近年、高調波を抑制させるための力率改善(PFC(Power Factor Correction))回路を含むようにした電源装置が普及している。
高調波とは、基本波の周波数(例えば50Hz)に対して、整数倍の周波数(例えば100Hz,150Hz,200Hz,・・・)となる周波数成分のことをいい、この高調波によって、機器が誤動作したり、機器が発熱したりするなどの可能性がある。
図1は、交流電源から入力される電流と電圧との関係を示すグラフである。
図1において、縦軸は、交流電源から入力される電流(アンペア)または電圧(ボルト)の値を示し、縦軸の値が大きいほど、電流または電圧のレベルが高くなる。また、横軸は時間(秒)を示し、時間の方向は図中左から右に向かう方向となる。さらに、図中の波形のうち、ハッチングされた方の波形は、電流(高調波の周波数成分を含む電流)の波形を示し、もう一方の実線の波形は、電圧の波形を示す。なお、縦軸および横軸においては、電流と電圧の波形を比較することができればよく、そのため、具体的な軸の値は省略されている。
図1で示されるグラフにおいて、実線で示される電圧の波形は正弦波となり、ハッチングされた電流の波形は基本波の整数倍の周波数成分を含む、尖った波形となる。具体的には、電流の周波数成分は、基本波の周波数が50Hzである場合、100Hz,150Hz,200Hzなどの、50Hzである基本波の整数倍の周波数の成分となる。
また、本来、電流の波形は、電圧と同様に、正弦派となるのが理想であるが、高調波成分を含む電流の場合、図1で示すように、ピークの値は高いが、電流の流れている時間は短いため、波形は正弦波とならずに尖った波形となる。
このような尖った電流の波形の場合、わずかな時間に大きな電流が流れるため、その影響で電圧降下が発生することで電圧の波形がひずんでしまい、電圧の値が本来の値を満たせないときがある。また、同じ電力を供給する場合、尖った電流波形のときには、電流波形が正弦波のときよりも大きな電流を制御できる素子が必要になる。
これらの高調波は、電源装置に入力してくる電力に対する有効電力(回路内部で消費される電力)の比率である、いわゆる、力率を改善することで抑制することができる。すなわち、力率を改善することで高調波を抑制することができる。
このような高調波を抑制し、力率を改善することができる力率改善回路(力率改善機能)を含むように構成される電源装置について、図2を参照して説明する。図2は、従来の電源装置1の構成例を示す回路図である。
電源装置1は、交流電源11から入力された入力電圧(交流電圧Vin)を直流電圧に変換し、変換した出力直流電圧Voutを負荷機器16に出力する。電源装置1は、整流素子12、力率改善回路13、DC(Direct Current)/DC変換回路14、およびCPU(Central Processing Unit)15から構成される。
図2において、整流素子12は、ブリッジ接続された4つのダイオード(図示せず)により構成され、その入力端(図中上下の2端)には、交流電源11が接続され、その出力端(図中左右の2端)には、力率改善回路13が接続されている。すなわち、整流素子12は、商用電源または無停電電源装置(UPS(Uninterruptible Power Supply))などの交流電源11から入力される、電源周波数(50Hz、60Hzなど)の交流電圧Vinを整流して脈流電圧Vdinとし、力率改善回路13に出力する。
力率改善回路13の入力端(図中左側の2端)には、整流素子12が接続され、その出力端(図中右側の2端)には、DC/DC変換回路14が接続される。すなわち、力率改善回路13においては、その入力端に、整流素子12より出力された脈流電圧Vdinを、直流電圧Vdoutに変換し、変換した直流電圧VdoutをDC/DC変換回路14に出力する。換言すれば、力率改善回路13は、整流素子12から入力された脈流電圧Vdinを、直流電圧Vdoutに変換する直流変換回路であるとも言える。
力率改善回路13は、アクティブフィルタ21および平滑キャパシタ22を有する回路である。
アクティブフィルタ21の入力端(図中左側の2端)には、整流素子12が接続され、その出力端(図中右側の2端)には、DC/DC変換回路14が接続される。すなわち、アクティブフィルタ21においては、その入力端(図中左側の2端)に、整流素子12より出力された脈流電圧Vdinが印加され(入力され)、平滑キャパシタ22に連続的に充放電を繰り返させることで、その出力端(図中右側の2端)から直流電圧VdoutがDC/DC変換回路14に出力される。
アクティブフィルタ21は、チョークコイル31およびスイッチング素子32を有する回路である。
チョークコイル31においては、その入力端には、整流素子12が接続され、その出力端には、DC/DC変換回路14が接続される。
スイッチング素子32は、MOS FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)により構成されている。スイッチング素子32のドレインは、チョークコイル31とDC/DC変換回路14との接続端に、そのゲートは、CPU15に、そのソースは、整流素子12とDC/DC変換回路14との接続端に接続される。
平滑キャパシタ22の一端は、アクティブフィルタ21とDC/DC変換回路14との一方の接続端(図中上側の端)に、その他端は、アクティブフィルタ21とDC/DC変換回路14との他方の接続端(図中下側の端)に、それぞれ接続される。
DC/DC変換回路14の入力端(図中左側の2端)には、力率改善回路13が接続され、その出力端(図中右側の2端)には、負荷機器16が接続される。すなわち、DC/DC変換回路14においては、その入力端(図中左側の2端)に、平滑キャパシタ22が連続的に充放電を繰り返すことで入力されてくる直流電圧Vdoutを、所定のレベルの出力直流電圧Voutに変換し、変換した出力直流電圧Voutを負荷機器16に出力する。
DC/DC変換回路14は、スイッチング素子41、整流ダイオード42、チョークコイル43,およびキャパシタ44を有する回路である。
スイッチング素子41は、MOS FETにより構成され、そのドレインは、力率改善回路13に、そのゲートは、CPU15に、そのソースは、チョークコイル43に、それぞれ接続される。
整流ダイオード42は、そのアノードが力率改善回路13とDC/DC変換回路14との接続端(図中下側の端)に接続され、そのカソードが力率改善回路13とDC/DC変換回路14との接続端(図中上側の端)に接続されている。
チョークコイル43は、その一端がスイッチング素子41のソースに接続され、その他端が負荷機器16に接続される。
キャパシタ44の一端は、DC/DC変換回路14と負荷機器16との一方の接続端(図中上側の端)に、その他端は、DC/DC変換回路14と負荷機器16との他方の接続端(図中下側の端)に、それぞれ接続される。
CPU15は、スイッチング素子32のゲートおよびスイッチング素子41のゲートのそれぞれに接続され、スイッチング素子32およびスイッチング素子41のそれぞれに、所定の電圧のレベルである制御信号を供給することで、それらのスイッチング素子にスイッチング動作をさせる。
以上のようにして構成される電源装置1において、スイッチング素子32およびスイッチング素子41のそれぞれは、CPU15から、それぞれのゲートに供給される制御信号の電圧のレベルに応じて、スイッチング動作をする。
すなわち、スイッチング素子32がCPU15からの制御信号の電圧レベルの変化に応じてスイッチング動作を繰り返すと、平滑キャパシタ22は連続的に充放電を繰り返すことになる。その結果、平滑キャパシタ22の端子間に、一定レベルの直流電圧Vdoutが発生する。換言すれば、力率改善回路13においては、スイッチング素子32がCPU15からの制御信号の電圧レベルの変化に応じてスイッチング動作をすることで、脈流電圧Vdinの力率を改善させるように機能し(力率改善機能)、平滑キャパシタ22が連続的に充放電を繰り返すことで、脈流電圧Vdinを平滑させるように機能する(平滑機能)。
また、スイッチング素子41がCPU15からの制御信号の電圧レベルの変化に応じてスイッチング動作を繰り返すと、キャパシタ44は連続的に充放電を繰り返すことになる。その結果、スイッチング素子41のスイッチング動作に対応して、キャパシタ44の端子間に、所定のレベルの出力直流電圧Voutが発生し、発生した出力直流電圧Voutを負荷機器16に出力することになる。
このように、電源装置1は、スイッチング素子32がスイッチング動作をすることで、力率改善機能を実現し、交流電源11から入力される交流電圧Vinの高調波成分を抑制し、力率を改善する。
図3は、電源装置1によって高調波を抑制した場合における、交流電源から入力される電流と電圧との関係を示すグラフである。なお、図3におけるグラフの縦軸および横軸は、図1に示すグラフと同様であり、その説明は省略する。
図3において、実線で示される振幅の大きい方の電圧の波形は、図1と同様に正弦波となり、ハッチングされた振幅の小さい方の電流の波形は、力率改善回路13によって高調波を抑制したことによって、図1のような尖った波形とはならず、電圧の波形と同様に正弦波となる。すなわち、高調波電流が減少することで電流の波形が正弦波に近づき、高調波電流がゼロとなったとき、電流の波形は正弦波となり、高調波が抑制される。
以上のようにして、従来の電源装置1は、交流電圧Vinの力率を改善することで高調波の発生を抑制している。
ところで、商用電源またはUPSなどの交流電源11から入力される交流電圧Vinであるが、常にその波形が正弦波となることが理想であるが、実際にはノイズが混入することできれいな正弦波とならず、正弦波が大きく歪んだ波形となるときがある。また、UPSにおいては、商用交流電源が異常の場合、その出力を切り替えて、内蔵するバッテリからの交流電圧Vinを負荷機器(電源装置1)に供給するが、その交流電圧Vinの波形として矩形波を出力するものもある。
図4は、正弦波を前提とした力率改善回路13が搭載されている負荷機器16に、交流電源11(商用電源またはUPSなど)から矩形波が入力された場合の異常動作を示す図である。
図4において、縦軸は、図中左側の縦軸で示すように電流(アンペア)と、図中右側の縦軸で示すように電圧(ボルト)のそれぞれの値を示し、縦軸の値が大きいほど、電流または電圧のレベルが高くなる。また、横軸は時間(秒)を示し、時間の方向は図中左から右に向かう方向となる。さらに、図中の上側の波形は交流電圧Vinの波形を示し、下側の波形は電流の波形を示す。すなわち、図中上側の交流電圧Vinの波形の軸は、図中左右の縦軸のうち、右側の電圧の値を示す軸となり、一方、下側の電流の波形の軸は、図中左右の縦軸のうち、左側の電流の値を示す軸となる。
図4の上側の交流電圧Vinの波形において、通常、交流電源11から入力される交流電圧Vinは正弦波となるが、Aで囲まれる時間帯における波形が正弦波とならずに、正弦波のときよりも電圧のピーク値の低い矩形波となっている。また、同様に、図4の下側の電流の波形においても、上述したAで囲まれる時間帯と同じ時間帯である、Bで囲まれる時間帯における波形が正弦波とならずに、正弦波のときよりも電流のピーク値の高い矩形波となっている。
すなわち、商用電源またはUPSなどの交流電源11から入力される電圧の波形や電流の波形は、常に正弦波になるとは限らず、矩形波となることがあるので、正弦波を前提とした力率改善回路13が搭載されている負荷機器16では、この矩形波によって異常動作をすることがある。
さらに、無停電電源装置が接続された場合、スイッチング電源装置の電力入力端子とDC/DC変換回路との間に接続されている力率改善回路によるスイッチング動作を停止するか、または力率改善回路をバイパスして、電力入力端子から入力される電力をDC/DC変換回路で所定の電圧の電力に変換する力率改善方法もある(例えば、特許文献1)。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図5は、本発明を適用した電源装置101の構成例を示す回路図である。
電源装置101は、交流電源11から入力された交流電圧Vinを所定の直流電圧に変換し、変換した出力直流電圧Voutを負荷機器16に出力する電源装置の一例である。
電源装置101は、波形検出回路111、整流素子112、力率改善回路113、DC/DC変換回路114、およびCPU115を含むようにして構成される。
図5において、波形検出回路111は、図示はしないが、例えば、MPU、DSP、A/D変換器、または専用の回路などの、交流電源11からの交流電圧Vinの波形を検出するための回路から構成され、その入力端(図中左側の端)には、交流電源11が接続され、その出力端(図中右側の端)には、整流素子112の入力端(図中の上側の端)およびCPU115が接続されている。
波形検出回路111は、例えば、商用電源またはUPSなどの交流電源11から入力される、電源周波数(例えば、50Hz,60Hzなど)の交流電圧Vinを整流素子112の入力端に出力するとともに、その入力された交流電圧Vinの波形を検出し、交流電圧Vinの波形から矩形波などの正弦波以外の波形を検出した場合、正弦波以外の波形を検出したことを示す信号(以下、検出信号と称する)をCPU115に出力する。波形検出回路111による、交流電圧Vinの波形の検出方法の詳細は後述する。
整流素子112は、例えば、ブリッジ接続された4つのダイオード(図示せず)により構成され、一方の入力端(図中上側の端)には、波形検出回路111が接続され、他方の入力端(図中下側の端)には、交流電源11が接続され、その出力端(図中左右の2端)には、力率改善回路113が接続されている。すなわち、整流素子112は、交流電源11から入力される、電源周波数の交流電圧Vinを整流して脈流電圧Vdinとし、力率改善回路113に出力する。
力率改善回路113の入力端(図中左側の2端)には、整流素子112が接続され、その出力端(図中右側の2端)には、DC/DC変換回路114が接続される。すなわち、力率改善回路113においては、その入力端に、整流素子112より出力された脈流電圧Vdinを、直流電圧Vdoutに変換し、変換した直流電圧VdoutをDC/DC変換回路114に出力する。換言すれば、力率改善回路113は、整流素子112から入力された脈流電圧Vdinを、直流電圧Vdoutに変換する直流変換回路であるとも言える。
力率改善回路113は、アクティブフィルタ121および平滑キャパシタ122を有する回路である。
アクティブフィルタ121の入力端(図中左側の2端)には、整流素子112が接続され、その出力端(図中右側の2端)には、DC/DC変換回路114が接続される。すなわち、アクティブフィルタ121においては、その入力端(図中左側の2端)に、整流素子112より出力された脈流電圧Vdinが印加され(入力され)、平滑キャパシタ122に連続的に充放電を繰り返させることで、その出力端(図中右側の2端)から直流電圧VdoutがDC/DC変換回路114に出力される。
アクティブフィルタ121は、チョークコイル131およびスイッチング素子132を有する回路である。
チョークコイル131においては、その入力端には、整流素子112が接続され、その出力端には、DC/DC変換回路114が接続される。
スイッチング素子132は、例えば、MOS FETにより構成されている。スイッチング素子132のドレインは、チョークコイル131とDC/DC変換回路114との接続端に、そのゲートは、CPU115に、そのソースは、整流素子112とDC/DC変換回路114との接続端に接続される。
平滑キャパシタ122は、その一端が、アクティブフィルタ121とDC/DC変換回路114との一方の接続端(図中上側の端)に、その他端が、アクティブフィルタ121とDC/DC変換回路114との他方の接続端(図中下側の端)に、それぞれ接続される。
DC/DC変換回路114の入力端(図中左側の2端)には、力率改善回路113が接続され、その出力端(図中右側の2端)には、負荷機器16が接続される。すなわち、DC/DC変換回路114においては、その入力端(図中左側の2端)に、平滑キャパシタ122が連続的に充放電を繰り返すことで入力されてくる直流電圧Vdoutを、所定のレベルの出力直流電圧Voutに変換し、変換した出力直流電圧Voutを負荷機器16に出力する。換言すれば、DC/DC変換回路114は、負荷機器16に出力する電圧のレベルを制御している。
DC/DC変換回路114は、スイッチング素子141、整流ダイオード142、チョークコイル143、およびキャパシタ144を有する回路である。
スイッチング素子141は、例えば、MOS FETにより構成され、そのドレインは、力率改善回路113に、そのゲートは、CPU115に、そのソースは、チョークコイル143に、それぞれ接続される。
整流ダイオード142は、そのアノードが力率改善回路113とDC/DC変換回路114との接続端(図中下側の端)に接続され、そのカソードが力率改善回路113とDC/DC変換回路114との接続端(図中上側の端)に接続されている。
チョークコイル143は、その一端がスイッチング素子141のソースに接続され、その他端が負荷機器16に接続される。
キャパシタ144は、その一端が、DC/DC変換回路114と負荷機器16との一方の接続端(図中上側の端)に、その他端が、DC/DC変換回路114と負荷機器16との他方の接続端(図中下側の端)に、それぞれ接続される。
CPU115は、波形検出回路111、スイッチング素子132のゲート、およびスイッチング素子141のゲートのそれぞれに接続され、スイッチング素子132およびスイッチング素子141のそれぞれに、所定の電圧のレベルである制御信号を供給することで、それらのスイッチング素子にスイッチング動作をさせる。
すなわち、CPU115は、スイッチング素子132をスイッチング動作させることで、力率改善回路113がDC/DC変換回路114に出力する直流電圧Vdoutのレベルをほぼ一定に保つ制御をする(整流素子112から入力された脈流電圧Vdinのレベルを所定のレベルに保つことで力率を改善するように制御する)。また、CPU115は、波形検出回路111から検出信号が入力された場合、スイッチング素子132がスイッチング動作しないように制御することで、力率改善回路113に入力された脈流電圧Vdinが、特に、力率が改善されずに、単に、平滑キャパシタ122により平滑され、その結果、特に力率が改善されていない直流電圧VdoutがDC/DC変換回路114に出力されるようにする。
さらに、CPU115は、スイッチング素子141をスイッチング動作させることで、DC/DC変換回路114が、力率改善回路113から入力された直流電圧Vdoutを、負荷機器16に出力する出力直流電圧Voutに変換するように制御する。
以上のようにして構成される電源装置101において、スイッチング素子132およびスイッチング素子141のそれぞれは、CPU115から、それぞれのゲートに供給される制御信号の電圧のレベルに応じて、スイッチング動作をする。
なお、以下、スイッチング素子132のドレインとソースが導通された状態を、オン状態と称し、スイッチング素子132のドレインとソースが遮断(非導通)された状態を、オフ状態と称する。また、ここでは、スイッチング素子132が、その状態を、オン状態からオフ状態に切り替えたり、オフ状態からオン状態に切り替える動作を、スイッチング動作と称している。さらに、以下、スイッチング動作のうちの、オン状態からオフ状態に切り替える動作(オフ駆動動作)により、スイッチング素子132の状態がオフ状態となることを、ターンオフと称する。同様に、スイッチング動作のうちの、オフ状態からオン状態に切り替える動作(オン駆動動作)により、スイッチング素子132の状態がオン状態となることを、ターンオンと称する。また、スイッチング素子141についても同様に称するものとする。
すなわち、CPU115からスイッチング素子132のゲートに入力される制御信号の電圧レベルが、ローレベル(以下、適宜、単に「L」と称する)から(以下、適宜、単に「H」と称する)に変化すると、スイッチング素子132はターンオンする。一方、スイッチング素子132のゲートに入力される制御信号の電圧レベルが、「H」から「L」に変化すると、スイッチング素子132はターンオフする。
スイッチング素子132がターンオンすると、整流素子112からアクティブフィルタ121に印加される脈流電圧Vdinにより、チョークコイル131に電流I131が流れ始める。このとき、チョークコイル131には、この電流I131のレベルに応じたエネルギーが蓄積される。
次に、スイッチング素子132がターンオフすると、チョークコイル131は、蓄積されたエネルギーを放出することで、ターンオン時と同様の電流I131を流そうとする。このときの電流I131は、スイッチング素子132を通らずに、平滑キャパシタ122に流れ込む。すなわち、平滑キャパシタ122は電荷を充電することになる。
次に、スイッチング素子132が再度ターンオンすると、今度は、電流I131は、スイッチング素子132に流れ込み、平滑キャパシタ122には流れなくなる。したがって、このとき、チョークコイル131には、この電流I131のレベルに応じたエネルギーが再度蓄積され、一方、平滑キャパシタ122は電荷を放電することになる。
このようにして、スイッチング素子132がCPU115からの制御信号の電圧レベルの変化に応じてスイッチング動作を繰り返すと、上述した一連の動作が繰り返し実行され、平滑キャパシタ122は連続的に充放電を繰り返すことになる。その結果、平滑キャパシタ122の端子間に、一定レベルの直流電圧Vdoutが発生する。
すなわち、力率改善回路113においては、スイッチング素子132がCPU115からの制御信号の電圧レベルの変化に応じてスイッチング動作をすることで、脈流電圧Vdinの力率を改善させるように機能し(力率改善機能)、平滑キャパシタ122が連続的に充放電を繰り返すことで、脈流電圧Vdinを平滑させるように機能する(平滑機能)。
また、CPU115からスイッチング素子141のゲートに入力される制御信号の電圧レベルに応じて、スイッチング素子141がターンオンすると、平滑キャパシタ122の端子間に印加される直流電圧Vdoutにより、チョークコイル143に電流I143が流れ始める。このとき、チョークコイル143には、電流I143のレベルに応じたエネルギーが蓄積される。
次に、スイッチング素子141がターンオフすると、チョークコイル143は、蓄積されたエネルギーを放出することで、ターンオン時と同様の電流I143を流そうとする。このときの電流I143は、キャパシタ144に流れ込み、キャパシタ144は電荷を充電することになる。
次に、スイッチング素子141が再度ターンオンすると、チョークコイル143に電流I143が流れ始める。したがって、このとき、チョークコイル143には、この電流I143のレベルに応じたエネルギーが再度蓄積され、一方、キャパシタ144は電荷を放電することになる。
すなわち、スイッチング素子141がCPU115からの制御信号の電圧レベルの変化に応じてスイッチング動作を繰り返すと、上述した一連の動作が繰り返し実行され、キャパシタ144は連続的に充放電を繰り返すことになる。その結果、スイッチング素子141のスイッチング動作に対応して、キャパシタ144の端子間に、所定のレベルの出力直流電圧Voutが発生し、発生した出力直流電圧Voutを負荷機器16に出力することになる。
ところで、上述したように、CPU115は、波形検出回路111が交流電源11からの交流電圧Vinの波形から、例えば、矩形波などの正弦波以外の波形を検出した場合、波形検出回路111から検出信号が入力されるので、その検出信号に応じて、スイッチング素子132がターンオンしているとき、スイッチング素子132のゲートに入力する制御信号の電圧レベルを、「H」から「L」に変化させて、スイッチング素子132をターンオフさせるか、またはスイッチング素子132がターンオフしているとき、その状態を維持させることで、スイッチング素子132がターンオフした状態を維持させる(すなわち、スイッチング素子132がスイッチング動作しないように制御する)。
このとき、スイッチング素子132がスイッチング動作を行わないことで、力率改善回路113に入力された脈流電圧Vdinは、特に、力率が改善されずに、単に、平滑キャパシタ122により平滑され、その結果、特に力率が改善されていない一定レベルの直流電圧Vdoutが、平滑キャパシタ122の端子間に発生する。
DC/DC変換回路114は、平滑キャパシタ122の端子間に発生した直流電圧Vdoutを、所定のレベルの出力直流電圧Voutに変換し、変換した出力直流電圧Voutを負荷機器16に出力する。
このように、波形検出回路111によって検出される交流電圧Vinの波形が矩形波である場合、スイッチング素子132がスイッチング動作をしないように制御することで、力率改善回路113の力率改善機能を停止させることができる。その結果、矩形波である交流電圧Vinが入力された場合であっても、力率改善回路113を構成する電気素子が短絡しないようになる。
次に、図6を参照して、電源装置101による、波形検出の処理について説明する。
ステップS11において、波形検出回路111は、交流電源11から入力されてくる入力電圧(交流電圧Vin)をサンプリングする間隔(以下、インターバル時間と称する)を算出する。
例えば、ステップS11において、波形検出回路111は、交流電源11から入力されてくる交流電圧Vinの電圧が0ボルトとなる位置(以下、ゼロクロスポイントと称する)を検出し、さらに、この位置を基準として、次のゼロクロスポイントが検出されるまでの時間t(すなわち、半周期)を計測する。そして、計測した時間tを所定の定数cで割ることで、例えば、T(=t/c)であるインターバル時間を算出する(すなわち、半周期で何回サンプリングするかを所定の定数cによって決定する)。具体的には、例えば、計測した時刻tが10ミリ秒で、所定の定数cが128である場合、インターバル間隔Tは0.000078秒(=0.01/128)となり、交流電圧Vinを78マイクロ秒ごとに1回サンプリングすることになる(すなわち、サンプリング周波数が12.8(KHz)となり、交流電圧Vinの半周期ごとに128回サンプリングするとも言える)。
なお、インターバル時間であるが、上述した算出方法に限らず、例えば、いわゆる工場出荷時設定値として、インターバル時間を波形検出回路111が備えるメモリ(図示せず)に記憶させておき、適宜、記憶されたインターバル時間を読み出す方法など、波形検出回路が交流電圧Vinをサンプリングする間隔を指定可能な方法であればよい。
ステップS12において、波形検出回路111は、交流電源11から入力されてくる交流電圧Vinが0ボルトとなるか否かを判定する。
ステップS12において、交流電圧Vinが0ボルトでないと判定された場合、ステップS12に戻り、上述した処理が繰り返される。すなわち、交流電源11から入力されてくる交流電圧Vinが0ボルトとなるまで、波形検出回路111は待機していることになる。
ステップS12において、交流電圧Vinが0ボルトであると判定された場合、ステップS13に進み、波形検出回路111は、インターバル時間が経過したか否かを判定する。例えば、ステップS13において、波形検出回路111は、前回交流電圧Vinをサンプリングした時刻から、78マイクロ秒であるインターバル時間Tを経過したか否かを判定する。
ステップS13において、インターバル時間Tが経過していないと判定された場合、ステップS13に戻り、上述した処理が繰り返される。すなわち、前回交流電圧Vinをサンプリングした時刻からインターバル時間Tが経過するまで、波形検出回路111は待機していることになる。
ステップS13において、インターバル時間Tが経過したと判定された場合、ステップS14に進み、波形検出回路111は、交流電源11から入力される交流電圧Vinをサンプリングし、サンプリングした交流電圧Vinをデジタル値に変換する。
図7は、波形検出回路111による、交流電圧Vinのサンプリングの例を示す図である。
図7で示される例において、横軸は時間(秒)を示し、時間の方向は図中左から右に向かう方向となる。また、垂直方向の軸は図示していないが、図中上にいくほど交流電圧Vin(ボルト)のレベルが高くなる。
図中の曲線は、交流電源11から入力されてくる、アナログ値である交流電圧Vinを示しており、交流電圧Vinは時間の経過とともに連続的に変化している。また、曲線上の点、Yn-1,Yn,Yn+1,Yn+2,・・・のそれぞれは、横軸の時刻である、Tn-1,Tn,Tn+1,Tn+2,・・・のそれぞれに対応しており、時間の経過とともに、離散的に変化している。すなわち、図中の曲線で示す交流電圧Vinの連続的な情報を、Tn-1,Tn,Tn+1,Tn+2,・・・のように一定の間隔で、サンプリングすることで、Yn-1,Yn,Yn+1,Yn+2,・・・のようなとびとびの離散的なデータを順次サンプリングすることになる。
図6のフローチャートに戻り、例えば、ステップS14において、波形検出回路111は、ゼロクロスポイントが検出されてから、78マイクロ秒であるインターバル時間Tを経過した時刻T1の交流電圧Vinとして電圧Y1をサンプリングし、サンプリングした電圧Y1に対して、量子化処理および符号化処理などの所定の処理を施すことで、電圧Y1をデジタル値に変換する。
ステップS15において、波形検出回路111は、交流電圧Vinのサンプリングを所定の回数終了したか否かを判定する。
ステップS15において、交流電圧Vinのサンプリングを所定の回数終了していないと判定された場合、ステップS13に戻り、上述した処理が繰り返される。
例えば、ステップS15において、交流電圧Vinのサンプリングがn-2回終了し、128回である半周期ごとにサンプリングする回数を終了していないと判定された場合、ステップS13に戻り、ステップS13乃至ステップS15の処理が繰り返されることで、図7に示すように、時刻Tn-2から78マイクロ秒(インターバル時間T)が経過した時刻である時刻Tn-1の交流電圧Vinとして電圧Yn-1をサンプリングし、サンプリングした電圧Yn-1に対して、量子化処理および符号化処理などの所定の処理を施すことで、電圧Yn-1をデジタル値に変換する。
また、同様に、交流電圧Vinのサンプリングが128回終了するまで、ステップS13乃至ステップS15の処理が繰り返されることで、図7に示すように、時刻Tn-1から78マイクロ秒が経過した時刻であるTnの交流電圧Vinとして電圧Ynをサンプリングしてデジタル値に変換し、時刻Tnから78マイクロ秒が経過した時刻であるTn+1の交流電圧Vinとして電圧Yn+1をサンプリングしてデジタル値に変換し、時刻Tn+1から78マイクロ秒が経過した時刻であるTn+2の交流電圧Vinとして電圧Yn+2をサンプリングしてデジタル値に変換するなど、順次、交流電圧Vinをサンプリングしてデジタル値に変換する。
一方、ステップS15において、交流電圧Vinのサンプリングが所定の回数終了した場合、ステップS16に進み、波形検出回路111は、交流電圧Vinの差分の比(以下、電圧比と称する)として、電圧比Knを算出する。
例えば、ステップS15において、交流電圧Vinのサンプリングが128回終了した場合、ステップS16に進み、波形検出回路111は、交流電圧Vinとして、Yn-1,Yn,Yn+1,Yn+2,・・・をサンプリングし、サンプリングしたそれらの交流電圧Vinをデジタル値に変換したとき(ステップS14の処理)、図7に示すように、YnとYn-1との差分として、ΔYn(=Yn−Yn-1)を算出し、Yn+1とYnとの差分として、ΔYn+1(=Yn+1−Yn)を算出し、Yn+2とYn+1との差分として、ΔYn+2(=Yn+2−Yn+1)を算出するなど、交流電圧Vinのデジタル値の差分を順次算出する。そして、例えば、電圧比Kn(=ΔYn/ΔYn+1),Kn+1(=ΔYn+1/ΔYn+2),・・・など、交流電圧Vinの差分の比として、電圧比Knを順次算出する。
図8は、交流電圧Vinの実効値と電圧比Knとの関係を示す図である。
図8で示される例において、左側の表は交流電圧Vinの実効値が100ボルトの場合の値を示し、中央の表は交流電圧Vinの実効値が90ボルトの場合の値を示し、右側の表は交流電圧Vinの実効値が100ボルトのときの電圧比Knと、実効値が90ボルトのときの電圧比Knとの差分を示す。また、図8の表のそれぞれは、上述した、定数cが128、すなわち、交流電圧Vinの半周期ごとに128回サンプリングした値のうち、20乃至23番目にサンプリングされた交流電圧Vinに関する値となる。なお、図8の中央の表および右側の表の説明は後述する。
左側の交流電圧Vinの実効値が100ボルトの場合の表においては、1列目は交流電圧Vinの半周期におけるサンプリングの回数を示し、2列目はサンプリングした交流電圧Vinの値(Yn)を示し、3列目は交流電圧Vinの差分(ΔYn)を示し、4列目は交流電圧Vinの差分の比(電圧比Kn(K(a)))を示す。また、1行目は項目を示し、2行目以降はサンプリングされた交流電圧Vinから算出された値を示す。
左側の表の2行目は、20番目にサンプリングされた交流電圧Vinに関する値を示し、20番目にサンプリングされた交流電圧Vinのデジタル値がY20=63.37となり、ΔY20=Y20−Y19=63.37−60.26=3.11となり、K20=ΔY20/ΔY19=3.11/3.15=0.9885となることを示す。また3行目は、21番目にサンプリングされた交流電圧Vinのデジタル値がY21=66.44となり、ΔY21=Y21−Y20=66.44−63.37=3.07となり、K21=ΔY21/ΔY20=3.07/3.11=0.9877となることを示す。
さらに4行目は、22番目にサンプリングされた交流電圧Vinのデジタル値がY22=69.47となり、ΔY22=Y22−Y21=69.47−66.44=3.03となり、K22=ΔY22/ΔY21=3.03/3.07=0.9870となることを示す。また5行目は、23番目にサンプリングされた交流電圧Vinのデジタル値がY23=72.46となり、ΔY23=Y23−Y22=72.46−69.47=2.99となり、K23=ΔY23/ΔY22=2.99/3.03=0.9862となることを示す。
すなわち、交流電圧Vinの実効値が100ボルトの場合、波形検出回路111は、ステップS14(図6)において、交流電圧Vinから順次サンプリングした、Y1,Y2,・・・,Y20=63.37,Y21=66.44,Y22=69.47,Y23=72.46,・・・,Y127,Y128に基づいて、ステップS16(図6)において、ΔY1,ΔY2,・・・,ΔY20=3.11,ΔY21=3.07,ΔY22=3.03,ΔY23=2.99,・・・,ΔY127,ΔY128を算出し、さらに、電圧比Knとして、K1,K2,・・・K20=0.9885,K21=0.9877,K22=0.9870,K20=0.9862,・・・,K127,K128を算出する。
図6のフローチャートに戻り、ステップS17において、波形検出回路111は、算出した電圧比Knと所定の値とを比較し、許容範囲を超えている数を算出する。例えば、ステップS17において、波形検出回路111は、算出したK1,K2,・・・K20,K21,K22,K20,・・・,K127,K128のそれぞれの値が、0.9911,0.9899,・・・,0.9885,0.9877,0.9870,0.9862,・・・0.9655,0.9644のそれぞれとなり(すなわち、すべて1.0000以下)、かつ、電圧比Knのそれぞれに対応する所定の値がすべて1.0000である場合、1.0000である所定の値を超えている電圧比Knの数はゼロとなるので、許容範囲を超えている数としてゼロを算出する。
なお、所定の値とは、交流電圧Vinの波形が正弦波となるかを判定するための、予め定められた閾値である。すなわち、詳細は後述するが。電圧比Knの値は交流電圧Vinの大きさには依存しないので、交流電圧Vinの波形より算出される値である電圧比Knごとの閾値を、例えば、テーブルとして記憶しておくことにより、その記憶している閾値と、交流電圧Vinの波形より算出される値である電圧比Knとをそれぞれ比較することによって、交流電圧Vinの波形が正弦波となるための許容範囲を超えている電圧比Knの数を算出することができる。
また、この所定の値を大きくすることで、電圧比Knが所定の値を超える可能性が低くなるので、許容範囲を超える電圧比Knの数を減らすことが可能となるが、あまり大きくし過ぎると、本来矩形波として検出するべき交流電圧Vinを、正弦波として検出してしまう可能性があるので、所定の値は、適宜、最適な値が設定される。また、この所定の値は、上述したように、電圧比Knごとに複数記憶するようにしてもよいし、電圧比Knを所定の範囲でまとめることで、その所定の範囲ごとに1または複数の閾値を記憶させ、比較するようにしてもよい。
ステップS18において、波形検出回路111は、許容範囲を超えている電圧比Knの数が所定の数以下となるかを判定する。
ステップS18において、許容範囲を超えている電圧比Knの数が所定の数を超えていないと判定された場合、ステップS12に戻り、上述した処理が繰り返される。例えば、ステップS18において、所定の数が10である場合、波形検出回路111は、許容範囲を超えている電圧比Knの数がゼロであるとき、10である所定の数以下となるので、すなわち、交流電源11からの交流電圧Vinは正弦波となるので、ステップS12に戻り、上述した処理が繰り返されることで、再度、交流電源11から入力されてくる交流電圧Vinの波形を検出する。
すなわち、このとき、力率改善回路113は、スイッチング素子132が、CPU114から入力されてくる制御信号に応じて、スイッチング動作をすることで、整流素子112から入力されてくる脈流電圧Vdinのレベルを所定のレベルに保ち、力率を改善させる(力率改善回路113は力率改善機能の役割を果たしている)。
ここで、所定の数とは、交流電圧Vinの波形が正弦波となるかを判定するための、予め定められた閾値である。すなわち、交流電圧Vinの波形が正弦波であるときでも、例えば、ノイズなどの影響で波形の一部が変形することで、ある特定のサンプリングのタイミングにおいて、電圧比Knの値が部分的に、上述した所定の値を超えて、交流電圧Vinの波形が正弦波となるための許容範囲を超えてしまう場合がある(すなわち、本来は正弦波となるはずの波形が、矩形波として検出されてしまう)。そこで、交流電圧Vinの波形が正弦波となるかを、電圧比Knが許容範囲を超えるか否かによって判定するのではなく、電圧比Knの値がいくつ許容範囲を超えているかによって判定を行い、許容範囲を超えている数が少ない場合、正弦波と判定することで、ノイズなどの影響を取り除くことができる。
一方、例えば、ステップS17において、波形検出回路111は、算出したK1,K2,・・・K20,K21,K22,K20,・・・,K127,K128のそれぞれの値が、0.9911,0.9899,・・・1.0102,1.1154,1.0973,1.1113,・・・0.9660,0.9643のそれぞれとなり(1.0000を超えている数が15個)、かつ、電圧比Knのそれぞれに対応する所定の値がすべて1.0000である場合、1.0000である所定の値を超えている電圧比Knの数は15となるので、許容範囲を超えている電圧比Knの数として15を算出する。そして、ステップS18において、波形検出回路111は、許容範囲を超えている電圧比Knの数が15個となり、10である所定の数を超えるので、すなわち、交流電圧Vinは正弦波とはならず矩形波となるので、矩形波を検出したことを示す検出信号をCPU115に出力し、処理はステップS19の処理に進む。
ステップS19において、CPU115は、力率改善回路113の力率改善機能を停止させて、処理は終了する。
例えば、CPU115は、波形検出回路111から供給された検出信号に応じて、スイッチング素子132にスイッチング動作をさせないことで、力率改善回路113の力率改善機能を停止させる。すなわち、CPU115は、波形検出回路111から検出信号が入力された場合、スイッチング素子132がスイッチング動作しないように制御することで、力率改善回路113に入力された脈流電圧Vdinが、特に、力率が改善されずに、単に、平滑キャパシタ122により平滑され、その結果、特に力率が改善されていない直流電圧VdoutがDC/DC変換回路114に出力されるようにする。
このように、電源装置101は、交流電源11から入力されてくる交流電圧Vinの波形が矩形波とならない場合、波形検出回路111が交流電圧Vinの波形から矩形波を検出し、矩形波の検出に応じて、CPU115がスイッチング素子132のスイッチング動作を停止させることで、力率改善回路113の力率改善機能を停止させて、力率改善回路113を構成する電気素子が短絡することを防ぐことができる。また、電源装置101は、矩形波が検出されて、力率改善機能を停止した場合であっても、平滑キャパシタ122による平滑機能は動作しているので、負荷機器16に出力直流電圧Voutを出力することができる。
ところで、上述した、図8の中央の交流電圧Vinの実効値が90ボルトの場合の表においては、図8の左側の表と同様に、1列目は交流電圧Vinの半周期におけるサンプリングの回数を示し、2列目はサンプリングした交流電圧Vinの値(Y)を示し、3列目は交流電圧Vinの差分(ΔY)を示し、4列目は交流電圧Vinの差分の比(電圧比Kn(K(b)))を示す。また、1行目は項目を示し、2行目以降はサンプリングされた交流電圧Vinの値を示す。
2行目は、20番目にサンプリングされた交流電圧Vinのデジタル値がY20=57.20となり、ΔY20=Y20−Y19=57.20−54.39=2.81となり、K20=ΔY20/ΔY19=2.81/2.84=0.9885となることを示す。また3行目は、21番目にサンプリングされた交流電圧Vinのデジタル値がY21=59.97となり、ΔY21=Y21−Y20=59.97−57.20=2.77となり、K21=ΔY21/ΔY20=2.77/2.81=0.9877となることを示す。
さらに4行目は、22番目にサンプリングされた交流電圧Vinのデジタル値がY22=62.71となり、ΔY22=Y22−Y21=62.71−59.97=2.74となり、K22=ΔY22/ΔY21=2.74/2.77=0.9870となることを示す。また5行目は、23番目にサンプリングされた交流電圧Vinのデジタル値がY23=65.41となり、ΔY23=Y23−Y22=65.41−62.71=2.70となり、K23=ΔY23/ΔY22=2.70/2.74=0.9862となることを示す。
すなわち、交流電圧Vinの実効値が90ボルトの場合、波形検出回路111は、ステップS14(図6)において、交流電圧Vinから順次サンプリングした、Y1,Y2,・・・,Y20=57.20,Y21=59.97,Y22=62.71,Y23=65.41,・・・,Y127,Y128に基づいて、ステップS16(図6)において、ΔY1,ΔY2,・・・,ΔY20=2.81,ΔY21=2.77,ΔY22=2.74,ΔY23=2.70,・・・,ΔY127,ΔY128を算出し、さらに、電圧比Knとして、K1,K2,・・・K20=0.9885,K21=0.9877,K22=0.9870,K20=0.9862,・・・,K127,K128を算出する。
また、図8の右側の表においては、実効値が100ボルトの場合の電圧比K(a)と、実効値が90ボルトの場合の電圧比K(b)との差分の値を示し、1行目は項目を示し、2行目以降は電圧比Knの差分の値を示す。
2行目は、交流電圧Vinを20番目にサンプリングした値において、実効値が100ボルトの場合は交流電圧Vinの差分の比であるK20が0.9885となり、実効値が90ボルトの場合も交流電圧Vinの差分の比であるK20が0.9885となるので、その差分が0.0000となることを示す。また3行目は、交流電圧Vinを21番目にサンプリングした値において、実効値が100ボルトの場合は交流電圧Vinの差分の比であるK21が0.9877となり、実効値が90ボルトの場合も交流電圧Vinの差分の比であるK21が0.9877となるので、その差分が0.0000となることを示す。
さらに4行目は、交流電圧Vinを22番目にサンプリングした値において、実効値が100ボルトの場合は交流電圧Vinの差分の比であるK22が0.9870となり、実効値が90ボルトの場合も交流電圧Vinの差分の比であるK22が0.9870となるので、その差分が0.0000となることを示す。また5行目は、交流電圧Vinを23番目にサンプリングした値において、実効値が100ボルトの場合は交流電圧Vinの差分の比であるK23が0.9862となり、実効値が90ボルトの場合も交流電圧Vinの差分の比が0.9862であるK23となるので、その差分が0.0000となることを示す。
すなわち、交流電源11から入力される交流電圧Vinが正弦波の場合、電圧比Knの値は、交流電圧Vinをサンプリングする位置にのみ依存し、例えば、100ボルトや90ボルトなどの、交流電圧Vinの大きさ(実効値の大小)には影響を受けないことになる。
以上のように、本発明の電源装置101は、交流電圧Vin(入力電圧)の波形が矩形波となる場合、確実に、力率改善回路113による力率改善機能を停止させることができる。その結果、ユーザは交流電圧Vinの波形が正弦波であるか、または矩形波であるかを意識することなく、電源装置101(負荷機器16)を交流電源11に接続させることができる。すなわち、矩形波の交流電圧Vinを電源装置101(負荷機器16)に入力したとしても、それらの機器の破損(故障)を防止することができる。
また、従来、矩形波の交流電圧Vinを出力するUPS(正弦波の交流電圧Vinを出力するUPSよりも安価であることが多い)を使用することができなかった機器であっても、交流電圧Vinとして矩形波が入力された場合、力率改善回路113による力率改善機能を停止させるので、このUPSを使用できるようになり、例えば、システムを構築する場合のコストを下げることができる。
なお、上述した例においては、CPU115がスイッチング素子132およびスイッチング素子141のそれぞれをスイッチング動作させるとして説明したが、スイッチング素子132およびスイッチング素子141のそれぞれを、別々のCPUによって制御することで、スイッチング動作をさせるようにしてもよい。
また、図6を参照して説明した、波形検出の処理は一例であって、交流電源11から入力される交流電圧Vinから矩形波を検出できる方法であればよい。
さらに、図6のステップS16乃至ステップS18の処理を、波形検出回路111の代わりにCPU115が実行する、すなわち、CPU115は、波形検出回路111から供給される交流電圧Vinがサンプリングされてデジタル値に変換された値を基に、上述したステップS16乃至ステップS18の処理を実行し、交流電圧Vinが矩形波であると判定された場合、力率改善回路113の力率改善機能を停止させるようにしてもよい。
また、波形検出回路111が実行する上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることができる。この場合、上述した図5の波形検出回路111は、例えば、図9に示されるように構成することもできる。
図9において、CPU201は、ROM(Read Only Memory)202に記録されているプログラム、または記録部208からRAM(Random Access Memory)203にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM203にはまた、CPU201が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU201、ROM202、およびRAM203は、バス204を介して相互に接続されている。このバス204にはまた、入出力インタフェース205も接続されている。
入出力インタフェース205には、入力部206、および、出力部207が接続される。入力部206には、図示はしないが、例えば、図5における、波形検出回路111に印加される交流電圧Vinが入力される。また、出力部207からは、図示はしないが、例えば、検出信号が出力され、CPU115に入力される。
入出力インタフェース205にはまた、必要に応じて、ハードディスクなどより構成される記録部208、および通信部209が接続される。通信部209は、ネットワークを介して他の情報処理装置との通信を制御する。
入出力インタフェース205にはさらに、必要に応じてドライブ210が接続され、磁気ディスク221(フロッピディスクを含む)、光ディスク222(CD-ROM,DVDを含む)、光磁気ディスク223(MDを含む)、或いは半導体メモリ224などが適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記録部208にインストールされる。
一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、図9に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク221、光ディスク222、光磁気ディスク223、もしくは半導体メモリ224などにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM202や、記録部208に含まれるハードディスクなどで構成される。
さらに、上述した一連の処理を実行させるプログラムは、必要に応じてルータ、モデムなどのインターフェイスを介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を介してコンピュータにインストールされるようにしてもよい。
なお、本明細書において、記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表するものである。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。