JP4199471B2 - 半導体ウエハ加工装置及び半導体ウエハの加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ、特に化合物半導体ウエハに好適な半導体ウエハ加工装置及び半導体ウエハの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の製造における必須の工程として、半導体ウエハをチップ状に切断する工程がある。この切断工程は、まず半導体ウエハの表面を傷つけ(スクライブ)、次いでへき開面に沿って割る(ブレーク)ことでチップに分けていくもので、従来では、スクライビングとブレーキングをそれぞれ別々の装置で行っていたが、近年、両方の作業を1台で行なう装置が開発されるようになった。
【0003】
このような装置の例として、特表平9−510927号公報に記載されている装置が挙げられる。この装置はウエハWをX方向及びY方向に直進移動可能であって、かつ、θ方向に回転移動可能に構成されている。
この装置でウエハを切断する場合、スクライビングステーションにおいてダイヤモンドが先端に付されたスクライビングツールで、図10(a)に示すように、ウエハWのへき開方向に沿って表面に網目状に傷を付ける。次いで、ブレーキングステーションにウエハWを移送し、図10(b)に示すように、ウエハWの下方から、シート4を介して、先端が鋭く形成されたインパルスバー1を上昇させ、ウエハWの上方からアンビル2を下降して、両者でウエハWを挟み込むようにして衝撃を与える。衝撃が加わると、傷に応力が集中し、傷に沿ってへき開する。この場合、Y方向に移動しながらX方向に沿ってバー状に順に分割していき、次いで、ウエハWを回転させ、X方向に移動しながらY方向に沿ってへき開していき、小さなチップに分割する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述の分割方法は、シリコンウエハのような硬度のある材質で、へき開面の機能を必要としないウエハについては有用である。しかし、同じ方法を、シリコンウエハよりも柔らかいガリウム・ヒ素(GaAs)やインジウム・リン(InP)などからなる化合物半導体ウエハに対して適用としようとすると以下のような問題がある。
【0005】
半導体レーザなどに多用される化合物半導体では、チップに切断したときの切断面であるへき開面がレーザ光を反射及び透過させる面として重要で、そのためにチップ製造の工程がシリコンウエハとは異なってくる。つまり、図11(a)に示すように、ウエハを細長いバーB、B…に分割し(一次へき開)、その後、それらのバーB、B…を、図11(b)に示すように、段積み箱3の中でスペーサS、S…と交互に積み重ねる(段積み工程)。そして、段積み箱3ごとルツボなどに入れ、へき開面に所定の波長の光を反射あるいは透過させるコーティングを形成する。そして、このコーティング後、各バーBをチップ状にへき開(二次へき開)してチップを得る。
【0006】
「一次へき開→段積み→コーティング→二次へき開」という一連の工程を前述の公報の装置で実施する場合、まずY方向だけスクライブ・ブレーキングを行いバーを作製する。ただし、化合物半導体の活性層はウエハ表面近傍に形成され、ウエハ表面全体をスクライブで傷つけることはできないので、図10(c)に示すように、ウエハW2の端にX方向に沿って溝h、h…を付けていく。次に、図10(b)同様にインパルスバー1とアンビル2とにより各溝h部分に応力を集中させてウエハに亀裂をY方向に走らせ、へき開する。
この様子を図10(d)に拡大して示した。インパルスバー1がシート4を押しこむとアンビル2から反力N1、N2が発生する。曲げモーメントによりウエハW2は、破壊点まで撓もうと上面が伸び下面は縮もうとする。しかし、上面はアンビル2の反力を起因とする摩擦力などに拘束されているので、インパルスバー1にはこのような拘束力に打ち勝つ押圧力FFが要求される。押圧力FFが大きくなるほど、反力N1、N2も増し、表面に対する圧力が大きくなったり、摩擦力による表面方向のずれ力が大きくなることにより、柔らかいウエハW2の表面近傍、例えば表面から数十オングストローム程度の深さに形成されている量子井戸構造を破壊してしまう可能性があった。
【0007】
また、前記装置では、シート4は円形枠に張られているため、強い押圧力FFを与えても、その力がシート4面上において360度にわたって半径方向に分散しへき開に有効な力成分が削減されてしまう。さらに、その力の分散によりシート4が切断方向とは全く異なる方向に伸び縮みし、すでにへき開したバー同士が、例えばポイントm1においてぶつかり合い、化合物半導体にとって重要なへき開面の上部を傷つけ、不良にしてしまう可能性もあった。
さらに、一次へき開した後、コーティングのために段積みする工程で、シート4から手作業で一つずつ取り外し、段積みする工程は、作業効率が悪かった。また、各バーは幅150〜300μm程度の極細の脆い素材であることから、バー同士を接触させたり等により傷つき不良を発生させてしまう恐れもあった。
【0008】
本発明の課題は、半導体ウエハ加工装置及び半導体ウエハ加工方法において、スクライブ及びブレークの両工程を行い、特に化合物半導体ウエハに好適であって、ウエハの表面やへき開面に対してなるべく力を加えたり傷つけることなく、作業効率の向上を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図5に示すように、
ベース(11)上に、
第1の方向(X方向またはY方向)に往復移動する第1のテーブル(Yテーブル12)と、
前記第1の方向に直交する第2の方向(Y方向またはX方向)に往復移動する第2のテーブル(Xテーブル13)と、
前記第1の方向と前記第2の方向の両方に直交する直線を中心に回転運動する第3のテーブル(θテーブル14)と、
第1のテーブルと第2のテーブルと第3のテーブルそれぞれの移動に伴って移動し、半導体ウエハ(W2)をセットするためのウエハセット部(シート張り台18)と、
ウエハセット部にセットされた半導体ウエハの表面に、傷を付けるスクライブ手段(スクライブユニット30)と、
スクライブ手段によって形成された半導体ウエハの傷部分に力を加えて、第1の方向または第2の方向のいずれかである所定の方向に沿って割るブレーク手段(ブレークユニット50)とを備え、
第1のテーブルと第2のテーブルと第3のテーブルは水平面に平行するように重ねて設けられている半導体ウエハ加工装置(10)であって、
スクライブ手段とブレーク手段は、半導体ウエハに対するそれぞれの作用点が前記所定の方向を通る1つの鉛直面内にあるように、並んで設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、第1〜第3のテーブルでウエハセット部上の半導体ウエハを移動しながら、スクライブ手段とブレーク手段によりウエハを第1の方向または第2の方向のいずれかである所定の方向に沿って割ることができる。
また、スクライブ手段とブレーク手段は、それぞれの半導体ウエハに対する作用点が前記所定の方向を通る1つの鉛直面内にあるように、並んで設けられていることから、スクライブで1つの傷を付けた後すぐにブレーク加工する、いわゆるワンバイワン(One by One)方式の工程が容易に可能となる。スクライブ工程後、スクライブ手段からブレーク手段への移動が必要である場合でも、前記所定方向に一直線に移動させるだけでよいので、時間的な効率が高いし、さらに位置の精度が高く、スクライブによる傷に対してずれることなくブレークさせることができるので所望のライン以外の箇所に傷が付いてしまうことは少なく、前述のように表面の傷に弱い化合物半導体ウエハに好適である。
【0011】
前述の公報で開示されていた従来の装置でも、スクライブ後ブレーク加工するように動作させることは可能である。しかし、この従来の装置では、網目状にスクライブした後ブレークすることを前提としてるのでより複雑に構成されており、スクライブ手段とブレーク手段がウエハに作用する点を一直線上に配置するように配慮された構成ではない。よって、スクライブ後ブレーク手段にウエハを移動させる場合には、X方向・Y方向の2方向の動きが必要になったり、一方向の動きだけで済むように制御したり、本発明より複雑な動作あるいは制御が必要になる。加えて、そのような複雑な動作や制御を前提とするということは、スクライブの傷と完全に一致したラインでブレークできずにウエハに形成する傷が広がる可能性もあり、化合物半導体ウエハには適切ではない。また、ラインがずれればブレークしにくくその点でも不良となる可能性もある。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体ウエハ加工装置において、半導体ウエハは、半導体ウエハのへき開方向と、前記所定の方向が一致するようにセットされることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、半導体ウエハのへき開方向とブレークする方向を合わせてセットするので、ウエハを確実に所望の方向に割ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の半導体ウエハ加工装置において、
半導体ウエハは、第1の方向または第2の方向のいずれかに平行し、かつ、前記所定の方向とは直交する方向に張力がかかるようにウエハセット部に対して張られているシート上に、固定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、半導体ウエハを固定するシートは、第1の方向または第2の方向のいずれかに平行し、かつ、前記所定の方向とは直交する方向に張力がかかるようにウエハセット部に対して張られていることから、ブレーク時にウエハに力が加えられたときに、円形枠にシートが張られている従来の装置のように力がシート面上で様々な方向に分散してしまうことはなく、ブレーク手段からの力を十分にウエハに伝達することができる。また、予想しない方向にシートが伸び縮みすることはなく、シートの伸び縮みによるバーへの力学的な影響を十分予想できるようになるので、ブレーク後のバー同士がぶつかり合うを防ぐ手立てを講じやすい。
ここで、「固定」とは、ウエハがシートに対して動かないようになっていればよく、粘着性や接着性を有するシートを用いてもよいし、シートにウエハを係止するような構造を設けてもよい。
【0015】
請求項3に記載の半導体ウエハ加工装置において、スクライブ手段は、請求項4に記載の発明のように、
半導体ウエハの表面に接触して傷を付けるスクライバ(41)と、スクライバによって半導体ウエハの表面に傷を付ける際にシートを介して半導体ウエハを支持するスクライブ受け台(34)とを備えることが好ましい。
【0016】
請求項4に記載の半導体ウエハ加工装置において、スクライブ手段は具体的には請求項5のように構成すればよい。
すなわち、請求項5に記載の発明は、
スクライブ手段は、
スクライバを保持し角度調節可能なホルダが取り付けられ、鉛直面内において回転可能である回転腕(31)と、
回転腕を、スクライバが上から下に向かって移動するように付勢するバネ部材(引張りバネ37)と、
バネ部材の付勢力に抗して回転腕の回転を規制するストッパをロッドの先端に有するエアシリンダ(36)とを備え、
エアシリンダのロッドの出没によるストッパの移動方向に応じて、スクライバが半導体ウエハに対して接離するように回転腕が回転することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の半導体ウエハ加工装置において、ロッドの出没速度を変えることで、スクライバが半導体ウエハの表面に接触するときに与える衝撃力を変更することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、エアシリンダの出没速度を変えるという簡単な方法で、ウエハの種類などに応じてスクライブ時の衝撃力を制御できる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の半導体ウエハ加工装置において、スクライバは、円弧に沿って移動しながら半導体ウエハの表面に断面円弧状の傷を付けることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、ウエハに最初に突き入るときの衝撃を小さくすることができ、これにより好ましくない亀裂の発生を防ぐとともに、衝撃が小さくとも徐々に深くなるので確実にウエハに傷を付けることができる。
【0019】
請求項3に記載の半導体ウエハ加工装置において、ブレーク手段は、請求項8に記載の発明のように、
上下方向に移動可能に構成され、シートの下方から半導体ウエハに対して衝撃を与えるブレーカ(60)と、半導体ウエハの上方に固定され、ブレーカから衝撃が与えられた半導体ウエハの上面を押えるブレーカ受け台(52)とを備えることが好ましい。
【0020】
請求項8に記載の半導体ウエハ加工装置において、ブレーク手段を具体的には請求項9のように構成すればよい。
すなわち、請求項9に記載の発明は、
ブレーク手段は、
ベースに対して直接または間接的に固定されている板バネ(54)と、
板バネの下面に接触し、回転することで板バネを上下に駆動する偏芯カム(ブレークカム55)と、
偏芯カムを回転駆動するカムモータ(56)とを備え、
ブレーカは板バネ上に設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の半導体ウエハ加工装置において、偏芯カムの回転量を変えることで、ブレーカがシートを介して半導体ウエハに与える衝撃力を変更することを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、偏芯カムの回転量を変えるという簡単な方法で、ウエハの種類などに応じてブレーク時の衝撃力を制御できる。
【0022】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか記載の半導体ウエハ加工装置において、
シートに接触するブレーカの先端が断面円弧状に形成されていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、ブレーカの先端が断面円弧状に形成されているので、ブレーカがシートを介してウエハに与える衝撃力によって発生するせん断力について、ブレーカの先端を中心とする正負の変化をなだらかなものとすることができ、せん断力による悪影響を小さくすることができ、柔らかい量子井戸構造を有する化合物半導体ウエハに好適である。
【0023】
請求項12に記載の発明は、請求項8〜11のいずれかに記載の半導体ウエハ加工装置において、
ブレーカ受け台の下面は、ウエハセット部に張られたシート上の半導体ウエハの表面よりも上であることを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、ブレーカ受け台の下面がウエハセット部に張られたシート上の半導体ウエハの表面よりも上であるので、ブレーカによってシートごとウエハがブレーカ受け台と接するように押し上げられると、ブレーカの当接部分を頂点としてシートが山型に変形し、これにより曲げモーメントが所望の、つまりブレーカが当接している真上のウエハ部分で最大になり、応力集中により容易にブレークすることができる。
【0024】
請求項13に記載の発明は、請求項8〜12のいずれかに記載の半導体ウエハ加工装置において、ブレーカ受け台は、半導体ウエハよりも硬度の低い材料から形成されていることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、ブレーカ受け台は半導体ウエハよりも硬度の低い柔らかい材料から形成されているので、ブレーク時に受け台によってウエハ表面が傷つくことは少ないので、柔らかい化合物半導体に適している。
柔らかい材料としては、具体的には各種樹脂が挙げられる。
【0025】
請求項1〜13のいずれかに記載の半導体ウエハ加工装置は、例えば請求項14のように構成することで、具体的に実現できる。
すなわち、請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれかに記載の半導体ウエハ加工装置において、
第1のテーブルを駆動する第1テーブル駆動手段(Y駆動モータ15)と、
第2のテーブルを駆動する第2テーブル駆動手段(X駆動モータ16)と、
第3のテーブルを駆動する第3テーブル駆動手段(θ駆動モータ17)と、
スクライブ及びブレークに関する各種データを入力するための入力パネル(81)と、
半導体ウエハの位置を検出する検出手段(位置センサ73)と、
半導体ウエハの画像を取得しデータとして処理する画像処理手段(カメラ20、画像入力ボード75、画像処理CPU74)と、
検出手段からの検出結果と画像処理手段からの画像データに基づいて、半導体ウエハをスクライブ及びブレークそれぞれのため所定の位置に移動するように、第1テーブル駆動手段と第2テーブル駆動手段と第3テーブル駆動手段を制御する制御手段(CPU71)とを備えることを特徴とする。
【0026】
請求項14に記載の半導体ウエハ加工装置において、請求項15に記載の発明のように、
前記制御手段は、検出手段からの検出結果と画像処理手段からの画像データから、第1のテーブルと第2のテーブルと第3のテーブルそれぞれの移動すべき値としての補正値を求め、第1テーブル駆動手段と第2テーブル駆動手段と第3テーブル駆動手段に対し前記補正値を指令として出力するように構成してもよい。
【0027】
請求項16に記載の発明は、請求項3に記載の半導体ウエハ加工装置において、
第1のテーブルまたは第2のテーブルの移動により、第1の方向または第2の方向のいずれかに平行し、かつ、前記所定の方向とは直交する方向に、ブレーク後の半導体ウエハをシートごと搬送し、
搬送されてきた半導体ウエハが1つずつ集まるウエハ集合部(アンローディング台97)を備えることを特徴とする。
【0028】
請求項16に記載の発明によれば、第1の方向または第2の方向のいずれかに平行し、かつ、前記所定の方向とは直交する方向に、ブレーク後のバー状の半導体ウエハを、シートごと搬送し、半導体ウエハをウエハ集合部に1つずつ集めるので、図11で示した断積みの作業に容易に移ることができ、作業効率を上げることができる。
【0029】
請求項17に記載の発明は、請求項16記載の半導体ウエハ加工装置において、
前記シートとして紫外線で粘着性を失う粘着シートを用い、
ブレーク直後からウエハ集合部までの間で、搬送中の粘着シートに対し半導体ウエハの反対側から紫外線を照射する紫外線照射手段(紫外線発光源93)を備えることを特徴とする。
請求項17に記載の発明によれば、ブレーク後のウエハを搭載している粘着シートに対して紫外線を照射することで粘着性を消失させるので、ウエハを容易に集めることができるようになる。
【0030】
請求項18に記載の発明は、請求項16または17記載の半導体ウエハ加工装置において、
シートの一端側は、ウエハを搬送させる第1のテーブルまたは第2のテーブルに直接または間接的に固定され、前記一端と対向する他端側は、ウエハの搬送の際にシートが弛まないように搬送方向に平行に一定の張力で引張られていることを特徴とする。
請求項18によれば、常にシートは搬送方向に一定の張力で引っ張られているので、シートのたるみにより搬送中バー状のウエハ同士がぶつかるといったことを防ぐことができる。
【0031】
請求項19に記載の発明は、請求項16〜18のいずれか記載の半導体ウエハ加工装置において、
ブレーク後にウエハが搬送される経路において、ウエハ集合部の手前には、円弧状のガイド(ガイド筒95及びウエハガイド98)が設けられ、
半導体ウエハは、前記ガイドに沿って搬送されることでその表面が鉛直面内に立つように向きを変えることを特徴とする。
請求項19に記載の発明によれば、バー状のウエハは、前記ガイドに沿って移動することでその表面が鉛直面内に立つように向きを変えた状態でウエハ集合部に集まる。つまり、図11(b)で示した断積みと同じ状況で集められるので、ウエハ集合部そのもので断積みを行なうことが可能となり、従来手作業で、スクライブ・ブレーク工程とは全く別工程として行なってきた断積み作業を連続することができ、著しく作業効率が向上するとともに、手で扱わないためウエハを傷つけにくく、不良品の発生を抑制することができる。
【0032】
請求項20に記載の発明は、請求項16〜19のいずれか記載の半導体ウエハ加工装置において、
ウエハ集合部近傍に、半導体ウエハの反対側からシートを突いて、半導体ウエハをウエハ集合部に押し出す押し出し部材(針96)が設けられていることを特徴とする。
請求項20に記載の発明によれば、押し出し部材によって半導体ウエハをウエハ集合部に確実に集めることができる。
【0033】
以上の請求項1〜20の半導体ウエハ加工装置を用いて、請求項21、22のような半導体ウエハの加工方法を実現でき、請求項1同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、請求項21に記載の発明は、
請求項1〜20のいずれか記載の半導体ウエハ加工装置を用いた半導体ウエハの加工方法であって、
半導体ウエハに対してスクライブ手段により1つ傷を付けた後、続いてブレーク手段によりその傷を基に割ることを特徴とする。
【0034】
請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の半導体ウエハの加工方法において、
ブレーク後、第1のテーブルまたは第2のテーブルの移動により、半導体ウエハを第1の方向または第2の方向のいずれかに平行し、かつ、前記所定の方向とは直交する方向に移動させ、次のスクライブ工程及びブレーク工程を引き続き行うことを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1には、本発明の一実施の形態としての半導体ウエハ加工装置10を示す。以下、単に加工装置10と言うこともある。
加工装置10は、ベース11上にYテーブル12、Xテーブル13、θテーブル14、スクライブユニット30、ブレークユニット50などが設けられて構成される。
Yテーブル(第1のテーブル)12は、ベース11上に設置され、Y駆動モータ15を有し、該Y駆動モータ15により駆動されて図1におけるY方向(第1の方向、前後方向)に往復移動可能に構成されているものである。
Xテーブル(第2のテーブル)13はYテーブル上12に設置され、X駆動モータ16を有し、該X駆動モータ16により駆動されて、Yテーブル12に対して図1におけるX方向(第2の方向、左右方向)に往復移動可能に構成されているものである。
【0036】
θテーブル(第3のテーブル)14は、Xテーブル13上に設置された略円盤状の部材であって、その中心を通り、X方向及びY方向に垂直である鉛直方向の直線を中心に回転可能に構成されている。θテーブル14は、θ駆動モータ17を有し、該θ駆動モータ17によって駆動されることで、Xテーブル13上において回転するように構成されている。
第1テーブル駆動手段であるY駆動モータ15、第2テーブル駆動手段であるX駆動モータ16、第3テーブル駆動手段であるθ駆動モータ17は、それぞれ、CPU71によって制御されることで、所定のタイミングで所定量動作し、これにより、Yテーブル12、Xテーブル13、θテーブル14は、所定のタイミングで、所定距離移動する。
【0037】
θテーブル14上に、側壁18a、18bを有し断面コ字状に形成されたシート張り台(ウエハセット部)18が、開口を上方に向けた状態で、θテーブル14に対して着脱可能であるように固定されている。側壁18a、18bの上面には仮想線で示すシート24がX方向に張られた状態で固定されている。
このシート24の上面は、粘着性を有し、かつ、紫外線を照射することで粘着性を失うようになっている。シート24の上面に、化合物半導体基板であるウエハW2がブレイクしたいへき開面とY方向が平行になるように取り付けられる。よって、シート24はへき開面と直交する方向に張力が与えられていることになる。具体的な位置合わせについては後述する。シート24の具体的な固定方法としては、例えば図6に示すように、側壁18a、18bそれぞれに設けられた挟持部18c、18dにより上下方向から挟んで固定する。
シート張り台18上に張られたシート24は、Yテーブル12、Xテーブル13、θテーブル14と共に、これらテーブルの移動や回転の動きに従って、移動するようになっている。
【0038】
ベース11上であって各テーブル12、13、14よりも奥に、堅固な支柱19が固定されている。支柱19の上部には、カメラアーム21が固定され、このカメラアーム21の先端であって、前記シート24の上方にCCD(Charged Coupled Device)素子を有するカメラ20が取り付けられている。このカメラ20は、レンズ20aを下方に向けて、シート24上のウエハW2の加工部分が視野に入るように調節されて固定されている。
支柱19の中間部分には、支持アーム23がシート張り台18に向かうように固定されている。支持アーム23の支柱19側にはスクライブユニット30が設けられ、支柱19の下部から支持アーム23の先端側にかけてブレークユニット50が設けられている。
【0039】
図2にスクライブユニット(スクライブ手段)30を示した。スクライブユニット30は、ウエハW2をY方向にブレークする前に、ウエハW2の一辺側の端部に短い条痕(図3(a)参照)を付すもので、回転腕31と、エアシリンダ36、引張りバネ(バネ部材)37、スクライバ41、スクライブ受け台34などから構成される。
回転腕31は、支持アーム23の側面下部に対して、支点軸32を中心に回転可能に取り付けられている。回転腕31の支柱19側端部には、引張りバネ37の下端が係止されている。
【0040】
引張りバネ37の上端は、張力調整部材38に係止されている。張力調整部材38は、表面にネジが切られた棒状の部材であり、その中央部分において固定部38aを介して支柱19または支持アーム23に固定されている。固定部38aの内側には、張力調整部材38表面のネジと螺合するネジ部材38bが固定され、張力調整部材38aをネジ部材38bに対して回転させながらその上下方向の高さを調節することで、引張りバネ37の張力を調整するようになっている。回転腕31は、所定の張力に調整された引張りバネ37により図2の反時計方向に付勢されている。
【0041】
エアシリンダ36は、支持アーム23に固定され、その先端のロッド36aには回転腕31の動きを規制するストッパ36bが固定されている。回転腕31は、前述のように引張りバネ37により反時計方向に付勢されているが、ストッパ36bに当接した位置で、停止している。
エアシリンダ36は、図示しないエアーラインに接続され、このエアーラインに設けられたエアーバルブ35a、35b(図5)の一方にエアを流すことでオンし、他方にエアを流すことでオフとなる。さらに前記エアーラインには、エアーの流量を調整する流量弁が接続され、この流量弁を調節することでエアーの勢いを変更し、それによりオフからオンになるときのロッド36aの引き込み速度を調整できるようになっている。ロッド36aが引き込まれると、その速度に応じて回転腕31は引張りバネ37の付勢力により反時計方向に回転する。
【0042】
支持アーム23の先端には、スクライバ41が固定されているホルダ42が、角度調節用のダイヤル部材33を介して取り付けられている。ダイヤル部材33を適宜調節し、スクライバ41のウエハW2に対する角度を調節するようになっている。スクライバ41は、先端にダイヤモンドが設けられ、このダイヤモンドでウエハW2に傷を付けることができる。
スクライバ41の真下であってシート24の下側において、スクライバ受け台34が設けられている。スクライバ受け台34は、直接または間接的にベース11に対して固定されている。スクライバ受け台34は、図4(a)に示すように前方から見ると、カギ型を有し、後述のブレークユニット50の板バネ54などを逃げるような形状に形成され、その上部の受け片34aによって、スクライバ41で突かれるウエハW2をシート24の下から支える。
【0043】
スクライバ41は、回転腕31の反時計方向の回転に伴って下降してウエハW2に突き入る。よって、ロッド36aの引き込み速度を調節することで、回転腕31の回転速度、引いてはスクライバ41のウエハW2へ突き入る衝撃力をコントロールできるようになっている。
ここで、スクライバ41の先端のダイヤモンドの形状は、例えばツーポイントのものを用いている。このようなスクライバ41をウエハW2に当てると、図3(b)に示すポイントp1のような傷痕が形成され、そのままウエハW2をY方向に沿って前方(y1方向)に移動させると、条痕Pが形成される。
なお、スクライバ41の先端形状は、シングルポイント、スリーポイント、フォーポイントなどのその他の形状であってもよい。
【0044】
図1に示すように、スクライブユニット30の手前にブレークユニット50が設けられている。スクライブユニット30とブレークユニット50は、ウエハW2に対するそれぞれの作用点がY方向を通る1つの鉛直面内にあるように、並んで設けられている。
図4にブレークユニット(ブレーク手段)50を示した。図4では、スクライブユニット30関連の部材は省略している。
ブレークユニット50は、スクライバユニット30で付された条痕を起端にしてへき開させるもので、ブレーカ受け台52、ブレーカ60、板バネ54、ブレークカム55などから構成される。
ブレーカ受け台52は、前記支持アーム23側面の先端側の下部に対して、受け台ガイド51を介して固定され、化合物半導体よりも柔らかい、例えばフッ素樹脂や、ABS樹脂などから形成されている。受け台ガイド51に対する上下位置を調節することで、ブレーカ受け台52の上下方向の位置を調節できる。
【0045】
ブレーカ受け台52は、図4(b)に示すように、例えば切断対象となるウエハW2の長さ方向を十分にカバーできる長さを有し、その下端部52aには図4(a)に示すように、長さ方向に沿って断面コ字状の溝52bが形成されている。図4(a)において、溝52bを挟んで左側を左押圧面52c、右側を右押圧面52dとし、左押圧面52c、右側を右押圧面52dの下面はいずれも平坦に形成されている。
ブレーカ受け台52の上下の位置は、図6に示すように、左押圧面52c、右押圧面52dが、シート張り台18の挟持部18c、18dよりも高い位置にあるように調節されている。これにより左押圧面52c、右押圧面52dは、ブレーク時以外のときのシート24上のウエハW2より高い位置にある。
【0046】
ウエハW2とシート24を挟んで、ブレーカ60が板バネ54の先端に設置されている。ブレーカ60の下面から内部に向かって、図4(c)に示すように、ネジ孔60bが形成され、一方板バネ54には図示しないネジ用穴が形成され、図示しないネジを該ネジ用穴に差し込んだ状態で、ブレーカ60のネジ孔60bと螺合させることで、ブレーカ60は板バネ54に固定されている。
ブレーカ60は、例えば金属製で、図4(b)で示すようにブレーカ受け台52と同程度にウエハW2を十分にカバーできる長さを有する。さらに、ブレーカ60は、前後方向から見ると、略山型に形成され、その上端は、円弧状に形成された円弧部60aとなっている。ブレーク時に円弧部60aは、前記溝52bに平行に対峙する。
【0047】
細長い板状に形成された板バネ54は、その後端において、支柱19に固定された固定台53の上面に固定されている。固定台53は、支柱19に対して上下及び左右位置を変更自在に取り付けられ、固定台53の位置を調節することで、板バネ54の後端の高さが調節される。
さらに、板バネ54の途中下面に接触した状態で、ブレークカム55が設けられている。ブレークカム55は、偏芯カムであり、中心から外れた位置に、ベース11上に固定されているカムモータ56の回転軸56aが固定されている。よってカムモータ56が作動し回転軸56aとともにブレークカム55が回転すると、その回転角度に応じてブレークカム55によって下面が支持されている板バネ54が上下に揺動し、高さが変わる。
そして、ブレークカム55の回転角度を変更することで、板バネ54を介して上昇するブレーカ60からウエハW2への衝撃力を制御するようになっている。
【0048】
ブレーカ60がシート24を介してウエハW2に衝撃を与える際、その円弧部60aと、ブレーカ受け台52の溝52bが平行に対向するように、固定台53が調節されている。具体的には、ブレーカ60動作前に板バネ54の後端側の方が高く、動作後に板バネ54が水平になるように、予め固定台53の位置が調節されていてもよいし、ブレークカム55の動作と共に固定台53が自動的に位置調節し、板バネ54が水平状態になるように構成されていてもよい。
【0049】
図5に、加工装置10に設けられる制御回路70を示した。なお、制御回路70は、本発明を説明するにあたり必要な構成を示したもので、ここに図示されていないその他のセンサやアクチュエータを備えていてもよい。
制御回路70は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)71を有し、該CPU71に対して、アクチュエータコントローラ72が接続され、さらにアクチュエータコントローラ72を介して位置センサ73や各種ドライバ76〜80が接続されている。また、制御回路70には、前記カメラ20に接続された画像入力ボード75と、この画像入力ボード75に接続された画像処理CPU74が設けられ、画像処理CPU74が前記CPU71に接続されている。
位置センサ73は、例えば光センサなどからなるもので、シート24を介して取り付けられているウエハW2の位置を検出する検出手段である。一方、カメラ20が撮影したウエハW2の画像信号は画像入力ボード75に入力し、画像処理CPU74において所定の画像処理を行い、ウエハW2の位置情報を含む画像情報がCPU71に対して出力される。カメラ20、画像入力ボード75及び画像処理CPU74により本発明の画像処理手段が構成される。
【0050】
CPU71は、位置センサ73からの信号と、画像処理CPU74からの画像情報に基づいて、ウエハW2の位置や角度を検出する。
そして、CPU71、スクライビングあるいはブレークのためにウエハW2が移動すべき位置や角度と、現在のXテーブル13、Yテーブル12、θテーブル14の位置とを比較し、現在の位置に対する補正値を算出し、その補正値を、X駆動モータ16を駆動するXモータドライバ76、Y駆動モータ15を駆動するYモータドライバ77、θ駆動モータ17を駆動するθモータドライバ78に対して、制御信号として出力する。
また、スクライブ時にはエアーバルブドライブ80に対して所定のタイミングで制御信号を出力し、エアーバルブ35a、35bのオン・オフ動作を制御する。
さらに、ブレーク時にはカムモータドライバ79に対して制御信号を出力し、カムモータドライバ79を介してカムモータ56を所定量駆動し、ブレークカム55を所定高さ分上昇させる。
【0051】
CPU71には、入力パネル81や表示装置82が接続され、オペレータは、表示装置82を見ながら、スクライビングやブレーキングのための各種パラメータ、例えばウエハW2の種類や大きさ、条痕の間隔や長さ、スクライブやブレーキングの際の衝撃力などに関するデータを入力することができる。また、オペレータは入力パネル81により、マニュアル操作により加工装置10を作動させたり、シーケンス動作を選択することで1枚のウエハW2についてスクライブからブレークによりバーを作製する一連の動作を自動的に行なわせることができる。
【0052】
CPU71は、図示しないメモリを有し、該メモリに制御プログラムや制御データ、入力パネル81からのパラメータや、位置センサ73や画像処理CPU74からの画像データを一時的に記憶する。例えば、調整された引張りバネ37のバネ力、エアシリンダ36の動作速度によって決まる回転腕31の回転速度、スクライバ41の先端形状、ダイヤル部材33の調節によるスクライバ41とウエハW2との接触角度などの各設定は、ウエハの材質、へき開特性などに応じた経験的あるいは理論的に適切なパラメータを記憶し、これらのパラメータをオペレータの操作に従い、あるいは自動的に抽出し、各処理動作時に用いる。
そして、制御プログラムや制御データに従って、また、オペレータによる入力パネル81からのマニュアル操作、シーケンス動作の選択に応じ、演算しながら加工装置10における各種動作を制御する。さらに、トラブルが発生したときのエラー処理も行なうようになっている。
【0053】
次に、上記構成を有する加工装置10の動作を説明する。
ここでは、化合物半導体からなるウエハW2を結晶構造の110面に沿ってへき開し、図11(a)で示すような細長いバー状にブレークする際の動作を説明する。予め、ウエハW2には、110面に沿って製造段階でオリフラ(オリエンテーション・フラット)面が形成されており、このオリフラ面を基準としてウエハW2をシート24に貼る。
この状態のシート24を、側壁18a、18bを結ぶ方向に張力を与えた状態で、加工装置10から外されているシート張り台18の側壁18a、18bに固定する。
次にシート張り台18を、θテーブル14の所定の取り付け位置に対して、Y方向に側壁18a、18bが平行するように固定する。これにより、ウエハW2のオリフラ面が加工装置10のY方向に平行し、また、シート24はX方向に張られることになる。
【0054】
次に、入力パネル81などに設けられている図示しないスタートボタンが操作されると、最初にスクライブする箇所である位置Q1(図3(a))が、カメラ20の視野内に入るように、位置センサ73や画像処理CPU74からの情報に基づいてCPU71が移動量を算出し、これによりXテーブル13が図1の左右方向に所定量移動する。
カメラ20により位置Q1近傍のY方向に平行するべきエッジEを捉えると、CPU71は、Y方向に対するエッジEの傾きを画像情報から演算し、θモータドライバ78に対し、前記エッジがY方向と平行になるように補正値を指令し、その指令によってθテーブル14はθ駆動モータ17により駆動されて所定角度回転し停止する。
さらに、CPU71は、ウエハW2が、スクライバ41によって突かれるポイントp1に対応する位置に来るように、X方向及びY方向について必要な移動量を算出して、その補正値をXモータドライバ76、Yモータドライバ77に対し指令として出力する。その指令によって、Xテーブル13、Yテーブル12はそれぞれX駆動モータ16、Y駆動モータ15により駆動されて所定距離ずつ移動し停止する。
これらの移動により、ウエハW2は、スクライバ41が下降するとちょうど前記ポイントp1に入る位置となる。
なお、以上のXテーブル13、Yテーブル12、θテーブル14の移動の順番は一例であって、状況に応じて適宜移動させることになる。
【0055】
次に、CPU71の制御の下で、エアーバルブドライバ80が制御されて、エアーバルブ35a、35bが駆動され、エアシリンダ36のロッド36aが予め設定された速度で引き込まれる。これにより、引張りバネ37の付勢力により、回転腕31が反時計方向に回転し、回転腕31先端のスクライバ41がウエハW2の前記ポイントp1に突き入る。
スクライバ41がポイントp1に入ったまま、Yテーブル12が図1の手前方向に所定距離移動する。これにより、図3(b)、(c)で示す条痕PがウエハW2の端に形成され、スクライブが終了する。
【0056】
スクライブの終了後は、必要に応じてYテーブル12をさらに図1の手前方向に移動させて、ウエハW2をブレークユニット50の加工エリアに位置決めし、図4(a)、(b)の状態とする。ブレーカ受け台52の溝52bとブレーカ60の円弧部60aは、スクライブ動作で形成した条痕Pを挟んで対向している。
また、ブレーク動作前に、エアシリンダ36はオフとなり、ロッド36aは突出し、これにより回転腕31は時計方向に回転し、スクライバ41は上昇し待機位置に戻る。
【0057】
図4(a)、(b)の状態で、カムモータ56が所定量作動するとブレークカム55が所定角度回転する。この回転により板バネ54が上方に押し上げられ、ブレーカ60はシート24に接触し始めるが、この時のブレーカ60の円弧部60aはシート24に対して平行で円弧部60aは長さ方向全体にわたってシート24に接触する。
【0058】
さらに図6で示すように、ブレーカ60が力FFをもって上昇すると、ブレーカ60の先端の円弧部60aによってシート24ごとウエハW2がブレーカ受け台52に接触する高さまで押し上げられる。ブレーカ受け台52の左押圧面52c、右押圧面52dは、シート24を固定する挟持部18c、18dよりも高い位置にあるので、シート24は挟持部18c、18dそれぞれに引っ張られ、ウエハW2の左右両辺の剛性に負けてその部分でわずかに折れ、張力F1、F2が発生する。張力F1、F2の発生により、ブレーカ60の上昇力FFに対抗する反力f1、f2が発生する。これら反力f1、f2と、上昇力FFにより図6(b)に示すような、曲げモーメントが発生する。ウエハW2にかかる曲げモーメントは、シート24に接触している円弧部60aが丸く形成されていることにより、ブレーカ60部分が最大ではあってもその頂点部分T1はなだらかな丸みを有する。
【0059】
また、ウエハW2には、図6(b)の実線で示すように、垂直面にせん断力が発生する。
従来の図10で示したインパルスバ−1のように鋭角であると、インパルスバー1の当接点を中心に互いに逆方向に大きなせん断力がかかり、図6(c)の点線で示すようなせん断力が発生してしまう。このようにせん断力がかかると、インパクト部分を中心に上下にずれる力が大きく作用することになり、化合物半導体では好ましくない。
しかし、本実施の形態では、曲げモーメントの頂点部分T1はなだらかであることから、せん断力は、ブレーカ60の円弧部60aの当接位置を中心に、点線で示すように変わるのではなく、実線で示すように斜めにややなだらかに変化するので、ブレーク部分にかかる逆方向のせん断力の差が小さく、ずれ方向の力が小さい。
【0060】
一方、ブレーカ60の上昇により、スクライブされた条痕P部分には、応力が集中している。やがて、ウエハW2とブレーカ受け台52は、条痕Pがブレーカ受け台52の左押圧面52cと右押圧面52dで挟まれるように近づき、左押圧面52cがウエハW2と接触し、片側でのみ荷重を受けた状態でさらに条痕P部分にかかる応力が増し、左押圧面52cで押されている面がウエハW2から折れるようにして条痕Pから亀裂が生じ、Y方向に沿ってへき開する。
【0061】
以上の動作により最初の1本目のバーの作製は終了し、ブレークカム55は元の回転位置まで回転し、ブレーカ60は元の位置まで下がる。
次に、2本目のバーの作製のため、バーの幅分の距離Xテーブル13が図1の左方向に移動する。以後、前述のスクライブ及びブレイキングの動作を繰り返す。3本目以後のバーについても同様である。
なお、従来周知の技術を利用して、上記動作の最中、カメラ20でへき開の状況を監視させ、へき開が途中で止まる、横方向(X方向)への亀裂発生、へき開面に段差発生などの各種異常が発生した場合には、画像処理CPU74から異常信号をCPU71に対して出力するようにしてもよい。
【0062】
図7に制御回路70により行なわれるウエハ加工処理のフローチャートを示した。この処理は、オペレータがウエハW2及びシート24をセットしたシート張り台18をθテーブル14上に取り付け、ステップS1で電源(図示略)をONしたときに開始する。
次いで、ステップS2で入力パネル81などからパラメータ等が入力され、それに応じて各動作のパラメータの初期値を設定する。
【0063】
次いで、ステップS3で前記スタートボタンが操作されたか否か監視し、操作されればステップS4、ステップS5に移行する。ステップS4では、画像処理CPU74からの画像情報と位置センサ73からの検出信号に基づいて、現在のウエハW2の位置や角度を演算により求める。ステップS5においては、スクライブすべき位置にウエハW2を移動させるべく、θテーブル14、Xテーブル13、Yテーブル12の現在の位置から移動のための補正値を求め出力する処理を行い、これに従い、各テーブル12〜14が移動する。
なお、ステップS4、S5は、必ずしも順に実行されるということではなく、前述の動作からも分かるように、ウエハW2の位置の検出と補正値の算出・出力は状況によって繰り返してよい。
【0064】
次に、ステップS6で、スクライブ処理を行い、すなわち、エアシリンダ36をオンし、スクライバ41を回動させるとともに、Yテーブル12を移動させながら、ウエハW2に傷を付ける。この処理が終了すれば、エアシリンダ36をオフとし、スクライバ41を元の位置に戻す。
次に、ステップS7では、へき開(ブレーキング)処理を行い、すなわち、必要に応じてYテーブル12を移動させ、ブレークカム55を回転させ、ブレーカ60とブレーカ受け台52により、ステップS6でスクライブした箇所においてウエハW2をへき開し、最初のバーを作製する。この処理が終了すれば、ブレークカム55は元の回転位置に戻る。
次に、ステップS8に移行し、ここでは、次のバーの作製のために、バーの幅分の距離Xテーブル13を移動し、ステップS9に移行する。ステップS9で、ウエハW2の末端まで到達したか否か、つまりウエハW2を全てバーに分割したか否か判定し、到達していないと判定すればステップS6に戻り、到達していればこの加工処理を終了する。
【0065】
以上の半導体ウエハ加工装置10及びこの装置による加工方法によれば、Xテーブル13、Yテーブル12、θテーブル14でウエハW2を移動しながら、スクライブユニット30とブレークユニット50によりウエハW2をY方向に沿って割ることができる。
また、スクライブユニット30とブレークユニット50は、ウエハW2に対するそれぞれの作用点がY方向を通る1つの鉛直面内にあるように、並んで設けられていることから、スクライブで1つの傷を付けた後すぐにブレーク加工する、いわゆるワンバイワン方式の工程が容易に可能となる。スクライブ工程後、スクライブユニット30からブレークユニット50への移動が必要である場合でも、Y方向に一直線に移動させるだけでよいので、時間的な効率が高い。さらに、一直線の移動により位置の精度が高いので、スクライブによる傷に対してずれることなくブレークさせることができるので所望のライン以外の箇所に傷が付いてしまうことは少なく、前述のように表面の傷に弱い化合物半導体ウエハに好適である。
【0066】
また、ウエハW2を固定するシート24は、X方向に張力がかかるようにシート張り台18に張られていることから、ブレーク時にウエハW2に力が加えられたときに、円形枠にシートが張られている従来の装置のように力がシート面上で様々な方向に分散してしまうことはなく、ブレーカ60からの力を十分にウエハW2に伝達することができる。また、予想しない方向にシートが伸び縮みすることはなく、シートの伸び縮みによるバーへの力学的な影響を十分予想できるようになるので、ブレーク後のバー同士がぶつかり合うを防ぐ手立てを講じやすい。
【0067】
エアシリンダ36の出没速度を変えるという簡単な方法で、ウエハの種類などに応じてスクライブ時の衝撃力を制御できる。
また、ブレークカム55の回転量を変えるという簡単な方法で、ウエハの種類などに応じてブレーク時の衝撃力を制御できる。
【0068】
さらに、ブレーカ60の先端が断面円弧状に形成されているので、ブレーカ60がシート24を介してウエハW2に与える衝撃力によって発生するせん断力について、ブレーカ60の先端を中心とする正負の変化をなだらかなものとすることができ、せん断力による悪影響を小さくすることができ、柔らかい量子井戸構造を有する化合物半導体ウエハに好適である。
【0069】
加えて、ブレーカ受け台52の下面は、シート24上のウエハW2の表面よりも上であるので、ブレーカ60によってシート24ごとウエハW2がブレーカ受け台52と接するように押し上げられると、ブレーカ60の当接部分を頂点としてシート24が山型に変形し、これにより曲げモーメントが所望の、つまり円弧部60aが当接しているウエハ部分で最大になり、応力集中により容易にブレークすることができる。
ブレーカ受け台52はウエハW2よりも硬度の低い柔らかい材料から形成されているので、ブレーク時に受け台によってウエハ表面が傷つくことは少なく、柔らかい化合物半導体ウエハに適している。
【0070】
以上のように、加工装置10及びこの装置による加工方法によれば、ウエハへのストレスを極力小さくすることができ、傷つきやすい化合物半導体ウエハのバー作製に非常に適している。
【0071】
<変形例>
図8には、図1に示した加工装置10の変形例を示した。ここでは、加工装置10と異なる構成を中心に示し、その他の構成については省略している。また、図1〜図4に示された部材で説明の都合上必要な部材については、同符号を付して記載する。
図8で図1の加工装置10と異なる点は、切断後のバーを一定箇所に集める点で、シートクランプ部材92、ガイド筒95、アンローディング台97などを備える。
【0072】
図8の加工装置では、ウエハW2を貼り付けたシート24の一辺側を、シート張り台18の挟持部18c同様の挟持部90によって挟持する。この挟持部90は、Xテーブル13と共に移動可能である。
シート24の他辺側は、シートクランプ部材92によってクランプされている。シートクランプ部材92は、エアシリンダ91のロッド91aに固定されており、エアシリンダ91によってシートクランプ部材92がX方向に平行する矢印x1方向に引っ張られることで、シート24に対して一定の張力がかかるようになっている。エアシリンダ91はベース11に対して直接または間接的に固定されている。
【0073】
ブレークユニット50の近傍には、キセノンランプや水銀ランプなどの紫外線発光源(紫外線照射手段)93と、この紫外線発光源93の一方側を被うように反射板94が設けられている。紫外線発光源93と対峙するように、半透明で断面半円状のガイド筒95が設けられ、シート24は、ガイド筒95の外面側を覆うように接している。
さらに、ガイド筒95と対向するようにウエハガイド98が設けられ、その下方にウエハW2のバーw、w…が順に降ろされるアンローディング台(ウエハ集合部)97が設けられている。
また、ガイド筒95の内側であって、アンローディング台97よりわずかに上方にシート24に張り付いている各バーwを突いてアンローディング台97に降ろすための針(押し出し部材)96がX方向に往復移動可能に取り付けられている。なお、針96は図8では1本のみ図示しているが、バーwの長さ方向、つまり図8の紙面の奥行き方向に複数本設けられている。
紫外線発光源93、反射板94、ガイド筒95、アンローディング台97はウエハW2の移動とは無関係に固定されている。
【0074】
図8の加工装置では、図1の加工装置10同様にスクライブと、ブレークユニット50によるへき開(ブレーク)を交互に繰り返しながら、バーwを1本ずつ作製していく。1本バーwを作製するとXテーブル13を図8の左方向にバーwの幅の分移動させて、次のスクライブ・ブレークを行なう。このXテーブル13の移動によりシート24が弛まないように、エアシリンダ91のロッド91aを介してシートクランプ92が矢印x1方向に移動し、シート24を引っ張る。
1本バーwを作製するごとに以上の動作を繰り返していき、作製されたバーw、w…は、シート24ごとガイド筒95側に向かう。紫外線発光源93から発せられた紫外線はシート24の裏面を直接、あるいはガイド筒95を介してシート24の裏面を照射する。これにより、シート24の粘着性は消失する。この状態でシート24及びバーw、w…はガイド筒95及びウエハガイド98にガイドされて下降していき、アンローディング台97に自然と載置される。ガイド筒95及びウエハガイド98は円弧状であるので、これらに沿って移動することで、各バーwは、自然にその表面が鉛直面に立つように向きを変えて、アンローディング台97に移動する。
【0075】
ここで、紫外線を照射されてからすぐにアンローディング台97に達するのではなく、ガイド筒95とウエハガイド98に誘導され所定経路を経ることで、照射後シート24の粘着性が消失するまでの反応時間を確保することができる。
しかし、シート24に粘着性が残存するなどしてバーwが自然にアンローディング台97に降りなかった場合には、針96で突かれ、強制的にシート24から離れアンローディング台97に降ろされる。なお、粘着性とは関係なく必ず針96で突かれるようにしてもよい。
【0076】
以上の加工装置及びそれによる加工方法によれば、前記加工装置10の作用効果を奏するのは勿論のこと、アンローディング台97に自然に各バーwが並んでいき、図11(b)で示した断積み状態になっていく。従って、1つ1つのバーwを手作業で取扱いながら重ねる作業を省略することが可能となるので、断積み作業によるウエハの損傷を防ぐことができ、かつ、この作業時間を省略することができるので作業効率が飛躍的に向上する。
【0077】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、具体的な形状・構造等適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記各実施の形態におけるスクライブユニットにおけるスクライバは、ウエハに突き入れた状態のまま、ウエハの方をY方向に移動させて傷を形成したが、図9に示すようにスクライバ200をウエハW2に対して支点201を中心に回動させることで、ウエハW2の表面に円弧状の条痕を形成するように構成してもよい。又はスクライバーの上下に同期してY方向に移動させてもよい。このときのスクライバ受け台は、形成する円弧のY方向の長さに十分足りる長さに形成する。
このような方法であれば、ウエハW2に最初に突き入るときの衝撃を小さくし好ましくない亀裂の発生を防ぐとともに、衝撃が小さくとも徐々に深くなるので確実にウエハに傷を付けることができる。
【0078】
また、スクライブにより形成する傷は、へき開方向に長い条痕として形成するだけでなく、短く1点付近に集中するようにしてもよい。その場合、ウエハW2の表面にスクライバを落とした状態でYテーブルを往復移動させ、1箇所に傷を集中して形成すればよい。
【0079】
また、スクライブユニットやブレイクユニットの具体的な駆動方法は、変更でき、例えば、駆動源としてバネの付勢力、モータ、ソレノイド、エアシリンダなど各種用いることができる。
さらに、本発明は、化合物半導体ウエハをブレイク加工する際に特に有用ではあるが、適用するウエハは限定されるものではなく、シリコンウエハなど他の種類のウエハに用いてもよいのは勿論である。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、第1〜第3のテーブルでウエハセット部上の半導体ウエハを移動しながら、スクライブ手段とブレーク手段によりウエハを第1の方向または第2の方向のいずれかである所定の方向に沿って割ることができる。
また、スクライブ手段とブレーク手段は、それぞれの半導体ウエハに対する作用点が前記所定の方向を通る1つの鉛直面内にあるように、並んで設けられていることから、スクライブで1つの傷を付けた後すぐにブレーク加工する、いわゆるワンバイワン方式の工程が容易に可能となる。スクライブ工程後、スクライブ手段からブレーク手段への移動が必要である場合でも、前記所定方向に一直線に移動させるだけでよいので、時間的な効率が高いし、さらに位置の精度が高く、スクライブによる傷に対してずれることなくブレークさせることができるので所望のライン以外の箇所に傷が付いてしまうことは少なく、前述のように表面の傷に弱い化合物半導体ウエハに好適である。
以上のように、ウエハのバーを高い作業効率及び高い精度で作製できるので、化合物半導体ウエハの加工に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例としての半導体ウエハ加工装置を示す斜視図である。
【図2】図1の半導体ウエハ加工装置に設けられるスクライブユニットを示す側面図である。
【図3】(a)は図2のスクライブユニットにより形成されるウエハ上の条痕の位置を示し、(b)は条痕の平面図であり、(c)は条痕の断面図である。
【図4】図1の半導体ウエハ加工装置に設けられるブレークユニット50を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)はブレーカの正面図である。
【図5】図1の半導体ウエハ加工装置の制御回路を示すブロック図である。
【図6】(a)はブレーク時の力学的要素を説明するための図であり、(b)はブレーク時の曲げモーメントを示す図であり、(c)はせん断力を示す図である。
【図7】図5の制御回路による加工処理のフローチャートである。
【図8】図1の半導体ウエハ加工装置の変形例を示す概略図である。
【図9】スクライバの動作の他の例を示す概略図である。
【図10】(a)及び(b)は従来の半導体ウエハ加工装置でシリコンウエハを分割する様子を説明するための図であり、(c)及び(d)は従来の装置で化合物半導体ウエハをへき開する場合を説明するための図である。
【図11】(a)は化合物半導体ウエハをバー状に分割した斜視図であり、(b)はバーをまとめてコーティング処理するために断積みした状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 半導体ウエハ加工装置
11 ベース
12 Yテーブル(第1のテーブル)
13 Xテーブル(第2のテーブル)
14 θテーブル(第3のテーブル)
15 Y駆動モータ(第1テーブル駆動手段)
16 X駆動モータ(第2テーブル駆動手段)
17 θ駆動モータ(第3テーブル駆動手段)
18 シート張り台(ウエハセット部)
20 カメラ(画像処理手段)
24 シート
30 スクライブユニット(スクライブ手段)
31 回転腕
34 スクライブ受け台
37 引張りバネ(バネ部材)
36 エアシリンダ
41 スクライバ
50 ブレークユニット(ブレーク手段)
52 ブレーカ受け台
54 板バネ
55 ブレークカム
56 カムモータ
60 ブレーカ
60a 円弧部
70 制御回路
71 CPU(制御手段)
74 画像処理CPU(画像処理手段)
75 画像入力ボード(画像処理手段)
91 エアシリンダ
92 シートクランプ部材
93 紫外線発光源(紫外線照射手段)
95 ガイド筒
96 針(押し出し部材)
97 アンローディング台
98 ウエハガイド
W2 ウエハ
w バー
Claims (22)
- ベース上に、
第1の方向に往復移動する第1のテーブルと、
前記第1の方向に直交する第2の方向に往復移動する第2のテーブルと、
前記第1の方向と前記第2の方向の両方に直交する直線を中心に回転運動する第3のテーブルと、
第1のテーブルと第2のテーブルと第3のテーブルそれぞれの移動に伴って移動し、半導体ウエハをセットするためのウエハセット部と、
ウエハセット部にセットされた半導体ウエハの表面に、傷を付けるスクライブ手段と、
スクライブ手段によって形成された半導体ウエハの傷部分に力を加えて、第1の方向または第2の方向のいずれかである所定の方向に沿って割るブレーク手段とを備え、
第1のテーブルと第2のテーブルと第3のテーブルは水平面に平行するように重ねて設けられている半導体ウエハ加工装置であって、
スクライブ手段とブレーク手段は、半導体ウエハに対するそれぞれの作用点が前記所定の方向を通る1つの鉛直面内にあるように、並んで設けられていることを特徴とする半導体ウエハ加工装置。 - 半導体ウエハは、半導体ウエハのへき開方向と、前記所定の方向が一致するようにセットされることを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエハ加工装置。
- 半導体ウエハは、第1の方向または第2の方向のいずれかに平行し、かつ、前記所定の方向とは直交する方向に張力がかかるようにウエハセット部に対して張られているシート上に、固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウエハ加工装置。
- スクライブ手段は、半導体ウエハの表面に接触して傷を付けるスクライバと、スクライバによって半導体ウエハの表面に傷を付ける際にシートを介して半導体ウエハを支持するスクライブ受け台とを備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体ウエハ加工装置。
- スクライブ手段は、
スクライバを保持し角度調節可能なホルダが取り付けられ、鉛直面内において回転可能である回転腕と、
回転腕を、スクライバが上から下に向かって移動するように付勢するバネ部材と、
バネ部材の付勢力に抗して回転腕の回転を規制するストッパをロッドの先端に有するエアシリンダとを備え、
エアシリンダのロッドの出没によるストッパの移動方向に応じて、スクライバが半導体ウエハに対して接離するように回転腕が回転することを特徴とする請求項4に記載の半導体ウエハ加工装置。 - ロッドの出没速度を変えることで、スクライバが半導体ウエハの表面に接触するときに与える衝撃力を変更することを特徴とする請求項5に記載の半導体ウエハ加工装置。
- スクライバは、円弧に沿って移動しながら半導体ウエハの表面に断面円弧状の傷を付けることを特徴とする請求項4に記載の半導体ウエハ加工装置。
- ブレーク手段は、上下方向に移動可能に構成され、シートの下方から半導体ウエハに対して衝撃力を与えるブレーカと、半導体ウエハの上方に固定され、ブレーカから衝撃が与えられた半導体ウエハの上面を押えるブレーカ受け台とを備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体ウエハ加工装置。
- ブレーク手段は、
ベースに対して直接または間接的に固定されている板バネと、
板バネの下面に接触し、回転することで板バネを上下に駆動する偏芯カムと、
偏芯カムを回転駆動するカムモータとを備え、
ブレーカは板バネ上に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の半導体ウエハ加工装置。 - 偏芯カムの回転量を変えることで、ブレーカがシートを介して半導体ウエハに与える衝撃力を変更することを特徴とする請求項9に記載の半導体ウエハ加工装置。
- シートに接触するブレーカの先端が断面円弧状に形成されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか記載の半導体ウエハ加工装置。
- ブレーカ受け台の下面は、ウエハセット部に張られたシート上の半導体ウエハの表面よりも上であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の半導体ウエハ加工装置。
- ブレーカ受け台は、半導体ウエハよりも硬度の低い材料から形成されていることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の半導体ウエハ加工装置。
- 第1のテーブルを駆動する第1テーブル駆動手段と、
第2のテーブルを駆動する第2テーブル駆動手段と、
第3のテーブルを駆動する第3テーブル駆動手段と、
スクライブ及びブレークに関する各種データを入力するための入力パネルと、
半導体ウエハの位置を検出する検出手段と、
半導体ウエハの画像を取得しデータとして処理する画像処理手段と、
検出手段からの検出結果と画像処理手段からの画像データに基づいて、半導体ウエハをスクライブ及びブレークそれぞれのため所定の位置に移動するように、第1テーブル駆動手段と第2テーブル駆動手段と第3テーブル駆動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の半導体ウエハ加工装置。 - 前記制御手段は、検出手段からの検出結果と画像処理手段からの画像データから、第1のテーブルと第2のテーブルと第3のテーブルそれぞれの移動すべき値としての補正値を求め、第1テーブル駆動手段と第2テーブル駆動手段と第3テーブル駆動手段に対し前記補正値を指令として出力することを特徴とする請求項14に記載の半導体ウエハ加工装置。
- 第1のテーブルまたは第2のテーブルの移動により、第1の方向または第2の方向のいずれかに平行し、前記所定の方向とは直交する方向に、ブレーク後の半導体ウエハをシートごと搬送し、
搬送されてきた半導体ウエハが1つずつ集まるウエハ集合部とを備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体ウエハ加工装置。 - 前記シートとして紫外線で粘着性を失う粘着シートを用い、
ブレーク直後からウエハ集合部までの間で、搬送中の粘着シートに対し半導体ウエハの反対側から紫外線を照射する紫外線照射手段を備えることを特徴とする請求項16記載の半導体ウエハ加工装置。 - シートの一端側は、ウエハを搬送させる第1のテーブルまたは第2のテーブルに直接または間接的に固定され、前記一端と対向する他端側は、ウエハの搬送の際にシートが弛まないように搬送方向に平行に一定の張力で引張られていることを特徴とする請求項16または17記載の半導体ウエハ加工装置。
- ブレーク後にウエハが搬送される経路において、ウエハ集合部の手前には、円弧状のガイドが設けられ、
半導体ウエハは、前記ガイドに沿って搬送されることでその表面が鉛直面内に立つように向きを変えることを特徴とする請求項16〜18のいずれか記載の半導体ウエハ加工装置。 - ウエハ集合部近傍に、半導体ウエハの反対側からシートを突いて、半導体ウエハをウエハ集合部に押し出す押し出し部材が設けられていることを特徴とする請求項16〜19のいずれか記載の半導体ウエハ加工装置。
- 請求項1〜20のいずれか記載の半導体ウエハ加工装置を用いた半導体ウエハの加工方法であって、
半導体ウエハに対してスクライブ手段により1つ傷を付けた後、続いてブレーク手段によりその傷を基に割ることを特徴とする半導体ウエハの加工方法。 - ブレーク後、第1のテーブルまたは第2のテーブルの移動により、半導体ウエハを第1の方向または第2の方向のいずれかに平行し、かつ、前記所定の方向とは直交する方向に移動させ、次のスクライブ工程及びブレーク工程を引き続き行うことを特徴とする請求項21に記載の半導体ウエハの加工方法。
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