JP4195577B2 - 熱交換器及び空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器及びその熱交換器を備えた空気調和装置に関し、特に蒸発器としての熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記の熱交換器としては、車両用の空気調和装置に使用されるものとして、図7、図8に示す熱交換器が知られている。
図7に示す熱交換器10は、右側タンク部11と、中央タンク部12と、左側タンク部13と、右側タンク部11と左側タンク部13とを繋ぐ複数の冷媒管路14とを備え、各冷媒管路14の間にはコルゲートフィン15が備えられている。また、図8に示すように、熱交換器10は、第一ブロック16と第二ブロック17とに分けられ、左側タンク部13は、第一ブロック16と第二ブロック17との間の仕切り部18で仕切られ、右側タンク部11は、熱交換器10の両端で閉じられている。
【0003】
上記の構成からなる熱交換器10においては、液冷媒は、一度、中央タンク部12を通って熱交換器10上を通過し、折り返して第一のブロック16の左側タンク部13に流入する。仕切り部18により、液冷媒は、第一のブロック16の冷媒管路14に流入し、空気(外部流体)と熱交換をして蒸発・気化し、液冷媒・気化冷媒が混合した状態で、右側タンク部11に流出し、右側タンク部11内を第一ブロック16から第二ブロック17へ流れ、第二ブロック17の冷媒管路14に流入し、空気と熱交換をして蒸発・気化し、途中で完全に気化して気化冷媒のみとなり、第二ブロック17の左側タンク部13に流出し、熱交換器10から流出する。
【0004】
ここで、冷媒管路14内の液冷媒と気化冷媒との混在領域では、外部流体から吸収した熱は、液冷媒の気化に使われ、液冷媒と気化冷媒の温度は一定に保たれる。気化冷媒のみの領域(過熱ガス域)では、空気から吸収した熱は、気化冷媒温度上昇に使われる。液冷媒と気化冷媒の混在領域を通過する空気は、冷媒の温度が一定に保たれているため、熱交換により所定の温度まで冷却されるが、過熱ガス域を通過する空気は、冷媒の温度が上昇しているため、十分な熱交換がされず、所定の温度まで冷却されない状態、つまり温度が高いままで流出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の熱交換器においては、冷媒管路の熱交換面に対する過熱ガス域の位置が左右のどちらか一方に偏って存在しており、したがって、過熱ガス域を通過する温度が高い空気が左右のどちらか一方に集中することになる。これにより、熱交換器を通過した空気の左右の温度分布ムラが大きくなり、快適な空調には使いにくいという問題があった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、左右の温度分布のムラが小さい快適な空調に使い易い熱交換器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱交換器では、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。請求項1にかかる発明は、第一ブロックと第二ブロックとに分けられて、第一ブロックの複数積層された熱交換セグメントと、第二ブロックの複数積層された熱交換セグメントで構成される熱交換器であって、前記第一ブロックは、第一の入口タンク部と、第一の入口タンク部に隣接する第一の出口タンク部と、第一の入口タンク部から下方に延出し途中で上方に折り返して第一の出口タンク部に接続される第一の冷媒配管とを有し、第二ブロックは、第二の入口タンク部と、第二の入口タンク部に隣接する第二の出口タンク部と、第二の入口タンク部から上方に延出し途中で下方に折り返して第二の出口タンク部に接続される第二の冷媒配管とを備え、第一の入口タンク部および第一の出口タンク部が、第二の入口タンク部および第二の出口タンク部よりも縦方向の上位に配置されるとともに、第一の冷媒配管と第二の冷媒配管とが横方向に並んで配置されてなり、第一の入口タンク部に入口主配管が連結され、第二の入口タンク部と入口主配管とを連結する入口副配管が設けられ、第一の出口タンク部に出口主配管が連結され、第二の出口タンク部と出口主配管とを連結する出口副配管が設けられ、冷媒は、入口主配管から流入し、入口主配管と入口副配管とに分流されて、入口主配管から流入される冷媒は、第一の入口タンク部に流入されるとともに、入口副配管から流入される前記冷媒は、第二の入口タンク部に流入されることを特徴とする。
【0008】
この発明にかかる熱交換器によれば、液冷媒が、第一の入口タンク部と第二の入口タンク部とへほぼ均等な流量で流入し、第一の冷媒配管内と第二の冷媒配管内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右でほぼ等しいから、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右でほぼ等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器の左右ほぼ均等に分布することになる。そのため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラが小さくなる。
【0009】
請求項2にかかる発明は、請求項1記載の熱交換器において、入口副配管に、第一の入口タンク部と第二の入口タンク部とへの冷媒流入量を均等にさせる均等流入手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明にかかる熱交換器によれば、均等流入手段により、液冷媒が、第一の入口タンク部と第二の入口タンク部とへ均等に流入し、第一の冷媒配管内と第二の冷媒配管内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右で等しいから、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラがより小さくなる。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1記載の熱交換器において、出口副配管に、前記第一の出口タンク部と前記第二の出口タンク部とからの冷媒流出量を均等にさせる均等流出手段が設けられていることをと特徴とする。
【0012】
この発明にかかる熱交換器によれば、均等流出手段により、液冷媒が、第一の出口タンク部と第二の出口タンク部とから均等に流出する。流出量が均等になるので、第一の入口タンク部と第二の入口タンク部とへの流入量も、第一の冷媒配管内と第二の冷媒配管内とを対向して流れる流量も均等となる。液冷媒の流入量が左右で等しいから、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラがより小さくなる。
【0013】
請求項4にかかる発明は、請求項1記載の熱交換器において、第一の冷媒配管と第二の冷媒配管との内部に、熱交換をする外部流体との熱交換面積を拡大させる熱交換面積拡大手段が設けられていることを特徴とする。
【0014】
この発明にかかる熱交換器によれば、第一の冷媒配管と第二の冷媒配管との内部に設けられた熱交換面積拡大手段により、外部流体と冷媒との熱交換面の面積が拡大し、同じ時間内での熱交換量が増加し、または、より短時間で同じ熱量を交換できる。これにより熱交換能力の劣る領域、例えば過熱ガス域、の熱交換を補うことができるため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラが小さくなる。
【0015】
請求項5にかかる発明は、請求項1記載の熱交換器において、第一の冷媒配管と第二の冷媒配管との内部に、冷媒の流れをかく乱させる冷媒流れかく乱手段が設けられていることを特徴とする。
【0016】
この発明にかかる熱交換器によれば、冷媒流れかく乱手段により、第一の冷媒配管内と第二の冷媒配管内との冷媒流れが乱され、冷媒流れ内部の熱伝達が促進され、同じ時間内での熱交換量が増加し、または、より短時間で同じ熱量を交換できる。これにより熱交換能力の劣る領域、例えば過熱ガス域、の熱交換を補うことができるため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラが小さくなる。
【0017】
請求項6にかかる発明は、請求項1から5のいずれかに記載の熱交換器において、第一の入口タンク部、第一の出口タンク部および第一の冷媒配管とを、第一の冷媒配管の長手方向に二分される同一形状の2つの第一の分割体として構成し、第二の入口タンク部、第二の出口タンク部および第二の冷媒配管とを、第二の冷媒配管の長手方向に二分される同一形状の2つの第二の分割体として構成することを特徴とする。
【0018】
この発明にかかる熱交換器によれば、第一の入口タンク部、第一の出口タンク部および第一の冷媒配管を、同一形状の2つの第一の分割体として構成し、第二の入口タンク部、第二の出口タンク部および第二の冷媒配管を、同一形状の2つの第二の分割体として構成するため、組み立て工程の増加が防止でき、コスト低減効果がある。
【0019】
請求項7にかかる発明は、請求項6記載の熱交換器において、前記第一の分割体を展開し一部をつなぎ合わせて一体に形成し、つなぎ合わせた部分を折り曲げて、前記第一の分割体を重ね合わせ、また、前記第二の分割体を展開し一部をつなぎ合わせて一体に形成し、つなぎ合わせた部分を折り曲げて、前記第二の分割体を重ね合わせることを特徴とする。
【0020】
この発明にかかる熱交換器によれば、第一の入口タンク部、第一の出口タンク部および第一の冷媒配管を、第一の分割体の一部をつなぎ合わせて一体に形成し、つなぎ合わせた部分を折り曲げて重ね合わせて構成し、第二の入口タンク部、第二の出口タンク部および第二の冷媒配管を、第二の分割体の一部をつなぎ合わせて一体に形成し、つなぎ合わせた部分を折り曲げて重ね合わせて構成するため、組み立て工程の増加が防止でき、コスト低減効果がある。
【0021】
請求項8にかかる発明は、請求項6または7に記載の熱交換器において、第一の分割体と第二の分割体とは同一形状であることを特徴とする
【0022】
この発明にかかる熱交換器によれば、第一の分割体と第二の分割体とは同一形状であるため、加工工程の増加が防止でき、部品の種類が1種類になることから、例えば、プレス形成の型費用などの、生産時の設備投資費用を抑えることができるため、コスト低減効果が大きくなる。
【0023】
請求項9にかかる発明は、請求項1から8のいずれかに記載の熱交換器を備えることを特徴とする空気調和装置。
【0024】
この発明にかかる空気調和装置によれば、熱交換器の過熱ガス域分布の左右の偏りを小さくし、空気が熱交換器を通過した後の、左右の温度分布のムラが小さくなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明における熱交換器の第1の実施形態の分解斜視図である。図1において熱交換器100は、右側タンク部(第一の入口タンク、第二の出口タンク)101と、左側タンク部(第一の出口タンク、第二の入口タンク)102と、2つの通過タンク部103と、右側タンク部101と左側タンク部102とを繋ぐ冷媒管路(第一の冷媒配管、第二の冷媒配管)104と、各冷媒管路104との間にコルゲートフィン105とを備え、かつ、これら右側タンク部101と、左側タンク部102と、通過タンク部103と、冷媒管路104とが内部に形成された熱交換セグメント110を複数接続・積層されたものとして構成され、さらに、図2に示すように熱交換器100は、第一ブロック120と第二ブロック130とに分けられて、第一ブロック120の複数積層された熱交換セグメント110と第二ブロック130の複数積層された熱交換セグメント110とは互いに上下逆向きとなるように接続されている。
【0026】
図1に示すように、熱交換セグメント110は、プレス形成された分割体(第一の分割体、第二の分割体)111、112を重ね合わせて構成され、熱交換セグメント110の上方右側に、右側タンク部101が形成され、熱交換セグメント110の上方左側に、左側タンク部102が形成されている。熱交換セグメント110の下方には、通過タンク部103が2つ左右に並んで配置されている。冷媒管路104は、右側タンク部101から下方に延出し、熱交換セグメント110の下部、通過タンク部103の上方で、折り返して左側タンク部102に連結される。
【0027】
また、図2に示すように、入口主配管140と出口主配管150とは、第二ブロック130の通過タンク部103に接続され、入口副配管160は、入口主配管140と第二ブロック130の左側タンク部102とに接続され、入口副配管160には、入口絞り部(均等流入手段)161が介装されている。出口副配管170は、出口主配管150と第二ブロック130の右側タンク部101とに接続されている。第一ブロック120の右側タンク部101と左側タンク部102とは、熱交換器100の端部となる所を板180で閉じられ、第二ブロック130の右側タンク部101と左側タンク部102とは、第一ブロック120と第二ブロック130との間を仕切り板190で閉じられている。
【0028】
上記の構成からなる熱交換器100においては、図1、図2に示すように、液冷媒は、入口主配管140から流入し、入口主配管140と入口副配管160とに分流する。入口副配管160には、第一ブロック120の圧力損失特性と、第二ブロック130の圧力損失特性とを等しくさせる、入口絞り部161が介装されているため、入口主配管140と入口副配管160とに流入する流量は等しくなる。分流した後の入口主配管140の液冷媒は、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する。右側タンク部101に流入した液冷媒は、冷媒管路104を通り、空気と熱交換をして蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、左側タンク部102に流入し、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、出口主配管150を通り、排出される。
【0029】
入口副配管160に流入した液冷媒も同様にして、第二ブロック130の左側タンク部102に流入し、冷媒管路104を通り、空気と熱交換をして蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、右側タンク部101から出口副配管170を通り、出口主配管150へと排出される。さらに、冷媒と熱交換する空気(外部流体)が、分割体111と分割体112との外側を、熱交換セグメント110の長手方向に対して略直交方向に通過するようにされている。
【0030】
上記の構成からなる熱交換器100においては、液冷媒が、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する量と第二ブロック130の左側タンク部102に流入する量とは、入口絞り部161により、均等となる。第一ブロック120の冷媒管路104内と第二ブロック130の冷媒管路104内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右で等しいため、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器100の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器100を通過する空気の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調に使いやすくなる。
【0031】
さらに、熱交換セグメント110は、同一形状の2つの分割体111、分割体112から構成されているため、組み立て工程の増加が防止できる。また、部品の種類が1種類であることから、例えば、プレス形成の型が1種類で済み、設備投資費用を抑えることができるため、コスト低減効果が大きくなって、生産性の面からも快適な空調に使いやすくなる。
【0032】
図3はこの発明における熱交換器の第2の実施形態の分解斜視図である。図3において、熱交換器200は、熱交換セグメント110を複数接続・積層されて構成される。熱交換セグメント110は、この基本的構成は、図1に示すものと同一であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、基本的冷媒の流れについても、図2に示すものと同一であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。図3において、出口副配管170には、出口絞り部(均等流出手段)201が介装されている。
【0033】
上記の構成からなる熱交換器200においては、図1、図2に示すように、液冷媒は、入口主配管140から流入し、入口主配管140と入口副配管160とに分流する。ここで、出口副配管170には、第一ブロック120の圧力損失特性と、第二ブロック130の圧力損失特性とを等しくさせる、出口絞り部201が介装されているため、入口主配管140と入口副配管160とに流入する流量は等しくなる。分流した後の入口主配管140の液冷媒は、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する。右側タンク部101に流入した液冷媒は、冷媒管路104を通り、空気と熱交換をして蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、左側タンク部102に流入し、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、出口主配管150を通り、排出される。
【0034】
入口副配管160に流入した液冷媒も同様にして、第二ブロック130の左側タンク部102に流入し、冷媒管路104を通り、空気と熱交換をして蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、右側タンク部101から出口副配管170を通り、出口主配管150へと排出される。さらに、冷媒と熱交換する空気が、分割体111と分割体112との外側を、熱交換セグメント110の長手方向に対して略直交方向に通過するようにされている。
【0035】
上記の構成からなる熱交換器200においては、液冷媒が、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する量と第二ブロック130の左側タンク部102に流入する量とは、出口絞り部201により、均等となる。第一ブロック120の冷媒管路104内と第二ブロック130の冷媒管路104内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右で等しいため、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器200の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器200を通過する空気の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調に使いやすくなる。
【0036】
さらに、熱交換セグメント110は、同一形状の2つの分割体111、分割体112から構成されているため、組み立て工程の増加が防止できる。また、部品の種類が1種類であることから、例えば、プレス形成の型が1種類で済み、設備投資費用を抑えることができるため、コスト低減効果が大きくなって、生産性の面からも快適な空調に使いやすくなる。
【0037】
図4はこの発明における熱交換器の第3の実施形態の分解斜視図である。図4において、熱交換器300は、熱交換セグメント310を複数接続・積層されて構成される。熱交換セグメント310は、この基本的構成は、図1に示すものと同一であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、基本的冷媒の流れについても、図2に示すものと同一であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。図4において、熱交換セグメント310の冷媒管路104内に、波形断面を有したインナーフィン(熱交換面積拡大手段)311が、その稜線および谷線が熱交換セグメント310の長手方向と略平行となるように配置されている。
【0038】
上記の構成からなる熱交換器300においては、図2、図4に示すように、液冷媒は、入口主配管140から流入し、入口主配管140と入口副配管160とに分流する。入口副配管160には、第一ブロック120の圧力損失特性と、第二ブロック130の圧力損失特性とを等しくさせる、入口絞り部161が介装されているため、入口主配管140と入口副配管160とに流入する流量は等しくなる。分流した後の入口主配管140の液冷媒は、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する。右側タンク部101に流入した液冷媒は、冷媒管路104を通り、インナーフィン311を介して空気と熱交換を行い、蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、左側タンク部102に流入し、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、出口主配管150を通り、排出される。
【0039】
入口副配管160に流入した液冷媒も同様にして、第二ブロック130の左側タンク部102に流入し、冷媒管路104を通り、インナーフィン211を介して空気と熱交換を行い、蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、右側タンク部101から出口副配管170を通り、出口主配管150へと排出される。さらに、冷媒と熱交換する空気が、分割体111と分割体112との外側を、熱交換セグメント310の長手方向に対して略直交方向に通過するようにされている。
【0040】
上記の構成からなる熱交換器300においては、液冷媒が、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する量と第二ブロック130の左側タンク部102に流入する量とは、入口絞り部161により、均等となる。第一ブロック120の冷媒管路104内と第二ブロック130の冷媒管路104内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右で等しいため、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器300の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器300を通過する空気の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調に使いやすくなる。
【0041】
さらに、冷媒管路104の内部に設けられたインナーフィン311により、空気と冷媒との熱交換面の面積が拡大し、同じ時間内での熱交換量が増加し、または、より短時間で同じ熱量を交換できる。これにより熱交換能力の劣る領域、例えば過熱ガス域、の熱交換を補うことができるため、熱交換器を通過する空気の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調に使いやすくなる。
【0042】
さらに、熱交換セグメント310は、同一形状の2つの分割体111、分割体112から構成されているため、組み立て工程の増加が防止できる。また、部品の種類が1種類であることから、例えば、プレス形成の型が1種類で済み、設備投資費用を抑えることができるため、コスト低減効果が大きくなって、生産性の面からも快適な空調に使いやすくなる。
【0043】
図5(a)はこの発明における熱交換器の第4の実施形態の分解斜視図であり、図5(b)は要部断面図である。図5(a)、(b)において、熱交換器400は、熱交換セグメント410を複数接続・積層されて構成される。熱交換セグメント410は、この基本的構成は、図1に示すものと同一であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、基本的冷媒の流れについても、図2に示すものと同一であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。図5(a)において、熱交換セグメント410の冷媒管路104に、冷媒管路104内に向かって突起(冷媒流れかく乱手段)411が、複数個、例えば28個、分割体111、112にそれぞれ膨出して形成されている。これら28個の突起511は、いずれも同一の形状、例えば図5(b)に示すような円錐台形形状を有している。
【0044】
上記の構成からなる熱交換器400においては、図2、図5(a)に示すように、液冷媒は、入口主配管140から流入し、入口主配管140と入口副配管160とに分流する。入口副配管160には、第一ブロック120の圧力損失特性と、第二ブロック130の圧力損失特性とを等しくさせる、入口絞り部161が介装されているため、入口主配管140と入口副配管160とに流入する流量は等しくなる。分流した後の入口主配管140の液冷媒は、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する。右側タンク部101に流入した液冷媒は、冷媒管路104を通る際に、突起411によって流れを乱され、空気との熱交換を行い、空気の熱を吸収して蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、左側タンク部102に流入し、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、出口主配管150を通り、排出される。
【0045】
入口副配管160に流入した液冷媒も同様にして、第二ブロック130の左側タンク部102に流入し、冷媒管路104を通る際に、突起411によって流れを乱され、空気との熱交換を行い、空気の熱を吸収して蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、右側タンク部101から出口副配管170を通り、出口主配管150へと排出される。さらに、冷媒と熱交換する空気が、分割体111と分割体112との外側を、熱交換セグメント410の長手方向に対して略直交方向に通過するようにされている。
【0046】
上記の構成からなる熱交換器400においては、液冷媒が、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する量と第二ブロック130の左側タンク部102に流入する量とは、入口絞り部161により、均等となる。第一ブロック120の冷媒管路104内と第二ブロック130の冷媒管路104内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右で等しいため、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器400の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器400を通過する外部流体の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調に使いやすくなる。
【0047】
さらに、突起411により、冷媒管路104内の冷媒流れが乱され、冷媒流れ内部の熱伝達が促進され、同じ時間内での熱交換量が増加し、または、より短時間で同じ熱量を交換できる。これにより熱交換能力の劣る領域、例えば過熱ガス域、の熱交換を補うことができるため、熱交換器を通過する空気の温度ムラが小さくなり、快適な空調にさらに使いやすくなる。
【0048】
さらに、熱交換セグメント410は、同一形状の2つの分割体111、分割体112から構成されているため、組み立て工程の増加が防止できる。また、部品の種類が1種類であることから、例えば、プレス形成の型が1種類で済み、設備投資費用を抑えることができるため、コスト低減効果が大きくなって、生産性の面からも快適な空調に使いやすくなる。
【0049】
図6はこの発明における熱交換器の第5の実施形態の要部展開図である。図6において、熱交換器500は、熱交換セグメント510を複数接続・積層されて構成される。熱交換セグメント510は、この基本的構成は、図1に示すものと同一であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。また、基本的冷媒の流れについても、図2に示すものと同一であり、同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。図6において、熱交換セグメント510は、プレス形成された折り曲げ分割体(第一の分割体、第二の分割体)511を折り曲げ中心512から折り曲げ、重ね合わせて構成されている。
【0050】
上記の構成からなる熱交換器500においては、図2、図6に示すように、液冷媒は、入口主配管140から流入し、入口主配管140と入口副配管160とに分流する。入口副配管160には、第一ブロック120の圧力損失特性と、第二ブロック130の圧力損失特性とを等しくさせる、入口絞り部161が介装されているため、入口主配管140と入口副配管160とに流入する流量は等しくなる。分流した後の入口主配管140の液冷媒は、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する。右側タンク部101に流入した液冷媒は、冷媒管路104を通り、空気と熱交換をして蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、左側タンク部102に流入し、第二ブロック130の通過タンク部103を通り、出口主配管150を通り、排出される。
【0051】
入口副配管160に流入した液冷媒も同様にして、第二ブロック130の左側タンク部102に流入し、冷媒管路104を通り、空気と熱交換をして蒸発・気化する。気化冷媒のみになった過熱気化冷媒は、右側タンク部101から出口副配管170を通り、出口主配管150へと排出される。さらに、冷媒と熱交換する空気が、折り曲げ分割体511外側を、熱交換セグメント510の長手方向に対して略直交方向に通過するようにされている。
【0052】
上記の構成からなる熱交換器500においては、液冷媒が、第一ブロック120の右側タンク部101に流入する量と第二ブロック130の左側タンク部102に流入する量とは、入口絞り部161により、均等となる。第一ブロック120の冷媒管路104内と第二ブロック130の冷媒管路104内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右で等しいため、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器500の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器500を通過する空気の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調に使いやすくなる。
【0053】
さらに、折り曲げ分割体511を折り曲げ中心512から折り曲げ、重ね合わせて構成されているため、組み立て工程の増加が防止でき、部品の種類が1種類であることから、例えば、プレス形成の型が1種類で済み、設備投資費用を抑えることができるため、コスト低減効果が大きくなり、生産性の面からも快適な空調に使いやすくなる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、液冷媒が、第一の入口タンク部と第二の入口タンク部とへほぼ均等な流量で流入し、第一の冷媒配管内と第二の冷媒配管内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右でほぼ等しいから、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右でほぼ等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器の左右ほぼ均等に分布することになる。そのため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調に使いやすくなるという効果を奏する。
【0055】
請求項2に係る発明によれば、均等流入手段により、液冷媒が、第一の入口タンク部と第二の入口タンク部とへ均等に流入し、第一の冷媒配管内と第二の冷媒配管内とを対向して流れる。液冷媒の流入量が左右で等しいから、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラがより小さくなり、快適な空調にさらに使いやすくなるという効果を奏する。
【0056】
請求項3に係る発明によれば、均等流出手段により、液冷媒が、第一の出口タンク部と第二の出口タンク部とから均等に流出する。流出量が均等になるので、第一の入口タンク部と第二の入口タンク部とへの流入量も、第一の冷媒配管内と第二の冷媒配管内とを対向して流れる流量も均等となる。液冷媒の流入量が左右で等しいから、液冷媒が蒸発し、完全に気化冷媒になる時点も左右で等しくなり、過熱ガス域が、熱交換器の左右均等に分布することになる。そのため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラがより小さくなり、快適な空調にさらに使いやすくなるという効果を奏する。
【0057】
請求項4に係る発明によれば、第一の冷媒配管と第二の冷媒配管との内部に設けられた熱交換面積拡大手段により、外部流体と冷媒との熱交換面の面積が拡大し、同じ時間内での熱交換量が増加し、または、より短時間で同じ熱量を交換できる。これにより熱交換能力の劣る領域、例えば過熱ガス域、の熱交換を補うことができるため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調にさらに使いやすくなるという効果を奏する。
【0058】
請求項5に係る発明によれば、冷媒流れかく乱手段により、第一の冷媒配管内と第二の冷媒配管内との冷媒流れが乱され、冷媒流れ内部の熱伝達が促進され、同じ時間内での熱交換量が増加し、または、より短時間で同じ熱量を交換できる。これにより熱交換能力の劣る領域、例えば過熱ガス域、の熱交換を補うことができるため、熱交換器を通過する外部流体の左右の温度ムラが小さくなり、快適な空調にさらに使いやすくなるという効果を奏する。
【0059】
請求項6に係る発明によれば、第一の入口タンク部、第一の出口タンク部および第一の冷媒配管を、同一形状の2つの第一の分割体として構成し、第二の入口タンク部、第二の出口タンク部および第二の冷媒配管を、同一形状の2つの第二の分割体として構成するため、組み立て工程の増加が防止でき、コスト低減効果があり、製作性からも、快適な空調に使いやすくなるという効果を奏する。
【0060】
請求項7に係る発明によれば、第一の入口タンク部、第一の出口タンク部および第一の冷媒配管を、第一の分割体の一部をつなぎ合わせて一体に形成し、つなぎ合わせた部分を折り曲げて重ね合わせて構成し、第二の入口タンク部、第二の出口タンク部および第二の冷媒配管を、第二の分割体の一部をつなぎ合わせて一体に形成し、つなぎ合わせた部分を折り曲げて重ね合わせて構成するため、組み立て工程の増加が防止でき、コスト低減効果があり、製作性からも、快適な空調に使いやすくなるという効果を奏する。
【0061】
請求項8に係る発明によれば、第一の分割体と第二の分割体とは同一形状であるため、加工工程の増加が防止でき、部品の種類が1種類になることから、例えば、プレス形成の型費用などの、生産時の設備投資費用を抑えることができるため、コスト低減効果が大きくなり、製作性からも、快適な空調に使いやすくなるという効果を奏する。
【0062】
請求項9に係る発明によれば、熱交換器の過熱ガス域分布の左右の偏りを小さくし、空気が熱交換器を通過した後の、左右の温度分布のムラが小さくなため、快適な空調を実現する空気調和装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による熱交換器の一実施形態を示す図であって、この熱交換器の分解斜視図である。
【図2】 本発明による熱交換器の一実施形態を示す図であって、冷媒の流れを示す図である。
【図3】 本発明による熱交換器の別の実施形態を示す図であって、冷媒の流れを示す図である。
【図4】 本発明による熱交換器のさらに別の実施形態を示す図であって、この熱交換器の分解斜視図である。
【図5】 本発明による熱交換器のさらに別の実施形態を示す図であって、この熱交換器の分解斜視図である。
【図6】 本発明による熱交換器のさらに別の実施形態を示す図であって、この熱交換器の要部展開図である。
【図7】 従来の熱交換器の例を示す図であって、この熱交換器の分解斜視図である。
【図8】 従来の熱交換器の例を示す図であって、冷媒の流れを示す図である。
【符号の説明】
100、200、300、400、500 熱交換器
101 右側タンク部(第一の入口タンク部、第二の出口タンク部)
102 左側タンク部(第一の出口タンク部、第二の入口タンク部)
104 冷媒配管(第一の冷媒配管、第二の冷媒配管)
111、112 分割体(第一の分割体、第二の分割体)
140 入口主配管
150 出口主配管
160 入口副配管
161 入口絞り部(均等流入手段)
170 出口副配管
201 出口絞り部(均等流出手段)
311 インナーフィン(熱交換面積拡大手段)
411 突起(冷媒流れかく乱手段)
Claims (9)
- 第一ブロックと第二ブロックとに分けられて、前記第一ブロックの複数積層された熱交換セグメントと、前記第二ブロックの複数積層された熱交換セグメントで構成される熱交換器であって、
前記第一ブロックは、第一の入口タンク部と、該第一の入口タンク部に隣接する第一の出口タンク部と、前記第一の入口タンク部から下方に延出し途中で上方に折り返して前記第一の出口タンク部に接続される第一の冷媒配管とを有し、
前記第二ブロックは、第二の入口タンク部と、該第二の入口タンク部に隣接する第二の出口タンク部と、前記第二の入口タンク部から上方に延出し途中で下方に折り返して前記第二の出口タンク部に接続される第二の冷媒配管とを備え、
前記第一の入口タンク部および第一の出口タンク部が、前記第二の入口タンク部および第二の出口タンク部よりも縦方向の上位に配置されるとともに、
前記第一の冷媒配管と前記第二の冷媒配管とが横方向に並んで配置されてなり、
前記第一の入口タンク部に入口主配管が連結され、前記第二の入口タンク部と前記入口主配管とを連結する入口副配管が設けられ、
前記第一の出口タンク部に出口主配管が連結され、前記第二の出口タンク部と前記出口主配管とを連結する出口副配管が設けられ、
冷媒は、前記入口主配管から流入し、前記入口主配管と前記入口副配管とに分流されて、前記入口主配管から流入される前記冷媒は、前記第一の入口タンク部に流入されるとともに、前記入口副配管から流入される前記冷媒は、前記第二の入口タンク部に流入されることを特徴とする熱交換器。 - 請求項1記載の熱交換器において、
前記入口副配管に、前記第一の入口タンク部と前記第二の入口タンク部とへの冷媒流入量を均等にさせる均等流入手段が設けられていることを特徴とする熱交換器。 - 請求項1記載の熱交換器において、
前記出口副配管に、前記第一の出口タンク部と前記第二の出口タンク部とからの冷媒流出量を均等にさせる均等流出手段が設けられていることを特徴とする熱交換器。 - 請求項1記載の熱交換器において、
前記第一の冷媒配管と前記第二の冷媒配管との内部に、熱交換をする外部流体との熱交換面積を拡大させる熱交換面積拡大手段が設けられていることを特徴とする熱交換器。 - 請求項1記載の熱交換器において、
前記第一の冷媒配管と前記第二の冷媒配管との内部に、冷媒の流れをかく乱させる冷媒流れかく乱手段が設けられていることを特徴とする熱交換器。 - 請求項1から5のいずれかに記載の熱交換器において、
前記第一の入口タンク部、前記第一の出口タンク部および前記第一の冷媒配管とを、前記第一の冷媒配管の長手方向に二分される同一形状の2つの第一の分割体として構成し、
前記第二の入口タンク部、前記第二の出口タンク部および前記第二の冷媒配管とを、前記第二の冷媒配管の長手方向に二分される同一形状の2つの第二の分割体として構成することを特徴とする熱交換器。 - 請求項6記載の熱交換器において、
前記第一の分割体を展開し一部をつなぎ合わせて一体に形成し、つなぎ合わせた部分を折り曲げて、前記第一の分割体を重ね合わせ、
前記第二の分割体を展開し一部をつなぎ合わせて一体に形成し、つなぎ合わせた部分を折り曲げて、前記第二の分割体を重ね合わせることを特徴とする熱交換器。 - 請求項6または7に記載の熱交換器において、
前記第一の分割体と前記第二の分割体とは同一形状であることを特徴とする熱交換器。 - 請求項1から8のいずれかに記載の熱交換器を備えることを特徴とする空気調和装置。
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