まず、本発明の画像形成方法及びそれに用いられる画像形成装置の概要を、フルカラー画像形成方法の一例である非磁性1成分系トナーを使用する電子写真記録装置について説明するが、本発明は、この一例に限定されるものではない。図1は本発明に用いられる電子写真記録装置の一実施態様の要部構成の概略図であり、感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7を有している。
感光体1は、例えばアルミニウムなどの導電体により形成され、外周面に感光導電材料を塗布して感光層を形成したものである。感光体1の外周面に沿って帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及び、クリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、感光体1の表面を所定電位に均一帯電する。露光装置3は、感光体1の感光面にLED、レーザー光などで露光を行って感光体1の感光面に静電潜像を形成するものである。
現像装置4は、アジテータ42、供給ローラー43、現像ローラー44、規制部材45からなり、その内部にトナーTを貯留している。また、必要に応じ、現像装置にはトナーを補給する補給装置(図示せず)を付帯させてもよく、補給装置にはボトル、カートリッジなどの容器からトナーを補給することができるものである。
供給ローラー43は導電性スポンジ等からなるもので、現像ローラー44に当接している。現像ローラー44は、感光体1と供給ローラー43との間に配置されている。現像ローラー44は、感光体1及び供給ローラー43に各々当接している。供給ローラー43及び現像ローラー44は、回転駆動機構によって回転される。供給ローラー43は、貯留されているトナーを担持して現像ローラー44に供給する。現像ローラー44は、供給ローラー43によって供給されるトナーを担持して感光体1の表面に接触させる。
現像ローラー44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルなどの金属ロール、又は金属ロールにシリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。現像ロール表面は、必要に応じ平滑加工したり、粗面加工したりしてもよい。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラー44に当接し、ばね等によって現像ローラー44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)されており、必要に応じトナーとの摩擦帯電によりトナーに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテーター42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーを攪拌するとともに、トナーを供給ローラー43側に搬送する。アジテータは、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラー、転写ベルトなどよりなる。この転写装置5は、トナーの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、感光体1に形成されたトナー像を記録紙Pに転写するものである。
クリーニング装置6は、ウレタン等のブレード、ファーブラシなどのクリーニング部材からなり、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。
定着装置7は、上部定着部材71と下部定着部材72とからなり、上部又は下部の定着部材の内部には加熱装置73を有している。定着部材はステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどの公知の熱定着部材を使用することができる。更に、定着部材には離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給してもよい。また、上部定着部材と下部定着部材にバネ等により強制的に圧力を加える機構としてもよい。
用紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72の間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
以上のように構成された電子写真記録装置では、次のようにして画像の記録が行われる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)は、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。続いて、帯電されたのちの感光体1の感光面を記録すべき画像に応じて露光装置3によって露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を現像装置4で行う。
現像装置4は、供給ローラー43により供給されるトナーを現像ブレード45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させて、現像ローラー44に担持し、搬送して感光体1の表面に接触させる。
現像ローラー44からいわゆる反転現像法により感光体1の表面に静電潜像に対応するトナー像が形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって用紙Pに転写される。この後、感光体1の感光面は転写されずに残留しているトナーがクリーニング装置6で除去される。記録紙P上の転写後トナーは定着装置7を通過させて熱定着する ことで、最終的な画像が得られる。
次に、本発明に用いられるトナーについて説明する。本発明に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じ、帯電制御剤、ワックス、その他の添加剤を含むことが出来る。また、本発明に用いられるトナーは、乳化重合/凝集法により製造される。乳化重合/凝集法であれば、好適な粒度分布を達成することができ、トナーの円形度を適宜制御できる利点もある。
トナーに用いられる結着樹脂は従来公知のものを含む広い範囲から選択できる。好ましくは、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、又はこれらの樹脂のアクリル酸共重合体等のスチレン系ポリマー、飽和もしくは不飽和ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマーを挙げることができる。また、上記結着樹脂は単独で使用する場合に限らず、2種以上を併用することもできる。乳化重合/凝集法でトナーを製造する場合には、少なくともスチレン類を共重合成分とし、これに、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル等の少なくともいずれかを共重合成分として用いるのが好ましい。
着色剤は無機顔料または有機顔料、有機染料のいずれでもよく、またはこれらの組み合わせでもよい。これらの具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタとしてキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンとしてフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。
これらの内、シアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、イエロー着色剤としてはC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド122が好ましく用いられる。着色剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して2〜25重量部の範囲が好ましい。
本発明に用いられるトナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、荷電制御剤を添加してもよい。荷電制御剤としては、従来公知の化合物が使用される。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩及びこれらの混合物が挙げられる。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
本発明に用いられるトナーには、定着ロールとの離型性の付与のため、ワックスを添加することが好ましい。ワックスとしては、離型性を有するものであればいかなるものも使用可能である。具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸とより得られる多価アルコールのカルボン酸エステルまたは部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。
これらのワックスの中で定着性を改善するためには、ワックスの融点は30℃以上が好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、90℃以下が更に好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出しべたつきを生じやすく、融点が高すぎると低温での定着性が劣る。また更に、ワックスの化合物種としては、高級脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。高級脂肪酸エステル系ワックスとしては具体的には例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリド等の、炭素数15〜30の脂肪酸と1〜5価のアルコールとのエステルが好ましい。また、エステルを構成するアルコール成分としては、1価アルコールの場合は炭素数10〜30のものが好ましく、多価アルコールの場合には炭素数3〜10のものが好ましい。
上記ワックスは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。また、トナーを定着する定着温度により、ワックス化合物の融点を適宜選択することができる。トナー中のワックスの使用量は、通常、0.1〜40%、好ましくは1〜40%、更に好ましくは5〜35%、特に好ましくは7〜30%である。
次に、湿式重合法によるトナーの製造について説明する。乳化重合/凝集法では、重合体一次粒子の分散液に着色剤分散液、荷電制御剤分散液、ワックス分散液等を混合し、温度、塩濃度、pH等を適宜制御することによってこれらを凝集しトナーを製造する。
湿式重合法に用いる乳化剤は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤の中から選ばれる。カチオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、等があげられる。また、アニオン界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等があげられる。さらに、ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖、等があげられる。これらの界面活性剤の内、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
乳化重合/凝集法に用いられる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。例えば、過硫酸カリウム、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド又はレドックス系開始剤などを使用することができる。これらの内、乳化重合/凝集法ではレドックス系開始剤が好ましく、懸濁重合法ではアゾ系開始剤が好ましい。上記方法によりトナーを製造した後に、ポリマー乳化液、着色剤分散液、荷電制御剤分散液、ワックス分散液等を添加し、トナー表面を被覆することにより、カプセル構造を持つトナーとしてもよい。
次に、本発明の好ましいトナーの製造法である乳化重合/凝集法について更に詳細に説明する。乳化重合/凝集法によりトナーを製造する場合、通常、重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程、洗浄・乾燥工程を有する。すなわち、乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、荷電制御剤、ワックス等の各粒子の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて体積平均粒径3〜8μm程度の粒子凝集体とし、必要に応じて、これに樹脂微粒子等を付着させ、必要に応じて、粒子凝集体あるいは樹脂微粒子が付着した粒子凝集体を融着させ、こうして得られたトナー粒子を洗浄、乾燥して製品のトナー粒子を得る。
<重合体一次粒子>
乳化重合/凝集法に用いられる重合体一次粒子としては、好ましくはガラス転移温度(Tg)が40〜80℃であり、平均粒径は通常0.02〜3μmのものである。この重合体一次粒子は、モノマーを乳化重合することにより得られる。
乳化重合をするに当たっては、逐次、ブレンステッド酸性基(以下、単に酸性基ということがある)を有するモノマーもしくはブレンステッド塩基性基(以下、単に塩基性基ということがある)を有するモノマー、及び、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基のいずれをも有さないモノマー(以下、その他のモノマーということがある)とを添加することにより重合を進行させる。この際、モノマー同士は別々に加えてもよいし、予め複数のモノマーを混合しておいてから添加してもよい。更に、モノマー添加中にモノマー組成を変更することも可能である。また、モノマーはそのまま添加してもよいし、予め水や乳化剤などと混合、調整した乳化液として添加することもできる。乳化剤としては、前記の界面活性剤から1種又は2種以上の併用系が選択される。
上記ブレンステッド酸性基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有するモノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有するモノマー等があげられる。
また、ブレンステッド塩基性基を有するモノマーとしては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、等の窒素含有複素環含有モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、等が挙げられる。
また、これら酸性基を有するモノマー及び塩基性基を有するモノマーは、それぞれ対イオンを伴って塩として存在していてもよい。このような、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基を有するモノマーの重合体一次粒子を構成するモノマー混合物中の配合率は、好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、また、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基を有するモノマーの内では、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
その他のコモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミドを挙げることができる。この中で、スチレン、ブチルアクリレート等が特に好ましい。
更に、重合体一次粒子に架橋樹脂を用いる場合、上述のモノマーと共用される架橋剤としては、ラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられ、例えばジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有するモノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることが可能である。
好ましくはラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、更に、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。このような、多官能性モノマーのモノマー混合物中の配合率は、好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは0.3重量%以上であり、また、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
これらのモノマーは単独でまたは混合して用いられるが、その際、重合体のガラス転移温度が40〜80℃となることが好ましい。ガラス転移温度が80℃を越えると定着温度が高くなりすぎたり、OHP透明性の悪化が問題となることがあり、一方重合体のガラス転移温度が40℃未満の場合は、トナーの保存安定性が悪くなる場合がある。
重合開始剤は、モノマー添加前、添加と同時、又は添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。乳化重合に際しては、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができるが、その様な連鎖移動剤の具体的な例としては、t―ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等があげられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して通常0〜5重量%用いられる。乳化重合は、上記のモノマー類を水と混合し、重合開始剤の存在下、重合するが、重合温度は通常50〜150℃、好ましくは60〜120℃、更に好ましくは70〜100℃である。
こうして得られた重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02〜3μmの範囲であり、好ましくは0.05〜3μm、更に好ましくは0.1〜2μmであり、特に好ましくは0.1〜1μmである。なお、平均粒径は、例えばUPAを用いて測定することができる。粒径が0.02μm より小さくなると凝集速度の制御が困難となり好ましくない。また、3μmより大きいと凝集して得られるトナー粒径が大きくなりやすく、粒径3〜8μmのトナーを製造するには不適当である。
<着色剤>
乳化重合/凝集法では、重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子を混合し、混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とするが、着色剤は、乳化剤(前述の界面活性剤)の存在下で水中に乳化させ、エマルションの状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径としては、0.01〜3μmが好ましい。着色剤の使用量は、通常、重合体一次粒子100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは3〜20重量部である。
<ワックス>
乳化重合/凝集法において、ワックスは、予め乳化剤(前記界面活性剤)の存在下に分散してエマルジョン化したワックス微粒子分散液としたものを用いるのが好ましい。ワックスは、凝集工程に存在させるが、これには、ワックス微粒子分散液を重合体一次粒子及び着色剤粒子と共凝集させる場合と、ワックス微粒子分散液の存在下にモノマーをシード乳化重合させてワックスを内包した重合体一次粒子を作成し、これと着色剤粒子を凝集させる場合とがある。このうち、ワックスをトナー中に均一に分散させるには、ワックス微粒子分散液を上記の重合体一次粒子の作製時、すなわちモノマーの重合時に存在させるのが好ましい。
ワックス微粒子の平均粒径は、0.01〜3μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2μm、特に0.3〜1.5μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、例えばホリバ社製LA−500を用いて測定することができる。ワックスエマルジョンの平均粒径が3μmよりも大きい場合には凝集時の粒径制御が困難となる傾向があり、また、エマルジョンの平均粒径が0.01μmよりも小さい場合には、分散液を作製するのが困難である。
<荷電制御剤>
乳化重合/凝集法において荷電制御剤を含有させる方法として、重合体一次粒子を得る際に、荷電制御剤をワックスと同時にシードとして用いたり、荷電制御剤をモノマー又はワックスに溶解又は分散させて用いたり、重合体一次粒子及び着色剤と同時に荷電制御剤一次粒子を凝集させて粒子凝集体を形成したり、重合体一次粒子及び着色剤を凝集させて、ほぼトナーとして適当な粒径となった後に、荷電制御剤一次粒子を加えて凝集させることもできる。この場合、荷電制御剤も乳化剤(前述の界面活性剤)を用いて水中で分散し、平均粒径0.01〜3μmのエマルション(荷電制御剤一次粒子)として使用することが好ましい。
<混合工程>
上記製造法の凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて荷電制御剤、ワックスなどの配合成分の粒子は、同時にあるいは逐次に混合して分散するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、着色剤粒子分散液、必要に応じ荷電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが好ましい。また、ワックスは、重合体一次粒子に内包化されたもの、すなわち、ワックスをシードとして乳化重合した重合体一次粒子を用いることにより、トナーに含有させることが好ましく、この場合は、重合体一次粒子に内包化されたワックスと、内包化されていないワックス微粒子を併用して用いることができるが、更に好ましくは、実質的に全量のワックスを重合体一次粒子に内包化された形で用いるものである。
<凝集工程>
上記の各粒子の混合分散液を凝集工程で凝集して粒子凝集体を作成するが、この凝集工程においては、1)加熱して凝集を行う方法、2)電解質を加えて凝集を行う方法とがある。
加熱して凝集を行う場合に、凝集温度として具体的には、50℃〜Tgの温度範囲(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)であり、Tg−10℃〜Tg−5℃の範囲が好ましい。上記温度範囲であれば、電解質を用いることなく好ましいトナー粒径に凝集させることができる。また、加温して凝集を行う場合、凝集工程に引き続いて熟成工程を行う場合には、凝集工程と熟成工程が連続的に行われ、その境界は曖昧となる場合があるが、Tg−20℃〜Tgの温度範囲に少なくとも30分間保持する工程があれば、これを凝集工程とみなすこととする。凝集温度は所定の温度で少なくとも30分保持することにより所望の粒径のトナー粒子とすることが好ましい。所定の温度までは一定速度で昇温してもよいし、段階的に昇温してもよい。保持時間は、Tg−20℃〜Tgの範囲で30分以上8時間以下が好ましく、1時間以上4時間以下が更に好ましい。このようにすることによって、小粒径であり、粒度分布のシャープなトナーを得ることが出来る。
また、混合分散液に電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩のいずれでもよいが、好ましくは1価あるいは2価以上の多価の金属塩が好ましく用いられる。具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO4)3、Fe2(SO4)3、CH3COONa、C6H5SO3Na等が挙げられる。
電解質の添加量は、電解質の種類によっても異なるが、通常は混合分散液の固形成分100重量部に対して、0.05〜25重量部が用いられる。好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。電解質添加量が上記範囲より著しく少ない場合には、凝集反応の進行が遅くなり、凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が3μm以下となるなどの問題を生じる傾向にある。また、電解質添加量が上記範囲より著しく多い場合には、急速で制御の困難な凝集となりやすく、得られた粒子凝集体の中に25μm以上の粗粉が混じったり、凝集体の形状がいびつで不定形のものになるなどの問題を生じる傾向にある。また、混合分散液に電解質を加えて凝集を行う場合には、凝集温度は5℃〜Tgの温度範囲が好ましい。
<その他の配合成分>
次に、本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂微粒子を被覆(付着又は固着)してトナー粒子を形成するのが好ましい。なお、上述した荷電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に荷電制御剤を加えた後、樹脂微粒子を加えてもよい。
この樹脂微粒子は、乳化剤(前述の界面活性剤)により水または水を主体とする液中に分散してエマルションとして用いるが、トナーの最外層に用いる樹脂微粒子は、ワックスを含まないものが好ましい。樹脂微粒子としては、好ましくは体積平均粒径が0.02〜3μm、更に好ましくは0.05〜1.5μmであって、前述の重合体一次粒子に用いられるモノマーと同様なモノマーを重合して得られたもの等を用いることができる。粒子凝集体に樹脂微粒子を被覆してトナーを形成する場合、樹脂微粒子に用いられる樹脂は、架橋されているものが好ましい。
<熟成工程>
乳化重合/凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体(トナー粒子)の安定性を増すためにTg+20℃〜Tg+80℃(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)の範囲で凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加えることが好ましい。また、この熟成工程では上記の温度範囲に1時間以上保持するのが好ましい。熟成工程を加えることにより、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることができ、形状制御も可能になる。この熟成工程は、通常1時間から24時間であり、好ましくは1時間から10時間である。熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電的あるいはその他の物理凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は、互いに融着しており、好ましくはほぼ球形となっている。なお、この様なトナーの製造方法によれば、一次粒子が凝集した状態の葡萄型、融着が半ばまで進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
<洗浄・乾燥工程>
上記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて、洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー粒子を得ることができる。このようにして、体積平均粒径が3〜8μmと比較的小粒径のトナーを製造することができる。しかもこうして得られたトナーは、粒度分布がシャープで、高画質及び高速化を達成するための静電荷像現像用トナーとして適したものである。
本発明に用いられるトナーには、流動性や現像性を制御する為に公知の外添剤を添加してもよい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種無機酸化粒子(必要に応じて疎水化処理する)、ビニル系重合体粒子等が使用できる。外添剤の添加量は、トナー粒子に対して0.05〜5重量部の範囲が好ましい。
本発明に用いられるトナーは、2成分現像剤、マグネタイト含有トナー等の磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤に適用することができる。2成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質または、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いることができる。
キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限はないが10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。これらのキャリアは、トナー1重量部に対して5〜100重量部使用するのが好ましい。
トナーの粒子径を測定する方法としては、市販の粒子径測定装置を用いることができるが、典型的にはベックマン・コールター株式会社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウンター マルチサイザーIIが用いられる。本発明に用いられるトナーは、体積平均粒径(Dv)が3〜8μmである。体積平均粒径は4〜8μmが好ましく、4〜7μmが更に好ましい。体積平均粒径が大きすぎると高解像度の画像形成に適さず、小さすぎると粉体としての取り扱いが困難となる。
トナーの円形度としては、50%円形度が0.9〜1であるものが好ましい。但し、50%円形度とは、典型的にはシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、式:円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長、より求められた値の50%における累積粒度分布値に相当する。50%円形度は0.92〜1であるものが更に好ましく、中でも、感光体上のトナーを除去する装置(クリーニング装置)を備えた画像形成装置に用いる場合には、50%円形度はクリーニング装置による掻き取りが容易となる0.92〜0.96であるものが特に好ましい。また、クリーニング装置を備えていない画像形成装置、例えば、トナーの転写性を高めることによってクリーニング装置を有さない装置を設計する場合には、50%円形度はトナーと感光体との接触点を最小限にできる0.96〜0.995であるものが特に好ましい。なお、画像形成装置がクリーニング装置を有するか否かは、感光体の耐久性その他の条件により適宜選択される。
本発明のトナーの好適な粒度分布を達成するためには、乳化重合/凝集法が選択される。粒度分布がシャープなトナーである方が、着色剤や帯電制御剤等がより均一に分布して帯電性が均一となり、高精細な画像を形成するのに有利である。具体的には、本発明の画像形成方法及び装置においては、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との関係が、1.0≦Dv/Dn≦1.3であるものが好ましく用いられる。Dv/Dnの値としては、1.25以下がより好ましく、1.20以下が更に好ましい。また、Dv/Dnの下限値は1であるが、これは、全ての粒径が等しいことを意味し、製造上困難であるので、1.03以上が好ましく、1.05以上が更に好ましい。
また、トナーは微細な粒子(微粉)が少ないのが好ましい。微細な粒子が少ない場合には、トナーの流動性が向上し、着色剤や荷電制御剤等が均一に分布して帯電性が均一となりやすい。微細な粒子を測定するには、例えば、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000が好適に用いられる。本発明においては、フロー式粒子像分析装置による0.6〜2.12μmの粒子の測定値(個数)が全粒子数の15%以下であるトナーを用いるのが好ましい。これは、微細な粒子が一定量より少ないことを意味しているが、0.6〜2.12μmの粒子の数は10%以下が更に好ましく、5%以下が特に好ましい。また、該微粒子の下限は特になく、全く存在しないのが最も好ましいが、それは製造上困難であり、通常0.5%以上であり、好ましくは1%以上である。
次に本発明で用いられる感光体について説明する。本発明に用いられる感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層を有するものであり、感光層は電荷発生層と電荷輸送層が積層された積層型感光体であるのが好ましい。電荷発生層と電荷輸送層は、通常は、電荷発生層の上に電荷輸送層が積層された構成をとるが、逆の構成でもよい。また、感光層の他に、接着層、ブロッキング層等の中間層や、保護層など、電気特性、機械特性の改良のための層を設けてもよい。導電性支持体としては周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。
導電性支持体としては周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えばアルミニウム、ステンレス、銅等の金属ドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、ブラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。また、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。小型、高速の電子写真装置に用いられる場合には、導電性支持体はドラム状のものが好ましく、その場合のドラム径としては通常10〜40mm、好ましくは13〜35mm、更に好ましくは16〜30mmである。また、小型の装置の場合は特に、13〜25mmが好ましい。カラー電子写真装置の場合であって、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーに対し、それぞれ感光体を用いる場合には、上記の小径ドラムが特に有利である。
導電性支持体と電荷発生層との間には、必要に応じてブロッキング層が設けられるが、ブロッキング層としては、アルマイト層または樹脂による下引き層(中間層ともいう)あるいはこれらを併用したものが用いられる。
導電性支持体上に下引き層を設ける場合には、バインダー樹脂としては、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸、ポリアミド樹脂等の樹脂材料を用いることが出来る。
電荷発生層は、少なくともバインダー樹脂及び電荷発生剤を含んでいる。電荷発生剤としては、公知のものが用いられるが、小型、高速、高感度の装置に適用するには、オキシチタニウムフタロシアニンが好ましく用いられる。電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。オキシチタニウムフタロシアニンとバインダーポリマーとの割合は、特に制限はないが、一般には、オキシチタニウムフタロシアニン100重量部に対し、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部のバインダーポリマーを使用する。
電荷発生層の膜厚は、0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。電荷発生層から電荷キャリアーが注入される電荷輸送層は、キャリアーの注入効率と移動効率の高い電荷輸送剤を含有する。
次に、本発明に用いられる感光体は最外層に特定の構造を有するポリシロキサン化合物を含有する。感光層上に保護層がある感光体では最外層が保護層となり、また、感光層に保護層を有さない感光体では最外層が感光層となる。更に、感光層が最外層の場合であって、感光層が電荷発生層と電荷輸送層との積層型であるときは、通常電荷輸送層が最外層となる。以下に、本発明の好ましい実施態様として、感光層上に保護層がなく、感光層が電荷発生層と電荷輸送層との積層型である場合を例に、ポリシロキサン化合物を含有する電荷輸送層を例にとって説明する。
電荷輸送層は、少なくともバインダー、下記一般式(1a)で表される構造単位及び一般式(1b)で表される構造単位を共に分子内に有するポリシロキサン化合物、及び電荷輸送剤を含んでおり、これに、必要に応じ、酸化防止剤、増感剤、可塑剤、流動性付与剤、架橋剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
(一般式(1a)及び(1b)中、R1及びR3は各々独立して置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R2は炭素数3以上の、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、R4は炭素数1〜3の2価の炭化水素基を表し、R5は炭素数3以上の、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。)
R1及びR3は各々独立して置換基を有していてもよい炭化水素基を表すが、炭化水素基としてはアルキル基が好ましく、炭素数1〜30のアルキル基が更に好ましい。炭素数が30を超えると、バインダーとの相溶性が低下する傾向にある。
R2は炭素数3以上の、置換基を有していてもよい炭化水素基を表すが、炭化水素基としては炭素数5〜30のアルキル基が好ましく、炭素数8〜20のアルキル基が更に好ましい。炭素数が上記範囲より大きいと、バインダーとの相溶性が低下する傾向にあり、上記範囲より小さいと、最外層の摩擦低減の効果が不十分となる傾向にある。
また、R4は炭素数1〜3の2価の炭化水素基を表すが、炭素数1〜3の2価のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、プロパン−1,3−ジイル基である。なかでも、メチレン基、エチレン基が更に好ましい。
また、R5は、炭素数3以上の、置換基を有していてもよい炭化水素基を表すが、炭化水素基としては、炭素数3〜8のアルキル基が好ましく、中でも、イソプロピルユニットまたはターシャリーブチルユニットを有するアルキル基が好ましい。ここで、イソプロピルユニットとは、アルキル基の一部または全部がイソプロピル[(CH3)2CH]原子団であることを意味する。具体的には例えば、イソプロピル基、イソブチル基、3−メチルブチル基、3−メチル−2−ブチル基等がイソプロピルユニットを有する炭素数3〜8のアルキル基に該当する。
また、同様に、ターシャリーブチルユニットとは、アルキル基の一部または全部がターシャリーブチル[(CH3)3C]原子団であることを意味する。具体的には例えば、ターシャリーブチル基、ジメチルプロピル基、3,3−ジメチル−2−ブチル基等がターシャリーブチルユニットを有する炭素数3〜8のアルキル基に該当する。これらの中でも、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基が特に好ましい。
R1、R2、R3及びR5で表される炭化水素基の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基が挙げられる。但し、無置換のものが好ましい。
特に、R5において、イソプロピルユニット[(CH3)2CH]、またはターシャリーブチルユニット[(CH3)3C]を有する場合、バインダーとの親和性、特にバインダー樹脂分子内のベンゼン環との親和性を考慮すると、少なくとも該イソプロピルユニット[(CH3)2CH]、またはターシャリーブチルユニット[(CH3)3C]は無置換であるのが好ましい。また、R2とR5の炭素数の和は、バインダーとの相溶性と摩擦低減効果の両立を考慮すると、6〜25が好ましく、8〜20が更に好ましく、10〜18が特に好ましい。
本発明に用いられるポリシロキサン化合物において、一般式(1a)及び(1b)で表される構造単位以外の構造単位(以下、他の構造単位という)を含んでいてもよいが、摩擦低減効果を確保する観点から、一般式(1a)で表される構造単位の割合は全構造単位中、好ましくは1個数%以上であり、更に好ましくは3〜90個数%であり、特に好ましくは10〜70個数%である。
また、バインダー樹脂との親和性を確保する観点から、一般式(1b)で表される構造単位の割合は全構造単位中、好ましくは1個数%以上であり、更に好ましくは3〜90個数%であり、特に好ましくは10〜70個数%である。また、構造単位(1a)と構造単位(1b)との比(個数比)は、好ましくは1:9〜9:1であり、1:4〜3:2が更に好ましく、1:3〜1:1が特に好ましい。
また、ポリシロキサン化合物中の炭素原子数(NC)とケイ素原子数(NSi)との比(NC/NSi)は、ポリシロキサン化合物全体として好ましくは4〜20であり、更に好ましくは6〜15である。また、酸素原子数(NO)とケイ素原子数(NSi)の比(NO/NSi)は、好ましくは1.1〜2であり、更に好ましくは1.2〜1.8である。本発明に用いられるポリシロキサン化合物において、他の構造単位を含む場合、他の構造単位としては、ジアルキルシリルオキシ構造単位が好ましく、ジメチルシリルオキシ構造単位が更に好ましい。
また、ポリシロキサン化合物の末端は、好ましくはトリアルキルシリル基であり、更に好ましくはトリメチルシリル基である。ポリシロキサン化合物の含有量は、最外層の全固形分中、0.005〜10重量%が好ましく、0.01〜1%が更に好ましい。
上記含有量が上記範囲よりも著しく大きい場合には、層としての必要な硬度が確保されにくくなり、また著しく小さい場合には、摩擦低減効果が十分でなくなる傾向にある。また、これらポリシロキサン化合物は、バインダー樹脂中に分散した状態でも相溶した状態でも用いることができるが、少なくとも一部が相溶した状態で用いることが好ましく、その場合はポリシロキサン化合物との相溶性の高いバインダー樹脂が選択される。ポリシロキサン化合物の分子量は、通常100〜70000、好ましくは5000〜30000、更に好ましくは10000〜20000である。上記範囲より著しく分子量が小さい場合には、ポリシロキサン化合物のレベリング剤としての効果が低下する傾向にあり、上記範囲より著しく分子量が大きい場合には、バインダー樹脂との相溶性が低下する傾向にある。
電荷輸送剤としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリスチリルアントラセンのような複素環化合物や縮合多環芳香族化合物を側鎖に有する高分子化合物、低分子化合物としては、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、カルバゾール等の複素環化合物、トリフェニルメタンのようなトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミンのようなトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン化合物などが挙げられ、特に、置換アミノ基やアルコキシ基のような電気供与性基、あるいはこれらの置換基を有する芳香族環基が置換した電子供与性の大きい化合物が挙げられる。これらの内、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
(一般式(2)中、Ar1は置換されていてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環、または置換基を有していてもよいビフェニル環を表し、Ar2〜Ar5は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族環を表す。)
一般式(2)中、Ar1は置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環、または置換基を有していてもよいビフェニル環を表すが、これらのうち、置換基を有していてもよいビフェニル環が好ましい。また、置換基としては、ハロゲン原子、炭素数4以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、炭素数3以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基が好ましく、中でもメチル基、フッ素原子、塩素原子が更に好ましい。但し、芳香族環として無置換のものが最も好ましい。
Ar2〜Ar5は各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族環を表すが、芳香族環としては、芳香族炭化水素環または芳香族複素環のいずれでもよく、具体的にはベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ピリジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環等が挙げられる。これらの内、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環が好ましい。また、これら芳香族環上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数4以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、炭素数3以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、または下記一般式(3)で表される置換基が好ましい。
(一般式(3)中、 Ar6はハロゲン原子またはアルキル基で置換基されていてもよいフェニル基を表す。R11、R12は各々独立して、水素原子またはメチル基を表す。nは1、2又は3を表す。)また、分子内に式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)で表される原子団を有する化合物も好ましく用いられる。
電荷輸送層に用いられるバインダーとしては、上記電荷輸送材料と相溶性が良く、塗膜形成後に電荷輸送材料が結晶化したり、相分離したりすることのないポリマーが好ましい。それらの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの内、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。ポリアリレートとしては、下記一般式(9)で表される構造単位を含むものが好ましい。
(一般式(9)中、Ar11及びAr12は各々独立して置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、Xは置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環、又は置換基を有していてもよいビフェニル環を表す。R21及びR22は各々独立して置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアシロキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホキシ基を表し、R21及びR22は互いに連結して環状構造を形成していてもよい。)
一般式(9)中、Ar11及びAr12は各々独立して置換基を有していてもよいベンゼン環を表すが、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、アルキルチオ基が好ましく、これらの内、メチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、アリル基が更に好ましい。また、該ベンゼン環は無置換であるものも好ましい。また、Xの置換基として好ましいものは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、アルキルチオ基であり、これらの内、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基が更に好ましい。また、Xは無置換であるものも好ましい。R21及びR22は各々独立して置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアシロキシ基、置換基を有していてもよいアリールスルホキシ基を表し、R21及びR22は互いに連結して環状構造を形成していてもよいが、R21及びR22の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜8が更に好ましい。また、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、アルキルチオ基が好ましく、無置換のものも好ましい。
バインダー樹脂の使用量は、通常、電荷輸送剤100重量部に対し50〜1000重量部、好ましくは100〜500重量部の範囲である。電荷輸送層にはこの他に、塗膜の機械的強度や、耐久性向上のための種々の添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、周知の可塑剤や、種々の安定剤、流動性付与剤、架橋剤等が挙げられる。電荷輸送層の膜厚は、通常10〜60μmであり、好ましくは10〜45μm、更に好ましくは27〜40μmである。
次に、感光体に潜像を形成するために露光を行う露光装置としては、デジタル露光を行う装置が用いられるが、電荷発生剤としてオキシチタニウムフタロシアニンを用いる場合には、その吸光度を考慮すると、600〜850nmのレーザー光を発する露光装置が好ましい。更に具体的には、635nm付近、650nm付近、780nm付近のレーザー光を発する露光装置が好ましい。
本発明の画像形成方法が上記の効果を発揮する理由は必ずしも明確ではないが、次のように推定している。即ち本発明に用いられる特定のポリシロキサン化合物は、感光体の最外層、好ましくは電荷輸送層に比較的一様に分布させることができるので、感光体の最外層の、樹脂に対する接着性が低くなる。そして、感光体との接点を少なくすることの出来る湿式重合法で製造されたトナーであれば、粒径3〜8μmの比較的小粒径のトナーであっても、転写性が良好となる。従って、このような感光体とトナーとの組合せが高精細画像の形成に有利なものとなるのである。
更に、ワックス含有量が5〜40%と多いトナーを用いた場合であっても、感光体上のワックスによるフィルミングを押さえることができるので、定着性、耐オフセット性等の性能を満足することが出来る。
次に、実施例により本発明の態様を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。また、平均粒径、重量平均分子量及び50%円形度は、それぞれ下記の方法により測定した。
体積平均粒径、個数平均粒径:日機装社製マイクロトラックUPA(ultra particle analyzer)、コールター社製コールターカウンターマルチサイザーII型(以下、コールターカウンターと略す)により測定した。
重量平均分子量(Mw):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8020、カラム:Polymer Laboratory 社製 PL-gel Mixed-B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1wt%、検量線:標準ポリスチレン)
0.6〜2.12μmの粒子数:シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA-2000により測定した。
50%円形度:シスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、下記式より求められた値の50%における累積粒度分布値に相当する円形度を用いた。
[数1]
円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長
[現像用トナーの製造−1(T1)]
(ワックス分散液−1の調製)
脱塩水68.33部、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル(ユニスターH−476、日本油脂製)30部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオゲンSC、第一工業製薬製、有効成分66%)1.67部を混合し、90℃にて高圧剪断をかけて乳化し、エステルワックス微粒子の分散液を得た。
(重合体一次粒子分散液−1の調製)
攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液−1 30部、15%ネオゲンSC水溶液1.2部、脱塩水393部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液1.6部及び8%アスコルビン酸水溶液1.6部を添加した。その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
[表1]
[モノマー類]スチレン 79部
アクリル酸ブチル 21部
アクリル酸 3部
ブロモトリクロロメタン0.45部
2-メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.9部
[乳化剤水溶液]
15%ネオゲンSC水溶液 1部
脱塩水 25部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9部
8%アスコルビン酸水溶液 9部
重合反応終了後、冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は193,000、UPAで測定した平均粒子径は163nmであった。
(樹脂微粒子分散液−1の調製)
攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に15%ネオゲンSC水溶液5部、脱塩水376部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温して、8%過酸化水素水溶液1.6部、及び8%アスコルビン酸水溶液1.6部を添加した。その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から6時間かけて添加し、さらに30分保持した。
[表2]
[モノマー類]
スチレン 88部
アクリル酸ブチル 12部
アクリル酸 3部
ブロモトリクロロメタン 0.5部
2−メルカプトエタノール 0.01部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.4部
[乳化剤水溶液]
15%ネオゲンSC水溶液 2.5部
脱塩水 23部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9部
8%アスコルビン酸水溶液 9部
重合反応終了後、冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。重合体のTHF可溶分の重量平均分子量は87,000、UPAで測定した平均粒子径は123nmであった。
(着色剤微粒子分散液−1の調製)
ピグメントブルー15:3の水分散液(EP−700 Blue GA、大日精化製、 固形分35%) UPAで測定した平均粒径は150nmであった。
(現像用トナーの製造−1)
[表3]
重合体一次粒子分散液−1 95部(固形分として)
樹脂微粒子分散液−1 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液−1 6.7部(固形分として)
15%ネオゲンSC水溶液 1.5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。反応器に重合体一次粒子分散液と15%ネオゲンSC水溶液を仕込み、均一に混合してから着色剤微粒子分散液−1を添加し、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を滴下した(固形分として0.6部)。その後攪拌しながら1時間25分かけて60℃に昇温して1時間保持し、さらに1時間30分かけて66℃に昇温して30分保持した。樹脂微粒子分散液、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.07部)の順に添加して1時間保持し、30分かけて68℃に昇温した。15%ネオゲンSC水溶液(固形分として3.5部)を添加してから1時間42分かけて93℃に昇温して3時間保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナーを得た。
このトナー100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカを2部混合攪拌し、現像用トナー(T1)を得た。
(トナーの評価−1)
現像用トナー(T1)のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.4μm、Dv/Dn=1.19であり、50%円形度は0.95であった。
[現像用トナーの製造−2(T2)]
[表4]
重合体一次粒子分散液−1 95部(固形分として)
樹脂微粒子分散液−1 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液−1 6.7部(固形分として)
15%ネオゲンSC水溶液 1.5部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。反応器に重合体一次粒子分散液と15%ネオゲンSC水溶液を仕込み、均一に混合してから着色剤微粒子分散液−1を添加し、均一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を滴下した(固形分として0.6部)。その後攪拌しながら35分かけて60℃に昇温して1時間保持し、さらに1時間14分かけて67℃に昇温して15分保持した。次いで、樹脂微粒子分散液−1、硫酸アルミニウム水溶液(固形分として0.07部)の順に添加して30分保持し、30分かけて69℃に昇温した。15%ネオゲンSC水溶液(固形分として3.5部)を添加してから24分かけて98℃に昇温して2時間保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナーを得た。このトナー100部に対し、疎水性の表面処理をしたシリカを2部混合攪拌し、現像用トナー(T2)を得た。
(トナーの評価−2)
現像用トナー(T2)のコールターカウンターによる体積平均粒径は7.8μm、Dv/Dn=1.18であり、50%円形度は0.95であった。
[感光体の製造−1]
(電荷発生層の作製)
β型オキシチタニウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。この分散液を、表面がアルマイト仕上げされた外径30mm、長さ254mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製シリンダー上に浸漬塗布し、乾燥後の重量が0.4g/m2(約0.4μm)となるように電荷発生層を形成させた。
(電荷輸送層の作製)
次にこの電荷発生層上に、以下に示す電荷輸送剤(A)60部、酸化防止剤としてフェノール系化合物(B)8部、シアノ系化合物(C)0.15部、アルキル/アルコキシ変性ポリシロキサン(D)0.3部と、ポリアリレート樹脂(E)100部をテトラヒドロフラン、トルエンの混合溶媒に溶解させた液を浸漬塗布し、室温で風乾し、乾燥膜厚が約17.5μmとなるように電荷輸送層を設けた。このようにして得られた電子写真感光体をA1とする。
[感光体の製造−2:比較感光体]
感光体の製造−1において、アルキル/アルコキシ変性ポリシロキサン(化合物D)に代えて、ジメチルポリシリコーン(信越シリコーン株式会社製、商品名KF96)0.3部を用いたこと以外は感光体の製造−1と同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体をB1とする。
[感光体の製造−3:比較感光体]
感光体の製造−1において、アルキル/アルコキシ変性ポリシロキサン(化合物D)を配合しなかったこと以外は感光体の製造−1と同様にして感光体を作製した。この電子写真感光体をB2とする。
[実施例1]
電子写真感光体A1及びトナーT2をレーザープリンター(LP-1900;エプソン社製)に装着し、画像出しを行った。測定画像は白ベタから黒ベタまでを13段階に分割したうちの濃度13(黒ベタ)、6(ハーフトーン1)、3(ハーフトーン2)の画像濃度で帯画像をプリントして行った。画像濃度の測定は、画像の定着プロセスの前にプリンターを止め、画像定着前の紙上に乗っているトナーの濃度(X1)と紙に転写した画像に対応する電子写真感光体上に残っているトナーの濃度(X2)をマクベス濃度計を用いて測定した。こうして得られた濃度(X1、X2)を下の式に従って算出し転写率とした。濃度測定の際、バックグラウンドの濃度を予め測定しておき、それぞれの値(X1、X2)からバックグラウンドの値を引いた数値を(X1'、X2')とした。
[数2]
転写率(%) = [X1'/(X1'+X2')] ×100
結果を第1表に示す。
[比較例1]
実施例1において、感光体をA1に代えてB1としたこと以外は、同様に画像出しを行い、転写率を測定した。結果を第1表に示す。
[比較例2]
実施例1において、感光体をA1に代えてB2としたこと以外は、同様に画像出しを行い、転写率を測定した。結果を第1表に示す。
[実施例2]
感光体A1及びトナーT1を用いて、黒ベタ(濃度13)での画像出しを実施例1と同様に行い、転写率を算出した。転写率は93%であった。
[比較例3]
感光体A1及びLP−1900純正の混練/粉砕法によるトナーを用いて、黒ベタ(濃度13)での画像出しを実施例1と同様に行い、転写率を算出した。転写率は90%であった。
[比較例4]
感光体B2及びLP−1900純正の混練/粉砕法によるトナーを用いて、黒ベタ(濃度13)での画像出しを実施例1と同様に行い、転写率を算出した。転写率は88%であった。
実施例1、比較例1、2より、乳化重合/凝集法により製造されたトナーの転写率は、最外層に特定のポリシロキサンを配合した感光体を用いたものの方が高く、良好となる。また、実施例1、2、比較例3、4より、感光体が同じ場合には、混練/粉砕法によるトナーよりも乳化重合/凝集法により製造したトナーの方が転写率が高く、良好となる。また、実施例1と比較例2、比較例3と比較例4のそれぞれを比較することにより、乳化重合/凝集法により製造したトナーを用いた場合の方が、特定のポリシロキサン化合物を配合した最外層を有する感光体を用いた場合の転写率と、ポリシロキサン化合物を配合しない最外層を有する感光体を用いた場合の転写率との差が大きいことがわかる。即ち、ポリシロキサン化合物を配合した最外層を有する感光体と、乳化重合/凝集法により製造したトナーとを組み合わせることにより格別の効果を発揮することが示されている。