JP6668841B2 - レーザ式ガス分析計 - Google Patents

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Description

本発明は、波長変調分光法に基づいて、空間内の各種の測定対象ガスの有無やガス濃度についてレーザ光を用いて分析するレーザ式ガス分析計に関するものである。
レーザ式ガス分析計の従来技術として、例えば、特許文献1(特開2010−217100号公報、発明の名称「排ガス分析装置」)に記載の発明が知られている。この排ガス分析装置は、レーザ光を用いて排ガスのガス濃度を計測する装置であって、レーザ式ガス分析計の従来技術である。
この従来技術について図を参照しつつ説明する。図3は従来技術の排ガス分析装置100の全体構成図であり、特許文献1で開示された図でもある。レーザ光発生手段101には、電流値が経時変化する電流走査区間を持つ駆動パルスが印加される。また、レーザ光発生手段101は、レーザ光照射タイミングチャート102とレーザ光が照射されない時間帯を選択するタイミング信号発生手段103とを備える。レーザ光発生手段101は、これら駆動パルス、タイミングチャートおよびタイミング信号に応じたレーザ光である出力光Pを出射する。
この出力光Pは、分波器104によって、測定光P1と参照光P2とに分波される。測定光P1と参照光P2は、それぞれ光減衰器(VOA)105に入射され、波長毎に強さが調整される。
測定光P1は、計測セル106内を流れる排ガスの中を透過した後、輻射光を含んだ状態でフォトダイオードなどの受光素子(PD)107に受光される。参照光P2は、受光素子(PD)107と同じ種類の受光素子(PD)108にそのまま受光される。
受光素子(PD)107からの測定光信号と受光素子(PD)108からの参照光信号は、差分検出器110に入力される。この従来技術例では、差分検出器110は、受光素子(PD)107からの測定光信号と受光素子(PD)108からの参照光信号とのそれぞれに対応して、アンプ111と、7k〜2MHz帯域の周波数成分を通過させるバンドパスフィルタ(BPF)112を備え、バンドパスフィルタ(BPF)112を通過した2つの信号が差分増幅回路113に送られる。
バンドパスフィルタ(BPF)112を通過することにより、測定光信号と参照光信号からは直流成分が除去される。特に、測定光信号からは、輻射光信号成分が除去される。直流成分が除去された測定光信号と参照光信号は差分増幅回路113において差分増幅が行われ、差分信号が出力される。この差分信号の波形は、計測セル106内を流れる排ガスの成分に依存しており、解析系を構成するコンピュータ114に送られて、排ガス分析が行われる。
測定光信号は、アンプ111とバンドパスフィルタ(BPF)112との間で一部が分岐される。分岐された測定光信号は、バンドパスフィルタ(BPF)112を通過していないため輻射光成分を含む。この分岐された測定光信号は、アナログメモリ115と減衰器制御回路116に送られる。
このアナログメモリ115には、レーザ光発生手段101に備えたタイミング信号発生手段103から、レーザ光が照射されない時間帯をONとする信号が送られ、メモリ更新タイミング制御が行われる。そして、アナログメモリ115は、信号がONのときに、輻射光成分を含む測定光信号を格納する。ここで実際に格納される信号強度は、レーザ光が照射されない時間帯のものであり、計測セル106における背景光、すなわち輻射光に起因する信号強度である。
加算器(減算回路)117は、次のタイミングで送られてきた輻射光成分を含む測定光信号の信号強度から、アナログメモリ115に格納された信号の信号強度を減算し、減算後の信号が減衰器制御回路116に送られる。減衰器制御回路116で処理後のフィードバック信号が光減衰器(VOA)105に送られてフィードバック制御され、測定光の光強度が測定値に近づくように制御される。
参照光P2についても、同様にして減衰器制御回路116によるフィードバック制御が行われ、参照光の光強度が光量設定値(図3のSV)に近づくように制御される。それにより、測定光信号/参照光信号のバランスが図られる。
上記のように、従来技術の排ガス分析装置では、図3の(ア)で囲まれる領域において、測定光から輻射光成分を除く処理が行われ、(イ)で囲まれる領域において、測定光信号から輻射光成分を除いた信号成分により光減衰器(VOA)105に対するフィードバック制御を行い測定光の光強度が光量設定値(図3のSV)に近づくように制御される。したがって、計測セル106で発生する背景光(輻射光)による影響をなくしたリアルタイムの信号処理とし、高精度の排ガス分析をリアルタイムで行うことができる。
また、(ウ)で囲まれる差分検出器110の領域で、バンドパスフィルタ(BPF)112によって測定光信号と参照光信号から直流成分を除去する処理を行っているが、公知の差分検出器が内蔵するバンドパスフィルタ(BPF)をそのまま用いることができる。従来技術は、以上のようなものである。
特開2010−217100号公報(段落[0023]〜[0029]、図1)
特許文献1に記載の従来技術では、差分信号を得るためにレーザ光を分波する手段と、分波した測定光と参照光を受光する2つの受光素子(PD)107,108と、それぞれを増幅する手段とが必要であった。さらに、受光素子(PD)107,108での受光信号のレベルを一致させるために、光減衰器(VOA)105を測定光と参照光のそれぞれに設ける必要があった。このように光学系・信号処理系が複雑であるという課題が知見された。
さらに、バンドパスフィルタ(BPF)112の通過帯域が7k〜2MHzであり、この帯域のノイズが十分に除去されないため、測定の信号ノイズ比が低下するおそれがあり、計測精度をより高めたいという課題も知見された。
そこで、本発明は上記の課題をすべて解決するためになされたものであり、その目的は、波長変調分光法を用いることにより、簡易な構成であるにも拘わらず、正確かつ安定して測定対象ガスの濃度を測定するレーザ式ガス分析計を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ガスに含まれる測定対象ガスの吸収波長を含む波長で発光するレーザ光を前記ガスに照射し、前記ガスを透過したレーザ光を検出して前記測定対象ガスによる吸収から濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
レーザ光を出射するレーザ素子と、
前記レーザ素子の温度を制御するレーザ素子温度制御回路と、
前記レーザ光の点灯タイミング・消灯タイミングを交互に切り換えるタイミング信号を出力するタイミング制御回路と、
前記タイミング制御回路のタイミング信号によりレーザ光の点灯タイミングに同期して波長を掃引しつつ基本周波数で波長変調する波長掃引・変調電流制御回路と、
前記ガスを透過した前記レーザ光を検出する単一の受光素子と、
前記受光素子の出力信号を増幅するプリアンプと、
前記プリアンプの出力信号に含まれる直流成分を除去するハイパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタの出力信号を適当な増幅率で増幅する可変アンプと、
前記可変アンプの出力信号のうち、前記レーザ光の点灯タイミングの信号と消灯タイミングの信号とから差分を演算する差分演算回路と、
前記差分に基づいて前記可変アンプの前記増幅率を決定する増幅率制御回路と、
前記ハイパスフィルタの出力信号に含まれる前記基本周波数の2倍周波数成分をロックイン検出するロックイン検出回路と、
前記ロックイン検出回路の出力信号に基づいて前記測定対象ガスの吸収振幅を演算する吸収振幅演算回路と、
前記測定対象ガスの吸収振幅及び前記差分に基づいて前記測定対象ガスの濃度を演算するガス濃度演算回路と、
を備え
前記ガス濃度演算回路は、
所定の濃度に校正された標準ガスを既知の光路長を有する空間に流通させた状態で、前記差分に対応する前記吸収振幅を得る処理を、前記濃度、前記差分、及び前記光路長を異ならせて行い、それぞれの値を関数テーブルとして予め記憶しており、
実際の測定時に得た前記光路長、前記差分、及び前記吸収振幅を入力として前記関数テーブルを参照することにより、前記測定対象ガスの濃度を求めることを特徴とする
波長変調分光法を採用することで光学系を簡素化することができる。また、光路上にダストが存在しその光量が変動したり、輻射光が存在したりしても、これらの変動成分を除去して測定対象ガスの正確なガス濃度を求めることができる。
総じて本発明によれば、簡易な構成であるにも拘わらず、正確かつ安定して測定対象ガスの濃度を測定するレーザ式ガス分析計を提供することができる。
本発明を実施するための形態に係るレーザ式ガス分析計の構成図である。 本発明を実施するための形態に係るレーザ式ガス分析計の信号タイミングチャートであり、図2(a)はプリアンプからの信号、図2(b)はハイパスフィルタからの信号、図2(c)は可変アンプからの信号、図2(d)はロックイン検出回路からの信号である。 従来技術の排ガス分析装置の全体構成図である。
続いて、本発明を実施するための形態に係る波長変調分光法に基づくレーザ式ガス分析計について、図を参照しつつ以下に説明する。図1は、本形態のレーザ式ガス分析計の全体構成図である。レーザ式ガス分析計1は、レーザ素子11、レーザ素子温度制御回路12、波長掃引・変調電流制御回路13、タイミング制御回路14、受光素子21、プリアンプ22、ハイパスフィルタ23、可変アンプ31、差分演算回路32、増幅率制御回路33、ロックイン検出回路41、吸収振幅演算回路42、ガス濃度演算回路43を備える。
レーザ素子11は、レーザ光Lを発光する。このレーザ光Lは、図示しないガス中に照射される。このガスは、例えば大気、煙道の排ガス、または、燃焼ガスであり、濃度測定対象である測定対象ガス成分を含む。
レーザ素子11が発するレーザ光Lの波長としては、測定対象ガス成分が吸収線を有する波長の付近にある波長が選択される。例えば、測定対象ガス成分が酸素ガスであれば、レーザ素子11は酸素ガスが吸収線を有する波長760nmから波長763nmの間にある波長で発光する素子を選択できる。なお、測定対象ガス成分は酸素に限定されない。測定対象ガス成分が吸収線を含む波長であって、さらに望ましくは測定対象ガス成分以外のガスによる吸収線と重ならない波長であれば、任意の測定対象ガス成分の測定に適用できる。
レーザ素子11は、特定の波長の吸収線全体をよぎるように波長が掃引・変調される。この目的のために、レーザ素子11は、例えば波長シングルモードで発振し、かつ温度、駆動電流により波長チューナブルな、DBRレーザ、DFBレーザまたはVCSELというレーザ素子を選ぶことができる。
レーザ素子温度制御回路12は、レーザ素子11の出力や波長を一定に制御、安定化する。レーザ素子11の出力や波長は、温度によって変動するため、周囲温度の変化によって出力や波長が変動しないように、レーザ素子温度制御回路12によって一定の温度に制御する。
波長掃引・変調電流制御回路13は、レーザ素子11の発光する波長が特定の波長の吸収線付近で掃引されるように、かつ、所定信号で変調されるように、レーザ素子の駆動電流を制御する。
レーザ光Lの波長は駆動電流の増減によって可変であるため、例えばレーザ素子11の駆動電流が掃引されることにより、測定対象ガス成分の吸収線をよぎるように掃引される。さらに、後述のロックイン検出回路41において吸収を高感度で検出するため、駆動電流に正弦波を重畳する変調を行う。波長掃引・変調は、タイミング制御回路14の繰り返し出力に基づいて、点灯タイミングにおいて繰り返される。また、正弦波による変調周波数は、波長掃引の周波数よりも大きく設定する。
タイミング制御回路14は、波長掃引・変調電流制御回路13の点灯・消灯のタイミングを制御する回路である。これにより、レーザ素子11は点灯・消灯を交互に繰り返す。また、後述する差分演算回路32及び吸収振幅演算回路42の演算タイミングを制御する。
ガスを透過しつつ、測定対象ガス成分によって一部吸収されたレーザ光Lは、受光素子21に入射する。受光素子21は、レーザ光Lの波長に感度を有する素子であり、レーザ光Lの波長が例えば760nmから763nmであれば、受光素子21には例えばシリコンフォトダイオードを選ぶことができる。このとき、受光素子21はガスの存在する空間などから放射される光も受光することがある。また、受光素子21がフォトダイオードの場合には暗電流を生じる。これらに起因する受光信号の変動がレーザ光Lの掃引を繰り返す周期よりは十分長くなるように、掃引の繰り返し周期は短く選ばれる。受光素子21の受光信号は、図2(a)のグラフと同等の傾向を示すものであり、点灯と消灯が繰り返される。
プリアンプ22は、受光素子21からの信号を増幅する回路である。例えば受光素子21がフォトダイオードであれば、フォトダイオードからの電流を電圧に変換しつつ増幅するトランスインピーダンスアンプを選ぶことができる。プリアンプ22の増幅率は、レーザ光Lが最も減衰されない条件、すなわち光路上にダストなどが存在しない条件において、プリアンプ22からの信号が飽和しない程度に設定すればよい。これにより、それ以上プリアンプ22の信号が大きくなることはない。したがって、光路上に光減衰器(VOA)を挿入する必要はなくなる。プリアンプ22からの出力信号は、図2(a)のグラフに例示されるようになり、点灯と消灯が繰り返されている。
ハイパスフィルタ23は、プリアンプ22からの信号に含まれる直流成分を除去する。プリアンプ22からの信号には、図2(a)のグラフのように、一般に直流成分が含まれている。直流成分は、例えばガスが存在する空間から放射される光に起因する。また、例えば受光素子21がフォトダイオードであれば、フォトダイオードに発生する暗電流にも起因する。これらの直流成分は、変動するとしてもその時定数がレーザ光Lの掃引を繰り返す周期よりは十分長い(つまり低周波である)ために、ハイパスフィルタ23によって除去され、図2(b)に例示されるように基準電圧0Vをまたぐ波形となる。
レーザ光Lの点灯・消灯の繰り返し周波数(繰り返し周期の逆数)や、レーザ光Lの波長掃引・変調信号の周波数は、ハイパスフィルタ23の通過帯域となるように、ハイパスフィルタ23のカットオフ周波数を選ぶ。その結果、レーザ光Lの点灯・消灯及びレーザ光Lの波長掃引・変調信号は変化を殆ど受けずに通過する。なお、図2(a),(b)に例示されるレーザ点灯(波長掃引・変調)波形には、図中に示されない測定対象ガス成分による微小な吸収が含まれている。
プリアンプ22の直後にハイパスフィルタ23を設ける意義は、後述する可変アンプ31で直流信号まで増幅すると、測定条件が悪い場合、例えばガスが存在する空間から放射される光が強く、暗電流が大きく、レーザ光Lの透過率が低い場合に、直流信号分が相対的に増加し、それを増幅するだけで信号電圧が飽和するからである。このような事態を防ぐために、プリアンプ22の直後にハイパスフィルタ23を設ける。
このようなハイパスフィルタ23からの信号波は、レーザ光Lの点灯・消灯信号とレーザ光Lの波長掃引・変調信号を主に含んでいる。このうちレーザ光Lの点灯時における波長掃引・変調信号波は、例えばガスが存在する空間に共存するダスト量の変動によって、レーザ光Lが散乱・減衰を受けるために変動する。この散乱・減衰は、レーザ光Lの波長掃引・変調範囲においては波長依存性がなく、ハイパスフィルタ23を通過する。
可変アンプ31は、ハイパスフィルタ23からの信号を飽和させることなく適当な増幅率で増幅する。もし、可変アンプ31がなかったら、ダスト量が増大してレーザ光Lの透過率が大幅に低下した際に、後述する各種演算における信号ノイズ比が悪化し、安定なガス濃度測定は不可能となる。可変アンプ31はそのような事態を防止し、ダスト量の変動などによる信号ノイズ比を悪化させず、常に安定した測定を実現するためにある。
なお、増幅率は増幅率制御回路33が決定するがこの決定手法については後述する。ここで、レーザ光Lの点灯・消灯の繰り返し周期は、ダスト量の変動の時定数よりも早くなるように選んでいる。したがって、可変アンプ31は、後述する増幅率制御回路33により十分な応答速度であり、かつ適当な増幅率で信号を増幅することができる。
差分演算回路32は、図2(c)に例示されるような可変アンプ31からの信号に基づき、レーザ光Lの点灯タイミングTの値Sと、レーザ光Lの消灯タイミングTの値Sと、の差分Vを演算する。これらのレーザ光Lの点灯タイミングT、消灯タイミングTの取得は、タイミング制御回路14によって一定に制御される。この差分Vの演算について、例えば、異なる時間に取得されるこれら信号Sや信号Sに相当する値を、差分演算回路32が内蔵する図示しないメモリにそれぞれ登録しておき、内蔵するCPUが両者の差分を取ることで差分Vを取得できる。なお、図2(c)に例示されるレーザ点灯(波長掃引・変調)波形には、図中に示されない測定対象ガス成分による微小な吸収が含まれている。
差分演算回路32により、レーザ光Lの透過光量についての信号のみを抽出することができる。すなわち、ガスが存在する空間から放射される光や、受光素子21の暗電流の影響を排除できる。
さらに、レーザ光Lの点灯タイミングTは、測定対象ガス成分による吸収を含まないタイミングとすることにより、測定対象ガスによる吸収の影響も排除することが望ましい。さらに差分演算回路32の内部には、図2(c)に例示されるレーザ点灯(波長掃引・変調)波形における変調周波数を平滑化し、変調による信号の変動の影響を低減するローパスフィルタが含まれていてもよい。
こうして得られた差分Vは、増幅率制御回路33と、ガス濃度演算回路43に入力される。差分Vを求めることにより、正味のレーザ光Lの透過光量を求めることができ、演算の正確性が増す。
増幅率制御回路33は、差分演算回路32からの差分Vに基づき、可変アンプ31の適当な増幅率を決定し、この適当な増幅率で増幅するように可変アンプ31を制御する。例えば、差分演算回路32の信号が小さい場合には、増幅率をより大きくし、逆に差分演算回路32の信号が大きい場合には、増幅率をより小さくすることができる。この大小の比較は、増幅率制御回路33の図示しないメモリに基準値Vsを予め登録しておき、図示しないCPUにより基準値Vsを差分Vで除した値を増幅率αとすれば良い。
例えば基準値Vsが1.5で差分Vが1.3ならば1.5/1.3≒1.15であり、増幅率制御回路33が増幅率αとして1.15を可変アンプ31に出力する。可変アンプ31は差分Vである1.3に増幅率αである1.15を乗じることになり、可変アンプ31から出力される差分Vは基準値Vsの1.5に近づく。このようにして、信号の吸収振幅が飽和しない程度で、かつ信号ノイズ比を悪化させない程度に大きな吸収振幅となるように制御することができる。なお、増幅率の算出方法は他の算出手法を採用しても良い。
可変アンプ31、差分演算回路32、増幅率制御回路33により、レーザ光Lの光路上において絶えずダスト濃度が変動していたとしても、測定対象ガス成分の吸収信号を得るために十分な信号を得られるように制御することができる。
ロックイン検出回路41は、可変アンプ31からの信号に含まれる変調周波数成分の信号を検出する回路である。ロックイン検出に用いる周波数は、波長掃引・変調電流制御回路13における変調周波数を基準として、例えばその2倍の周波数を選ぶことができる。レーザ光Lが、測定対象ガス成分の吸収線の波長を含むように掃引されているとき、ロックイン検出回路41の出力は、測定対象ガス成分の吸収線に基づき極値をもつ波形となる。
例えばロックイン周波数を変調周波数の2倍に選ぶと、図2(d)に示すようにガスの吸収波形の2次微分で近似され得る波形を得ることができる。このようなロックイン検出を用いることにより、ロックイン検出に用いる周波数以外の周波数領域にあるノイズを大幅に低減でき、微小な測定対象ガスによる吸収の信号だけを増幅することができるため、図2(a),(b),(c)においては図示されないほど小さな吸収であっても、図2(d)のように十分な信号ノイズ比で吸収を検出することができる。
吸収振幅演算回路42は、ロックイン検出回路41の出力におけるガスの吸収波形に基づいて、その極値の吸収振幅Vを演算する回路である。図2(d)においては例えば極大値タイミングTの出力および極小値タイミングTの出力から、吸収振幅Vが演算される。これらのタイミングは、タイミング制御回路14に基づき制御される。
ガス濃度演算回路43は、差分演算回路32からの信号である差分Vと、吸収振幅演算回路42からの信号である吸収振幅Vと、に基づき、測定対象ガス成分の濃度を演算する回路である。測定対象ガス成分によるレーザ光Lの透過率は、ランベルト・ベールの法則により以下の数式に従う。
[数1]
T=exp(−ε・c・L)
ここで、Tはガスを透過したレーザ光Lの透過率、εはモル吸光係数、cは測定対象ガス濃度、Lは光路長を表す。εは測定対象ガスの種類と波長に依存し、測定対象ガスの種類と波長を決めると一意に決まる。Lは事前に判明している定数であり、Tはcを変数とする指数関数となる。したがって、Tを測定することにより、測定対象ガス濃度を求めることとなる。
しかし、光路上には各種の光学系による反射・散乱、ダストによる散乱・減衰、測定対象ガス以外によるレーザ光Lの吸収など、減少要因が多数あるため、Tを直接測定することは困難である。
そこで、間接的な方法を採用する。例えば、数式1における指数ε・c・Lが1より十分小さい場合、吸収振幅Vは、測定対象ガス濃度cと光路長Lの積c×Lに比例し、さらに差分Vにも比例する。この関係は例えば次式のように表せる。
[数2]
=k・c・L・V
ここに、kは係数である。濃度cについてまとめると次式のようになる。
[数3]
c=V/(k・L・V
そこで、ガス濃度演算回路43にこの関数を予め登録しておき、実際の測定で得られる差分V、吸収振幅V、光路長Lを用いて、測定対象ガス濃度cを演算することができる。
また、数式1における指数ε・c・Lが1より十分小さくない場合においては、吸収振幅Vはc×Lを変数とする関数となる。この関係は例えば次式のように表せる。
[数4]
=k・f(c×L,V
この関数をガス濃度演算回路43に予め記憶させておき、実際の測定で得られる差分V、吸収振幅V、光路長Lを用いて、測定対象ガス濃度cを演算することができる。
この数4の関数は、例えば、以下のように算出する。ある濃度cに校正された測定対象ガスの標準ガスを、ある光路長Lを有する空間(例えば校正セル)に流通させ、ある差分Vにおける吸収振幅Vの値をガス濃度演算回路43に記憶させておく。そして、複数の濃度c、複数の光路長L、複数の差分Vについて結果として得られた吸収振幅Vを関数テーブルとして予め登録しておく。この関数テーブルを使用する実際の測定では、一の光路長L、一の差分Vおよび一の吸収振幅Vを入力とし、この関数テーブルから対応する測定対象ガス濃度cを算出する。
これらのような方法によれば、参照光を測定しなくても、あるいは参照光が測定できない条件であっても、1つの受光素子だけで測定対象ガス濃度cを算出することができる。 このようにして、測定対象ガス濃度cを正確かつ安定して算出することができる。
以上本発明の実施形態について説明した。本発明によれば、光路上にダストが存在してその光量が変動したり、輻射光が存在したり、測定対象のガス濃度が低い場合であっても、簡易な構成で、正確かつ安定して測定対象ガスの濃度を測定できる。
本発明のレーザ式ガス分析は、ボイラ、ゴミ焼却等の燃焼排ガス測定用、燃焼制御用として最適である。その他、鉄鋼用ガス分析[高炉、転炉、熱処理炉、焼結(ペレット設備)、コークス炉]、青果貯蔵及び熟成、生化学(微生物)[発酵]、大気汚染[焼却炉、排煙脱硫・脱硝]、自動車排ガス(除テスタ)、防災[爆発性ガス検知、有毒ガス検知、新築建材燃焼ガス分析]、植物育成用、化学用分析[石油精製プラント、石油化学プラント、ガス発生プラント]、環境用[着地濃度、トンネル内濃度、駐車場、ビル管理]や各種理化学実験用などの分析計としても有用である。
11:レーザ素子
12:レーザ素子温度制御回路
13:波長掃引・変調電流制御回路
14:タイミング制御回路
21:受光素子
22:プリアンプ
23:ハイパスフィルタ
31:可変アンプ
32:差分演算回路
33:増幅率制御回路
41:ロックイン検出回路
42:吸収振幅演算回路
43:ガス濃度演算回路
:レーザ点灯タイミング
:レーザ消灯タイミング
:極大値タイミング
:極小値タイミング
L:レーザ光

Claims (1)

  1. ガスに含まれる測定対象ガスの吸収波長を含む波長で発光するレーザ光を前記ガスに照射し、前記ガスを透過したレーザ光を検出して前記測定対象ガスによる吸収から濃度を測定するレーザ式ガス分析計であって、
    レーザ光を出射するレーザ素子と、
    前記レーザ素子の温度を制御するレーザ素子温度制御回路と、
    前記レーザ光の点灯タイミング・消灯タイミングを交互に切り換えるタイミング信号を出力するタイミング制御回路と、
    前記タイミング制御回路のタイミング信号によりレーザ光の点灯タイミングに同期して波長を掃引しつつ基本周波数で波長変調する波長掃引・変調電流制御回路と、
    前記ガスを透過した前記レーザ光を検出する単一の受光素子と、
    前記受光素子の出力信号を増幅するプリアンプと、
    前記プリアンプの出力信号に含まれる直流成分を除去するハイパスフィルタと、
    前記ハイパスフィルタの出力信号を適当な増幅率で増幅する可変アンプと、
    前記可変アンプの出力信号のうち、前記レーザ光の点灯タイミングの信号と消灯タイミングの信号とから差分を演算する差分演算回路と、
    前記差分に基づいて前記可変アンプの前記増幅率を決定する増幅率制御回路と、
    前記ハイパスフィルタの出力信号に含まれる前記基本周波数の2倍周波数成分をロックイン検出するロックイン検出回路と、
    前記ロックイン検出回路の出力信号に基づいて前記測定対象ガスの吸収振幅を演算する吸収振幅演算回路と、
    前記測定対象ガスの吸収振幅及び前記差分に基づいて前記測定対象ガスの濃度を演算するガス濃度演算回路と、
    を備え
    前記ガス濃度演算回路は、
    所定の濃度に校正された標準ガスを既知の光路長を有する空間に流通させた状態で、前記差分に対応する前記吸収振幅を得る処理を、前記濃度、前記差分、及び前記光路長を異ならせて行い、それぞれの値を関数テーブルとして予め記憶しており、
    実際の測定時に得た前記光路長、前記差分、及び前記吸収振幅を入力として前記関数テーブルを参照することにより、前記測定対象ガスの濃度を求めることを特徴とするレーザ式ガス分析計。
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