JP4197899B2 - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダジャケット、空気冷却器等へ供給する冷却水や機関の摺動部を潤滑する潤滑油を冷却する内燃機関の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の冷却装置1は、特に、中、大型機関の場合には、図9に示すように、機関冷却用の低温清水(第1の被冷却液体としての冷却水)xを海水(冷却液体)yで冷却する低温清水冷却器2や、潤滑油(第2の被冷却液体)zを前記低温清水(冷却液体)xで冷却する潤滑油冷却器3のような異種の被冷却液体を冷却するプレート式冷却器が、それぞれ単独に構成されて、内燃機関の設置場所の周辺における所定の場所に分散して据え付けられ、両プレート式冷却器2,3の相互間および両プレート式冷却器2,3と内燃機関はそれぞれ外部配管4,5で接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の内燃機関の冷却装置1では、異種のプレート式冷却器2,3を個別に据え付けるので、その据付工数、配管工数を多く要するばかりでなく、据付スペースを多く必要とし、内燃機関に付設する機器としてその据付場所の制約を受ける問題がある。そこで、前記異種のプレート式冷却器をそれらの熱交換プレート間に仕切を入れることにより一体形に構成することも考えられるが、この場合には、分解、掃除をする際、異種のプレート式冷却器に対して個別に作業を行うことができず、両方を同時に行わねばならず、前記分解、掃除に手間が多く掛かり、作業を迅速に行えない問題がある。
【0004】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、据付、配管工数が少なく、所要据付面積も小さくて済み、分解、掃除も簡単に行える内燃機関の冷却装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の点を特徴としている。
すなわち、請求項1に係る内燃機関の冷却装置は、冷却液体の導入口、導出口、第1の被冷却液体の導入口、導出口および第2の被冷却液体の導入口、導出口を設けた冷却器本体と、該冷却器本体の一側に連結され、冷却液体で第1の被冷却液体を冷却する第1のプレート式冷却器と、前記冷却器本体の他側に連結され、冷却液体で第2の被冷却液体を冷却する第2のプレート式冷却器とを備えた内燃機関の冷却装置において、前記第1のプレート式冷却器と前記第2のプレート式冷却器とは、前記冷却器本体の左右に分離して設けられるとともに、前記冷却器本体の反対側から締付ボルトによって前記冷却器本体に連結され、前記冷却器本体には、前記冷却液体の導入口から第1のプレート式冷却器における冷却液体入口に冷却液体を導く冷却液体導入路と、第1のプレート式冷却器における冷却液体出口から前記冷却液体の導出口に冷却液体を導く冷却液体排出路と、前記第1の被冷却液体の導入口から第1のプレート式冷却器における被冷却液体入口に第1の被冷却液体を導く第1の被冷却液体導入路と、第1のプレート式冷却器における被冷却液体出口から前記第1の被冷却液体の導出口に第1の被冷却液体を導く第1の被冷却液体排出路と、前記第2の被冷却液体の導入口から第2のプレート式冷却器における被冷却液体入口に第2の被冷却液体を導く第2の被冷却液体導入路と、前記第2のプレート式冷却器における被冷却液体出口から前記第2の被冷却液体の導出口に第2の被冷却液体を導く第2の被冷却液体排出路と、第2のプレート式冷却器における冷却液体入口に冷却液体を導入する冷却液体流入路と、第2のプレート式冷却器における冷却液体出口から冷却液体を導出する冷却液体流出路とを設けたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2に係る内燃機関の冷却装置は、請求項1に記載の冷却装置において、前記冷却液体流入路は、前記第1の被冷却液体排出路における前記第1のプレート式冷却器の被冷却液体出口と第2のプレート式冷却器の冷却液体入口とを連絡する連絡流入路であり、前記冷却液体流出路は、前記第1の被冷却水排出路における前記第2のプレート式冷却器の冷却液体出口と前記第1の被冷却液体の導出口とを連絡する連絡流出路であることを特徴としている。
【0007】
また、請求項3に係る内燃機関の冷却装置は、請求項1または2に記載の冷却装置において、前記第1のプレート式冷却器と第2のプレート式冷却器の、冷却器本体から離れた外側の位置には、それぞれ、各プレート式冷却器の複数個の熱交換プレートを相互に積層、分離可能とする組立、分解スペースが設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4に係る内燃機関の冷却装置は、請求項2または請求項3に記載の冷却装置において、前記冷却器本体の冷却液体の導入口、導出口、第1の被冷却液体の導入口、導出口および第2の被冷却液体の導入口、導出口は、冷却器本体の正面側に配置されていることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る内燃機関の冷却装置について図1〜図7を参照して説明する。
図1〜図7において、10は本発明の一実施の形態に係る内燃機関の冷却装置である。該内燃機関の冷却装置10は、冷却液体の導入口11a、導出口11b、第1の被冷却液体の導入口12a、導出口12bおよび第2の被冷却液体の導入口13a、導出口13bを設けた冷却器本体14と、該冷却器本体14の一側(図1、図2で右側)に連結され、前記冷却液体で第1の被冷却液体を冷却する第1のプレート式冷却器15と、前記冷却器本体14の他側(図1、図2で左側)に連結され、冷却液体で第2の被冷却液体を冷却する第2のプレート式冷却器16とを備えている。
【0010】
前記冷却器本体14は、設置板部14aの上面に立設された直方体状の本体部14bを備え、該本体部14bの両側(図1、図2で右側と左側)には前記設置板14aに垂直な取付フランジ14c,14dが前後(図2で上下)に突出して設けられ、各取付フランジ14c、14dには、上、中、下段に外側に開口する切欠部17が、開口部17a側を上になるように傾斜して設けられている(図6、図7参照)。
【0011】
また、前記本体部14bの正面には、右側位置(図1、図2において)に、下から順に前記冷却液体の導入口11aを有する冷却液体導入管部11Aと、前記第2の被冷却液体の導出口13bを有する第2の被冷却液体導出管部13Bと、前記第1の被冷却液体の導入口12aを有する第1の被冷却液体導入管部12Aとが所定間隔をあけて上下方向に一直線状に整列して設けられ、前記各管部11A,13B,12Aから所定間隔をあけた左側位置に、下から順に前記第1の被冷却液体の導出口12bを有する第1の被冷却液体導出管部12Bと、前記第2の被冷却液体の導入口13aを有する第2の被冷却液体導入管部13Aと、前記冷却液体の導出口11bを有する冷却液体導出管部11Bとが所定間隔をあけて上下方向に一直線状に整列して設けられている。前記左側列の各管部12B,13A,11Bは、隣接する右列側の各管部11A,13B,12Aより所定高さだけ高い位置に設定されている。
【0012】
前記第1のプレート式冷却器15は、一端側(冷却器本体14の前面側、図6で右側)の下部に冷却液体入口18aを、その対角線上の位置である他端側(図6で左側)の上部に冷却液体出口18bをそれぞれ設けると共に、冷却液体入口18aと冷却液体出口18bを連絡する冷却液体流路を形成してなる冷却液体用熱交換プレートと、一端側の上部に第1の被冷却液体入口19aを、その対角線上の位置にある他端側の下部に第1の被冷却液体出口19bを設けると共に、第1の被冷却液体入口19aと第1の冷却液体出口19bとを連絡する第1の被冷却液体流路を形成してなる第1の被冷却液体用熱交換プレートとが、それぞれ、前記冷却液体流路と第1の被冷却液体流路とを連通しないようにして複数枚交互に積層され、前面(図1、図2で左側面)を前記冷却器本体14の取付フランジ14bに当接され、後面(図1で右側面)を取付フランジ14bと同様に形成された平板状の遊動フレーム20に当接されて、前記取付フランジ14bと遊動フレーム20とを、それらの前記切欠部17,17に挿入して掛け渡した締付ボルト21と二重ナット22で締め付けることにより、前記本体部14bに連結された構成とされている。
【0013】
また、前記第2のプレート式冷却器16は、一端側(冷却器本体14の前面側、図7で左側)の下部に冷却液体出口23bを、その対角線上の位置である他端側(図7で右側)の上部に冷却液体入口23aをそれぞれ設けると共に、冷却液体入口23aと冷却液体出口23bを連絡する冷却液体流路を形成してなる冷却液体用熱交換プレートと、一端側の上部に第2の被冷却液体入口24aを、その対角線上の位置にある他端側の下部に第2の被冷却液体出口24bをそれぞれ設けると共に、第2の被冷却液体入口24aと第2の冷却液体出口24bとを連絡する第2の被冷却液体流路を形成してなる第2の被冷却液体用熱交換プレートとが、それぞれ、前記冷却液体流路と第2の被冷却液体流路とを連通しないようにして複数枚交互に積層され、前面(図1、図2で右側面)を前記冷却器本体14の取付フランジ14dに当接され、後面(図1、図2で左側面)を前記遊動フレーム20に当接されて、前記取付フランジ14dと遊動フレーム20とを、それらの前記切欠部17,17に挿入して掛け渡した締付ボルト21と二重ナット22で締め付けることにより、前記本体部14bに連結された構成とされている。
【0014】
また、前記第1、第2のプレート式冷却器15,16は、その基本構造が従来周知のものと同様であり、上下の中央部に前記取付フランジ14c,14dに直角な方向に沿う一直線状の切欠溝が形成され、前記冷却器本体14の取付フランジ14c,14dとガイドバー支柱25,25とに掛け渡した上下のガイドバー26a,26bに前記切欠溝が嵌入され、各プレート式冷却器15,16を分解、組立、掃除をする際、前記冷却液体用熱交換プレートと被冷却液体用熱交換プレートとを支持、案内するようになっている。
【0015】
前記ガイドバー支柱25は、ボルト穴25aを有するフート25bに立設されて、前記冷却器本体14の取付フランジ14c,14dから各プレート式冷却器15,16の厚さ(取付フランジ14cと遊動フレーム20との間の距離)の2倍以上の間隔を隔てて配置され、前記ガイドバー26a,26bの外端部が取付ボルト27によりガイドバー支柱25に着脱可能に取り付けられている。
前記ガイドバー支柱25と組立状態にある前記遊動フレーム20との間の空間は、前記プレート式冷却器15,16の組立、分解スペースEを構成しており、前記遊動フレーム20、冷却液体用熱交換プレート、被冷却液体用熱交換プレートをガイドバー支柱25に接近移動させたときには、それらを切欠部26c,26dを介して、前記ガイドバー26a,26bから取り外すことができるようになっている。
【0016】
さらに、前記冷却器本体14には、前記冷却液体の導入口11aと前記第1のプレート式冷却器15の冷却液体入口18aとを連絡する冷却液体導入路28aと、前記冷却液体の導出口11bと第1のプレート式冷却器15の冷却液体出口18bとを連絡する冷却液体排出路28bと、前記第1の被冷却液体の導入口12aと第1のプレート式冷却器15の被冷却液体入口19aとを連絡する第1の被冷却液体導入路29aと、前記第1のプレート式冷却器15の被冷却液体出口19bと前記第2のプレート式冷却器16の冷却液体入口23aとを連絡する連絡流入路(第1の被冷却液体排出路)30と、第2のプレート式冷却器16の冷却液体出口23bと前記第1の被冷却液体の排出口12bとを連絡する第1の被冷却液体排出路(連絡流出路)31と、前記第2の被冷却液体の導入口13aと前記第2のプレート式冷却器16の第2の被冷却液体入口24aとを連絡する第2の被冷却液体導入路32と、前記第2の被冷却液体の導出口13bと前記第2のプレート式冷却器16の第2の被冷却液体出口24bとを連絡する第2の冷却液体排出路33とが設けられている。
【0017】
前記冷却器本体14は、鋳造品のブロックによって形成され、前記冷却液体導入路28aと、冷却液体排出路28bと、第1の被冷却液体導入路29aと、連絡流入路30と、第1の被冷却液体排出路31と、第2の被冷却液体導入路32と、第2の冷却液体排出路33とは互いに連通しないように前記ブロック内に独立して設けられている。
なお、前記冷却器本体14の正面に設けられた前記冷却液体導入管部11A、冷却液体導出管部11B、第1の被冷却液体導入管部12A、第1の被冷却液体導出管部12B、第2の被冷却液体導入管部13A、第2の被冷却液体導出管部13Bの端部には、内燃機関35の所要の機器に接続する配管用のフランジが設けられている。また、前記冷却器本体14の設置板14aには、四隅部に冷却器本体14を床面に固定するボルト用の取付穴34が設けられている。
【0018】
次に、前記実施の形態に係る内燃機関の冷却装置10の作用について、該冷却装置10を舶用内燃機関に適用した場合を図8をも参照して説明する。
図8において、35は主機関であり、過給機36からシリンダ内へ供給する給気を冷却する二段式空気冷却器37を備えると共に、船舶のスクリュに回転駆動力を伝達する減速機38を備えている。該減速機38には減速ギヤの潤滑油を冷却する減速機潤滑油冷却器38aが設けられている。また、主機関35には補機関39が併設されている。
【0019】
前記主機関35が設置された船舶の機関室には、主機関35に隣接して前記冷却装置10が設置され、その冷却器本体14の冷却液体導入管部11Aを、船舶の海水吸入箱40に連絡された海水ポンプ41を有する海水吸入配管w1に接続すると共に、冷却液体導出管部11Bを船舶外へ海水を排出する海水排出配管w2に接続する。また、冷却器本体14の第1の被冷却液体導入管部12Aを低温清水ポンプ42を有する低温清水戻り配管aに接続すると共に、第1の被冷却液体導出管部12Bを低温清水送り配管bに接続する。さらに、冷却器本体14の第2の被冷却液体導入管部13Aを主機関35の潤滑部(図示せず)からの潤滑油戻り配管c1に接続すると共に、第2の被冷却液体導出管部13Bを主機関35の潤滑部への潤滑油送り配管c2に接続する。
【0020】
前記低温清水送り配管bは、低温清水温調弁42を経て二段式空気冷却器37の低温側空気冷却器に分岐管b1で接続され、給気温調弁43を経て低温清水戻り管a1に連絡され、また、分岐管b2で前記減速機潤滑油冷却器38aに接続された後低温清水戻り管a2に連絡され、さらに、分岐管b3で補機関39に接続された後低温清水戻り管a3に連絡され、前記各低温清水戻り管a1,a2,a3は合流されてエアセパレータ44を経て前記低温清水戻り配管aに連絡されている。前記エアセパレータ44は清水膨張タンク45に接続されている。
【0021】
なお、前記主機関35には、高温清水ポンプ46によって前記二段式冷却器37の高温側空気冷却器と、シリンダやシリンダヘッドの水冷ジャケット等とに高温清水を循環させる高温清水冷却配管dが設けられている。該高温清水冷却配管dの主機関35からの出口には高温清水温調弁47が設けられ、その流出管d1が前記低温清水戻り管a1における給気温調弁43の下流側に連絡されている。
また、前記高温清水冷却配管dには高温清水温調弁47と高温清水ポンプ46との間に、前記清水膨張タンク45に連絡されたエアセパレータ48が設けられ、清水膨張タンク45の流出管49が高温清水ポンプ46と前記エアセパレータ48との間の高温清水冷却配管dに連絡されている。
【0022】
前記主機関35の運転中は、前記海水ポンプ41,低温清水ポンプ42、高温清水ポンプ46が運転され、海水ポンプ41によって海水吸入箱40から吸引され海水吸入配管w1に送り出された海水(冷却液体)が、冷却装置10における冷却器本体14の冷却液体の導入口11aから冷却液体導入路28aを通って第1のプレート式冷却器15の冷却液体入口18aに導かれ、冷却液体用熱交換プレートの冷却液体流路を経て冷却液体出口18bに至り、さらに、冷却液体排出路28bを通って冷却液体の導出口11bに導かれた後海水排出配管w2に流れて船外へ排出される。
【0023】
一方、低温清水ポンプ42によって低温清水戻り配管aを経て冷却装置10に送り込まれる低温清水(被冷却液体)が、冷却器本体14の第1の被冷却液体の導入口12aから第1の被冷却液体導入路29aを通って、第1のプレート式冷却器15の被冷却液体入口19aに導かれ、被冷却液体用熱交換プレートの被冷却液体流路を経て第1の被冷却液体出口19bに至る。その際に、前記低温清水は第1のプレート式冷却器15の冷却液体用熱交換プレートの冷却液体流路を流れる前記海水と熱交換して冷却される。この冷却された低温清水は、前記連絡流入路30を通って第2のプレート式冷却器16の冷却液体入口23aに導かれ、さらに、冷却液体用熱交換プレートの冷却液体流路を経て冷却液体出口23bに至り、前記第1の被冷却液体排出路31を通って第1の被冷却液体の導出口12bに導かれた後低温清水送り配管bに送り出される。
【0024】
他方、主機関35の所要の潤滑部を潤滑した潤滑油(第2の被冷却液体)が、潤滑油戻り配管c1によって冷却装置10に送られ、冷却器本体14の第2の冷却液体の導入口13aから第2の被冷却液体導入路32を経て第2のプレート式冷却器16の第2の被冷却液体入口24aに導かれ、さらに、被冷却液体用熱交換プレートの第2の被冷却液体流路を経て第2の被冷却液体出口24bに至る。その際に、前記潤滑油は第2のプレート式冷却器16の冷却液体用熱交換プレートの冷却液体流路を流れる前記低温清水と熱交換して冷却される。この冷却された潤滑油は前記第2の被冷却液体排出路33を通って第2の被冷却液体の導出口13bに導かれた後前記潤滑油送り配管c2に送り出され、主機関35の潤滑部に供給される。
【0025】
前記潤滑油を冷却して第1の被冷却液体の導出口12bから低温清水送り管bに送り出された低温清水は、その一部が低温清水温調弁42によって温度調節された後、分岐管b1を経て二段式空気冷却器37に送られて、給気温調弁43の制御のもとに過給機36から主機関35に送られる給気の温度調節に働いた後低温清水戻り管a1に送り出され、また、他の一部が分岐管b2を経て減速機潤滑油冷却器38aに送られて減速機38の潤滑油を冷却した後低温清水戻り管a2に送り出され、さらに、他の一部が分岐管b3を経て補機関39に送られて該補機関39の所要部分を冷却した後低温清水戻り管a3に送り出される。
【0026】
各部の冷却に働いて温度上昇して低温清水戻り管a1,a2,a3に送り出された低温清水は、合流された後エアセパレータ44で蒸気を清水膨張タンク45へ分離された後低温清水戻り配管aによって前記冷却装置10に送られる。
なお、清水膨張タンク45で蒸気を分離されて凝縮された後流出管49から送り出される清水と、低温清水戻り配管a中の低温清水の一部とが前記高温清水冷却配管dに混入されて高温清水の冷却に働く。
【0027】
前記冷却装置10を所定期間使用した後に分解、掃除をする場合には、前記第1、第2のプレート式冷却器15,16の二重ナット22を緩めて締付ボルト21を前記取付フランジ14c,14dと遊動フレーム20から外し、該遊動フレーム20をガイドバー支柱25の近くまで移動して上下のガイドバー26c,26dから離脱させる。しかる後、各冷却器15,16の各冷却液体用熱交換プレートと被冷却液体用熱交換プレートを外側のものから順に、内側のものと分離して、前記遊動フレーム20と同様にガイドバー支柱25側に移動して上下のガイドバー26c,26dから取り外して所要の清掃を行う。この分解、清掃作業は、冷却器本体14の両側にガイドバー支柱25との間に設けた前記組立、分解スペースEにおいて、冷却器本体14に接続される配管等に邪魔されることなく、容易に行える。
【0028】
この実施の形態に係る内燃機関の冷却装置10によれば、冷却器本体14の両側に異種の冷却器である第1のプレート式冷却器15と第2のプレート式冷却器16を連結すると共に、第1、第2のプレート式冷却器15,16の冷却液体入口18a,23a、出口18b,23b、第1、第2の被冷却液体入口19a,24a、出口19b,24bと、これらに対応して冷却器本体14に設けた冷却液体の導入口11a、導出口11b、第1、第2の被冷却液体導入口12a,13a、導出口12b,13bとを、それぞれ連絡する冷却液体導入路28a、排出路28b、第1、第2の被冷却液体導入路29,32、排出路31,33を前記冷却器本体14にまとめて設けた構成としたので、従来の冷却装置1のように異種の冷却器2,3を離れた場所に独立して設置して、それらの間に配管4を施す必要がなく、配管工数が少なくて済むと共に、冷却装置10の所要の据付スペースを小さくすることができ、その配置の自由度を高めることができる。
また、第1のプレート式冷却器15と第2のプレート式冷却器16とは冷却器本体14の左右に分離して設けられているので、それらの分解、掃除をそれぞれの所要時期に、単独に効率的に行うことができる。
【0029】
なお、前記実施の形態に係る内燃機関の冷却装置10においては、前記冷却器本体14を鋳造品によってブロックとして形成し、その中に、前記冷却液体導入路28a、冷却液体導出路28b、第1の被冷却液体導入路29、連絡流入路(第1の被冷却液体排出路)30、第1の被冷却液体排出路(連絡流出路)31、第2の被冷却液体導入路32、第2の被冷却液体排出路33からなる複数の液体流路を互いに連通しないようにして設けた構成としたが、本発明はこれに限らず、前記冷却器本体14の取付フランジ14c、14dの部分と、各管部11A,11B,12A,12B,13A,13Bを有する前面部との間に複数の独立した配管を溶接等によって結合して設け、それらの配管の内孔によって前記複数の液体流路を形成するようにしてもよい。
【0030】
また、前記実施の形態に係る内燃機関の冷却装置10においては、前記冷却器本体14に、第1のプレート式冷却器15の第1の被冷却液体出口19bと第2のプレート式冷却器16の冷却液体入口23aとを連絡流入路30で連絡するようにしたので、第1のプレート式冷却器15で海水によって冷却された低温清水(第1の被冷却液体)が第2のプレート式冷却器16で潤滑油(第2の被冷却液体)を冷却する冷却液体として使用される。したがって、第1のプレート式冷却器15は、冷却液体として海水を使用するので、チタン等の耐食性を有する高価な材料で構成することを余儀なくされるのに対して、第2のプレート式冷却器16では冷却器の材料に優しい低温清水が冷却液体として使用されるため、第2のプレート式冷却器16は第1のプレート式冷却器15の材料よりも安価なステンレス鋼等の材料で構成することができて、両方のプレート式冷却器15,16を高価な材料で構成する必要がなく、全体として冷却装置10を低廉に抑えることができる。
【0031】
しかし、本発明はこれに限らず、前記冷却器本体14の冷却液体排出路28bにおける冷却液体の導出口11b側を該排出口11bに連絡する代わりに、第2のプレート式冷却器16の冷却液体入口23aに連絡させると共に、前記連絡流入路30における第2のプレート式冷却器16の冷却液体入口23a側を該冷却液体入口23aに連絡する代わりに、前記冷却液体の導出口11bに連絡して、第2のプレート式冷却器16において潤滑油を低温清水で冷却する代わりに海水で冷却するようにしてもよい。
【0032】
また、前記実施の形態に係る内燃機関の冷却装置では、前記冷却器本体14の前面側に各管部11A,11B,12A,12B,13A,13Bを全て集中して設けるようにしたので、内燃機関35の冷却の所要部からの配管の接続作業が一箇所で集中して効率よく行うことができると共に、裏面側(図2で上面側)に配管用の空間が不要となり、冷却装置10の所要の据付スペースが少なくて済む利点があって好ましいが、これに限らず、前記管部11A,11B,12A,12B,13A,13Bの一部を必要に応じて冷却器本体14の裏面側に設けるようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の優れた効果を奏する。
請求項1に係る内燃機関の冷却装置によれば、冷却器本体の両側に異種の冷却器である第1のプレート式冷却器と第2のプレート式冷却器を冷却器本体の反対側から締付ボルトで連結すると共に、各プレート式冷却器の冷却液体入口、出口、被冷却液体入口、出口と、これらに対応して冷却器本体に設けた冷却液体の導入口、導出口、被冷却液体導入口、導出口とを、それぞれ連絡する冷却液体導入路、排出路、被冷却液体導入路、排出路を前記冷却器本体に設けた構成としたので、従来の冷却装置のように異種の冷却器を離れた場所に独立して設置して、それらの間に配管を施す必要がなく、配管工数が少なくて済むと共に、冷却装置の所要の据付スペースを小さくすることができ、その配置の自由度を高めることができる。また、第1のプレート式冷却器と第2のプレート式冷却器とは冷却器本体の左右に分離して設けられているので、それらの分解、掃除をそれぞれの所要時期に、単独に効率的に行うことができる。
【0034】
請求項2に係る内燃機関の冷却装置によれば、第1のプレート式冷却器において冷却液体で冷却された第1の被冷却液体を、第2のプレート式冷却器に冷却液体として流して第2の被冷却液体を冷却することができるので、第1のプレート式冷却器の冷却液体として、海水のように腐食性等を有する冷却水を使用する場合、前記第1のプレート式冷却器は耐食性を有する高価な材料で構成することを余儀なくされるが、第2のプレート式冷却器では冷却器の材料に優しい第1の被冷却液体が冷却液体として使用され、このため、第2のプレート式冷却器は第1のプレート式冷却器に比較して安価な材料で構成することができて、全体として冷却装置を低廉に抑えることができる。
【0035】
請求項3に係る内燃機関の冷却装置によれば、第1のプレート式冷却器と第2のプレート式冷却器の外側の位置に、それぞれ、プレート式冷却器の複数個の熱交換プレートを相互に積層、分離可能とする組立、分解スペースを設けたので、第1、第2のプレート式冷却器の分解、掃除を、冷却器本体に接続される配管等に邪魔されることなく、それぞれ容易に行うことができる。
【0036】
請求項4に係る内燃機関の冷却装置によれば、冷却液体の導入口、導出口、第1の被冷却液体の導入口、導出口および第2の被冷却液体の導入口、導出口を、冷却器本体の正面側に配置したので、内燃機関の冷却の所要部からの配管の接続作業が一箇所で集中して効率よく行うことができると共に、冷却器本体の裏面側に配管用の空間が不要となり、冷却装置の所要の据付スペースが少なくて済む利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る内燃機関の冷却装置を示す正面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 同じく側面図である。
【図4】 図1のイ−イ断面図である。
【図5】 図1のロ−ロ断面図である。
【図6】 図1のハ−ハ断面図である。
【図7】 図1のニ−ニ断面図である。
【図8】 本発明の一実施の形態に係る内燃機関の冷却装置を適用した内燃機関の冷却系統図である。
【図9】 従来の内燃機関の冷却装置を示す系統図である。
【符号の説明】
1,10 冷却装置
11a 冷却液体の導入口
11b 冷却液体の導出口
12a 第1の被冷却液体の導入口
12b 第1の被冷却液体の導出口
13a 第2の被冷却液体の導入口
13b 第2の被冷却液体の導出口
14 冷却器本体
15 第1のプレート式冷却器
16 第2のプレート式冷却器
18a,23a 冷却液体入口
18b、23b 冷却液体出口
19a 第1の被冷却液体入口
19b 第1の被冷却液体出口
21 締付ボルト
24a 第2の被冷却液体入口
24b 第2の被冷却液体出口
25 ガイドバー支柱
26a,26b ガイドバー
28a 冷却液体導入路
28b 冷却液体排出路
29 第1の被冷却液体導入路
30 連絡流入路(第1の被冷却液体排出路)
31 第1の被冷却液体排出路(連絡流出路)
32 第2の被冷却液体導入路
33 第2の被冷却液体排出路
35 主機関
37 二段式空気冷却器
38a 減速機潤滑油冷却器
40 海水吸入箱
41 海水ポンプ
42 低温清水ポンプ

Claims (4)

  1. 冷却液体の導入口、導出口、第1の被冷却液体の導入口、導出口および第2の被冷却液体の導入口、導出口を設けた冷却器本体と、該冷却器本体の一側に連結され、冷却液体で第1の被冷却液体を冷却する第1のプレート式冷却器と、前記冷却器本体の他側に連結され、冷却液体で第2の被冷却液体を冷却する第2のプレート式冷却器とを備えた内燃機関の冷却装置において、
    前記第1のプレート式冷却器と前記第2のプレート式冷却器とは、前記冷却器本体の左右に分離して設けられるとともに、前記冷却器本体の反対側から締付ボルトによって前記冷却器本体に連結され、
    前記冷却器本体には、前記冷却液体の導入口から第1のプレート式冷却器における冷却液体入口に冷却液体を導く冷却液体導入路と、第1のプレート式冷却器における冷却液体出口から前記冷却液体の導出口に冷却液体を導く冷却液体排出路と、前記第1の被冷却液体の導入口から第1のプレート式冷却器における被冷却液体入口に第1の被冷却液体を導く第1の被冷却液体導入路と、第1のプレート式冷却器における被冷却液体出口から前記第1の被冷却液体の導出口に第1の被冷却液体を導く第1の被冷却液体排出路と、前記第2の被冷却液体の導入口から第2のプレート式冷却器における被冷却液体入口に第2の被冷却液体を導く第2の被冷却液体導入路と、前記第2のプレート式冷却器における被冷却液体出口から前記第2の被冷却液体の導出口に第2の被冷却液体を導く第2の被冷却液体排出路と、第2のプレート式冷却器における冷却液体入口に冷却液体を導入する冷却液体流入路と、第2のプレート式冷却器における冷却液体出口から冷却液体を導出する冷却液体流出路とを設けたことを特徴とする内燃機関の冷却装置。
  2. 前記冷却液体流入路は、前記第1の被冷却液体排出路における前記第1のプレート式冷却器の被冷却液体出口と第2のプレート式冷却器の冷却液体入口とを連絡する連絡流入路であり、前記冷却液体流出路は、前記第1の被冷却水排出路における前記第2のプレート式冷却器の冷却液体出口と前記第1の被冷却液体の導出口とを連絡する連絡流出路であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の冷却装置。
  3. 前記第1のプレート式冷却器と第2のプレート式冷却器の、冷却器本体から離れた外側の位置には、それぞれ、各プレート式冷却器の複数個の熱交換プレートを相互に積層、分離可能とする組立、分解スペースが設けられていることを特徴とする請求項またはに記載の内燃機関の冷却装置。
  4. 前記冷却器本体の冷却液体の導入口、導出口、第1の被冷却液体の導入口、導出口および第2の被冷却液体の導入口、導出口は、冷却器本体の正面側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の冷却装置。
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