JP4192003B2 - 印刷装置,印刷方法及び液晶表示機器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置などの機器の製造に用いられる印刷装置,印刷方法及び液晶表示機器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フレキソ印刷は、刷版に柔軟で弾性を有する凸版を使い、有機溶剤系の蒸発乾燥型インキを使用して印刷する方式であり、この文献には、フレキソ印刷装置の各種応用例が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、フレキソ印刷装置を液晶表示機器の製造に適用した例としては、第1母基板に形成された反射電極や配線上に保護膜を形成するのに、また、この保護膜や配線,接続端子上に配向膜を印刷するのにフレキソ印刷装置が用いる例がある。このようにして印刷処理された第1母基板では、液晶封入予定領域を囲むようにシールが形成され、同様にして透明電極や配向膜が形成された第2母基板が、このシールを介して、第1母基板と貼り合わされることにより、液晶の母パネルが形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
「フレキソ印刷総覧」(株)加工技術研究会発行 2000年11月
【0005】
【特許文献1】
特開2001−091918号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フレキソ印刷は、上記のように、従来、液晶表示機器の配向膜のような薄膜の印刷に用いられることが多いが、液晶表示機器の上記シールのような厚膜の印刷に適用する場合には、被印刷体への印刷材料(インク)の充分な転写量が得られないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、液晶表示機器のシールのような厚膜の印刷に際しても、かすれや欠けの発生が少ない均一な転写膜厚の印刷を可能とした印刷装置,印刷方法及び液晶表示機器の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、転写パターンが形成された凸版が取り付けられて回転する版胴と、インクを凸版に転写するアニロックスロールと、アニロックスロール上でインクを均一な厚さにするための平滑化手段と、被印刷体を搭載する印刷テーブルと、印刷テーブルと版胴との間の位置決め機構とを備え、凸版の表面温度を印刷テーブルに搭載された被印刷体の表面温度より高くし、かつアニロックスロールの表面温度を凸版の表面温度よりも高くするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
【0010】
図1は本発明による印刷装置の一実施形態を示す概略側面図であって、1は版胴、101は温度制御用ヒータ、2はフレキソ版、3は被印刷体、4はアニロックスロール、401は温度制御用ヒータ、5はディスペンサノズル、6はドクターブレード、7は印刷テーブル、701は温度制御用ヒータ、8はXYZθ(直交3軸とZ軸回りの回転)位置決め機構、9は直動軸受、10はガイドレール、11はカメラ、12,13は回転軸である。なお、ここでは、フレキソ印刷を例として説明するが、他の凸版印刷についても同様である。
【0011】
同図において、いま、紙面上左右方向をX軸方向,上下方向をZ軸方向とし、紙面に垂直な方向をY軸方向とする。円筒状をなす版胴1はY軸方向の回転軸12に回転可能に取り付けられており、この版胴1の表面に、印刷テーブル7上に搭載された被印刷体3に転写する印刷パターンが形成された凸版、ここでは、フレキソ版2が取り付けられている。また、Y軸方向の回転軸13には、版胴1上のフレキソ版2と接触可能に回転するように、円筒状をなすアニロックスロール4が回転可能に取り付けられている。このアニロックスロール4の上方には、ディスペンサノズル5がY軸方向に(即ち、アニロックスロール4の表面に沿って)往復移動可能に設けられており、この往復移動しながらアニロックスロール4の表面にペースト(インク)を滴下する。これにより、アニロックスロール4の表面にインクが付着するが、ディスペンサノズル5によるこのインクの滴下位置と版胴1に接触する位置との間に設けられている平滑化手段としてのドクターブレード6により、アニロックスロール4の表面に滴下されたインクが掻き取られて平滑化され、アニロックスロール4の表面の版胴1に接触する部分では、インクが均一な所定の厚さの膜に形成されている。かかる状態で、アニロックスロール4の表面から版胴1のフレキソ版2にインクが転写される。なお、平滑化手段としては、ドクターロールなどの他の手段を用いることもできる。
【0012】
ここで、版胴1内には、その表面近くに温度制御用ヒータ101が設けられ、また、アニロックスロール4内にも、その表面近くに温度制御用ヒータ401が設けられており、版胴1やアニロックスロール4の表面温度を高めることができるようにしている。
【0013】
被印刷体3を搭載した印刷テーブル7は、位置決め機構8に載置されており、これにより、X,Y,Z軸方向に位置決め可能となっており、さらに、Z軸の周りのθ方向にも位置決め可能となっている。この位置決め機構8により、被印刷体3の姿勢を調整することができる。また、位置決め機構8は、直動軸受9を介して、X軸方向に版胴1の下側を通って伸延したガイドレール10に連結されており、テーブル7に搭載された被印刷体3をY軸方向に移動させることができるようにしている。
【0014】
この印刷テーブル7の内部には、その被印刷体3の載置面近くに温度制御用ヒータ701が設けられており、これにより、この載置面を、従って、これに載置された被印刷体3の温度を高めることができるようにしている。
【0015】
さらに、印刷テーブル7の上方には、印刷テーブル7に載置された被印刷体3に設けられている位置合わせマークを撮像するためのビデオカメラ11が設けられている。このカメラ11は、カメラ駆動機構(図示せず)により、X,Yの2軸方向に移動可能な構成となっている。カメラ11によって撮像された画像信号は画像処理装置(図示せず)に送られ、この画像処理装置で処理されて被印刷体3の位置と姿勢が検出される。その検出情報は制御装置(図示せず)に送られ、位置決め機構8を制御して被印刷体3の位置や姿勢の調整がなされる。
【0016】
次に、かかる印刷装置の本発明による印刷方法の一実施形態の動作について説明する。
【0017】
図1は印刷開始前の状態を示すものである。
【0018】
同図において、被印刷体3が搬送されてきて印刷テーブル7に搭載される。このときには、図示しない制御装置によって位置決め機構8が制御されることにより、印刷テーブル7が初期位置,初期姿勢に設定されている(なお、この初期位置,初期姿勢は、上記X,Y,Z,θ軸の座標系において、位置X=Y=Z=0、角度θ=0゜の状態をいう)。カメラ11が被印刷体3に設けられている位置合わせマークを撮像し、その撮像した画像信号を図示しない画像処理装置に画像信号を送る。この画像処理装置は、この画像信号を解析処理することにより、印刷テーブル7上での被印刷体3の位置と姿勢のずれ量を認識し、そのずれ量に応じた補正量の補正信号を図示しない制御装置に送る。この制御装置は、この補正信号に応じて位置決め機構8を制御し、位置X,Y,Zや角度θを調整することにより、上記のずれ量が0となるように、被印刷体3の位置と姿勢を補正する。なお、被印刷体3のかかる位置,姿勢の補正が終了するまでに、フレキソ版2には、アニロックスロール4からインクが転写されている。
【0019】
図2は被印刷体3の上記補正が終了してから印刷テーブル7が版胴1の方に(即ち、X軸方向に)移動を開始するまでの動作を示す図である。
【0020】
同図において、被印刷体3の位置,姿勢の補正が終了すると、制御部が位置決め機構8を制御することにより、被印刷体3が印刷されるための高さ位置に設定されるように、印刷テーブル7がZ軸方向に移動(即ち、上昇)し、これとともに、印刷テーブル7は、版胴1に取り付けられたフレキソ版2の回転位相及び周速と同期した位置及び速度で、ガイドレール10に沿い、X軸方向に移動する。
【0021】
そして、図3に示すように、被印刷体3が印刷される位置に達すると、位置決め機構8が印刷テーブル7をZ軸方向に押し上げて被印刷体3を版胴1のフレキソ版2に押し付けるように作用することにより、被印刷体3がフレキソ版2と適当な印圧を受けつつ接触しながら移動し、これと同期して版胴1が回転することにより、フレキソ版2上のインクが被印刷体3に転写される。このとき、アニロックスロール4は、版胴1の表面から離れている。従って、版胴1の表面のフレキソ版2が設けられている部分以外の部分には、インクが転写されない。
【0022】
なお、ここでは、印刷テーブル7の位置決め機構8によって被印刷体3とフレキソ版2との間に印圧を与えるようにしているが、その代りに、被印刷体3が接触しないときには、版胴1とアニロックスロール4とが正規の高さ位置よりも低い位置にあり、上記の印刷時には、接触する被印刷体3によって持ち上げられて上方に移動し、これに伴って版胴1とアニロックスロール4とから被印刷体3に印圧を与えるようにしてもよい。
【0023】
印刷が終了して図4に示す状態となると、図5に示すように、被印刷体3が印刷テーブル7から搬出され、さらに、印刷テーブル7は下降し、ガイドレール10に沿って逆方向に図1に位置まで復帰移動する。なお、図4,図5で示す状態では、版胴1とアニロックスロール4とが離れている。
【0024】
図6は図1〜図5でのフレキソ版2の一具体例を示すものであって、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)の分断線A−Aに沿う断面図であって、201は転写パターンである。
【0025】
図6(a),(b)において、フレキソ版2は弾性体からなるものであって、それに転写パターン201が凸版として形成されている。この転写パターン201にアニロックスロール4(図1〜図5)が圧接することにより、この転写パターン201上にインクが転写され、図3に示す状態でこのインクが被印刷体3に転写される。
【0026】
ところで、上記のように、フレキソ印刷装置は、従来、主に薄膜印刷に用いられてきており、液晶表示機器のフラットパネルのシール印刷のような厚膜印刷に用いると、充分な転写量が得にくいという問題があった。
【0027】
この実施形態では、この問題を解決するために、図1〜図5に示すように、アニロックスロール4,版胴1及び印刷テーブル7に夫々温度制御用ヒータ401,101,701を内蔵し、上記の被印刷体3への印刷を行なうときには、これら温度制御用ヒータ401,101,701を動作させて、アニロックスロール4,版胴1及び印刷テーブル7の表面、従って、インクの温度を高めるようにした温度調整機構を備えたものである。
【0028】
これは、インクは、温度に応じた粘度の関係から、高温側から低温側への転写は容易であるが、その逆は転写しにくいという性質を利用するものであって、このために、この実施形態では、
T4>T1>T7 ……(1)
となるように、温度制御用ヒータ401,101,701を制御する。ここで、
T4:アニロックスロール4の表面温度
T1:版胴1(即ち、フレキソ版2)の表面温度
T7:印刷テーブル7の表面温度
である。
【0029】
インクは温度が低いほど粘度が高まるため、アニロックスロール4,版胴1及び印刷テーブル7夫々の表面温度を上記式(1)のように調整することにより、相対的に表面温度が高い方のアニロックスロール4から表面温度が低い方のフレキソ版2へインクの転写が確実に行なわれ、また、相対的に表面温度が高い方のフレキソ版2から表面温度が低い方の被印刷体3へインクの転写が確実に行われる。従って、この実施形態では、厚膜印刷であっても、インクの所望の転写量を得ることが可能となる。
【0030】
かかる印刷方法を用いた本発明による液晶表示機器の製造方法の一実施形態では、上記被印刷体3としてのフラットパネルに上記インクとしてのかかるフラットパネル用のシール材を印刷してシールを形成するものであるが、シール材を所望とする転写量でこのフラットパネルに転写できて、均一な厚さで所望とする厚膜印刷が良好に可能である。
【0031】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態にのみ限定されるものではない。
【0032】
例えば、アニロックスロール4,版胴1及び印刷テーブル7において、それらの表面近くに温度制御用ヒータ401,101,701を配置するものとしたが、これに限るものではなく、これらの表面を効率的に加熱できるものであれば、これらアニロックスロール4,版胴1及び印刷テーブル7内にどのように配置してもよい。
【0033】
また、アニロックスロール4,版胴1及び印刷テーブル7の全てに温度制御用ヒータを配置するものとしたが、上記式(1)を満足するものであれば、これに限るものではない。
【0034】
即ち、例えば、これらアニロックスロール4,版胴1及び印刷テーブル7が同じ温度の環境内にある場合には、印刷テーブル7の温度制御用ヒータ701を省くようにしてもよいし、さらに、アニロックスロール4の表面が温度制御用ヒータ401によって加熱されることにより、版胴1の表面もある程度加熱され、これらアニロックスロール4と版胴1との表面温度の関係が上記式(1)を満たすものであれば、アニロックスロール4のみに温度制御用ヒータを設けるようにしてもよい。
【0035】
また、アニロックスロール4に滴下されるインクが加熱されていて充分低い粘度を有している場合には、版胴1と印刷テーブル7との間の表面温度が上記式(1)を満足するようにさせるために、版胴1のみに温度制御用ヒータを設けるようにしてもよい。
【0036】
さらに、アニロックスロール4において、内蔵の温度制御用ヒータ401の代わりに、その表面に温度制御用面ヒータを設けるようにしてもよい。
【0037】
さらにまた、アニロックスロール4や版胴1の周囲を囲い(勿論、版胴1から被印刷体3への印刷に支障を来さないように囲う)、この囲いの中に温風を吹き込むことにより、これらアニロックスロール4や版胴1を、上記式(1)を満足させるように、加熱するようにしてもよい。
【0038】
さらにまた、以上夫々のアニロックスロール4や版胴1の加熱方法に対し、印刷テーブル7に、温度制御用ヒータ701の代わりに、冷却手段を設けて冷却するようにし、上記式(1)を満足させるようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、厚膜印刷でも、インクの所望の転写量を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による印刷装置,印刷方法及び液晶表示機器の製造方法の一実施形態の印刷準備の状態を示す構成図である。
【図2】図1に示す実施形態の図1に続く印刷準備完了から印刷動作を始めるまでの状態を説明する図である。
【図3】図1に示す実施形態の図2に続く印刷動作を説明する図である。
【図4】図1に示す実施形態の図3に続く印刷終了の状態を示す図である。
【図5】図1に示す実施形態の図4に続く図1に示す状態に復帰する動作を説明する図である。
【図6】図1〜図5におけるフレキソ版の一具体例を示す図である。
【符号の説明】
1 版胴
2 フレキソ版
3 被印刷体
4 アニロックスロール
5 ディスペンサノズル
6 ドクターブレード
7 印刷テーブル
8 位置決め機構
9 直動軸受
10 ガイドレール
11 カメラ
12,13 回転軸
101,401,701 温度制御用ヒータ
201 印刷パターン
Claims (7)
- 転写パターンが形成された凸版が取り付けられて回転する版胴と、インクを該凸版に転写するアニロックスロールと、該アニロックスロール上で該インクを均一な厚さにするための平滑化手段と、被印刷体を搭載する印刷テーブルと、該印刷テーブルと該版胴との間の位置決め機構とを備えた印刷装置において、
該凸版の表面温度を該印刷テーブルに搭載された該被印刷体の表面温度よりも高くし、かつ該アニロックスロールの表面温度を該凸版の表面温度よりも高くするための温度調整機構を有することを特徴とする印刷装置。 - 請求項1において、
前記温度調整機構として、少なくとも前記アニロックスロールを加熱する加熱手段を設け、
該凸版の表面温度を該印刷テーブルに搭載された該被印刷体の表面温度よりも高くし、かつ該アニロックスロールの表面温度を該凸版の表面温度よりも高くすることを特徴とする印刷装置。 - 転写パターンが形成された凸版が取り付けられて回転する版胴と、インクを該凸版に転写するアニロックスロールと、該アニロックスロール上で該インクを均一な厚さにするための平滑化手段と、被印刷体を搭載する印刷テーブルと、該印刷テーブルと該版胴の間の位置決め機構とを備えた印刷装置において、
該アニロックスロールに加熱された低粘度の該インクが滴下され、
温度調整機構として、該版胴のみ加熱する加熱手段を設け、該凸版の表面温度を、該アニロックスロールの表面温度よりも低く、かつ該印刷テーブルに搭載された該被印刷体の表面温度よりも高くすることを特徴とする印刷装置。 - 請求項1,2または3において、
前記印刷テーブルを冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする印刷装置。 - 請求項1,2,3または4において、
前記インクは、表示機器のフラットパネル用のシール材であることを特徴とする印刷装置。 - 転写パターンが形成された凸版が取り付けられて回転する版胴と、インクを該凸版に転写するアニロックスロールと、該アニロックスロール上で該インクを均一な厚さにするための平滑化手段と、被印刷体を搭載する印刷テーブルと、該印刷テーブルと該版胴との間の位置決め機構とを備えた印刷装置を用いた印刷方法において、
該凸版の表面温度を該印刷テーブルに搭載された該被印刷体の表面温度よりも高くし、かつ該アニロックスロールの表面温度を該凸版の表面温度よりも高くした状態で、該凸版に形成されている該転写パターンを該被印刷体に印刷することを特徴とする印刷方法。 - 印刷する前記インクをフラットパネル用のシール材としたことを特徴とする請求項6に記載の印刷方法を用いた液晶表示機器の製造方法。
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