JP4192404B2 - ソレノイド装置および鍵盤楽器の自動演奏装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数のソレノイドユニットを支持体に支持したソレノイド装置、およびこのソレノイド装置を備えた鍵盤楽器の自動演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動演奏ピアノは、通常のピアノと同様に、回動自在に支持された複数の鍵と、これらの鍵の回動に応じて打弦するハンマアクション機構とを有すると共に、これらの構成に加えてフロッピーディスク等の記憶媒体から再生される演奏データに従って各鍵の押鍵を行う自動演奏装置を備えている。そして、この自動演奏装置はソレノイド装置によって構成されている。
【0003】
このソレノイド装置は、ピアノの棚板に設けられた支持体と、この支持体に設けられ、自動ピアノの各鍵に対応したソレノイドユニットとによって構成されている。これらのソレノイドユニットは、鍵を押鍵するプランジャと、該プランジャを軸方向に移動させるソレノイドと、該ソレノイドの磁路をなすヨークとを具備している。そして、これらのソレノイドユニットは、自動演奏ピアノの各鍵の奥側に位置し、各プランジャが各鍵の回動端部に対向するように配置されている。
【0004】
このように構成される自動演奏ピアノにおいては、演奏データに従って、ある鍵に対応したソレノイドに電流を供給すると、この結果発生する磁界により、プランジャが鍵の回動端部に突き当てられ、押鍵動作が行われる。
【0005】
この種の自動演奏ピアノに用いられるソレノイド装置としては、特開平9−237082号公報等(以下、従来技術という)に開示されているように、平面視した場合、ソレノイドユニットを千鳥状に配設したものがある。
【0006】
ここで、この従来技術のソレノイド装置について図16および図17に基づいて説明する。
ソレノイド装置100は、ピアノの棚板101に形成された収納孔102内に配設されている。また、ソレノイド装置100は、支持体110と、この支持体110に取り付けられ、鍵103にそれぞれ対向した複数個のソレノイドユニット120とによって構成されている
【0007】
支持体110は、各鍵103の配列方向に延びるベースプレート111と、中央プレート112とを備えている。また、支持体110は、ねじ止めされたブラケット113を介して棚板101に取り付けられている。
【0008】
ソレノイドユニット120は、磁性材料からなり磁路の主部を形成するヨーク121と、このヨーク121に組み込まれたソレノイド122と、このソレノイド122に嵌挿されたプランジャ123とから構成されている。
ヨーク121は、全体として略コ字状の両端に鍔121Aが形成された断面形状を有している。
【0009】
ソレノイドユニット120は、中央プレート112にねじ125によって取り付けられている。この取付手順は次のようになる。
まず、ヨーク121の鍔部121Aに形成したねじ孔が中央プレート112に形成した長孔に合うように、ヨーク121を位置決めする。次に、鍵103の回動端部にプランジャ123が位置するように位置合わせする。そして、ねじ125を、中央プレート112に対してソレノイドユニット120の反対側から、長孔を挿通した上でねじ孔に螺合する。このようにして、ソレノイドユニット120を鍵103に対向させて中央プレート112に適宜固定する。
また、鍵103に対するプランジャ123の位置を調整する場合には、ねじ125を緩め、長孔に沿って中央プレート112に対するヨーク121の取付位置を調整する。このソレノイド装置100では、図18に示すように、各ソレノイドユニット120が千鳥状に配置されることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したソレノイド装置においては、支持体110をなす中央プレート112にソレノイドユニット120を固定するのに、ねじ125を使用していた。このため、支持体110に対してソレノイドユニット120を組み付けるときに時間と労力が必要となり、作業効率が悪くなる。
【0011】
また、ソレノイドユニット120を単体で交換するに当たって、例えば図17に示すように、隣り合うソレノイドユニット120間に隙間が少ない場合、あるソレノイドユニット120をプレート本体131に固定するねじ125は、このソレノイドユニット120の反対側に位置したソレノイドユニット120が邪魔して容易に緩めることができない。このため、従来技術では、ソレノイドユニット120の交換を容易に行うことができなかった。
【0012】
さらに、支持体110は、ベースプレート111と中央プレート112とを組み立てることによって形成されているため、支持体110自体を組み立てるのに時間と労力が必要となる。
【0013】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造でソレノイドユニットを支持体に支持すると共に、ソレノイドユニット単体での交換を容易にしたソレノイド装置および鍵盤楽器の自動演奏装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の発明は、複数のソレノイドユニットと、該複数のソレノイドユニットを1列または複数列で支持する支持体とを備えるソレノイド装置において、
前記支持体に形成され、前記複数のソレノイドユニットの配列方向に延びる1本または複数本のガイドレールと、
該ガイドレールに当接すべく、前記複数のソレノイドユニットから突出した突起と、
前記各突起を前記ガイドレールに押し付けて固定する押付部材と、を具備し、
前記ガイドレールは、前記各突起を挟み込む対向した壁を有し、
前記押付部材は、前記各壁間に前記各突起を挿入した後に形成される該各突起と一方の壁との隙間に挟み込まれ、前記複数のソレノイドユニットの配列方向に延びるスペーサと、該スペーサを他方の壁に向けて押圧させる押圧手段と、を具備したことを特徴としている。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のソレノイド装置において、
前記押圧手段は、前記ガイドレールの一方の壁の所定位置に穿設されたねじ孔と、先端が他方の壁に向くように、該ねじ孔に螺合されたねじと、を具備したことを特徴としている。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のソレノイド装置において、
前記押圧手段は、前記スペーサに設けた弾性体であることを特徴としている。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のソレノイド装置において、
前記押圧手段は、ガイドレールの一方の壁の所定位置に穿設されたねじ孔と、先端が他方の壁に向くように、該ねじ孔に螺合されたねじと、前記スペーサに設けた弾性体と、を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1記載のソレノイド装置において、
前記押付部材は、前記複数のソレノイドユニットの配列方向に延び、前記ガイドレールとの間で前記各突起を挟み込むスペーサと、該スペーサをガイドレールに向けて押圧させる押圧手段と、を具備したことを特徴としている。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項1記載のソレノイド装置において、
前記ガイドレールおよび前記各突起には位置決め手段を設けたことを特徴としている。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のソレノイド装置において、
前記位置決め手段は、前記ガイドレールに形成され、前記複数のソレノイドユニットの配列方向に延びる係合部と、前記各突起のうち該係合部に対向する位置に形成した被係合部と、を具備したことを特徴としている。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載のソレノイド装置において、
前記ソレノイドユニットは、プランジャと、該プランジャを軸方向に移動させるソレノイドと、前記プランジャと共に該ソレノイドの磁路の一部をなすヨークとを具備し、前記突起を前記ヨークに形成したことを特徴としている。
【0025】
請求項9記載の発明は、演奏データに基づいて、複数のソレノイドユニットを適宜駆動させることにより、各鍵を突き上げて演奏を行う鍵盤楽器の自動演奏装置であって、前記各鍵に前記各ソレノイドユニットがそれぞれ対向するように前記支持体を棚板に設けることによって、請求項1記載のソレノイド装置が組み込まれたことを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態について説明する。
【0027】
1.第1の実施形態
まず、図1は、本発明による第1の実施形態に係るソレノイド装置が組み込まれた鍵盤楽器(例えば、グランドピアノ)の自動演奏装置の構成を示す断面図である。
【0028】
1−1.全体構成
図1において、鍵1は、棚板2の上に図示せぬバランスピンを介して回動自在に支持されている。演奏者は、この鍵1の前端部(図示せず)を押鍵して演奏する。このような鍵1が図の紙面垂直方向に複数並設されている。
【0029】
鍵1の後端部の上方には、鍵1の動作に応じて弦を打撃する公知のハンマアクション機構(図示せず)が各鍵1に対応して設けられている。また、棚板2における鍵1の後端部の下方には、鍵1の配列方向に伸びる収納孔3が形成されており、この収納孔3に各鍵1に対応して設けられるソレノイドユニット30を有するソレノイド装置10が自動演奏装置として収納されている。
このソレノイド装置10は、鍵1の配列方向に沿って延在する固定ブラケット4および底板5によって、収納孔3内に収納されている。また、このソレノイド装置10の各ソレノイドユニット30は、鍵1の配列方向に対応した千鳥状に固定配置されることになる(図2参照)。
また、棚板2にはブラケット6を介して基板7が固定され、この基板7に実装された給電回路8には、リード線9を介してソレノイドユニット30がそれぞれ接続されている。
【0030】
1−2.ソレノイド装置の構成
ソレノイド装置10は、図2および図3に示すように、鍵1の配列方向に沿って延在する支持体20と、この支持体20に取り付けられた複数個のソレノイドユニット30と、スペーサプレート39と、セットスクリュ40とによって構成されている。
【0031】
1−2−1.支持体の構成
まず、支持体20の構成について説明する。
支持体20は、図3および図4に示すように、ベース板21、ガイドレール22,22、位置決め凹溝24,24等からなる。また、支持体20は、アルミニウムの押出方法によって断面略コ字状に形成されている。
【0032】
ベース板21は、鍵1の配列方向に伸びる板体からなり、幅方向中央部には長手方向に等ピッチでリード挿通孔21Aが形成されている。
各ガイドレール22は、ベース板21の幅方向両側に位置し、対向して長手方向に伸長する内側壁部23Aと外側壁部23Bとがベース板21から立設して断面略コ字状に形成され、その内側の対向する面が内側壁23Aおよび外側壁23Bとなった凹溝23となる。
この凹溝23内にはソレノイドユニット30の突起32Cが挿入される。図8に示すように、この凹溝23の溝幅寸法はWとなり、スペーサプレートの厚さ寸法はt2となっている。このため、凹溝23の溝幅寸法Wは、厚さ寸法t1の突起32Cと厚さ寸法t2のスペーサプレート39とを凹溝23内に挿入した状態で、スペーサプレート39と外側壁23Bとの間には寸法(W−t2−t1)の隙間が形成されることになる。
【0033】
各位置決め凹溝24は、各凹溝23の内側壁23Aに長手方向に延びて形成されている。この位置決め凹溝24は、ソレノイドユニット30の位置決め凸部32Dが係合されることにより、支持体20に対するソレノイドユニット30の高さ位置が決めるものである。この位置決め凹溝24の深さ寸法はdとなっている(図8参照)。なお、位置決め凹溝24と位置決め凸部32Dとは、この凹凸に限るものでなく、係合と被係合の関係であれば、凹溝23に位置決め突起を形成し、突起32Cに位置決め凹溝を形成してもよい。
また、ガイドレール22には、外側から凹溝23に向けて開口し、セットスクリュ40が螺合されるねじ孔25が、例えば3個のソレノイドユニット30に対して1個の割合で形成されている(図3参照)。
なお、このねじ孔25は、3個のソレノイドユニット30に対して形成するだけでなく、4個以上のソレノイドユニット30に対して形成するようにしてもよい。要は、ねじ孔25の数は、このねじ孔25に螺合されるセットスクリュウ40がスペーサプレート39を押圧することにより、突起32Cを凹溝23の内側壁23Aに向けて強く押し付け、ソレノイドユニット30の移動が規制できる数であればよい。
【0034】
1−2−2.ソレノイドユニットの構成
次に、ソレノイドユニット30について説明する。
ソレノイドユニット30は、図6および図7に示すように、磁性材料からなり磁路の主部を形成するヨーク31と、このヨーク31に組み込まれたソレノイド35と、このソレノイド35に嵌挿されたプランジャ38とから構成されている。
【0035】
ヨーク31は、図7に示すように、垂直板部32Aと水平板部32Bとから断面略L字形状となった第1ヨーク32と、垂直板部33Aと水平板部33Bとから断面略L字状となった第2ヨーク33とが、ねじ34で互いに結合されたものである。ヨーク31は、水平板部32A,33Aとが合わさり、水平板部32B,33Bがほぼ平行となった全体として略コ字状に形成され、一方端(垂直板部32Aの端部)には突起32Cが形成されている。このように、ヨーク31は、垂直板部32A,33A同士を面接触させているから、磁気抵抗の低下を抑えている。
突起32Cには、図8に示すように、ハーフパンチ、或いは別体固着等によって高さ寸法h(h<d)の位置決め凸部32Dが突出形成されている。
【0036】
さらに、図7に示すように、第1ヨーク32のうち、第2ヨーク33と合わさる垂直板部32Aには、一対の位置合わせ凸部32A1がハーフパンチによって上下に位置して形成され、これらの位置合わせ凸部32A1間にはねじ挿通孔32A2が形成されている。また、水平板部32Bにはボビン係合孔32B1が形成されている。
第2ヨーク33のうち、第1ヨーク32と合わさる垂直板部33Aには、各位置合わせ凸部32A1が係合される位置合わせ凹部33A1が上下に位置して形成され、これらの位置合わせ凹部33A1間にはねじ挿通孔32A2と連通するねじ孔33A2が形成されている。なお、本実施形態ではねじ孔33A2としたが単なる挿通孔としてもよい。また、水平板部33Bにはコイルボビン36の環状突起36Eが係合されるボビン挿通孔33B1が形成されている。
【0037】
ソレノイド35は、コイルボビン36と、このコイルボビン36に巻回されたコイル37とによって構成されている。
コイルボビン36は、樹脂材料によって構成され、両端が鍔部36A,36Aとなった筒状の巻回部36Bと、この巻回部36Bから下側に向けて延び、内周面が連続する有底筒状のプランジャ保護筒36Cとからなる。
また、下側に位置した鍔部36Aには、コネクタ部36Dが形成されている。このコネクタ部36Dは、略L字状に形成された一対の金属片が鍔部36A内に埋設されている。さらに、この金属片は、その一方にコイル37の端部が接続され、他方にリード線9を介して給電回路8が接続されている(図1参照)。一方、上側に位置した鍔部36Aの内側には第1ヨーク32のボビン係合孔32B1に係合される環状突起36Eが突出形成されている。
【0038】
プランジャ38は、磁性材料によって形成され、大径なプランジャ部38Aと、このプランジャ部38Aに設けられた小径な突出軸部38Bと、この突出軸部38Bの先端に設けられたプランジャヘッド38Cとからなる。このプランジャヘッド38Cは、プランジャ38が下動したとき、ヨーク31(コイルボビン36の環状突起36E)に当接するこにより、プランジャ38の下側への移動を規制するものである。
【0039】
ここで、支持体20の凹溝23内に突起32Cを容易に挿入するため、図8に示すように、ヨーク31の突起32Cとソレノイド35のプランジャ保護筒36Cとの離間寸法はW1となり、ガイドレール22の内側壁部22Aの厚さ寸法はs1となり、この関係は、W1<s1となっているものの、(W1−s1)<hとなっている。
【0040】
次に、ソレノイドユニット30の組み立て手順を、図7に基づいて説明する。
▲1▼まず、ソレノイド35のプランジャ保護筒36Cを第2ヨーク33のボビン挿通孔33B1に挿入する。
▲2▼ソレノイド35の環状突起36Eを第1ヨーク32のボビン係合孔32B1に係合させると共に、第1ヨーク32の位置合わせ凸部32A1を第2ヨーク33の位置合わせ凹部33A1に係合させる。すると、ねじ挿通孔32A2とねじ孔33A2とが連続する。
▲3▼次に、ねじ34をねじ挿通孔32A2を介してねじ孔33A2に螺合させ、ヨーク31を形成する。これにより、ソレノイド35はヨーク31内に組み込またことになる。
▲4▼最後に、プランジャ38のプランジャ部38Aを、コイルボビン36の巻回部36B、プランジャ保護筒36Cの内周側に挿入する。
このようにして、図6に示すソレノイドユニット30が形成される。
このソレノイドユニット30においては、コイル37に電流が供給されることにより、ソレノイド35から発生する磁気を受けてヨーク31とプランジャ部38Aに磁路が発生する。そして、プランジャ38は、この磁路を受けて、コイルボビン34の開口側(上側)に向けて移動させられる。
【0041】
1−3.ソレノイド装置の組み立て手順
次に、ソレノイド装置10の組み立て手順を、図4に基づいて説明する。
▲1▼支持体20の凹溝23内にソレノイドユニット30の突起32Cを支持体20の長手方向から、ソレノイドユニット30の位置決め凸部32Dを支持体20の位置決め凹溝24に係合させつつ挿入する。各ソレノイドユニット30毎に、この動作を繰り返すことにより、各ソレノイドユニット30の突起32Cは、凹溝23内に挿入される。
この際、位置決め凸部32Dを位置決め凹溝24に係合させることによって、ソレノイドユニット30は支持体20に対する高さ位置が規定される。
また、図8に示すように、位置決め凸部32Dの高さ寸法hと位置決め溝24の深さ寸法dとの関係は、h<dとなっており、突起32Cの一方の側面が凹溝23の内側壁23Aに面接触しているから、ソレノイドユニット30が支持体20に対して仮固定されることになる。この状態で、各鍵1の回動端部にプランジャ38が位置するように、各ソレノイドユニット30を支持体20のガイドレール22に対してスライドさせて位置決めする。
【0042】
▲2▼次に、図4に戻って、凹溝23内に突起32Cを挿入した後に、この突起32Cと外側壁23Bとの間に形成された隙間に、スペーサプレート39を支持体20の長手方向から挿入する。
【0043】
▲3▼最後に、図3に示すように、支持体20の各ねじ孔25にそれぞれセットスクリュ40を螺合する。この際、図8に示すように、セットスクリュ40はスペーサプレート39を突起32Cを介して内側壁23Aに向けて押圧する。これにより、各ソレノイドユニット30の突起32Cは、スペーサプレート39によって強固に内側壁23Aとの間に挟み込まれ、各ソレノイドユニット30が支持体20に位置決めした状態で固定される。
【0044】
また、本実施形態によるソレノイド装置10においては、支持体20の幅方向に2本のガイドレール22を形成しているから、鍵1の鍵割りに対応させて各ソレノイドユニット30が千鳥状に配置される。
【0045】
1−4.第1の実施形態の効果
このように、本実施形態によるソレノイド装置10においては、上述した如く、支持体20に対する各ソレノイドユニット30の組付けを簡単に行うことができる。また、鍵1の配置に対応させてソレノイドユニット30の位置決めを行う場合には、セットスクリュ40を緩めてソレノイドユニット30をガイドレール22に沿って移動させるという簡単な作業で行うことができる。この結果、本実施形態によるソレノイド装置10では、ソレノイドユニット毎に支持体に対してねじ止めを行う作業に比べ、支持体20に各ソレノイドユニット30を組み付けるときの作業効率を大幅に高めることができる。
【0046】
また、支持体20は、アルミニウムの押出による製造方法によって形成されているから、従来技術のように支持体を組み立てる作業を省略することができる。さらに、アルミニウムの金属からなる支持体20は、ヒートシンクとしての機能も備えているため、ソレノイド35に発生する熱を効果的に放出させることができる。
【0047】
2.第2の実施形態
次に、図9および図10に基づいて第2の実施形態によるソレノイド装置を説明する。なお、本実施形態では、前述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0048】
本実施形態の特徴は、図9に示すように、支持体20´に形成された内側壁部22A´の厚さ寸法s1´をs1´<(W1−h)とした点にある。但し、W1は、突起32Cとプランジャ保護筒36Cとの離間寸法、hは位置決め突起32Dの高さ寸法である。また、凹溝23に突起32Cとスペーサプレート39を挿入した後に、スペーサプレート39と外側壁23Bとの間に形成される隙間寸法(W−t1−t2)と、位置決め突起32Dの高さ寸法hとの関係は、(W−t1−t2)>hとなっている。
【0049】
次に、本実施形態によるソレノイド装置の組み立て手順について図10を参照しつつ説明する。
▲1▼支持体20の凹溝23内にソレノイドユニット30の突起32Cを支持体20の上側から挿入し、ソレノイドユニット30の位置決め凸部32Dを支持体20の位置決め凹溝24に係合させる。各ソレノイドユニット30毎にこの動作を繰り返すことにより、各ソレノイドユニット30の突起32Cは、凹溝23内に挿入される。
この際、本実施形態では、s1´<(W1−h)を満足しているから、内側壁部22A´に対してソレノイドユニット30の突起32Cとプランジャ保護筒36Cとの間を上側から挿入可能となる(図9参照)。
【0050】
▲2▼次に、凹溝23内に突起32Cを挿入した後に、この突起32Cと外側壁23Bとの間に形成された隙間に、スペーサプレート39を支持体20の長手方向から挿入する。
【0051】
▲3▼最後に、支持体20の各ねじ孔25にそれぞれセットスクリュ40を螺合する。この際、各鍵1の回動端部にプランジャ38が位置するように、各ソレノイドユニット30を支持体20のガイドレール22に対してスライドさせて位置決めしつつ行う。これにより、セットスクリュ40はスペーサプレート39を突起32Cを介して内側壁23Aに向けて押圧する。これにより、各ソレノイドユニット30の突起32Cは、スペーサプレート39によって内側壁23Aとの間に強固に挟み込まれ、各ソレノイドユニット30が支持体20に固定される。
【0052】
一方、本実施形態によるソレノイド装置においては、ある特定のソレノイドユニット30を支持体20から取り外す場合には、各セットスクリュ40を緩めてスペーサプレート39を抜き取る。これにより、セットスクリュ40の先端と内側壁23Aとの間に隙間が形成され、突起32Cをこの隙間から取り外し、当該ソレノイドユニット30を支持体20から容易に取り外すことができる。
【0053】
一方、ソレノイド装置10の各部材の寸法関係を、図9に示すように、(W−t1−t2)>hとすることにより、セットスクリュ40を外すだけで、凹溝23に形成される隙間は、突起32Cを取り外すのに十分な隙間となる。これにより、スペーサプレート39を凹溝23から抜き取ることなしに、ソレノイドユニット30の着脱をより簡単に行うことも可能となる。
【0054】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、以下のような種々の変形が可能である。
【0055】
(1)前記各実施形態では、スペーサプレート39を1枚の板体によって形成したものを用いていたが、図11の変形例1に示すように、金属板42にゴム等の弾性部材43を貼着したスペーサプレート41をスペーサプレート39に代えて用いてもよい。
図12の変形例2に示すように、L字状の金属板45に弾性部材46を貼着したスペーサプレート44をスペーサプレート39に代えて用いてもよい。
これらの変形例においては、セットスクリュ40を支持体20に螺合させることにより、スペーサプレート41、44を介してソレノイドユニット30を支持体20に固定する。この際、弾性部材43、46は、ソレノイドユニット30の突起32Cを内側壁23Aに向けて押圧するのを助ける。この結果、これらの変形例では、前記各実施形態に比べ、支持体20にソレノイドユニット30をより強固に固定させることができる。
【0056】
図13の変形例3に示すように、セットスクリュ40を廃止した上で、金属板48にゴム等の弾性部材49を貼着したスペーサプレート47をスペーサプレート39に代えて用いてもよい。この場合、スペーサプレート47の厚さ寸法は、弾性部材49を潰した状態でt2´となるように形成すれば、弾性部材49の弾性力によって突起32Cを凹溝23内に固定することが可能となる。この変形例3では、実施形態まては他の変形例に比べて部品点数を減らすことができる。
【0057】
また、変形例1〜3は、第2の実施形態に示した支持体20´に適用することも可能である。
【0058】
(2)前記各実施形態では、支持体20と給電回路8とを別個に設けた場合を示したが、図14に示す変形例4のソレノイド装置50のように、支持体51に給電回路52が実装された基板53を収容する基板収容部54を備えたものに適用してもよい。
【0059】
(3)前記各実施形態では、プランジャの動作のみを行うソレノイドユニットを複数備えたソレノイド装置について示したが、図15に示す変形例5のソレノイド装置60のように、プランジャ38の位置と移動速度を検出するセンサ部63を備えたソレノイドユニット61を支持体62に取り付けるものに適用してもいい。
【0060】
(4)前記各実施形態は、ソレノイド装置をグランドピアノの自動演奏装置用アクチュエータとして使用した場合について述べてが、その適用としては、グランドピアノに限るものではなく、アップライトピアノ、チェンバロ、チェレスタ、オルガンなど、あらゆる鍵盤楽器に適用することができる。
【0061】
(5)さらには、鍵盤楽器に限らず、プランジャを軸方向に移動させて駆動されるものであれば、あらゆるアクチュエータに適用することが可能である。
【0062】
【発明の効果】
上述したように本発明においては、簡単な構造でソレノイドユニットを支持体に支持することができ、支持体に対するソレノイドユニットの取り付け、交換時の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態によるソレノイド装置が組み込まれた自動演奏装置の主要部を示す断面図である。
【図2】 同実施形態によるソレノイド装置を示す斜視図である。
【図3】 同実施形態によるソレノイド装置を側面から見た図である。
【図4】 同実施形態によるソレノイド装置の分解斜視図である。
【図5】 同実施形態によるソレノイド装置の縦断面図である。
【図6】 同実施形態によるソレノイドユニットの縦断面図である。
【図7】 同実施形態によるソレノイドユニットの組み立てる前の状態を部品毎に示す断面図である。
【図8】 図5中のa部を拡大して示す拡大断面図である。
【図9】 本発明による第2の実施形態によるソレノイド装置の要部を図8と同様位置から見た拡大断面図である。
【図10】 同実施形態によるソレノイド装置の分解斜視図である。
【図11】 変形例本発明による変形例1を示す図8と同様の位置から見た拡大断面図である。
【図12】 本発明による変形例2を示す図8と同様の位置から見た拡大断面図である。
【図13】 本発明による変形例3を示す図8と同様の位置から見た拡大断面図である。
【図14】 本発明による変形例4を示すソレノイド装置の縦断面図である。
【図15】 本発明による変形例5を示すソレノイド装置の縦断面図である。
【図16】 従来技術によるソレノイド装置が組み込まれた自動演奏ピアノの主要部を示す側面断面図である。
【図17】 同従来技術によるソレノイド装置を上側から見た図である。
【符号の説明】
1・・・鍵
10,50,60・・・ソレノイド装置
20・・・支持体
22・・・ガイドレール
23・・・凹溝
24・・・位置決め凹溝
30・・・ソレノイドユニット
31・・・ヨーク
32C・・・突起
32D・・・位置決め凸部
35・・・ソレノイド
36・・・コイルボビン
37・・・コイル
38・・・プランジャ
39・・・スペーサプレート
40・・・セットスクリュ
Claims (9)
- 複数のソレノイドユニットと、
該複数のソレノイドユニットを1列または複数列で支持する支持体とを備えるソレノイド装置において、
前記支持体に形成され、前記複数のソレノイドユニットの配列方向に延びる1本または複数本のガイドレールと、
該ガイドレールに当接すべく、前記複数のソレノイドユニットから突出した突起と、
前記各突起を前記ガイドレールに押し付けて固定する押付部材と、を具備し、
前記ガイドレールは、前記各突起を挟み込む対向した壁を有し、
前記押付部材は、前記各壁間に前記各突起を挿入した後に形成される該各突起と一方の壁との隙間に挟み込まれ、前記複数のソレノイドユニットの配列方向に延びるスペーサと、該スペーサを他方の壁に向けて押圧させる押圧手段と、を具備した
ことを特徴とするソレノイド装置。 - 請求項1記載のソレノイド装置において、
前記押圧手段は、前記ガイドレールの一方の壁の所定位置に穿設されたねじ孔と、先端が他方の壁に向くように、該ねじ孔に螺合されたねじと、を具備した
ことを特徴とするソレノイド装置。 - 請求項1記載のソレノイド装置において、
前記押圧手段は、前記スペーサに設けた弾性体である
ことを特徴とするソレノイド装置。 - 請求項1記載のソレノイド装置において、
前記押圧手段は、ガイドレールの一方の壁の所定位置に穿設されたねじ孔と、先端が他方の壁に向くように、該ねじ孔に螺合されたねじと、前記スペーサに設けた弾性体と、を備えた
ことを特徴とするソレノイド装置。 - 請求項1記載のソレノイド装置において、
前記押付部材は、前記複数のソレノイドユニットの配列方向に延び、前記ガイドレールとの間で前記各突起を挟み込むスペーサと、該スペーサをガイドレールに向けて押圧させる押圧手段と、を具備した
ことを特徴とするソレノイド装置。 - 請求項1記載のソレノイド装置において、
前記ガイドレールおよび前記各突起には位置決め手段を設けた
ことを特徴とするソレノイド装置。 - 請求項6記載のソレノイド装置において、
前記位置決め手段は、前記ガイドレールに形成され、前記複数のソレノイドユニットの配列方向に延びる係合部と、前記各突起のうち該係合部に対向する位置に形成した被係合部と、を具備した
ことを特徴とするソレノイド装置。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載のソレノイド装置において、
前記ソレノイドユニットは、プランジャと、該プランジャを軸方向に移動させるソレノイドと、前記プランジャと共に該ソレノイドの磁路の一部をなすヨークとを具備し、前記突起を前記ヨークに形成した
ことを特徴とするソレノイド装置。 - 演奏データに基づいて、複数のソレノイドユニットを適宜駆動させることにより、各鍵を突き上げて演奏を行う鍵盤楽器の自動演奏装置であって、前記各鍵に前記各ソレノイドユニットがそれぞれ対向するように前記支持体を棚板に設けることによって、請求項1記載のソレノイド装置が組み込まれた
ことを特徴とする鍵盤楽器の自動演奏装置。
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