JP4197613B2 - 防盗用インクパック装置及びこれを備えた貴重品保管庫 - Google Patents

防盗用インクパック装置及びこれを備えた貴重品保管庫 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は防盗用インクパック装置及びこれを備えた貴重品保管庫に係り、特に紙幣等の貴重品を保管する貴重品保管庫の内部に取り付けられ使用され、貴重品保管庫の扉が不正に開かれた場合に動作してインクを噴射させて貴重品に印しをつける防盗用インクパック装置、及びこれを備えた貴重品保管庫に関する。
【0003】
ここで、貴重品保管庫とは、持ち運び可能であるケース及び建物に備付けの金庫等貴重品を保管するものの全部を含む。
【従来の技術】
【0004】
紙幣及び金券等の貴重品を保管する貴重品保管庫には、強盗しようとする意欲を減退させることによって盗難を防止する装置が備えてある。
【0005】
一つの盗難防止装置は、扉が不正に開けられた場合に、ブザーを鳴らして警報音を発生させるものである。しかし、この装置は、警報音が何のための音なのか認知されていないため、盗難防止に効果的でない。また、ブザーの電源として電池を使用しているため、セットしてある電池が寿命となっている場合には、扉が不正に開かれた場合にブザーが鳴らないという問題点があった。
【0006】
別の盗難防止装置は、扉が不正に開けられた場合に、特殊なインクによって紙幣を汚損させ、紙幣を流通不能とするものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば特開平6−108741号公報には、インクタンクと、散布パイプと、発熱線と、電池とを有し、電池が組み込まれており、扉が不正に開けられた場合に、発熱線が通電されて発熱し、散布パイプが融解され、インクが自重で漏れ出して、紙幣を汚損させる構成の装置が示されている。しかし、この装置では、セットしてある電池が寿命となっている場合には、扉が不正に開かれた場合でも発熱線が発熱せず、インクが流出しなくなってしまう。
【0008】
また、特開平4−98387号公報に示すように、特殊なインクが封入してあるインク袋を貴重品保管庫の天板の下面に取り付け、インク袋の下側に、針が植えてある揺動杆を配置し、揺動杆をばねによって付勢させ、扉が不正に開けられた場合に、ばねの力で揺動杆が動かされて、針がインク袋に孔を開け、インクが自重で漏れ出して、紙幣を汚損させる構成の装置が示されている。この装置では電池を使用していないため、電池の寿命の問題はない。しかし、インクは自重で漏れ出るものであるため、勢いがなく、紙幣を汚損する仕方が激しくなく、一部の紙幣は汚損を免れてしまう虞れもあった。
【0009】
また、特開平6−108741号公報及び特開平4−98387号公報に示されている装置は、モジュール化されてはいない。よって、貴重品保管庫の組立てが面倒となってしまう。また、貴重品保管庫のサイズの大きくなってしまう。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、紙幣等の貴重品を保管する貴重品保管庫の内部に取り付けられて使用され、貴重品保管庫の扉が不正に開かれた場合に紙幣が盗難品であると識別するためのインクの印しを付ける動作及び保管されている全部の紙幣をインクでひどく汚損させる動作が高い信頼性で行われるようにした防盗用インクパック装置を提供することを総括的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、本発明は、前面板にインク噴射口を有するケースの内部に、袋内にインクが入っているインクパックと、インクパックと刃とが接近するように付勢すると共に、該インクパックに圧力を付勢するばねと、該インクパックを破る刃と、係止して該インクパックと該刃とを離れた状態に支持しており、外力を作用されたときに、係止が解除される係止機構とを有し、該係止機構の係止が解除されると、上記ばねのばね力によって、インクパックと刃とが接近してインクパックが刃によって破られ、且つインクパックが圧力を付勢されて、上記インク噴射口からインクが噴射する構成としたものである。
インクパックを破るための力及びインクを噴射させる力を共に、ばねの力でもってまかなっているため、電源を利用した構成に比べて、動作の信頼性が高く、且つ製造のコストが安い。また、ばねの力でもってインクを噴射させる構成であるため、防盗用インクパック装置をどのような向きに設置しても、インクの噴射が勢い良く行われる。即ち、設置の自由度が高く、且つインクの噴射性が良い。インクの噴射が勢い良くなされるため、貴重品保管庫内に保管されている全部の紙幣を流通不能な状態にまでひどく汚損させることが可能である。
【0012】
また、防盗用インクパック装置はユニット化されているため、貴重品保管庫を容易に組立てられるようにすること及び小型にすることが可能となる。
【0013】
本発明は、インクパック内の略全部のインクが噴射するようにした防盗用インクパック装置を提供することを目的とする。
【0014】
この目的を達成するために、本発明は、インクパックの背面側を押し板によって押すようにしたものである。
【0015】
押し板はインクパックの全体を潰し、インクパック内の略全部のインクが噴射される。
【0016】
また、本発明は、紙幣等の貴重品を保管する貴重品保管庫の扉が不正に開かれた場合に貴重品が盗難品であると識別するためのインクの印しを付ける動作が高い信頼性で行われるようにした貴重品保管庫を提供することを目的とする。
【0017】
この目的を達成するために、本発明は、内部にクレイム1乃至6のうち何れか記載の防盗用インクパック装置が取り付けてある箱本体と、回動させて開く扉と、該扉をロックしており、扉を開く際にロックを解除される鍵装置と、該扉と上記防盗用インクパック装置との間を連結する連結機構と、鍵装置によるロックが解除されたときに上記連結機構による連結を解除させる連結解除機構とよりなる構成としたものである。
【0018】
請求項1乃至6のうち何れか記載の防盗用インクパック装置は動作の信頼性が高く且つインクの噴射性が良いため、強盗が扉を不正に開いたとしても、保管されている全部の紙幣を流通不能な状態にまでひどく汚損させることが可能である。また、防盗用インクパック装置はユニット化されているため、貴重品保管庫は容易に組立てられる構成となり、且つ、小型になる。
【発明の実施の形態】
【0019】
本発明の好適な実施の形態について、図を参照して、以下説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施例になるキャッシュボックス10の内部の構造を示す。キャッシュボックス10は、現金自動預入れ・支払い機(ATM:automated
teller machine)に装着されているものであり、箱本体11と、この前面側の扉12とを有する。X1−X2は幅方向、Y1−Y2は奥行き方向、Z1−Z2は高さ方向である。扉12は、下側を軸13によって支持されており、上側をY2方向である手前に引くことによって、図2に示すように開かれる。扉12には、その上方の場所に、鍵装置14が設けてある。
【0021】
キャッシュボックス10は、その内部に、紙幣を積み重ねて保管するための紙幣保管室15を有する。紙幣保管室15は、底板16と、天板17と、メッシュ状の背面板18と、両側の側板(図示せず)とより形成してある。紙幣保管室15の天板17と背面板18とが形成するコーナ部には、紙幣を送る紙幣送りローラ19、20が設けてある。25は、紙幣保管室15内に積み重ねて保管してある紙幣である。
【0022】
キャッシュボックス10の内部であって、紙幣保管室15より背面側の空間21内に、防盗用インクパック装置50が縦向きの姿勢で組み込まれている。
【0023】
また、キャッシュボックス10の内部であって、紙幣保管室15より下方の空間22内に、連結機構30が設けてある。
【0024】
連結機構30は、ブラケット31と、摺動ブラケット32と、コード33と、フック部材34とを有する構成である。
【0025】
ブラケット31は、Y1−Y2方向に延在して、箱本体11に固定してある。
【0026】
摺動ブラケット32は、その長孔32aをブラケット31上の二つのピン31aに嵌合されて、Y1、Y2方向に摺動可能に支持されており、引張りコイルばね35によってX1方向に移動している。
【0027】
コード33は、摺動ブラケット32と防盗用インクパック装置50との間に接続してあり、途中、背面板18の孔18aを通り、且つ、ブラケット31のX2方向端側のプーリ37に案内されている。
【0028】
フック部材34は、ブラケット31のX1方向端側の軸31bに回動可能に支持されており、軸31bよりX1方向に延びているフック部34aと、軸31bよりX2方向に延びている腕部34bとよりなる。フック部34aが扉12の内側の被係止部12aを係止している。腕部34bと摺動ブラケット32の立ち上がりラグ部31bとの間のコイルばね36によって、フック部材34は、反時計方向に、即ち、フック部34aが扉12の内側の被係止部12aを係止する方向に付勢されている。
【0029】
また、鍵装置14に関連して、Z2方向に摺動するレバー40が設けてある。レバー40の下端は、フック部材34の腕部34bに対向している。鍵41を鍵装置14に差し込んで回す開錠操作を行うと、レバー40がZ2方向に摺動されて、腕部34bを押して、フック部材34が時計方向に回動され、フック部34aが扉12の内側の被係止部12aから外れる。
【0030】
図2は、扉12が正常に開かれたときの状態を示す。鍵41を使用して鍵装置14を開錠した段階で、レバー40がZ2方向に摺動され、フック部材34が時計方向に回動され、フック部34aが被係止部12aから外れて、摺動ブラケット32の扉12への連結が解除される。よって、扉12を手前に引いて開く過程で、摺動ブラケット32は引かれず、コード33は引かれず、防盗用インクパック装置50は動作しない。
【0031】
図3は、扉12が不正に開かれたときの状態を示す。「扉12が不正に開かれたとき」とは、鍵41を使用して開錠を行わないで扉12を開いた場合をいい、例えば、強盗が鍵装置14を壊して扉12を引いて開いた場合をいう。
【0032】
フック部34aが被係止部12aを係止しており、摺動ブラケット32は扉12に連結いる状態にあるため、扉12を手前に引いて開く過程で、摺動ブラケット32が引かれてY2方向に移動し、コード33が引かれ、防盗用インクパック装置50が動作し、特殊なインクが符号140で示すようにY2方向に勢い良く噴射され、メッシュ状の背面板18を通って紙幣保管室15内に噴射され、保管されている全部の紙幣25が特殊なインクによってひどく汚損され、紙幣25は流通不能な状態とされる。
【0033】
なお、摺動ブラケット32は、引張りコイルばね35によってY1方向に引っ張られている。よって、キャッシュボックス10を誤って落としたりしてキャッシュボックス10に強い衝撃が作用した場合に、摺動ブラケット32がY2方向に移動してしまうことが起きないようにしてある。
【0034】
また、フック部材34は、コイルばね36によって、反時計方向に付勢されている。よって、強盗がキャッシュボックス10に強い衝撃を作用させて、フック部34aが被係止部12aから外そうとしても、フック部34aが被係止部12aから外れないようになっている。
【0035】
次に、防盗用インクパック装置50について、図4、図5A、図5B、図6を参照して説明する。
【0036】
防盗用インクパック装置50は、四角の箱形状を有し、ユニット化されており、且つ、分解不可能な構造であり、作動はばね力を利用して全て機械的に行われる構成である。
図4、図5A、図5B、図6は、防盗用インクパック装置50を、図1に示す設置姿勢と同じ姿勢で示す。図4、図5A、図5B中のX1−X2、Y1−Y2、Z1−Z2は、図1中のX1−X2、Y1−Y2、Z1−Z2と同じ方向である。X1−X2は防盗用インクパック装置50の幅方向、Z1−Z2は防盗用インクパック装置50の高さ方向(長手方向)、Y1−Y2は防盗用インクパック装置50の奥行き方向である。
【0037】
防盗用インクパック装置50は、ケース本体60と、支持部材70と、トレイ部材80と、インクパック90と、押し板100と、背面蓋部材110と、二つの円錐圧縮コイルばね120、121とを有し、ケース本体60と背面蓋部材110とよりなるが四角の箱形状のケース130の内部に、支持部材70と、トレイ部材80と、インクパック90と、押し板100と、二つの円錐圧縮コイルばね120、121と、圧縮コイルばね76,77とが組み込まれている構造である。
【0038】
ケース本体60は、前面板部61と、周囲の側面板部62〜65とよりなる箱形状を有する。前面板部61の中央に、複数のインク噴射開口窓66がY1−Y2方向に整列して形成してある。前面板部61のX1側とX2側とに、夫々複数のスリット状のガイド孔67,68がY1−Y2方向に整列して形成してある。各インク噴射開口窓66の縁にZ2方向であるケース本体60の内側の方向に突き出た三角形の刃69が形成してある。刃69は隣り合うインク噴射開口窓66でX1−X2方向上の異なる縁側から突き出している。
【0039】
この刃68は、プレス加工で前面板部61にインク噴射開口窓66に形成する過程で、切り起こすことによって形成されたものである。よって、刃68はケース本体60の一部であり、独立した刃部材は必要ではなく、防盗用インクパック装置50は少ない部品点数で構成される。また、刃68は前面板部61に形成してあるため、防盗用インクパック装置50は、Z1−Z2方向の寸法を小さくできる。また、刃68はインク噴射開口窓66の縁に位置しているため、インクパック90に破られて孔が形成された箇所がインク噴射開口窓66に対向し、インクはインク噴射開口窓66を通って円滑に噴射される。
【0040】
側面板部65の内面側に圧縮コイルばね76,77が取り付けてある。
【0041】
支持部材70は、略Y字形状を有し、U字形状のフレーム部71と、フレーム部71からZ2方向に延びている腕部72とよりなる。フレーム部71は、Z1−Z2方向に延びている一対の側板部73、74と、X1−X2方向に延びており側板部73、74のZ2方向の端の間を結ぶ結び板部75とを有する。側板部73、74には、Z1方向端に、支持用ラグ73a,74aが形成してある。板部75には、Z1方向に折り曲げた支持用ラグ75a,75bが形成してある。
【0042】
支持用ラグ73a,74a及び支持用ラグ75a,75bは、図5Aに示すように、四箇所に分散してある。
【0043】
側板部73、74には、Y2方向の端の縁に、ガイドラグ73b,74bと、摺動シュー73c,74cが形成してある。側板部73、74のY2方向の端の縁には、ラグ73d,74dが形成してある。
【0044】
結び板部75には、Y2方向側に切欠開口部75cが形成してある。支持用ラグ75a,75bは、切欠開口部75cに臨んでいる。
【0045】
腕部72は、結び板部75よりZ2方向に延びている。
【0046】
上記の支持部材70は、ガイドラグ73b,74bがガイド孔67,68に嵌合し、摺動シュー73c,74cが前面板部61の裏面に当接した状態でケース本体60内に組み込まれている。支持部材70は、圧縮コイルばね76,77のばね力によってZ1方向に移動している。腕部72は、側面板部65の切欠部65aを通ってケース本体60からZ2方向に延びている。
【0047】
トレイ部材80は、平板状のトレイ本体部81と、折り曲げられてトレイ本体部81のZ1方向の端及びZ2方向の端よりY1方向に延びている腕部82a,82b,83a,83bとよりなる。
【0048】
トレイ本体部81は、U字形状のフレーム部71内に収まるサイズを有し、上記のインク噴射開口窓66に対応して、このインク噴射開口窓66より大きい開口窓84が形成してある。トレイ本体部81のZ1方向端には、X1及びX2方向に突き出ているラグ部85,86を有する。トレイ本体部81のZ1方向端には、Z1方向に突き出た突き出し部87が形成してある。
【0049】
トレイ部材80は、図6に併せて示すように、U字形状のフレーム部71内に収まって、ラグ部85,86を夫々支持用ラグ73a,74aによって支持され、及びトレイ本体部81のZ1方向端の突き出し部87の両側の部分88,89を夫々支持用ラグ75a,75bによって支持され、ケース本体60の前面板部61の裏面に対して寸法aだけY1方向に離されて、刃69に当らない状態にある。突き出し部87は、切欠開口部75cを通ってケース本体60の側面板部65の内面に近接している。
【0050】
支持部材70とトレイ部材80とは、トレイ部材80が底となっている箱構造を構成し、インクパック90を収容するためのインクパック収容部95が形成さしてある。
【0051】
インクパック90は、インク91が封入してある合成樹脂製の袋92であり、インクパック収容部95に対応する大きさを有する。インク91は、浸透性、拡散性を有するものである。また、インク91は、磁性粉を含んでいる特殊なものでもよい。インクパック90は、インクパック収容部95内に収まっている。
【0052】
押し板100は、U字形状のフレーム部71内に収まるサイズの平板であり、ラグ部73d,74d及び腕部82a,82b,83a,83bによってX1−X2方向及びY1−Y2方向の位置を規制されて、インクパック90のY1側に当接している。
【0053】
二つの円錐圧縮コイルばね120、121は、背面蓋部材110に切り起こして形成してあるラグ111に係止されて取り付けてあり、Z1−Z2方向に並んでいる。
【0054】
背面蓋部材110は、円錐圧縮コイルばね120、121が圧縮された状態で、ケース本体60の背面開口を塞いで、複数のリベット112によってケース本体60に固定してある。
【0055】
圧縮された円錐圧縮コイルばね120、121が押し板100の二箇所を強い力FでY2方向に押している。
【0056】
インクパック90は、円錐圧縮コイルばね120、121のばね力が作用している押し板100によってY2方向に押されて、押し板100とトレイ部材80との間に挟まれて圧縮されており、且つ、刃68からは離れている状態にある。インクパック90にとっては、トレイ部材80が床であり、前面板部61が地面である関係にある。
【0057】
支持部材70はトレイ部材80を介してY2方向に押されており、ガイドラグ73b,74bがガイド孔67,68に確実に嵌合した状態とされ、ケース130内に位置規制されて、無用に動かないようになっている。Z2方向についてみると、圧縮コイルばね76,77のばね力によって、支持部材70が容易には動かないようになっている。支持部材70が動かないようになっていることで、インクパック90も無用に動かないようになっている。
【0058】
また、上記のように、圧縮コイルばね76,77のばね力によって支持部材70がZ2方向に容易には動かないようになっているため、防盗用インクパック装置50に衝撃が作用した場合にも防盗用インクパック装置50が誤動作しないようになっている。
【0059】
また、円錐圧縮コイルばね120、121が直接にインクパック90に当接していないため、袋92に傷がついて袋92が無用に破損する虞はない。
【0060】
ここで、円錐圧縮コイルばね120、121は、圧縮されると上側の巻き部が下側の巻き部の内側に収まり、円錐圧縮コイルばねを構成するワイヤの線径にまで薄くなる。よって、背面蓋部材110と押し板100との間の寸法bが短くなり、防盗用インクパック装置50は、Y1−Y2方向の寸法cを小さくできる。
【0061】
以上が防盗用インクパック装置50の構成である。
【0062】
次に、上記構成の防盗用インクパック装置50の動作について説明する。
【0063】
図5A、図5Bに示す状態で腕部72がZ2方向に引かれると、支持部材70がZ2方向に移動される。トレイ部材80は、突き出し部87がケース本体60の側面板部65の内面に当接してZ2方向への移動を制限される。インクパック90及び押し板100も元の位置に留まる。
【0064】
支持部材70が図7に示す位置まで移動されると、同図に示すように、支持用ラグ73a,74aがラグ部85,86から外れ、支持用ラグ75a,75bが部分88,89から外れ、トレイ部材80が支持を解除され、円錐圧縮コイルばね120、121のばね力Fによって、トレイ部材80、インクパック90及び押し板100が一体的にY2方向に瞬間的に勢い良く、トレイ部材80が前面板部61に当る位置まで移動される。即ち、インクパック90にとってみると、それまで支えていた床が抜けた状態となる。図8はこのときの状態を示す。インクパック90がY2方向に移動すると、刃69がトレイ部材80の開口窓84内に相対的に入り込み、インクパック90は刃69に近づき刃69に押し当って、袋92が刃69によって突き破られ、穴93があき、インク91が符号140で示すように、防盗用インクパック装置50のインク噴射開口窓66からY2方向に勢い良く噴射を開始する。
【0065】
続いて、インクパック90は、全体を押し板100によってY2方向に押されるため、押し板100がピストンのように機能して、インクパック90が圧力を作用されて効果的に押しつぶされ、袋92内の略全部のインク91が一気にY2方向に拡散して勢い良く噴射されつづける。
【0066】
ここで、押し板100は円錐圧縮コイルばね120、121によって二箇所を押されるため、Y2方向への変位は安定なされる。
【0067】
このように、防盗用インクパック装置50からは円錐圧縮コイルばね120、121のばね力によって袋92内の略全部のインク91がインク噴射開口窓66からY2方向に一気にY2方向に勢い良く噴射されるため、紙幣保管室内の紙幣の全部がインクによって汚損され、紙幣25は流通不能な状態とされる。
【0068】
支持部材70が防盗用インクパック装置50が動作するまでZ2方向に移動された後には、支持用ラグ73a,74aがトレイ部材80のラグ部85,86に係止されてZ1方向への戻りを制限される。よって、腕部72の位置から、防盗用インクパック装置50が使用済みであるか否かを判断することが可能である。
【0069】
上記の防盗用インクパック装置50は上記で述べた他に以下の特長を有する。
【0070】
1.ユニット化されている。
【0071】
ケース130の内部にインクパック90等が組み込まれており、防盗用インクパック装置50はモジュール化及びユニット化してある。このため、キャッシュボックス10については、扉と防盗用インクパック装置50とを連結する機構を設け、防盗用インクパック装置50を組み込むだけで済み、キャッシュボックス10を組立てを簡単に行うことが出来る構造にすることが可能である。また、キャッシュボックス10を小さいサイズにすることが可能である。
【0072】
2.製造コストが低い。
【0073】
動作の開始を検知するセンサ、インクを送るポンプ、ポンプを駆動するモータ等を使用していないため、及び、ソフトウェア及びファームウェアの設計も不要であるため、防盗用インクパック装置50は製造コストが低い。
【0074】
3.高い信頼性を有する。
【0075】
動作の開始は、係止状態の解除によってなされ、且つインクの噴射は円錐圧縮コイルばね120、121のばね力を利用して、完全に機械的に行われる構成である。電源を使用していないため、電源に関するトラブルが発生する余地はなく、停電時でも正常に動作する。ソフトウェアも必要でないため、ソフトウェア関するトラブルが発生する余地もない。よって、高い信頼性を有する。
【0076】
4.高い噴射性を有する。
【0077】
インクの噴射は円錐圧縮コイルばね120、121のばね力を利用してなされており、インクの噴射は、速い噴射速度で、且つ、広く拡散してなされる。よって紙幣保管室内の全部紙幣をインクによってひどく汚損させることが出来る。紙幣保管室内の全部紙幣を流通不能な状態とすることが出来る。
【0078】
また、円錐圧縮コイルばね120、121のばね力でもってインクが重力の方向に影響を受けないで噴射する構成であるため、防盗用インクパック装置50は、キャッシュボックス等の貴重品保管庫内にどのような向きで取り付けてもよい。即ち、貴重品保管庫の天板の下面にインク噴射開口窓66を下向きにした姿勢で取り付けることに限定されず、図1に示すように背面側にインク噴射開口窓66を前側に向けた姿勢、又は、底面側にインク噴射開口窓66を上に向けた姿勢で取り付けても、インクを紙幣に噴射させることが出来る。
【0079】
次に防盗用インクパック装置50の変形例について説明する。
【0080】
上記の実施例における支持部材70とトレイ部材80とを組み合わせて船体形状の構造物とし、この構造物の底を刃から離して支持し、構造物が移動されたときに、落とし込まれ、インクパックが刃によって破られるようにしてもよい。
【0081】
また、インクパックは所定位置に動かないように設け、刃とインク噴射開口窓とを有する板部材をばねによってインクパックの方向に付勢させて設け、板部材が係止を解除されて、ばね力によって移動してインクパックに押し当って、インクを噴射させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】 本発明の一実施例になる貴重品保管庫の内部の構造を示す図である。
【図2】 図1の貴重品保管庫の扉を正常に開いたときの状態を示す図である。
【図3】 図1の貴重品保管庫の扉を不正に開く途中の状態を示す図である。
【図4】 本発明の一実施例になる防盗用インクパック装置を分解して示す斜視図である。
【図5】 図5A及び5Bは本発明の一実施例になる防盗用インクパック装置の内部の構造を示す図である。
【図6】 トレイ部材と支持部材との関係を示す図である。
【図7】 支持部材が移動されて、トレイ部材が支持部材による支持が解除されたときの状態を示す図である。
【図8】 防盗用インクパック装置が動作した直後の状態を示す図である。
【図9】 防盗用インクパック装置が動作を完了したときの状態を示す図である。

Claims (7)

  1. 前面板にインク噴射口を有するケースの内部に、
    袋にインクが入っているインクパックと、
    インクパックと刃とが接近するように該インクパックを該刃の方向へ付勢すると共に、該インクパックに前記インク噴射口の方向へ圧力を付勢するばねと、
    前記インク噴射口の縁の箇所に設けられ、該インクパックを破る刃と、
    係止して該インクパックと該刃とを離れた状態に支持しており、外力を作用されたときに、係止が解除される係止機構とを有し、
    該係止機構の係止が解除されると、上記ばねのばね力によって、インクパックと刃とが接近してインクパックが刃によって破られ、且つインクパックが圧力を付勢されて、記インク噴射口からインクが噴射する構成とした防盗用インクパック装置。
  2. 請求項1に記載の防盗用インクパック装置において、
    記刃は、該前面板を切り起こし形成してあり、該前面板の一部である構成とした防盗用インクパック装置。
  3. 請求項1に記載の防盗用インクパック装置において、
    前記インクパックの背面側に位置する押し板を更に有し、
    記ばねが、該押し板と、記ケースの背面板との間に設けてあり、該押し板を上記ケースの前面板の方向に付勢し、
    記インクパックが記押し板によって全体に圧力を付勢されるようにした構成の防盗用インクパック装置。
  4. 請求項1に記載の防盗用インクパック装置において、
    記ばねは、円錐圧縮コイルばねである構成の防盗用インクパック装置。
  5. 請求項1に記載の防盗用インクパック装置において、
    前記インクパックの背面側に位置する押し板を更に有し、
    上記ばねは、円錐コイルばねであり、複数設けてあり、該押し板と、上記ケースの背面板との間に設けてあり、該押し板を上記ケースの前面板の方向に付勢し、
    上記インクパックが上記押し板によって全体に圧力を付勢されるようにした構成の防盗用インクパック装置。
  6. インク噴射口及び内側に向いている刃を有する前面板部と側板部とよりなるケース本体と、該ケース本体の背面を覆う背面蓋部材とよりなるケースと、
    支持用ラグを複数有し、該前面板の内面側に摺動可能に設けてある支持部材と、
    上記刃から離れた状態で、上記複数の支持用ラグに支持されているトレイ部材と、
    該トレイ部材上に載っている袋にインクが入っているインクパックと、
    該インクパックの背面側に位置する押し板と、
    該押し板と背面蓋部材との間に圧縮された状態で設けてあるばね部材とよりなり、
    上記支持部材が移動されると、トレイ部材の支持用ラグによる支持が解除され、上記ばね部材のばね力によって、トレイ部材とインクパックと押し板とが前面板部にまで移動され、インクパックが刃によって破られ、且つインクパックが押し板によって圧力を付勢されて、上記インク噴射口からインクが噴射する構成とした防盗用インクパック装置。
  7. 内部に請求項1乃至6のいずれか1項に記載の防盗用インクパック装置が取り付けてある箱本体と、
    回動させて開く扉と、
    該扉をロックしており、扉を開く際にロックを解除される鍵装置と、
    該扉と上記防盗用インクパック装置との間を連結する連結機構と、
    鍵装置によるロックが解除されたときに上記連結機構による連結を解除させる連結解除機構とよりなる構成とした貴重品保管庫。
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