JP4197857B2 - 車両の空気バネ式懸架装置および差圧弁 - Google Patents
車両の空気バネ式懸架装置および差圧弁 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両等に備えられる空気バネ式懸架装置およびこれに好適な差圧弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の空気バネ式懸架装置として4点支持方式のものは、図6に示すように、車軸を懸架する左右の第一、第二空気バネ11,12を備え、第一、第二空気バネ11,12に導かれる空気圧力が高さ調整弁13を介して調整され、車高が自動的に調整される。
【0003】
第一、第二空気バネ11,12の一方がエア漏れしたときに対処して、第一、第二空気バネ11,12の圧力差に応じて両者を連通する差圧弁ユニット10を備える。差圧弁ユニット10は第一、第二空気バネ11,12のうち正常な空気バネの高い圧力をエア漏れした空気バネへと導き、車体が大きく傾かないようになっている。
【0004】
図7は従来の差圧弁ユニット10を示すもので、この差圧弁ユニット10は同一構成の一対の差圧弁1,2を備える。差圧弁1,2は、左右に配置された第一、第二空気バネ11,12を連通する連通路3と、連通路3を開閉する弁体6と、弁体6が着座するバルブシート5と、弁体6をバルブシート5に押し付けるスプリング4とを備える。
【0005】
右側の差圧弁1において、弁体6の背後に画成される背圧室14は図示しない切り欠きを介してバルブシート5より第一空気バネ11側に位置する連通路3に連通している。弁体6は、弁体6を閉じ側に付勢する第一空気バネ11の圧力P1を受ける閉じ側受圧面8と、弁体6を開き側に付勢する第二空気バネ12の圧力P2を受ける開き側受圧面9とを有する。なお、バルブシート5より外側に位置した部位に作用する開き側と閉じ側の圧力は互いに相殺される。このため、弁体6の下部において第二空気バネ12の圧力P2を受ける開き側有効受圧面積は、弁体6の上部において第一空気バネ11の圧力P1を受ける閉じ側有効受圧面積と等しく、バルブシート5の開口面積A3となる。
【0006】
差圧弁1は以上のように構成されて、弁体6を閉じ側に付勢する力はスプリング4の付勢力Fと第一空気バネ11の圧力P1による付勢力P1×A3の和となる。ところで、一方、弁体6を開き側に付勢する力は第二空気バネ12の圧力P2による付勢力P2×A3となるため、P2×A3>F+P1×A3になると差圧弁1が開く。したがって、弁体6が開く第一、第二空気バネ11,12の差圧ΔP(=P2−P1)はF/A3(定数)となり、当該差圧ΔPが設定値F/A3を超えると差圧弁1が開く。
【0007】
このようにして、差圧弁1は第一空気バネ11がエア漏れして、第一、第二空気バネ11,12の差圧ΔPが設定値F/A3を超えると開弁して連通路3を開通し、正常な第二空気バネ12の高い圧力をエア漏れした第一空気バネ11へと導き、車体が大きく傾かないようになっている。
【0008】
差圧弁2も同様の構造を有しており、第二空気バネ12がエア漏れした場合に開弁して連通路3を開通し、正常な第一空気バネ11の高い圧力をエア漏れした第二空気バネ12へと導き、車体が大きく傾かないようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、鉄道車両の線路が曲がるカーブの所では、車両の遠心力が作用するため、カーブ外側のレールがカーブ内側のレールより高くなるようにレール高さを相違させるカント量が設定されている。これにより、内側と外側の荷重差を解消している。
【0010】
カント量が設定されたカーブを車両が低速で走行したり停車するような場合、図8に示すように車両の遠心力が小さくなるのに伴って内側の荷重が大きくなる。このため、左右の第一、第二空気バネ11,12の差圧ΔPが大きくなり、これが設定値F/A3を超えると差圧弁1が開弁し、車体がさらに大きく傾いてしまうカント負け現象が起きることが知られている(例えば、特公昭57−59106号公報参照)。
【0011】
しかしながら、上記従来の差圧弁1,2を備える空気バネ式懸架装置にあっては、第一、第二空気バネ11,12の差圧ΔPが設定値F/A3を超えると一義的に開く構造となっていたため、車重が大きいほど車体が静的に傾いたときの差圧ΔPが早く上昇し、カント負け現象が起きやすいという問題点があった。
【0012】
そこで、カント負け現象を防止する対策として、設定値F/A3を大きく設定して、差圧弁1,2が開く第一、第二空気バネ11,12の差圧ΔPを大きくすることが考えられるが、その場合に車重が小さい走行時に第一、第二空気バネ11,12の差圧が大きくなっても、第一、第二空気バネ11,12が連通せず、輪重アンバランスが大きくなるという問題点が生じる。
【0013】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、車重に応じて差圧弁が開く差圧ΔPを高められる車両の空気バネ式懸架装置およびこれに好適な差圧弁を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、車軸を懸架する左右の空気バネと、各空気バネを連通する連通路とを備え、各空気バネの圧力差に応じて連通路を開閉する一対の差圧弁を並列に備える車両の空気バネ式懸架装置に適用する。
【0015】
そして、差圧弁は、弁体を閉じ側に付勢する一方の空気バネの圧力を受ける閉じ側ダイヤフラムと、弁体を開き側に付勢する一方の空気バネの圧力を受ける開き側ダイヤフラムとを設け、閉じ側ダイヤフラムの受圧面積を開き側ダイヤフラムの受圧面積と異なって設定し、前記弁体を閉じ側に付勢するスプリングを設け、前記弁体を着座させるバルブシートの開口面積を前記開き側ダイヤフラムの受圧面積と略等しく形成したことを特徴とするものとした。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、開き側ダイヤフラムに作用する圧力を閉じ側ダイヤフラムへ導くパイロット圧導入孔を、前記弁体を貫通して形成したことを特徴とするものとした。
【0017】
第3の発明は、圧力P1側と圧力P2側との連通路を圧力P1と圧力P2との圧力差に応じて開閉する差圧弁において、弁体を閉じ側に付勢する圧力P1を受ける閉じ側ダイヤフラムと、弁体を開き側に付勢する圧力P1を受ける開き側ダイヤフラムとを設け、閉じ側ダイヤフラムの受圧面積A1を開き側ダイヤフラムの受圧面積A2と異なって設定し、前記弁体を閉じ側に付勢するスプリングを設け、前記弁体を着座させるバルブシートの開口面積A3を前記開き側ダイヤフラムの受圧面積A2と略等しく形成したことを特徴とするものとした。
【0018】
第4の発明は、第3の発明において、開き側ダイヤフラムに作用する圧力P1を閉じ側ダイヤフラムへ導くパイロット圧導入孔を、前記弁体を貫通して形成したことを特徴とするものとした。
【0019】
【発明の作用および効果】
第1の発明によると、差圧弁は空気バネの圧力が上昇するのに伴って差圧弁が開く差圧を高められ、車重増大時にカント負け現象を防止するとともに、車重減少時に輪重アンバランスを抑えられ、車体が大きく傾くことを防止できる。
【0020】
また、各ダイヤフラムの受圧面積差に応じて差圧弁の開弁特性を任意に設定できる。また、ダイヤフラムを介して受圧面積差を持たせる構造により、弁体のフリクションが増加することを抑えられる。
【0021】
また、弁体を着座させるバルブシートの開口面積を開き側ダイヤフラムの受圧面積と略等しく形成したことにより、差圧弁の開弁特性と閉弁特性を等しくすることができる。これにより、差圧弁の開弁特性と閉弁特性が車重に応じて等しく変化する空気バネ圧特性と相まって、カント負け現象を防止するとともに、輪重アンバランスを抑え、車体が大きく傾かないようにする効果を高められる。
【0022】
第2の発明によると、弁体にパイロット圧導入孔を形成したことにより、構造の簡素化がはかれる。
【0023】
第3の発明によると、差圧弁は空気バネの圧力P1が上昇するのに伴って差圧弁が開く差圧を高められる。また、各ダイヤフラムの受圧面積差に応じて差圧弁の開弁特性を任意に設定できる。また、弁体を着座させるバルブシートの開口面積A3を開き側ダイヤフラムの受圧面積A2と略等しく形成したことにより、差圧弁の開弁特性と閉弁特性を等しくすることができる。また、ダイヤフラムを介して受圧面積差を持たせる構造により、弁体のフリクションが増加することを抑えられる。
【0024】
第4の発明によると、弁体にパイロット圧導入孔を形成したことにより、構造の簡素化がはかれる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は4点支持方式の空気バネ式懸架装置に備えられる本発明の差圧弁ユニットを示している。
【0027】
この差圧弁ユニット10は一対の差圧弁1,2を備える。差圧弁1は、左右に配置された第一、第二空気バネを連通する連通路3と、連通路3を開閉する弁体6と、弁体6が着座するバルブシート5と、弁体6をバルブシート5に押し付けるスプリング4とを備える。
【0028】
弁体6の背後に画成される上側背圧室14は弁体6を貫通して設けたT字形のパイロット圧導入孔36を介して連通路3のバルブシート5より第一空気バネ側に連通している。
【0029】
弁体6と本体20の間に受圧面積が大小異なる一対のダイヤフラム17,18が並んで介装される。各ダイヤフラム17,18の間に大気圧室19が画成され、この大気圧室19には通孔35を介して大気圧が導かれる。閉じ側ダイヤフラム18は上側背圧室14に面して介装され、弁体6を閉じ側に付勢する第一空気バネの圧力P1を受ける閉じ側受圧面8を構成する。開き側ダイヤフラム17は連通路3に連通した下側背圧室15に面して介装され、弁体6を開き側に付勢する第一空気バネの圧力P1を受ける開き側受圧面9を構成する。
【0030】
このように弁体6がバルブシート5に着座した閉弁時で、開き側受圧面9に第一空気バネの圧力P1と第二空気バネの圧力P2がそれぞれ作用し、弁体6を開き側に付勢する。そして、閉じ側受圧面8に第一空気バネの圧力P1が作用し、弁体6を閉じ方向に付勢する。
【0031】
ここで、第二空気バネの圧力P2を受ける開き側受圧面9の有効受圧面積は、バルブシート5の開口面積A3となる。そして、次に、第一空気バネの圧力P1を受ける閉じ側受圧面8の受圧面積をA1、開き側受圧面9の受圧面積をA2とする。
【0032】
いま、開き側受圧面9のうち、第一空気バネの圧力P1が弁体6に作用する開き側有効受圧面積は、A2−A3となる。したがって、弁体6を閉じ側に付勢する第一空気バネの圧力P1を受ける閉じ側有効受圧面積は、A1−(A2−A3)となる。
【0033】
そして本発明の要旨とするところであるが、差圧弁1において弁体6を閉じ側に付勢する第一空気バネの圧力P1を受ける閉じ側有効受圧面積A1−(A2−A3)を弁体6を開き側に付勢する第二空気バネの圧力P2を受ける開き側有効受圧面積A3より大きく設定する。
【0034】
次に、図2を参照されたい。前記した開き側ダイヤフラム17の外周部は押さえリング21とスペーサ22の間に挟持される。閉じ側ダイヤフラム18の外周部は押さえリング23とスペーサ22の間に挟持される。押さえリング23の開口径は押さえリング21の開口径より大きく形成されている。これにより、閉じ側ダイヤフラム18を含む閉じ側受圧面8の受圧面積A1が開き側ダイヤフラム17を含む開き側受圧面9の受圧面積A2より大きく形成される。
【0035】
差圧弁1は以上のように構成されて、弁体6を開き側に付勢する力は以下の2つの力の和となる。すなわち、第二空気バネの圧力P2による付勢力P2×A3と第一空気バネの圧力P1による付勢力P1×(A2−A3)である。一方、弁体6を閉じ側に付勢する力はスプリング4の付勢力Fと第一空気バネの圧力P1による付勢力P1×A1の和である。したがって、差圧弁1に作用する力は大気圧を無視すると次式の関係となる。
P1×(A2−A3)+P2×A3=P1×A1+F …(1)
ここで、差圧弁1が開くときの差圧ΔPとすると、そのときの第一、第二空気バネの差圧ΔP=P2−P1として、P2=P1+ΔPを(1)式に代入してまとめると次のようになる。
P1×(A2−A3)+(P1+ΔP)×A3=P1×A1+F
P1×A2+ΔP×A3=P1×A1+F
ΔP×A3=(A1−A2)×P1+F
∴ΔP={(A1−A2)/A3}×P1+F/A3 …(2)
いま、A1、A2、A3、Fは定数とみなせるので、a=(A1−A2)/A3、b=F/A3とおくと、(1)式は次式で表される。
ΔP=a×P1+b …(3)
つまり、従来例では、ΔP=b(=F/A3=定数)とであるのに対し、本発明では、従来例と比較して、右辺における第1項(a×P1)が付加されたものである点に注意されたい。
【0036】
したがって、(3)式より、差圧弁1が開く差圧ΔPは、例えば図3に示すように、第一空気バネの圧力P1を変数とする一次関数である。したがって、車重が増大するのに応じて第一空気バネの圧力P1が上昇すると、差圧弁1が開く差圧ΔPを高めることができる。
【0037】
ところで、前述したとおり、鉄道車両の線路が曲がるカーブの所では、カープ外側と内側でレール高さを相違させるカント量が設定されているため、カーブを車両が低速で走行したり、停車するような場合、図7に示すように、車両の遠心力が小さくなるのに伴ってカーブ内側の荷重が大きくなり、差圧ΔPが上昇する。そして、車重が大きいほど車体が静的に傾いたときの差圧ΔPが大きくなる。
【0038】
これ対処して本発明は上述したとおり車重が大きいほど差圧弁1が開く差圧ΔPが増大する構成としたため、車体が静的に傾いたときに差圧弁1が開くカント負け現象を防止し、車体が大きく傾くことを回避できる。
【0039】
また、車重が小さいと第一空気バネの圧力P1が小さく、走行時に差圧弁1が開く第一、第二空気バネの差圧ΔPが小さくなる。このため、第一空気バネがエア漏れが生じても、直ちに差圧弁1が開弁して連通路3を開通し、正常な第二空気バネの高い圧力をエア漏れした第一空気バネへと導き、輪重アンバランスを抑えられ、車体が大きく傾くことを回避できる。
【0040】
なお、差圧弁2も同様の構造を有しており、カント負け現象を防止するとともに、輪重アンバランスを抑え、車体が大きく傾かないようにする。
【0041】
次に図4に示す他の実施の形態を説明する。なお、前記実施の形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0042】
差圧弁1において、弁体6は背圧室25を画成するピストン部26を有し、背圧室25が連通路3を介して第一空気バネ側に連通している。ピストン部26の外周部には本体20に摺接するシール材24が介装される。
【0043】
弁体6には連通路3を画成するT字形のパイロット圧導入孔27と切り欠き28が形成される。パイロット圧導入孔27の途中にはチェック弁29が介装される。チェック弁29は弁体6がバルブシート5に着座した状態で閉弁しており、弁体6がバルブシート5からリフトするのに伴って第二空気バネ側の圧力P2により開く。
【0044】
弁体6の途中にはピストン部26の背後に大気圧室30が画成され、この大気圧室30には通孔31を介して大気圧が導かれる。
【0045】
弁体6は、ピストン部26に弁体6を閉じ側に付勢する第一空気バネの圧力P1を受ける閉じ側受圧面32を有し、その有効受圧面積はピストン部26の端部面積A4となる。弁体6は、弁体6を開き側に付勢する第二空気バネの圧力P2を受ける開き側受圧面9とを有し、その有効受圧面積はバルブシート5の開口面積A3となる。
【0046】
そして本発明の要旨とするところであるが、差圧弁1において、弁体6を閉じ側に付勢する第一空気バネの圧力P1を受ける閉じ側有効受圧面積A4を弁体6を開き側に付勢する第二空気バネの圧力P2を受ける開き側有効受圧面積A3より大きく設定する。
【0047】
差圧弁1は以上のように構成されて、弁体6を開き側に付勢する力は第二空気バネの圧力P2による付勢力P2×A3となる。一方、弁体6を閉じ側に付勢する力はスプリング4の付勢力Fと第一空気バネの圧力P1による付勢力P1×A4の和となる。したがって、差圧弁1に作用する力は、大気圧を無視すると次式の関係となる。
P2×A3=P1×A4+F …(4)
ここで、差圧弁1が開くときの差圧ΔPとすると、そのときの第一、第二空気バネの差圧ΔP=P2−P1として、P2=P1+ΔPを(4)式に代入してまとめると次のようになる。
(P1+ΔP)×A3=P1×A4+F
P1×A3+ΔP×A3=P1×A4+F
ΔP×A3=P1×A4−P1×A3+F
ΔP×A3=P1×(A4−A3)+F
∴ΔP=P1×{(A4−A3)/A3}+F/A3
いま、A3、A4、Fは定数とみなせるので、a=A4−A3)/A3、b=F/A3とおくと、(4)式は前記実施の形態と同様に次式で表される。
ΔP=a×P1+b
これにより、差圧弁1は第一空気バネの圧力P1が上昇するのに伴って差圧弁1が開く差圧ΔPを高められ、車重増大時にカント負け現象を防止するとともに、車重減少時に輪重アンバランスを抑えられ、車体が大きく傾くことを防止できる。
【0048】
なお、差圧弁2も同様の構造を有しており、カント負け現象を防止しつつ、輪重アンバランスを抑えられ、車体が大きく傾かないようにする。
【0049】
本実施の形態では、背圧室25を弁体6と一体形成されたピストン部26によって画成するため、構造を簡素化して、製品のコストダウンがはかれる。
【0050】
ところで、前記実施の形態では、弁体6がバルブシート5に着座した閉弁時に差圧弁1が開く開弁特性と、弁体6がバルブシート5から離れた開弁時に差圧弁1が閉じる閉弁特性とが異なり、所期の効果が得られない可能性があった。
【0051】
そこで、他の実施の形態として、図5に示す差圧弁1は弁体6がバルブシート5から離れる開弁特性と弁体6がバルブシート5に着座する閉弁特性が略等しくなるように構成したものである。
【0052】
具体的には、弁体6がバルブシート5の開口面積A3と、弁体6がバルブシート5から離れた開弁時に下側背圧室15の圧力を受ける開き側受圧面9の有効受圧面積A2とを略等しくなるように、バルブシート5および開き側ダイヤフラム17の寸法を設定する。
【0053】
この場合も、差圧弁1は前述したように、弁体6がバルブシート5に着座した閉弁時において、弁体6を開き側に付勢する力は以下の2つの力の和となる。すなわち、第二空気バネの圧力P2による付勢力P2×A3と第一空気バネの圧力P1による付勢力P1×(A2−A3)である。一方、弁体6を閉じ側に付勢する力はスプリング4の付勢力Fと第一空気バネの圧力P1による付勢力P1×A1の和である。したがって、差圧弁1に作用する力は大気圧を無視すると次式の関係となる。
P1×(A2−A3)+P2×A3=P1×A1+F …(1)
ここで、差圧弁1が開くときの差圧をΔPとすると、そのときの第一、第二空気バネの差圧ΔP=P2−P1として、P2=P1+ΔPを(1)式に代入してまとめると次のようになる。
P1×(A2−A3)+(P1+ΔP)×A3=P1×A1+F
P1×A2+ΔP×A3=P1×A1+F
ΔP×A3=(A1−A2)×P1+F
∴ΔP={(A1−A2)/A3}×P1+F/A3 …(2)
この閉弁時に差圧弁1が開くときの差圧ΔPを開弁特性f(x)とすると、f(x)は次式で表される。
f(x)=ΔP={(A1−A2)/A3}×P1+F/A3 …(5)
次に、弁体6がバルブシート5から離間したときに弁体6に働く力の平衡式を導く。弁体6がバルブシート5から離れた開弁時において、弁体6を開き側に付勢する力は第二空気バネの圧力P2による付勢力P2×A2となる。一方、弁体6を閉じ側に付勢する力はスプリング4の付勢力Fと第一空気バネの圧力P1による付勢力P1×A1の和である。したがって、差圧弁1に作用する力は大気圧を無視すると次式の関係となる。
P2×A2=P1×A1+F …(6)
ここで、差圧弁1が閉じる差圧をΔPとすると、そのときの第一、第二空気バネの差圧ΔP=P2−P1として、P2=P1+ΔPを(6)式に代入してまとめると次のようになる。
(P1+ΔP)×A2=P1×A1+F
P1×A2+ΔP×A2=P1×A1+F
ΔP×A2=P1×A1−P1×A2+F
∴ΔP={(A1−A2)/A2}×P1+F/A2 …(7)
この開弁時に差圧弁1が閉じるときの差圧ΔPを閉弁特性g(x)とすると、g(x)は次式で表される。
g(x)=ΔP={(A1−A2)/A2}×P1+F/A2 …(8)
(5)式と(8)式から、A3=A2となるようにバルブシート5および開き側ダイヤフラム17の寸法を設定することにより、開弁特性f(x)と閉弁特性g(x)を等しくすることができる。これにより、差圧弁1の開弁特性f(x)と閉弁特性g(x)が車重に応じて等しく変化する空気バネ圧特性と相まって、カント負け現象を防止するとともに、輪重アンバランスを抑え、車体が大きく傾かないようにする効果を高められる。
【0054】
また、差圧弁1に要求される特性によっては、図5に破線で示すように、バルブシート5の開口面積A3を、弁体6の開き側有効受圧面積A2より大きくなるように、バルブシート5および開き側ダイヤフラム17の寸法を設定することも考えられる。すなわち、差圧弁1の開弁特性f(x)と閉弁特性g(x)を任意に変更することが可能となる。
【0055】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す差圧弁ユニットの断面図。
【図2】同じく差圧弁ユニットの一部を拡大した断面図。
【図3】同じく第二空気バネの圧力P2と差圧弁が開く差圧ΔPの関係を示す特性図。
【図4】他の実施の形態を示す差圧弁ユニットの断面図。
【図5】さらに他の実施の形態を示す差圧弁の断面図。
【図6】従来例を示す空気バネ式懸架装置の構成図。
【図7】同じく差圧弁ユニットの断面図。
【図8】同じくカント負け現象の説明図。
【符号の説明】
1 差圧弁
2 差圧弁
3 連通路
4 スプリング
5 バルブシート
6 弁体
8 閉じ側受圧面
9 開き側受圧面
10 差圧弁ユニット
17 ダイヤフラム
18 ダイヤフラム
26 ピストン部
36 パイロット圧導入孔
Claims (4)
- 車軸を懸架する左右の空気バネと、
各空気バネを連通する連通路とを備え、
各空気バネの圧力差に応じて連通路を開閉する一対の差圧弁を並列に備える車両の空気バネ式懸架装置において、
差圧弁は、弁体を閉じ側に付勢する一方の空気バネの圧力を受ける閉じ側ダイヤフラムと、
弁体を開き側に付勢する一方の空気バネの圧力を受ける開き側ダイヤフラムとを設け、
閉じ側ダイヤフラムの受圧面積を開き側ダイヤフラムの受圧面積と異なって設定し、
前記弁体を閉じ側に付勢するスプリングを設け、
前記弁体を着座させるバルブシートの開口面積を前記開き側ダイヤフラムの受圧面積と略等しく形成したことを特徴とする車両の空気バネ式懸架装置。 - 開き側ダイヤフラムに作用する圧力を閉じ側ダイヤフラムへ導くパイロット圧導入孔を、前記弁体を貫通して形成したことを特徴とする請求項1に係る車両の空気バネ式懸架装置。
- 圧力P1側と圧力P2側との連通路を圧力P1と圧力P2との圧力差に応じて開閉する差圧弁において、
弁体を閉じ側に付勢する圧力P1を受ける閉じ側ダイヤフラムと、
弁体を開き側に付勢する圧力P1を受ける開き側ダイヤフラムとを設け、
閉じ側ダイヤフラムの受圧面積A1を開き側ダイヤフラムの受圧面積A2と異なって設定し、
前記弁体を閉じ側に付勢するスプリングを設け、
前記弁体を着座させるバルブシートの開口面積A3を前記開き側ダイヤフラムの受圧面積A2と略等しく形成したことを特徴とする差圧弁。 - 開き側ダイヤフラムに作用する圧力P1を閉じ側ダイヤフラムへ導くパイロット圧導入孔を、前記弁体を貫通して形成したことを特徴とする請求項3に係る差圧弁。
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