JP4200795B2 - 光学素子および光ヘッドおよび光記録再生装置 - Google Patents

光学素子および光ヘッドおよび光記録再生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子およびそれを用いた光記録用ヘッドおよび光記録再生装置に関し、特に、光学素子の備える導電性フィルムに波長以下の開口と表面形状を有し、非常に高いスループットを可能とする光学素子およびそれを用いた光ヘッドおよび光記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD−ROM(コンパクトディスク−読み出し専用メモリ)及びDVD(デジタルビデオディスク)のような光記録媒体は、その高い記録密度、コンパクトな設計、ポータビリティ及び頑強性等の特長を有し、とくに媒体及び記録再生装置の両方が低価格になりつつあるために、ますます魅力的なデータ記憶媒体になりつつある。この光記録媒体には、長時間の映像データの記録再生のために、さらに高い記録密度が望まれている。
【0003】
現在の値を超えて記録密度を増加するためには、データを書き込みあるいは読み取る光ビームのサイズを小さくすることが必要である。通常の光学系、すなわち集光レンズを用いたときの、その焦点における光スポットのサイズは、主に波長とレンズの開口数により決定される。一般には短波長の光源と高い開口数を有するレンズを使用することで光スポットのサイズを小さくすることができる。しかしこの方法では、いわゆる回折限界による最小化しうるスポットサイズに限界が存在する。そのサイズは光源の波長の半分程度である。
【0004】
最近、この回折限界に束縛されない技術として近接場光学技術が注目を集めている。例えば波長以下の大きさの微小な開口付近には、その開口サイズと同程度の微小な光スポットが形成される。これを利用すれば開口を記録媒体に近接させることで、光源の波長に限定されない微小な光スポットによる微小なピットの書き込みあるいは読み出しの実現が期待できる。
【0005】
一方、このような近接場光学技術を利用した光ヘッドでは、解決しなければならない問題があった。それは、光の利用効率が低く、開口を介した光の十分な伝送を行うことが困難であるという問題である。金属膜に設けた波長λ以下の大きさの開口(開口径d)を透過する光のパワーは、H.A.Bethe、「微小孔による回折理論(Theory of Diffraction by Small Hall)」、Physical Review、巻66、頁163−182(1944年)に記されているように(d/λ)の4乗に比例して著しく減衰する。したがって微小な開口を介した光伝送は、読み出し用には信号対雑音比が低すぎ、書き込み用には光強度が低すぎるという問題を潜在的に抱えており、結果として近接場光学技術を用いた実用的な光ヘッドは今までに得られていない。
【0006】
このような状況を打破するべく、光の波長未満の径を有する開口列をもった金属フィルムを使用して、開口列を透過する光の透過率が著しく高められた光伝送技術が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
これによれば、開口を周期的な配列で配置することにより、または開口と連携して導電性フィルム上に周期的な表面形状を設けることにより、導電性フィルムに照射された光の導電性フィルムに設けた波長以下の直径を有する1つ以上の開口を透過する光強度が周期的な開口や表面形状がない場合に比べて大幅に増加する。実験的な検証によれば、増加率は1,000倍にも達することがある。この増加は、導電性フィルムに入射する光が導電性フィルムに励起される表面プラズモン・モードと共鳴的に相互作用するときに起こると記載されている。
【0007】
さらに、阪口らは、近接場光記録用ヘッドの微弱な透過光量を改善すべく、上記の金属膜を通して設けられた波長以下の大きさの開口と周期的な表面形状を介して起こる表面プラズモン・エンハンス効果(surface plasmon-enhancement)を利用した非常に高い透過光パワー密度と分解能を有する光記録装置用の読み出し/書き込みヘッドを開示した(例えば特許文献1参照)。この光記録ヘッドでは金属膜は、開口と金属膜の表面の少なくとも一方の上に設けられた周期的な表面形状により、金属膜の表面の一方に入射する光が金属膜の表面の少なくとも一方での表面プラズモン・モードと相互作用し、それにより、金属膜を貫通する開口を通る透過光が増大することが示されている。
【0008】
しかし、Ebbesenら、あるいは阪口らの示す表面プラズモンを利用した高効率光透過においても従来の形状においては十分な光透過光率は得られておらず、今日まで十分な伝送効率を示す波長未満径の開口デバイスは実現されていない。
【0009】
【非特許文献1】
Ebbesen著「波長未満口径の孔列による驚くべき光伝送(Extraordinary optical transmission through sub-wavelength hole arrays)」、Nature、No.391、p.667−669(1988年2月12日)
【特許文献1】
特開2001−291265号公報(第8−10、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、波長以下の開口を介した光の伝送は非常に困難であり、また、これを解決するために表面プラズモン効果で増幅された透過光を利用することが提案されているが、得られる透過光の入射光に対する利用効率がいまだ十分ではないという問題があった。
本発明の目的は、開口と表面形状を有する導電性フィルムにおいて高効率で光を伝送することを可能にする光学素子と、これを用いた光ヘッドおよび光記録再生装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光学素子を提供する。その光学素子は、第1および第2の表面を有し、第1の表面から第2の表面に連通する複数の開口が周期的に設けられた導電性フィルムの、第1の表面に入射し開口を通じて伝送される光の強度が、開口が周期的ではない場合に比べて増強される光学素子であって、開口における第1の表面の側の開口径が、第2の表面の側の開口径より大きいことを特徴とする。
また、第1および第2の表面を有し、第1の表面から第2の表面に連通する少なくとも1つの開口と第1および第2の表面の少なくとも一つの表面に周期的に設けられた表面形状とを有する導電性フィルムの、第1の表面に入射し開口を通じて伝送される光の強度が、表面形状がない場合に比べて増強される光学素子であって、開口における第1の表面の側の開口径が、第2の表面の側の開口径より大きい。
第2の表面の側の開口径は、入射する光の波長より小さい。
第1の表面から第2の表面に連通する開口の形状は、テーパ状に開口径が小さくなっていること、あるいは複数の段差によって形成されている。
このような開口形状を有することにより、表面プラズモン・モードに結合した光を効率良く出射側の微小開口に伝送し、高透過効率を実現することが可能となる。
【0012】
また、本発明は、光ヘッドを提供する。第1の光ヘッドは、光源からの光によって光記録媒体に情報を少なくとも記録する光ヘッドであって、前記の光学素子と、前記光源の出力光を導波する導波手段と、導波手段の出力光を前記の光学素子の集光部に集光する手段を備え、前記の光学素子の第2の表面の側の開口を前記光記録媒体に近接して配設している。
また、光記録媒体の回転により光記録媒体表面から所定の高さに浮上させるためのスライダー形状が形成されており、導波手段が、光ファイバであり、集光手段が、前記光ファイバの出射光をコリメートするレンズとコリメート光の光軸を直角に偏向する直角プリズムとコリメート光を前記集光部に集光するレンズを備え、前記の導電性フィルムの第2の表面が、スライダー形状の浮上面とほぼ同一面を成している。
また、本発明の第2の光ヘッドは、光源からの光によって光記録媒体に情報を記録再生する光ヘッドであって、前記の光学素子と、光源の出力光を導波する導波手段と、導波手段の出力光を前記の光学素子の集光部に集光する手段と、光学素子の開口付近に前記の光記録媒体からの反射光を受光する受光素子を備え、光学素子の開口を前記光記録媒体に近接して配設している。
また、光記録媒体の回転により光記録媒体表面から所定の高さに浮上させるためのスライダー形状が形成されており、導波手段が、光ファイバであり、集光手段が、光ファイバの出射光をコリメートするレンズとコリメート光の光軸を直角に偏向する直角プリズムとコリメート光を集光部に集光するレンズを有し、導電性フィルムの第2の表面の開口付近に光記録媒体からの反射光を受光する受光素子を備え、導電性フィルムの第2の表面が、前記スライダー形状の浮上面とほぼ同一面を成している。
上記の構成によって、微小開口からの出射光を光記録媒体に記録可能な値以上に高め、従来になく高密度に情報を記録再生することを可能にする光ヘッドが得られる。
【0013】
また、本発明は、光記録再生装置を提供する。その光記録再生装置は、光源からの光によって光記録媒体に情報を記録し、記録媒体からの反射光によって光記録媒体に記録された情報を再生する光ヘッドによって情報を記録再生する光記録再生装置であって、光ヘッドが、前記の第2の光ヘッドである。
また、別なる光記録再生装置は、記録用光ヘッドと再生用光ヘッドを備え、光記録媒体に情報を記録再生する光記録再生装置であり、記録用光ヘッドが、前記第1の光ヘッドであり、再生用光ヘッドが、光記録媒体を透過する透過光を受光して再生する光ヘッドである。
また、別なる光記録再生装置は、記録用ヘッドと再生用ヘッドを備え、光記録媒体に情報を記録再生する光記録再生装置であり、光記録媒体が光磁気記録媒体であり、記録用ヘッドが、前記の第1の光ヘッドであり、再生用ヘッドが、光磁気記録媒体の漏れ磁束を検出する磁気抵抗効果を用いた磁気ヘッドである。
上記の構成によって、従来になく高密度に情報を記録再生することを可能にする光記録再生装置が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1ないし図5は、本発明による光学素子10の一実施例を示す図である。
光学素子10は、第1の表面20aと第2の表面20bを含む導電性フィルム20を有し、入射光は、導電性フィルム20の第1の表面20aに照射される。導電性フィルム20は、少なくとも1つの孔、すなわち開口30を有し、複数の開口30を有するものでも良い。開口30は、第1の表面20aにおける開口30の直径daが、第2の表面20bにおける開口30の直径dbよりも大きい。導電性フィルム20に複数の周期的に配列された複数の開口30が形成されている場合、周期はPである。導電性フィルム20は金属、あるいはドープ処理をした半導体材料からなり、アルミニウム、銀、金、クロム等が望ましい。
【0015】
導電性フィルム20は、導電性フィルム20の1つの面あるいは両面に周期的な表面形状が備えられているとともに、単一の開口30あるいは複数の周期的に配列された開口30が備えられているものであってもよい。開口30が単一の場合、周期的な表面形状は、導電性フィルム20の少なくとも1つの表面に備えられているべきである。開口30が複数の場合、周期的な表面形状は、複数の開口30自身が周期的に配列されているのであれば、周期的な表面形状は必ずしも必要ではないが、透過効率を最大にするため、導電性フィルム20の少なくとも1つの表面に備えられていてもよい。
周期的な表面形状を含む表面とは、ほぼ平滑な表面とは反対に隆起した、および、もしくは、沈下した領域を示す全ての表面で、これらの領域は周期性または規則的反復パターン(例えば、規則的な二次元格子)で配列されている。
【0016】
導電性フィルム20の全厚みを貫通する開口30と、それが無ければ導電性フィルム20が開口30を除いて名目上平滑となる突起や窪みを識別するため、導電性フィルム20の全厚みを貫通せず、それゆえ開口ではない表面の突起、または、窪みを述べるのに表面形状なる用語を使用する。表面形状は如何なる希望の形にも形成できる。尚、本発明の意図は表面形状の如何なる特定寸法によっても限定されないが、しかし表面形状の幅、すなわち、周期性方向における表面形状の寸法dSFは、表面形状の周期Pより小さく作られるのが好ましい。さらに、表面形状の周期Pに導電性フィルム20に隣接する媒体の屈折率ndを乗じた値もまた、導電性フィルム20を通じて伝送する光の最大波長λより小さく(最適にはほんの僅か小さく)作られるのが望ましい。すなわち、dSF、P、nd、λ間の好ましい関係は、dSF<P、および、ndP<λである。但し、上記の関係は本発明を制限するものではない。ここで、二つの異なる媒体が導電性フィルム20の二つの表面に隣接している場合、ndが二つの媒体における屈折率の小さい方に等しいことが好ましい。
【0017】
図1の上部に矢印で記号表示されたIincidentの強度を有する入射光は、導電性フィルム20の第1の表面20aに向かい、導電性フィルム20の第2の表面20b内の開口30から増大された強度Ioutputを有する図1の下部に矢印で記号表示された出力光として伝送される。光がこの構造を通って反対方向に移動した場合、すなわち、もし光が第2の表面20bに入射し第1の表面から出力光として伝送された場合にも伝送強度の増大が起こることは注目すべきことである。本発明では、光が入射する第1の表面20aにおける開口30の直径daを、第2の表面20bにおける開口30の直径dbより広げることにより、第2の表面20bにおける開口30の直径dbを小さく保ったまま、すなわち、第2の表面20b近傍における出射光の光スポットのサイズを微小に保ったまま、出射光が顕著に増大される。
第2の表面20bにおける開口30の直径dbは、伝送強度を最大限増強して最高解像度を得るために、開口30上に入射する入射光の波長より小さいことが望ましい。すなわち、出射側の開口は波長未満の直径を持つことが好ましい。
第1の表面20aから第2の表面20bに連通する開口30の形状は、テーパ状、あるいは複数の段差形状によって形成されていてもよい。
導電性フィルム20の厚みはtで表示され、導電性フィルムは光学的に不透明であるように十分厚くなければならない。すなわち、入射光の浸透厚より大きくなくてはならない。
図1ないし図2に示した実施例には、支持されていない薄い導電性フィルム20が示されている。すなわち、導電性フィルム20は支持構造(基板)に隣接または固着されていない。しかし本発明では、導電性フィルムをガラスまたは石英上に堆積させ、薄い導電性フィルム20を基板に固定してもよい。
【0018】
基板を使用する時には、露出(空気)表面か導電性フィルム−基板の界面にある表面上のいずれかに周期的表面を設けることができる。導電性フィルム−基板の界面にある導電性表面上に周期的な表面形状を設ける場合には、例えばパターンの陰画を基板表面上に作り、陰画パターンを形成した基板上に導電性フィルムを堆積させることにより、導電性フィルム上に表面形状を設けることができる。図3に、表面形状40が窪みの周期配列の場合の実施例を、図4に表面形状40が溝の一次元周期配列の場合の実施例を、図5に表面形状40が同心円状の場合の実施例を、それぞれ示す。
【0019】
さらに、図1ないし図2に示した実施例の開口30は、円形であるが、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの形状を他の形、例えばスリット形、長方形、または楕円形にすることができる。上述のように、本発明の主旨から言って、波長以下の高分解能特性を得る上で、出射側の開口は波長より小さな直径をもつことが好ましく、開口がスリットや、長方形、楕円形である場合には、少なくともその短軸方向の長さが波長よりも小さいことが望ましい。
【0020】
ここで複数の開口あるいは表面形状の周期Pについて、表面プラズモン・モードを考慮した上で好ましい寸法について説明する。入射光の波長をλ、周期をPとすると、導電性フィルムに垂直に光を入射させた場合の、表面プラズモン・モードが効果的に励起される条件は次式で表される。
λ=P・(εε/(ε+ε))1/2 (1)
ここで、εは導電性フィルムの誘電率、εは導電性フィルムに隣接する誘電媒体の誘電率を表す。
【0021】
例えば導電性フィルムとして銀を用い、複数の開口あるいは表面形状の周期を600nmとした場合、波長630nm付近に光透過強度のピークが現れた。また、周期を750nmとした場合、波長790nm付近に光透過強度のピークが現れた。この結果は(1)式と照らし合わせると、銀の空気側の表面における表面プラズモン・モードによる光透過強度の増強現象として説明できる。このように使用する光源の波長に合わせて周期を決めることで光学素子を伝送するする光を好適に増強することができる。なお上記のように光源の波長に対して周期を調整しなくても何らかの周期構造が設けられていれば光の増強は起こる。
なお実際の製造を前提とした現実的な構造を考えると、例えば導電性フィルムの一方の表面が空気、もう一方の表面が導電性フィルムを支持する基体(基板)である場合等、両側が必ずしも同じ誘電媒体でない状態が考えられる。その場合は、(1)式に基づき、それぞれの誘電媒体に適した周期形状を形成しても良い。
【0022】
次に、本発明の光学素子の動作について説明する。
図6は、基板に支持されていない膜厚100nmの銀膜に、周期600nmの開口を形成した場合について、開口形状を変化させたときの光透過率を表したものである。図6では、開口形状はテーパ状となるように制御し、また、出射側の開口を100nmとしたまま、入射側の開口径を100nmから300nmまで変化させた場合の結果を示した。光透過率は、透過光が最大となる波長での入射側と出射側の開口径が両者とも100nmの場合の光透過率を1として規格化した値を表示した。光透過率は、入射側の開口径の増加とともに顕著な増大を示すことがわかる。
【0023】
開口は、集束イオンビーム(FIB)加工によって形成し、開口部の形状をFIB加工プロセスによって制御した。まず、FIBのビームアパーチャ径を最小にし、所定の開口パターンに合わせて、ビームを走査する。これを1セットとし、このセットを複数回繰り返すことによって表面から裏面へ連通する開口を形成することが可能になる。ここで、繰り返しセットごとにビーム走査範囲を狭めていくことで、表面の開口径に対して、裏面の開口径を小さくした開口形状を得ることができる。
開口形状を、テーパ状に小さくしたり、あるいは階段状に小さくしていくには、1セットにおけるビ-ム走査時間および全セット数を適切な値に設定することによって可能である。
【0024】
図7は、ガラス基板上に成膜された膜厚300nmの銀膜に、FIB加工により周期600nmの開口を形成した場合の光透過率を表したものである。開口は、出射側の開口径を150nmとしたまま、入射側の開口径を150nmから400nmまで変化させた。光透過率は、透過スペクトルから透過光が最大となる波長での値を抽出し、さらに入射側と出射側の開口径が両者とも150nmの場合の光透過率を1として規格化した値を表示した。光透過率は、入射側の開口径の増加とともに顕著な増大を示すことがわかる。
【0025】
本発明の光学素子を用いれば、例えば、波長選択等が可能な光学フィルター、フォトリソグラフィーマスク、集光装置など、ナノフォトニクスへ広く応用することが可能である。また、本発明の光学素子は、少なくとも1つの開口に対して周期的な表面形状を備えることによっても同様の効果を発揮し、顕微用プローブや、光ヘッドへの応用が可能である。
【0026】
図8は、本発明の光学素子を用いて構成する光ヘッドの一実施形態を示したものである。本実施形態の説明において使用される「光記録媒体」は、光を使用してデータが書き込まれまたは読み取られる任意の媒体を意味し、相変化媒体に制限されるものではない。媒体が光磁気材料の場合には、書き込みは光学的に行われ、読み出しは光学的にではなく磁気的に行われる場合もある。
図8における光ヘッド200は、光記録媒体150の回転により光ヘッドを所定の高さに浮上させるためのスライダー形状の上に形成されている。レーザ80を出射するレーザ光は光ファイバ100を介して導入され、マイクロレンズからなるコリメータレンズ60を配置することによりコリメートした。さらに、コリメートされた光は全反射ミラー70により直角方向に光路を変え、さらにその下に置かれたフォーカスレンズ50により、本発明に記載の光学素子10に導かれる。
【0027】
次に本発明の光ヘッドを用いた光記録再生装置の一実施形態を示す。
図9に光記録再生装置300を示す。光記録再生装置300は、回転軸310によって回転する光記録媒体340と、回転軸を中心に光ヘッド200を回転可能に支持するサスペンション320と、サスペンション320を回転させるヘッドアクチュエータ330を有する。光記録媒体340を高速回転させることでサスペンション320の先端に位置する光ヘッド200は浮上し、光学素子10の表面と光記録媒体340の間の距離を100nm以下に保って走行して、従来になく高密度に情報を記録することが可能となる。
【0028】
光記録媒体に記録された情報を再生するためには、図8の光ヘッドにおいて、光学素子10の光記録媒体側表面にフォトディテクタを形成することによって、媒体からの反射光を読み出すことができる。
【0029】
また、本発明の光ヘッドを記録専用のヘッドとし、媒体を挟んでこの光記録ヘッドと対向して再生ヘッド置き、媒体の透過光を検出する方法も可能である。また、光記録媒体として光磁気記録媒体を用い、媒体からの漏れ磁束を磁気抵抗効果を用いたヘッドで再生することもできる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、波長以下の開口が周期的に配列された導電性フィルム、あるいは、波長以下の開口と周期的な表面形状を有する導電性フィルムからなる光学素子において、入射側の開口径を出射側の開口径より大きくすることによって、出射光の光スポットのサイズを小さく保ったまま、出射光を顕著に増大させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の典型的実施例の斜視図である。
【図2】図1に示す光学素子における導電性フィルムの第1の表面図2(A)及び第2の表面図2(B)の平面図である。
【図3】本発明の別なる光学素子における導電性フィルムの第1の表面図3(A)及び第2の表面図3(B)の平面図である。
【図4】本発明の別なる光学素子における導電性フィルムの第1の表面図4(A)及び第2の表面図4(B)の平面図である。
【図5】本発明の別なる光学素子における導電性フィルムの第1の表面図5(A)及び第2の表面図5(B)の平面図である。
【図6】本発明による光学素子の、出射側の開口径と、光透過率の相関を示すグラフである。
【図7】本発明による光学素子の、出射側の開口径と、光透過率の相関を示すグラフである。
【図8】本発明の光ヘッドの一実施形態の概略図である。
【図9】本発明の光記録再生装置の一実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 光学素子
20 導電性フィルム
20a 第1の表面
20b 第2の表面
30 開口
40 表面形状
50 フォーカスレンズ
60 コリメータレンズ
70 全反射ミラー
80 レーザ
100 光ファイバ
150 光記録媒体
200 光ヘッド
300 光記録再生装置
310 回転軸
320 サスペンション
330 ヘッドアクチュエータ
340 光記録媒体

Claims (19)

  1. 第1および第2の表面を有し、前記第1の表面から前記第2の表面に連通する複数の開口が周期的に設けられた導電性フィルムの、前記第1の表面に入射し前記開口を通じて伝送される光の強度が、前記開口が周期的ではない場合に比べて増強される光学素子であって、
    前記開口における前記第1の表面の側の開口径が、前記第2の表面の側の開口径より大きいことを特徴とする光学素子。
  2. 第1および第2の表面を有し、前記第1の表面から前記第2の表面に連通する少なくとも1つの開口と前記第1および前記第2の表面の少なくとも一つの表面に周期的に設けられた表面形状とを有する導電性フィルムの、前記第1の表面に入射し前記開口を通じて伝送される光の強度が、前記表面形状がない場合に比べて増強される光学素子であって、
    前記開口における前記第1の表面の側の開口径が、前記第2の表面の側の開口径より大きいことを特徴とする光学素子。
  3. 前記開口における前記第2の表面の側の開口径が、前記入射する光の波長より小さいことを特徴とする前記請求項1または2記載の光学素子。
  4. 前記第1の表面から前記第2の表面に連通する開口の形状が、テーパ状に開口径が小さくなっていることを特徴とする前記請求項1または2記載の光学素子。
  5. 前記第1の表面から前記第2の表面に連通する開口の形状が、複数の段差によって形成されていることを特徴とする前記請求項1または2記載の光学素子。
  6. 前記開口における前記第1および前記第2の表面の少なくとも一つの表面の側の開口の形状が、円形であることを特徴とする前記請求項1または2記載の光学素子。
  7. 前記開口における前記第1および前記第2の表面の少なくとも一つの表面の側の開口の形状が、スリット状であることを特徴とする前記請求項1または2記載の光学素子。
  8. 前記開口における前記第1および前記第2の表面の少なくとも一つの表面の側の開口の形状が、長方形であることを特徴とする前記請求項1または2記載の光学素子。
  9. 前記開口における前記第1および前記第2の表面の少なくとも一つの表面の側の開口の形状が、楕円形であることを特徴とする前記請求項1または2記載の光学素子。
  10. 前記表面形状が、前記開口を中心として周期配列していることを特徴とする前記請求項2記載の光学素子。
  11. 前記表面形状が、同心円状に形成されていることを特徴とする前記請求項2記載の光学素子。
  12. 前記周期的な表面形状は、前記第1および第2の表面の両方に形成されており、それぞれの周期長は異なることを特徴とする前記請求項2記載の光学素子。
  13. 光源からの光によって光記録媒体に情報を少なくとも記録する光ヘッドであって、前記請求項1乃至12記載の光学素子と、前記光源の出力光を導波する導波手段と、前記導波手段の出力光を前記光学素子の前記集光部に集光する手段を備え、前記光学素子の前記第2の表面の側の開口を前記光記録媒体に近接して配設することを特徴とする光ヘッド。
  14. 光源からの光によって光記録媒体に情報を少なくとも記録し、前記光記録媒体の回転により前記光記録媒体表面から所定の高さに浮上させるためのスライダー形状が形成されている請求項13記載の光ヘッドであって、前記導波手段が、光ファイバであり、
    前記集光手段が、前記光ファイバの出射光をコリメートするレンズと前記コリメート光の光軸を直角に偏向する直角プリズムと前記コリメート光を前記集光部に集光するレンズを備え、
    前記導電性フィルムの前記第2の表面が、前記スライダー形状の浮上面とほぼ同一面を成す、
    ことを特徴とする光ヘッド。
  15. 光源からの光によって光記録媒体に情報を記録再生する光ヘッドであって、前記請求項1乃至12記載の光学素子と、前記光源の出力光を導波する導波手段と、前記導波手段の出力光を前記光学素子の前記集光部に集光する手段と、前記光学素子の前記開口付近に前記光記録媒体からの反射光を受光する受光素子を備え、前記光学素子の開口を前記光記録媒体に近接して配設することを特徴とする光ヘッド。
  16. 光源からの光によって光記録媒体に情報を記録再生し、前記光記録媒体の回転により前記光記録媒体表面から所定の高さに浮上させるためのスライダー形状が形成されている請求項15記載の光ヘッドであって、
    前記導波手段が、光ファイバであり、
    前記集光手段が、前記光ファイバの出射光をコリメートするレンズと前記コリメート光の光軸を直角に偏向する直角プリズムと前記コリメート光を前記集光部に集光するレンズを有し、
    前記導電性フィルムの前記第2の表面の前記開口付近に前記光記録媒体からの反射光を受光する受光素子を備え、
    前記導電性フィルムの前記第2の表面が、前記スライダー形状の浮上面とほぼ同一面を成す、ことを特徴とする光ヘッド。
  17. 光源からの光によって光記録媒体に情報を記録し、前記記録媒体からの反射光によって前記光記録媒体に記録された情報を再生する光ヘッドによって情報を記録再生する光記録再生装置であり、
    前記光ヘッドが、前記請求項15または16記載の光ヘッドであることを特徴とする光記録再生装置。
  18. 記録用光ヘッドと再生用光ヘッドを備え、光記録媒体に情報を記録再生する光記録再生装置であり、
    前記記録用光ヘッドが、前記請求項13乃至14記載の光ヘッドであり、
    前記再生用光ヘッドが、前記光記録媒体を透過する透過光を受光して再生する光ヘッド、
    であることを特徴とする光記録再生装置。
  19. 記録用ヘッドと再生用ヘッドを備え、光記録媒体に情報を記録再生する光記録再生装置であり、
    前記光記録媒体が光磁気記録媒体であり、
    前記記録用ヘッドが、前記請求項13乃至14記載の光ヘッドであり、
    前記再生用ヘッドが、前記光磁気記録媒体の漏れ磁束を検出する磁気抵抗効果を用いた磁気ヘッド、
    であることを特徴とする光記録再生装置。
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