JPH11328750A - 電子ビームを用いた露光装置及び原盤並びに情報記録媒体 - Google Patents

電子ビームを用いた露光装置及び原盤並びに情報記録媒体

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JPH11328750A
JPH11328750A JP10193266A JP19326698A JPH11328750A JP H11328750 A JPH11328750 A JP H11328750A JP 10193266 A JP10193266 A JP 10193266A JP 19326698 A JP19326698 A JP 19326698A JP H11328750 A JPH11328750 A JP H11328750A
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JP
Japan
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electron beam
exposure apparatus
container
transmitting portion
diaphragm
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JP10193266A
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Inventor
Minoru Takeda
実 武田
Shin Masuhara
慎 増原
Toshiyuki Kashiwagi
俊行 柏木
Toshio Watanabe
俊夫 渡辺
Kiyoshi Mano
清志 真能
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型軽量で、かつ、簡素化した構造であり、
基板を露光する際に多くの工数を要しない電子ビームを
用いた露光装置を提供するとともに、この露光装置を用
いて容易に作成される原盤並びに情報記録媒体を提供す
る。 【解決手段】 少なくとも、電子銃11から出射された
電子ビームを対物レンズ23を介して、基板50上に形
成されたレジスト層51に照射して露光する電子ビーム
を用いた露光装置1において、電子銃11と対物レンズ
23とを10-3Pa以下の圧力の容器2内に収納すると
ともに容器2の電子ビームが透過する部分に隔膜5を設
けるようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子ビームを用いた
露光装置及び原盤並びに情報記録媒体に関し、さらに詳
しくは、電子銃から出射された電子ビームを対物レンズ
を介して基板上に形成されたレジスト膜に照射し、ピッ
トまたはグルーブ等に対応した潜像を形成する電子ビー
ムを用いた露光装置及びこの露光装置を用いて作製され
る原盤並びにこの原盤を用いて製造される情報記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクなどの情報記録媒体の
さらなる高密度化が求められており、微細なピット又は
グルーブに対応したパターンを有する原盤を作製するた
めに、電子ビームを用いた露光装置を用いる試みが行わ
れている。
【0003】この電子ビームを用いた露光装置は、基板
を回転させるとともに基板のラジアル方向に移動させ、
電子銃から出射されて対物レンズを介して集束される電
子ビームを基板上に形成されたレジスト膜に照射し露光
することにより、レジスト膜にピット又はグルーブに対
応した潜像を形成するものである。
【0004】この電子ビームを用いた露光装置によれ
ば、レジスト膜に照射されるビームスポットを、レーザ
光を用いた場合のスポットよりも小さくできるので、レ
ーザ光を用いた露光装置に比べて、より微細なピット又
はグルーブに対応したパターンの露光を行うことができ
る。
【0005】しかしながら、従来の電子ビームを用いた
露光装置は、装置全体を真空の容器内に設置するもので
あった。以下、従来の電子ビームを用いた原盤の露光装
置について、概略構成断面図である図18を参照して説
明する。
【0006】この図18に示す電子ビームを用いた露光
装置100は、電子銃111、コンデンサレンズ11
2、ビーム変調手段113及びアパーチャ114などで
構成された電子ビーム発生部110と、ビーム偏光手段
121、フォーカス調整手段122及び対物レンズ12
3で構成された電子ビーム集束部120と、例えばガラ
ス製の基板200を載置するとともにこの基板200を
回転させるエアスピンドル装置131及び基板200を
載置したエアスピンドル装置131を基板200のラジ
アル方向に移動させるエアスライド装置132とで概略
構成されている。
【0007】この電子ビームを用いた露光装置100に
おいて、上記各部は全て、容器101内に収納されてお
り、真空排気装置102により排気される。さらに、容
器101は除振テーブル103上に設置されている。こ
の容器101全体は、電子ビームが外部からの磁場の影
響を受けないように、容器101自体が鉄などで構成さ
れるか、容器101が例えばパーマロイあるいはフェラ
イト材料により磁気シールドが施されている。
【0008】この電子ビームを用いた露光装置により露
光を行う際は、まず、電子銃111から電子ビームが出
射される。電子銃111から出射された電子ビームは、
コンデンサレンズ112により集光され、電磁力を発生
させて電子ビームを変調する一対の電極から構成された
ビーム変調手段113により変調される。ビーム変調手
段113により変調された電子ビームは、アパーチャ1
14を通過し、必要に応じ、電磁力を発生させて電子ビ
ームを偏向する一対の電極から構成されるビーム偏向手
段121により偏向される。ビーム偏向手段121は、
基板200上のレジスト膜に照射されるスポットをnm
からμmオーダーで偏向することが可能になされてい
る。
【0009】ビーム偏向手段121により偏向された電
子ビーム又はビーム偏向手段121をそのまま通過した
電子ビームは、静電レンズまたは電磁型レンズなどを用
いたフォーカス調整手段122により、基板200上の
レジスト膜上におけるスポット径が調整される。そし
て、対物レンズ123を介して集束された電子ビーム
は、基板200上に形成されたレジスト膜に照射され、
基板200上のレジスト膜において数nmから数μmサ
イズのスポット径に絞り込むことが可能である。
【0010】エアスピンドル装置131は、基板200
を所定の回転速度で回転させるものである。その概略構
成は、基板200を載置するステージと、このステージ
と直結している回転軸を支持するエアベアリングと、ス
テージを回転させる電動モータとで構成されている。こ
のエアスピンドル装置131は、高精度で制御される回
転速度で駆動され、例えば3600rpmで回転し、そ
の回転速度が例えば光学式ロータリエンコーダを用いた
サーボ機構により1回転当たり10-7以下の回転ジッタ
で制御されている。
【0011】エアスライド装置132は、基板200を
載置したエアスピンドル装置131を基板200のラジ
アル方向へ移動させるものである。その概略構成は、エ
アを用いたリニアガイド機構と基板200を載置したエ
アスピンドル装置131をラジアル方向に駆動する電動
モータで構成されている。エアスライド装置132の移
動速度は例えばレーザスケールによる測定機構により精
密に制御され、例えば数nmの移動精度で基板200の
ラジアル方向に駆動される。
【0012】エアスピンドル装置131及びエアスライ
ド装置132は、真空の容器101内に設置されてい
る。このため、これらのエアベアリングやリニアガイド
機構に用いられるエアが真空の容器101内にもれない
ように、これらにはエアシールが施されている。また、
エアスピンドル装置131及びエアスライド装置132
には、これらの摺動部の構成要素などからの脱ガスによ
る真空度の劣化を防止する手段が設けられている。さら
に、エアスピンドル装置131及びエアスライド装置1
32には、これらの電動モータから発生する磁場の電子
ビームに及ぼす影響を防ぐために、磁気シールドも設け
られている。
【0013】レジスト膜が形成された基板200は、エ
アスピンドル装置131のステージにチャッキングされ
て回転駆動され、さらにエアスピンドル装置131を載
置するエアスライド装置132により基板200のラジ
アル方向へ移動される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うに、装置全体が容器101内に収納された従来の電子
ビームを用いた露光装置100は、装置自体の大型化、
構成の複雑化等を招いてしまうという問題を有してい
た。
【0015】また、このような露光装置100を用いて
原盤を作製する場合、基板200を真空の容器101内
に設置して、真空の容器101内で露光を行うことにな
るために、テーブル上に基板200を載置して、容器1
01内を真空にした後に露光し、その後に容器101内
を常圧に戻し、基板200を取り外す工程を経ることと
なり、光学調整を含めて原盤を作製する際に多くの工数
を要していた。
【0016】そこで、本発明は、小型軽量で、かつ、簡
素化した構造の電子ビームを用いた露光装置を提供する
とともに、この露光装置を用いて容易に作製される原盤
並びに情報記録媒体を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の電子ビームを用
いた露光装置は、電子銃から出射された電子ビームを、
少なくとも対物レンズを介して、基板上に形成されたレ
ジスト膜に照射して露光する電子ビームを用いた露光装
置において、電子銃と対物レンズとを10-3Pa以下の
圧力の容器内に収納し、容器の電子ビームが透過する部
分に隔膜を設けたことを特徴としている。
【0018】この隔膜の材料としては、例えば、金属又
は金属化合物、硼素又は硼素化合物、シリコン又はシリ
コン化合物、炭素材料等が挙げられる。
【0019】この電子ビームを用いた露光装置によれ
ば、容器内に収納された電子銃から出射された電子ビー
ムは、容器内に収納された対物レンズにより収束された
後に、隔膜を透過して容器の外部に放出される。そし
て、容器の外部に放出された電子ビームは、容器の外部
において、基板上に形成されたレジスト膜に照射され
る。
【0020】したがって、この電子ビームを用いた露光
装置においては、例えば、エアを用いて基板を駆動する
エアスピンドル装置やエアスライド装置等を大気中に設
置して、電子銃及び対物レンズを収納する容器内を10
-3Pa以下の圧力に維持した状態で基板の着脱が可能と
なり、多くの工数を要することなく露光を行うことがで
きる。
【0021】また、この電子ビームを用いた露光装置に
おいては、エアスピンドル装置やエアスライド装置等に
エアシールを施す必要もなく、容器を磁気シールドすれ
ば、エアスピンドル装置やエアスライド装置等に磁気シ
ールドを施す必要もなくなる。したがって、この電子ビ
ームを用いた露光装置は、基板を駆動する機構の小型軽
量化、簡素化を図ることができる。
【0022】なお、この電子ビームを用いた露光装置に
おいて、前記隔膜は、中央部に位置する電子ビーム透過
部と、この電子ビーム透過部の外縁にこの電子ビーム透
過部と一体に形成された支持部とを有し、電子ビーム透
過部の厚さが支持部の厚さよりも小とされていることが
望ましい。
【0023】隔膜は、以上のような構造とされることに
より、容器内外の圧力差に十分耐え得る強度を確保しな
がら、電子ビームの透過ロスを低減し、より効率的に電
子ビームを透過することができる。
【0024】また、この電子ビームを用いた露光装置に
おいて、前記隔膜は、電子ビーム透過部の厚さが2μm
以下であることが望ましい。
【0025】この電子ビームを用いた露光装置は、前記
隔膜の電子ビーム透過部の厚さを2μm以下とすること
により、電子ビームが隔膜を透過する際の電子の散乱を
抑制して、レジスト膜に照射される電子ビームのスポッ
トを小さくすることができる。
【0026】また、本発明に係る原盤は、電子銃と対物
レンズとを10-3Pa以下の圧力の容器内に収納し、容
器の電子ビームが透過する部分に隔膜を設けた露光装置
により作製されたことを特徴としている。
【0027】また、本発明に係る情報記録媒体は、電子
銃と対物レンズとを10-3Pa以下の圧力の容器内に収
納し、容器の電子ビームが透過する部分に隔膜を設けた
露光装置により作製された原盤を用いて製造されたこと
を特徴としている。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0029】本発明に係る電子ビームを用いた露光装置
は、例えば、光ディスクや光磁気ディスク等の情報記録
媒体(以下、光ディスクと称する。)の製造工程におい
て用いられる原盤(以下、ディスク原盤と称する。)を
作製するための露光装置として適用できる。
【0030】本発明を適用した電子ビームを用いた露光
装置1は、図1に示すように、電子ビームを発生する電
子ビーム発生部10と、電子ビーム発生部10からの電
子ビームを集束して基板50上に形成されたレジスト層
51に照射させる電子ビーム集束部20と、レジスト層
51が形成された基板50を移動可能に支持する基板支
持機構部30とにより構成される。
【0031】本発明に係る電子ビームを用いた露光装置
1が、従来の電子ビームを用いた露光装置と大きく異な
るのは、電子ビーム発生部10及び電子ビーム集束部2
0のみが真空の容器2内に収納され、基板支持機構部3
0が大気中に設置されている点である。
【0032】電子ビーム発生部10および電子ビーム集
束部20を収納する容器2は、図示しない真空排気装置
によりLaB6などの電子線源である後述する電子銃1
1近傍を10-6Pa以下の高真空に、後述する対物レン
ズ23近傍を10−3Pa以下の真空度となるように構
成されている。電子ビーム発生部10の真空度は、電子
線源からの電子ビームの発生効率を上げるために特に高
真空にするためであり、電子ビーム集束部20の真空度
は、電子ビームを制御するために必要な真空度に設定さ
れている。
【0033】この容器2全体は、電子ビームが外部から
の磁場の影響を受けないように、容器2自体が鉄などで
構成されるか、容器2が例えばパーマロイあるいはフェ
ライト材料により磁気シールドが施されていることが望
ましい。
【0034】この容器2は、例えば円筒状を呈し、除振
テーブル3上に設けられたホルダ4に保持されている。
除震テーブル3上には、更に基板支持機構部30が設置
されており、ホルダ4により保持された容器2は、一端
側が、基板支持機構部30に支持された基板50と対向
するようになされている。
【0035】容器2内に収納された電子ビーム発生部1
0は、電子ビームを出射する電子銃11と、この電子銃
11から出射された電子ビームを集束するコンデンサレ
ンズ12と、コンデンサレンズ12により集束された電
子ビームを変調信号に応じて偏向し又は通過させる電子
ビーム変調手段13と、電子ビーム変調手段13により
偏向され又は電子ビーム変調手段13を通過した電子ビ
ームを透過又は遮断するアパーチャー14とを備えてい
る。
【0036】電子銃11は、LaB6等よりなる電子ビ
ーム放出源より放出され、陽極により加速された電子ビ
ームを出射する。電子銃11より出射された電子ビーム
は、静電レンズであるコンデンサレンズ12により集束
され、電子ビーム変調手段13を介してアパーチャー1
4に到達する。
【0037】電子ビーム変調手段13は、一対の電極を
備え、変調信号に応じてこれら電極間に電界を発生させ
て、コンデンサレンズ12により集束された電子ビーム
を偏向させることにより、オン/オフの切り換えを行う
ものである。すなわち、電子ビーム変調手段13は、電
子ビームをオフにする場合は、コンデンサレンズ12に
より集束された電子ビームがアパーチャー14により遮
断されるように、一対の電極間に大きな電界を発生さ
せ、電子ビームを大きく偏向させる。また、電子ビーム
変調手段13は、電子ビームをオンにする場合は、コン
デンサレンズ12により集束された電子ビームがアパー
チャー14を透過するように、電子ビームを偏向せずに
そのまま通過させる。
【0038】アパーチャー14を透過した電子ビーム
は、このアパーチャー14によりビーム径が絞られた状
態で、電子ビーム集束部20へと移動する。
【0039】電子ビーム集束部20は、電子ビーム発生
部10のアパーチャー14を透過した電子ビームをウォ
ブリング信号に応じて偏向する電子ビーム偏向手段21
と、電子ビーム偏向手段21により偏向され又は電子ビ
ーム偏向手段21を通過した電子ビームのビーム径を調
整するフォーカス調整レンズ22と、フォーカス調整レ
ンズ22によりビーム径が調整された電子ビームを集束
してレジスト層3に照射させる対物レンズ23とを備え
ている。
【0040】電子ビーム偏向手段21は、一対の電極を
備え、ウォブリング信号に応じてこれら電極間に電界を
発生させて、アパーチャー14を透過した電子ビームを
偏向させ、図2に示すように、基板50上のレジスト層
51に、僅かな振幅で蛇行するパターン(ウォブリング
グルーブ用パターン52)を形成するためのものであ
る。したがって、この電子ビーム偏向手段21は、ウォ
ブリンググルーブ用パターン52を形成するときのみ電
子ビームを偏向させ、図3に示すピット用パターン53
や図4に示すストレートグルーブ用パターン54のよう
な直線的なパターンを形成するときは、電子ビームを偏
向せずにそのまま通過させる。
【0041】電子ビーム偏向手段21を透過した電子ビ
ームは、静電レンズ又は電磁型レンズよりなるフォーカ
ス調整レンズ22によりスポット径が調整される。電子
ビームは、このフォーカス調整レンズ22を透過するこ
とにより、常にレジスト層4上で焦点が合った状態とさ
れる。フォーカス調整レンズ22によりスポット径が調
整された電子ビームは、対物レンズ23に入射する。
【0042】対物レンズ23に入射した電子ビームは、
この対物レンズ23により集束され、数nmから数μm
のスポット径に絞り込まれて、容器2に設けられた隔膜
5を透過して容器2の外部に放出され、基板支持機構部
30に支持された基板50上のレジスト層51に照射さ
れる。なお、隔膜5の詳細については、後述する。
【0043】基板支持機構部30は、レジスト層51が
形成された基板50を回転操作するエアスピンドル装置
31と、このエアスピンドル装置31を基板50のラジ
アル方向に水平移動させるエアスライド装置32とを備
え、除振テーブル3上に配設されている。除振テーブル
3は、大気中に設置されており、この除振テーブル3上
に設けられた基板支持機構部30も、除振テーブル3と
共に大気中に配設される。
【0044】本発明に係る電子ビームを用いた露光装置
30においては、以上のように、基板支持機構部30の
エアスピンドル装置31及びエアスライド装置31が大
気中に配設されているので、これらに対してエアシール
を施す必要がなく、小型軽量且つ簡素化した構成とする
ことができる。
【0045】エアスピンドル装置31は、基板50を載
置するステージと、ステージに取り付けられた回転軸を
支持するエアベアリングと、ステージを回転駆動する駆
動モータとを備えており、高精度で制御される回転速度
で駆動される。例えば、エアスピンドル装置31は、基
板50を3600rpmで回転させ、その回転速度が例
えば光学式ロータリーエンコーダを用いたサーボ機構に
より、一回転当たり10-7以下の回転ジッタで制御され
ている。
【0046】エアスライド装置32は、エアスピンドル
装置31を基板50のラジアル方向に移動操作する駆動
モータと、エアスピンドル装置31を支持すると共にこ
のエアスピンドル装置31の水平移動を制御するエアを
用いたリニアガイド機構とを備えている。このエアスラ
イド装置32の移動速度は、例えばレーザスケールによ
る測長機構により精密に制御され、例えば数nmの移動
精度でエアスピンドル装置31を基板50のラジアル方
向に水平移動させる。
【0047】対物レンズ23により集束され、容器2に
設けられた隔膜5を透過して容器2の外部に放出された
電子ビームは、エアスピンドル装置31により回転操作
されると共にエアスライド装置32により水平移動され
る基板50上のレジスト層51に照射される。これによ
り、図5に示すように、レジスト層51に、光ディスク
のピットやグルーブに対応したパターンの潜像が、例え
ば、同心円状又はスパイラル状に形成される。
【0048】その後、レジスト層51を現像液により現
像し、ポジ型のレジスト材料を用いた場合には、スポッ
トが照射された部分のレジスト材料が除去されて、さら
にエッチング処理により、ピットやグルーブに対応した
凹凸パターンが形成され、例えば光ディスク用の原盤が
作製される。この場合、基板50を真空中の容器内に設
置し、露光後さらに容器内を常圧に戻した状態で取り出
す必要がなく、多くの工数を要することなく原盤を作製
することができる。
【0049】そして、この原盤からNiメッキ(電鋳)
により、レプリカを作製することにより、厚さ数100
μmのスタンパを作製する。このスタンパを金型として
用い、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂の出射成形
により、ディスク基板を作製し、さらにこのディスク基
板のピットやグルーブが形成された面にA1などの反射
層を形成して、その上に保護層を形成し、レーベル印刷
を行い例えば光ディスクなどの情報記録媒体が完成す
る。この場合、原盤を容易に作製できるので、仕様変更
などが容易となり多くの工数を要しないで情報記録媒体
を作製することができる。
【0050】上記の露光装置1を用いて作製された原盤
は、例えば最小ピットのピット長0.16μm、トラッ
クピッチ0.29μmの露光が可能であり、この原盤を
用いて、例えば記録容量が30GBの光ディスクなどの
情報記録媒体の作成が可能である。
【0051】ところで、この電子ビームを用いた露光装
置1においては、電子ビームの散乱や減衰を抑制して良
好な露光が行うために、上述したように、所定の真空度
に設定された容器2内に、電子ビーム発生部10及び電
子ビーム収束部20を収納するようにしている。そし
て、容器2内の電子ビーム発生部10から出射された電
子ビームを容器2の外部に適切に放出するとともに、容
器2内の真空度を維持するために、容器2に隔膜5が設
けられている。電子ビームは、この隔膜5を透過して、
容器2内から容器2の外部に放出される。
【0052】隔膜5は、図6に示すように、支持部材6
に保持された状態で容器2に取り付けられている。支持
部材6は、中心孔6aを有する円環状を呈し、この中心
孔6aの一方の開口部をを閉塞するように、一方の平面
部に隔膜5が接合されている。そして、この支持部材6
は、容器2の基板50と対向する側に形成された孔部2
aに密着嵌合されている。なお、図6は図1におけるA
部を拡大して示す図である。
【0053】ここで、容器2は、支持部材6が密着嵌合
された部分が外側に突出した形状とされていることが望
ましい。このように、容器2の支持部材6が密着嵌合さ
れた部分を外側に突出させることにより、隔膜5の電子
ビーム透過に必要とされる面積を最小限にすることがで
き、隔膜5の強度を確保することが容易になると共に、
誤って容器2が高速回転する基板50と接触した場合の
衝撃を小さく抑えることができる。
【0054】また、この電子ビームを用いた露光装置に
おいては、隔膜5を透過した電子ビームが大気中にて基
板50上のレジスト層51に照射されることになるが、
隔膜5とレジスト層51との間の距離(WD:Working
Distance)を小さく設定することにより、電子ビームの
大気中における散乱や減衰を抑制することができる。具
体的には、回転操作される基板50の面振れ等を考慮し
て、WDを10〜100μm程度に設定することによ
り、適切な露光を行うことができる。
【0055】隔膜5は、電子ビームをできるだけ小さな
ロスで通過させる必要があり、その材質としては、原子
番号の小さい原子又はその化合物で、密度の小さいもの
が選択される。具体的には、隔膜5の材料としては、例
えば、ベリリウム、アルミニウム、チタニウム等の金属
又はこれらを含む合金材料、硼素又は硼素化合物、シリ
コン又は二酸化シリコンや窒化シリコン等のシリコン化
合物、ダイヤモンド、グラファイト等の炭素材料等が選
択される。
【0056】また、隔膜5は、電子ビームが透過する際
のビームの散乱をできるだけ抑えるとともに、容器2の
内部の圧力と容器2の外部の圧力との圧力差に耐えうる
強度を確保する必要がある。このため、隔膜5は、図7
に示すように、中央部に厚さが小とされた部分を有し、
この厚さが小とされた部分にて電子ビームを透過する構
造とされていることが望ましい。以下、隔膜5の中央部
に位置する厚さが小とされた部分を電子ビーム透過部5
aといい、この電子ビーム透過部5aの外縁に位置する
厚さが大とされた部分を支持部5bという。すなわち、
この図7に示す隔膜5は、電子ビーム透過部5aが、こ
の電子ビーム透過部5aと一体にその外縁に設けられた
支持部5bにより支持された構造となっている。隔膜5
は、このような構造とされることにより、さらに、取り
付けの際の作業性の向上を図ることもできる。
【0057】この隔膜5において、電子ビーム透過部5
aの厚さは、ビームの散乱を考慮するとなるべく小さい
方が望ましい。また、電子ビーム透過部5aの大きさ
(面積)は、電子ビームのアライメントの容易性を考慮
するとなるべく大きい方が望ましい。しかしながら、電
子ビーム透過部5aの厚さをあまり小さくし、電子ビー
ム透過部5aの大きさをあまり大きくすると、隔膜5
は、容器2の内部と外部との圧力差に耐えられず、欠損
が生じてしまう。
【0058】容器2の内部と外部との圧力差に耐えうる
隔膜5の最適な形状は、材料力学的計算により、以下の
ように求められる。
【0059】例えば、図8及び図9に示すように、電子
ビーム透過部5aを円形とした場合、容器2の外部の圧
力、すなわち大気圧が等分布荷重として電子ビーム透過
部5aに加わる応力が最大となるのは、電子ビーム透過
部5aと支持部5bとの境界部分である。そして、電子
ビーム透過部5aの厚さをhとし、大気圧により電子ビ
ーム透過部5aに生じる最大曲げモーメントをMmax
とすると、電子ビーム透過部5aと支持部5bとの境界
部分に加わる応力の最大値(以下、最大曲げ応力とい
う。)σmaxは、下記式(1)で表される。
【0060】 σmax=(6×Mmax)/h2 ・・・(1) ここで、電子ビーム透過部の直径をaとし、容器2内部
の圧力と容器2外部の圧力との圧力差をPとすると、大
気圧により電子ビーム透過部5aに生じる最大曲げモー
メントMmaxは、下記式(2)で表される。
【0061】 Mmax={P×(a/2)2}/8=(P×a2)/32 ・・・(2) 式(1)に式(2)を代入すると、最大曲げ応力σma
xは、下記式(3)で表される。
【0062】 σmax=0.1875×P×(a/h)2 ・・・(3) 隔膜5は、この最大曲げ応力σmaxが、隔膜5の材料
によって決まる降伏応力を越えないようにその形状を設
定すれば、容器2の内部と外部との圧力差に耐えうる強
度を確保することができる。すなわち、容器2の内部と
外部との圧力差に耐えうる強度を隔膜5に確保させるた
めには、隔膜5の降伏応力をσとしたときに、下記式
(4)を満足するように、電子ビーム透過部5aの直径
aと電子ビーム透過部5aの厚さhを設定すればよい。
【0063】 σ>0.1875×P×(a/h)2 ・・・(4) 具体的に隔膜5を、降伏応力が約7.0×109[N/
2]である単結晶シリコンより作製した場合の、最大
曲げ応力と電子ビーム透過部5aの形状との関係を図1
0に示す。この図10において、実線Aは、電子ビーム
透過部5aの直径を1μmとした場合の電子ビーム透過
部5aの厚さと最大曲げ応力との関係を示し、実線B
は、電子ビーム透過部5aの直径を10μmとした場合
の電子ビーム透過部5aの厚さと最大曲げ応力との関係
を示し、実線Cは、電子ビーム透過部5aの直径を10
0μmとした場合の電子ビーム透過部5aの厚さと最大
曲げ応力との関係を示し、実線Dは、電子ビーム透過部
5aの直径を1000μmとした場合の電子ビーム透過
部5aの厚さと最大曲げ応力との関係を示している。ま
た、この図10において、横軸は電子ビーム透過部5a
の厚さを示し、縦軸は最大曲げ応力の値を示している。
【0064】この図10から分かるように、隔膜5の最
大曲げ応力は、電子ビーム透過部5aの直径が大きいほ
ど大きくなり、電子ビーム透過部5aの厚さが大きいほ
ど小さくなる。そして、例えば、電子ビーム透過部5a
の直径が1μmの場合、その厚さが約0.003μmよ
りも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力より大となる
ので、単結晶シリコンよりなる隔膜5において、電子ビ
ーム透過部5aの直径を1μmに設定したときは、その
厚さを約0.003μmよりも大きく設定する必要があ
る。
【0065】また、電子ビーム透過部5aの直径が10
μmの場合、その厚さが約0.03μmよりも小さくな
ると最大曲げ応力が降伏応力より大となる。したがっ
て、単結晶シリコンよりなる隔膜5において、電子ビー
ム透過部5aの直径を10μmに設定したときは、その
厚さを約0.03μmよりも大きく設定する必要があ
る。
【0066】また、電子ビーム透過部5aの直径が10
0μmの場合、その厚さが約0.3μmよりも小さくな
ると最大曲げ応力が降伏応力より大となる。したがっ
て、単結晶シリコンよりなる隔膜5において、電子ビー
ム透過部5aの直径を100μmに設定したときは、そ
の厚さを約0.3μmよりも大きく設定する必要があ
る。
【0067】また、電子ビーム透過部5aの直径が10
00μmの場合、その厚さが約3μmよりも小さくなる
と最大曲げ応力が降伏応力より大となる。したがって、
単結晶シリコンよりなる隔膜5において、電子ビーム透
過部5aの直径を1000μmに設定したときは、その
厚さを約3μmよりも大きく設定する必要がある。
【0068】なお、以上は、電子ビーム透過部5aを円
形とした場合について説明したが、図11及び図12又
は図13及び図14に示すように、電子ビーム透過部5
aを正方形又は長方形とした場合も、同様の材料力学的
計算により、容器2の内部と外部との圧力差に耐えうる
隔膜5の最適な形状を求めることができる。
【0069】電子ビーム透過部5aを正方形又は長方形
とした場合、容器2の外部の圧力、すなわち大気圧が等
分布荷重として電子ビーム透過部5aに加わる応力が最
大となるのは、正方形の各辺の中央部分又は長方形の短
辺の中央部分である。そして、電子ビーム透過部5aの
厚さをhとし、大気圧により電子ビーム透過部5aに生
じる最大曲げモーメントをMmaxとすると、正方形の
各辺の中央部分又は長方形の短辺の中央部に加わる最大
曲げ応力σmaxは、上記式(1)で表したように、
(6×Mmax)/h2となる。
【0070】ここで、正方形の一辺の長さ又は長方形の
短辺の長さをaとし、長方形の長辺の長さをbとし、容
器2内部の圧力と容器2外部の圧力との圧力差をPとす
ると、大気圧により電子ビーム透過部5aに生じる最大
曲げモーメントMmaxは、下記式(5)で表される。
【0071】Mmax=α×P×a2 ・・・(5) ここで、係数αは、長辺bと短辺aとの比(b/a)と
ポアソン比とで決まる値であり、b/aが1のとき、す
なわち正方形のとき、α≒0.0513となる。そし
て、b/aが大きくなるにしたがってαの値も大きくな
り、b/aが無限大のとき、α≒0.833となる。
【0072】式(1)に式(5)を代入すると、最大曲
げ応力σmaxは、下記式(6)で表される。
【0073】 0.31×P×(a/h)2<σmax<0.50×P×(a/h)2 ・・・ (6) 隔膜5は、この最大曲げ応力σmaxが、隔膜5の材料
によって決まる降伏応力を越えないようにその形状を設
定すれば、容器2の内部と外部との圧力差に耐えうる強
度を確保することができる。すなわち、容器2の内部と
外部との圧力差に耐えうる強度を隔膜5に確保させるた
めには、隔膜5の降伏応力をσとしたときに、少なくと
も下記式(7)を満足するように、電子ビーム透過部5
aの一辺の長さ又は短辺の長さaと電子ビーム透過部5
aの厚さhを設定すればよい。
【0074】 σ>0.31×P×(a/h)2 ・・・(7) 具体的に隔膜5を、降伏応力が約7.0×109[N/
2]である単結晶シリコンより作製した場合の、最大
曲げ応力と電子ビーム透過部5aの形状との関係を図1
5及び図16に示す。なお、図15は、電子ビーム透過
部5aが正方形の場合を示し、図16は、電子ビーム透
過部5aが長辺と短辺の比が無限大の長方形の場合を示
している。
【0075】図15において、実線Eは、電子ビーム透
過部5aの一辺の長さを1μmとした場合の電子ビーム
透過部5aの厚さと最大曲げ応力との関係を示し、実線
Fは、電子ビーム透過部5aの一辺の長さを10μmと
した場合の電子ビーム透過部5aの厚さと最大曲げ応力
との関係を示し、実線Gは、電子ビーム透過部5aの一
辺の長さを100μmとした場合の電子ビーム透過部5
aの厚さと最大曲げ応力との関係を示し、実線Hは、電
子ビーム透過部5aの一辺の長さを1000μmとした
場合の電子ビーム透過部5aの厚さと最大曲げ応力との
関係を示している。また、図16において、実線Iは、
電子ビーム透過部5aの短辺の長さを1μmとした場合
の電子ビーム透過部5aの厚さと最大曲げ応力との関係
を示し、実線Jは、電子ビーム透過部5aの短辺の長さ
を10μmとした場合の電子ビーム透過部5aの厚さと
最大曲げ応力との関係を示し、実線Kは、電子ビーム透
過部5aの短辺の長さを100μmとした場合の電子ビ
ーム透過部5aの厚さと最大曲げ応力との関係を示し、
実線Lは、電子ビーム透過部5aの短辺の長さを100
0μmとした場合の電子ビーム透過部5aの厚さと最大
曲げ応力との関係を示している。
【0076】また、この図15及び図16において、横
軸は電子ビーム透過部5aの厚さを示し、縦軸は最大曲
げ応力の値を示している。
【0077】この図15及び図16から分かるように、
隔膜5の最大曲げ応力は、電子ビーム透過部5aが正方
形の場合はその一辺の長さが大きいほど大きくなり、電
子ビーム透過部5aが長方形の場合はその短辺の長さが
大きいほど大きくなる。そして、電子ビーム透過部5a
の厚さが大きいほど、最大曲げ応力は小さくなる。
【0078】そして、例えば、正方形の電子ビーム透過
部5aの一辺の長さが1μmの場合、その厚さが約0.
004μmよりも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力
より大となるので、単結晶シリコンよりなる隔膜5にお
いて、正方形の電子ビーム透過部5aの一辺の長さを1
μmに設定したときは、その厚さを約0.004μmよ
りも大きく設定する必要がある。
【0079】また、正方形の電子ビーム透過部5aの一
辺の長さが10μmの場合、その厚さが約0.04μm
よりも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力より大とな
る。したがって、単結晶シリコンよりなる隔膜5におい
て、正方形の電子ビーム透過部5aの一辺の長さを10
μmに設定したときは、その厚さを約0.04μmより
も大きく設定する必要がある。
【0080】また、正方形の電子ビーム透過部5aの一
辺の長さが100μmの場合、その厚さが約0.4μm
よりも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力より大とな
る。したがって、単結晶シリコンよりなる隔膜5におい
て、正方形の電子ビーム透過部5aの一辺の長さを10
0μmに設定したときは、その厚さを約0.4μmより
も大きく設定する必要がある。
【0081】また、正方形の電子ビーム透過部5aの一
辺の長さが1000μmの場合、その厚さが約4μmよ
りも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力より大とな
る。したがって、単結晶シリコンよりなる隔膜5におい
て、正方形の電子ビーム透過部5aの一辺の長さを10
00μmに設定したときは、その厚さを約4μmよりも
大きく設定する必要がある。
【0082】また、長方形の電子ビーム透過部5aの短
辺の長さが1μmの場合、その厚さが約0.006μm
よりも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力より大とな
るので、単結晶シリコンよりなる隔膜5において、長方
形の電子ビーム透過部5aの短辺の長さを1μmに設定
したときは、その厚さを約0.006μmよりも大きく
設定する必要がある。
【0083】また、長方形の電子ビーム透過部5aの短
辺の長さが10μmの場合、その厚さが約0.06μm
よりも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力より大とな
る。したがって、単結晶シリコンよりなる隔膜5におい
て、長方形の電子ビーム透過部5aの短辺の長さを10
μmに設定したときは、その厚さを約0.06μmより
も大きく設定する必要がある。
【0084】また、長方形の電子ビーム透過部5aの短
辺の長さが100μmの場合、その厚さが約0.6μm
よりも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力より大とな
る。したがって、単結晶シリコンよりなる隔膜5におい
て、長方形の電子ビーム透過部5aの短辺の長さを10
0μmに設定したときは、その厚さを約0.6μmより
も大きく設定する必要がある。
【0085】また、長方形の電子ビーム透過部5aの短
辺の長さが1000μmの場合、その厚さが約6μmよ
りも小さくなると最大曲げ応力が降伏応力より大とな
る。したがって、単結晶シリコンよりなる隔膜5におい
て、長方形の電子ビーム透過部5aの短辺の長さを10
00μmに設定したときは、その厚さを約6μmよりも
大きく設定する必要がある。
【0086】以上説明したように隔膜5の形状を設定す
るようにすれば、容器2の内部と外部との圧力差に耐え
うる強度を隔膜5に確保させることができる。
【0087】ところで、隔膜5の電子ビーム透過部5a
の厚さは、電子ビームが隔膜5を透過する際のビーム散
乱を考慮すると、小さく設定することが望ましい。すな
わち、電子ビームが隔膜5を透過する際のビームの散乱
が多くなると、レジスト層51上に照射される際の電子
ビームのビーム径が大きくなり、レジスト層51に微細
なピットパターンやグルーブパターンに対応した潜像を
適切に形成することができなくなる。
【0088】隔膜5の電子ビーム透過部5aの厚さとレ
ジスト層51に照射される際の電子ビームのビーム径と
の関係を図17に示す。この図17において、横軸は電
子ビーム透過部5aの厚さを示し、縦軸はレジスト層5
1に照射される際の電子ビームのビーム径を示してい
る。なお、電子ビームを出射する際の加速電圧が100
kVを越えると電子ビームの安定性が低下して適切な露
光を行うことができないので、ここでは加速電圧を10
0kVに設定している。
【0089】この図17から分かるように、電子ビーム
透過部5aの厚さが2μmを越えると、電子ビームを透
過する際のビーム散乱が多くなり、レジスト層51に照
射される際の電子ビームのビーム径が200nmを越え
てしまう。したがって、ピットやグルーブの幅が200
nmとなる微細なパターンの潜像を形成するためには、
電子ビーム透過部5aの厚さは、2μm以下に設定する
ことが望ましい。
【0090】以上の各条件を満足するように隔膜5の形
状を設定すれば、隔膜5は、電子ビームが透過する際の
ビームの散乱をできるだけ抑えるとともに、容器2の内
部の圧力と容器2の外部の圧力との圧力差に耐えうる強
度を確保することができ、適切に電子ビームを透過する
ことができる。
【0091】
【発明の効果】本発明の電子ビームを用いた露光装置に
よれば、例えば、エアを用いて基板を駆動するエアスピ
ンドル装置やエアスライド装置等を大気中に設置して、
電子銃及び対物レンズを収納する容器内を10-3Pa以
下の圧力に維持した状態で基板の着脱が可能となり、多
くの工数を要することなく簡便に露光を行うことができ
る。
【0092】また、この電子ビームを用いた露光装置に
おいては、エアスピンドル装置やエアスライド装置等に
エアシールを施す必要もなく、容器を磁気シールドすれ
ば、エアスピンドル装置やエアスライド装置等に磁気シ
ールドを施す必要もなくなる。したがって、この電子ビ
ームを用いた露光装置は、基板を駆動する機構の小型軽
量化、簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ビームを用いた露光装置の概
略構成図である。
【図2】上記電子ビームを用いた露光装置により形成さ
れたウォブリンググルーブに対応したパターンを示す斜
視図である。
【図3】上記電子ビームを用いた露光装置により形成さ
れたピットに対応したパターンを示す斜視図である。
【図4】上記電子ビームを用いた露光装置により形成さ
れたストレートグルーブに対応したパターンを示す斜視
図である。
【図5】上記電子ビームを用いた露光装置により、電子
ビームをレジスト層上に照射する様子を示す斜視図であ
る。
【図6】 上記電子ビームを用いた露光装置の要部を示
す図であり、図1におけるA部を拡大して示す断面図で
ある。
【図7】 上記電子ビームを用いた露光装置の要部を更
に拡大して示す断面図である。
【図8】隔膜の一例を示す平面図である。
【図9】上記隔膜の断面図である。
【図10】電子ビーム透過部の厚さと最大曲げ応力との
関係を示す図である。
【図11】隔膜の他の例を示す平面図である。
【図12】上記隔膜の断面図である。
【図13】隔膜の更に他の例を示す平面図である。
【図14】上記隔膜の断面図である。
【図15】電子ビーム透過部の厚さと最大曲げ応力との
関係を示す図である。
【図16】電子ビーム透過部の厚さと最大曲げ応力との
関係を示す図である。
【図17】電子ビーム透過部の厚さとレジスト層に照射
される際の電子ビームのビーム径との関係を示す図であ
る。
【図18】従来の電子ビームを用いた露光装置の概略構
成図である。
【符号の説明】
1 露光装置、2 容器、3 除震テーブル、5 隔
膜、5a 電子ビーム透過部、5b 支持部、10 電
子ビーム発生部、11 電子銃、20 電子ビーム収束
部、23 対物レンズ、30 基板支持機構部、31
エアスピンドル装置、32 エアスライド装置、50
基板、51 レジスト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 俊夫 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 真能 清志 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子銃から出射された電子ビームを、少
    なくとも対物レンズを介して、基板上に形成されたレジ
    スト膜に照射して露光する電子ビームを用いた露光装置
    において、 前記電子銃と前記対物レンズとを10-3Pa以下の圧力
    の容器内に収納し、前記容器の前記電子ビームが透過す
    る部分に隔膜を設けたことを特徴とする電子ビームを用
    いた露光装置。
  2. 【請求項2】 前記隔膜が、金属又は合金材料、硼素又
    は硼素化合物、シリコン又はシリコン化合物、炭素材料
    のうちのいずれかよりなることを特徴とする請求項1に
    記載の電子ビームを用いた露光装置。
  3. 【請求項3】 前記隔膜は、中央部に位置する電子ビー
    ム透過部と、この電子ビーム透過部の外縁にこの電子ビ
    ーム透過部と一体に形成された支持部とを有し、 前記電子ビーム透過部の厚さが前記支持部の厚さよりも
    小とされていることを特徴とする請求項1に記載の電子
    ビームを用いた露光装置。
  4. 【請求項4】 前記隔膜の電子ビーム透過部の厚さが2
    μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子
    ビームを用いた露光装置。
  5. 【請求項5】 前記隔膜は前記電子ビーム透過部が円形
    を呈し、この電子ビーム透過部の直径をa、この電子ビ
    ーム透過部の厚さをh、前記隔膜の降伏応力をσ、前記
    容器内部の圧力と前記容器外部の圧力との圧力差をPと
    したときに、下記式(1)を満足することを特徴とする
    請求項1に記載の電子ビームを用いた露光装置。 σ>0.1875×P×(a/h)2 ・・・(1)
  6. 【請求項6】 前記隔膜は前記電子ビーム透過部が正方
    形又は長方形を呈し、この電子ビーム透過部の正方形の
    一辺の長さ又は長方形の短辺の長さをa、この電子ビー
    ム透過部の厚さをh、前記隔膜の降伏応力をσ、前記容
    器内部の圧力と前記容器外部の圧力との圧力差をPとし
    たときに、下記式(2)を満足することを特徴とする請
    求項1に記載の電子ビームを用いた露光装置。 σ>0.31×P×(a/h)2 ・・・(2)
  7. 【請求項7】 前記容器が磁気シールド手段を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電子ビームを用いた露
    光装置。
  8. 【請求項8】 前記電子銃と前記対物レンズとの間に、
    前記電子ビーム変調するビーム変調手段を有することを
    特徴とする請求項1に記載の電子ビームを用いた露光装
    置。
  9. 【請求項9】 前記電子銃と前記対物レンズとの間に、
    前記レジスト膜に照射する前記電子ビームのスポット径
    を調整するフォーカス調整手段を有することを特徴とす
    る請求項1に記載の電子ビームを用いた露光装置。
  10. 【請求項10】 前記フォーカス調整手段が、静電レン
    ズおよび電磁型レンズのいずれか一方を用いることを特
    徴とする請求項9に記載の電子ビームを用いた露光装
    置。
  11. 【請求項11】 前記電子銃と前記対物レンズとの間
    に、前記電子ビームを偏向するビーム偏向手段を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子ビームを用いた
    露光装置。
  12. 【請求項12】 前記基板を回転させるとともに、前記
    容器と前記基板のいずれか一方を前記基板のラジアル方
    向に移動させる手段を有し、 前記レジスト膜上にピット又はグルーブの少なくともい
    ずれかのパターンをスパイラル状に形成することを特徴
    とする請求項1に記載の電子ビームを用いた露光装置。
  13. 【請求項13】 前記基板を回転させるとともに、前記
    容器と前記基板のいずれか一方を前記基板のラジアル方
    向に移動させる手段を有し、 前記レジスト膜上にピット又はグルーブの少なくともい
    ずれかのパターンを同心円状に形成することを特徴とす
    る請求項1に記載の電子ビームを用いた露光装置。
  14. 【請求項14】 除振手段上に載置されていることを特
    徴とする請求項1に記載の電子ビームを用いた露光装
    置。
  15. 【請求項15】 電子銃から出射された電子ビームを、
    少なくとも対物レンズを介して、基板上に形成されたレ
    ジスト膜に照射して露光する露光装置を用いて作製され
    た原盤であって、 前記電子銃と前記対物レンズとを10-3Pa以下の圧力
    の容器内に収納し前記容器の前記電子ビームが透過する
    部分に隔膜を設けた露光装置を用いて作製されたことを
    特徴とする原盤。
  16. 【請求項16】 光を用いて信号の読み出し及び/又は
    書き込みが行われるディスク状記録媒体の製造に用いら
    れることを特徴とする請求項15に記載の原盤。
  17. 【請求項17】 電子銃から出射された電子ビームを、
    少なくとも対物レンズを介して、基板上に形成されたレ
    ジスト膜に照射して露光する露光装置を用いて作製され
    た原盤を用いて製造された情報記録媒体であって、 前記電子銃と前記対物レンズとを10-3Pa以下の圧力
    の容器内に収納し、前記容器の前記電子ビームが透過す
    る部分に隔膜を設けた露光装置を用いて作製された原盤
    を用いて製造されたことを特徴とする情報記録媒体。
  18. 【請求項18】 光を用いて信号の読み出し及び/又は
    書き込みが行われるディスク状記録媒体であることを特
    徴とする請求項17に記載の情報記録媒体。
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