JP4195243B2 - 高純度シリカ粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高純度シリカ粉末の製造方法に関する。さらに詳しくは、IC封止材用樹脂組成物の充填材、基板、電子材料や半導体製造装置、封止材の原料用途等に適する金属等の異物含有量が極めて低位にある高純度シリカ粉末の製造方法に関する
【0002】
【従来の技術】
近年、電子産業の急速な発展につれて、電子材料用や半導体製造用などに高純度のシリカ、アルミナ等の非磁性金属酸化物が使用されるようになった。デバイス製品の高度化につれて半導体用の封止材で使用される非磁性金属酸化物に対する要望は単に不純物濃度を低減させるのみではなく、非磁性金属酸化物粉末に含まれる、その成分以外の異物の個数を低減させることが必要とされるようになった。半導体用途で最も使用されている非磁性金属酸化物は封止材用フィラー、石英ガラス冶具等で使用されるシリカである。即ち、特にシリカ粉末に関し、シリカ以外の異物の個数を低減させることが重要である。
【0003】
高純度シリカ粉末は特開平1−230422号公報等で提案されており、不純物金属の含有量等で規定されている。また、特開2002−37620号公報では粒径分布が0.3〜10μmの真球状シリカ粒子集合体が提案されている。さらに、本発明者らは、WO02/26626号公報において、平均粒径が0.1〜20μmの非孔性球状シリカを提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの高純度シリカ粉末は不純物濃度が低いにもかかわらず、多くの異物を含んでおり、封止材用フィラーとして用いた場合、ワイヤー間に詰まり電気的なショートを発生させる問題があった。また粒度分布が狭いシリカ粒子集合体であっても、粒径分布がコールターカウンター、レーザー回折散乱方式粒度測定器により測定されているため、個数単位では粒径20μm以上の異物粒子が1kg当たり千個以上含まれていた。
【0005】
半導体デバイスのワイヤーは年々狭ピッチ化が進み、現状では20〜25μm程度まで狭まっている。そのため、半導体デバイスの封止工程の歩留まりを上げるためにも、特に粒径20μm以上の導電性粒子を除去する事が望まれている。すなわち、本発明の課題は、封止材用フィラーとして用いた場合、ワイヤー間に詰まり電気的なショートを発生させる問題がない高純度非磁性金属酸化物粉末を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
問題とされている導電性粒子の多くは環境、装置等からの混入が原因とされており、ステンレス磨耗粉、鉄等の磁性を有する粒子である。そこで、本発明ではその磁性を利用し、殆どの導電性粒子を除去した高純度シリカ粉末の製造を可能とした。
【0010】
本発明の第1の発明は、「比表面積が、下記式(3)で規定される理論比表面積SAの10倍以上のシリカ粉末をスクリーンで解砕し、分散した状態で磁力1000ガウス以上の磁石に接触させることを特徴とする高純度シリカ粉末の製造方法。」を要旨とする。
SA(m 2 /g)=6/(d×D) (3)
ここで、dは平均粒径(μm)を、またDは真比重(g/cm 3 )を表す。
【0011】
本発明の第2の発明は、「磁石に接触させる際のシリカの含水率が0.1質量%以上である上記第1の発明の高純度シリカ粉末の製造方法。」を要旨とする。
【0012】
本発明の第3の発明は、「磁石に接触させ、磁性粒子を除去した高純度シリカ粉末を600℃以上の温度で焼成する上記第1〜2の発明のいずれかの高純度シリカ粉末の製造方法。」を要旨とする。
【0019】
本発明に係わる高純度非磁性金属酸化物粉末は異物粒子が少ないことが特徴である。異物粒子とは目的とした非磁性金属酸化物以外の成分を意味する。即ち非磁性金属酸化物がシリカであった場合、異物粒子はシリカ以外のものを意味する。
【0020】
一般に高純度非磁性金属酸化物粉末を製造する際、装置由来の不純物混入はFe、ステンレス系が多い。ステンレスは磁性がないと一般に考えられているが、磨耗等により生成する磨耗微粉は弱磁性体であり、磁石に付着する。これらの磁性粒子を除去することにより、実質的に導電性の粒子等の異物粒子は殆ど除去することができる。本発明における高純度非磁性金属酸化物はシリカ、アルミナ等の磁性を有しない金属酸化物を意味し、特に封止材用フィラーとしてしばしば用いられるシリカに関し、Fe、ステンレス系の異物を除去することは極めて重要である。
【0021】
本発明において非磁性金属酸化物は20℃における磁化率が−1〜1×10-6cm3/gの範囲にあるものを意味する。具体的にはシリカ、アルミナ、チタニア等が含まれる。
【0022】
先行技術では特開2002−37620号公報で粒径分布が0.3〜10μmと規定されており、20μm以上の異物は含まれていないかのように思われる。
【0023】
しかし、先行技術の分布幅はコールターカウンターと電子顕微鏡(SEM)により測定された値である。通常、コールターカウンターでは大きな粒子が1kgあたり0.1g以下では検出されない。異物としては検出されないが、実際は微量の大きな粒子が多く存在する。
【0024】
また、SEMで実際に分析できる量は0.01g以下であり、1kg中の異物の個数をすべて確認するためには10万回分析する必要がある。即ち1kg中に1000個の異物が混入していたとしても、SEMで確認すると確率的に100回の測定で1個検出されるかどうかという事になる。すなわち、SEMでは異物個数を測定する事は不可能であり、異物を個数レベルで考えた場合、混入量は測定できない。
【0025】
通常の実験操作で20μm以上の異物は100個以上容易に混入する。通常1000個以上含まれていても不純物濃度ではppmオーダーでほとんど検出されないレベルである。即ち、先行技術では1kg中のサンプルの中には個数単位で見た場合、1kg中のサンプルの中に数百〜数千個程度の異物粒子が常に含まれていたと思われる。
【0026】
このような粒径の大きな異物を含むシリカ粉末を半導体封止用フィラーとして使用した場合、Fe、ステンレス系の導電性粒子はワイヤー間をショートさせる原因となる。ワイヤー間隔が25μmより狭くなることも予測されるため、20μm以上の導電性粒子はできる限り除去することが望ましい。
【0027】
一般に市販されている高純度非磁性金属酸化物粉末は、純度が99.99%以上のものであっても、異物粒子を1000個/kg以上含んでいる。電気的なショートを軽減させるためには異物粒子を100個/kg以下にする必要がある。特にワイヤー配線が多いデバイスでは50個/kg以下にすることが望ましく、さらにハイエンドの特に高密度に配線されたデバイスでは20個/kg以下にすることが望ましい。
【0028】
最大粒径が20μm以下である試料に関し、異物粒子の測定方法は目開き20μmのステンレス製篩を用いて行った。すなわち、非磁性金属酸化物粉末1kgを超純水でスラリーとし、篩を用いて異物粒子を回収した。
【0029】
最大粒径が20μm以上の試料に関しては、8000ガウス以上の磁石を用いて定量化した。すなわち、非磁性金属酸化物粉末1kgを超純水に分散させ、磁石を該スラリーに浸漬し、10分間攪拌した後、磁石に付着した粒子を透明な粘着テープで回収した。なお、磁石に付着した非磁性金属酸化物粒子は超純水またはアセトン等の溶剤で洗い落とし、弱磁性体を含む磁性粒子のみを回収した。実体顕微鏡を用い、粘着テープで回収した粒子の写真を撮り、異物粒子の個数をカウントした。
【0030】
封止用フィラーは樹脂配合時の流動特性が必要であるため球状であることが好ましい。また、封止樹脂厚は薄型化の傾向があり、それに対応すべく封止用フィラーの平均粒径は0.1〜20μmが好ましく、さらに薄型化が進むと思われるので、特に0.1〜5μmが望ましい。最大粒径はワイヤー間でフィラーが詰まってしまわないようにできるだけ小さくすることが望ましく、平均粒径の4倍以下であることが好ましい。例えば、平均粒径が0.1〜5μmの場合、最大粒径は20μm以下である。
【0031】
粉体の粒度分布を極端に狭くすることは樹脂配合時の流動性の面で望ましくない。すなわち、微粒側にある程度分布を有することが望ましく、最大粒径は平均粒径の1.5〜4倍、かつ、粒子の変動係数(Cv)が25〜100%の範囲が好ましい。
【0032】
粒子の変動係数(Cv)とは粒径のバラツキを表す指標であり、標準偏差σと平均粒径d(μm)との比であり、下記式1で表される。
【0033】
【数1】
Cv=100×σ/d (1)
【0034】
今後、ワイヤーのピッチがより狭くなることが予測され、最大粒径は平均粒径の1.5〜3倍が特に望ましい。本発明の平均粒径はメディアン径を意味し、本発明では、粒径はベックマンコールター社のレーザー回折散乱方式粒度測定器LS130により測定した。
【0035】
金属酸化物粉末が球状である場合は真球度が0.9以上である粒子含有率が90%以上であることが望ましい。真球度が低い場合、粉体の凝集性が強く、分散しにくいため、磁性の異物粒子を除去し難い。真球度は一つの粒子における最大直径(d1)に対する最小直径(d2)の比であり、下記式2により求められる。
【0036】
【数2】
真球度=d2/d1 (2)
【0037】
真球度の値は、粉末の電子顕微鏡写真において、ランダムに20個の粒子を選んで、それぞれの最大直径と最小直径を測定し、その平均値から算出する。
【0038】
本発明の高純度非磁性金属酸化物粉末はゾルゲル法等により製造される比表面積が理論比表面積の10倍以上を有する粉末を磁力1000ガウス以上の磁石に単分散させた状態で接触させることにより、製造することができる。非磁性金属酸化物粉末の比表面積が理論比表面積の10倍未満の場合、粒子間で凝集するため、個々の粒子が磁石へ十分に接触しない。また、比表面積が理論比表面積の10倍未満の非磁性金属酸化物粉末は磁石へ付着し易いため、直ぐに磁石表面が非磁性金属酸化物粉末で覆われ、磁石での磁性粒子除去効果が十分には得られない。非磁性金属酸化物の比表面積は大きい程、水分を吸着しやすく、静電気を帯び難くなる。非磁性金属酸化物の比表面積は特に理論比表面積の200倍以上有する事が望ましい。また、水分の吸着サイトを十分に残している事が望ましく、OH基を100ppm以上有する事が好ましい。
【0039】
なお、ここで非磁性金属酸化物粉末の比表面積は日機装製ベータソーブ4200で測定したものである。また、理論比表面積SAとは粉末の平均粒径から求めた値で、粒径d(μm)および真比重D(g/cm3)より下記式3より求められる。
【0040】
【数3】
SA(m2/g)=6/(d×D) (3)
【0041】
磁石に接触させる際の非磁性金属酸化物は静電気で凝集しないように、ある程度の水分を保持していることが好ましい。好ましい水分量は粉末の0.1質量%以上であり、望ましくは0.3〜20質量%である。20質量%以上水分を含むと逆に凝集性が強くなり、分散状態で磁石へ接触させることが困難となる場合がある。最も良好な分散状態で磁石へ接触させるためには水分を0.3〜5質量%とするのが望ましい。
【0042】
粉末の水分含有量は加熱減量により測定する。すなわち、非磁性金属酸化物粉末100gを150℃で20時間乾燥させた後、デシケーター内で30分間冷却し、重量を測定し、重量変化から水分含有量を算出する。
【0043】
異物粒子の除去をより効率的に行うためには、非磁性金属酸化物粉末を磁石へ接触させる際、個々の粒子にできるだけ分散させることが望ましい。非磁性金属酸化物粉末を解砕し、分散させた状態で磁石に接触させることが有効である。
【0044】
解砕方法は気流分散、ジェットミル、振動篩等を使用できるが、装置からのFe、ステンレス系の不純物混入が少ない方法を用いることが望ましい。装置からの不純物混入については、スクリーンを用いて解砕する方法が最も少なく、効果的である。スクリーンによる解砕はスクリーン目開きより大きな粒子を除去できるため、スクリーン目開きより大きな異物粒子を除去する効果も併せ持っている。
【0045】
解砕には粉体の最大粒径の10倍以下の目開きを有するスクリーンが好適に使用でき、好ましくは1〜5倍、さらに好ましくは1〜3倍の目開きを有するスクリーンを使用することである。
【0046】
スクリーンを使用した解砕の仕方は特に限定しないが、振動篩や超音波篩を用いる方法や水平円筒状のスクリーンの内部に原料をフィードし、スクリーン内部に取り付けられたブレードを高速回転させることにより、連続的に解砕させる方法(例えば、ターボ工業製のターボスクリーナー)などが挙げられる。特に工業的には連続処理が可能な水平円筒状のスクリーンを使用した解砕機が最も好ましい。
【0047】
スクリーンの材質はフィラーに対し金属汚染しないものが好ましい。これを満足するためには樹脂製の篩が好ましい。樹脂の種類は特に限定しないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、カーボン、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、フッ素系樹脂等が使用できる。解砕時の静電気を抑制するために、帯電性を抑制した樹脂が有効である。また、高湿下で作業することも可能である。
【0048】
また、解砕前原料非磁性金属酸化物粉末の最大粒径以下の篩目を用いることにより、解砕と分級を同時に行うこともできる。原料非磁性金属酸化物粉末の粒径分布から篩上が10質量%に相当する粒径と同じ目開き、もしくはそれ以上の目開き有する篩が工業的に有用である。
【0049】
磁石は解砕機の排出口に設置することで、分散した非磁性金属酸化物粉末が磁石に接触する。磁石の形状は特に限定しないが格子状の磁石を用いることが好ましい。
【0050】
非磁性金属酸化物粉末が格子状磁石の間で閉塞し難くするために、磁石の間隔は5mm以上が好ましい。特に処理速度を考慮すると磁石の間隔は10〜50mmが好ましい。特に10〜30mmの際に除去効率が良く、且つ、工業的に望ましい処理速度となる。磁石は多段とすることで、より異物粒子が少ない高純度非磁性金属酸化物粉末とすることができる。
【0051】
また、水平円筒状スクリーンを使用した解砕方法ではスクリーン上に残った粉末は異物粒子が濃縮されている。スクリーン上の粉末を磁石で処理することにより、スクリーン上の非磁性金属酸化物粉末に含まれる異物粒子も低減できる。スクリーン上に残った非磁性金属酸化物粉末の一部はスクリーン目開きより小さな粒子であるため、再度スクリーンで処理することにより、同様に異物粒子含有量が少ない高純度非磁性金属酸化物粉末を得ることができる。
【0052】
磁石の磁力は少なくとも1000ガウス以上必要であるが、望ましくは5000ガウス以上が良い。特に磁性の弱い磨耗によるステンレス微粒子等を十分に除去するためには8000ガウス以上であることが好ましい。
【0053】
金属酸化物粉末が不定形粒子の場合、該粉末が磁石を削り磁石材質から汚染する可能性がある。そのため、磁石の表面に樹脂をコーティングすることが望ましい。樹脂は特に限定しないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、カーボン、アクリル、ポリエステル、ポリイミド、フッ素系樹脂等が使用できる。磁石表面の静電気を抑制するために、帯電性を抑制した樹脂が有効である。
【0054】
磁石により、異物粒子を除去する工程はクリーンな場所が好ましく、少なくとも5千個/30cm3以下のクリーン度が必要である。望ましくは1千個/30cm3以下が良い。これらのクリーン度は作業をしていない状態でのクリーン度である。目的とする高純度非磁性金属酸化物粉末を処理している際は該粉末が飛散しているため、見かけ上のクリーン度は悪くなる。クリーン度はパーティクルカウンターによって測定された値である。パーティクルカウンターで測定される粒子の大きさは0.1μm以上であるが、実質的に5千個/30cm3以下であれば、浮遊している20μm以上の異物粒子は殆ど検出されないレベルになる。
【0055】
図1に異物除去の工程の例を示した。
【0056】
非磁性金属酸化物粉末11を円筒状のスクリーン2の入口21よりフィードする。スクリーン2を通過した粉末12はその下部に設置された磁石3の間隙32を通過し、スクリーン2を通過した比較的小さな異物は磁石3に吸着されて除去され、高純度の粉末13が得られる。
【0057】
なお、図2に磁石3の形状を上から見た例を示した。棒状の磁石31が数本横に配列された形状でその間隙32を該粉末が通過する。その際に、異物粒子が磁石31に吸着され、除去される。
【0058】
この工程ではスクリーン2でスクリーンの目開きより大きな異物粒子が除去され、スクリーン2を通過しなかった篩上粉末14は出口22から排出されるが、場合によっては再度スクリーン2による処理を行っても良い。但し、その際は異物粒子が篩上に濃縮さているため、篩上の出口22に続けて上記と同様に磁石設置し、磁石に接触させたものを、必要により再び解砕した後、再度スクリーン2に投入する事が望ましい。
【0059】
磁石により異物粒子が除去された高純度非磁性金属酸化物粉末13はクリーン度の高い環境下で焼成することにより、非孔性の高純度非磁性金属酸化物粉末を得る事ができる。
【0060】
なお、焼成温度は600℃以上、融点以下の温度範囲で適宜選定すれば良い。高純度非磁性金属酸化物粉末が非晶質シリカの場合、非孔性にするための焼成温度は1000〜1500℃が好ましい。また、樹脂配合時の流動特性を重視する場合、1150〜1250℃が最も好ましい。
【0061】
焼成は異物混入が防止できる方法であれば、いかなる方法も用いる事ができる。異物粒子の混入を最も抑制できる方法として、静置焼成が好ましい。
【0062】
焼成時に共材の容器を使用することにより、異物粒子の混入は殆ど認められなくなる。例えば、異物粒子が混入した場合でも焼成後、容器内の金属酸化物粉末の表面を除去する事で異物粒子の混入が殆ど認められないレベルになる。なお、焼成後の粉末の表面を1〜2cm除去する事で混入した異物粒子はほぼ完全に除去できる。
【0063】
異物粒子の含有量が極めて少ない高純度非磁性金属酸化物粉末の中で球状シリカ粉末の場合、封止材用フィラーとして使用されることが多い。当該用途では、狭い隙間に流し込むアンダーフィル、ワイヤー間が狭ピッチのデバイスで使用されるオーバーコート材等で使用されることが多い。該金属酸化物粉末の最大粒径を出来るだけ小さくすると同時に樹脂配合時の粘度が低く、隙間浸透性に優れるものが望ましい。
【0064】
一般に樹脂配合時のチクソ比が低いほど侵入性が良いと考えられる。本発明においてチクソ比とは、金属酸化物粉末とビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を質量比で70:30質量比混合した際の粘度測定において、E型粘度計の回転数0.5rpmの粘度値をη1、2.5rpmをη2とした場合、η1/η2を意味する。粘度測定に使用されるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂とブチルグリシジルエーテルの混合物(質量比89:11の混合物)であり、エポキシ当量が181〜191、25℃の粘度が9〜12ポイズのものを使用する。工業的にはジャパンエポキシレジン社製のエピコート815が該当する。粘度測定は50℃での測定が好ましい。粘度計はE型粘度計(東機産業製RE80R型)を使用する。アンダーフィル用として使用する際、低いチクソ比を示す方が好ましく、η1/η2は1.0未満を示すことが好ましい。
【0065】
半導体に使用される材料は一般に高純度が要求される。特にNa、K、Liなどのアルカリ金属、Ca、Mgなどのアルカリ土類金属およびClなどのイオン性不純物は、アルミニウム配線を腐食する原因となるので、本発明の高純度非磁性金属酸化物粉末は、これらの不純物を実質的に含有しないことが好ましい。
【0066】
また、ソフトエラー発生を抑制するため、放射性元素が厳しく制限されている。封止材用フィラーでは放射性元素が2ppbを越えると、ソフトエラー発生の原因となり好ましくない。
【0067】
すなわち、半導体に使用される場合には、本発明の高純度非磁性金属酸化物粉末は、実質的にアルカリ金属、アルカリ土類金属を1ppm以下、放射性不純物の含有量を2ppb以下に抑制することが好ましい。ここでの放射性元素とはUおよびThを示す。すなわち、UおよびThの含有量の合計が2ppb以下であることが好ましい。さらにはUおよびThの含有量の合計が1ppb以下であることが好ましい。これらの不純物の含有率は、適宜の分析手段により直接測定することができるが、金属酸化物粉末を溶解させ、溶解した水溶液をICP−MSで分析することができる。例えば、シリカの場合では、弗化水素水溶液で加熱溶解し、シリカ分をSiF4として気化させ、残分をICP−MSで分析することにより不純物濃度を特定できる。
【0068】
本発明の高純度非磁性金属酸化物粉末の製造において、磁石による処理前の金属酸化物粉末の製法はとくに限定しないが、ゾルゲル法等により製造することができる。例えば、シリカであればシリコンアルコキシド、珪酸アルカリ、シリカゾル等の原料段階で溶液状またはゾル状であればいずれの原料でも使用できる。これらの原料を用い、種粒子を成長させる粒子成長法、原料を懸濁またはエマルション化させ凝固させる方法等が挙げられる。原料段階で溶液状またはゾル状であれば問題なく、製造過程で凝固させゲルの状態を経る手法であればいかなる手法でも適用できる。ゲル粒子とは一般に比表面積が200m2/g以上有する粒子であり、本発明は特に200m2/g以上の比表面積を有する金属酸化物ゲルを磁石で処理する事により異物粒子の除去を可能とした。比表面積は焼成等により、下げる事も可能である。異物粒子を除去する際に該粉末の比表面積が理論比表面積の10倍以上あれば静電気による凝集は抑制できる。
【0069】
金属酸化物粉末がシリカの場合、工業的には珪酸アルカリをエマルション化させ、凝固させる方法がコスト的に有利であり、最も好ましい。
【0070】
珪酸アルカリをエマルション化させ、凝固させる方法は以下の手法により製造できる。
【0071】
1]非磁性金属酸化物粉末の調製
1)エマルションの調製
アルカリ珪酸塩水溶液を分散相として含むエマルションを調製する。すなわち、アルカリ珪酸塩水溶液と混和しない液体を連続相とし、この中にアルカリ珪酸塩水溶液を分散相として細粒状に分散させた、油中水滴型(W/O型)エマルションを生成させる。
【0072】
アルカリ珪酸塩水溶液と連続相形成用液体及び乳化剤を混合し、乳化機などを用いて乳化させ、アルカリ珪酸塩水溶液を分散相として含むW/O型のエマルションを調製する。乳化時の乳化機回転数を変化させることにより、粒径を制御することができる。また、アルカリ珪酸塩水溶液を水で希釈することにより、粒径をより微細にすることができる。逆に濃縮により、粘度を増加させることにより、粒径を大きくすることができる。
【0073】
使用されるアルカリ珪酸塩は、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどを包含するが、珪酸ナトリウムが一般的に用いられる。アルカリ珪酸塩水溶液のシリカ濃度(SiO2として)は1〜40質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは5〜35質量%の範囲である。市販されているJIS3号の水ガラスが扱いやすい。
【0074】
原料に使用する珪酸アルカリ水溶液はアルカリ金属、Siを除く他の金属含有量の合計が0.1質量%以下のアルカリ珪酸塩水溶液(以下、高純度水ガラスとも言う)を用いることで極めて高純度な非孔性球状シリカを製造することができる。アルカリ金属、Siを除く他の金属含有量の合計が0.1質量%以下のアルカリ珪酸塩水溶液は高純度の天然珪石または合成シリカをアルカリ水溶液で溶解させることにより、調製することができる。合成シリカは特に限定しないが、珪酸アルカリを原料とした高純度シリカが製造コストの面で好ましい。アルカリ水溶液は水酸化ナトリウム水溶液が後の不純物抽出の際に有利である。高純度の珪石または合成シリカをアルカリ水溶液に溶解させる際は加熱により溶解時間が短縮できる。また、オートクレーブ等で加圧することも有効である。なお、電子材料等の原料として使用する場合はアルカリ金属、Siを除く他の金属含有量の合計が0.01質量%以下であることが好ましい。また、放射性元素の含有量も少ないほど好ましく、U及びThの合計が10ppbであることが好ましい。
【0075】
連続相形成用液体としては、アルカリ珪酸塩水溶液および鉱酸水溶液と反応せず、かつ、混和しない液体を用いる。その種類は、特に限定しないが、解乳化処理の面からは、沸点が100℃以上であり、比重が1.0以下であるオイルを使用することが好ましい。アルカリ珪酸塩水溶液とオイルの質量比は8:2〜2:8である。好ましくは8:2〜6:4である。
【0076】
上記の連続相形成用液体としてのオイルは、たとえば、n−オクタン、ガソリン、灯油、イソパラフィン系炭化水素油などの脂肪族炭化水素類、シクロノナン、シクロデカンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素類などを用いることができる。乳化安定性の観点からイソパラフィン系飽和炭化水素類が好ましい。
【0077】
乳化剤としては、W/O型エマルションの安定化機能を有するものであれば特に限定はなく、脂肪酸の多価金属塩・水難溶性のセルローズエーテルなどの親油性の強い界面活性剤を用いることができる。後処理の点からは、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。具体例として、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノパルミテート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレートなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリドなどのグリセリン脂肪酸エステル類などを挙げることができる。
【0078】
乳化剤の添加量は、乳化対象であるアルカリ珪酸塩水溶液に対して、0.05〜5質量%の範囲が適当である。また、各工程での処理を考慮すると0.5〜1質量%が好ましい。
【0079】
2)球状シリカゲル粒子の凝固、不純物抽出、洗浄処理
上記1)で調製されたアルカリ珪酸塩水溶液を分散相として含むエマルションと鉱酸水溶液とを攪拌下で混合する。鉱酸とアルカリ珪酸塩との中和反応によって球状の多孔質シリカゲルが生成する。混合方法の順序についての限定はしないが、アルカリ珪酸塩水溶液を含むエマルションへ鉱酸水溶液を加える場合は、反応時の極端な鉱酸濃度の低下を招く恐れがあり、アルカリ珪酸塩水溶液を含むエマルションを鉱酸水溶液へ加えることが好ましい。反応時の鉱酸/アルカリ分(水ガラス中のNa2O分)のモル比は2以上で所望の球状粒子が得られる。生産性を考慮すると該モル比は5以下が好ましい。
【0080】
鉱酸としては硫酸、硝酸、塩酸等を用いることができるが、脱水作用が強く、コストの面でも安価な硫酸が最も好ましい。
【0081】
アルカリ珪酸塩水溶液は15質量%以上の鉱酸と接触することが好ましい。より好ましくは20質量%以上の硫酸と接触することがよい。アルカリ珪酸塩水溶液を含むエマルションを15質量%未満の鉱酸水溶液と接触させた場合、粗粒切れの良い粒径分布の球状粒子は得られない場合がある。鉱酸水溶液の濃度の上限としては50質量%が好ましい。真球度、単分散度を考慮すると、鉱酸濃度は15〜35質量%が好ましい。また、アルカリ珪酸塩水溶液との反応が完全に終了した後、水相の反応液のフリー鉱酸濃度は10質量%以上であることが好ましい。フリー鉱酸濃度とは実質的に金属イオン等と塩を形成していない鉱酸の濃度である。
【0082】
攪拌方法によって異なるが、アルカリ珪酸塩水溶液を含むエマルションと鉱酸水溶液との中和反応は5〜120分間でほぼ終了する。中和反応の終了は反応液の温度が下降傾向を示した時点で終了したものとする。
【0083】
中和反応終了後、反応液を分離することなくそのまま昇温する。この昇温により、エマルション状の反応液はオイル相とシリカゲル粒子分散系硫酸水溶液相に層別に分離する解乳化処理とともに不純物の抽出除去も併せて行うことができる。温度は50℃以上が必要である。好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは80〜100℃の範囲で行い、処理時間は1分〜5時間で適宜選定すればよい。通常30分〜1時間程度で処理することができる。なお、前記高純度水ガラスを原料として使用した場合は加熱による抽出を行わなくとも、高純度な球状シリカゲルを得ることができる。
【0084】
本製造方法により、シリカ粒子中の放射性元素を含む不純物の含有率は極めて低くなり、シリカ粒子を0.01質量%以上の鉱酸及び純水で順次洗浄することにより、SiO2分99.99%以上とすることができる。
【0085】
不純物の抽出においては反応前または反応後にキレート化剤を添加することも有効である。キレート化剤は特に限定しないが、酸性下で効力を発揮するものが好ましい。キレート化剤としてはホスホン酸誘導体が特に好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジフォスフィン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)7ナトリウム塩等が好適に使用できる。
【0086】
また、反応前後において硝酸を添加することにより冷却後におけるTh等の不純物の再析出を防止することができる。硝酸の添加量は全添加酸量に対して0.1〜5%で再析出抑制効果が得られる。好ましくは0.5〜3%の範囲が良い。前記高純度水ガラスを原料として使用した場合、キレート化剤の添加は不要である。
【0087】
3)球状含水シリカ粒子の乾燥
不純物を抽出除去した球状含水シリカ粒子中には、なお20質量%以上の水分が保持されている。水分が多い状態では粒子の分散が困難であるため、水分を20質量%以下になるまで乾燥させる。乾燥方法は特に限定しないが、流動乾燥機は乾燥しながら、解砕されるため、有効である。付着水を除去するための乾燥処理条件は、温度50〜500℃、実用的には100〜300℃の範囲とするのがよい。処理時間は、乾燥温度に応じて、1分間〜40時間の範囲で適宜選定すればよい。通常、10〜30時間で乾燥できる。
【0088】
乾燥後に得られた球状シリカゲルは水分が0.1質量%以下となる場合があるが、吸着能が残っているため、雰囲気中の水分を吸着させる事により、水分0.1質量%以上に容易にできる。
【0089】
2]解砕、異物粒子の除去
上記1]で得られた球状シリカゲルを本発明で規定した方法により解砕し、磁石で異物粒子を除去する事により、異物粒子を含まない高純度シリカゲル粉末が得られる。この高純度シリカゲル粉末をクリーン度の高い環境下で焼成する事により、異物粒子を含まない非孔性高純度シリカ粉末が得られる。
【0090】
焼成方法は特に限定しないが、石英等の容器中において、600〜1500℃の任意の温度で焼成できる。また、その他の方法として、流動焼成炉、ロータリーキルン、火炎焼成炉などを用いることもできる。場合によって、焼成後に極弱い凝集が見られることもあるが、再度スクリーンを用いて解砕することにより、粒子間焼結および凝集のない単分散状の高純度シリカ粉末が得られる。
【0091】
焼成温度は高いほうがより緻密な粒子が得られ、樹脂配合時の流動性が良くなるため、1100℃以上が好ましい。さらに表面のシラノールを極限まで低減させるためには1150℃以上の焼成が好ましい。
【0092】
焼成時間は焼成温度に応じて、1分間〜20時間の範囲で適宜選定すればよい。通常、2〜10時間で所定の比表面積まで下げることができる。焼成処理を行う際の雰囲気としては、酸素や炭酸ガスなどでも良いし、必要によっては窒素やアルゴンなどの不活性ガスを用いることもできる。実用的には空気とするのがよい。
【0093】
焼成処理を行う際に用いる装置としては、シリカ粉末を静置した状態で処理する焼成炉を用いることができる。なお、シリカ粒子を流動状態に保ちながら焼成処理する装置、たとえば、流動焼成炉・ロータリーキルン・火炎焼成炉などを用いることもできる。
【0094】
加熱源としては、電熱または燃焼ガスなどを用いることができる。
【0095】
異物粒子の混入を極力抑制するためには静置した状態で焼成する事が最も望ましい。また、焼成時の容器は共材である事が望ましく、シリカ粉末の焼成では石英坩堝を使用する事が最も望ましい
【0096】
本手法で製造した高純度シリカ粉末は磁性粒子を殆ど含まず、また、粒度分布において粗粒切れが良く、かつ、樹脂に混合した際、極めて粘度が低いため、高度なデバイスの封止に使用する液状封止材用充填材として好適に用いることができる。
【0097】
また、シリカ以外の非磁性金属酸化物粉末においても、同様の手法により、極めて異物粒子の含有量を少なくする事を可能とした。
【0098】
本発明の高純度非磁性金属酸化物粉末は特に配線ピッチ間隔が50μm以下の狭ピッチの半導体デバイス封止用樹脂組成物に好適に用いる事ができる。また、今後さらに配線ピッチ間隔が25μm程度まで狭まった場合でも、好適に使用することができる。また、基板とチップの隙間が50μm以下の狭ギャップ用アンダーフィル材にも好適に用いる事ができる。
【0099】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0100】
実施例1
1]非磁性金属酸化物の調製
1)エマルションの調製
水ガラスとしてJIS3号水ガラスを濃縮し、25℃で粘度をB型粘度計(株式会社 東京計器製)で測定しながら0.3Pa・sに調整した。そのときのSiO2濃度は30質量%であった。その他、連続相形成用液体としてイソパラフィン系炭化水素油(「アイソゾール400」、日本石油化学工業製)、乳化剤としてソルビタンモノオレート(「レオドールSP−O10」、花王製)を使用した。水ガラス、アイソゾール400、レオドールSP−O10をそれぞれ20kg、7.5kg、0.18kg秤量した。各原料を混合し、攪拌機で粗攪拌した後、乳化機を用いて乳化させ、乳化液415gを採取した。
【0101】
2)凝固・不純物抽出・洗浄処理
28%硫酸水溶液575gを調製し、室温で攪拌しながら、これに前述の乳化液を添加した。添加終了後、室温下でさらに40分間攪拌を続けた。次いで攪拌下で62%工業用硝酸40gを添加し、さらに20分間攪拌した後、攪拌下で100℃に加熱し、30分間保持した。この処理によって、乳濁状の反応液はオイル相(上相)とシリカゲル粒子が分散した水相(下相)とに分離した。
オイル相を除き、水相中のシリカゲル粒子を常法により濾過・洗浄した。洗浄は0.01%硫酸水溶液で反応液を置換洗浄した後、純水を用い、洗液のpHが4以上になるまで繰り返した。ヌッチェを用いて、脱水し、高純度球状シリカゲルを得た。
【0102】
3)乾燥
得られた高純度球状シリカゲルを温度120℃で20時間乾燥し、100gの高純度乾燥球状シリカゲル粉末を得た。得られた高純度乾燥球状シリカゲル粉末は比表面積530m2/g、水分は0.8質量%であった。
【0103】
2]解砕・異物粒子の除去
この高純度乾燥球状シリカゲル粉末をターボスクリーナー(ターボ工業製)を用い、ポリエステル製目開き27μmスクリーンで解砕し、スクリーン上、スクリーン下の各出口に8000ガウスの格子状磁石を5段設置し、異物粒子を除去した(実施例1−1)。
【0104】
得られた高純度乾燥球状シリカゲル粉末中に含まれる20μm以上の異物粒子は5個であった。
【0105】
異物粒子を除去した乾燥シリカ粒子を石英製坩堝(20リットル)に充填し、1150℃で6時間焼成した(実施例1−2)。
【0106】
得られたシリカ粉末についての各種の測定並びに観察結果を表1、2に示す。得られたシリカ粉末の平均粒径は4.0μm、最大粒径は12μmであり、真比重は2.20であった。BET法で測定した比表面積は0.7m2/gで理論値の1.0倍であった。また、電子顕微鏡写真より真球度が0.9以上である粒子の含有率が99%以上であり、表面の平滑性も良好な球状シリカ粉末である事が確認された。
【0107】
実施例2
JIS3号水ガラスを純水で希釈し、SiO2分を27%に調整した他は、実施例1と同様にして、球状シリカを得た。得られたシリカ粒子についての各種の測定並びに観察結果を表1に示す。
【0108】
実施例3
JIS3号水ガラスを希釈しSiO2分を15%、に調整した。その他の条件は実施例1と同様にして、球状シリカ粉末を得た。得られたシリカ粒子についての各種の測定並びに観察結果を表1に示す。
【0109】
実施例4
乳化機の回転数を1800rpmとした他は、実施例1と同様にして、高純度乾燥球状シリカゲル粉末を得た(実施例4−1)。得られた高純度乾燥球状シリカゲル粉末を実施例1と同様に焼成を行った(実施例4−2)。得られたシリカ粉末についての各種の測定並びに観察結果を表1、2に示す。
【0110】
比較例1
シリカエースAFG−S(三菱レイヨン製)をボールミルで粉砕し、平均粒径6μm程度に粒度調整した。二重管バーナーを用い、溶融球状シリカを調製した。溶融化条件はLPG:3.3Nm3/hr、酸素:17.6Nm3/hr、シリカ供給量10kg/hrで行った。得られた溶融球状シリカ粉末を分級し、微粒及び粗粒をカットした。分級後のシリカ粒子についての各種の測定並びに観察結果を表1に示す。
【0111】
平均粒径、粒径分布は実施例1−2と同等であったが比表面積が2.3m2/gと、実施例1−2に比較し大きい。平均粒径、最大粒径が実施例1−2と同等であるにもかかわらず、粘度が実施例1−2よりも大きく、粒子の比表面積が大きいことが粘度を増大させている。また、異物粒子が1025個/kgと非常に多く確認された。
【0112】
比較例2
比較例1で得られた溶融球状シリカ粉末10kgを格子状磁石に5回通過させ、異物の除去を行った。得られた溶融球状シリカ粉末についての各種の測定並びに観察結果を表1、2に示す。異物粒子の除去を行ったにも拘わらず、異物粒子は912個/kgであった。
【0113】
比較例3
実施例1の非磁性金属酸化物の調製で得られた高純度乾燥球状シリカゲル粉末をボールミルで解砕し、異物粒子除去工程を省略し、実施例1と同条件で焼成した。
【0114】
実施例1〜4で得られたシリカ粉末の不純物含有率に関してはNa、K、Al、Ti、FeおよびZrの各元素の濃度はそれぞれ0.1ppm以下であり、UおよびThはいずれも0.1ppb以下であった。また、比較例1のシリカ粒子の不純物含有率はNa:0.4ppm、K:0.1ppm以下、Al:1.0ppm、Ti:0.1ppm、Fe:24ppm、Zr:0.1ppm以下であった。
【0115】
実施例1〜4、比較例1で得られたサンプルの物性を表1、2に示す。粒径はベックマンコールター社製レーザー回折散乱方式粒度測定器LS−130を用いて測定した。平均粒径はメディアン値、最大粒径は篩下が100%である粒径を表す。
【0116】
異物粒子の測定方法は20μmのステンレス製篩を用いて行った。1kgのサンプルを超純水でスラリーとし、篩を用いてシリカに含まれる異物を回収した。最大粒径が20μm以上のサンプルに関しては8000ガウス以上の磁石を用いて定量化した。非磁性金属酸化物1kgを超純水に分散させ、磁石を該スラリーへ浸漬し、10分間攪拌した後、磁石に付着した粒子を透明な粘着テープで回収した。なお、磁石に付着した非磁性金属酸化物粒子は超純水またはアセトン等の溶剤で洗い落とし、弱磁性体を含む磁性粒子のみを回収した。実体顕微鏡を用い、粘着テープで回収した粒子の写真を撮り、異物粒子の個数をカウントした。
【0117】
20μm及び50μmGap侵入性は幅5mm、隙間寸法20μm、長さ18mmの隙間を有する金型を75℃の温度に加熱した後、一方に測定試料を垂らし、毛細管現象により片端にまで浸透した時間を測定して、時間(分)で表示する。測定試料はエピコート815(ジャパンエポキシレジン社製)とシリカをシリカ配合率65質量%で均一混合したものを用いた。
【0118】
樹脂配合粘度はエピコート815とシリカをシリカ配合率70質量%で混合時した際の粘度であり、50℃で測定した。
【0119】
実施例1〜4は全て最大粒径が平均粒径の3倍以下を示した。また、実施例1−2および4−2において、チクソ性を示すη1/η2は全て1.1以下を示した。特に平均粒径が5μm以下の実施例1ではη1/η2が0.8以下を示した。一方、火炎溶融法により調製した比較例1はη1/η2が1.22であった。
【0120】
【表1】
Figure 0004195243
【0121】
【表2】
Figure 0004195243
*エピコート815混合時の粘度(シリカ:エポキシ樹脂=70:30質量比、50℃)。なお、η1、η2はそれぞれ回転粘度計の回転数を0.5rpm、2.5rpmとしたときの粘度である。
**幅5mm、隙間寸法20μm又は50μm、長さ18mmの隙間を有する金型を75℃の温度に加熱した後、一方に測定試料を垂らし、毛細管現象により片端にまで浸透した時間を測定して、時間(分)で表示する。測定試料はエピコート815とシリカをシリカ配合率65質量%で均一混合したものを用いた。実施例4の20μm隙間浸透性は最大粒径が20μm以上であるため測定せず。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、従来問題とされていたステンレス磨耗粉、Fe等の導電性粒子を極めて低減した高純度非磁性金属酸化物粉末が提供される。また、本発明の高純度非磁性金属酸化物粉末は、実質的に導電性粒子が殆ど含まないため、電子部品用の液状封止材用充填材として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の異物粒子除去の工程を示す図である。
【図2】図1における異物粒子除去に用いられる磁石を上面より見た模式図である。
【記号の説明】
11 非磁性金属酸化物粉末(篩前)
12 スクリーン通過非磁性金属酸化物粉末
13 高純度非磁性金属酸化物粉末
14 篩上非磁性金属酸化物粉末
2 スクリーン
21 スクリーン入口
22 スクリーン出口
3 磁石
31 棒状の磁石
32 磁石間隙

Claims (3)

  1. 比表面積が下記式(3)で規定される理論比表面積SAの10倍以上のシリカ粉末をスクリーンを使用する方法で解砕し、分散した状態で1000ガウス以上の磁石に接触させることを特徴とする高純度シリカ粉末の製造方法。
    SA(m2/g)=6/(d×D) (3)
    ここで、dは平均粒径(μm)を、またDは真比重(g/cm3)を表す。
  2. 磁石に接触させる際のシリカ粉末の含水率が0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の高純度シリカ粉末の製造方法。
  3. 磁石に接触させ、磁性粒子を除去した高純度シリカ粉末を600℃以上の温度で焼成することを特徴とする請求項1又は2に記載の高純度シリカ粉末の製造方法。
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