JP4193659B2 - アンチスキッドブレーキシステム作動判定装置およびアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法ならびに駆動力配分制御装置 - Google Patents

アンチスキッドブレーキシステム作動判定装置およびアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法ならびに駆動力配分制御装置 Download PDF

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本発明は、アンチスキッドブレーキシステムが作動中であるか否かを判定する装置および方法ならびにこの装置をそなえる駆動力配分制御装置に関するものである。
従来、一般的な自動車の駆動輪には、左輪と右輪との間にディファレンシャルギア(差動装置)が設けられ、旋回時の左右輪の回転数差を吸収することで滑らかに旋回走行できるようになっている。また、4輪駆動車の場合には、上記の左右輪のディファレンシャルギアに加え、前輪と後輪との間にもディファレンシャルギア(センターデフ)が設けられ、前後輪の回転数差を吸収できるようになっている。
しかしながら、このような一般的なディファレンシャルギアは、いずれか一方の駆動輪がスリップしたような場合に、他方の駆動輪に対して駆動力が配分されなくなってしまうという特性がある。このため、近年では、悪路走行を想定した車種やスポーツ走行を想定した車種などを中心に、ディファレンシャルギアによる差動を制限する差動制限装置がそなえられている場合が多い。この差動制限装置の代表例としては、例えば、LSD(Limited Slip Differential;差動制限装置)があり、このLSDを電子的にあるいは機械的に制御することによって、いずれかの駆動輪がスリップしたような場合であっても、適切な駆動輪に対して好ましい駆動力を配分できるようになっている。
そして、近年は、単に駆動輪がスリップしたような場合のみならず、上述したLSDに代表される駆動系機器を車両の走行状況に合わせて積極的に作動させ、車両の旋回性能や加速性能および安定性能などを向上させる駆動力配分システムが実現されている。なお、この駆動力配分システムの概念に含まれる具体例としては、電子制御LSD,前後輪の駆動力配分を変更可能な前後輪駆動力配分機構,左右輪の駆動力配分を変更可能な左右輪駆動力配分機構,電子制御カップリングなどがある。
他方、近年、車両にはABS(アンチスキッドブレーキシステム)が装備され、制動時に、必要な操舵性を確保しながら確実に減速することができるようになっている。
ところが、上述した駆動力配分システムとABSとの双方を装備した車両においては、駆動力配分システムによる制御とABSによる制御とが干渉してしまう場合があった。
そこで、このような不具合を解消し、駆動力配分システムとABSとの制御親和性を向上する技術が、本出願人により提案されている(特許文献1)。この特許文献1の技術によれば、駆動力配分システムの制御モードが、ABSの作動・非作動に応じて、通常モードまたはABS制御による効果を妨げない制御モード(ABS対応モード)に、適宜切り換えられるようになっている。
特開2002―96651号公報参照
しかしながら、駆動力配分システムのコントローラとABSのコントローラとを相互に接続する信号線が断線したり、ショートしたりするなどの故障が発生した場合には、ABSが作動中であるにもかかわらず、駆動力配分システムは通常モードで作動してしまう事態が生じるおそれがある。そして、このような場合、駆動力配分システムによる制御がABSによる効果を妨げるおそれがある。また、上記の故障により、ABSが作動していないにもかかわらず、駆動力配分システムが、ABSは作動中であると誤認した場合には、駆動力配分を正常に行なうことができなくなる。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、アンチスキッドブレーキシステムの作動状態を精度よく判定できるようにした、アンチスキッドブレーキシステム作動判定装置および判定方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、アンチスキッドブレーキシステムの作動状態に応じて適切に駆動力配分機構の制御モードを切り換えることができるようにした、駆動力配分制御装置を提供することを第2の目的とする。
請求項1記載の本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置は、車両に設けられ、制動時に各車輪のスリップ状態が好ましい状態となるように該各車輪の制動状態を制御するアンチスキッドブレーキシステムと、該車輪の回転速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段によって検出された該車輪の回転速度の振動成分に基づいて該アンチスキッドブレーキの作動状態を判定する判定手段とをそなえたことを特徴としている。
また、請求項2記載の本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置は、請求項1記載の内容において、該判定手段が、該車輪速度検出手段によって検出された該各車輪の回転速度のうち、最も小さい車輪回転速度および2番目に小さい車輪回転速度のうちの少なくとも一方の車輪の回転速度の振動成分に基づき該アンチスキッドブレーキシステムの作動状態を判定することを特徴としている。
また、請求項3記載の本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置は、請求項2記載の内容において、該判定手段は、該車輪速度検出手段によって検出された該車輪の回転速度の変化に基づいて、該車輪の振動成分を得ることを特徴としている。
また、請求項4記載の本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置は、請求項1〜3のいずれか1項記載の内容において、該判定手段は、制動操作が行なわれたことが検出された場合にのみ該アンチスキッドブレーキシステムの作動状態を判定することを特徴としている。
また、請求項5記載の本発明の駆動力配分制御装置は、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置をそなえるとともに、該車両の左右輪または前後輪への駆動力を可変的に分配する駆動力配分機構と、該駆動力配分機構の作動を制御する駆動力配分機構制御手段とをそなえ、該駆動力配分機構制御手段は、該判定手段によって判定された該アンチスキッドブレーキシステムの作動状態に応じて該駆動力配分機構を制御することを特徴としている。
また、請求項6記載の本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法は、車両に設けられ、制動時に車輪のスリップ状態が好ましい状態となるように該車輪の制動状態を制御するアンチスキッドブレーキシステムの作動判定方法であって、該車輪の回転速度の振動成分を抽出する第1のステップと、該第1のステップで得られた振動成分の大きさに基づいてアンチスキッドブレーキシステム作動判定指数を算出し、算出された該作動判定指数に基づいて該車両のアンチスキッドブレーキシステム作動状態を判定する第2のステップとを有することを特徴とする。
また、請求項7記載の本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法は、請求項6記載の内容において、該振動成分が、該車輪の回転速度の変化速度であって、該第2のステップが、該変化速度にハイパスフィルタ処理を施して所定の低周波成分を除去する第3のステップと、該変化速度の絶対値を算出する第4のステップと、該変化速度の絶対値にローパスフィルタ処理を施して所定の高周波成分を除去する第5のステップとを有し、該第5ステップで得られた値に基づき、該アンチスキッドブレーキシステム作動判定指数を算出することを特徴とする。

また、請求項8記載の本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法は、請求項6または7記載の内容において、該作動判定指数が第1の所定値よりも大きくなると該アンチスキッドブレーキシステムが作動していると判定し、該作動判定指数が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下となると、該アンチスキッドブレーキシステムが非作動であると判定することを特徴とする。
また、請求項9記載の本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法は、請求項6〜8のうちいずれか1項に記載の内容において、該車輪が複数設けられ、該第1のステップにおいて、各車輪の回転速度のうち最も小さい車輪回転速度および2番目に小さい車輪回転速度のいずれか一方の車輪回転速度に基づいて該振動成分が抽出されることを特徴とする。
本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置によれば、アンチスキッドブレーキシステムの作動制御装置から作動/非作動を示す信号等を受信することなく、アンチスキッドブレーキシステムが作動中であるか否かを判定できるので、アンチスキッドブレーキシステムの作動状態に応じて作動態様を切り換えるような機器(例えば、駆動力配分機構)の信頼性を向上させることができ、また、これによりアンチスキッドブレーキシステムの効果を好適に得ることができる。これにより、車両の安全性や走行安定性を大幅に向上させることができる。さらに、アンチスキッドブレーキシステムの作動状態を反映させる車載機器(例えば、インストルメンタルパネルに設けられたアンチスキッドブレーキシステム作動インジケータや、アンチスキッドブレーキシステムの作動に基づいてシートベルトを巻き上げる電動リトラクタなど)の信頼性を確実に高めることで乗員保護性の向上にも寄与することができる。(請求項1)。
また、各車輪のうち最も遅く回転している車輪および2番目に遅く回転している車輪回転速度の振動成分に基づいてアンチスキッドブレーキシステムの作動/非作動を判定することにより、各車輪において車輪回転速度のバラつきがあった場合でも、精度よくアンチスキッドブレーキシステムの作動/非作動を判定することが可能となる(請求項2)。
また、車輪の回転速度の変化に基づくという簡素な手法で精度よくアンチスキッドブレーキシステムの作動/非作動を判定することができる(請求項3)。
また、運転者が制動動作を行なった場合にのみアンチスキッドブレーキシステムの作動判定を行なうので、小さな消費電力で、効率良く、アンチスキッドブレーキシステムの作動状態を判定することができる(請求項4)。
また、本発明の駆動力配分制御装置によれば、アンチスキッドブレーキシステムの作動に応じた駆動力配分制御を行なう駆動力配分制御手段が、アンチスキッドブレーキシステムが作動中であるか否かを判定するアンチスキッドブレーキシステム作動判定手段によって判定されたアンチスキッドブレーキシステムの作動状況に応じて適切に制御モードを切り換えて、駆動力配分機構を制御することが可能となる(請求項5)。
そして、本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法によれば、第1のステップで車輪の回転速度の振動成分を抽出し、第2のステップで、第1のステップにおいて得られた前記の振動成分に基づいてアンチスキッドブレーキシステム作動判定指数を算出するという簡素な手法で、精度よくアンチスキッドブレーキシステムの作動状態を判定することができる。これにより、確実にアンチスキッドブレーキシステムの効果を得ることができ、車両の安全性や走行安定性を大幅に向上させることが可能となる。また、アンチスキッドブレーキシステムの作動状態に基づいて作動するように設定した車載機器の信頼性を確実に高めることができる(請求項6)。
また、上記の第2のステップが、振動成分である車輪回転速度の変化速度に対してハイパスフィルタを施して所定の低周波成分を除去する第3のステップと、第3のステップで得られた変化速度の絶対値を算出する第4のステップと、第4のステップで得られた変化速度の絶対値にローパスフィルタを施して所定の高周波成分を除去する第5のステップとを有し、この第5ステップで得られた値に基づき、上記のアンチスキッドブレーキシステム作動判定指数を高い精度で算出することが可能である(請求項7)。
また、上記の作動判定指数が、第1の所定値よりも大きくなると、アンチスキッドブレーキシステムが作動していると判定し、一方、上記の作動判定指数が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下となると、アンチスキッドブレーキシステムが非作動であると判定することにより、ABSが作動中であるか否かを精度よく判定し、さらに当該判定のハンチングを防ぐことが可能である(請求項8)。
また、車両に車輪が複数設けられた場合であっても、各車輪の回転速度うち最も小さい回転速度および2番目に小さい車輪回転速度のいずれか一方の車輪の回転速度に基づいて振動成分が抽出されることによって、アンチスキッドブレーキシステムの作動判定の精度を高めることができる(請求項9)。
以下、本発明の一実施形態にかかるABS(アンチスキッドブレーキシステム)の作動判定装置およびABS作動判定方法について図1〜図7を用いて説明すると、図1は本発明が適用される車両を模式的に示したブロック図、図2および図3はその作用を示すフローチャート、図4〜図7はそのABSの作動判定処理を説明するための模式図である。
まず、図1に示すように、四輪駆動の車両1には、エンジン2,トランスミッション3などが主にそなえられ、エンジン2の出力はトランスミッション3を介してセンタディファレンシャル(以下、センターデフ)4に伝達されるようになっている。
また、このセンターデフ4の出力は、一方が前輪5のフロントディファレンシャル(以下、フロントデフ)6を介して車輪軸7L,7Rから前輪5の左右輪5L,5Rに伝達され、他方がハイポドギヤ8,プロペラシャフト9,後輪側のハイポイドギヤ10,リヤディファレンシャル(以下、リアデフ)12を介して車輪軸13L,13Rから後輪14の左右輪14R,14Lにそれぞれ伝達されるようになっている。
また、センターデフ4は、デファレンシャルピニオン4A,4Bと、これらのデファレンシャルピニオン4A,4Bと噛合するサイドギヤ4C,4Dとから構成され、デファレンシャルピニオン4A,4Bから入力されたトルクは、一方のサイドギヤ4Cを介して前輪8へ伝達されるとともに、他方のサイドギヤ4Dを介しプロペラシャフト9などを経て後輪14へ伝達されるようになっている。また、このセンターデフ4によって前輪8と後輪14との間の差動が許容されて、車両1の回頭性が妨げられないようになっている。
そして、このリアデフ12には、詳しくは後述する左右輪駆動力配分機構(駆動力配分機構)15が設けられている。
また、この車両1には、この左右輪駆動力配分機構15および後述する前後輪駆動力配分機構(駆動力配分機構)16に対して油圧を供給する油圧発生部17と、この油圧発生部17を制御することで左右輪駆動力配分機構15および前後輪駆動力配分機構16の作動状態を制御する駆動力配分制御手段(駆動力配分ECU)18とがそなえられている。
そして、このセンターデフ4には、前輪5と後輪14との間で許容された差動を可変に制限しながら、エンジン2から出力されたトルクを前後輪5,14に対して可変に配分できる前後輪駆動力配分機構16が接続されている。この前後輪駆動力配分機構16は、湿式油圧多板クラッチ機構を有し、このクラッチ機構は、油圧発生部17から供給された油圧に応じて、前輪5および後輪14に対して伝達されるトルク(駆動力)の配分を適宜変更できるようになっている。
つまり、この前後輪駆動力配分機構16によれば、例えば、前輪5と後輪14との差動を制限することによって車両1のトラクション性能を向上させたり、前輪5と後輪14との差動を許容して車両1の回頭性能を向上させたりできるようになっている。
また、車両1の各車輪5L,5R,14L、14Rの各車輪軸7R,7L,13L,13Rには、車輪速度センサ(車輪速度検出手段)19FL,19FR,19RL,19RRがそれぞれ設けられ、ステアリングホイール24には舵角センサ20が設けられ、車体には車両の前後方向の加速度を検出する前後Gセンサ21および車両の左右方向の加速度を検出する横Gセンサ22が設けられ、エンジン2にはスロットルバルブ(図示略)の開度を検出するスロットルバルブセンサ23が設けられ、ブレーキペダル26にはブレーキペダル26に対する踏み込みの有無を検出するブレーキスイッチ25が設けられている。なお、各車輪速度センサ19FL,19FR,19RL,19RRをそれぞれ特に区別する必要がない場合には、単に「車輪速度センサ19」という。
また、駆動力配分ECU18は油圧発生部17を制御することで左右輪駆動力配分機構15および前後輪駆動力配分機構16を制御するものであって、いずれも図示しない、CPU,ROM,RAM,インタフェイス等が内蔵され、上述した車輪速度センサ19,舵角センサ20,前後Gセンサ21,横Gセンサ22,スロットルバルブセンサ23,ブレーキスイッチ25がそれぞれ接続されている。 そして、この駆動力配分ECU18は、これらの種々のセンサ19〜23およびブレーキスイッチ25によって検出された情報に基づいて、車両の走行状態、即ち、車輪速度,操舵角,スロットルバルブ開度,加速度などに応じて、油圧発生部17を制御するようになっている。
さらに、この駆動力配分ECU18には、詳しくは後述するABS作動判定手段(判定手段)27が内蔵され、ABS30が作動中であるか否かを判定できるようになっている。なお、このABS作動判定手段27はソフトウェアによって実現されているが、電気回路等によって実現してもよい。
次に、後輪14側の駆動系について説明すると、この後輪14には左右輪14L,14R間の差動を許容するリアデフ12が設けられるとともに、左右輪14L,14Rに伝達される駆動力の配分を適宜変更可能な左右輪駆動力配分機構15が設けられている。また、このリアデフ12のケース12Aの外周にはプロペラシャフト9の後端のハイポイドギヤ10と噛合するクラウンギア11が設けられ、また、このケース12Aの内側には、デファレンシャルピニオン12B,12Cと、これらのデファレンシャルピニオン12B,12Cと噛合するサイドギヤ12D,12Eが設けられ、デファレンシャルピニオン12B,12Cから入力されたトルクは、一方のサイドギヤ12Dを介して後左輪14Lへ伝達されるとともに、他方のサイドギヤ12Eを介し15などを経て後右輪14Rへ伝達される。そして、このリアデフ12によって左後輪14Lと右後輪14Rとの間の差動が許容されて、車両1の回頭性が妨げられないようになっている。
また、左右輪駆動力配分機構15は、変速機構15Aと伝達容量可変制御式のトルク伝達機構15Bとから構成され、駆動力配分ECU18からの指令によって右後輪14Rと左後輪14Lとの駆動力を、車両の走行状況等に応じて適宜変更できるようにようになっている。
このうち、変速機構15Aは、リアデフ12の入力であるデフケース12Aの回転速度を増速させたり減速させたりしてトルク伝達機構15Bに出力するものである。
そして、伝達容量可変制御式のトルク伝達機構15Bは、駆動力配分ECU18によって制御された油圧発生部17から供給される制御油圧に応じて、伝達トルク容量を調整できる湿式油圧多板クラッチ機構をそなえ、上記変速機構15Aにより増速または減速された回転部材と、後左右輪14L,14Rのうちの一方の車輪(例えば、右後輪14R)との間でトルクの授受を行なうことにより、一方の車輪(右後輪14R)の回転駆動トルクを増大または減少させて、他方の車輪(左後輪14L)の駆動トルクを減少または増大させることができるようになっている。なお、上述の変速機構15A,トルク伝達機構15Bなどは公知の技術であるので、これらの各構造についての詳細な説明は省略する。
これにより、例えば、車両1が前進右旋回中には、所定の油圧が油圧発生部17から左右輪駆動力配分機構15に入力されて、右後輪14Rに伝達されるトルクの配分量が減少する。また、このとき、左後輪14Lに伝達されるトルク配分量が増大する。これにより、車両1に右回り(時計回り)のヨーモーメントを生じさせることができるようになっている。
同様に、車両1が前進左旋回中には、油圧発生部17から所定の油圧を受けた左右輪駆動力配分機構15によって、左後輪14Lへ伝達されるトルクの配分量が減ぜられる。また、このとき、右後輪14Rへ伝達されるトルク配分量が増加される。これにより、車両1に対して左回り(反時計回り)のヨーモーメントを生じさせて、車両1の回頭性能を向上させることができるようになっている。
ところで、車両1には、ABS30が装備されており、このABS30により、車両1の各車輪5L,5R,14L,14Rが路面に対して好ましいスリップ状態となるように、各車輪5L,5R,14L,14Rの制動状態がそれぞれ独立して制御されるようになっている。このABS30は、車両1の各車輪5L,5R,14L,14Rにそれぞれ設けられたブレーキ装置(図示略)と、これらの各ブレーキ装置を制御するABS―ECU(ABS制御部)28と、ABS―ECU28からの指令に応じた油圧を各車輪のブレーキ装置に対して供給する制動系油圧ユニット(図示略)とから構成されている。
このうち、ABS−ECU28は、いずれも図示しない、CPU,ROM,RAM,インタフェイス等が内蔵され、車輪速度センサ19,舵角センサ20,前後Gセンサ21,横Gセンサ22,スロットルバルブセンサ23,ブレーキスイッチ25がそれぞれ接続されている。 そして、このABS−ECU28は、これらの種々のセンサ19〜23およびブレーキスイッチ25によって検出された情報に基づいて、車両の走行状態、即ち、車輪速度,操舵角,車体の加速度などに応じて、各車輪5L,5R,14L,14Rのブレーキ装置を制御するようになっている。
また、このABS−ECU28と駆動力配分ECU18とは相互に通信可能に接続されており、ABS30の作動時には、ABS30が作動している旨の信号がABS−ECU28から駆動力配分ECU18へ伝達されるようになっている。そして、ABS30の作動時には、駆動力配分制御に起因するABS30の機能低下を防止するべく、駆動力配分ECU18により、左右輪駆動力配分機構15および前後輪駆動力配分機構16に対する制御モードがABS30の作動を妨げない制御モード(ABS対応モード)に切り換えられるようになっている。
ところで、従来は、ABS−ECUと駆動力配分ECUとの間の通信が、何らかの障害により不能となった場合(例えば、ABS−ECUと駆動力配分ECUとの間の通信線が断線した場合など)、ABSが作動中であっても駆動力配分ECUではABSの作動を認識できないため、駆動力配分機構に対する制御モードがABS対応モードに切り換えられずABSの効果を十分に得られなくなる。
これに対して、本発明では、ABS−ECU28と駆動力配分ECU18との間で通信が不能となった場合でも、駆動力配分ECU18自体がABS30の作動/非作動の判定を可能とすべく、この駆動力配分ECU18にはABS作動判定手段27が設けられている。
このABS作動判定手段27について着目すると、このABS作動判定手段27は、各車輪5L,5R,14L,14Rの回転速度をそれぞれ検出する車輪速度センサ19FL,19FR,19RL,19RRによって検出された各車輪5L,5R,14L,14Rの回転速度に基づいて、ABS30の作動状態を判定するものであって、より具体的には、車輪速度センサ19FL,19FR,19RL,19RRによって検出された各車輪5L,5R,14L,14Rの回転速度のうち、4番目に速い回転速度(即ち、最も遅い速度で回転している車輪の回転速度)および3番目に速い回転速度(即ち、2番目に遅い速度で回転している車輪の回転速度)のうちのいずれか一方の車輪回転速度の振動成分に基づきABS30が作動中であるか否かを判定するようになっている。なお、本実施形態においては、4番目に速い車輪回転速度(即ち、最も小さい車輪回転速度)で回転している車輪を「第4車速輪」といい、3番目に速い車輪回転速度(即ち、2番目に小さい車輪回転速度)で回転している車輪を「第3車速輪」という。また、第4車速輪の回転速度を「第4車輪速度」といい、第3車輪の回転速度を「第3車輪速度」いう。
以下、左後輪14Lが第4車速輪である場合にABS30の作動判定を行なう場合を例にとって本発明のアンチスキッドブレーキシステムの作動判定方法について説明すると、このアンチスキッドブレーキシステムの作動判定方法は、主に、第1のステップと第2のステップとから構成されている。このうち、第1のステップは、少なくとも、図2に示すステップS14として説明するステップであり、一方、上記の第2のステップは、ステップS15(第3のステップ),S16(第4のステップ),S17(第5のステップ)として後述する複数のステップを有している。
まず、ステップS11において、各車輪5L,5R,14L,14Rの車輪回転速度が車輪速度センサ19FL,19FR,19RL,19RRによって検出されて駆動力配分ECU18に送信される。このステップS11において得られる左後輪14Lの車輪回転速度の振動成分(波形)を図4(A)に示す。
ところで、この図4(A)に示すように、センサ19から得られるデータには、細かい高周波ノイズ(所定の高周波成分)が含まれている。そこで、駆動力配分ECU18は、これらの各車輪5L,5R,14L,14Rの車輪速度に対してローパスフィルタ(LPF)処理を施すようになっている(図2のステップS12参照)。このステップS12においてローパスフィルタ処理が施された結果得られた左後輪14Lの回転速度の振動成分を図4(B)に示す。上記のローパスフィルタ処理により、高周波ノイズが取り除かれ、滑らかな波形が得られる。
その後、ステップS12における処理結果に基づいて最も遅く回転している車輪である第4車速輪が選択される(図2のステップS13参照)。これは図4(B)を用いて説明したように、ステップS12において高周波のノイズが取り除かれることによって得られた滑らかな回転速度の振動成分に基づいて、各車輪5L,5R,14L,14Rのうち最も遅く回転している車輪を確実に選択するためである。
また、第4車速輪の回転速度である第4車輪速度が選択されるのは、ABS30が作動している車輪は他の車輪よりも回転速度が必然的に遅くなるため、最も遅く回転している車輪は、ABS30が作動している可能性が他の車輪に対して最も高いからである。
次に、第4車輪速度に対して車輪回転速度の単位時間当たりの変化量(振動成分)を算出する処理である変化速度演算処理を施す〔図2のステップS14(第1のステップ)および図4(C)参照〕。
このような処理を行なうのは、以下のような理由による。つまり、もし、上記のステップS13において選択された車輪(ここでは、第4車速輪である左後輪14L)に対してABS30が作動しているのであれば、当該車輪は、その回転速度が基準車輪速や前後加速度センサの出力値などに基づき算出される推定車体速度に対して所定値以上に乖離して制動力が低減し、その後車輪回転速度が推定車体速度近傍の値になると低減していた制動力が復帰するという制動動作が繰り返し行なわれることになる。このため、ABS30が作動中である車輪の回転速度は周期的に大きく変化することとなり、この周期毎の車輪の回転速度の変化を算出することでABS30の作動状態を判定することができるのである。
そして、ステップS14における変化速度演算処理の結果〔図4(c)参照〕に対してハイパスフィルタ(HPF)処理を施して低周波ノイズ(所定の低周波成分)を遮断し〔図2のステップS15(第3のステップ)および図5(A)参照〕、その後、このハイパスフィルタ処理の結果の絶対値を算出して〔ステップS16(第4のステップ;図5(B)参照)変化速度の大きさが得られるようになっている。
その後、図5(C)に示すように、上記のステップS16において得られたハイパスフィルタ処理結果の絶対値に対して、さらにローパスフィルタ処理を施すことによって当該絶対値をなます〔ステップS17(第5のステップ;図5(C)参照)ことによって得られた結果を、ABS30が作動中であるか否か(即ち、ABS30の作動状態)の判定に用いられる指数とする。なお、この指数を以下、「ABS作動判定指数」という。これは、上記のステップS14での変化速度演算処理時において、図5(B)を用いて説明したように、ABS30が作動している車輪14Lの変化速度は一時的にゼロ、または、きわめて小さい値が算出されることが考えられるからであり、このような特異点を排除するべく、ローパスフィルタ処理を行なうのである。
ここで、図7を用いて、上記のステップS12におけるローパスフィルタ処理のフィルタ周波数f2および、ステップS15におけるハイパスフィルタ処理のフィルタ周波数f1について説明しておくと、まず、低周波ノイズを除去するハイパスフィルタのフィルタ周波数f1は、高い摩擦係数の路面(高μ路;例えば乾いたアスファルト路など)を車両1が走行していてABS30が作動した場合に生じる速度変化周波数の下限となる周波数に設定される。
また、高周波ノイズを除去するローパスフィルタのフィルタ周波数f2は、低い摩擦係数の路面(低μ路;例えば、圧雪路や凍結路など)を走行していてABS30が作動した場合に生じる速度変化周波数の上限となる周波数に設定される。
これは、ABS30が作動している場合に生じる速度変動周波数(振動成分)は、路面の摩擦係数に応じてシフトするためである。なお、中程度の摩擦係数の路面(中μ路;例えば、濡れたアスファルト路など)を走行中にABS30が作動した場合に生じる車輪の速度変動周波数は、上述した高μ路の場合と低μ路の場合との中間であるので、フィルタ周波数f1,f2を設定するには、高μ路および低μ路の走行における車輪の速度変動周波数についてのみ留意すればよい。
そして、図6に示すように、このABS作動判定指数が上限閾値(第1の所定値)HG1を超えるほどに大きければ、ABS30の作動時に見られる周波数帯の振動が発生している、即ち、ABS30が作動していると判定されるようになっている。一方、ABS作動判定指数が上記の閾値HG1よりも低い閾値(第2の所定値)HG2を下回るようであればABS30が非作動であると判定されるようになっている。なお、これらの閾値HG1,HG2は実験によって求められる値である。
そして、ABS作動判定手段27によりABS30が作動していると判定された場合、駆動力配分ECU18は、ABS30の効果を妨げないように、駆動力配分機構(左右輪駆動力配分機構15および前後輪駆動力配分機構16)に対する制御モードをABS対応モードに切り換えて制御するようになっている。なお、ABS30の効果を妨げない駆動力配分システムの制御についての技術は公知のものであるので、ここではその説明を省略する。
また、ABS作動判定指数が下限閾値HG2以下であると判定された場合には下限閾値HG2以下となった時点から(図6中矢印c参照)、所定時間Tが経過したか否かが判定される。ここで、所定時間Tが経過したと判定された場合には、ABS作動判定手段27によりABS30は非作動であると判定される。つまり、この所定時間Tが設定されることによって、より確実にABS30の非作動判定を行なうことができるようになっている。
また、ABS作動判定指数が上限閾値HG1を下回った場合であっても、下限閾値HG2を上回っている場合には(図6中矢印aおよび矢印b参照)、前回の判定結果が「ABS作動中」であれば、ABSが作動しているという判定結果を維持するようになっている。これにより、例えば、ABS作動判定指数が上限閾値HG1を超えたり下回ったりふらついたような場合であっても、下限閾値HG2以上であれば、前回の判定結果である「ABS作動中」が、そのまま維持されるので、ABS30の作動判定のハンチングを防ぐことができるようになっている。
また、ABS作動判定手段27による判定処理は、運転者がブレーキペダル26を踏み込んだ場合、即ち、制動操作(ブレーキング)が行なわれたことがブレーキスイッチ25によって検出された場合にのみ作動するようになっている。これにより、もし、車輪5L,5R,14L,14Rのうち少なくとも1輪が空転したような状況でABS作動判定指数が上限閾値HG1を上回る状況だとしても、ブレーキペダル26は踏み込まれていない場合には、ABS30の作動判定は行なわれない。したがって、このような場合であっても、駆動力配分ECU18は、駆動力配分機構15,16を通常モードで制御することで車両1のトラクションを確保することができるとともに、走行安定性の低下を防止することができる。つまり、ブレーキペダルが踏み込まれていない場合の不要なABS30の作動判定を防止しながら、確実にABS30の作動/非作動の判定が行なわれるようになっている。なお、上述したアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置と駆動力配分機構15,16と、駆動力配分機構制御手段18とにより、駆動力配分制御装置が構成されている。
本発明の一実施形態に係るアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置およびアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法は上述のように構成されているので、その作用・効果について説明すると以下のようになる。
図3に示すように、まず、ステップS21において、ブレーキスイッチ25がオンであるか否かが判定される。ここで、ブレーキスイッチ25がオフである場合には(Noルート参照)、制動操作が行なわれていないため、ABS作動判定手段27によってABS30は非作動であると判定される(ステップS28)。一方、ステップS21において、ブレーキスイッチ25がオンであると判定された場合とは制動操作が行なわれている場合であり(Yesルート参照)、このとき、上述したABS作動判定指数が算出され、このABS作動判定指数が上限の閾値HG1以上であるか否かが判定される(ステップS22)。
このステップS22において、ABS作動判定指数が上限閾値HG1以上である場合には(Yesルート)、ABS作動判定手段27によりABS30が作動していると判定され(ステップS25)、当該判定がなされた場合、駆動力配分ECU18は、ABS30の効果を妨げないように、駆動力配分機構(左右輪駆動力配分機構15および前後輪駆動力配分機構16)を制御する。つまり、ABS作動判定指数が上限閾値HG1以上である場合には、ABS30の作動中に見られる特有の速度振動が生じていると判定するのである。
一方、ABS作動判定指数が上限のHG1未満である場合には、ステップS22からステップS23へ進み、このステップS23において、前記のABS作動判定指数が下限の閾値HG2以下であるか否かが判定される(ステップS23)。
ここでABS作動判定指数がHG2以下であると判定された場合にはステップS24へ進み(Yesルート参照)、下限閾値HG2以下となった時点から、所定時間Tが経過したか否かが判定される。ここで、所定時間Tが経過したと判定された場合には(Yesルート参照)、ABS作動判定手段27によりABS30は非作動であると判定される(ステップS26)。
つまりこのステップS26に該当するということは、第4車輪速度の速度変化演算により算出されたABS作動判定指数が、下限閾値HG2を下回ってから所定時間Tが経過したという状態である。したがって、仮に、なんらかの車輪速度の振動が生じていたとしても、その車輪速度の振動はABS30の作動に起因するものではないと判定された場合である。
一方、ステップS23において、ABS作動判定指数が下限閾値HG2よりも大きいと判定された場合には(Noルート参照)、前回の判定結果が保持される(ステップS27)。なお、車両が走行を開始して最初のブレーキングにおいてステップ27に該当した場合においては、ABS30は非作動である判定される。
したがって、例えば、ABS作動判定指数が上限閾値HG1を下回った場合であっても(ステップS22のNoルート参照)、下限閾値HG2を上回っている場合には、前回の判定結果が「ABS作動中」であれば、ABSが作動しているという判定結果が維持される。このように、本実施形態によれば、図3および図6に示すように、上限閾値HG1と下限閾値HG2との間にヒステリシスが設定されているので、ABSの作動判定のハンチングを防ぐことができる。
上述したように、本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置およびアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法によれば、駆動配分ECU18は、ABSーECU28から作動/非作動を示す信号等を受信することなく、車輪の回転速度の振動成分に基づいて、ABSが作動中であるか否かを判定できる。これにより、ABS−ECU28と駆動力配分ECU18との相互通信が不能となっても、駆動力配分機構15,16に対する制御モードをABS30の作動状態に応じて的確に切り変えることができるので、ABS30の効果を好適に得ることができる。
また、各車輪5L,5R,14L,14Rのうち最も遅く回転している車輪14Lの振動成分に基づいてABS30の作動/非作動を判定することで、各車輪において車輪速度のバラつきがあった場合でも、確実にABS30の作動/非作動を判定することが可能となる。
また、各車輪速度という計測が比較的容易なファクターに基づいて確実にABSの作動/非作動を判定することができる。
また、ドライバが制動動作を行なった場合にのみABS30の作動判定を行なうので制御負荷が低減され、ABS作動判定手段27は、小さな消費電力で効率良くABS30の作動/非作動を判定することができる。
また、駆動力配分ECU18がABS作動判定手段27を内蔵しているので、駆動力配分ECU18は確実且つ適切にABS30の作動状況に応じて制御モードを切り換えて、駆動力配分機構15,16を制御することが可能となる。
そして、本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法によれば、第1のステップ(ステップS14)で車輪5L,5R,14L,14Rのいずれかの回転速度の振動成分を抽出し、第2のステップ(ステップS15〜S17)で、第1のステップにおいて得られた振動成分に基づいてABS作動判定指数を算出するという、確実且つ簡素な手法で、ABS30の作動状態を判定することができる。
これにより、ABS30が非作動中である場合にABSの効果を妨げる制御を行なう機器である駆動力配分機構15,16の信頼性を向上させることで、適時且つ確実にABS30の効果を得ることができ、車両1の安全性や走行安定性を大幅に向上させることが可能となる。また、ABS30の作動に基づいて作動するように設定した種々の車載機器(例えば、ABSインジケータ,プリテンショナ付シートベルトなど)の信頼性も高めることができる。
また、上記の第2のステップが、振動成分である車輪回転速度の変化に対してハイパスフィルタを施して所定の低周波成分を遮断する第3のステップ(ステップS15)と、第3のステップで得られた変化速度の絶対値を算出する第4のステップ(ステップ16)と、第4のステップで得られた変化速度の絶対値にローパスフィルタを施して所定の高周波成分を遮断する第5のステップ(ステップS17)とを有しているので、高い精度で上記のABS作動判定指数を算出することが可能である。
また、上記の作動判定指数が、上限閾値HG1よりも大きい場合にABS30が作動していると判定し、一方、上記の作動判定指数が上限閾値HG1よりも小さい下限閾値HG2以下である場合に、ABS30が非作動であると判定することにより、ABS30が作動中であるか否かを確実に判定し、さらに当該判定のハンチングを防ぐことが可能である。
また、上記の作動判定指数が上限閾値HG1よりも小さく且つ、この上限閾値HG1よりも小さい下限閾値HG2よりも大きい場合には、前回の判定結果が維持されることにより、ABS30が作動しているか否かを正確に判定し、さらに当該判定のハンチングを防ぐことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
上述の実施形態においては、駆動力配分ECU18にABS作動判定手段27を内蔵するように構成したが、このような構成に限定するものではなく、独立して設けてもよいし、他の装置(例えば、変速機など)のECUに設けてもよい。
また、上述の実施形態においては、最も回転速度の遅い車輪の回転速度に基づいてABS作動判定指数を算出し、これに基づいてABSの作動判定を行なう場合について説明したが、2番目に遅い車輪の回転速度に基づいてABS作動判定指数を算出してABS作動判定を行なうようにしてもよい。また、最も回転速度の遅い車輪の回転速度と2番目に遅い回転速度との双方に基づいてABS作動判定指数を算出してABS作動判定を行なうようにしてもよい。
さらには、全ての車輪の各回転速度に基づき、車輪毎にABS作動判定指数を算出し、各車輪のABS作動判定指数の何れかが上限閾値HG1より大きい場合には、ABS30が作動中であると判定するようにしてもよい。
さらに、車両の現在の走行状態や走行中の路面の摩擦係数などを考慮してABS作動判定指数の算出に用いるフィルタの特性が適宜変更されるようにすれば、さらに高い精度でABSの作動を判定することができる。
また、路面の摩擦係数μを検出または推定する摩擦係数検出手段を備え、この摩擦係数検出手段によって検出または推定されるμに応じて、ABS作動判定指数の閾値(上限閾値HG1,下限閾値HG2)を変更するようにしてもよい。この場合、路面摩擦係数μが高い場合には閾値を大きく設定し、路面摩擦係数μが低い場合には閾値を小さく設定することにより、より高い精度でABSの作動を判定することができる。
また、上述の実施形態においては、4輪の車両にABS作動判定装置を適用した場合を例にとって説明したが、例えば3輪以下の車両や5輪以上の車両に本発明のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置を適用しても、同様の効果が得られる。
駆動力配分システムとABSとの組み合わせに限らず、ABSの作動に応じて動作する種々な装置において広く適用可能である。また、航空機などに装備されているABSが作動しているか否かを判定するように利用することも可能である。
本発明の一実施形態に係るアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置を模式的に示すブロック構成図である。 本発明の一実施形態に係るアンチスキッドブレーキシステムの動作およびアンチスキッドブレーキシステムならびに駆動力配分制御装置を模式的に示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るアンチスキッドブレーキシステムの動作およびアンチスキッドブレーキシステムならびに駆動力配分制御装置を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るアンチスキッドブレーキシステムの動作およびアンチスキッドブレーキシステムならびに駆動力配分制御装置による、アンチスキッドブレーキシステムの作動判定処理を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係るアンチスキッドブレーキシステムの動作およびアンチスキッドブレーキシステムならびに駆動力配分制御装置によるアンチスキッドブレーキシステムの作動判定処理を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係るアンチスキッドブレーキシステムの動作およびアンチスキッドブレーキシステムならびに駆動力配分制御装置によるアンチスキッドブレーキシステムの作動判定処理を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係るアンチスキッドブレーキシステムの動作およびアンチスキッドブレーキシステムならびに駆動力配分制御装置によるアンチスキッドブレーキシステムの作動判定処理におけるフィルタ周波数を説明するための模式図である。
符号の説明
1 車両
5 前輪(車輪)
5L 左前輪(車輪)
5R 右前輪(車輪)
14 後輪(車輪)
14L 左後輪(車輪)
14R 右後輪(車輪)
15 左右輪駆動力配分機構(駆動力配分機構)
16 前後輪駆動力配分機構(駆動力配分機構)
18 駆動力配分ECU(駆動力配分制御手段)
19FL,19FR,19RL,19RR 車輪速度センサ(車輪速度検出手段)
19 車輪速度センサ(車輪速度検出手段)
27 ABS作動判定手段(判定手段)
30 アンチスキッドレーキシステム(ABS)
S14 第1のステップ
S15 第3のステップ(第2のステップ)
S16 第4のステップ(第2のステップ)
S17 第5のステップ(第2のステップ)

Claims (9)

  1. 車両に設けられ、制動時に各車輪のスリップ状態が好ましい状態となるように該各車輪の制動状態を制御するアンチスキッドブレーキシステムと、
    該車輪の回転速度を検出する車輪速度検出手段と、
    該車輪速度検出手段によって検出された該車輪の回転速度の振動成分に基づいて該アンチスキッドブレーキの作動状態を判定する判定手段とをそなえた
    ことを特徴とする、アンチスキッドブレーキシステム作動判定装置。
  2. 該判定手段が、該車輪速度検出手段によって検出された該各車輪の回転速度のうち、最も小さい車輪回転速度および2番目に小さい車輪回転速度のうちの少なくとも一方の車輪の回転速度の振動成分に基づき該アンチスキッドブレーキシステムの作動状態を判定する
    ことを特徴とする、請求項1記載のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置。
  3. 該判定手段は、該車輪速度検出手段によって検出された該車輪の回転速度の変化に基づいて、該車輪の振動成分を得る
    ことを特徴とする、請求項2記載のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置。
  4. 該判定手段は、制動操作が行なわれたことが検出された場合にのみ該アンチスキッドブレーキシステムの作動状態を判定する
    ことを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のアンチスキッドブレーキシステム作動判定装置をそなえるとともに、
    該車両の左右輪または前後輪への駆動力を可変的に分配する駆動力配分機構と、
    該駆動力配分機構の作動を制御する駆動力配分機構制御手段とをそなえ、
    該駆動力配分機構制御手段は、該判定手段によって判定された該アンチスキッドブレーキシステムの作動状態に応じて該駆動力配分機構を制御する
    ことを特徴とする、駆動力配分制御装置。
  6. 車両に設けられ、制動時に車輪のスリップ状態が好ましい状態となるように該車輪の制動状態を制御するアンチスキッドブレーキシステムの作動判定方法であって、
    該車輪の回転速度の振動成分を抽出する第1のステップと、
    該第1のステップで得られた振動成分の大きさに基づいてアンチスキッドブレーキシステム作動判定指数を算出し、算出された該作動判定指数に基づいて該車両のアンチスキッドブレーキシステム作動状態を判定する第2のステップとを有する
    ことを特徴とする、アンチスキッドブレーキシステム作動判定方法。
  7. 該振動成分が、該車輪の回転速度の変化速度であって、
    該第2のステップが、
    該変化速度にハイパスフィルタ処理を施して所定の低周波成分を除去する第3のステップと、
    該変化速度の絶対値を算出する第4のステップと、
    該変化速度の絶対値にローパスフィルタ処理を施して所定の高周波成分を除去する第5のステップとを有し、
    該第5ステップで得られた値に基づき、該アンチスキッドブレーキシステム作動判定指数を算出する
    ことを特徴とする、請求項6記載のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法。
  8. 該作動判定指数が第1の所定値よりも大きくなると該アンチスキッドブレーキシステムが作動していると判定し、
    該作動判定指数が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下となると、該アンチスキッドブレーキシステムが非作動であると判定する
    ことを特徴とする、請求項6又は7記載のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法。
  9. 該車輪が複数設けられ、
    該第1のステップにおいて、各車輪の回転速度のうち最も小さい車輪回転速度および2番目に小さい車輪回転速度のいずれか一方の車輪回転速度に基づいて該振動成分が抽出される
    ことを特徴とする、請求項6〜8のうちいずれか1項に記載のアンチスキッドブレーキシステム作動判定方法。

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