JPH11288529A - 電子ビーム描画装置 - Google Patents

電子ビーム描画装置

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Publication number
JPH11288529A
JPH11288529A JP8737298A JP8737298A JPH11288529A JP H11288529 A JPH11288529 A JP H11288529A JP 8737298 A JP8737298 A JP 8737298A JP 8737298 A JP8737298 A JP 8737298A JP H11288529 A JPH11288529 A JP H11288529A
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JP
Japan
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electron beam
electron
substrate
writing apparatus
diaphragm
Prior art date
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JP8737298A
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English (en)
Inventor
Minoru Takeda
実 武田
Yuichi Aki
祐一 安芸
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型且つ構成簡素にして所望のピットやグル
ーブに対応したパターンを精度良く描画することができ
ると共に、生産性の向上を図ることができる電子ビーム
描画装置を提供する。 【解決手段】 電子銃11と対物レンズ23とが減圧状
態とされた環境内に配設されていると共に、対物レンズ
23と基板50との間にヘリウム雰囲気とされた部分が
設けられ、基板支持手段130が、大気中に設置され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学記録媒体の原
盤の作製に用いられる電子ビーム描画装置に関し、詳し
くは、電子銃より出射される電子ビームを基板上に形成
されたレジスト層に照射して、このレジスト層に所望の
パターンを描画する電子ビーム描画装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスク等の情報記録媒体にお
いては、急速な記録密度の向上が図られており、ピット
やグルーブ等のパターンの微細化が進んでいる。このよ
うな微細なパターンを精度良く作製するために、半導体
作製プロセスで用いられていた電子ビーム描画装置を、
ディスク原盤の作製に用いる技術が提案されている。
【0003】この電子ビーム描画装置100は、図8に
示すように、電子ビームを発生する電子ビーム発生部1
10と、電子ビーム発生部110からの電子ビームを集
束して基板上101に形成されたレジスト層102に照
射させる電子ビーム集束部120と、レジスト層102
が形成された基板101を移動可能に支持する基板支持
機構部130とにより構成される。
【0004】電子ビーム発生部110は、電子ビームを
出射する電子銃111と、この電子銃111から出射さ
れた電子ビームを集束するコンデンサレンズ112と、
コンデンサレンズ112により集束された電子ビームを
変調信号に応じて偏向する電子ビーム変調手段113
と、電子ビーム変調手段113により偏向された電子ビ
ームを遮断し、電子ビーム変調手段113をそのまま通
過した電子ビームを透過するアパーチャー114とを備
えている。
【0005】また、電子ビーム集束部120は、電子ビ
ーム発生部110のアパーチャー114を透過した電子
ビームをウォブリング信号に応じて偏向するビーム偏向
電極121と、電子ビーム偏向手段121を通過した電
子ビームのビーム径を調整するフォーカス調整レンズ1
22と、フォーカス調整レンズ122によりビーム径が
調整された電子ビームを集束してレジスト層102に照
射させる対物レンズ123とを備えている。
【0006】また、基板支持機構部130は、レジスト
層102が形成された基板101を回転操作するエアー
スピンドル装置131と、このエアースピンドル装置1
31を基板101のラジアル方向に移動操作するエアー
スライド装置132とを備えている。
【0007】エアースピンドル装置131は、基板10
1を載置するステージと、ステージに取り付けられた回
転軸を支持するエアーベアリングと、ステージを回転駆
動する駆動モータとを備え、エアーベアリングにより回
転軸を支持することにより、回転速度を高精度に制御す
ることができるようになされている。また、エアースラ
イド装置132は、エアースピンドル装置131を基板
101のラジアル方向に移動操作する駆動モータと、エ
アースピンドル装置131を支持すると共にこのエアー
スピンドル装置131の基板101のラジアル方向への
移動を制御するエアーを用いたリニアガイド機構とを備
え、リニアガイド機構によりエアースピンドル装置13
1の移動を制御することにより、エアースピンドル装置
131の移動量を高精度に制御することができるように
なされている。
【0008】そして、この電子ビーム描画装置100に
おいては、電子ビームが大気中において散乱、減衰する
ことにより良好な描画が阻害されることを考慮して、上
記各部を高真空状態に保たれた環境内に配設するように
している。
【0009】すなわち、この電子ビーム描画装置100
においては、電子ビーム発生部110を構成する各部と
電子ビーム集束部120を構成する各部とが、高真空状
態に保たれた電子光学鏡筒内103に配設され、基板支
持機構部130を構成する各部が、電子光学鏡筒103
を保持すると共に内部が高真空状態に保たれた真空チャ
ンバ104内に配設されている。
【0010】この電子ビーム描画装置100において
は、このように、電子ビーム発生部110を構成する各
部、電子ビーム集束部120を構成する各部及び基板支
持機構部130を構成する各部をそれぞれ高真空状態と
された環境内に配設することにより、電子ビームの散乱
や減衰が抑制されている。
【0011】また、この電子ビーム描画装置100にお
いては、真空チャンバ104が除振テーブル105上に
載置されることにより、外部振動による描画不良を抑制
するようになされている。
【0012】以上のように構成される電子ビーム描画装
置100を用いて基板101上に形成されたレジスト層
102にピットやグルーブに対応したパターンを描画す
る場合は、まず、電子銃111から電子ビームが出射さ
れる。
【0013】電子銃111から出射された電子ビーム
は、コンデンサレンズ112により集束された後、電子
ビーム変調手段113を通過してアパーチャーに達す
る。このとき、電子ビーム変調手段113は、変調信号
に応じて電子ビームの変調(オン/オフの切り換え)を
行う。すなわち、この露光装置100においては、電子
ビームをオフにする場合は、電子ビーム変調手段113
により電子ビームを偏向してアパーチャー114により
遮断されるようにする。一方、電子ビームをオンにする
場合は、電子ビームを偏向せずにそのまま通過させ、ア
パーチャー114を透過させるようにしている。
【0014】アパーチャー114を透過した電子ビーム
は、必要に応じて電子ビーム偏向手段121により偏向
され、フォーカス調整レンズ122によりビーム径が調
整されて、対物レンズ123に入射する。対物レンズ1
23に入射した電子ビームは、この対物レンズ123に
より集束されて、エアースピンドル装置131により回
転操作される基板101上に形成されたレジスト層10
2に照射される。
【0015】そして、エアースライド装置132によ
り、基板101を回転操作するエアースピンドル装置1
31が基板101のラジアル方向に移動操作されること
により、電子ビームがレジスト層102上を例えばスパ
イラル状に走査してパターンを描画し、レジスト層10
2に所望の潜像が精度良く形成される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した電
子ビーム描画装置100は、エアースピンドル装置13
1やエアースライド装置132を備える基板支持機構部
130が、高真空状態に保たれた真空チャンバ104内
に収容されているため、エアースピンドル装置131の
エアーベアリングやエアースライド装置132のリニア
ガイド機構に用いられるエアーが真空チャンバ104内
に漏れないように、これらにエアーシールドを施す必要
がある。また、エアースピンドル装置131やエアース
ライド装置132に用いられる潤滑剤からの脱ガスによ
る真空度の劣化を防止する処置を講じる必要がある。
【0017】更に、エアースピンドル装置131やエア
ースライド装置132の駆動モータから発生する磁場が
電子ビームの軌道に悪影響を及ぼさないように、これら
に磁気シールドを施す必要がある。
【0018】このように、上述した電子ビーム描画装置
100は、基板支持機構部130が高真空状態とされた
真空チャンバ104内に収容されているので、基板支持
機構部130にエアーシールド及び磁気シールドの二重
のシールドを施す必要があり、装置構成の複雑化、装置
の大型化を招いていた。
【0019】また、この電子ビーム描画装置100を用
いてレジスト層102にパターンを形成する場合、エア
ースピンドル装置131のテーブル上に基板101を載
置して、真空チャンバ104内を高真空の状態とした後
に描画を行い、描画が終了した時点で真空チャンバ10
4内を常圧に戻して基板101を取り外す工程を経る必
要があり、生産性の低下を招いていた。
【0020】そこで、本発明は、小型且つ構成簡素にし
て所望のピットやグルーブに対応したパターンを精度良
く描画することができると共に、生産性の向上を図るこ
とができる電子ビーム描画装置を提供することを目的と
する。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子ビーム
描画装置は、電子銃から出射される電子ビームを基板支
持手段に支持された基板上のレジスト層に照射して、こ
のレジスト層に光学記録媒体のパターンに対応したパタ
ーンを描画する電子ビーム描画装置において、少なくと
も電子銃とこの電子銃から出射された電子ビームを集束
してレジスト層に照射させる対物レンズとが大気中より
も減圧状態とされた環境内に配設されていると共に、対
物レンズと基板との間にヘリウム雰囲気とされた部分が
設けられ、基板支持手段は、大気中に設置されているこ
とを特徴としている。
【0022】この電子ビーム描画装置によれば、基板を
移動可能に支持する基板支持手段が大気中に設置されて
いるので、基板支持手段にエアーを用いたエアースピン
ドル装置やエアースライド装置を用いた場合であって
も、これらにエアーシールドを施す必要がなく、基板支
持手段の構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0023】また、この電子ビーム描画装置によれば、
基板を移動可能に支持する基板支持手段が大気中に設置
されているので、電子銃と対物レンズとを収容する部分
を大気中よりも減圧状態とし、対物レンズと基板との間
にヘリウム雰囲気とされた部分を維持しながら、基板の
着脱を簡便に行うことができる。
【0024】また、本発明に係る電子ビーム描画装置
は、減圧状態とされている部分とヘリウム雰囲気とされ
ている部分とを隔てる第1の隔膜と、ヘリウム雰囲気と
されている部分と大気とを隔てる第2の隔膜とを備え、
電子銃から出射された電子ビームが、第1の隔膜及び第
2の隔膜を透過してレジスト層に照射されることが望ま
しい。
【0025】電子ビーム描画装置は、このように減圧状
態とされている部分とヘリウム雰囲気とされている部分
との間と、ヘリウム雰囲気とされている部分と大気との
間にそれぞれ隔膜を設けることにより、減圧状態とされ
ている部分の気圧及びヘリウム雰囲気とされている部分
の気圧を所定の範囲内の値に保持することができる。
【0026】また、本発明に係る電子ビーム描画装置
は、減圧状態とされている部分とヘリウム雰囲気とされ
ている部分とを隔てる隔膜と、ヘリウム雰囲気とされて
いる部分にヘリウムガスを継続的に注入して、ヘリウム
雰囲気とされている部分の気圧を所定の範囲内の値に維
持する気圧維持手段とを備え、電子銃から出射された電
子ビームが、隔膜を透過してレジスト層に照射されるこ
とが望ましい。
【0027】電子ビーム描画装置は、このように減圧状
態とされている部分とヘリウム雰囲気とされている部分
との間に隔膜を設けると共に、ヘリウム雰囲気とされて
いる部分にヘリウムガスを継続的に注入して、ヘリウム
雰囲気とされている部分の気圧を所定の値に維持する気
圧維持手段を備えることにより、減圧状態とされている
部分の気圧及びヘリウム雰囲気とされている部分の気圧
を所定の範囲内の値に保持することができる。
【0028】また、この場合、ヘリウム雰囲気とされて
いる部分から大気中に流出したヘリウムガスが基板上に
供給されることになり、電子ビームの大気による散乱等
を更に抑制することができる。
【0029】また、本発明に係る電子ビーム描画装置
は、ヘリウム雰囲気とされている部分にヘリウムガスを
流量調整しながら注入すると共に、排気して、ヘリウム
雰囲気とされている部分の気圧を所定の範囲内の値に維
持する第1の気圧維持手段と、ヘリウム雰囲気とされて
いる部分から減圧状態とされている部分へ流入するヘリ
ウムガスを排気して、減圧状態とされている部分の気圧
を所定の範囲内の値に維持する第2の気圧維持手段とを
備えることが望ましい。
【0030】電子ビーム描画装置は、このように第1の
気圧維持手段と第2の気圧維持手段とを備えることによ
り、ヘリウム雰囲気とされている部分の気圧及び減圧状
態とされている部分の気圧を所定の範囲内の値に保持す
ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0032】本発明に係る電子ビーム描画装置は、光デ
ィスクや光磁気ディスク等の光学記録媒体(以下、光デ
ィスクと称する。)の作製工程において用いられるディ
スク原盤を作製するためのものである。
【0033】ディスク原盤は、作製する光ディスクのピ
ットやグルーブの反転パターンが形成されてなるもので
あり、射出成形機の備える一対の金型間のキャビディ内
に装着される。そして、ディスク原盤が装着された射出
成形機のキャビディ内に溶融された基板材料が注入さ
れ、冷却されることにより、予め所望のピットやグルー
ブが形成されたディスク基板が作製される。
【0034】光ディスクは、このディスク基板上に、記
録層、保護層等が順次形成されて作製される。
【0035】ディスク原盤を作製する際は、先ず、例え
ば、表面が精密研磨されたガラスよりなる円盤状の基板
が準備され、この基板の主面に、密着補強剤等を介して
レジスト材料が塗布され、レジスト材料の有機溶剤が揮
発されて、基板上にレジスト層が形成される。
【0036】次に、基板上に形成されたレジスト層が、
光ディスクのピットやグルーブに対応したパターンで描
画される。これにより、レジスト層に、所定のピット、
グルーブに対応した凹凸パターンの潜像が形成される。
【0037】次に、潜像が形成されたレジスト層が、ア
ルカリ性の現像液により現像され、光ディスクのピット
やグルーブに対応した凹凸パターンを有するレジスト原
盤が形成される。
【0038】次に、レジスト原盤の凹凸パターンを有す
る主面に、スパッタリング法、蒸着法、無電解メッキ法
等の方法で、銀又はニッケル等の金属被膜が形成され
る。
【0039】次に、金属被膜が形成されたレジスト原盤
が、電気メッキ装置にセットされ、金属被膜を電極とし
て、電気メッキが行われることにより、レジスト原盤の
主面上に、電気メッキ層が形成される。
【0040】次に、金属被膜及び電気メッキ層からレジ
スト原盤が剥離され、余分な金属被膜がプレス除去され
て、ディスク原盤が完成する。
【0041】本発明に係る電子ビーム描画装置は、電子
ビームを用いて基板上に形成されたレジスト層を光ディ
スクのピットやグルーブに対応したパターンで描画し、
所定のピットやグルーブに対応した凹凸パターンの潜像
を形成するものである。
【0042】この電子ビーム描画装置1は、図1に示す
ように、電子ビームを発生する電子ビーム発生部10
と、電子ビーム発生部10からの電子ビームを集束して
基板50上に形成されたレジスト層51に照射させる電
子ビーム集束部20と、レジスト層51が形成された基
板50を移動可能に支持する基板支持機構部30とによ
り構成される。
【0043】そして、この電子ビーム描画装置1におい
ては、電子ビーム発生部10及び電子ビーム集束部20
が電子光学鏡筒2内に配設されている。また、基板支持
機構部30は、除振テーブル3上に載置されている。電
子光学鏡筒2は、例えば円筒状を呈し、一端部が基板支
持機構部30に支持された基板50と対向するように、
除振テーブル3上に設けられたホルダ4に支持されてい
る。
【0044】電子ビーム発生部10は、電子ビームを出
射する電子銃11と、この電子銃11から出射された電
子ビームを集束するコンデンサレンズ12と、コンデン
サレンズ12により集束された電子ビームを変調信号に
応じて偏向し又は通過させる電子ビーム変調手段13
と、電子ビーム変調手段13により偏向され又は電子ビ
ーム変調手段13を通過した電子ビームを透過又は遮断
するアパーチャー14とを備えている。
【0045】電子銃11は、LaB6等よりなる電子ビ
ーム放出源より放出され、陽極により加速された電子ビ
ームを出射する。電子銃11より出射された電子ビーム
は、静電レンズであるコンデンサレンズ12により集束
され、電子ビーム変調手段13を介してアパーチャー1
4に到達する。
【0046】電子ビーム変調手段13は、一対の電極を
備え、変調信号に応じてこれら電極間に電界を発生させ
て、コンデンサレンズ12により集束された電子ビーム
を偏向させることにより、オン/オフの切り換えを行う
ものである。すなわち、電子ビーム変調手段13は、電
子ビームをオフにする場合は、コンデンサレンズ12に
より集束された電子ビームがアパーチャー14により遮
断されるように、一対の電極間に大きな電界を発生さ
せ、電子ビームを大きく偏向させる。また、電子ビーム
変調手段13は、電子ビームをオンにする場合は、コン
デンサレンズ12により集束された電子ビームがアパー
チャー14を透過するように、電子ビームを偏向せずに
そのまま通過させる。
【0047】アパーチャー14を透過した電子ビーム
は、このアパーチャー14によりビーム径が絞られた状
態で、電子ビーム集束部20へと移動する。
【0048】電子ビーム集束部20は、電子ビーム発生
部10のアパーチャー14を透過した電子ビームをウォ
ブリング信号に応じて偏向する電子ビーム偏向手段21
と、電子ビーム偏向手段21により偏向され又は電子ビ
ーム偏向手段21を通過した電子ビームのビーム径を調
整するフォーカス調整レンズ22と、フォーカス調整レ
ンズ22によりビーム径が調整された電子ビームを集束
してレジスト層3に照射させる対物レンズ23とを備え
ている。
【0049】電子ビーム偏向手段21は、一対の電極を
備え、ウォブリング信号に応じてこれら電極間に電界を
発生させて、アパーチャー14を透過した電子ビームを
偏向させ、図2に示すように、基板50上のレジスト層
51に、僅かな振幅で蛇行するパターン(ウォブリング
グルーブ用パターン52)を形成するためのものであ
る。したがって、この電子ビーム偏向手段21は、ウォ
ブリンググルーブ用パターン52を形成するときのみ電
子ビームを偏向させ、図3に示すピット用パターン53
や図4に示すストレートグルーブ用パターン54のよう
な直線的なパターンを形成するときは、電子ビームを偏
向せずにそのまま通過させる。
【0050】電子ビーム偏向手段21を透過した電子ビ
ームは、静電レンズ又は電磁型レンズよりなるフォーカ
ス調整レンズ22によりスポット径が調整される。電子
ビームは、このフォーカス調整レンズ22を透過するこ
とにより、常にレジスト層4上で焦点が合った状態とさ
れる。フォーカス調整レンズ22によりスポット径が調
整された電子ビームは、対物レンズ23に入射する。
【0051】対物レンズ23に入射した電子ビームは、
この対物レンズ23により集束され、数nmから数μm
のスポット径に絞り込まれて、基板支持機構部30に支
持された基板50上のレジスト層51に照射される。
【0052】基板支持機構部30は、レジスト層51が
形成された基板50を回転操作するエアースピンドル装
置31と、このエアースピンドル装置31を基板50の
ラジアル方向に水平移動させるエアースライド装置32
とを備え、除振テーブル3上に配設されている。除振テ
ーブル3は、大気中に設置されており、この除振テーブ
ル3上に設けられた基板支持機構部30も、除振テーブ
ル3と共に大気中に配設される。
【0053】エアースピンドル装置31は、基板50を
載置するステージと、ステージに取り付けられた回転軸
を支持するエアーベアリングと、ステージを回転駆動す
る駆動モータとを備えており、高精度で制御される回転
速度で駆動される。例えば、エアースピンドル装置31
は、基板50を3600rpmで回転させ、その回転速
度が例えば光学式ロータリーエンコーダを用いたサーボ
機構により、一回転当たり10-7以下の回転ジッタで制
御されている。
【0054】エアースライド装置32は、エアースピン
ドル装置31を基板50のラジアル方向に移動操作する
駆動モータと、エアースピンドル装置31を支持すると
共にこのエアースピンドル装置31の水平移動を制御す
るエアーを用いたリニアガイド機構とを備えている。こ
のエアースライド装置32の移動速度は、例えばレーザ
スケールによる測長機構により精密に制御され、例えば
数nmの移動精度でエアースピンドル装置31を基板5
0のラジアル方向に水平移動させる。
【0055】対物レンズ23により集束された電子ビー
ムは、エアースピンドル装置31により回転操作される
と共にエアースライド装置32により水平移動される基
板50上のレジスト層51に照射される。これにより、
レジスト層51に、光ディスクのピットやグルーブに対
応したパターンの潜像が、例えばスパイラル状に形成さ
れる。
【0056】ところで、この電子ビーム描画装置1は、
電子ビームの大気中での散乱や減衰を抑制して良好な描
画を行えるようにするために、電子光学鏡筒2内の電子
ビーム発生部10及び電子ビーム集束部20が収容され
た部分が、10-3Pa以下の高真空状態とされている。
また、電子光学鏡筒2の先端部、すなわち、電子光学鏡
筒2の基板50と対向する側の端部の内部は、ヘリウム
雰囲気とされている。
【0057】具体的には、電子光学鏡筒2は、例えば図
5に示すように、内部が分離壁5により、電子ビーム発
生部10及び電子ビーム集束部20が収容される第1の
領域2aと、基板50と対向する側の第2の領域2bと
の二つの領域に分離されている。そして、第1の領域2
aが10-3Pa以下の高真空状態とされ、第2の領域2
bがヘリウム雰囲気とされている。
【0058】電子ビーム描画装置1は、ヘリウム雰囲気
とされている第2の領域2b内の気圧を1〜900Pa
程度とすることにより、高真空状態とされた第1の領域
2aと大気との圧力差を緩和することができる。
【0059】分離壁5には、その略中央部に位置して、
電子ビームを透過させるためのビーム透過孔5aが設け
られている。そして、分離壁5には、ビーム透過孔5a
を閉塞するように、第1の隔膜6が取り付けられてい
る。
【0060】第1の隔膜6は、電子光学鏡筒2の第2の
領域2bから第1の領域2aへのヘリウムガスの流入を
遮断しながら電子ビームを透過させるものである。した
がって、第1の隔膜6は、電子ビームをできるだけ小さ
なロスで透過させることが望ましく、その材質として
は、原子番号の小さい原子又はその化合物で、密度の小
さいものが選択される。また、第1の隔膜6の厚さは、
電子ビームの透過ロスを小さくするためには薄い方がよ
いが、第1の領域2aと第2の領域2bとの圧力差に耐
え得る厚さが必要である。
【0061】具体的には、第1の隔膜6の材質として
は、例えば、ベリリウム、硼素、シリコン、アルミニウ
ム、チタニウム又はこれらの化合物が挙げられる。化合
物としては、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、
窒化ボロン等の薄膜でも高い強度をもつものが挙げられ
る。第1の隔膜6は、これらの材質を用いて、厚さを1
00μm以下、例えば10μm程度とすれば、第1の領
域2aと第2の領域2bとの圧力差に耐えながら、電子
ビームの透過ロスを十分に抑えることができる。なお、
第1の隔膜6の最適な厚さは、電子ビームのパワー密
度、第1の隔膜6の材質及び形状等に基づいて決定され
る。
【0062】また、電子光学鏡筒2の先端部には、その
略中央部に位置して中心孔2cが設けられており、この
中心孔2cに、電子ビーム透過部材7が密着嵌合されて
いる。電子ビーム透過部材7は、その略中央部にビーム
透過孔7aを有する円環状に形成されており、先端部
が、電子光学鏡筒2の先端部から基板支持機構部30に
支持された基板50側に若干突出するように、電子光学
鏡筒2の中心孔2cに密着嵌合されている。また、電子
ビーム透過部材7の先端部には、ビーム透過孔7aを閉
塞するように、第2の隔膜8が取り付けられている。
【0063】第2の隔膜8は、電子光学鏡筒2外部の大
気中から電子光学鏡筒2内部の第2の領域2bへの空気
の流入を遮断しながら電子ビームを透過させるものであ
る。したがって、第2の隔膜8は、第1の隔膜6と同様
に、電子ビームをできるだけ小さなロスで透過させるこ
とが望ましく、その材質としては、原子番号の小さい原
子又はその化合物で、密度の小さいものが選択される。
また、第2の隔膜8の厚さは、第1の隔膜6と同様に、
電子ビームの透過ロスを小さくするためには薄い方がよ
いが、電子光学鏡筒2外部と電子光学鏡筒2内部の第2
の領域2bとの圧力差に耐え得る厚さが必要である。
【0064】具体的には、第2の隔膜8の材質として
は、第1の隔膜6の材質と同様のものが用いられ、例え
ば、ベリリウム、硼素、シリコン、アルミニウム、チタ
ニウム又はこれらの化合物が挙げられる。化合物として
は、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、窒化ボロ
ン等の薄膜でも高い強度をもつものが挙げられる。第2
の隔膜8は、これらの材質を用いて、厚さを100μm
以下、例えば10μm程度とすれば、電子光学鏡筒2外
部と電子光学鏡筒2内部の第2の領域2bとの圧力差に
耐えながら、電子ビームの透過ロスを十分に抑えること
ができる。なお、第2の隔膜8の最適な厚さは、電子ビ
ームのパワー密度、第2の隔膜8の材質及び形状等に基
づいて決定される。
【0065】この電子ビーム描画装置1においては、電
子ビーム透過部材7を、その先端部が電子光学鏡筒2の
先端部から基板50側へ若干突出するように、電子光学
鏡筒2に取り付け、電子ビーム透過部材7の先端部に第
2の隔膜8を配設するようにしているので、第2の隔膜
8の電子ビーム透過に必要とされる面積を最小限にする
ことができる。電子ビーム描画装置1は、以上のような
構造を採ることにより、第2の隔膜8の強度を確保する
ことが容易になると共に、誤って電子光学鏡筒2が高速
回転する基板50と接触した場合の衝撃を小さく抑える
ことができる。
【0066】また、この電子ビーム描画装置1において
は、第2の隔膜8を透過した電子ビームが基板支持機構
部30に支持された基板50上のレジスト層51に照射
されるまでの間に、大気中を通過することになるが、第
2の隔膜8とレジスト層51との間の距離(WD:Work
ing Distance)を小さく設定することにより、電子ビー
ムの大気中における散乱や減衰を抑制することができ
る。具体的には、回転操作される基板50の面振れ等を
考慮して、WDを10〜100μm程度に設定すること
により、適切な描画を行うことができる。
【0067】以上は、分離壁5に設けられたビーム透過
孔5aを閉塞するように第1の隔膜6を設けて、電子光
学鏡筒2内の第2の領域2bから第1の領域2aへのヘ
リウムガスの流入を防止し、電子ビーム透過部材7に設
けられたビーム透過孔7aを閉塞するように第2の隔膜
8を設けて、電子光学鏡筒2の外部から電子光学鏡筒2
内の第2の領域2bへの空気の流入を防止して、電子光
学鏡筒2内の第1の領域2aの真空度及び第2の領域2
bの気圧を維持する例について説明したが、本発明に係
る電子ビーム描画装置1は、図6に示すように、第2の
隔壁8を設けずに、第2の領域2bにヘリウムガスを継
続的に供給して、電子光学鏡筒2の外部から電子光学鏡
筒2内の第2の領域2bへの空気の流入を防止するよう
にしてもよい。
【0068】この図6に示す電子ビーム描画装置1は、
電子光学鏡筒2に、第2の領域2bに連通するヘリウム
ガス供給口2dが設けられており、このヘリウムガス供
給口2dに供給管9aを介して、図示しないヘリウムガ
ス供給装置が接続されている。そして、電子ビーム描画
装置1は、このヘリウムガス供給装置からのヘリウムガ
スが、ヘリウムガス供給口2dを介して第2の領域2b
内に継続的に供給されるようになされている。
【0069】この電子ビーム描画装置1においては、分
離壁5に設けられたビーム透過孔5aが第1の隔膜6に
より遮断され、第2の領域2bから第1の領域2aへの
ヘリウムガスの流入が防止されているので、ヘリウムガ
ス供給機構からのヘリウムガスが第2の領域2b内に継
続的に供給されることにより、第2の領域2b内の気圧
は電子光学鏡筒2の外部の大気圧よりも大となる。これ
により、電子光学鏡筒2の外部から第2の領域2b内に
空気が流入することが防止されると共に、第2の領域2
b内に充填されたヘリウムガスが、電子ビーム透過部材
7に設けられたビーム透過孔7aを介して、電子光学鏡
筒2の外部に流出する。
【0070】第2の領域2bから電子光学鏡筒2の外部
に流出したヘリウムガスは、レジスト層51上に吹き付
けられる。これにより、レジスト層51の電子ビームが
照射れる部分は、ヘリウム雰囲気とされる。ヘリウムガ
スは大気に比べて、電子ビームの散乱や減衰を小さく抑
えることができるので、電子ビーム描画装置1は、以上
のような構成とされることにより、より高精度の描画を
行うことができる。
【0071】また、本発明に係る電子ビーム描画装置1
は、図7に示すように、第1の隔膜6及び第2の隔膜8
を設けずに、第2の領域2bから第1の領域2aへと流
入するヘリウムガスを随時排気して、第1の領域2a内
の真空度を所定の値に維持すると共に、電子光学鏡筒2
の外部から第2の領域2b内へと流入する空気を随時排
気しながら流量調整したヘリウムガスを第2の領域2b
内へ供給して、第2の領域2b内の気圧を所定の値に維
持するようにしてもよい。
【0072】この図7に示す電子ビーム描画装置1は、
電子光学鏡筒2に、第2の領域2bに連通するヘリウム
ガス供給口2dが設けられており、このヘリウムガス供
給口2dに供給管9aを介して、図示しないヘリウムガ
ス供給装置が接続されている。そして、電子ビーム描画
装置1は、このヘリウムガス供給装置により流量調整さ
れたヘリウムガスが、ヘリウムガス供給口2dを介して
第2の領域2b内に供給されるようになされている。
【0073】また、この電子ビーム描画装置1は、電子
光学鏡筒2に、第2の領域2bに連通する排気口2eが
設けられており、この排気口2eに排気管9bを介し
て、図示しない排気装置が接続されている。そして、電
子ビーム描画装置1は、この排気装置により、電子光学
鏡筒2の外部から第2の領域2b内に流入した空気を排
気するようになされている。
【0074】この電子ビーム描画装置1は、以上のよう
に、流量調整されたヘリウムガスを第2の領域2b内に
供給すると共に、電子光学鏡筒2の外部から第2の領域
2b内に流入した空気を排気することにより、第2の領
域2b内の気圧を所定の値に維持するようになされてい
る。
【0075】また、この電子ビーム描画装置1は、電子
光学鏡筒2に、第1の領域2aに連通する排気口2fが
設けられており、この排気口2fに排気管9cを介し
て、図示しない排気装置が接続されている。そして、電
子ビーム描画装置1は、この排気装置により、第2の領
域2bから第1の領域2aに流入したヘリウムガスを随
時排気するようになされている。
【0076】この電子ビーム描画装置1は、以上のよう
に第2の領域2bから第1の領域2aに流入したヘリウ
ムガスを随時排気することにより、第1の領域2a内の
真空度を所定の値に維持するようになされている。
【0077】以上のように構成された電子ビーム描画装
置1は、ヘリウム雰囲気とされている第2の領域2b内
の気圧を1〜900Pa程度とすることにより、高真空
状態とされた第1の領域2aと大気との圧力差を緩和す
ることができる。
【0078】以上説明した本発明に係る電子ビーム描画
装置1は、電子ビーム発生部10及び電子ビーム集束部
20の各部が、電子光学鏡筒2の高真空状態に保たれた
第1の領域2a内に配設されているので、電子ビームの
散乱や減衰が抑制され、適切な描画を行うことができ
る。
【0079】また、この電子ビーム描画装置1は、基板
支持機構部30が大気中に配設されているので、高精度
で回転速度を制御することが可能なエアースピンドル装
置31や高精度で水平移動を制御することが可能なエア
ースライド装置32を用いた場合であっても、これらに
エアーシールドを施す必要がなく、装置の簡素化及び小
型化を実現することができる。
【0080】さらに、この電子ビーム描画装置1を用い
て描画を行うようにすれば、基板支持機構部30を真空
状態とされた環境内に配設した場合のように、基板支持
機構部30に光ディスクを装着し、又は基板支持機構部
30から光ディスクを取り外す度に、真空引きや常圧に
戻す作業を繰り返す必要がなく、また基板支持機構部3
0の調整等も容易となり、作業効率が向上する。
【0081】次に、以上説明した電子ビーム描画装置1
を用いて、実際に光ディスク用のディスク原盤を作製す
る方法について説明する。
【0082】ここでは、図5に示した電子ビーム描画装
置1を用い、直径12cmのディスクの片面に30GB
の容量の信号が記録された、読み出し専用のROM型の
光ディスクのディスク原盤を作製する例について説明す
る。
【0083】直径12cmのディスクの片面に、現行の
信号処理方式により30GBの容量の信号を記録するた
めには、最短ピット長を0.16μmとし、トラックピ
ッチを0.29μm程度にまで微細化する必要がある。
このような微細なピットに対応したパターンを有するデ
ィスク原盤を精度良く形成するには、上述したような電
子ビーム描画装置1を用いることが有効である。
【0084】電子ビーム描画装置1により描画を行った
場合、現像後に形成されるパターンの幅(以下、ピット
幅Wという。)及びパターンの最も短い長さ(以下、最
短ピット長Lという。)は、電子ビームのスポット径
と、いわゆる近接効果による電子のレジスト中での前方
散乱及び基板からの後方散乱の影響により決定される。
ここで、光ディスクのディスク原盤を作製する場合、レ
ジスト層の厚さは一般に0.1μm以下とされており、
非常に薄いので、電子の前方散乱による影響はほとんど
無い。また、例えば、光ディスクが読み出し専用のRO
M型のディスクの場合、ピットパターンのデューティー
比、すなわちピット総面積/記録領域の総面積は、EF
M信号で記録されたものでは20%以下と低いため、あ
まり問題とならないと考えられる。
【0085】したがって、電子ビーム描画装置1を用い
て描画を行うようにすれば、ピット幅W及び最短ピット
長Lを電子ビームのスポット径と略等しいサイズとする
ことが可能であり、例えば、ピット幅W及び最短ピット
長Lが数十nmのパターンを形成することが可能であ
る。
【0086】このように、電子ビーム描画装置1を用い
れば、ピット幅W及び最短ピット長Lが数十nmの微細
なパターンを形成することができるが、これを読み取る
光学ピックアップ装置の性能の限界を越えた微細なパタ
ーンを形成したのでは、適切な読み出しは行えない。し
たがって、電子ビーム描画装置1を用いて描画を行う場
合であっても、形成するパターンの最小ピットサイズ
は、光学ピックアップ装置の性能との兼ね合いから決定
される。
【0087】光学ピックアップ装置の性能は、使用する
レーザ光の波長λと、使用する対物レンズの開口数NA
とに依存する。すなわち、光学ピックアップ装置の読み
取り用の集光ビーム径Rは、使用するレーザ光の波長λ
と使用する対物レンズの開口数NAの比であるλ/NA
に比例し、経験的には、R=k×(λ/NA)とされ
る。ここで、比例係数kは0.8程度である。
【0088】この光学ピックアップ装置の読み取り用の
集光ビームのスポットの中に、光ディスクのピットが、
光ディスクの回転方向又は半径方向につき2.5個以上
入ると、光学ピックアップ装置の性能の限界を越えてし
まうため、適切な読み出しを行うことができなくなる。
したがって、光ディスクの最小ピットのサイズは、0.
8(λ/NA)/2.5≒0.3(λ/NA)以上とす
る必要がある。
【0089】また、光学ピックアップ装置の読み取り用
の集光ビームのスポットの中に、光ディスクの最小ピッ
トが2個以下しか入らないようにすると、記録密度の損
失となり、記録容量の増大が図れない。したがって、光
ディスクの最小ピットのサイズは、0.8(λ/NA)
/2=0.4(λ/NA)以下とすることが望ましい。
【0090】ところで、光ディスクにおいて、ディスク
の回転方向又は半径方向のどちらの記録密度を高くする
か、すなわちディスクの回転方向と半径方向の記録密度
のバランスについては、光学ピックアップ装置の特性や
ディスクの回転方向及び半径方向のチルトマージン、信
号読み出し方法等に応じて最適な状態に設定される。
【0091】以上の点を考慮すると、電子ビーム描画装
置1を用いて描画されるパターンの最小ピットのサイズ
は、ディスクの半径方向のサイズであるピット幅Wとデ
ィスクの回転方向のサイズである最短ピット長Lの積、
すなわち最小ピットの面積から規定することが望まし
く、その範囲は、0.09(λ/NA)2≦W・L≦
0.16(λ/NA)2とされることが望ましい。
【0092】ここで、読み取り用のレーザとして波長λ
約0.41μmの青色レーザを用い、開口数NAが0.
8≦NA≦1.1を満たす対物レンズを用いた光学ピッ
クアップ装置により読み取りが行われることを想定する
と、ピット幅が0.14μmでトラックピッチが0.2
9μm、最短ピット長が0.16μmのパターンの形成
が可能である。したがって、電子ビーム描画装置を用い
て描画を行って、トラックピッチが0.29μm、最短
ピット長が0.16μmのパターンが形成されたディス
ク原盤を作製し、このディスク原盤を用いて光ディスク
を作製することにより、直径12cmのディスクの片面
に30GBの容量の信号が記録された光ディスクを得る
ことができる。
【0093】本発明に係る電子ビーム描画装置1を用い
て、直径12cmのディスクの片面に30GBの容量の
信号が記録された光ディスクのディスク原盤を作製する
際は、まず、電子線に感光するレジスト層51が形成さ
れた基板50が、エアースピンドル装置31のステージ
上に載置される。このとき、エアースピンドル装置31
は、大気中に設けられているので、エアースピンドル装
置31が真空環境下におかれた場合のように、常圧に戻
す作業や真空状態にする作業を行う必要がなく、作業が
簡便である。
【0094】エアースピンドル装置31のステージ上に
載置された基板50は、このエアースピンドル装置31
により、高精度に制御された回転速度で回転操作され
る。
【0095】一方、光学鏡筒2内に配設された電子銃1
1からは、LaB6等よりなる電子ビーム放出源より放
出され、陽極により加速された電子ビームが出射され
る。
【0096】電子銃11より出射された電子ビームは、
コンデンサレンズ12により集束され、電子ビーム変調
手段13を通過してアパーチャー14に到達する。この
とき、電子ビームは、電子ビーム変調手段13により、
変調信号に応じて変調される。すなわち、電子ビームを
オフにする場合、電子ビームは、電子ビーム変調手段1
3により大きく偏向されてアパーチャー14により遮断
される。一方、電子ビームをオンにする場合は、電子ビ
ームは偏向されずにそのまま電子ビーム変調手段13を
通過してアパーチャー14に到達し、アパーチャー14
を透過する。なお、電子ビーム変調手段13は、最終的
に形成されるパターンの最短ピット長が0.16μmと
なるように、電子ビームの変調を行う。
【0097】アパーチャー14を透過した電子ビーム
は、電子ビーム偏向手段21を通過する。このとき、ウ
ォブリンググルーブに対応したパターンを形成する場合
は、電子ビームが、電子ビーム偏向手段21によりウォ
ブリング信号に応じて偏向される。また、ピットに対応
したパターンやストレートグルーブに対応したパターン
を形成する場合は、電子ビームは、電子ビーム偏向手段
21をそのまま通過する。
【0098】電子ビーム偏向手段21を通過した電子ビ
ームは、フォーカス調整レンズ22によりビーム径が調
整され、対物レンズ23により集束される。
【0099】なお、ここまでの各電子光学系は、電子光
学鏡筒2の高真空状態に保たれた第1の領域2a内にそ
れぞれ配設されている。したがって、これら各電子光学
系を透過する電子ビームは、散乱や減衰が抑制され、良
好な状態で対物レンズ23により集束される。
【0100】対物レンズ23により集束された電子ビー
ムは、電子光学鏡筒2のヘリウム雰囲気とされた第2の
領域2bを通過して、大気中に配設されたエアースピン
ドル装置31に支持された基板50上のレジスト層51
に照射される。このとき、対物レンズ23により集束さ
れた電子ビームは、分離壁5に設けられたビーム透過孔
5aから第1の隔膜6を介して、電子光学鏡筒2の第2
の領域2b内に入射し、電子ビーム透過部材7のビーム
透過孔7aから第2の隔膜8を介して、電子光学鏡筒2
の外部へ出射される。
【0101】第1の隔壁6及び第2の隔壁8は、電子ビ
ームの透過ロスをできるだけ小さくしながら第2の領域
2b内の気圧を維持するように設定されているので、こ
の電子ビーム描画装置1においては、第2の領域2b内
は1〜900Pa程度の気圧に保たれている。
【0102】この電子ビーム描画装置1は、高真空状態
とされた第1の領域2aと大気との間に1〜900Pa
程度の気圧のヘリウム雰囲気とされた第2の領域2bを
設けているので、第1の領域2aと大気との圧力差が緩
和され、適切な描画を行うことができる。
【0103】第2の領域2bから電子光学鏡筒2の外部
に出射された電子ビームは、エアースピンドル装置31
により回転操作される基板50上のレジスト層51に照
射される。このとき、電子ビームの照射スポットは、最
終的に形成されるパターンのピット幅が0.14μmと
なるように調整される。
【0104】そして、エアースライド装置32がエアー
スピンドル装置31及びこれに支持された基板50を基
板50のラジアル方向に移動操作することにより、レジ
スト層51上に、所望のパターンの潜像が、例えばスパ
イラル状に形成される。このとき、エアースライド装置
32の移動速度は、最終的に形成されるパターンのトラ
ックピッチが0.29μmとなるように設定される。
【0105】以上のようにして電子ビーム描画装置1に
より所望のパターンの潜像が形成されたレジスト層51
は、基板50と共にエアースピンドル装置31から取り
外され、アルカリ性の現像液により現像される。これに
より、光ディスクのピットやグルーブに対応した凹凸パ
ターンを有するレジスト原盤が形成される。
【0106】そして、レジスト原盤の凹凸パターンを有
する主面には、スパッタリング法、蒸着法、無電解メッ
キ法等の方法で、銀又はニッケル等の金属被膜が形成さ
れ、この金属被膜を電極として、電気メッキが行われる
ことにより、レジスト原盤の主面上に、電気メッキ層が
形成される。この電気メッキ層が、最終的にレジスト原
盤から剥離されて、ディスク原盤となる。
【0107】このディスク原盤には、以上のように、電
子ビーム描画装置1により描画された微細なパターンが
形成されている。したがって、このディスク原盤を用い
てディスクを作製することにより、直径12cmのディ
スクの片面に、現行の信号処理方式により30GBの容
量の信号を記録することが可能な光ディスクを得ること
ができる。
【0108】
【発明の効果】本発明に係る電子ビーム描画装置は、電
子銃と対物レンズとが減圧状態とされている環境内に配
設されていると共に、対物レンズと基板との間にヘリウ
ム雰囲気とされた部分が設けられ、基板支持手段が、大
気中に設置されるようにしているので、基板支持手段に
エアーを用いたエアースピンドル装置やエアースライド
装置を用いた場合であっても、これらにエアーシールド
を施す必要がなく、基板支持手段の構成の簡素化及び小
型化を図ることができる。
【0109】また、この電子ビーム描画装置によれば、
基板を移動可能に支持する基板支持手段が大気中に設置
されているので、基板支持手段が真空中に配設された場
合のように、基板の着脱を行う度に真空引きや常圧に戻
す作業を行う必要がなく、基板の着脱を簡便に行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ビーム描画装置の一例を示す
構成図である。
【図2】上記電子ビーム描画装置を用いて形成されたウ
ォブリンググルーブに対応したパターンを示す斜視図で
ある。
【図3】上記電子ビーム描画装置を用いて形成されたピ
ットに対応したパターンを示す斜視図である。
【図4】上記電子ビーム描画装置を用いて形成されたス
トレートグルーブに対応したパターンを示す斜視図であ
る。
【図5】上記電子ビーム描画装置の一例の要部を拡大し
て示す要部拡大断面図である。
【図6】上記電子ビーム描画装置の他の例の要部を拡大
して示す要部拡大断面図である。
【図7】上記電子ビーム描画装置の更に他の例の要部を
拡大して示す要部拡大断面図である。
【図8】従来の電子ビーム描画装置を示す構成図であ
る。
【符号の説明】
1 電子ビーム描画装置、2 電子光学鏡筒、5 分離
壁、6 第1の隔膜、7 電子ビーム透過部材、8 第
2の隔膜、10 電子ビーム発生部、11 電子銃、2
0 電子ビーム集束部、23 対物レンズ、30 基板
支持機構部、31 エアースピンドル装置、32 エア
ースライド装置

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子銃から出射される電子ビームを基板
    支持手段に支持された基板上のレジスト層に照射して、
    このレジスト層に光学記録媒体のパターンに対応したパ
    ターンを描画する電子ビーム描画装置において、 少なくとも上記電子銃とこの電子銃から出射された電子
    ビームを集束して上記レジスト層に照射させる対物レン
    ズとが大気中よりも減圧状態とされた環境内に配設され
    ていると共に、 上記対物レンズと上記基板との間にヘリウム雰囲気とさ
    れた部分が設けられ、 上記基板支持手段は、大気中に設置されていることを特
    徴とする電子ビーム描画装置。
  2. 【請求項2】 上記減圧状態とされた部分の気圧が10
    -3Pa以下とされていることを特徴とする請求項1記載
    の電子ビーム描画装置。
  3. 【請求項3】 上記ヘリウム雰囲気とされた部分の気圧
    が、1〜900Paの範囲内とされていることを特徴と
    する請求項1記載の電子ビーム描画装置。
  4. 【請求項4】 上記減圧状態とされている部分とヘリウ
    ム雰囲気とされている部分とを隔てる第1の隔膜と、ヘ
    リウム雰囲気とされている部分と大気とを隔てる第2の
    隔膜とを備え、 上記電子銃から出射された電子ビームは、上記第1の隔
    膜及び第2の隔膜を透過して上記レジスト層に照射され
    ることを特徴とする請求項1記載の電子ビーム描画装
    置。
  5. 【請求項5】 上記第1及び第2の隔膜が、ベリリウ
    ム、アルミニウム、チタニウム又はこれらの合金材料よ
    りなることを特徴とする請求項4記載の電子ビーム描画
    装置。
  6. 【請求項6】 上記第1及び第2の隔膜が、シリコン又
    はシリコン化合物よりなることを特徴とする請求項4記
    載の電子ビーム描画装置。
  7. 【請求項7】 上記第1及び第2の隔膜の厚さが、10
    0μm以下であることを特徴とする請求項4記載の電子
    ビーム描画装置。
  8. 【請求項8】 上記減圧状態とされている部分とヘリウ
    ム雰囲気とされている部分とを隔てる隔膜と、 上記ヘリウム雰囲気とされている部分にヘリウムガスを
    継続的に注入して、ヘリウム雰囲気とされている部分の
    気圧を所定の範囲内の値に維持する気圧維持手段とを備
    え、 上記電子銃から出射された電子ビームは、上記隔膜を透
    過して上記レジスト層に照射されることを特徴とする請
    求項1記載の電子ビーム描画装置。
  9. 【請求項9】 上記隔膜が、ベリリウム、アルミニウ
    ム、チタニウム又はこれらの合金材料よりなることを特
    徴とする請求項8記載の電子ビーム描画装置。
  10. 【請求項10】 上記隔膜が、シリコン又はシリコン化
    合物よりなることを特徴とする請求項8記載の電子ビー
    ム描画装置。
  11. 【請求項11】 上記隔膜の厚さが、100μm以下で
    あることを特徴とする請求項8記載の電子ビーム描画装
    置。
  12. 【請求項12】 上記ヘリウム雰囲気とされている部分
    にヘリウムガスを流量調整しながら注入すると共に、排
    気して、ヘリウム雰囲気とされている部分の気圧を所定
    の範囲内の値に維持する第1の気圧維持手段と、 上記ヘリウム雰囲気とされている部分から減圧状態とさ
    れている部分へ流入するヘリウムガスを排気して、減圧
    状態とされている部分の気圧を所定の範囲内の値に維持
    する第2の気圧維持手段とを備えることを特徴とする請
    求項1記載の電子ビーム描画装置。
  13. 【請求項13】 上記電子銃と上記対物レンズとの間
    に、上記電子銃から出射された電子ビームを強度変調す
    るビーム変調手段を備えることを特徴とする請求項1記
    載の電子ビーム描画装置。
  14. 【請求項14】 上記電子銃と上記対物レンズとの間
    に、上記電子銃から出射された電子ビームを偏向するビ
    ーム偏向手段を備えることを特徴とする請求項1記載の
    電子ビーム描画装置。
  15. 【請求項15】 上記電子銃と上記対物レンズとの間
    に、上記レジスト層に照射させる電子ビームのスポット
    径を調整するフォーカス調整手段を備えることを特徴と
    する請求項1記載の電子ビーム描画装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004027771A1 (ja) * 2002-09-19 2004-04-01 Tdk Corporation 電子線照射装置、電子線照射方法、ディスク状体の製造装置及びディスク状体の製造方法
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