JP4194335B2 - 木材プレカット設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、木材プレカット設備、特に、複数棟の木造住宅用原木材をプレカット装置により製品木材に切断あるいは切断および加工する際に、特に、原木材として長尺物を使用し、最も歩留りが良い原木材の切断長さを、全棟を構成する切断すべき製品木材の中から選択し、さらに、製品木材長さを有する余材をプレカット装置に再投入することによって、原木材の歩留りを大幅に向上させることができる、木材プレカット設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軸組木造住宅を構成する木材には、柱とこの柱間に固定される横架材とに大別される。柱の長さはほぼ決まっているが、横架材の長さは各種あり、施される木口、アリ溝等の加工形状も横架材1本1本毎に異なる。近年、木材に前記各種加工を全て自動的に行うプレカット装置が、開発され主流を占めつつある。
【0003】
従来プレカット装置の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図3は、従来プレカット装置を示す概略平面図である。
【0005】
図3に示すように、従来プレカット装置は、搬入された原木材1の長さおよび幅寸法を測定するための、長さ測定器12、幅測定器13および高さ測定器14からなる形状測定手段15と、原木材1の高さ方向に孔あけ等の加工を施すための縦加工機16と、原木材1の両側面に孔あけ等の加工を施すための横加工機17と、原木材1の木口にアリ溝等の加工を施すための木口加工機18と、形状測定手段15による測定結果に基づいて、原木材1が加工可能なものか否かを判断し、加工可能なものである場合には、予め記憶されている長さを含めた製品形状の中から余材が少なく歩留り良く加工できる製品形状を選択し、最適な製品形状に木材が加工されるように、同一ライン上に設置された各加工機に16、17、18に加工指令を出すための制御器(図示せず)とを備えている。
【0006】
通常、プレカット装置に搬入される、原木材1は、定尺(長さ約4、5あるいは6m)であり、横架材は、この定尺材から木取りされる。
【0007】
上記従来プレカット装置によれば、次のようにして、原木材が切断され、これに各種加工が施される。
【0008】
原木材1が搬入コンベア19から加工ラインに搬入されると、形状測定手段15によって原木材1の長さ、幅および高さ寸法が測定される。制御器は、これらの測定結果に基づいて、搬入された木材1が制御器に予め記憶されている長さを含めた製品形状に加工することができるか否かを判断する。そして、加工と判断した場合には、最も歩留まり良く加工することができる製品形状を選択し、その加工指令を各加工機16、17、18に出す。これによって所望の加工が施された製品木材1Aは、中間コンベア20を通って、搬出コンベア21まで搬送される。
【0009】
一方、制御器が加工不可と判断した木材は、加工が施されないまま、加工ラインを通過して搬出コンベア21まで搬送される。
【0010】
上記従来プレカット装置は、原木材1の切断と各種加工とを自動的に行うものであるが、原木材1を余材が少なく最も歩留り良く切断できる長さに切断する機能のみのものもある。この場合、製品木材1Aは、原木材1を切断したものとなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来プレカット装置は、何れもの場合も1棟分のみを対象にしているので、原木材1を余材が少なく最も歩留り良く切断できる長さに切断することにも限界があった。しかも、従来、余材は、端材として廃棄処分される場合があり、余材量が多い場合には、その分、原木材1の歩留りが悪かった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本願発明者は、上記問題点を解決し、原木材のさらなる歩留り向上を図るために鋭意検討を重ねた。この結果、複数棟を構成する製品木材の加工を同時に行えば、最も歩留りが良い原木材の切断長さの選択の余地が増大するので、その分、余材量が減少して、原木材の歩留り向上を図ることができ、また、製品木材の長さを有する余材をプレカット装置に再投入すれば、原木材のさらなる歩留り向上を図ることができるといった知見を得た。
【0013】
また、上記効果は、近年、限りある森林資源の保護および木造建築物の低価格化等を目的とした、通常の木材に代わる集成材の使用によってさらに向上する。すなわち、集成材は、節、割れ、および腐れ等の欠陥部の関係で所定強度を有さない不良木材から前記欠陥部を切削除去してラミナー用素板を調製し、素板同士を、フィンガージョイント等の接合手段によって互いに接合してラミナーを調製し、ラミナーを複数枚積層し、互いに接着することによって製造したものである。従って、集成材を使用すれば、通常の木材に比べて容易に長尺物の原木材を得ることができるので、上記切断長さの選択の余地が増大し、この結果、原木材の歩留り向上効果がさらに向上する。
【0014】
この発明の目的は、原木材の切断により生じる余材を大幅に減少させることができる木材プレカット設備を提供するものであり、下記を特徴とするものである。
【0015】
請求項1記載の発明は、原木材置き場と、前記原木材置き場に置かれた原木材を切断して製品木材とするプレカット装置と、前記製品木材を積載する、棟別に設けられた複数個の木材積載ステージと、前記製品木材を前記木材積載ステージに棟別に搬送する搬送装置とを備え、前記プレカット装置は、前記原木材を余材が少なく最も歩留り良く切断できる長さに切断し、最も歩留りが良い前記原木材の切断長さは、全棟を構成する切断すべき前記製品木材の中から選択することに特徴を有するものである。
【0016】
請求項2記載の発明は、原木材置き場と、前記原木材置き場に置かれた原木材を切断および加工して製品木材とするプレカット装置と、前記製品木材を積載する、棟別に設けられた複数個の木材積載ステージと、前記製品木材を前記木材積載ステージに棟別に搬送する搬送装置とを備え、前記プレカット装置は、前記原木材を余材が少なく最も歩留り良く切断できる長さに切断し、最も歩留りが良い前記原木材の切断長さは、全棟を構成する切断および加工すべき前記製品木材の中から選択することに特徴を有するものである。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、原木材は、長尺物であることに特徴を有するものである。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、製品木材にマークを付与するマーク付与装置を備えたことに特徴を有するものである。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、余材のうち、製品木材の長さを満足する使用可能余材が置かれる余材置き場を備え、前記余材置き場に置かれた前記使用可能余材は、原木材の一部として、再度、プレカット装置に搬送されることに特徴を有するものである。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、原木材置き場は、原木材の断面形状別に設けられ、余材のうち、製品木材の長さを満足する使用可能余材は、前記使用可能余材と同一の断面形状の原木材が置かれている原木材置き場に置かれ、原木材の一部として、再度、プレカット装置に搬送されることに特徴を有するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の木材プレカット設備の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、この発明の木材プレカット設備を示す概略平面図、図2は、この発明の他の木材プレカット設備を示す概略平面図である。
【0023】
図1において、1は、原木材である。原木材1は、通常の木材でも良いが、長尺化が容易な集成材等であれば、この発明の効果がより一層発揮される。2は、原木材1を製品木材1Aに切断および加工する、例えば、図2に示すようなプレカット装置であり、複数棟の製品木材1Aを上述したように切断および加工する。3は、プレカット装置2に近接して設けられた原木材置き場であり、ここに複数本の原木材1が一括して置かれ、クレーン等によって原木材1がプレカット装置2に搬入される。
【0024】
4は、プレカット装置2によって切断および加工された製品木材1Aを積載する複数個の木材積載ステージであり、この例では片側5棟づつ計10棟分それぞれ棟別に、後述する搬送装置に沿って設けられている。5は、ローラコンベア等の搬送装置であり、製品木材1Aを木材積載ステージ4に棟別に搬送する。搬送装置5は、縦送り部5Aと横送り部5Bとからなり、縦送り部5Aによって所定棟の木材積載ステージ4の前方まで製品木材1Aが縦送りされた後、横送り部5Bによって木材積載ステージ4に横送りされ、段積みされる。
【0025】
上述した製品木材1Aの所定の木材積載ステージ4への搬送操作は、全て、図示しないが制御器により予め入力されたデータに従って自動的に行われる。
【0026】
なお、プレカット装置2によって切断および加工された製品木材1Aに番付け等のマークを付与するマーク付与装置としての印字装置を、プレカット装置2に併設しても良い。
【0027】
このように構成されている、この発明の木材プレカット設備によれば、以下のようにして、原木材1が切断および加工されて製品木材1Aとなり、製品木材1Aが所定の木材積載ステージ4に搬送される。
【0028】
原木材置き場3から原木材1がプレカット装置2に搬入されると、原木材1は、余材が少なく最も歩留り良く切断できる長さに切断され、孔あけ、アリ溝等の各種加工が施される。この際、最も歩留りが良い原木材1の切断長さは、全棟、すなわち、10棟を構成する切断および加工すべき製品木材の中から選択される。従って、1棟の製品木材の中から選択する場合に比べて大幅に選択の余地が広がり、その分、原木材1の歩留りが向上する。
【0029】
このようにして切断および加工された製品木材1Aは、搬送装置5によって所定棟の木材積載ステージ4に搬送され、段積みされる。
【0030】
以上は、原木材1を歩留り良く切断および加工する場合であるが、原木材1を歩留り良く切断のみする場合も同様である。この場合、製品木材1Aには、後に各種加工が施される。
【0031】
上述の木材プレカット設備により加工された原木材1の余材の中には、製品木材1Aとして使用可能な長さのものも含まれている。この使用可能余材1Bを、プレカット装置2に再投入して加工すれば、従来、端材として廃棄処分されていた原木材1の有効利用を図ることができる。
【0032】
そこで、余材の有効利用を図るために、図2に示すように、プレカット装置2により原木材1を加工した後に生じた使用可能余材1Bを、縦送り部5Aから搬送ローラ等の余材搬送手段5Cにより、余材置き場3Aまで搬送して、ここに積載しておく。そして、原木材1の一部として、プレカット装置2に再投入する。使用可能余材1Bの使用法としては、図2の例で言えば、10棟分の何れかに使用しても、あるいは、全棟の加工の終了後、次の棟の加工に当たって使用することが考えられる。
【0033】
プレカット装置2から排出される余材が使用可能余材1Bであるか否かは、原木材1の長さと切断長さが予め把握されているので、容易に判断でき、この判断は、全て上記制御器により行われ、使用可能余材1Bの管理も全て前記制御器により行われる。
【0034】
また、原木材置き場3が原木材1を断面形状別に積載するものである場合には、上記のように余材置き場3Aを別に設ける必要はなく、使用可能余材1Bと同一の断面形状の原木材1が置かれている原木材置き場3に使用可能余材1Bを置けば良い。なお、図2において、図1と同一番号は、同一物を示すので、説明は省略する。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、以下のような有用な効果がもたらされる。
【0036】
(1)複数棟の木造住宅用原木材をプレカット装置により製品木材に切断あるいは切断および加工する際に、特に、原木材として長尺物を使用し、最も歩留りが良い原木材の切断長さを、全棟を構成する切断すべき製品木材の中から選択することによって、原木材の切断により生じる余材を大幅に減少させることができ、この効果は、原木材として長尺物を使用すればさらに向上する。
【0037】
(2)原木材の切断により生じた余材が製品木材として使用できる長さを有するものか否かを判断し、使用可能な余材である場合には、これを余材置き場あるいは原木材置き場に戻し、プレカット装置に再投入して加工することにより、余材の有効利用が図れ、原木材の歩留りが著しく向上する。
【0038】
(3)木材の歩留りの向上は、木材積載ステージ数、すなわち、棟数が増加するほど向上するが、余材をプレカット装置に再投入して加工することによって、見かけの木材積載ステージ数が理論上無限大になる。すなわち、ある余材は、図2の例で言えば、10棟分の製品木材としては利用できないが、次の棟の製品木材としては利用できる場合があるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の木材プレカット設備を示す概略平面図である。
【図2】この発明の他の木材プレカット設備を示す概略平面図である。
【図3】従来プレカット装置を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1:原木材
1A:製品木材
1B:使用可能余材
2:プレカット装置
3:原木材置き場
3A:余材置き場
4:木材積載ステージ
5:搬送装置
5A:縦送り部
5B:横送り部
5C:余材搬送手段
12:長さ測定器
13:幅測定器
14:高さ測定器
15:形状測定手段
16:縦加工機
17:横加工機
18:木口加工機
19:搬入コンベア
20:中間コンベア
21:搬出コンベア
Claims (6)
- 原木材置き場と、前記原木材置き場に置かれた原木材を切断して製品木材とするプレカット装置と、前記製品木材を積載する、棟別に設けられた複数個の木材積載ステージと、前記製品木材を前記木材積載ステージに棟別に搬送する搬送装置とを備え、前記プレカット装置は、前記原木材を余材が少なく最も歩留り良く切断できる長さに切断し、最も歩留りが良い前記原木材の切断長さは、全棟を構成する切断すべき前記製品木材の中から選択されることを特徴とする木材プレカット設備。
- 原木材置き場と、前記原木材置き場に置かれた原木材を切断および加工して製品木材とするプレカット装置と、前記製品木材を積載する、棟別に設けられた複数個の木材積載ステージと、前記製品木材を前記木材積載ステージに棟別に搬送する搬送装置とを備え、前記プレカット装置は、前記原木材を余材が少なく最も歩留り良く切断できる長さに切断し、最も歩留りが良い前記原木材の切断長さは、全棟を構成する切断および加工すべき前記製品木材の中から選択されることを特徴とする木材プレカット設備。
- 前記原木材は、長尺物であることを特徴とする、請求項1または2記載の木材プレカット設備。
- 前記製品木材にマークを付与するマーク付与装置を備えたことを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の木材プレカット設備。
- 前記余材のうち、前記製品木材の長さを満足する使用可能余材が置かれる余材置き場を備え、前記余材置き場に置かれた前記使用可能余材は、前記原木材の一部として、再度、前記プレカット装置に搬送されることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の木材プレカット設備。
- 前記原木材置き場は、前記原木材の断面形状別に設けられ、前記余材のうち、前記製品木材の長さを満足する使用可能余材は、前記使用可能余材と同一の断面形状の前記原木材が置かれている前記原木材置き場に置かれ、前記原木材の一部として、再度、前記プレカット装置に搬送されることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の木材プレカット設備。
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