JP4193118B2 - 金属アルコキシドの成膜方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属アルコキシドの成膜方法に係り、特にステンレス鋼表面へ金属アルコキシドの分子膜を成膜する金属アルコキシドの成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタのヘッドはノズルプレートを有し、このノズルプレートにインクを噴出するための微細なインク吐出口が微小間隔を隔てて複数形成されている。このノズルプレート表面にインクが付着すると、その後に噴出されたインクが付着インクの表面張力や粘性等の影響を受けて噴出軌道が曲げられてしまい、所定の位置にインクを塗布することができなくなるという問題がある。このため、ノズルプレート表面にインクの付着を防止する撥液処理をする必要がある。
【0003】
この撥液処理の方法として次の技術が挙げられる。撥液性を有するシランカップリング剤、例えばアルコキシシラン溶液に室温のノズルプレートを数十秒間浸漬させる。このときのアルコキシシランの温度は室温程度である。次に、浸漬させているノズルプレートを数mm/sec.程度の速さで引き上げて、表面にアルコキシシランの重合した単分子膜を成膜する。そして、このノズルプレートを室温で一昼夜乾燥させて溶媒を気化し、金属表面に撥液性を有する単分子膜を得る。
【0004】
また他の方法として特許文献1の技術が挙げられる。この技術は含フッ素高分子化合物およびフッ素置換炭化水素基とシラザン基もしくはアルコキシシラン基もしくはハロゲン化シラン基とを有する化合物との混合物に吸収体を浸漬して引き上げ、この吸収体をノズルプレートに押付けながら移動させることにより塗布を行う。塗布が完了したノズルプレートは150℃、1時間の熱乾燥・硬化を行い、撥液膜を得ている。
【0005】
さらに他の方法として特許文献2の技術が挙げられる。この技術はノズルプレートの撥液性を必要としない部分にアルミニウムのマスクを形成して、フッ化炭素系及びクロロシラン基を含む物質の溶液に2時間ほど浸漬し、ノズルヘッド及び前記アルミニウム薄膜表面上に単分子膜を成膜する。そして、前記アルミニウム薄膜をエッチングすることにより、ノズルヘッド表面に撥液性を有する単分子膜を得る技術である。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−116309号公報
【特許文献2】
特開平5−116324号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェットプリンタは待機中にインク吐出口内でインクが固化するために、動作を開始する前に外側からインク吐出口内のインクを吸引している。吸引されたインクがインク吐出口周辺のノズルプレート表面に残っている場合があり、このインクを取り除く作業が必要となる。そこで、ワイピングを行っている。ワイピングはゴム製のワイパを用いてノズル表面をぬぐうようにして行われている。このため、ノズルプレートは耐擦性および耐インク性の試験が行われている。耐擦性試験はインクを含ませた吸収体でノズルプレート表面を擦り、インクがノズルプレート表面に残るかを測定している。また、ノズルプレートの耐インク性試験では、ノズルプレートをインクに浸漬して引き上げるときに、インクがノズルプレート表面から何秒で弾かれるか、また速やかに弾かない場合は60秒後に何%のインクがノズルプレート表面に残っているかを測定している。
【0008】
ところで、ノズルプレートをシランカップリング剤に浸漬させる技術では低密度の単分子膜を成膜することしかできず、耐擦性試験では単分子膜が剥がれてしまい、また耐インク性試験では数十%のインクが残り、十分な撥液性と耐久性を得ることができなかった。
【0009】
また、従来用いられていたインクは染料系のインクであり、溶媒は水であった。このため、分子膜は撥水性を有すれば染料系のインクを弾いていた。しかし、近年はディジタルスチルカメラ等の高画質プリントに対応するために、顔料系のインクが用いられるようになった。この顔料系のインクの溶媒は樹脂系の分散剤が用いられているために、分子膜には撥水性および撥油性の両方の性質を有することが求められている。ところが、特許文献1および特許文献2に記載された膜は撥液性および撥油性の両方を有しておらず、分子膜が濡れる問題があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するために、ノズルプレート等のステンレス鋼表面に成膜する金属アルコキシド分子膜の厚膜化および高密化を図り、従来のように長時間の重合時間を必要としない金属アルコキシドの成膜方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る金属アルコキシドの成膜方法は、加熱した金属を金属アルコキシド溶液に浸漬して、前記金属に金属アルコキシドの重合した分子膜を成膜することを特徴としている。金属を金属アルコキシドに浸漬すると、金属表面に金属アルコキシドが重合した分子膜を成膜することができる。また均一な膜厚の分子膜を得ることができる。
【0012】
また、前記金属はステンレス鋼である。これにより、ステンレス鋼の表面に金属アルコキシドの重合した分子膜を成膜できる。
また、前記加熱した金属の温度は200℃以上400℃以下とすることが必要である。これにより、金属を金属アルコキシド溶液に浸漬させると、すぐに金属表面に金属アルコキシドの重合した分子膜を成膜することができるため、金属に前記分子膜を成膜する時間を短縮できる。また厚く高密度な分子膜を得ることができる。このため、耐擦性にすぐれた分子膜を得ることができる。これに対して、金属を200℃未満または400℃より高い温度で加熱すると撥液性が悪くなり、濡れが生じてしまう。
【0013】
また、前記金属アルコキシドは撥液性および撥油性を有する構成とできる。これにより、金属表面を撥液性および撥油性にすることができる。
また、前記金属アルコキシドはフッ素を含む長鎖高分子化合物を有するシランカップリング剤とできる。これにより、分子膜は少ない化学反応で成膜できるので、短時間で分子膜を得ることができる。またフッ素を含む長鎖高分子化合物は撥液性および撥油性を有するので、金属表面を撥液性および撥油性にすることができる。また長鎖高分子化合物は複雑に絡み合った状態で分子膜を形成しているので液体が浸透しにくく、長期間にわたって撥液性および撥油性を維持できる。
【0014】
また、前記金属アルコキシドは撥液基を有する金属酸塩にできる。この金属酸塩は撥液基を有しているので、金属表面を撥液性および撥油性にすることができる。
また、前記金属アルコキシドは親液性とする構成とできる。金属表面に親液性の分子膜を成膜するので、金属表面を親液性にすることができる。
【0015】
本発明はインクジェットプリンタヘッドのノズルプレートに適用できる。上述した金属アルコキシドの成膜方法を用いて撥液性および撥油性の分子膜を成膜すればよい。ノズルプレートには撥液性および撥油性の分子膜が厚く高密度に成膜されているので、長期間にわたって撥液性および撥油性を維持できる。また分子膜は高密度のために耐擦性に優れている。
【0016】
また、インクジェットプリンタヘッドのノズルプレートの表面およびノズルプレートに形成されたインク吐出口内部にも、上述した金属アルコキシドの成膜方法のいずれかを用いて分子膜を成膜させることができる。これにより、ノズルプレートの表面およびインク吐出口内部にも均一で、高密度な撥液性および撥油性を有する分子膜を成膜できる。
【0017】
インクジェットプリンタヘッドは、上述したノズルプレートを用いて形成するようにすればよい。これにより上記各特性を有するインクジェットプリンタヘッドを提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る金属アルコキシドの成膜方法について説明する。なお、以下に記載するものは本発明の実施の一形態にすぎず、本発明はこれに限定されるものでない。
【0019】
図1にインクジェットプリンタヘッド10の断面図を示す。インクジェットプリンタヘッド10にはインクをヘッド内部へ導入するインク導入口12が設けられている。このインク導入口12はインク溜り14と接続しており、このインク溜り14においてインクを溜めるように形成されている。また、インク溜り14は圧力室16と連通しており、圧力室16のインク吐出側はノズルプレート18に設けられたインク吐出口20と接続している。
【0020】
また、圧力室16の壁面の一部には圧力を加えられる構成となっている。この構成は、例えば、圧力室16の壁面の一部を振動板で形成するとともに、その外側に励振電極17を設ける。そして励振電極17に電圧を印加すると、静電気力により振動板が振動して、圧力室の内圧が変化する。この内圧によりインクがインク吐出口20より吐出される。
【0021】
また、ノズルプレート18はステンレス鋼で構成されている。このノズルプレート18の表面およびインク吐出口20の内部表面には、撥液性および撥油性を有する金属アルコキシドの分子膜22が成膜されている。この金属アルコキシドの分子膜22は撥液性および撥油性を有していればいかなるものでもよいが、好ましくはフッ素を含む長鎖高分子化合物を有するシランカップリング材料、または撥液基を有する金属酸塩がよい。フッ素を含む長鎖高分子化合物の分子量は数千程度であり、このフッ素を含む長鎖高分子化合物を有するシランカップリング剤として、例えばアルコキシシラン等が挙げられる。また撥液基を有する金属酸塩として、例えばアルミネートおよびチタネート等が挙げられる。
このように構成されるインクジェットプリンタヘッド10を用いて、図2に示すインクジェットプリンタを形成する。
【0022】
次に、ノズルプレート18に金属アルコキシドを成膜する方法を説明する。本実施の形態では金属アルコキシドとして、フッ素を含む長鎖高分子化合物を有するアルコキシシランを用いた例を説明する。このアルコキシシランとして、例えばヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。まず、アルコキシシランをシンナー等の溶媒と混合して0.1wt%の濃度の溶液にする。この溶液に200℃以上400℃以下に加熱されたノズルプレート18を、例えば0.5秒間浸漬する。なお、ノズルプレート18を加熱する温度は、より好ましくは275℃以上350℃以下である。そして浸漬が終了した後、ノズルプレート18を、例えば2mm/sec.程度の速さで引き上げる。
【0023】
図3および図4にノズルプレート18表面にアルコキシシランの重合した分子膜22の概念図を示す。図3はノズルプレート18と分子膜22との結合を示す概念図であり、図4は分子膜22の状態を示す概念図である。ノズルプレート18をアルコキシシラン溶液に浸漬させると、ノズルプレート18の表面およびインク吐出口20の内部表面の全面に隙間なくアルコキシシランの重合した分子膜22が成膜される。この分子膜22のシリコン原子22aは酸素原子を介してノズルプレート18と結合している。またシリコン原子22aと結合する、分子量が1000以上のフッ素を含む長鎖の高分子22b(以下、長鎖RF基という)は表面側に位置している。このとき、分子膜22の状態はシリコン原子22aが三次元的に結合し、長鎖RF基22b同士は複雑に絡み合った状態となっている。このため、分子膜22は高密度な状態となり、分子膜22にインク24が浸透しにくくなる。
【0024】
【実施例】
(実施例1) 次に実施例1について説明する。ノズルプレート18を浸漬して分子膜22を成膜する溶液には、オプツール(商品名:ダイキン工業製のフッ素を含む長鎖高分子化合物)を用いた。この溶液の溶媒の組成は1,1,1,2,2,3,3,4,5,5,5,−ウンデカフルオロ−4−(トリフルオロメチル)ペンタンである。この溶液の濃度は0.1wt%である。この溶液に300℃に加熱されたステンレス鋼製のノズルプレート18を0.5秒程度浸漬し、その後2mm/sec.程度の速さで引き上げる。このようにして、ノズルプレート18表面に分子膜22を成膜する。
【0025】
この分子膜22について、撥液性および撥油性を調べる耐インク性試験およびワイピングによる濡れおよび削れを調べる耐擦性試験を行った。耐インク性試験は60℃に加熱したインクの中に分子膜22を5日間浸漬して、分子膜22の濡れの回復時間を測定した。また耐擦性試験はインクに浸した吸収体で分子膜22の表面を1000回擦り、分子膜22の削れの発生および分子膜22の濡れの回復時間を測定した。この試験に用いたインクは黒(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)および、各色の混合インク(Mix)である。試験結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004193118
〇:回復時間が20秒以内
×:60秒以内に回復しない
表1より、ノズルプレート18を300℃に加熱して溶液に浸漬して成膜された分子膜22は、成膜した初期状態、耐インク性試験後および耐擦性試験後において、全てのインクは20秒以内に濡れが回復することを確認した。また耐擦性試験後には分子膜22の削れの発生を確認できなかった。しかし、ノズルプレート18を加熱しないで溶液に浸漬し、その後乾燥して得られた分子膜は初期状態では20秒以内に濡れが回復したが、耐インク性試験後において全てのインクで60秒以内に濡れが回復しなかった。また耐擦性試験後においては、混合インクが60秒以内に濡れが回復しなかった。
【0026】
次に、ノズルプレート18の加熱する温度を変えて耐インク性試験および耐擦性試験を行った。この結果を表2に示す。
【表2】
Figure 0004193118
〇:濡れが発生しない
△:表面に細かい斑点状の濡れが発生する
×:表面に斑点状の濡れが発生する
表2より、ノズルプレート18を加熱する温度が275℃以上350℃以下のときは、初期状態、耐インク性試験後および耐擦性試験後の全てで濡れが発生しなかった。また、加熱温度が250℃のときは耐擦性試験後に、加熱温度が200℃のときは耐インク性試験後および耐擦性試験後に、表面に細かい斑点状の濡れが発生した。さらに、加熱温度が常温になると耐インク性試験後および耐擦性試験後で表面に斑点状の濡れが発生した。
【0027】
(実施例2) 次に実施例2について説明する。ノズルプレート18を浸漬して分子膜22を成膜する溶液には、X−71−130(商品名:信越化学工業製のフッ素を含む長鎖高分子化合物)を用いた。この溶液の溶媒の組成はパーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メタキシレンヘキサフロライドおよびパーフロロアルカンを混合したものである。この溶液の濃度、ノズルプレート18の加熱温度、浸漬時間および引き上げ速さは実施例1と同様である。
【0028】
そして、成膜された分子膜22について、耐インク性試験および耐擦性試験を実施例1と同様の条件で行った。その結果、ノズルプレート18を300℃に加熱した後に溶液へ浸漬して成膜された分子膜22は、成膜した初期状態、耐インク性試験後および耐擦性試験後において、全てのインクは20秒以内に濡れが回復することを確認した。また耐擦性試験後には分子膜22の削れの発生を確認できなかった。
【0029】
このような実施の形態および実施例によれば、ノズルプレート18を加熱してアルコキシシラン溶液に浸漬すると撥液性および撥油性を有する分子膜22が成膜される。このため、ノズルプレート18を引き上げるときには分子膜22によりアルコキシシラン溶液が弾かれるので、ノズルプレート18を乾燥させる工程を必要としない。また、ノズルプレート18をアルコキシシラン溶液に浸漬させることにより、ノズルプレート18表面およびインク吐出口20の内部表面の全面に隙間なく膜厚の均一な分子膜22を得ることができる。
【0030】
また、ノズルプレート18の加熱温度を200℃以上400℃以下とすることで、重合により得られる分子膜22はシリコン原子22aが三次元的に結合し、長鎖RF基22bが複雑に絡み合った構造を形成できる。これにより、高密度な分子膜22を得ることができる。また得られた分子膜22は濡れが発生せず、または分子膜22の表面に細かい斑点状の濡れが発生するのみであるから、顔料系のインクに対する撥液膜として利用できる。これに対して、ノズルプレート18を200℃未満または400℃より高い温度で加熱すると、ノズルプレート18表面に得られる分子膜は低密度になり、前記分子膜の長鎖RF基が互いに複雑に絡み合わないので解れやすくなる。また得られた分子膜には表面に斑点状の濡れが発生するので、顔料系のインクに対する撥液膜として利用できない。さらに、従来技術ではシリコン原子がノズルプレートと二次元的に結合しているので膜厚が薄くなる。また互いに絡み合った長鎖RF基が液体に浸漬されることにより、絡み合いが解れてしまうので撥液性および撥油性が持続しない。しかし、本実施の形態では、長鎖RF基22bが複雑に絡み合っており、液体に浸漬しても長鎖RF基22bが解れない。このため、インク24の成分は分子膜22の内部に浸透しにくくなり、長期間にわたって撥液性および撥油性を有することができる。
【0031】
また、ノズルプレート18と分子膜22とは重合反応により強固な化学結合となるために、高い密着性を長期にわたり得ることができる。このため、インクジェットプリンタの印刷時に行うワイピングを繰り返しても、分子膜22がノズルプレート18から剥がれることがなく、長期にわたり撥液性およぶ撥油性を有することができる。また分子膜22はインクが付着してもすぐに弾く。このため、インクジェットプリンタの印刷を開始するときに行うワイピングに、付着したインクを取り除く特別な技術を必要とせず、簡易にワイピングを行うことができる。
【0032】
また、アルコキシシラン溶液の濃度は0.1wt%であり、この濃度で高密度な分子膜22を成膜できる。これに対して、従来技術に用いられる溶液の濃度は0.3wt%程度であり、この溶液から得られる分子膜は本実施の形態に比べて膜厚が薄く密度が低い。このため、本実施の形態に係る金属アルコキシドの成膜方法は低コストで成膜を行える。
【0033】
また、アルコキシシラン等の長鎖RF基を有するシランカップリング剤を使用するために、成膜に多くの化学反応を必要としない。そしてノズルプレート18を加熱してアルコキシシラン溶液に浸漬させるために、ノズルプレート18の表面にアルコキシシランの重合する時間が短くなり、従来技術に比べて長時間の重合時間を必要としない。
【0034】
図2にインクジェットプリンタヘッド10を用いたインクジェットプリンタの一例を示す。本発明の撥液処理を行ったノズルプレート18は耐久性に優れており、耐有機溶剤性に優れた分子膜22が成膜されたものは工業用途にも利用できる。
【0035】
本実施の形態では、ステンレス鋼を用いたノズルプレート18をシランカップリング剤の溶液に浸漬させる形態として説明したが、他の形態としてノズルプレート18の材料にステンレス鋼以外の金属、例えば、ニッケルや鉄など、すべての金属に適用できる。また材料には金属以外の物質、例えばガラス等も用いることができる。
【0036】
また、本実施の形態では撥液性および撥油性を有する金属アルコキシドを用いた形態として説明したが、他の形態として親液性の金属アルコキシドにも適用できる。親液性の金属アルコキシドの分子膜を、例えば材料と接着剤との間に成膜することにより接着剤の接着強度を向上させることができる。この親液性の金属アルコキシドとして、アミノ基を有するシランカップリング剤、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係るインクジェットプリンタヘッドの説明図である。
【図2】 本実施の形態に係るインクジェットプリンタの斜視図である。
【図3】 本実施の形態に係る分子膜の結合の概念図である。
【図4】 本実施の形態に係る分子膜の状態の概念図である。
【符号の説明】
10………インクジェットプリンタヘッド、12………インク導入口、14………インク溜り、16………圧力室、18………ノズルプレート、20………インク吐出口、22………分子膜。

Claims (5)

  1. 200℃以上400℃以下に加熱したステンレス鋼を金属アルコキシド溶液に浸漬して、前記ステンレス鋼表面に金属アルコキシドの重合した分子膜を成膜することを特徴とする金属アルコキシドの成膜方法。
  2. 前記金属アルコキシドは撥液性および撥油性を有することを特徴とする請求項1に記載の金属アルコキシドの成膜方法。
  3. 前記金属アルコキシドはフッ素を含む長鎖高分子化合物を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の金属アルコキシドの成膜方法。
  4. 前記金属アルコキシドは撥液基を有する金属酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の金属アルコキシドの成膜方法。
  5. 前記金属アルコキシドは親液性を有することを特徴とする請求項1に記載の金属アルコキシドの成膜方法。
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