JP4196425B2 - ディスク原盤作成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等のディスク状光記録媒体を製作する際に用いられるディスク原盤の作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、光ディスクは、ガラス原板からスタンパを製作するディスク原盤工程と、スタンパを組み込んだ成形金型によってディスクを成形するディスク化工程とを経て製作される。すなわち、ディスク原盤工程は、一般に主面にフォトレジスト層を形成したガラス原板に記録すべき情報信号等に対応したピットパターン潜像を形成するフォトレジスト層のカッティングを行った後、現像処理等や電鋳処理を施してスタンパを形成するためのディスク原盤を製作する工程である。
【0003】
ディスク原盤のカッティングは、ディスク原盤作成装置によって、大気雰囲気中で光源から出射された可視光や紫外線レーザ等を高倍率の対物レンズにより波長レベルのスポット径まで集束してガラス原板に形成したフォトレジスト層に照射することによって行っていた。ディスク原盤作成装置は、ディスク原盤を回転駆動する原盤回転駆動機構と、レーザビームの照射位置とディスク原盤の半径方向の相対的移動とを行う原盤移動駆動機構とを備えて構成されている。
【0004】
ディスク原盤作成装置は、ターンテーブルやスピンドルモータ等からなる原盤回転駆動機構によってディスク原盤を位置決め保持して回転駆動するとともに、この原盤回転駆動機構を原盤移動駆動機構によりディスク原盤の半径方向に移動動作させる。ディスク原盤作成装置は、これによってディスク原盤に情報信号等に応じたピットパターン潜像をスパイラル状に形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスクにおいては、情報信号等の高密度記録化が検討されている。上述した可視光や紫外線レーザによるディスク原盤のカッティングは、記録用光のスポット径の限界によって記録すべき情報信号等の記録分解能が制限されることからその達成に限界があった。
【0006】
また、従来のディスク原盤作成装置においては、フォトレジスト層の露光特性である波長感度特性の制約から、一般に500nm以下の波長の紫外線レーザが用いられている。しかしながら、レーザ光源としては、信号記録周波数帯域において充分な分解能を以ってレーザビームの点滅を可能とするものが実現されていない。このため、従来のディスク原盤作成装置は、レーザ光源からレーザビームを連続して出射した状態とするとともに、このレーザビームの光路中に外部変調器を設置することによってディスク原盤に対するレーザビームのオン・オフ制御を行っていた。
【0007】
さらに、従来のディスク原盤作成装置においては、レーザビームの偏向操作を行う必要がある場合には、レーザビームの光路中に外部偏向器を設置してその操作を行っていた。かかる外部変調器や外部偏向器は、極めて高価であるとともに、レーザビームの光路中に大きなスペースを確保しなければならず、装置全体が大型で高価なものとなるといった問題があった。また、かかる外部変調器や外部偏向器は、例えば音響光学素子や電気光学素子等の素子の歪みに起因する光学特性を利用してレーザビームの制御を行うことから、周波数応答特性が比較的低速であるとともにレーザビームの偏向角も微少であり充分なレーザビーム制御が行い得ないといった問題があった。
【0008】
高密度記録化光ディスクの検討に際して、半導体プロセスに採用されるように可視光や紫外線レーザよりも波長が短く記録分解能の向上が図られる電子ビームを用いたディスク原盤作成装置によってディスク原盤のカッティングを行うことが検討されている。電子ビームは、大気雰囲気中において著しく拡散、減衰する特性を有していることから、伝播或いは通過する加工部位を真空条件に保持する必要がある。したがって、ディスク原盤作成装置は、従来のレーザビームを用いたディスク原盤作成装置に対して、単にそのレーザ光源を電子ビームを出射集束する電子銃に置き換えて構成することによる対応によっては実現されない。すなわち、ディスク原盤作成装置は、電子ビームの安定化を図るために、電子銃ばかりでなくディスク原盤を駆動する原盤回転駆動機構或いは原盤移動駆動機構を真空槽内に構成しなければならない。
【0009】
提案された電子ビームを用いるディスク原盤作成装置は、従来のレーザビームディスク原盤作成装置と同様に、電子ビームの照射位置とディスク原盤の半径方向の相対的移動とを原盤移動駆動機構によって行うように構成されている。かかるディスク原盤作成装置においても、ディスク原盤が、ターンテーブルやスピンドルモータ等からなる原盤回転駆動機構によって位置決め保持して回転駆動されるとともに、この原盤回転駆動機構を原盤移動駆動機構によりディスク原盤の直径方向に移動動作させるように構成されている。
【0010】
ディスク原盤作成装置は、ディスク原盤に対して微細なピッチで微小なピットパターン潜像を形成することから、各駆動機構が極めて高精度に位置決め制御されるとともに駆動制御されなければならない。ディスク原盤作成装置は、かかる高精度の位置決め制御或いは駆動制御を行うために、原盤移動駆動機構の可動部位が低摩擦係数であるとともに摩擦変動が小さい機構によって構成されなければならない。勿論、ディスク原盤作成装置は、上述したように少なくともディスク原盤と電子ビームの出射部とが真空条件に保持されることを必須の構成要件とされなければならない。
【0011】
すなわち、ディスク原盤作成装置は、ディスク原盤を駆動する原盤回転駆動機構が原盤移動駆動機構によって高精度に位置決め制御されて直線移動されるとともに、移動領域の全域に亘ってシールド機構により真空槽の真空条件が保持される構成が必要とされる。ディスク原盤作成装置は、このためにレーザビームによるディスク原盤作成装置のように各駆動部位を空気軸受によって支持する構成を採用することができない。
【0012】
例えば、半導体プロセスには、一般に剛性、振動等の減衰性に優れ被駆動体に対する比較的高精度の静止位置決め精度が得られるとともに真空条件下においても使用可能であるベアリング軸受やコロ軸受等の機械的軸受が用いられている。しかしながら、かかる機械的軸受は、摩擦によって被駆動体に対して空気軸受と同等の高精度の定速駆動特性を得ることが困難である。
【0013】
高密度化光ディスクは、トラックピッチが数nmと極めて微細である。ディスク原盤作成装置は、上述したレーザビームの特性上の限界ばかりでなく各機構部の構造上の限界によってもその実現が困難である。さらに、ディスク原盤作成装置は、各機構部において発生する振動或いは外部振動、すなわち床振動、装置自体の振動、空調設備、建物振動、扉の開閉による振動等による圧力脈動、音響等による外乱の影響に対してもその対応が必要とされる。
【0014】
上述した種々の問題から、電子ビームを利用して高密度記録化光ディスクを製造する高精度のディスク原盤の作成を可能とする実用的なディスク原盤作成装置が実現されるに至っていなかった。したがって、本発明は、高密度記録化光ディスクを製造する高精度のディスク原盤の作成を可能とする構造簡易なディスク原盤作成装置を提供することを目的に提案されたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する本発明にかかるディスク原盤作成装置は、真空槽と、原盤回転駆動機構と、電子ビーム出射ヘッド機構と、原盤移動駆動機構と、カッティング検出部と、制御部とを備える。ディスク原盤作成装置は、原盤回転駆動機構が、回転情報出力手段を設けた回転用駆動モータを備えて真空槽内に移動自在に設けられ、原板の表面に電子線用レジスト層を形成したディスク原盤を支持して回転駆動する。ディスク原盤作成装置は、電子ビーム出射ヘッド機構が、電子ビームを出射する電子銃と、電子ビームを集束して出射口からディスク原盤の主面に照射させるフォーカス部と、出射口の周囲に配置された複数個の制御電極片によって構成されて電子ビームの偏向制御を行う偏向制御電極とを備え、出射口を原盤回転駆動機構に支持したディスク原盤に対向させて真空槽に設けられる。ディスク原盤作成装置は、原盤移動駆動機構が、移動用駆動モータと、この移動用駆動モータにより移動動作されるスライダと、このスライダの移動量を計測する移動量計測手段とを備えて真空槽内に設けられ、原盤回転駆動機構又は電子ビーム出射ヘッド機構をディスク原盤の半径方向に対して相対的に移動させる。ディスク原盤作成装置は、カッティング検出部が、ディスク原盤上における電子ビーム出射ヘッド機構の電子銃から出射された電子ビームのビームスポット位置を直接検出する。ディスク原盤作成装置は、制御部が、ディスク原盤に所定のパターン潜像を形成するための電子ビームのビームスポット位置とディスク原盤の回転量及び移動量を規定した基準値を格納する。ディスク原盤作成装置は、制御部が、原盤回転駆動機構の回転情報出力手段から出力された回転用駆動モータの回転情報と基準値との差異量に基づいて回転用駆動モータをフィードバック制御する制御信号と、原盤移動駆動機構の移動量計測手段から出力される移動情報と基準値との差異量に基づいて移動用駆動モータをフィードバック制御する制御信号を出力する。ディスク原盤作成装置は、制御部が、カッティング検出部から出力されるカッティング位置情報と基準値との差異量に基づいて電子ビーム出射ヘッド機構の偏向制御電極を選択的に動作させてディスク原盤への電子ビームのスポット位置制御する制御信号を出力する。
【0016】
以上のように構成された本発明にかかるディスク原盤作成装置によれば、原盤回転駆動機構によりディスク原盤を支持して回転駆動するとともに、原盤移動駆動機構により原盤回転駆動機構又は電子ビーム出射ヘッド機構をディスク原盤の半径方向に対して相対的に移動させながら電子ビーム出射ヘッド機構から電子ビームをディスク原盤に照射して電子線用レジスト層にパターン潜像を形成する。ディスク原盤作成装置によれば、原盤回転駆動機構においてディスク原盤を回転駆動する駆動モータの回転状態が回転情報出力手段により検出されて回転情報として制御部へと出力され、この回転情報と基準値との差異量に基づいて制御部から制御信号が出力されることにより回転用駆動モータのフィードバック制御が行われる。ディスク原盤作成装置によれば、原盤移動駆動機構においてディスク原盤の移動量が移動量計測手段により検出されて移動量情報として制御部へと出力され、この移動量情報と基準値との差異量に基づいて制御部から制御信号が出力されることにより移動用駆動モータのフィードバック制御が行われる。ディスク原盤作成装置によれば、これによりディスク原盤が精密に回転駆動と移動動作される。ディスク原盤作成装置においては、原盤回転駆動機構や原盤移動駆動機構の機構要素における摩擦変動や外乱による電子ビームへの影響等に起因して電子ビームのスポット位置のズレが生じることがある。ディスク原盤作成装置によれば、ディスク原盤上における電子ビーム出射ヘッド機構の電子銃から出射された電子ビームのビームスポット位置がカッティング検出部により直接検出されてカッティング位置情報として制御部へと出力され、このカッティング位置情報と基準値との差異量に基づいて制御部から出力された制御信号により電子ビーム出射ヘッド機構の偏向制御電極の選択的動作が行われる。ディスク原盤作成装置によれば、偏向制御電極の選択動作によりディスク原盤に照射される電子ビームの偏向動作が行われてスポット位置のズレが補正され、ディスク原盤の電子線用レジスト層に情報信号等に応じた高精度のパターン潜像が精密に形成される。ディスク原盤作成装置によれば、偏向制御電極による電子ビームの偏向動作が高速で行われることから周波数応答特性に優れ、また小型かつ廉価に構成される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第1の実施の形態として図1に示すディスク原盤作成装置10は、光ディスクの製造工程に設置されてディスク原盤1に情報信号等によって変調された電子ビームを照射してピットパターン潜像をスパイラル状にカッティングする。ディスク原盤作成装置10は、例えば直径12cmの光ディスクについて記憶容量が30GBとする高密度記録化を図るために、ディスク原盤1に対してトラックピッチが0.29μm、ピッチ幅が0.14μm、最短ピッチ長が0.16μmのピットパターン潜像をカッティングする。
【0018】
ディスク原盤1は、図3(A)に示すように、高精度に研磨した厚みが数mmの石英ガラス等のディスク原板2の表面に電子線用レジスト層3が塗布されてなる。ディスク原盤1は、石英ガラス原板2の他にも、例えばセラミックや金属板等が用いられ、数十nm以下の表面粗さでかつ数μm以下の平行平面を以って精密に形成される。勿論、ディスク原盤1は、情報信号等の記録エリアよりも大きな外径を有し、円盤或いは多角形に形成される。
【0019】
電子線用レジスト層3は、例えばスピンコート法等によってディスク原板2の表面に電子線用レジスト剤が均一な厚みで塗布されてなる。電子線用レジスト剤には、露光により酸が生成され、この酸が触媒として作用する感光性樹脂からなるいわゆる化学増幅形レジストが用いられる。電子線用レジスト層3は、厚みが100nm乃至200nmの範囲でλ/(4n)(但し、λは読取光の波長、nはディスク基板の屈折率)の条件を満たして成膜される。
【0020】
ディスク原盤1は、後述するようにディスク原盤作成装置10に装填され、図2に示すように、情報信号等に応じて変調された電子ビームBEが電子線用レジスト層3に照射されることによりピットパターン潜像が形成される。ディスク原盤1は、電子線用レジスト層3の電子ビームBEが照射された部分がアルカリ可溶状態となる。
【0021】
したがって、ディスク原盤1は、カッティング終了後にアルカリ現像液による現像処理が施されることによって露光された部分の電子線用レジスト剤が除去され、図3(B)に示すように、ディスク原板2の表面に情報信号等に応じたピットパターン4が精密に形成される。ディスク原盤1は、従来と同様に、無電解メッキやスバッタリング等によってピットパターン4が形成された表面の導体化処理が施された後、電鋳メッキ処理が施されてレプリカのスタンパを形成する。
【0022】
ディスク原盤作成装置10は、図1に示すように、真空槽11と、この真空槽11内に配置されたディスク原盤1を回転駆動する原盤回転駆動機構12及びこの原盤回転駆動機構12をディスク原盤1の半径方向に移動させる原盤移動駆動機構13と、真空槽11に取り付けられた電子ビーム出射ヘッド機構14と、制御部15及びディスク原盤1に対する電子ビームBEの照射状態を検出するカッティング検出部16等を備えて構成される。
【0023】
ディスク原盤作成装置10は、真空槽11が図示しないエアーダンパ等の防振機構を介して設置されることにより、外部からの振動の伝達が抑制される。真空槽11には、真空ポンプ17が接続されており、この真空ポンプ17を駆動して排気することによって内部空間部が所定の真空条件に設定保持される。さらに、真空槽11には、図示しないが内部空間部にディスク原盤1を搬送して原盤回転駆動機構12に設置する原盤搬送機構や、全体を大気雰囲気中にさらすこと無くディスク原盤1の出し入れを可能とするゲート機構等が付設されている。
【0024】
原盤回転駆動機構12は、真空槽11内に支持脚19によって設置支持された基台18に移動自在に搭載されている。原盤回転駆動機構12は、基台18に支持されて詳細を後述する原盤移動駆動機構13によって移動動作されるスライダ20と、このスライダ20に搭載された回転用駆動モータ21と、この回転用駆動モータ21により回転駆動される回転軸22と、この回転軸22の先端に固定されたターンテーブル23等の部材によって構成されている。スライダ20は、基台18に対して例えばベアリング軸受やコロ軸受等の機械的軸受によって図1において左右方向に移動自在に支持されている。スライダ20は、後述するように基台18に沿って円滑に移動動作されるとともに、精密に位置決めされて停止しかつこの停止状態が確実に保持される。
【0025】
なお、スライダ20は、例えば後述する電子ビーム出射ヘッド機構14の電子ビーム出射口30aとターンテーブル23との部位を高真空雰囲気に保持する条件において、基台18に対してエアースライダ機構や静圧軸受機構等により円滑に移動動作されるように構成してよい。スライダ20は、この場合、停止状態において精密に位置決めされて停止するとともにこの停止状態が確実に保持されるように構成される。
【0026】
スライダ20には、回転用駆動モータ21が搭載される。スライダ20は、回転用駆動モータ21から生じる磁気力が電子ビームBEの軌跡に影響を及ぼさないようにするため、基台18とともに高磁気抵抗材料、例えばセラミック材等を素材として形成することが好ましい。
【0027】
回転用駆動モータ21は、図示しないが回転軸22の一端部を回転自在に軸支する例えば静圧軸受や回転型エンコーダが内蔵されており、図示しないサーボ機構により回転速度が精密に制御されるPLL制御型DCブラシレスモータによって構成される。回転用駆動モータ21は、回転型エンコーダによって検出される速度パルス信号Aを制御部15へと送出する。回転用駆動モータ21は、制御部15において速度パルス信号Aが記録制御部から供給される指令パルス信号との位相差が検出され、その差を最小限に抑えるようにこの制御部15から送出される駆動制御信号Bによって回転速度のフィードバック制御が行われる。回転用駆動モータ21は、例えば3600rpm程度までの高速回転駆動が可能とされるとともに、サーボ機構によって1回転当たり10−7以下の回転ジッタで制御される。
【0028】
速度パルス信号Aは、後述するようにターンテーブル23上に位置決め載置されて回転駆動されるディスク原盤1の回転角度情報として制御部15に供給される。制御部15は、この回転角度情報(速度パルス信号)Aに基づいて後述する原盤移動駆動機構13の移動用駆動モータ26に対してその動作を制御する制御信号Cを送出する。
【0029】
ターンテーブル23は、その中心を回転軸22の先端部に固定されており、この回転軸22を介して制御部15によって制御される回転用駆動モータ20により所定の速度を以って回転駆動される。ターンテーブル23は、図示を省略する真空チャッキング機構や機械的チャッキング機構によってその主面上にディスク原盤1を位置決め載置する。ターンテーブル23は、後述するディスク原盤1のカッティング動作中にこのディスク原盤1に遠心力が発生して位置ズレが生じないように、重心位置を回転中心に一致させて位置決め状態で載置保持する。ターンテーブル23は、高精度の平面加工が可能であり電子ビームBEの軌跡に影響を及ぼさないようにするため、高磁気抵抗材料、例えばセラミック材等を素材として形成することが好ましい。
【0030】
原盤移動駆動機構13は、スライダ20に設けた連結部24を介して駆動力を伝達することにより、このスライダ20を上述した基台18に沿って移動動作させる。原盤移動駆動機構13は、ブラケット部材25を介して真空槽11に設置される移動用駆動モータ26と、この移動用駆動モータ26によって回転駆動される送りねじ軸27とによって構成される。移動用駆動モータ26は、上述したように、原盤回転駆動機構12の回転用駆動モータ20の回転角度情報Aに基づいて制御部15から供給される制御信号Cによって回転・停止の動作制御が行われる。
【0031】
送りねじ軸27は、例えば外周部にウォームギャからなる外周ねじが形成されている。送りねじ軸27は、先端部が連結部24に設けた図示しない軸穴に挿通されることによって、その内周壁に形成した内周ねじに対して外周ねじが噛合される。したがって、送りねじ軸27は、移動用駆動モータ26が駆動されると、連結部24を介してスライダ20を基台18に沿ってターンテーブル23と同期して移動動作させる。
【0032】
なお、原盤移動駆動機構13については、上述した構成に限定されるものでは無い。原盤移動駆動機構13は、例えばスライダ20にラックを設け、このラックと送りねじ軸27との間にピニオンを噛み合わせて歯車伝達機構を構成する等種々の構成が採用される。また、原盤移動駆動機構13は、例えばスライダ20にその移動量を精密に計測する計測部を設け、この計測部によって計測した移動量を制御部15へと送出して基準値との比較を行って移動用駆動モータ26の回転・停止のフィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0033】
また、原盤回転駆動機構12や原盤移動駆動機構13は、上述した検出値と基準値との比較に基づく制御部15からの制御信号によるフィードバック制御ばかりでなく、これらに加えて或いはこれらに代えた他のフィードバック制御を行うようにしてもよい。原盤回転駆動機構12や原盤移動駆動機構13は、各機構構成部材等の振動特性や外部から加えられる振動等の入力を予測或いは検出して、フィード・フォワード制御機能を付加して構成することによってより動作精度の向上を図るようにしてもよい。
【0034】
上述した原盤回転駆動機構12や原盤移動駆動機構13は、その回転、直線移動における位置検出手段として、サブミクロンのスケールピッチを有しかつ検出値を検出回路によって高次に分周してサブナノメートルの分解能をもつ直線、及び回転計測器が実用化されて提供されているものが用いられる。また、原盤回転駆動機構12や原盤移動駆動機構13は、かかる回転、送り精度を有する実用化されて提供されている駆動要素が用いられて上述した各部が具体的に構成されてなる。ディスク原盤作成装置10は、等速で所定の方向に動作する回転部の原盤回転駆動機構12に上述したようにPLL(位相誤差比較)制御が採用され、また静止状態から可変速動作が行われる原盤移動駆動機構13にたまりパルス(誤差パルス比較)制御が採用される。
【0035】
ところで、ディスク原盤作成装置10は、上述した各計測部や制御部及び各機構部が採用されて構成されるが、制御性能の周波数特性に起因する利得として誤差の発生を無くすのではなくこれを抑制するようにしている。したがって、ディスク原盤作成装置10は、発生する誤差や各機構要素の摩擦変動による誤差、或いは外部や内部で発生する振動や騒音等による外乱等の様々な要因によってディスク原盤1に照射される電子ビームBEの照射位置が目標位置に対して誤差を生じることがある。ディスク原盤作成装置10は、カッティング検出部16によってディスク原盤1に対する電子ビームBEの照射位置を検出する。
【0036】
カッティング検出部16は、ディスク原盤1に形成されるピットパターン潜像の微細なトラックピッチ、すなわち0.29μm程度の微細移動量を高精度に計測することが可能な光学型計測器等の適宜の計測器によって構成される。カッティング検出部16は、例えば検査ビーム出射器28と検査ビーム受光部29とから構成される。カッティング検出部16は、後述するように電子ビーム出射ヘッド機構14からディスク原盤1の主面に出射されてピットパターン潜像を形成する電子ビームBEの位置を直接検出する。
【0037】
カッティング検出部16は、検査ビーム出射器28から出射された検査ビームを検査ビーム受光部29によって受光することにより、ディスク原盤1の主面上における電子ビームBEのビームスポットBESの位置を直接検出する。カッティング検出部16は、電子ビームBEの位置、すなわちカッティング位置情報Dを制御部15へと送出する。制御部15は、上述した各情報A乃至Dに基づいて制御信号E乃至Gを電子ビーム出射ヘッド機構14へと供給して、電子ビームBEの出射のオン・オフ、電子ビームBEのビームスポットBEPのサイズ調整或いは電子ビームBEのウォブリング等の動作制御を行う。制御信号E乃至Gは、電子ビームBEによるピットパターン潜像の実際のカッティングの状態と基準値との差異を補正してなる制御信号として電子ビーム出射ヘッド機構14に供給される。
【0038】
電子ビーム出射ヘッド機構14は、図4に詳細を示すように、一端部に電子ビームBEを出射する電子ビーム出射口30aが形成された有底筒状の電子銃筒30と、この電子銃筒30の内部に電子銃31と、コンデンサレンズ32と、ブランキング電極33と、アパーチャ34と、ビーム偏向電極35と、フォーカス調整レンズ36と、対物レンズ37とがこの順で組み合わされてなる。電子ビーム出射ヘッド機構14は、ブランキング電極33を調整駆動するブランキング電極駆動部38と、ビーム偏向電極35を調整駆動するビーム偏向電極駆動部39と、フォーカス調整レンズ36を調整駆動するフォーカス調整レンズ駆動部40とを備えている。
【0039】
電子ビーム出射ヘッド機構14は、図1に示すように、電子銃筒30がその電子ビーム出射口30aを内部空間に臨ませた状態で真空槽11の天井面に取り付けられている。電子ビーム出射ヘッド機構14は、詳細には電子ビーム出射口30aが、図4に示すように原盤回転駆動機構12のターンテーブル23上に位置決め載置されて回転するディスク原盤1の主面と近接した状態で対向位置している。電子ビーム出射ヘッド機構14は、その電子ビーム出射口30aとディスク原盤1の主面との間隔が20μm乃至30μmに設定され、上述したように電子ビームBEを照射してディスク原盤1に対してトラックピッチが0.29μm、ピッチ幅が0.14μm、最短ピッチ長が0.16μmのピットパターン潜像をカッティングする。
【0040】
電子銃31は、例えばLaB6等の熱電子線銃によって構成され、陽極により数10KeVに加速された電子ビームBEを放出する。コンデンサレンズ32は、放出された電子ビームBEを集束してアパーチャ34へと導く。ブランキング電極33は、制御部15から送出される制御信号Eに基づいて電子ビームBEの出射のオン・オフ制御を行う。ブランキング電極33は、制御信号Eがブランキング電極駆動部38に供給されることにより、このブランキング電極駆動部38から電極間に電圧が印加されて通過する電子ビームBEを大きく偏向させる。電子ビームBEは、これによってアパーチャ34の絞り穴34aに集束されない状態となって電子ビーム出射口30aからの出射が阻止され、オフ状態となる。
【0041】
ビーム偏向電極35は、制御部15から供給される制御信号Fに基づいて、ディスク原盤1の所定の位置に対する電子ビームBEのビームスポットBESの位置制御を行う。ビーム偏向電極35は、制御信号Fがビーム偏向電極駆動部39に供給されることにより、このビーム偏向電極駆動部39から電極間に電圧が印加されて通過する電子ビームBEを偏向させる。ビーム偏向電極35は、電子ビーム出射口30aから出射される電子ビームBEのビームスポットBESをディスク原盤1の主面上において数nmから数μmの精度で微偏向させるウォブリング作用を奏する。
【0042】
フォーカス調整レンズ36は、静電型或いは電磁型レンズによって構成され、制御部15から供給される制御信号Gに基づいて、ディスク原盤1の所定の位置に電子ビームBEのビームスポットBESを集束させる。フォーカス調整レンズ36は、制御信号Gがフォーカス調整レンズ駆動部40に供給されることにより、このフォーカス調整レンズ駆動部40から進行方向に対して垂直の電界或いは磁界が与えられことにより、通過する電子ビームBEの進路を偏向させる。フォーカス調整レンズ36は、対物レンズ37とともにディスク原盤1に照射される電子ビームBEを数nmから数μmのスポット径に集束させて照射する。
【0043】
電子ビーム出射ヘッド機構14は、上述した電子ビームBEに対する、ブランキング電極33による出射のオン・オフ制御や、ビーム偏向電極35によるビーム偏向制御或いはフォーカス調整レンズ36によるフォーカス制御が各駆動部38乃至40に制御信号E乃至Gを供給することにより高速で行われる。したがって、電子ビーム出射ヘッド機構14は、上述した各計測部の計測値に基づく制御性能の周波数特性が極めて良好に行われる。
【0044】
以上のように構成されたディスク原盤作成装置10においては、真空槽11を開放して原盤回転駆動機構12のターンテーブル23上にディスク原盤1が位置決めされて載置される。ディスク原盤作成装置10は、ディスク原盤1を設置した状態で真空ポンプ17が駆動されて真空槽11の内部空間を排気して所定の真空条件に設定する。ディスク原盤作成装置10は、電子ビーム出射ヘッド機構14の設定操作部を調整操作して、電子ビーム出射口30aから出射される電子ビームBEが所定のスポット径を有するビームスポットBESを以ってディスク原盤1の電子線用レジスト層3に集束するようにする。なお、この調整操作は、例えば電子ビームBEが電子線用レジスト層3で焦点を結ぶようにしたり、予め定めた間隔にディスク原盤1の主面と電子ビーム出射口30aとを調整位置させる等によって行う。
【0045】
ディスク原盤作成装置10は、原盤移動駆動機構13を駆動してスライダ20を移動させ、ディスク原盤1に形成するピットパターン潜像の開始位置に電子ビーム出射口30aから出射される電子ビームBEのビームスポットBESが位置するように設定される。ディスク原盤作成装置10は、原盤回転駆動機構12を駆動してディスク原盤1を所定の速度で回転駆動する。ディスク原盤作成装置10は、電子ビーム出射ヘッド機構14から電子ビームBEをディスク原盤1に照射する。
【0046】
ディスク原盤作成装置10は、原盤回転駆動機構12から回転角度情報Aが制御部15へと送出され、この制御部15から出力される制御信号Bに基づいて回転駆動モータ21の回転動作が制御された状態でターンテーブル23の駆動が行われる。ディスク原盤作成装置10は、上述した回転角度情報Aに基づく制御部15から出力される制御信号Cに基づいて移動駆動機構13の移動駆動モータ26の回転動作が制御されて、スライダ20がターンテーブル23と同期して移動動作される。
【0047】
ディスク原盤作成装置10は、カッティング検出部16からカッティング位置情報Dが制御部15へと送出されて、この制御部15から出力される各制御信号E乃至Gによって電子ビーム出射ヘッド機構14の各部が駆動される。ディスク原盤作成装置10は、ブランキング電極33が駆動されて、電子ビームBEの出射のオン・オフ制御が行われる。ディスク原盤作成装置10は、ビーム偏向電極35が駆動されて、電子ビームBEのビームスポットBESの位置調整が行われる。ディスク原盤作成装置10は、フォーカス調整レンズ36が駆動されて、電子ビームBEのビームスポットSの調整が行われる。
【0048】
ディスク原盤作成装置10は、ターンテーブル23上に位置決め載置されたディスク原盤1が原盤回転駆動機構12により所定の速度が回転駆動されるとともに原盤移動駆動機構13によって半径方向へと移動される。ディスク原盤作成装置10は、このように回転・移動するディスク原盤1に対して、電子ビーム出射ヘッド機構14から出射された電子ビームBEのビームスポットBESがその主面をラセン状に走査して情報信号等に応じたピットパータン潜像を形成する。ディスク原盤作成装置10は、上述したように各部が高精度に駆動されるとともに、各部の摩擦変動や外乱等によって電子ビームBEのビームスポットBESの位置ズレが生じた場合にも、その補正が極めて高速で行われる。したがって、ディスク原盤作成装置10は、ディスク原盤1に、極めて微少な形状かつ微細なピッチのピットを微細なトラックピッチによって高精度に形成する。
【0049】
なお、ディスク原盤作成装置10は、ディスク原盤1に対するピットパターン潜像のカッティング動作の開始と終了とを、電子ビームBEの出射のオン・オフとカッティング動作の開始/終了位置又は時間によって制御する。また、ディスク原盤作成装置10は、ディスク原盤1の回転動作と電子ビームBEの出射オンによる走査とが実際の記録開始位置又は時間よりも先行して行われる。さらに、ディスク原盤作成装置10は、ディスク原盤1の停止動作と電子ビームBEの出射オフとが、実際の記録終了位置又は時間よりも遅れて行われる。
【0050】
上述したディスク原盤作成装置10においては、電子銃筒30内に配置されるビーム偏向電極35をビーム偏向電極駆動部39によって駆動して電子ビームBEのビームスポットBESの位置制御を行うように構成したが、かかる構成に限定されるものではない。電子ビームBEは、軌跡中の状態を直接検出するとともにその制御が可能であるといった特徴を有している。本発明の第2の実施の形態として図5及び図6に示したディスク原盤作成装置45は、かかる電子ビームBEの特性を利用して、ディスク原盤1に照射される電子ビームBEのビームスポットBES位置の近傍においてその位置を検出するとともに位置調整を行うように構成したことを特徴とする。
【0051】
すなわち、ディスク原盤作成装置45は、電子ビーム出射ヘッド機構14の電子銃筒30にビーム偏向電極46を直接付設してなる。ビーム偏向電極46は、具体的には、図6に示すように電子銃筒30の電子ビーム出射面に電子ビーム出射口30aを囲んで接合された円弧状の複数個の電極片47a乃至47dによって構成される。なお、ディスク原盤作成装置45は、その他の構成を上述したディスク原盤作成装置10と同等に構成されることから、同一部位に同一符号を付すことによってその説明を省略する。
【0052】
以上のように構成されたディスク原盤作成装置45は、ビーム偏向電極46の各電極片47a乃至47dに対して制御部15から適宜の制御信号がそれぞれ供給される。制御信号は、上述したようにカッティング検出部16によって検出されたカッティング位置情報Dに基づいて制御部15において比較された基準値との差異を補正する制御信号である。ディスク原盤作成装置45は、これによって各電極片47a乃至47dが独立して動作し、電子ビーム出射口30aに円周方向の磁界変化が発生する。したがって、ディスク原盤作成装置45は、この電子ビーム出射口30aを通過する電子ビームBEの軌道を適宜偏向させる。
【0053】
ディスク原盤作成装置10、45は、上述したようにカッティング検出部16によって電子ビームBEによるディスク原盤1のカッティング状態を検出し、制御部15を介して電子ビーム出射ヘッド機構14を制御するように構成されている。また、ディスク原盤作成装置10は、原盤回転駆動機構12や原盤移動駆動機構13に対して、フィードバック制御或いはフォワード・フィードバック制御を行って高精度の駆動を行うように構成されている。ところで、電子ビームBEは、上述したように原盤回転駆動機構12の回転駆動モータ21や原盤移動駆動機構13の移動駆動モータ26等から発生する磁力の影響を受けて、その軌道が不安定となるといった特性を有している。
【0054】
本発明の第3の実施の形態として図7に示したディスク原盤作成装置50は、原盤回転駆動機構51が独立に構成された回転駆動部52と回転検出部54を有する原盤駆動部53とからなる。ディスク原盤作成装置50は、回転駆動部52が原盤駆動部53に対して離間して配置されてなる。回転駆動部52は、回転駆動モータ55と、回転軸56と、駆動プーリ57等の部材によって構成される。回転駆動モータ55は、回転軸56の一端部を回転自在に軸支する例えば静圧軸受が内蔵されており、図示しないサーボ機構により回転速度が精密に制御されるPLL制御型DCブラシレスモータによって構成される。
【0055】
回転駆動部52は、回転駆動モータ55が後述するように制御部15から出力される制御信号によって回転速度が精密に制御されることにより、回転軸56を介して駆動プーリ57を精密に回転駆動する。駆動プーリ57には、ベルト58が掛け合わされている。ベルト58は、原盤駆動部53側の従動プーリ66に掛け合わされている。なお、原盤回転駆動機構51は、精密な回転伝達を行うことから、例えばベルト58にタイミングベルトを用いてもよい。
【0056】
原盤駆動部53は、軸受部材59と、この軸受部材59の軸穴59aに回転自在に軸受けされた回転軸構体60とからなる。回転軸構体60は、軸穴59aを貫通された軸部の両端に上フランジ部61と下フランジ部62とが一体に形成されてなる。上フランジ部61には、ディスク原盤1を位置決め載置するターンテーブル23が一体に設けられる。下フランジ部62には、回転検出部54を構成するエンコーダ板63が固定されている。下フランジ部62には、軸継手機構65を介して従動プーリ66が設けられている。
【0057】
回転検出部54は、例えばエンコーダ板63と軸受部材59の底面に設置されたパルス発生器64とから構成される周知のエンコーダにより構成されている。回転検出部54は、回転軸構体60と一体に回転するエンコーダ板63の信号部がパルス発生器64のスリットを通過することによって、回転軸構体60の回転情報、すなわち回転速度や回転角等の検出値を制御部15へと送出する。原盤回転駆動機構51は、この回転検出部54からの検出値が制御部15において基準値と比較され、その差異に基づく制御信号が回転駆動部52の回転駆動モータ55にフィードバックされて回転制御が行われる。
【0058】
軸継手機構65は、駆動系から発生する振動成分、すなわち駆動プーリ57や従動プーリ66とベルト58との間に生じる微少な摩擦による周波数の高い振動成分やベルト58に生じる振動成分が回転軸構体60に伝達されないように作用する。すなわち、ディスク原盤作成装置においては、高周波数帯域のノイズがディスク原盤1のジッター精度に大きく影響を及ぼすとともに、上述した電子ビーム出射ヘッド機構14に対するビーム偏向制御を行う際に低周波数帯域のノイズ補正が容易であるといった特徴がある。回転軸構体60は、詳細を省略するが内部に減衰バネ等が内蔵されており、従動プーリ66側から伝達される振動等を減衰してターンテーブル23側への伝達を抑制する。換言すれば、軸継手機構65は、回転駆動部52から原盤駆動部53への高周波数帯域の振動の伝達を抑制する機械的ローパスフィルタとして作用する。
【0059】
上述したように、ディスク原盤作成装置50は、ディスク原盤1を直接支持する原盤駆動部53が、磁力発生源でもある回転駆動モータ55を有しその駆動部を構成する回転駆動部52と離間されることにより、磁力の影響を抑制されて電子ビームBEがディスク原盤1に安定した状態で照射される。また、ディスク原盤作成装置50は、回転駆動部52を独立に構成したことにより、回転駆動モータ55を囲む電磁シールド機構67を設けることが容易となりさらに信頼性の向上が図られる。
【0060】
ところで、ディスク原盤作成装置50においては、ターンテーブル23を回転駆動することから回転駆動部52の回転駆動モータ55が比較的大きな駆動トルクを発生する必要がある。ディスク原盤作成装置50は、これに対して駆動系において発生する上述した振動成分の補正制御には比較的軽微なトルクによって対応が可能である。したがって、ディスク原盤作成装置50は、図8に示すように回転軸構体60にトルク発生器70を付設して駆動系に発生する振動成分の補正制御を行うことが可能とされる。
【0061】
トルク発生器70は、回転軸構体60と軸継手機構65との間に配設される。トルク発生器70は、詳細を省略するが回転軸構体60側に設けられたコイルとその外周部に配設された環状マグネット等によって構成される。トルク発生器70は、これらコイルとマグネットとの間に発生する磁力によって回転軸構体60に対してトルク制動を与えて駆動系に発生する振動成分の補正制御を行う。
【0062】
ディスク原盤作成装置50は、小型のトルク発生器70を直接回転軸構体60に設けたことによって、大きなトルクを発生する回転駆動モータ55のトルク制御を行う場合と比較して、低電力化と制御動作のレスポンス向上が図られる。勿論、トルク発生器70は、磁力を発生するが、小型に構成されることから電子ビームBEの軌跡にほとんど影響を及ぼすことは無い。
【0063】
上述した各ディスク原盤作成装置10、45、50においては、原盤回転駆動機構12によって回転駆動されるディスク原盤1を原盤移動駆動機構13によって半径方向に移動させるとともに電子ビーム出射ヘッド機構14を真空槽11に固定して構成される。本発明は、原盤回転駆動機構12によって回転駆動されるディスク原盤1を真空槽11に対して固定するとともに、電子ビーム出射ヘッド機構14を移動駆動機構によって半径方向に移動させるように構成してもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明にかかるディスク原盤作成装置によれば、原盤回転駆動機構や原盤移動駆動機構の動作を検出して基準値との差異に基づくフィードバック制御を行ってディスク原盤を駆動するとともにディスク原盤上における電子ビームのスポット位置を検出して基準値との差異に基づいて電子ビーム出射手段の偏向制御電極を駆動し てディスク原盤に照射される電子ビームの偏向動作を行うことから、駆動系や制御系における制御動作だけでは補正し得ない種々の原因による電子ビームのスポット位置のズレを極めて簡易な構成により優れた周波数応答特性によって高速で補正されるようになる。したがって、ディスク原盤作成装置は、ディスク原盤に対して情報信号等に応じてより微細で微少なピットからなるピットパターン潜像を微少なトラックピッチで高精度に形成することを可能とする。ディスク原盤作成装置は、これによって情報信号等の高密度記録化を図った高精度のディスク状記録媒体の製造の実用化を達成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるディスク原盤作成装置の第1の実施の形態を示す要部構成図である。
【図2】 同ディスク原盤作成装置から出射される電子ビームによるディスク原盤へのピットパターンのカッテイング動作の説明図である。
【図3】 ディスク原盤を説明する縦断面図であり、同図(A)はディスク原盤を示し、同図(B)はピットパターンが形成された状態を示す。
【図4】 ディスク原盤作成装置に備えられる電子ビーム出射ヘッド機構の詳細を示す要部縦断面図である。
【図5】 本発明にかかるディスク原盤作成装置の第2の実施の形態を示す要部構成図である。
【図6】 同ディスク原盤作成装置に備えられるビーム偏向電極の構成を説明する図である。
【図7】 本発明にかかるディスク原盤作成装置の第3の実施の形態を示す要部構成図である。
【図8】 同ディスク原盤作成装置に備えられるトルク制御部の構成説明図である。
【符号の説明】
1 ディスク原盤、3 電子線用レジスト層、4 ピットパターン、10 ディスク原盤作成装置、11 真空槽、12 原盤回転駆動機構、13 原盤移動駆動機構、14 電子ビーム出射ヘッド機構、15 制御部、16 カッティング検出部、20 スライダ、21 回転駆動モータ、22 回転軸、23 ターンテーブル、26 移動駆動モータ、27 送りねじ軸、28 出射部、29 受光部、31 電子銃、33 ブランキング電極、34 アパーチャ、35 ビーム偏向電極、36 フォーカス調整レンズ、37 対物レンズ、38 ブランキクング電極駆動部、39 ビーム偏向電極駆動部、40 フォーカスレンズ駆動部、45 ディスク原盤作成装置、46 ビーム偏向電極、47 電極片、50 ディスク原盤作成装置、51 原盤回転駆動機構、52 回転駆動部、53 原盤駆動部、54 回転検出部、55 回転駆動モータ、56 回転軸、57 駆動プーリ、59 軸受、60 回転軸構体、64 パルス発生器、65 軸継手機構、66 従動プーリ、70 トルク発生器
Claims (2)
- 真空槽と、
回転情報出力手段を設けた回転用駆動モータを備えて上記真空槽内に移動自在に設けられ、原板の表面に電子線用レジスト層を形成したディスク原盤を支持して回転駆動する原盤回転駆動機構と、
電子ビームを出射する電子銃と、上記電子ビームを集束して出射口から上記ディスク原盤の主面に照射させるフォーカス部と、上記出射口の周囲に配置された複数個の制御電極片によって構成されて上記電子ビームの偏向制御を行う偏向制御電極とを備え、上記出射口を上記原盤回転駆動機構に支持した上記ディスク原盤に対向させて上記真空槽に設けられる電子ビーム出射ヘッド機構と、
移動用駆動モータと、この移動用駆動モータにより移動動作されるスライダと、このスライダの移動量を計測する移動量計測手段とを備えて上記真空槽内に設けられ、上記原盤回転駆動機構又は上記電子ビーム出射ヘッド機構を上記ディスク原盤の半径方向に対して相対的に移動させる原盤移動駆動機構と、
上記ディスク原盤上における上記電子ビーム出射ヘッド機構の上記電子銃から出射された上記電子ビームのビームスポット位置を直接検出するカッティング検出部と、
上記ディスク原盤に所定のパターン潜像を形成するための上記電子ビームのビームスポット位置と上記ディスク原盤の回転量及び移動量を規定した基準値を格納し、上記原盤回転駆動機構の上記回転情報出力手段から出力された上記回転用駆動モータの回転情報と上記基準値との差異量に基づいて上記回転用駆動モータをフィードバック制御する制御信号と、上記原盤移動駆動機構の上記移動量計測手段から出力される移動量情報と上記基準値との差異量に基づいて上記移動用駆動モータをフィードバック制御する制御信号を出力するとともに、上記カッティング検出部から出力されるカッティング位置情報と上記基準値との差異量に基づいて上記電子ビーム出射ヘッド機構の上記偏向制御電極を選択的に動作させて上記ディスク原盤への上記電子ビームのスポット位置制御する制御信号を出力する制御部とを備え、
上記原盤回転駆動機構や上記原盤移動駆動機構の機械的変動或いは外乱に起因して生じる上記電子ビームのスポット位置のズレを、上記制御部から出力される上記カッティング位置情報と上記基準値との差異量に基づく上記制御信号により上記偏向制御電極の制御動作を行って補正しながら上記電子線用レジスト層にパターン潜像を形成することを特徴としたディスク原盤作成装置。 - 上記原盤回転駆動機構は、
上記ディスク原盤を位置決め載置するターンテーブルと、このターンテーブルを一体化して回転駆動する回転軸構体とを備える原盤駆動部と、
上記回転用駆動モータを備え、上記原盤駆動部と独立して構成されるとともに離間して配置された回転駆動部と、
上記原盤駆動部と上記回転駆動部とを連結する連結手段と、
上記回転軸構体に付設されてその回転状態を検出する回転検出器からなる上記回転情報出力手段と
から構成されることを特徴とする請求項1に記載のディスク原盤作成装置。
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