JP4194234B2 - フェルール射出成形用金型およびフェルール成形素材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバの接続に使用する光ファイバコネクタの部品である、フェルールに関し、フェルールの製造方法、コアピン、及びフェルール成形素材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、部分安定化ジルコニアフェルール射出成形において、フェルールの小径孔を成形するために、フェルールの長さ方向の径が均一のストレート型のコアピンが用いられていた。そして、射出成形後、焼結し、さらに小径孔の内部をフェルールの軸方向の全体に渡ってワイヤーで研磨し、内径125ミクロンの小径孔に仕上げていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のコアピンを使用して、フェルールの射出成形を行うと、コアピンの抜きテーパがないため、コアピンの引き抜き時の摩擦抵抗が大きく、コアピンの磨耗が発生する問題があった。コアピンの磨耗により、小径孔がフェルールの外形に対して偏心したり、小径孔の真円度が減少するなど、フェルールの寸法精度が低下し、コネクタの接続時に光ファイバの光軸のずれを生じ、接続損失が増大する欠点があった。
【0004】
また、抜きテーパがないため、コアピン引き抜き時のコアピン表面近傍の樹脂の流動により、セラミック粉末の充填が不均一となり、焼結後の収縮率が一定にならず、フェルールの外径や小径孔の真円度が低下する課題があった。さらにコアピン近傍の樹脂の巻き込みによるクラックが発生するなどの問題が発生する。
【0005】
また、焼結後、小径孔をフェルールの軸方向の全体に渡り研磨するため、ジルコニアセラミックの研磨量が多くその結果、小径孔の内径研磨に時間がかかる、研磨するためのワイヤーの磨耗が早いなどの問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明においては、フェルールの一方の端面で第1の径を有し、他端に向かい径が大きくなる第1の傾斜角を有する円柱部と、フェルールの他端に第1の径より大きい第2の径を有し、一方の端面に向かい径が小さくなり第1の傾斜角より角度の大きい第2の傾斜角を有する円錘部を有し、円柱部と円錐部に内接し断面が円弧状の曲面部と、からなるテーパ付コアピンを用いた。
【0007】
また、本願発明においては、一方の端面に光ファイバ素線の外径より小さい内径を有し、他端に向かい、かつ他端より内側に光ファイバ素線の外径より大きい内径を有するテーパー状の孔を有するフェルール成形素材を形成した後、その孔をワイヤーで研磨し、フェルールを製造した。
【0008】
【発明の実施の形態】
本願発明においては、フェルールの一方の端面で第1の径を有し、他端に向かい径が大きくなる第1の傾斜角を有する円柱部と、フェルールの他端に第1の径より大きい第2の径を有し、一方の端面に向かい径が小さくなり第1の傾斜角より角度の大きい第2の傾斜角を有する円錘部を有し、円柱部と円錐部に内接し断面が円弧状の曲面部と、からなるテーパ付コアピンを用いた。
【0009】
ここで、円柱部のフェルールの端面形成部分に傾斜角を有しないストレート部分を設けることが可能である。この場合、第1の傾斜角は0.3から0.4°が好ましい。そして、円柱部の長さはフェルール全体の長さの60から90%が好ましく、さらに好ましくは75から85%が好ましい。
【0010】
また、円柱部と曲面部の間に第1の傾斜角より大きく第2の傾斜角より小さい第3の傾斜角を持つ第2の円柱部を設けても良い。この場合、第1の傾斜角は0.07から0.09°が好ましい。この場合円柱部の長さは、フェルールの全長の90から120%が好ましく、さらに好ましくは95から110%が好ましい。
【0011】
また、本願発明においては、一方の端面に光ファイバ素線の外径より小さい内径を有し、他端に向かい、かつ他端より内側に光ファイバ素線の外径より大きい内径を有するテーパー状の孔を有するフェルール成形素材を形成した後、その孔をワイヤーで研磨し、フェルールを製造した。ここで一方の端面の内径は95から105ミクロン、さらに好ましくは99から103ミクロンが好ましい。
【0012】
【実施例】
(実施例1)
図1に本発明のコアピンの断面図を示す。射出成形時にフェルールの端面と一致する位置に137ミクロンの線径の第1の頸部10、第1の頸部から根元方向に11ミリの位置に168ミクロンの第2の頸部20を有する第1のテーパー部30を設ける。第1のテーパ部の傾斜角は0.08°である。そして、第2の頸部20からさらに根元方向に径の大きくなる第2のテーパ部を設ける。第2のテーパー部の傾斜角は第1のテーパ部の傾斜角より大きい。
【0013】
そして、射出成形時にフェルールの他端を一致する位置にコアピンの軸に対称に60°の角度を有し、フェルールの他端に向かい径の大きくなる第3のテーパー部50を設ける。そして第2のテーパー部と第3のテーパー部の間に第2のテーパーと第3のテーパーを滑らかに結ぶ、断面が円弧状の曲面部60を配置する。
【0014】
図1のコアピンを使用し、バインダーを混合したジルコニアセラミクを射出成形し、焼結し得られたフェルール成形素材を図2に示す。一方の端面に102ミクロンの内径の開口部100を有し、その端面から8.227ミリ他端に寄った位置に125ミクロンの内径の頸部を有する第1の孔部120を形成した。以下第1の孔部より傾斜角の大きい第2の孔部130と、曲面部140、そして60°の傾斜角を持った円錐面部150が形成された。
【0015】
図3にフェルール成形素材の先端部の断面図を示す。先端が内径102ミクロンの開口部200があり、8.227ミクロン他端側が125ミクロンの内径である第1の孔部が形成されており、ワイヤーとダイヤモンド砥粒による孔の内面研磨を行い、研磨部220を研磨し除去する。ここで、研磨部220は断面が斜めの円筒であり、研磨量は従来の2分の1となり、いわゆる穴磨き時間が半分になり加工時間を短縮することができた。さらに、第1の孔部がワイヤーの接触の基準面となり、研磨によって生じる孔の中心が、成形素材の孔の中心とずれることがなくなり、最終製品の孔の真円度の高い製品が得られた。
【0016】
上記のように研磨加工されたフェルールは端面から8.227mmの長さで125ミクロンの内径を有する第1の孔部と、それに続く第1のテーパー部と、曲面部と、第2のテーパー部からなる形状が得られた。
(実施例2)
本願発明のコアピンの他の実施例の端面図を図4に示す。本実施例は、実施例1のコアピンの先端部をストレートにし、かつ第2のテーパー部をなくして、二つのテーパにしたものである。
【0017】
図4において、コアピンの先端部に外径の均一な、テーパーのない円柱部200を配置する。ここで外径は132ミクロンである。次に円柱部200に接続された第1のテーパー部210を設ける。このテーパ部の傾きは0.339°で、長さは8.291mmである。続いて滑らかに接続するための曲面部220とそれに続く、角度60°の第2のテーパー部230を設けた。
【0018】
図5に上記のコアピンを使用して、ジルコニアセラミックを射出成形し、焼結したフェルール成形素材の断面図を示す。先端からテーパーのない、ストレート部分となる第1の孔部300と、続くテーパを有する第2の孔部310と緩やかな接続面となる曲面部320と他端に接するテーパのある第3の孔部330からなる。ここで、第1の孔部300の先端の内径は100ミクロンであった。また、第2の孔部の内径125ミクロンとなる位置の端面からの距離Lは、3.1から6mmであった。
【0019】
以上の成形素材をワイヤーで研磨することにより、先端から距離Lに等しい長さが研磨され、テーパーのない孔部と、孔部に続くテーパーを有する第1のテーパー部と、曲面部と、第2のテーパ部を有するフェルールが得られた。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、本願発明では、研磨部の内面の少なくとも一部を、光ファイバ素線の外径より小さいテーパー状の孔に形成したので、フェルール成形素材の長さの一部のテーパー状の孔の研磨を行うことで、フェルールの最終形状を得ることができ、加工時間の短縮とフェルール内部の孔の偏心が減少し、接続損失の小さいフェルールを得ることができる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコアピンを示す断面図である。
【図2】本発明のフェルール成形素材を示す断面図である。
【図3】本発明のフェルールの研磨を示す断面図である。
【図4】本発明のコアピンの他の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明のフェルール成形素材の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 第1の頸部
20 第2の頸部
30 第1のテーパー部
40 第2のテーパー部
50 第3のテーパー部
60 曲面部
100 開口部
120 第1の孔部
130 第2の孔部
140 曲面部
150 円錐面部
200 円柱部
210 第1のテーパー部
220 曲面部
230 第2のテーパー部
300 第1の孔部
310 第2の孔部
320 曲面部
330 第3の孔部

Claims (3)

  1. フェルール成形素材の孔の研磨部をワイヤーにより研磨除去し、光ファイバを通す孔部を備えたフェルールを製造するフェルールの製造方法において、
    前記研磨部の内面の少なくとも一部を、フェルール成形素材の一方の端面に向かって径が小さくなり且つ一端が光ファイバ素線の外径より小さいテーパー状の孔に形成し、
    前記内面の少なくとも一部がテーパー状の孔である研磨部をワイヤーにより研磨除去してテーパーのない孔部を形成する、
    ことを特徴とするフェルールの製造方法。
  2. 請求項1記載のフェルールの製造方法に用いるコアピンであって、
    フェルールの一方の端面形成部分で第1の径を有し他端に向かい径が大きくなる第1の傾斜角を有する円柱部と、フェルールの他端形成部分に前記第1の径より大きい第2の径を有し、前記一方の端面に向かい径が小さくなり第1の傾斜角より角度の大きい第2の傾斜角を有する円錘部と、前記円柱部と前記円錐部に内接し断面が円弧状の曲面部と、からなるコアピン。
  3. 請求項1記載のフェルールの製造方法に用いるフェルール成形素材であって、
    一方の端面に光ファイバ素線の外径より小さい内径を有し、他端に向かい、かつ前記他端より内側に、光ファイバ素線の外径より大きい内径を有するテーパー状の孔を有するフェルール成形素材。
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