図1は、本発明の実施の一形態であるロボットシステム1の一部を示すブロック図である。また図2は、ロボットシステム1の全体を示すブロック図である。ロボットシステム1は、複数のロボットアーム2a〜2f(以下アームと称する)と、各アーム2a〜2fを制御する1つのロボットコントローラ6(以下コントローラと称する)とを含んで構成される。
各アーム2a〜2fは、相対的に変位可能な複数の関節部と、関節部を変位駆動するサーボモータ(以下モータと称する)とを有する。モータは、関節部の数に応じて設けられ、エンコーダを内蔵する。各モータが対応する関節部を変位駆動することによって、アームの先端部を予め定める位置に移動させることができる。エンコーダは、関節部の変位位置を示すエンコーダ信号を出力する。
各アーム2a〜2fの先端部には、エンドエフェクタと呼ばれる手先装置がそれぞれ設けられる。たとえば手先装置が塗装装置である場合、ロボットシステム1は、各アーム2a〜2fによって目的とする塗装位置に塗装装置を移動させ、塗装装置によって塗装位置に塗料を噴出させることができる。
本実施の形態では、同一構造のアーム2a〜2fが6つ設けられ、各アーム2a〜2fは、7自由度を有する。各アーム2a〜2fは、コントローラ6によって同時にかつ個別にそれぞれ動作可能である。
コントローラ6は、アーム2a〜2fの数に応じて設けられる複数のサーボアンプ3a〜3f(以下アンプと称する)と、手先制御部4と、コントロールユニット5と、報知手段7とを備える。手先制御部4は、アーム毎に設けられる手先装置をそれぞれ制御するために設けられる。またコントロールユニット5は、各アンプ3および手先制御部4を統括的に制御する。報知手段7は、ディスプレイまたはブザーなどによって実現され、コントロールユニット5から与えられる情報に基づいて、ロボットシステム1の状態を報知する。
コントロールユニット5は、記憶手段30と、主制御手段31とを含んで構成される。記憶手段30は、予め教示される各アーム2a〜2fの動作を示す教示情報を記憶するとともに、主制御手段31が実行する演算プログラムを記憶する。主制御手段31は、記憶手段30に記憶される演算プログラムを実行する。主制御手段31は、CPU(Central
Processing Unit)を含むコンピュータによって実現される。また演算プログラムは、コントロールユニット読取り可能な記憶媒体または通信回線を介して主制御手段31に与えられてもよい。
主制御手段31は、予め教示される教示情報に基づいて、アーム毎の動作を示す動作情報を随時演算する。動作情報は、各アーム2の変形に関する変形動作情報と、各手先装置に関する手先動作情報とを含む。そして主制御手段31は、変形動作情報を示す信号を各アンプ3にそれぞれ与える。また主制御手段31は、手先動作情報を示す信号を手先制御部4に随時与える。なお、コントロールユニット5と各アンプ3とは、第1内部ケーブル9によってそれぞれ相互通信可能に接続される。またコントロールユニット5と手先制御部4とは、第2内部ケーブル8によって相互通信可能に接続される。
各アンプ3は、上述したようにアーム毎に個別に設けられる。各アンプ3は、ケーブル10,11を介して対応するアーム2に接続される。各アンプ3は、対応するアーム2に備えられる1または複数のモータに電力を与える。また各アンプ3は、対応するアームと相互通信可能に接続される。たとえば各アンプ3は、対応するアーム2からケーブル11を介して、エンコーダ信号がそれぞれ与えられる。
各アーム2と各アンプ3とを接続するケーブル10,11は、動力ケーブル10と信号ケーブル11とを含む。動力ケーブル10は、アンプ3からアーム2に向けて、モータ駆動用の電力を伝達する。信号ケーブル11は、アーム2とアンプ3との通信に関する信号、たとえばエンコーダ信号を伝達する。なお各動力ケーブル10および各信号ケーブル11は、それぞれ独立する複数の配線によって構成される。
動力ケーブル10および信号ケーブル11は、アーム2の数に応じて複数設けられる。各動力ケーブル10および各信号ケーブル11は、アーム2と、そのアーム2に対応するアンプ3とをそれぞれ独立して接続する。すなわち動力ケーブル10と信号ケーブル11とは、アーム毎に独立して設けられる。
したがってコントローラ6にアームが6つ接続される場合、6つの動力ケーブル10と、6つの信号ケーブル11とが設けられる。したがって1つの信号ケーブル11によって、第1アーム2aおよび第1アンプ3aのみが接続される。同様に1つの動力ケーブル10によって、第1アーム2aおよび第1アンプ3aのみが接続される。なお、各動力ケーブル10は、同一形状にそれぞれ形成される。同様に各信号ケーブル11は、同一形状にそれぞれ形成される。
各アーム2には、動力ケーブル10の一端部が接続されるアーム側動力用接続体14a〜14fと、信号ケーブル11の一端部が接続されるアーム側信号用接続体15a〜15fとがそれぞれ設けられる。同様に、各アンプ3には、動力ケーブル10の他端部が接続されるアンプ側動力用接続体12a〜12fと、信号ケーブル11の他端部が接続されるアンプ側信号用接続体13a〜13fとがそれぞれ設けられる。
上述した各接続体12〜15は、各ケーブルが着脱可能なコネクタによって実現される。したがって各アンプ3には、動力ケーブル10が接続されるコネクタ12と、信号ケーブル11が接続されるコネクタ13とがそれぞれ設けられる。同様に各アーム2には、動力ケーブル10が接続されるコネクタ14と、信号ケーブル11が接続されるコネクタ15とがそれぞれ設けられる。
手先制御部4は、手先用ケーブル16によって各アーム2にそれぞれ接続される。手先制御部4は、手先用ケーブル16を介して、各アーム2に設けられる手先装置を駆動する動力を与える。また手先制御部4は、手先用ケーブル16を介して各アーム2と相互通信可能に接続される。
たとえば手先装置が空気圧シリンダを有するロボットハンドである場合には、手先制御部4は、手先用ケーブル16を介してロボットハンドに圧縮空気を供給する。また手先制御部4は、手先用ケーブル16を介して空気圧シリンダの開閉指令信号を与える。なお手先用ケーブル16は、それぞれ独立する複数の配線によって構成される。
手先用ケーブル16は、各アーム2の数に応じて複数設けられる。各手先用ケーブル16は、アーム2と、手先制御部4とをそれぞれ独立して接続する。したがってアームが6つ設けられる場合、6つの手先用ケーブル16が設けられる。各手先用ケーブル16は、同一形状にそれぞれ形成される。なお、各手先用ケーブル16は、上述した動力ケーブル10と信号ケーブル11とは、別途設けられる。
各アーム2には、手先用ケーブル16が接続されるアーム側手先用接続体17a〜17fがそれぞれ設けられる。また手先制御部4には、各手先用ケーブル16がそれぞれ接続されるコントローラ側手先用接続体18a〜18fが設けられる。コントローラ側手先用接続体18a〜18fは、各アンプ3に対応付けされて設けられる。したがって手先制御部4には、各手先用ケーブル16がそれぞれ接続される複数のコネクタ18が設けられる。また各アーム2には、手先用ケーブル16が接続されるコネクタ17がそれぞれ設けられる。なお、上述したコネクタ17,18は、手先用ケーブルが着脱可能に形成される。
このように本実施の形態では、第1接続体は各アーム2a〜2fであり、第2接続体はアンプ3a〜3fと各アンプ3に対応する手先制御部4のコントローラ側手先用接続体18a〜18fである。そして第1接続体と第2接続体とが、動力ケーブル10、信号ケーブル11および手先用ケーブル16によってそれぞれ個別に接続される。
第1アーム2aを動作させる場合、主制御手段31は、教示情報に基づいて、第1アーム2aの変形動作情報および手先動作情報を演算する。主制御手段31は、第1内部ケーブル9を介して、第1アーム2aの変形動作情報を示す信号を第1アンプ3aにだけ与える。また主制御手段31は、第2内部ケーブル8を介して、第1アーム2aの手先動作情報を示す信号を手先制御部4に与える。
第1アンプ3aは、主制御手段31から与えられる変形動作情報に基づいて、接続される第1アーム2aに属する各モータに供給する電力をそれぞれ生成する。そして第1アンプ3aは、接続される動力ケーブル10を介して、生成した各電力を第1アーム2aに属する各モータにそれぞれ供給する。また第1アーム2aと第1アンプ3aとは、信号ケーブル11を介して、変形動作に関する通信信号を相互に送受信する。また第1アンプ3aは、第1内部ケーブル9を介して第1アーム2aから与えられる通信信号を主制御手段31に与える。
手先制御部4は、主制御手段31から与えられる第1アーム2aの手先動作情報に基づいて、第1アーム2aの手先装置に供給する動力および制御信号を生成する。そして手先制御部4は、接続される手先用ケーブル16を介して、生成した動力および制御信号を第1アーム2aに設けられる手先装置に与える。また第1アーム2aと手先制御部4とは、その手先用ケーブル16を介して、通信信号を相互に送受信する。手先制御部4は、第2内部ケーブル8を介して第1アーム2aから与えられる通信信号を主制御手段31に与える。
なお、第1アーム2aとの動作について上述したが、他の各アーム2b〜2fについても同様の動作がそれぞれ行われる。このように各アーム2は、アーム変形用の動力および手先装置駆動用の動力および制御信号が個別に与えられることによって、それぞれ独立して動作可能である。また主制御手段31によって統括的に制御されることによって、各アームは、連係して動作可能である。
各アーム2および各アンプ3の構成は同様であるので、以後の説明において、各アームのうちの一部と、そのアームに対応するアンプ3とについて説明し、残余のアーム2と、残余のアームに対応するアンプ3の説明を省略する場合がある。
本発明のロボットシステム1は、上述した各ケーブル10,11,16の誤接続を検出する誤接続検出システムを備える。誤接続検出システムは、1つのアンプ3に接続される動力ケーブル10と信号ケーブル11とが、同じアームに相互に接続されているか否かを検出することができる。
また誤接続検出システムは、1つのアンプ3に接続される動力ケーブル10と、そのアンプ3に対応づけられるコントローラ側手先用接続体18に接続される手先用ケーブル16とが、同じアームに相互に接続されているか否かを検出することができる。このように誤接続検出システム1は、各ケーブル10,11の相互接続状態を検出することができる。
図3は、第1アーム2aとコントローラ6との相互接続状態検出に係る構成の一部を示すブロック図である。図4は、相互接続状態検出に係るロボットシステム1全体の構成を示すブロック図である。動力ケーブル10には、動力供給用の配線の他に、相互接続状態検出用の第1伝達用信号線20が備えられる。また信号ケーブル11には、通信信号供給用の配線の他に、相互接続状態検出用の第2伝達用信号線21が備えられる。
手先用ケーブル16には、手先装置の動力および制御信号供給用の配線の他に、相互接続状態検出用の第3伝達用信号線22が備えられる。またロボットコントローラ6には、各アンプ3とそれにそれぞれ対応する各コントローラ側手先用接続体18a〜18fとを個別に接続する複数の第4伝達用信号線27がそれぞれ設けられる。
第4伝達用信号線27は、手先制御部4、第2内部ケーブル8、コントロールユニット5、第1内部ケーブル9の内部を順に通過して延びる。言換えると第4伝達用信号線27は、手先制御部4に設けられる手先制御部部分27aと、第2内部ケーブル8に設けられる第2内部ケーブル部分27bと、コントロールユニット5に設けられるコントロールユニット部分27cと、第1内部ケーブル9に設けられる第1内部ケーブル部分27dとを含む。
手先制御部部分27aは、各コントローラ側手先用接続体18a〜18fに接続され、第2内部ケーブル8に向かって延びる。第2内部ケーブル部分27bは、手先制御部部分27aに接続され、コントロールユニット5に向かって延びる。コントロールユニット部分27cは、第2内部ケーブル部分27bに接続され、第1内部ケーブル9に向かって延びる。第1内部ケーブル部分27dは、第2内部ケーブル部分27bに接続され、対応するアンプ3に向かって延びる。
各アーム2には、各ケーブル10,11,16が接続された場合に、動力ケーブル10の第1伝達用信号線20と、信号ケーブル11の第2伝達用信号線21と、手先用ケーブル16の第3相互接続線22とを電気的に接続する接続部23がそれぞれ形成される。
各アンプ3は、信号発生手段24と、信号取得手段25と、副制御手段26とをそれぞれ備える。信号発生手段24は、伝達信号発生手段であって、予め定める伝達信号を発生する。また信号発生手段24は、発生した伝達信号をアンプ3に接続される動力ケーブル10の第1伝達用信号線20に与える。たとえば信号発生手段24は、電源回路とリレースイッチとによって実現され、伝達信号は、信号線に与えられる電圧の変化で示される。
信号取得手段25は、伝達信号取得手段であって、アンプ3に接続される信号ケーブル11の第2伝達用信号線21から伝達信号が与えられると、第1受信信号を副制御手段26に与える。また信号取得手段25は、アンプ3に接続される第1内部ケーブル9の第4伝達用信号線27から伝達信号が与えられると、第2受信信号を副制御手段26に与える。たとえば信号取得手段25は、トランジスタを含んで与えられる電圧の変化を検出する電圧変化検出回路によって実現される。
副制御手段26は、伝達信号の発生を指令する発生指令信号を信号発生手段24に与えるとともに、信号取得手段25から第1受信信号および第2受信信号が与えられる。副制御手段26は、発生指令信号の送信時刻と、第1受信信号の受信時刻とに基づいて、動力ケーブル10と信号ケーブル11との相互接続状態を判断する。また副制御手段26は、発生指令信号の送信時刻と、第2受信信号の受信時刻とに基づいて、動力ケーブル10と手先ケーブル16との相互接続状態を判断する。このように副制御手段26は、各ケーブル10,11,16の相互接続状態を検出する相互接続検出手段となる。
第1伝達用信号線20は、信号発生手段24から伝達信号が入力されると、その伝達信号をアーム2の接続部23に与える。接続部23は、第1伝達用信号線20から伝達される伝達信号を、第2伝達用信号線21に与える。これによって第2伝達用信号線21は、その伝達信号を信号取得手段25に出力する。
また接続部23は、第1伝達用信号線20から与えられる伝達信号を、第3伝達用信号線22にも与える。これによって第3伝達用信号線22は、コントローラ側手先用接続部18を介して第4伝達用信号線27に伝達信号を与える。第4伝達用信号線27は、与えられる伝達信号を対応する信号取得手段25に出力する。
1つのアンプ3に接続される動力ケーブル10と信号ケーブル11とが同じアーム2に接続される場合、信号取得手段25は、第2伝達用信号線21から出力される伝達信号を取得し、第1受信信号を副制御手段26に与える。
また1つのアンプ3に接続される動力ケーブル10と、そのアンプ3に対応するコントローラ側接続体18に接続される手先用ケーブル16とが同じアーム2に接続される場合、信号取得手段25は、第4伝達用信号線27から出力される伝達信号を取得し、第2受信信号を副制御手段26に与える。
副制御手段26は、信号発生手段24に伝達信号の発生命令を与えたときに、信号取得手段25から与えられる第1受信信号に基づいて、動力ケーブル10と信号ケーブル11との相互接続状態を検出する。また副制御手段26は、第2受信信号に基づいて、動力ケーブル10と手先用ケーブル16との相互接続状態を検出する。すなわち副制御手段26は、相互誤接続状態検出手段となる。
図5は、動力ケーブル10と信号ケーブル11とが正常に相互接続される場合における第1および第2伝達用信号線20,21を示すブロック図である。また図6は、図5に示す接続状態における信号発生手段24と信号取得手段25との信号送受信状態を示すタイムチャートであり、縦軸は電圧の変化を示す。
正常に相互接続された状態は、1つのアンプ3に接続される動力ケーブル10と、信号ケーブル11と、その1つのアンプ3に対応するコントローラ側接続体18に接続される手先用ケーブル16とが同じアーム2に接続される状態である。なお、理解を容易にするために、手先用ケーブル16の相互接続について省略する。
図5に示す正常な相互接続状態では、第1伝達用信号線20と第2相互接続配線21とが接続部23によって接続される。この場合、1つのアンプ3に属する信号発生手段24とその信号受信手段25とが電気的に接続される。これによって1つのアンプ3に属する信号発生手段24が伝達信号を発生すると、そのアンプに属する信号取得手段25は、伝達信号を取得する。
具体的には、第1アンプ3aに属する第1信号発生手段24が伝達信号を発生すると、第1アンプ3aに属する第1信号取得手段25が伝達信号を取得する。同様に、第2アンプ3bに属する第2信号発生手段24が伝達信号を発生すると、第2アンプ3bに属する第2信号取得手段25が伝達信号を取得する。
この場合、各副制御手段26は、発生指令信号を信号発生手段24に与えると、第2伝達用信号線21から伝達信号を取得したことを示す第1受信信号が信号取得手段25から与えられる。これによって各副制御手段26は、副制御手段26の属するアンプ3に接続される動力ケーブル10と信号ケーブル11とが、同じアーム2に接続していることを判断し、正常な相互接続状態であることを検出する。
具体的には、副制御手段26となる電気回路が、信号取得手段24となるリレースイッチのオンオフを切換えることによって、信号取得手段25に与えられる電圧が変化する。信号取得手段25は、予め定めるしきい値と与えられる電圧とを比較することによって、伝達信号が与えられているか否かを判断し、伝達信号が与えられた場合には、副制御手段26に第1受信信号を与える。
図6に示すように、アンプ毎に設けられる各副制御手段26は、伝達信号の発生指令信号を予め定める時間間隔D1あけて順番に与える。
正常接続される場合、アンプ3が伝達信号を取得する取得時刻T2は、アンプ2から伝達信号を与えた供給時刻T1に対して予め定める到着時間D3を経過した後である。したがって第1アンプ3aに接続される動力ケーブル10と、第1アンプ3aに接続される信号ケーブル11とが、第1アーム2aに相互誤接続される場合、供給時刻T1に第1アンプ3aが伝達信号を発信すると、その供給時刻T1から予め定める時間D2を経過した取得時刻T2に、第1アンプ3aが伝達信号を取得する。
図7は、動力ケーブル10と信号ケーブル11とが相互誤接続される場合における第1および第2伝達用信号線20,21を示すブロック図である。また図8は、図7に示す相互誤接続された状態における信号発生手段24と信号取得手段25との信号送受信状態を示すタイムチャートであり、縦軸は電圧の変化を示す。
相互誤接続された状態は、1つのアンプに接続される動力ケーブル10と、信号ケーブル11と、その1つのアンプに対応するコントローラ側接続体18に接続される手先用ケーブル16とが、異なるアーム2に接続される状態である。なお、理解を容易にするために、手先用ケーブル16の相互接続について省略する。図7に示す相互誤接続状態では、第2アンプ3bに接続される動力ケーブル10が、第3アーム2cに接続され、第3アンプ3cに接続される動力ケーブル10が第2アーム2bに接続される。その他の接続状態は、図5に示す接続状態と同様である。
この場合、第2アンプ3bが伝達信号を発信すると、第3アンプ3cが伝達信号を取得し、第2アンプ3bは、伝達信号を取得しない。また第3アンプ3cが伝達信号を発生すると、第2アンプ3bが伝達信号を取得し、第3アンプ3cは、伝達信号を取得しない。
このように伝達信号を発生する信号発生手段24の属するアンプ3と、伝達信号を取得した信号取得手段25の属するアンプ3とが異なる場合には、各副制御手段26は、発生指令信号を信号発生手段24に与えても、信号取得手段25から第1受信信号が与えられない。
これによって各副制御手段26は、副制御手段26の属するアンプ3に接続される動力ケーブル10が、異なるアーム2に接続していることを判断し、正常な相互接続状態でなく相互誤接続状態であることを検出する。各副制御手段26は、相互誤接続状態であることを検出すると主制御手段31に相互誤接続状態信号を与える。たとえば各副制御手段26は、対応する信号発生手段24に発生指令信号を与えたのに、対応する信号取得手段から受信信号が与えられない場合に、相互誤接続状態信号を主制御手段31に与える。
なお、図5〜図8には、動力ケーブル10の相互誤接続状態について説明したが、動力ケーブル10と手先用ケーブル16との相互接続状態についても同様である。すなわち各副制御手段26は、信号取得手段25から第2受信信号が与えられると、動力ケーブル10と対応する手先用ケーブル16とが、同じアーム2に接続していることを判断し、正常な相互接続状態であることを検出する。そして信号取得手段25から第2受信信号が与えられないと、動力ケーブル10と対応する手先用ケーブル16とが、異なるアーム2に接続していることを判断し、相互誤接続態であることを検出する。
このように副制御手段26は、供給時刻T1と取得時刻T2とに基づいて、相互接合状態を検出する。この場合、図6、図8に示すように、アンプ毎の各信号発生手段が予め定める時間間隔D1をあけて、各アンプから順番に伝達信号をアームに向けて供給することによって、伝達信号をアンプ毎に変更する必要がなく、信号発生手段24と信号取得手段25とを単純な構成によって実現することができる。
図9は、副制御手段26の相互接続状態の検出動作を示すフローチャートである。ステップa0では、ロボットシステム1に電源が投入されるかまたは相互誤接続検出動作の実行が作業者によって指令されると、主制御手段31は、各副制御手段26に相互接続状態の検出動作の開始を指令する。
なお、図6および図8に示すように、主制御手段31は、各副制御手段26に相互接続状態の検出動作の開始を順番に指令する。これによって検出動作は、副制御手段26ごとに予め定める時間間隔D1をあけて順に行われる。そして副制御手段26は、相互接続状態の検出動作の開始が指令されるとステップa1に進む。
ステップa1では、副制御手段26は、信号発生手段24によって伝達信号を発生させ、ステップa2に進む。ステップa2では、副制御手段26は、同じアンプ3に属する信号取得手段25から、伝達信号が与えられたか否かを判定する。副制御手段26は、信号取得手段25から伝達信号が与えられた場合には、ステップa3に進み、そうでない場合には、ステップa4に進む。
ステップa3では、副制御手段26が属するアンプ3に接続される動力ケーブル10と信号ケーブル11とが正常な相互接続状態であることを判断する。そして正常相互接続状態であることを示す正常相互接続状態信号を主制御手段31に与え、ステップa5に進む。
ステップa4では、副制御手段26が属するアンプ3に接続される動力ケーブル10と信号ケーブル11とが相互誤接続状態であることを判断する。そして相互誤接続状態であることを示す相互誤接続状態信号を主制御手段31に与え、ステップa5に進む。ステップa5では、副制御手段26は、相互接続状態の検出動作を終了する。たとえば相互誤接続状態信号が報知手段7に与えられることによって、報知手段7は相互誤接続状態であることを報知する。なお、相互誤接続状態信号には、副制御手段26が属するアンプ3を示す個別情報を示す信号が含まれていることが好ましい。
図9に示す動作は、動力ケーブル10と信号ケーブル11との相互接続状態の検出について示したが、副制御手段26が第1受信信号に代えて第2受信信号に基づくことによって、動力ケーブル10と対応する手先用ケーブル16との相互接続状態を検出することができる。
図10は、主制御手段31の相互接続状態の報知制御動作を示すフローチャートである。ステップb0で、主制御手段31が各副制御手段26に相互接続状態の検出動作を指令すると、ステップb1に進む。ステップb1では、主制御手段31は、各副制御手段26の少なくとも1つ以上から相互誤接続状態信号が与えられたか否かを判断する。主制御手段31は、相互誤接続状態信号が与えられず、全ての副制御手段26から正常相互接続状態信号が与えられると、ステップb2に進む。ステップb2では、正常な相互接続状態であることを報知手段7に報知させ、ステップb4に進む。
またステップb1で、主制御手段31は、少なくとも1つ以上の副制御手段26から相互誤接続状態信号が与えられると、ステップb3に進む。ステップb3では、相互誤接続状態であることを報知手段7に報知させ、ステップb4に進む。ステップb4では、主制御手段31は報知制御動作を終了する。
なお主制御手段31は、相互誤接続状態の報知にあたって、相互誤接続状態信号に含まれる個別情報を示す信号を解読して、相互誤接続の報知とともに、相互誤接続状態のケーブルが接続されるアンプ3を報知させてもよい。これによって作業者は、相互誤接続しているケーブルを容易に理解することができ、利便性を向上することができる。
また副制御手段26が主制御手段31に与える相互誤接続状態信号について、第1受信信号および第2受信信号のいずれかを含めるほうが好ましい。この場合、主制御手段31は、動力ケーブル10と信号ケーブル11との相互誤接続か、それとも動力ケーブル10と手先用ケーブル16との相互誤接続かを区別して報知させることができ、さらに利便性を向上することができる。
以上のように本発明の誤接続検出システムに従えば、副制御手段26によって動力ケーブル10と信号ケーブル11との相互誤接続状態を検出することができる。そして報知手段7によって相互誤接続状態を報知することによって、作業者に誤接続状態であることを認識させることができる。誤接続状態であることを認識した作業者は、ケーブルの接続状態を変更して誤接続状態を解消することができる。
また主制御手段31は、相互誤接続状態を検出した場合には、相互誤接続状態が解消するまで、アームの動作を待機させることによって、相互誤接続状態に起因してアームが誤動作することを防止することができる。この場合、作業者によって誤接続状態が解消された後、作業者が再び相互誤接続状態の検出動作を指令する。そして主制御手段31が、正常相互接続状態を検出すると、待機状態を解除して通常の動作に移行する。これによって誤接続による誤動作を防止することができる。また各ケーブルのいずれかのケーブルが接続されていない場合には、信号取得手段25に伝達信号が取得されない。したがってケーブルの接続忘れについても検出することができる。
また本実施の形態では、アーム2には、誤接続を検出するために各信号線20,21,22を接続する接続部23を設けるだけでよい。したがってアーム2に複雑な回路基板を設ける必要がなく、単純な構成で誤接続検出システムを実現することができる。これによってアームが、振動したり、温度変化の激しい場所に設置されたりして、劣悪な環境化で用いられる場合であっても、接続状態の誤検出を少なくすることができる。
またアンプについても、信号発生手段として電圧を第1相互信号線に印加する手段と、第2相互信号線の電圧の変化を検出する手段とを備えるだけでよく、リレースイッチや単純なトランジスタ回路によって実現することができる。これによって安価に誤接続検出システムを実現することができる。さらにアームを動作させるためにアンプに制御回路が設けられる場合、その制御回路を用いることによって副制御手段26を実現することが出来る。これによって別途副制御手段26を必要とすることなく、さらに安価に誤接続検出システムを実現することができる。この場合、制御回路が実行する演算プログラムに、相互誤接続検出用の実行プログラムが追加されることになる。
また各相互信号線20,21,22は、アーム2とアンプ3とのアーム動作に関する通信用信号線とは、別途設けられる。これによってアーム2とアンプ3との通信に無関係にケーブルの誤接続を検出することができる。したがってアーム2とアンプ3とのアーム動作に関する構成およびプログラムを、誤接続検出用に変更する必要がない。これによって利便性をさらに向上することができる。また既存のロボットシステムにも誤接続検出システムを容易に設けることができる。
図11は、主制御手段31の他の相互接続状態の報知制御動作を示すフローチャートである。この場合、前提として各副制御手段26は、信号発生手段24に発生指令信号を与えたのに信号取得手段25から受信信号が与えられない場合に、無受信信号を主制御手段31に与える。また各副制御手段26は、信号発生手段24に発生指令信号を与えていないのに信号取得手段25から受信信号が与えられる場合に、無送信信号を主制御手段31に与える。無受信信号および無送信信号には、その信号を生成した副制御手段26が属するアンプを示す個別情報が含まれている。
ステップc0で、主制御手段31が各副制御手段25に相互接続の接続状態の検出動作を指令すると、ステップc1に進む。ステップc1では、主制御手段31は、各副制御手段26の少なくとも1つ以上から相互誤接続状態信号が与えられたか否かを判断する。主制御手段31は、相互誤接続状態信号が与えられず、全ての副制御手段26から正常接続状態信号が与えられると、ステップc2に進む。ステップc2では、正常な相互接続状態であることを報知手段7に報知させ、ステップc5に進み、報知制御動作を終了する。
またステップc1で、主制御手段31は、相互誤接続状態信号が与えられると、ステップc3に進む。このとき主制御手段31は、各副制御手段26から相互誤接続状態信号ととともに、無受信信号および無送信信号が与えられる。
ステップc3では、主制御手段31は、無受信信号を取得してから予め定める到着時間D3経過した後で無送信信号を取得し、ステップc4に進む。到着時間D3は、正常な相互接続状態で、発信信号命令を与えてから第1受信信号を取得するまでの時間である。
ステップc4では、主制御手段31は、無受信信号を送信した副制御手段26の属するアンプ3の個別情報と、無送信信号を送信した副制御手段26の属するアンプ3の個別情報とをそれぞれ解読し、ステップc5に進む。ステップc4では、主制御手段31は、ケーブルの相互誤接続状態を報知手段に報知させるとともに、解読した2つのアンプの個別情報を関連させて報知させ、ステップ5に進み、報知制御動作を終了する。
ステップc4によって報知される2つのアンプ3の個別情報は、互いに誤接続状態となる動力ケーブルおよび信号ケーブルが接続される2つのアンプ3を示す。この場合、主制御手段31は、相互接続状態を判断する接続状態判断手段となる。
作業者は、報知される2つのアンプ3を確認する。そして報知される2つのアンプ3のうち、一方のアンプ3に接続される動力ケーブル10または信号ケーブル11のいずれかを他方のアンプ3に接続し、他方のアンプ3に接続される動力ケーブル10または信号ケーブル11のいずれかを一方のアンプ3に接続する。これによって相互誤接続状態を容易に解消することができる。
たとえば図7に示す相互誤接続状態の場合、図8に示すように第2信号発生手段24が伝達信号を発生すると、主制御手段31には、第2のアンプ3bに属する副制御手段26から無受信信号が与えられ、第3のアンプ3cに属する副制御手段26から無送信信号が与えられる。この場合、ステップc4において、主制御手段31は、第2のアンプ3bと第3のアンプ3cに接続される動力ケーブル10と信号ケーブル11とが相互誤接続状態であることを報知する。
なお、動力ケーブル10と信号ケーブル11との相互接続状態の検出動作について説明したが、動力ケーブル10と手先用ケーブル16との相互接続状態の検出動作についても、同様に行うことができる。
また本実施の形態の誤接続検出システムは、動力ケーブル10から伝達信号を発生させたが、信号ケーブル11および手先用ケーブル16のいずれかから伝達信号を発生してもよい。またアームに接続されるケーブルがさらに複数あった場合でも同様に、各ケーブルに信号線を設けることによって、基準となるケーブルに対して、その他のケーブルの相互誤接続状態を検出することができる。また信号線に与えられる電圧の変化に基づいて伝達信号を設定したが、信号線に流れる電流の変化に基づいて伝達信号を設定してもよい。
図12は、第1アーム2aと第1アンプ3aとの単独接続状態検出に係る構成の一部を示すブロック図である。本発明の誤接続検出システム1は、動力ケーブル10が、アンプ3とそのアンプ3に接続されるべきアーム2とを接続しているか否か、すなわち動力ケーブル10の単独接続状態を検出することができる。たとえばアンプ3aに接続される動力ケーブル10が、第1アーム2aに接続されているか否かを検出することができる。
誤接続検出システムは、アーム毎に、接続コネクタ40が設けられる。接続コネクタ40は、各アーム2を表わす個別の識別情報が設定される識別情報設定手段となる。また動力ケーブル10には、動力供給用の配線の他に、接続されるアームを識別するための識別用信号線41が別途設けられる。識別用信号線41は、1つの動力線ケーブルに1または複数設けられ、各識別用信号線41は、上述した第1伝達用信号線20とは別に設けられる。
また各アンプ3には、識別情報を取得する識別情報取得手段42と、アンプ3が接続されるべきアーム2を表わす接続情報が設定される接続情報設定手段43とを有する。そして副制御手段26は、識別情報取得手段42が取得した識別情報と接続情報設定手段43に設定される接続情報とに基づいて、動力ケーブル10の単独接続状態を検出する単独接続状態検出手段となる。また各アンプ3には、識別情報を生成するために各電位変化信号線51〜53に電力をそれぞれ与える電源回路44が設けられる。
電源回路44は、予め定める第1電位に保たれる複数の出力端子50を有する。識別情報設定手段42は、アームの数に従って、複数の測定器55,56,57が設けられる。識別用信号線41は、複数の測定器55〜57毎に設けられる各電位変化信号線51,52,53と、第1電位とは異なる第2電位に保たれる一定電位信号線54とを有する。アンプ3には、アンプ内連結線63〜65と、アンプ内接地線66とが設けられる。アンプ内連結線63〜65は、各測定器55〜57と各電位変化信号線51〜53とをそれぞれ接続する。またアンプ内接地線66は、一定電位信号線54とアンプ3に設けられる接地位置62とを接続する。
またアンプ3には、各アンプ内連結線63〜65と電源回路44の各出力端子50とをそれぞれ個別に接続する電力供給線60が設けられる。電力供給線60は、抵抗が直列に介在されて、電源回路44の出力端子50と各アンプ内連結線63〜65とをそれぞれ個別に接続する。本実施の形態では、第2電位は、アンプに設定される接地電位に設定され、第1電位は、接地電位よりも高く設定される。
各測定器55〜57は、各アンプ内連結線63〜65に定められる第1接続点58にそれぞれ接続される。各測定器55〜57は、接続される各アンプ内連結線63〜65から与えられる電圧の変化を測定する。各測定器55〜57は、測定結果を副制御手段26にそれぞれ与える。また各アンプ内連結線63〜65は、予め定める各第2接続点59で、各電位変化信号線51〜53にそれぞれ接続される。
また各電力供給線60は、各アンプ内連結線63〜65に予め定められる第3接続点61でそれぞれ接続される。なお第3接続点61は、第1接続点58と第2接続点59との間に設けられる。
アーム2には、アーム内連結線70〜72と、アーム内接地線73とが設けられる。アーム内連結線70〜72は、各電位変化信号線51〜53と接続コネクタ40とをそれぞれ個別に接続する。またアーム内接地線73は、一定電位信号線54と接続コネクタ40と接続する。接続コネクタ40は、各アーム内連結線71,72とアーム内接地線73とを選択的に接続する。なお、接続コネクタ40によって接続される各アーム内連結線70〜72とアーム内接地線73との接続状態は、接続コネクタ40の種類によって異なる。
接続情報設定手段43は、アンプ3ごとに設けられ、作業者から与えられる接続情報を記憶する。接続情報設定手段43は、後述の図13に示すように、作業者によって状態が変更される設定部90と、設定部90の状態の変化に基づいて接続情報を示す接続情報信号を生成する生成部91とを含む。生成部91は、設定部90に設定される接続情報を読取り、接続情報信号として副制御手段26に与える。
図13は、接続情報設定手段43を示す斜視図である。設定部90は、たとえばロータリースイッチによって実現される。ロータリースイッチは、本体92と、本体92に対して角変位可能に設けられるつまみ片93とを有する。ロータリースイッチは、ロボットコントローラの表面部に露出して設けられる。作業者が、つまみ片93を本体92に対して予め定める角度位置に角変位させると、生成部91がつまみ片93の角変位位置を検出し、その角度位置に対応する接続情報を副制御手段26に与える。接続情報は、アンプ3が接続されるべきアーム2の識別情報を表わす。
図14は、接続コネクタ40とアーム2とを示す斜視図である。アーム2には、接続コネクタ40が嵌合するコネクタ嵌合部80が形成される。接続コネクタ40は、コネクタ嵌合部80に着脱自在に装着される。コネクタ嵌合部80には、アーム内連結線70〜72にそれぞれ接続される第1〜第3アーム接続端子81〜83と、アーム内接地線74に接続される第4アーム接続端子84が形成される。接続コネクタ40には、各アーム接続端子81〜84にそれぞれ個別に接続するコネクタ接続端子85〜88が個別にそれぞれ設けられる。接続コネクタ40には、各コネクタ接続端子85〜88同士の接続状態がそれぞれ設定される。
図15は、6種類の接続コネクタ40における各コネクタ接続端子85〜88の接続状態を示すブロック図であり、図15(1)〜図15(6)に各コネクタ接続端子85〜88の接続状態をそれぞれ示す。
たとえば図15(1)に示すように、第1の接続コネクタ40aは、第1〜第4コネクタ接続端子85〜88がコネクタ内でそれぞれ接続される。また図12(2)に示すように、第2の接続コネクタ40bは、第1コネクタ接続端子85と第4コネクタ接続端子88とが接続されず、第2および第3コネクタ接続端子86,87がコネクタ内でそれぞれ第4コネクタ接続端子88にそれぞれ接続される。
また図15(3)に示すように、第3の接続コネクタ40cは、第2コネクタ接続端子86と第4コネクタ接続端子88とが接続されず、第1および第3コネクタ接続端子85,87と第4コネクタ接続端子88とがコネクタ内でそれぞれ接続される。また図15(4)に示すように、第4の接続コネクタ40dは、第1および第2コネクタ接続端子85,86と第4コネクタ接続端子88とが接続されず、第3コネクタ接続端子87と第4コネクタ接続端子88とがコネクタ内で接続される。
図15(5)に示すように、第5の接続コネクタ40eは、第3コネクタ接続端子87と第4コネクタ接続端子88とが接続されず、第1および第2コネクタ接続端子85,86と第4コネクタ接続端子88とがコネクタ内でそれぞれ接続される。図15(6)に示すように、第6の接続コネクタ40fは、第1および第3コネクタ接続端子85,87と第4コネクタ接続端子88とがそれぞれ接続されず、第2コネクタ接続端子86と第4コネクタ接続端子88とがそれぞれ接続される。
すなわち接続状態をL(ローレベル)、非接続状態がH(ハイレベル)で表し、第1〜第6アーム2a〜2fに装着される各接続コネクタ40a〜40fにおける、第1〜第3接続端子85〜87と第4コネクタ接続端子88との接続状態を順番に並べると表1のように表される。また表1には、アームの識別情報に対応するアンプの個別情報を併記する。なお、第1〜第3接続端子がすべて非接続となる接続状態の接続コネクタは、ケーブルを接続していない場合と混同しやすいので用いないほうが好ましい。
図12に示すように、動力ケーブル10によって第1のアーム2aと第1のアンプ3aとが接続された状態で、電源回路44は、電力供給線60を介して各アーム内連結線63〜65に電力を与える。
第1の接続コネクタ40aが第1のアーム2aに装着される場合、電源回路44から流れる電流は、各電源供給線60、各アンプ内連結線63〜65、各電位変化信号線51〜53、各アーム内連結線70〜72、接続コネクタ40、アーム内接地線73、一定電位変化信号線54、アンプ内接地線66を順に通過して、アンプの接地位置62に流れる。この場合、各測定器55,56,57にほとんど電流が流れることがない。言換えると各測定器55〜57に与えられる電圧は低い。
これに対して、第2の接続コネクタ40bが第1アーム2aに装着される場合、図15(2)に示すように、第1コネクタ接続端子85と第4コネクタ接続端子88とが接続されていないので、第1測定器55には、電源回路44から予め定めるしきい値以上の電流が流れる。また第2および第3測定器56,57については、ほとんど電流が流れることはない。言換えると第1測定器55に与えられる電圧は高く、第2および第3測定器56,57に与えられる電圧は低い。このようにアーム2に装着する接続コネクタ40の種類を変更することによって、第1〜第3測定器55〜57に流れる電流および印加される電圧を変化させることができる。
各測定器55〜57は、与えられる電流または電圧が予め定めるしきい値よりも高いか否かを示す信号をそれぞれ副制御手段26に与える。副制御手段26は、各測定器55から与えられる信号から識別情報を解読する。また副制御手段26は、接続情報設定手段43から接続情報を示す信号を取得する。副制御手段26は、識別情報と接続情報とが一致している場合に、アンプ3は、動力ケーブル10によって接続すべきアーム2に接続されていること判定する。また識別情報と接続情報とが一致していない場合には、アンプ3は、動力ケーブル10によって接続すべきアンプ3と接続されていないことを判定する。
図16は、アンプ3とコントローラ6との設定動作を示すフローチャートである。作業者は、コントローラ6に単独接続状態の検出動作を行わせるにあたって、識別情報と設定情報とを対応付けて設定する必要がある。ステップd0で、作業者は、ロボットシステム稼動準備時、ロボットシステム敷設時、アーム2の増減またはアームの位置を変更した場合など、アンプ3とアンプ3に接続すべきアーム2とを対応付ける必要が生じると、ステップd1に進み、設定動作を開始する。
ステップd1では、作業者は、アーム2のコネクタ嵌合部80にそれぞれ異なる種類の接続コネクタ40を装着し、それぞれのアーム2に対して識別情報を設定する。接続コネクタ40をアーム2の識別情報に応じて装着するとステップd2に進む。
ステップd2では、アーム2とアーム2に接続されるべきアンプ3とにおいて、そのアーム2に装着される接続コネクタ40の識別情報と、接続情報設定手段43の接続情報とが一致するように、ロータリースイッチのつまみ片93を所定の角変位位置に角変位させる。このように接続コネクタ40によって各アーム2に識別情報を付与し、接続情報設定手段43によって各アンプ3に接続情報を付与する。そして接続されるべきアーム2とアンプ3との識別情報と接続情報とをそれぞれ一致させると、ステップd3に進み、作業者による設定動作が完了する。
図17は、動力ケーブル10が正常に単独接続される場合における識別信号線41を示すブロック図である。また図18は、図19に示す接続状態での各測定器55〜57と接続情報設定手段43の信号受信状態を示すタイムチャートであり、縦軸は電圧の変化を示す。正常な単独接続状態において、第1アーム2aに、図15(1)に示す第1接続コネクタ40aが接続される場合には、第1アンプ3aに属する各測定器55〜57には電流がほとんど流れない。これによって各測定器55〜57は、第1〜第3測定値出力としてローレベル信号を、副制御手段26にそれぞれ与える。また第1アンプ3aに属する接続情報設定手段43から副制御手段26に与えられる第1〜第3設定値出力もそれぞれローレベル信号である。
また第2アーム2bに図15(1)に示す第2接続コネクタ40bが接続される場合には、第2アンプ3bに属する各測定器55〜57のうち、第1測定器55以外には電流がほとんど流れない。これによって第1測定器55は、第1測定値出力としてハイレベル信号を、副制御手段26に与える。また第2および第3測定器56,57は、第2および第3測定値出力としてローレベル信号を、副制御手段26にそれぞれ与える。また第2アンプ3bに属する接続情報設定手段43から副制御手段26に与えられる各設定出力のうち、第1設定値出力はハイレベル信号であり、第2および第3設定値出力はそれぞれローレベル信号である。
このように動力ケーブル10が正常に単独接続された場合には、各測定値出力と設定値出力とが一致する。したがって副制御手段26は、各測定値出力と設定値出力とが一致した場合には、動力ケーブル10が正常に単独接続されていることを判断する。
図19は、動力ケーブル10が単独誤接続される場合における識別用信号線41を示すブロック図である。また図20は、図19に示す接続状態での各測定器55〜57と接続情報設定手段43の信号受信状態を示すタイムチャートであり、縦軸は電圧の変化を示す。図19には、1つの動力ケーブル10によって、第1アンプ3aと第2アーム2bとが接続され、他の1つの動力ケーブル10によって、第2アンプ3bと第1アーム2aとが接続される。
このような誤接続状態において、第1アーム2aに図15(1)に示す第1接続コネクタ40aが接続される場合には、第1アンプ3aに属する各測定器55〜57のうち、第1測定器55以外には電流がほとんど流れない。これによって第1測定器55は、第1測定値出力としてハイレベル信号を副制御手段26に与える。また第2および第3測定器56,57は、第2および第3測定値出力としてローレベル信号を副制御手段26にそれぞれ与える。これに対し、第1アンプ3aに属する接続情報設定手段43から副制御手段26に与えられる第1〜第3設定値出力は、それぞれローレベル信号である。
また第2アーム2bに図15(1)に示す第2接続コネクタ40bが接続される場合には、第2アンプ3bに属する各測定器55〜57には電流がほとんど流れない。これによって各測定器55〜57は、第1〜第3測定値出力としてローレベル信号を副制御手段26にそれぞれ与える。これに対して、第2アンプ3bに属する接続情報設定手段43から副制御手段26に与えられる各設定出力のうち、第1設定値出力はハイレベル信号であり、第2および第3設定値出力はそれぞれローレベル信号である。
このように動作ケーブル10を単独誤接続された場合には、各測定値出力と設定値出力とが一致しないので、副制御手段26は、各測定値出力と設定値出力とが一致しない場合には、誤って単独接続されていることを判断する。また副制御手段26が、表1に示すデータベースを副制御手段26が有し、各測定値出力を解読することによって、動力ケーブル10がどのアーム2に間違って接続されているかも判断することができる。
たとえば図20に示すように、第1測定器55〜第3測定器57の測定値出力が、ハイレベル信号H、ローレベル信号L、ローレベル信号Lの順に出力される場合、副制御手段26は、表1に従ってハイレベル信号、ローレベル信号、ローレベル信号と規定される識別情報が設定されるアーム、すなわち第2アーム2bに動力ケーブル10が接続されていることを判断できる。
図21は、副制御手段26の単独接続状態の検出結果を示すフローチャートである。ステップe0では、ロボットシステム1に電源が投入されるかまたは単独誤接続検出動作の実行が作業者によって指令されると、主制御手段31は、各副制御手段26に単独接続状態の検出動作の開始を指令する。なお、主制御手段31は、各副制御手段26に単独接続状態の検出動作の開始を同時に指令することも可能である。そして副制御手段26は、単独接続状態の検出動作の開始が指令されるとステップe1に進む。
ステップe1では、副制御手段26は、電源回路44から電力を各アンプ内連結線63〜65に与えさせる。電源回路44は、各アンプ内連結信号線63〜65に電力を常時与えていてもよい。また電源回路44は、副制御手段26からの指令を受けたときに所定期間だけ電力を与えてもよい。このように各アンプ内連結信号線63〜65に電力を与えると、ステップe2に進む。
ステップe2では、副制御手段26は、各測定器55〜57から与えられる測定値出力と、接続情報設定手段43から与えられる設定値出力とを取得し、ステップe3に進む。ステップe3では、各測定値出力と対応する各設定値出力とがそれぞれ一致しているか否かを判断する。全て一致している場合には、ステップe4に進み、一致していない場合には、ステップe5に進む。またステップe3において、副制御手段26は、各測定値出力に基づいてアームの識別情報を解読するとともに、各設定値出力に基づいてアンプの個別情報を解読する。そして識別情報と個別情報とが一致するか否かを判定してもよい。この場合、識別情報と個別情報とが一致していると、ステップe4に進み、そうでないとステップe5に進む。
ステップe4では、副制御手段26は、副制御手段26が属するアンプ3に接続される動力ケーブル10が、アンプ3に接続すべきアーム2に接続していることを判断する。そして正常単独接続状態であることを示す正常単独接続状態信号を主制御手段31に与え、ステップe6に進む。
ステップe5では、副制御手段26が属するアンプ3に接続される動力ケーブル10が、アンプが接続すべきアームに接続していない単独誤接続状態であることを判断する。そして単独誤接続状態であることを示す単独誤接続状態信号を主制御手段31に与え、ステップe6に進む。単独誤接続状態信号には、副制御手段26が属するアンプ3を示す個別情報と、各測定器55〜57に与えられる測定値出力に基づいて演算されるアームの識別情報とが含まれていることが好ましい。ステップe6では、副制御手段26は、単独接続状態の検出動作を終了する。
図22は、主制御手段31の単独接続状態の報知制御動作を示すフローチャートである。ステップf0で、主制御手段31が各副制御手段26に単独接続状態の検出動作を指令すると、ステップf1に進む。ステップf1では、主制御手段31は、各副制御手段26の少なくとも1つ以上から単独誤接続状態信号が与えられたか否かを判断する。主制御手段31は、単独誤接続状態信号が与えられず、全ての副制御手段26から正常単独接続状態信号が与えられると、ステップf2に進む。ステップf2では、正常な単独接続状態であることを報知手段に報知させ、ステップf4に進み、報知制御動作を終了する。
またステップf1で、主制御手段31は、少なくとも1つ以上の副制御手段26から単独誤接続状態信号が与えられると、ステップf3に進む。ステップf3では、動力ケーブル10の単独誤接続状態を報知手段に報知させ、ステップf4に進み、報知制御動作を終了する。
なお主制御手段31は、ステップf3における単独誤接続の報知にあたって、単独誤接続状態信号に含まれるアンプの個別情報およびアームの識別情報に基づいて、単独誤接続の報知とともに、単独誤接続状態のケーブルが接続されるアンプの個別情報と、アームの識別情報とを報知させてもよい。これによって作業者に単独誤接続しているケーブルを容易に理解させることができ、利便性を向上することができる。
以上のように本発明の他の誤接続検出システムに従えば、副制御手段26によって動力ケーブルの単独誤接続状態を検出することができる。そして報知手段7によって単独誤接続状態を報知することによって、作業者に誤接続状態であることを認識させることができる。誤接続状態であることを認識した作業者は、ケーブルの誤接続状態を変更して誤接続状態を解消することができる。
また主制御手段31は、単独誤接続状態を検出した場合には、単独誤接続状態が解消するまで、アームの動作を待機させることによって、単独誤接続状態に起因してアームが誤動作することを防止することができる。この場合、作業者によって誤接続動作が解消された後、作業者が再び単独誤接続状態の検出動作を指令する。そして主制御手段31が、正常誤接続状態を検出すると、待機状態を解除して通常の動作に移行する。これによって誤接続による誤動作を防止することができる。
また本実施の形態では、アーム2には、誤接続を検出するために各アーム内連結線70〜72とアーム内接地線73とを接続する接続端子が装着されるコネクタ嵌合部80を形成するだけでよい。したがってアーム2に複雑な回路基板を設ける必要がなく、単純な構成で誤接続検出システムを実現することができる。これによってアームが振動したり、温度変化の激しい場所に設置されたりして、劣悪な環境化で用いられる場合であっても、接続状態の誤検出を少なくすることができる。
またアンプについても、電源回路44と、各測定器55〜57とを備えるだけでよく、リレースイッチや単純なトランジスタ回路によって実現することができる。これによって安価に誤接続検出システムを実現することができる。さらにアームを動作させるためにアンプに制御回路が設けられる場合、その制御回路を用いることによって副制御手段26を実現することが出来る。これによって別途副制御手段26を必要とすることなく、さらに安価に誤接続検出システムを実現することができる。この場合、制御回路が実行する演算プログラムに、単独誤接続検出用の実行プログラムが追加されることになる。
また識別用信号線41は、アーム2とアンプ3とのアーム動作に関する通信用信号線とは、別途設けられる。これによってアーム2とアンプ3との通信に無関係にケーブルの誤接続を検出することができる。したがってアーム2とアンプ3とのアーム動作に関する構成およびプログラムを、誤接続検出用に変更する必要がない。これによって利便性をさらに向上することができる。また既存のロボットシステムにも誤接続検出システムを容易に設けることができる。
なお、本実施の形態では、動力ケーブル10に識別用信号線41が設けられたが、信号ケーブル11および手先用ケーブル16に識別用信号線41が設けられてもよい。またアームが6つである場合には、電位変化信号線51〜53および測定器55〜57は、3つ設けられたが、アームの数がさらに増加する場合には、その増加に応じて、電位変化信号線51〜53および測定器55〜57も増加する。
図23は、主制御手段31の他の接続状態の報知制御動作を示すフローチャートである。主制御手段31は、上述した相互接続状態の検出と、単独接続状態の検出とを連続して行ってもよい。この場合、主制御手段31は、ステップg0で、ロボットシステム1に電源が投入されるかまたは誤接続検出動作の実行が作業者によって指令されると、ステップg1に進み、コントロールユニット5の演算部は、接続状態の報知制御動作の開始を指令する。
ステップg1では、主制御手段31は、各副制御手段26に相互接続状態の検出動作を指令し、ステップg2に進む。ステップg2では、各副制御手段26は、図9に示す相互接続状態の検出動作を行い、相互誤接続状態であることを判定すると、相互誤接続状態信号を主制御手段31に与える。ステップg2において、主制御手段31は、各副制御手段26のうちのいずれかから相互誤接続状態信号が与えられるとステップg3に進み、そうでないとステップg4に進む。ステップg3では、主制御手段31は、報知手段によって相互誤接続状態であることを報知させ、ステップg8に進む。
またステップg4では、主制御手段31は、各副制御手段26に単独接続状態の検出動作を指令し、ステップg5に進む。ステップg5では、各副制御手段26は、図21に示す単独接続状態の検出動作を行い、単独誤接続状態であることを判定すると、単独誤接続状態信号を主制御手段31に与える。ステップg5において、主制御手段31は、各副制御手段26のうちのいずれかから単独誤接続状態信号が与えられると、ステップg6に進み、そうでないとステップg7に進む。
ステップg6では、主制御手段31は、報知手段によって単独誤接続状態であることを報知させ、ステップg8に進む。ステップg7では、主制御手段31は、報知手段によって正常な接続状態であることを報知させ、ステップg8に進む。ステップg8では、主制御手段31は、報知制御動作を終了する。
主制御手段31が図23に示すフローチャートに従うことによって、相互および単独接続における誤接続を検出することができる。これによって相互および単独誤接続を示す報知情報が報知されることによって、作業者は、相互誤接続状態および単独誤接続状態を判断することができ、誤接続を解消することができる。
なお、図21に示すフローチャートにおける単独誤接続状態の検出は、図12に示す構成以外の構成によって実現してもよい。たとえば図21の構成では、複数の電位変化信号線51〜53を用いたが、1つの電位変化信号線の電圧変化によって、アーム毎の識別情報信号として設定してもよい。この場合、接続コネクタは、1つの電位変化信号線と接地信号線とを接続し、直列に接合される抵抗が接続される。この抵抗の抵抗値をアーム毎に変更することによって、アーム毎の識別情報を設定することができる。また電圧以外の電気的性質の変化によって識別情報を設定してもよい。
図24は、2つの相互誤接続状態を示すブロック図である。図24(1)は、一方の動力ケーブルが第1アンプ3aと第1アーム2aとを接続し、他方の動力ケーブルが第2アンプ3bと第2アーム2bとを接続する。また一方の信号ケーブルが第1アンプ3aと第2アーム2bとを接続する。また他方の信号ケーブルが第2アンプ3bと第1アーム2aとを接続する。図24(2)は、一方の動力ケーブルが第1アンプ3aと第2アーム2bとを接続する。他方の動力ケーブルが第2アンプ3bと第1アーム2aとを接続する。また一方の信号ケーブルが第1アンプ3aと第1アーム2aとを接続し、他方の信号ケーブルが第2アンプ3bと第2アーム2bとを接続する。
図9に示す相互接続状態の検出動作では、主制御手段31は、図24(1)および図24(2)に示す場合の接続状態の違いを区別して報知することができない。また主制御手段31は、第1アンプ3aに接続される動力ケーブルおよび信号ケーブルがともに第1アーム2aに接続される場合と、第2アーム2bに接続される場合とで、接続状態の違いを区別して報知することができない。このような場合について、以下に示す本発明の他の実施の形態の各副制御手段および主制御手段31を用いることによって、接続状態の違いを報知することができる。
本発明の他の実施の形態の各副制御手段26は、相互接続状態の検出動作において、信号発生手段24に発生指令信号を与えたのに信号取得手段25から受信信号が与えられない場合に、無受信信号を主制御手段31に与える。また各副制御手段26は、信号発生手段24に発生指令信号を与えていないのに信号取得手段25から受信信号が与えられる場合に、無送信信号を主制御手段31に与える。
無受信信号および無送信信号には、その信号を生成した副制御手段26が属するアンプ3を示す個別情報が含まれている。また副制御手段26は、単独接続状態の検出動作において、単独誤接続状態のケーブルが接続されるアンプの個別情報と、アームの識別情報と示す信号を主制御手段31に与える。
本発明の実施の形態の他の主制御手段31は、上述した各副制御手段26から、無受信信号、無送信信号およびアンプの個別情報と、アームの識別情報とを取得し、正確な接続状態を判断する。図25は、図24に示す接続状態における信号発生手段24と信号取得手段25との信号送受信状態および、動力ケーブルを介してアームから与えられる識別情報とを示すタイムチャートであり、縦軸は電圧の変化を示す。
図24(1)、図24(2)に示す接続状態では、第1アンプ3aが伝達信号を発生すると、第2アンプ3bが伝達信号を取得する。同様に、第2アンプ3bが伝達信号を発生すると、第1アンプ3bが伝達信号を取得する。
ただし図24(1)に示す接続状態では、第1アンプ3aに属する副制御手段26は、動力ケーブル10を介して第1の識別情報ID1が与えられ、第2アンプ3bに属する副制御手段26は、動力ケーブルを介して第2の識別情報ID2が与えられる。図24(2)に示す接続状態では、第1アンプ3aに属する副制御手段26は、動力ケーブル10を介して第2の識別情報ID2が与えられ、第2アンプ3bに属する副制御手段26は、動力ケーブル10を介して第1の識別情報ID1が与えられる。
図25に示すように、伝達信号の発信命令と、動力ケーブルが接続されるアームの識別情報との取得をほぼ同時に行うと、取得する識別情報が示すアームに対して、無受信信号が与えられる副制御手段のアンプに接続される動力信号ケーブルと、無送信信号が与えられる副制御手段のアンプに接続される信号ケーブルとが接続されることになる。したがって主制御手段31が、副制御手段から与えられる、副制御手段が属するアンプの個別情報と、無受信信号と、無送信信号と、アームの識別情報とをそれぞれ取得することによって、各ケーブルの接続状態を正確に判断することができる。また本発明において、副制御手段26、信号発生手段24、信号取得手段25,42および接続情報設定手段43がアンプ毎に設けられることによって、主制御手段31の負荷を低減できるとともに、主制御手段31に複雑なプログラムを追加する必要がない。
図26は、主制御手段31のさらに他の接続状態の報知制御動作を示すフローチャートである。上述したように主制御手段31は、副制御手段から与えられる、副制御手段が属するアンプの個別情報と、無受信信号と、無送信信号と、アームの識別情報とに基づくことによって、各ケーブルの接続状態を正確に判断することができる。
この場合、主制御手段31は、ステップh0で、ロボットシステム1に電源が投入されるかまたは誤接続検出動作の実行が作業者によって指令されると、ステップh1に進み、コントロールユニット5の演算部は、接続状態の報知制御動作の開始を指令する。
ステップh1では、主制御手段31は、各副制御手段26に相互接続状態の検出動作のタイミングに合わせて単独接続状態の検出動作を同時に指令し、ステップh2に進む。ステップh2では、相互誤接続状態信号および単独誤接続状態信号のいずれかが与えられると、ステップh4に進み、そうでないと、ステップh3に進む。ステップh3では、正常接続状態であることを報知手段に報知させ、ステップh7に進む。
ステップh4では、主制御手段31は、各副制御手段26から与えられる誤接続に関する誤接続関連信号を取得する。誤接続関連信号は、副制御手段が属するアンプの個別情報と、無受信信号と、無送信信号と、アームの識別情報とである。主制御手段31は、誤接続関連信号を取得すると、ステップh5に進む。
ステップh5では、主制御手段31は、誤接続関連信号である、副制御手段が属するアンプの個別情報と、無受信信号と、無送信信号と、アームの識別情報とに基づいて、各ケーブルの接続状態を正確に判断し、ステップh6に進む。ステップh6では、判断した正確な接続状態を報知手段によって報知し、ステップh7に進む。ステップh7では、主制御手段31の報知制御動作を終了する。
主制御手段31が図26に示すフローチャートに従うことによって、相互および単独接続における誤接続を検出することができる。これによって相互および単独誤接続を示す報知情報が報知されることによって、作業者は、相互誤接続および単独誤接続を判断することができ、誤接続を解消することができる。また主制御手段31は、接続状態を正確に判断することができるので、正確に判断した接続状態を表示することによって、作業者はさらに容易に誤接続を解消することができる。またたとえば接続状態の判断に基づいて、第1接続体と第2接続体との通信および動力伝達状態などを変更することによって、正常な動作を行わせてもよい。
また単独誤接続状態の判断は、動力ケーブル10、信号ケーブル11および手先用ケーブル16のいずれか1つであってもよい。したがって動力ケーブル10、信号ケーブル11および手先用ケーブル16のすべての単独誤接続状態を判断する場合に比べて、構成を簡単化することができる。なお、相互誤接続状態の判断は、図12に示す構成以外の構成によって実現されてもよい。
以上のような主制御手段31および副制御手段26の動作は、予め定められる演算プログラムを実行することによって実現される。演算プログラムは、主制御手段31および副制御手段26が記憶していてもよいが、ロボットコントローラ6が読み込む記憶媒体に記憶されていてもよい。また演算プログラムは、通信回線を介して与えられてもよい。
以上のような、誤接続検出システムは、発明の一例示であって発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば本実施の形態では、副制御手段26、信号発生手段24、信号取得手段25,42、電源回路44および接続情報設定手段43がアンプ毎にそれぞれ設けられたが、コントロールユニット5に1つ設けられてもよい。これによって誤接続検出に必要な構成を減らすことができ、さらに安価に形成することができる。また副制御手段26による動作を、主制御手段31が兼用してもよい。
また複数のアームと1つのロボットコントローラとによって実現されるロボットシステムに誤接続検出システムが設けられたが、他のシステムに誤接続検出システムが用いられてもよい。この場合、各複数のケーブルが接続される第1接続体と、各ケーブルが接続されるコネクタとなる第2接続体とが複数設けられ、各ケーブルが対応する第1接続体と第2接続体を連結する場合に適用可能である。たとえば複数の工作機械が1つのコントローラで制御される製造ラインなどにも適用可能である。また本発明のケーブルは、第1接続体と第2接続体とを電気的に接続しなくてもよい。たとえば手先ケーブル16のように、圧縮空気を供給する各ケーブルの接続状態を検出することもできる。
また誤接続検出システムは、各信号線20,21,22,27,41を電気配線によって実現し、電圧または電流など電気を伝達媒質として伝達した。また電圧または電流の変化以外に、パルス変化、周波数変化、振幅変化など他の電気的な変化を信号として用いてもよい。さらに他の実施の形態として各信号線20,21,22,27が、他の伝達媒質を伝達する伝達媒体であってもよい。たとえば伝達用信号線20,21,22,27は、光ファイバーによって実現され、光を媒質として伝達してもよい。