JP4192386B2 - ファーネス式原子吸光分光光度計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラファイトチューブ等の加熱管内で試料を原子化するファーネス式原子吸光分光光度計に関し、更に詳しくは、加熱管の加熱制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファーネス式原子吸光分光光度計では、グラファイトチューブ(加熱管)の中に試料を収容し、該チューブを加熱することにより試料を高温に加熱して原子化し、その中に測定光を通過させて吸光度を測定する。このようなファーネス測定では、大別して、乾燥、灰化及び原子化の3段階のステップがあり、各ステップにおけるグラファイトチューブの昇温条件は温度プログラムとして外部から、つまりユーザにより設定されるようになっている。
【0003】
図5は、従来の原子吸光分光光度計における一般的な温度プログラムの設定方法の一例を示す図、図6はこのような設定に対応する温度プログラムを示すグラフである。図5に示す例では、到達温度(℃)、該温度に到達するときの経過時間(秒)、及びその昇温に関する加熱モードを、複数ステージ(この例では6ステージ)の各ステージに対してそれぞれ設定することにより、温度プログラムが作成されるようになっている。ここで、加熱モードの「ランプ」は温度が直線的傾斜でもって徐々に上昇するモードであり、「ステップ」は或る時点でステップ状に温度が上昇するモードである。
【0004】
図6において、最初の乾燥段階では、250℃程度以下の温度で30秒程度加熱することにより、試料の水分を蒸発させる。次の灰化段階では、250〜1000℃程度の温度範囲で二十秒程度加熱することにより、主として試料に含まれる有機物を気化させる。一般に乾燥及び灰化の段階では、徐々に温度を上昇させる。こうして水分、有機物を十分に除去した後、原子化段階において急速に高温(2000〜3000℃程度)に加熱し、残った主に金属成分である目的元素を原子化して吸光分光測定を行う。
【0005】
このような加熱の各段階において温度制御を行う方法としては、例えば、発熱によってグラファイトチューブから放射される赤外線の強度を非接触の光センサで検出し、この検出値が目標温度に対応する値と等しくなるように、チューブに流す加熱電流の値を制御するという方法(光温度制御方式)や、グラファイトチューブに流れる電流値が目標温度に対応する電流値に等しくなるように加熱電流の値を制御するという方法(電流制御方式)が知られている。このうち、光温度制御方式は、チューブの温度を光センサにより直接測定するため、チューブの抵抗値が変化しても到達温度の誤差が少なく、また昇温速度が速く応答特性がよい制御が可能であるという特長を有する。その反面、赤外線の放射が殆どないような低温領域での制御は困難である。そこで、従来知られている原子吸光分光光度計では、例えば乾燥段階では電流制御方式を採用し、灰化及び原子化段階では光温度制御方式を採用するというような使い分けが成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、原子吸光分析法は主として微量分析を目的して行われることが多いため、分析の能力を表す指標値として検出下限値がきわめて重要である。この検出下限値は、〔吸光度のばらつき/吸光度の大きさ〕に比例することが従来より知られている。ここで、吸光度のばらつきとは、同一条件で同一試料を測定した場合の測定値のばらつきであり、具体的には例えば多数回の測定を行った場合の標準偏差である。
【0007】
多くの場合、原子化段階での昇温速度が大きいほど吸光度は高くなる。そのため、検出下限値を小さくするために、原子化段階での昇温速度はできる限り大きくなるよう設定される。即ち、上述したように、灰化から原子化へ移行する際には加熱モードとして「ステップ」が指定され、これに対応して、装置はその加熱能力の範囲で最も大きな昇温速度が得られるように加熱電流の制御を実行する。
【0008】
しかしながら、上述したように、検出下限値は吸光度のみならず吸光度のばらつきにも依存している。一般に、昇温速度を大きくする、つまり理想的なステップ昇温に近付けようとすると、温度のオーバシュートが大きくなり、吸光度は大きくなったとしてもばらつきも大きくなって、結果的に検出下限値は逆に増加してしまうこともある。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は、吸光度の大きさのみならずそのばらつきをも考慮して、検出下限値を小さくすることができるファーネス式原子吸光分光光度計を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段、及び発明の実施の形態】
上述したように、従来は、ステップ状の昇温が設定された場合、昇温速度をできる限り大きくして目標温度に到達するまでの時間ができるだけ短くなるようになっており、微小な意味での応答特性(例えばステップ状の昇温に対するステップ応答特性に相当するインディシャル応答特性)は全く考慮されていなかった。それに対し、本発明に係るファーネス式原子吸光分光光度計は、加熱管を昇温制御する際の温度の応答特性を可変できるようにしたものである。これにより、目的元素の種類やそのほかの各種の測定条件に応じて最適な、つまり検出下限値が最小になるような応答特性を与えて昇温制御を行わせるようにすることができる。なお、ここでいう応答特性は、時間的にみればミリ秒単位のごく短い時間での現象の制御の結果であり、従来の加熱モードでのランプ昇温といった、秒単位での温度の漸増とは全く異なるものである。
【0011】
本発明は、加熱管の内部で試料を乾燥、灰化及び原子化するファーネス式原子吸光分光光度計において、
a)前記加熱管の温度又はそれに対応した指標値をモニタするモニタ手段と、
b)該モニタ値が目標温度又は目標温度に対応する目標指標値となるように前記加熱管に流す加熱電流を制御する加熱制御手段と、
c) ユーザの操作により測定条件を入力する入力手段と、
d) 前記加熱制御手段における昇温制御時の応答特性を決めるパラメータを設定するために、検出下限値が最小となる応答特性を与えるように種々の測定条件に対応して予め記憶されたパラメータから前記入力手段により入力された測定条件に対応したパラメータを選択して設定する設定手段と、
を備えることを特徴としている。
【0012】
ここで、モニタ手段は、例えば、加熱管から放射される光を検出する光検出手段とすることができ、その場合、上記モニタ値は光の強度信号である。
【0013】
本発明に係る原子吸光分光光度計では、加熱制御手段は、予め設定された温度プログラムに従って目標温度又は目標指標値を順次更新し、モニタ手段によるモニタ値がその目標温度又は目標指標値に等しくなるように加熱電流を制御する。具体的には、温度差が大きいときには加熱電流を増加し、温度差が小さくなると加熱電流を減少させる。このときの制御の応答特性は設定手段により設定されるパラメータによって変化する。最も典型的には、温度プログラムにおいてステップ状の昇温が設定された場合、インディシャル応答が上記パラメータにより変化する。即ち、そのパラメータに依って、インディシャル応答のオーバシュート量や目標温度に到達するまでの時間が変化する。
【0014】
このような昇温制御は原子化段階のみならず、乾燥や灰化段階に適用することもできる。但し、元々、温度が漸増するような昇温では、目標温度に対する実温度の追従が良好であってオーバシュートも発生しにくいから、上記応答特性を変更することはあまり意味を持たない。従って、本発明は、ステップ昇温を必要とする場合、特に原子化段階において特に有効である。
【0015】
設定手段によりパラメータを変更する際の具体的な測定条件としては、例えば次のようなものが考えられる。
【0016】
被測定元素の種類に応じて上記パラメータを適宜に変更する。即ち、吸光度の大きさの昇温速度依存性は元素により異なるから、昇温速度依存性が低い、つまり昇温速度を或る程度以上大きくした場合に吸光度が飽和する又は吸光度の増加がきわめて小さいような元素においては、昇温速度が必要以上に大きくならないような応答特性が得られるべくパラメータを決める。
【0017】
また、試料に種々の修飾剤が添加される場合には、修飾剤添加後の試料の特性を考慮して上記パラメータを適宜に変更する。
【0018】
また、上記モニタ手段として、低温領域では加熱電流の大きさを測定する電流センサを用い、高温領域では上述したように光センサを用い、昇温途中でモニタ手段及び温度制御の切替えを行う構成では、その切替えの直後にオーバシュートが発生し易くなることがある。そこで、このような切替えの直後に応答特性を変更するようにパラメータを適宜に変更してもよい。また、同一のモニタ手段であっても、例えばそのモニタ手段の出力を増幅するためのゲインを切り替える場合にも同様の現象が発生する可能性があるから、ゲイン切替えの直後に応答特性を変更するようにパラメータを適宜に変更してもよい。
【0019】
また、原子化時には加熱管から強い光が放射されるが、この放射光はほぼ黒体放射の法則に従うので、紫外可視光領域では波長が長いほど発光強度は強くなるという性質をもつ。このような発光光が吸光分光測定のための光検出器に導入されると誤差要因となるから、このような発光の影響を除去するために、光源を点滅させ、点灯時の測定結果から消灯時の測定結果を減算するという手法が用いられることがある。この場合、点灯時測定と消灯時測定との時間間隔内でチューブの発光の変化が急激であると、この発光強度の変化による影響を十分に除去できず、結果的に吸光度のばらつきを大きくしてしまうことになる。そこで、このような構成においては、点灯時測定と消灯時測定との時間間隔、つまりサンプリング周期が長い場合には、極端に急激な発光強度の変化を引き起こすオーバシュートを防止するように応答特性を変更すべくパラメータを適宜に変更するとよい。
【0020】
本発明に係るファーネス式原子吸光分光光度計では、加熱制御手段は、例えば、モニタ値と目標温度又は目標指標値との誤差に対しPID制御の演算を行うことにより所定の操作量を求めるものとすることができる。この制御方法は、上記誤差に基づく比例動作(P動作)、積分動作(I動作)及び微分動作(D動作)により操作量を決定するものであるから、比例要素、積分要素及び微分要素が上記パラメータとなる。
【0021】
また、このような制御の結果得られた操作量自体に予め制限を設けておくことにより、応答特性を変え得るようにしてもよい。例えば、位相制御方式により加熱電流をオン/オフ制御する構成では、位相制御のための点弧角が上記操作量となる。
【0022】
答特性を可変させるための設定は上述したような各種測定条件を入力設定することにより、その測定条件に対応して予め定められているパラメータが選択されて設定されるようにする例えば、PID制御の場合には、比例要素、積分要素、微分要素の少なくとも一つをパラメータとすればよい。
【0023】
更には、自動的に検出下限値が最小となるような応答特性を探索する機能を持たせるようにしてもよい。即ち、同一試料に対し、同一測定条件下で且つ或る応答特性を定めて多数回の吸光分光測定を行い、吸光度の大きさとそのばらつきとを取得して検出下限値(又は吸光度の大きさとそのばらつきとの比)を算出する。昇温制御の応答特性を変化させてこのような測定を繰り返し実行し、それぞれ検出下限値を比較して、検出下限値が最小となるような応答特性を見出す。この構成によれば、ユーザの負担は全くなく、検出下限値が最小となるような昇温制御が達成される。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係るファーネス式原子吸光分光光度計によれば、加熱管を昇温制御する際の応答特性を適宜に変更することにより、吸光度の大きさとそのばらつきとの両者を考慮して、吸光分光測定の検出下限値を最小又はそれに近い値にすることができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明に係るファーネス式原子吸光分光光度計の一実施例を図面を参照して説明する。図2は、本実施例の原子吸光分光光度計の全体構成図である。
【0026】
ホロカソードランプ等から成る光源1から放射された目的元素の共鳴線を含む輝線スペクトル光は、前置光学系2を通してグラファイトチューブ3内に導入され、グラファイトチューブ3内を通過する際に原子化された試料による吸収を受ける。このとき、試料に含まれる元素に特有の波長光が特に強く吸収される。グラファイトチューブ3を通過した光は後置光学系4により分光器5に導入され、上記目的元素に対応する波長光のみが分光器5で取り出されて検出器6に導入される。信号処理部7では、目的元素による吸収を受けない場合の受光強度と吸収を受けた場合の受光強度との比を計算し、その吸光度から目的元素を定量する。
【0027】
上記構成において、グラファイトチューブ3内に注入された試料液を乾燥、灰化及び原子化するために、グラファイトチューブ3には加熱電流が供給される。図1は、本実施例の原子吸光分光光度計における加熱制御に関連する要部の構成図である。
【0028】
図1において、交流電源10は、トライアック等のゲート制御式半導体スイッチ(以下「半導体スイッチ」という)11を介してトランス12の一次側巻線に接続されている。トランス12の二次側巻線はグラファイトチューブ3に接続されており、その途中には、電流値をモニタするための電流センサ13が設けられている。グラファイトチューブ3には、加熱により放射される赤外線強度をモニタするための光センサ16が近接配置されており、この光センサ16の検出出力は増幅器17、A/D変換器18を介して操作量演算部21に入力されている。また、電流センサ13の検出出力も増幅器14、A/D変換器15を介して操作量演算部21に入力されている。
【0029】
制御部20はCPU等を含んで構成されるコンピュータにより構成され、上記操作量演算部21の他、ROM22、制御定数設定部23、温度設定部24を含む。また、制御部20には、入力手段であるキーボード25と、出力手段である表示部26とが接続されている。具体的には、操作量演算部21は所定の計算アルゴリズムに基づいてPID制御を行って操作量を算出するものであり、コンピュータで所定の制御プログラムが実行されることによりその機能が実現される。
【0030】
本実施例では、グラファイトチューブ3に供給される加熱電力は、いわゆる位相制御方式により調整される。従って、上記操作量は半導体スイッチ11のオン/オフ制御に係わる点弧角であり、パルス生成部19は与えられた点弧角に応じてパルス信号を生成して半導体スイッチ11の制御端子に印加する。
【0031】
図3は、加熱電力制御を説明するための波形図である。図3(a)に示すように交流電源10で得られる正弦波状の交流電圧に対し、半導体スイッチ11は、位相0°及び180°からそれぞれ点弧角αだけ遅延した時点で印加されるパルス信号(図3(b)参照)に応じて導通し、位相180°及び360°になったときに導通が阻止される。図3(c)中に斜線で示した部分が加熱電力となり、点弧角αを小さくすると加熱電力は増加し、逆に点弧角αを大きくすると加熱電力は減少する(図3(d)参照)。
【0032】
次に、本実施例に特有のグラファイトチューブ3の温度制御動作を説明する。
測定に際して、ユーザはキーボード25により例えば図5に示したような温度プログラムを入力する。この温度プログラムは温度設定部24に記憶される。温度設定部24には温度に対応する光センサの目標値も記憶されている。加熱時にグラファイトチューブ3の温度に応じて光センサ16で得られる検出出力は、A/D変換器18によりデジタル信号に変換されて操作量演算部21に入力される。一方、温度設定部24は現時点での設定温度に対応する光センサの目標値を操作量演算部21に与える。操作量演算部21は、現時点での光センサ16の出力値と目標値との差を求め、その偏差を基に所定のPID制御の計算アルゴリズムにより操作量として点弧角αを算出する。パルス生成部19はこの点弧角αに応じたパルス信号を生成して半導体スイッチ11のオン/オフを制御する。
【0033】
上述のPID制御の計算を行うには、比例要素P、積分要素I、微分要素DなるPID制御定数が必要となる。このPID制御定数を変えると、昇温時の温度の応答特性が変化する。例えば、サンプリング周期Tsで光センサ16の出力値をモニタし、そのモニタ値に応じてチューブ3への加熱電力を決める点弧角αを適宜変更することにより、制御対象の温度に対応する出力値を目標温度に対応する値に安定させるという制御を考える。k回目のサンプリング時点において、目標値からモニタ値を差し引いて得られた誤差をEとすると、点弧角αは次式で与えられる。
α=Kp×{E+(Ts/Ti)×ΣE+(Td/Ts)
×(E−Ek−1)}
ここで、Kpは比例ゲイン、Tiは積分時間、Tdは微分時間と呼ばれ、これが設定すべきPID制御定数である。
【0034】
図4は昇温時のインディシャル特性の例を示す波形図である。例えば温度をT1からT2にステップ状に昇温したい場合、図4中に点線で示すように温度が変化するのが理想的であるが、実際にはこのような昇温は不可能であって、曲線AやBに示すような変化を呈する。曲線Aは比較的昇温速度は速いもののオーバシュートが発生する例である。一方、曲線Bはオーバシュートの発生はないものの昇温速度が遅く目的温度T2近傍に達するまでの時間が長い場合の例である。上述したような制御定数を変えると、PID制御の応答特性は図4に示すように様々に変化する。
【0035】
上述したように、吸光分光測定の検出下限値は〔吸光度のばらつき/吸光度の大きさ〕に比例しており、最小の下限値を与えるような応答特性は種々の測定条件によって異なる。本実施例の原子吸光分光光度計では、標準的な測定条件の下で最適な、つまり最小の検出下限値を与える応答特性が得られるようなPID制御定数がROM22に予め格納されているほか、測定前に温度プログラムを設定する際に、ユーザがキーボード25を介して各ステージ毎にPID制御定数を入力設定する、又は上記標準的なPID制御定数を変更できるようになっている。制御定数設定部23は、キーボード25により制御定数が入力された場合には、入力された制御定数を昇温の過程において操作量演算部21へと与え、キーボード25により制御定数が入力されなかった場合には、ROM22から読み出した制御定数を操作量演算部21へと与える。従って、ROM22から読み出された制御定数が操作量演算部21へ与えられるとき、PID制御では既知の或る応答特性が得られ、キーボード25から入力された制御定数が操作量演算部21へ与えられるときには、それに応じて応答特性が決まる。
【0036】
而して、ユーザは目的元素の種類や測定条件に応じて適宜にPID制御定数を入力することにより、PID制御のインディシャル応答を変え、検出下限値が最小又はそれに近い値になるように自由に調整することができる。
【0037】
PID制御の応答特性は、例えば次のような基準でもって設定することができる。目的元素の吸収波長が比較的短波長領域である場合、或いは光源1の発光強度が大きい場合には、グラファイトチューブ3の発光光が検出器6に導入されることによる影響が相対的に小さい。従って、温度が大きくオーバシュートしてグラファイトチューブ3の発光光が急激に変化しても、これに起因する吸光度のばらつきはあまり大きくない。そこで、このような条件の下では、昇温速度が大きくなるような応答特性を選定すると最小下限値を小さくすることができる。目的元素の吸収波長が比較的長波長領域である場合、或いは光源1の発光強度が小さい場合には、逆に、昇温速度が相対的に小さくなるような応答特性を選定すると最小下限値を小さくすることができる。
【0038】
また、試料に種々の修飾剤を添加している場合には、修飾剤添加後の試料の特性を考慮してPID制御定数を設定すればよい。
【0039】
また、上述したようにグラファイトチューブ3の発光光が検出器6に導入されることに起因する影響を除去するために、光源を点滅させ、点灯時の測定結果から消灯時の測定結果を減算するという信号処理が行われる構成では、点灯時測定と消灯時測定との時間間隔が長い場合に応答特性を相対的に遅くするとよい。これによりオーバシュートが抑制されるため、点灯時測定と消灯時測定との時間間隔内でのチューブの発光の変化が急激にならず、結果的に吸光度のばらつきを小さくして検出下限値も小さくすることができる。
【0040】
この原子吸光分光光度計では、所定温度(例えば600℃)未満の温度範囲では、電流センサ13の検出出力を用いた加熱電流の制御を行うようにしている。具体的には、温度設定部24には上記所定温度未満の温度範囲での各設定温度に対応する電流センサの目標値も記憶されている。加熱時に電流センサ13で得られる検出出力はA/D変換器15によりデジタル信号に変換されて操作量演算部21に入力され、一方、温度設定部24は現時点での設定温度に対応する電流センサの目標値を操作量演算部21に与える。操作量演算部21は、現時点での電流センサ13の出力値と目標値との差を求め、その偏差を基に所定の計算アルゴリズムにより操作量として点弧角αを算出する。このような電流制御方式での加熱制御は従来と同様である。
【0041】
温度が所定温度以上になると、上述したように光センサ16の検出出力を用いた光温度制御方式に切り替える。このような切替えの直後にはオーバシュートが発生し易くなることがある。そこで、このような切替えの直後では、応答特性を遅くしておくとよい。
【0042】
なお、PID制御では、比例要素又は微分要素の値を小さくすると応答性が遅くなるが、これを極端に小さくすると目標温度に到達するまでの時間が非常に長くなって実用的でなくなる。そこで、PID制御定数は或る所定範囲内でのみ変化が可能であるように定めておく一方、上記点弧角αの前限である点弧角制限値をキーボード25から設定できるようにしておくか、或いはROM22に記憶させておく。これにより、その点弧角制限値よりも前では点弧が生じず、応答性を遅くすることができる。このようにPID制御に点弧角制限を併用すれば、オーバシュートを軽減し、しかも目標温度への到達時間がきわめて長くなることを回避することができる。
【0043】
上記実施例では、PID制御定数をユーザ自身が入力するようにしていたが、種々の測定条件に対応して検出下限値が最小になるような応答特性を与える制御定数を予め記憶しておき、測定条件をキーボード25から入力すると、それに応じて適当な制御定数が選択されて操作量演算部21に入力される構成としてもよい。
【0044】
また、或る条件下で検出下限値を最小又はそれに近い値とするように自動的にPID制御定数を設定する構成とすることもできる。具体的には、或る測定条件下で或る試料に対する測定を行う際に、PID制御定数を変化させながら、1組のPID制御定数に対する測定を多数回繰り返し実行し、吸光度の大きさの平均値とその標準偏差を求める。そして吸光度の平均値/標準偏差が最小になるようになPID制御定数を見つける。更に、このようなPID制御定数を測定条件等と関連付けてメモリに格納しておくことにより、或る条件が指定されたときにその条件に対応するPID制御定数をメモリから読み出してきて用いるようにすることもできる。
【0045】
なお、上記実施例は一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるファーネス式原子吸光分光光度計の加熱制御に関する要部の構成図。
【図2】 本実施例の原子吸光分光光度計の全体構成図。
【図3】 本実施例の原子吸光分光光度計における加熱電力の制御を説明するための波形図。
【図4】 PID制御による昇温制御時のインディシャル応答の例を示す波形図。
【図5】 従来の原子吸光分光光度計における一般的な温度プログラムの設定方法の一例を示す図。
【図6】 図5の設定に対応する温度プログラムを示すグラフ。
【符号の説明】
3…グラファイトチューブ(加熱管)
10…交流電源
11…ゲート制御式半導体スイッチ
12…トランス
13…電流センサ
14、17…増幅器
15、18…A/D変換器
16…光センサ
19…パルス生成部
20…制御部
21…操作量演算部
22…ROM
23…制御定数設定部
24…温度設定部
25…キーボード
26…表示部

Claims (2)

  1. 加熱管の内部で試料を乾燥、灰化及び原子化するファーネス式原子吸光分光光度計において、
    a)前記加熱管の温度又はそれに対応した指標値をモニタするモニタ手段と、
    b)該モニタ値が目標温度又は目標温度に対応する目標指標値となるように前記加熱管に流す加熱電流を制御する加熱制御手段と、
    c) ユーザの操作により測定条件を入力する入力手段と、
    d) 前記加熱制御手段における昇温制御時の応答特性を決めるパラメータを設定するために、検出下限値が最小となる応答特性を与えるように種々の測定条件に対応して予め記憶されたパラメータから前記入力手段により入力された測定条件に対応したパラメータを選択して設定する設定手段と、
    を備えることを特徴とするファーネス式原子吸光分光光度計。
  2. 前記加熱制御手段は、前記モニタ値と目標温度又は目標指標値との誤差に対しPID制御の演算を行うことにより所定の操作量を求める演算手段を含み、前記パラメータは該PID制御のための比例、積分、微分定数の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のファーネス式原子吸光分光光度計。
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