにすることもできる。
さらに、リーダ/ライタ11の遅延素子111とタグ12の遅延素子121は、信号を遅延させることができる素子であれば、どのような素子であってもよい。但し、遅延素子111と遅延素子121は、遅延量(遅延時間)の調節をすることができる素子であるのが望ましい。この場合、遅延素子111と遅延素子121の遅延量を調節することにより、リーダ/ライタ11において、タグ12に送信される無変調無線信号が、タグ12から受信される反射変調信号に干渉する度合いを小さくするようにすることができる。即ち、遅延素子111と遅延素子121の遅延量を適切に調整することにより、リーダ/ライタ11が送信する無変調無線信号がオフしている期間のみにおいて、タグ12から反射変調信号を送信するようにすることができる。
また、上述した説明では、リーダ/ライタ11とタグ12の両方に遅延素子111と遅延素子121をそれぞれ設けたが、タグ12にのみ設けるようにすることもできる。さらに、図4では、サーキュレータ34とアンテナ35との間に、遅延素子111を設けるようにしたが、サーキュレータ34とアンテナ35との間ではなく、RF送信処理部51とサーキュレータ34との間や、RF受信処理部52とサーキュレータ34との間に設けるようにすることができる。また、遅延素子121は、リーダ/ライタ11から受信する無変調信号だけを遅延したり、リーダ/ライタ11に送信する反射変調信号だけを遅延するようにすることもできる。
さらに、上述した説明では、CW間欠発生部112が、間欠的に無変調無線信号を発生するようにしたが、CW間欠発生部112の代わりにCW発生部36を設け、CW発生部36が、連続的な無変調無線信号を発生し、RF送信処理部51が、その無変調無線信号を、図8のベースバンド信号D31にしたがって変調することにより、図8のRF信号D32として示した間欠的な無変調無線信号を得て、送信するようにすることもできる。
また、上述した説明では、リーダ/ライタ11において、タグ12に送信される無変調無線信号がオフされている時間T2の間に、反射変調信号を受信することができるように、図8のRF信号D32に対するRF信号D36の遅延時間を時間T1に設定したが、この遅延時間は、時間T1以外の時間でもよい。この場合、リーダ/ライタ11において、タグ12に送信する無変調無線信号がオンしている期間にも、タグ12からの反射変調信号が受信されることがあり得るため、干渉が生じうる。しかしながら、この場合でも、リーダ/ライタ11において、タグ12に送信する無変調無線信号がオフしている期間にタグ12から送信されてくる反射変調信号に干渉は生じないため、全体としては、干渉を低減することができる。
図4のRFIDシステムは、図1の従来のRFIDシステムのリーダ/ライタ11とタグ12にそれぞれ遅延素子111と遅延素子121を設け、リーダ/ライタ11のCW発生部36に、例えば、スイッチ等の無変調無線信号をオンオフする機能を設けることにより構成することができるので、図1の従来のRFIDシステムを、図4のRFIDシステムに容易に変更することができる。
次に、上述した一連の処理は、専用のハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
そこで、図9は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク905やROM903に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体911に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体911は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体911からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、デジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部908で受信し、内蔵するハードディスク905にインストールすることができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)902を内蔵している。CPU902には、バス901を介して、入出力インタフェース910が接続されており、CPU902は、入出力インタフェース910を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部907が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)903に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU902は、ハードディスク905に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部908で受信されてハードディスク905にインストールされたプログラム、またはドライブ909に装着されたリムーバブル記録媒体911から読み出されてハードディスク905にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)904にロードして実行する。これにより、CPU902は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU902は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース910を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部906から出力、あるいは、通信部908から送信、さらには、ハードディスク905に記録等させる。
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
11 リーダ/ライタ, 12 タグ, 31 外部インタフェース, 32 データ処理部, 33 RF処理部, 34 サーキュレータ, 35 アンテナ, 51 RF送信処理部, 52 RF受信処理部, 71 アンテナ, 73 送受信部, 74 データ処理部, 75 メモリ, 91 RF受信処理部, 92 反射変調器, 111 遅延素子, 112 CW間欠発生部, 121 遅延素子, 901 バス, 902 CPU, 903 ROM, 904 RAM, 905 ハードディスク, 906 出力部, 907 入力部, 908 通信部, 909 ドライブ, 910 入出力インタフェース, 911 リムーバブル記録媒体