JP4191865B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、無線通信機能を有する携帯可能情報記憶媒体との間で無線による通信を行なうアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、無線電波を使用して通信を行なう無線通信システムにあっては、ノイズなどの環境の影響を受けずに安定的に通信を行なうために、強い電界強度の電波を使用する必要がある。このため、無線通信システムにおけるアンテナ装置では、アンテナ本体から強い電界強度の電波を放射するように駆動回路で駆動することが要望されている。
【0003】
しかしながら、電波法の規定により自由に情報処理装置から強い電界強度の電波を放射することが不可能である。このような電波法においては、特定の周波数について強い電波を放射することが許されている。この電波法での特定の周波数は規定が厳しく、使用に関しては充分な注意が必要である。
【0004】
上記特定の周波数は、波長をλとすると、λ/2πが電波法で規定している測定距離3m付近の周波数である。このような条件を満足するアンテナを設計するために放射電界強度を計算する場合、距離がλ/2π付近では理論計算と実測値とを一致させることが困難である。また、測定する環境においても大きく影響を受ける。したがって、机上でアンテナを設計し、実際に3m付近で測定を行なうと、設計値と大きく異なり、電波法を満足することができないことが多い。
【0005】
例えば、図10に示すように、微小ループコイル151からの放射電界強度モデルは、設計値として考える微小ループコイルを原点とした電磁気学などで使用する極座標表示152で示される。
【0006】
このような微小ループアンテナからの放射を解くと、図11に示すように、アンテナ間距離をrとした場合、磁界Hr成分が特性161、磁界Hθ成分が特性162、1/rのラインが特性163となる。
【0007】
ここで、3m付近に注目すると、Hr成分、Hθ成分中の1/r項と、1/r項と、1/r項が等しい領域であり、計算値と実測値とはなかなか一致しない。このため、性能が悪い送信アンテナを使用して、このポイントでの電界強度を測定すると、設計値と大幅に異なる電界強度が測定される。
【0008】
たとえば、性能の悪いアンテナを使用した場合、図12に示すような距離対放射電界(磁界)強度特性が得られる。図12では、本来、アンテナはHr成分が重要であるので、図12のグラフにはHr成分のみを記載した。また、図12において、測定値は特性171、1/rのラインは特性172である。この図12から明らかなように、特性171は設計値を大きく外れ、3m付近でディップしているから、それ以降は大きく成分が乱れている。つまり、上記のようなアンテナを用いた場合、3m付近で電波法が規定する値を満足できないものとなってしまう。
【0009】
そこで、従来、電波法が規定する値を満足するために、図13(a)、(b)に示すようなループアンテナがある。このループアンテナは、板状の導体としてのグランドパターン(電波輻射制限パターン)182をループアンテナ本体(アンテナパターン)181に沿う形で設置したものである。
【0010】
図13(a)、(b)において、181は所定の開口面積を持つループアンテナ本体であり、本例では、たとえば、巻数が1ターンの矩形状のループコイルとする。182は板状の導体としてのグランドパターンで、ループアンテナ本体181とでプリント配線基板183を挟み、ループアンテナ本体181と反対側に、ループアンテナ本体181に沿う形で形成されている。グランドパターン182は、ループアンテナ本体181のグランド端子(接地点)に接続される。
【0011】
しかしながら、図13に示すようなアンテナでは、電波法の規定を満足することができるが、電波輻射制限パターンをアンテナパターンより大きくする必要があるため、アンテナ全体の形状が電波輻射制限パターンの制約を受けて大きくなる。
【0012】
また、図13に示すようなアンテナでは、例えば、このアンテナを無線カードとのデータの読取および書込みを行うリーダライタとして利用する場合、無線カード内部のアンテナとほぼ同サイズのアンテナをリーダライタ側に設けると、電波輻射制限パターンにより、アンテナに近い領域での通信が困難となる。このため、リーダライタ側のアンテナを無線カードのアンテナとほぼ同サイズで実現することができない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、電波輻射制限パターンにより、アンテナ全体の形状が大きくなってしまったり、アンテナに近い領域での通信が困難になるというという欠点を除去したもので、アンテナ全体の形状を大きくすることなく、電波法の規制内での強い電波輻射が可能で、通信距離の確保が可能となるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明のアンテナ装置は、2つの駆動端を有する複数巻きループが、上記内側と外側とを交差部にて交差させてなるループアンテナ本体、およびこのループアンテナ本体の2つの駆動端に対して平衡駆動する駆動手段から構成され、上記ループアンテナの1巻き目のループは上記駆動端の一方から上記交差部を通って上記駆動端が内側になるよう配置され、上記ループアンテナの2巻き目のループは上記交差部にて上記1巻き目のループの内側になるように配置されるとともに上記駆動端の他方に接続される
【0015】
この発明のアンテナ装置は、2つの駆動端を有する複数巻きループが、上記2つの駆動端から等距離の位置で内側と外側とを交差させてなるループアンテナ本体、およびこのループアンテナ本体の2つの駆動端に対して、一方の駆動端を正相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動し、他方の駆動端を逆相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動する駆動手段から構成されている。
【0016】
この発明のアンテナ装置は、印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きのループを形成し、内側の印刷配線と外側の印刷配線とが交差部にて交差してなるループアンテナ本体、およびこのループアンテナ本体の2つの駆動端に対して平衡駆動する駆動手段から構成され、上記ループアンテナの1巻き目のループは上記駆動端の一方から上記交差部を通って上記駆動端が内側になるよう配置され、上記ループアンテナの2巻き目のループは上記交差部にて上記1巻き目のループの内側になるように配置されるとともに上記駆動端の他方に接続される
【0017】
この発明のアンテナ装置は、印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きループを形成し、上記2つの駆動端から等距離の位置で内側の印刷配線と外側の印刷配線とが交差してなるループアンテナ本体、およびこのループアンテナ本体の2つの駆動端に対して、一方の駆動端を正相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動し、他方の駆動端を逆相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動する駆動手段から構成されている。
【0018】
この発明のアンテナ装置は、印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きループを形成し、上記印刷基板の表面から裏面へ至る少なくとも2つのスルーホールを介して印刷配線が印刷基板の裏面を通って表面に印刷されている印刷配線と交差してなるループアンテナ本体、およびこのループアンテナ本体の2つの駆動端に対して平衡駆動する駆動手段から構成され、上記ループアンテナの1巻き目のループは上記駆動端の一方から上記交差部を通って上記駆動端が内側になるよう配置され、上記ループアンテナの2巻き目のループは上記交差部にて上記1巻き目のループの内側になるように配置されるとともに上記駆動端の他方に接続される
【0019】
この発明のアンテナ装置は、印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きループを形成し、上記2つの駆動端から等距離の位置に設けられた印刷基板の裏面へ至る少なくとも2つのスルーホールを介して印刷配線が印刷基板の裏面を通って表面に印刷されている印刷配線と交差してなるループアンテナ本体、およびこのループアンテナ本体の2つの駆動端に対して、一方の駆動端を正相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動し、他方の駆動端を逆相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動する駆動手段から構成されている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る無線通信システムの構成を概略的に示している。図1において、1は無線通信機能を有する情報処理装置1、2は情報処理装置1のループアンテナ、3は情報処理装置1の上位装置、4は無線通信機能を有する携帯可能情報記憶媒体(無線カード)、5は携帯可能情報記憶媒体4のループアンテナである。上記情報処理装置1は、携帯可能情報記憶媒体4との間で無線による送受信を行なうことにより、携帯可能情報記憶媒体4に対してデータの送信および受信など、所定の情報処理を行なうようになっている。
【0022】
図2は、情報処理装置1の基本的構成の一例を概略的に示している。図2において、11は変調回路・送信ドライバ、12は復調回路・受信アンプで、これらにはループアンテナ2が接続されている。13は各種処理を実行する制御回路で、これには変調回路・送信ドライバ11および復調回路・受信アンプ12が接続されている。
【0023】
以下に、動作の概略を簡単に説明する。上位装置3で生成されるデータを制御回路13に送り、制御回路13においてデータ化された信号を変調回路・送信ドライバ11において変調、増幅し、ループアンテナ2に供給する。ループアンテナ2は、変調回路・送信ドライバ11からの信号を電波として空間に放射する。
【0024】
一方、携帯可能情報記憶媒体4から送信される電波は、情報処理装置1のループアンテナ2で受信され、復調回路・受信アンプ12に送られる。復調回路・受信アンプ12では、受信した信号に対して増幅、復調などの処理を行なうことにより、受信データを得る。得られた受信データは制御回路13に送られ、制御回路13において受信データに基づく所定の処理が行なわれる。
【0025】
図3は、携帯可能情報記憶媒体4の基本的構成の一例を概略的に示している。図3において、15は復調回路・受信アンプ、16は変調回路・送信ドライバで、これらにはループアンテナ5が接続されている。17は各種処理を実行する制御回路で、これには復調回路・受信アンプ15および変調回路・送信ドライバ16が接続されている。18は電源部で、情報処理装置1から受けた電波により電源を生成し、各回路に動作電源を供給する。なお、電源部18は、電池などの電源を内蔵することにより各回路に動作電源を供給するようにしても良い。
【0026】
以下に、動作の概略を簡単に説明する。情報処理装置1から空間に放射された電波は、ループアンテナ5により受信され、受信信号は復調回路・受信アンプ15に送られる。復調回路・受信アンプ15では、受信した信号に対して増幅、復調などの処理を行なうことにより、受信データを得る。得られた受信データは制御回路17に送られ、制御回路17において受信データに基づく所定の処理が行なわれる。
【0027】
図4は、ループアンテナ2の概略構成を示すものである。
【0028】
図4に示すように、ループアンテナ2は、印刷配線基板21上に印刷されたループ状の印刷配線22、この印刷配線22の両端部に接続されているアンテナマッチング回路23、およびループアンテナ2を駆動する変調回路・送信ドライバ11としての駆動回路(後述する)と接続するためのコネクタ24を有している。
【0029】
上記印刷配線22は、印刷基板21上に印刷され、2回巻きのループアンテナ2を形成している。上記コネクタ24は、後述する駆動回路と接続する2つの端子24a、端子24bを有している。これらの端子24a、24bは、上記アンテナマッチング回路23と接続されている。
【0030】
上記印刷基板22上の上記コネクタ24に対向する位置には、スルーホール25、26が設けられいる。これらのスルーホール25、26は、印刷基板21の表面と裏面とを貫通している。また、印刷基板21の表面においてスルーホール25とスルーホール26との間には、少なくとも1つの印刷配線22が配置できるように間隔が設けられている。
【0031】
次に、ループアンテナ本体としての印刷基板21上の印刷配線22の配置について説明する。ここでは、印刷配線22の配置をアンテナマッチング回路23の端部24a側から端部24b側までの順に説明する。
【0032】
上記アンテナマッチング回路23の24a側からの印刷配線22は、上記印刷基板21の外周に沿って1巻き目のループが配置される。この1巻き目の印刷配線22は、上記スルーホール25と26との間を通るように配置され、上記アンテナマッチング回路23、およびコネクタ24がループの内側になるように配置される。
【0033】
印刷基板21上の2巻き目のループとなる印刷配線22は、1巻き目のループが内側となるように印刷基板21の外周の沿ってスルーホール25まで配置される。上記スルーホール25において、印刷配線22は印刷基板21の表面から裏面に移行する。上記スルーホール25で印刷基板21の裏面に至った印刷配線22は、印刷基板21の裏面でスルーホール26に達する。スルーホール26において、印刷配線22は印刷基板21の裏面から表面に移行する。
【0034】
ここで、上記スルーホール25は1巻き目のループの外側となっており、スルーホール26は1巻き目のループの内側になっている。このため、2巻き目の印刷配線22は、スルーホール25まで1巻き目のループの外側を通って、印刷基板21の裏面で交差(クロス)し、スルーホール26から1巻き目のループの内側を通る。
【0035】
従って、スルーホール26で表面に至った印刷配線22は、1巻き目のループの内側を印刷基板21の外周に沿って2巻き目のループを形成し、アンテナマッチング回路23の端部24b側に接続される。
【0036】
これにより、ループの半周ごとに、内側(1巻き目)、外側(1巻き目)、外側(2巻き目)、内側(2巻き目)となる2巻きのループアンテナ2が印刷基板21上に印刷され、印刷配線22によるループアンテナは、一方の駆動端から印刷配線の中点までのループと、他方の駆動端から印刷配線の中点までのループとが対称となるように形成される。従って、2巻きループアンテナで駆動両端から等距離にあたる1点で、2巻きの内と外とを交差させたループアンテナが形成される。
【0037】
次に、上記のように構成されるループアンテナ2を駆動する駆動回路11について説明する。
【0038】
図5は、情報処理装置の変調回路・送信ドライバ11としての駆動回路11の概略構成を示す図である。図5に示すように、この駆動回路11は、正相逆相キャリア出力部31、データ入力部32、変調回路33a、33b、駆動アンプ34a、34b、マッチング回路35a、35b、VD駆動電源部36、コネクタ部37などから構成されている。
【0039】
上記キャリア出力部31は、入力される搬送波としてのキャリアから正相のキャリアと、逆相のキャリアを生成し、それぞれ出力するものである。このキャリア出力回路31から出力された正相キャリアは、上記変調回路33aへ送られる。また、上記キャリア出力回路31から出力された逆相キャリアは、上記変調回路33bへ送られる。
【0040】
上記データ入力部32には、送信するデータが入力される。このデータ入力部32に入力されたデータは、上記変調回路33aおよび変調回路33bへ送られる。
【0041】
上記変調回路33a、33bは、キャリアを送信するデータに基づいて変調するものである。これらの変調回路33a、33bは、振幅変調、周波数変調、位相変調などの種々の変調方式が利用可能であるが、例えば、「1」、「0」のデータ信号でキャリアの振幅を変調する振幅変調方式(ASK)が用いられる。
【0042】
すなわち、上記変調回路33aは、キャリア出力部31からの正相キャリアをデータ入力部32から送られたデータに基づいて変調して変調信号を生成する。一方、上記変調回路33bは、キャリア出力部31からの逆相キャリアをデータ入力部32から送られたデータに基づいて変調して変調信号を生成する。
【0043】
これらの変調回路33a、33bで生成された変調信号は、それぞれ駆動アンプ34a、34bにより増幅され、マッチング回路35a、35bへ送られる。これらのマッチング回路35a、35bは、それぞれ共振回路およびインピーダンス変換回路であり、VD駆動電源36により駆動される。
【0044】
このマッチング回路35aを介した正相の変調信号は、コネクタ部37の端子37aに出力される。また、このマッチング回路35aを介した逆相の変調信号は、コネクタ部37の端子37bに出力される。
【0045】
このように構成される駆動回路11を上記ループアンテナ2に接続させて駆動させると、ループアンテナ2が平衡駆動されるようになっている。すなわち、上記駆動回路11の端子37aをループアンテナ2の端子24aに接続し、上記駆動回路11の端子37bをループアンテナ2の端子24bに接続すると、ループアンテナ2の一端(24a)には、正相の変調信号が入力され、他端(24b)には、逆相の変調信号が入力される。
【0046】
また、上記例では、2回巻きのループアンテナについて説明したが、これに限らず、駆動両端から等距離にあたる1点で内側のループと外側のループを交差させることにより、4回巻き、6回巻きなどの偶数巻きであっても上記と同様な効果が得られるループアンテナを実現できる。
【0047】
上記のように、複数巻きループアンテナで駆動両端から等距離にあたる1点で、内側のループと外側のループとを交差させるようにしたループアンテナと、キャリアの正相と逆相それぞれを基に変調をかけたアンプ出力をアンテナ駆動信号として上記ループアンテナ両端を駆動するようにした駆動回路とによりアンテナを平衡駆動するようにしたものである。
【0048】
これにより、ループアンテナを平衡駆動でき、電波の擾乱を輻射制限パターンもなく防止でき、例えば、3m先のデータによる電界強度を理論値に抑制できる。そのため、法規制内の強い電波輻射が可能となり、結果として通信距離の確保が可能となる。
【0049】
次に、ループアンテナ2と駆動回路11との他の構成例について説明する。図6はループアンテナ2の概略構成を示し、図7は駆動回路11の概略構成を示すものである。なお、図4、および図5に示す構成と同一箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
この場合、ループアンテナ2には、図6に示すように、コネクタ部24に端子24cが設けられている。この端子24cは、印刷配線22の全長の中点となる位置で印刷配線22と接続されている。一方、駆動回路11には、図7に示すように、コネクタ部37にアース端子37cが設けられている。
【0051】
この駆動回路11のアース端子37cは、上記ループアンテナ2の端子24cに接続されるようになっている。これにより、ループアンテナ2の印刷配線22の中点が接地され、ループアンテナ2における平衡駆動を安定動作させることができる。
【0052】
次に、上記上位装置3としての自動改札装置について説明する。
図8は、上記携帯可能情報記憶媒体4としての無線カードAを処理できる入場用(出場用)の自動改札装置41の外観構成を概略的に示すものである。自動改札装置41は、通常、2台1組として駅の改札口などに設置され、両者の間に通行者が通行する通路が形成される。
【0053】
自動改札装置本体42の上面の一端部には、上記情報処理装置1としての無線カードリーダライタ43が設けられている。この無線カードリーダライタ43には、通行者が携帯し、無線通信によって送受信する機能を備えた無線カードAとの間で改札情報などを送受信するために、上記ループアンテナ2が内蔵されている。このループアンテナ2は、例えば、無線カードAに内蔵されるアンテナと同サイズで形成される。また、このループアンテナ2では、上記したように、無線カードAとの距離が極近距離にある場合においても通信可能となっており、例えば、無線カードAがループアンテナ2の設置位置43で自動改札装置の筐体に接触しているような場合であっても十分な通信が可能となっている。
【0054】
また、上記無線カードAは、例えば、定期券、SFカードとして利用される。このような無線カードAには、定期券情報、SF残額情報、前回の使用履歴などの改札情報が記憶される。また、使用履歴としては、入場用の自動改札装置の場合、乗車駅名、乗車日時などを受信して記憶し、出場用の自動改札装置の場合、降車駅名、降車日時、利用金額などを受信して記憶するようになっている。
【0055】
上記本体42上には、通行者や駅員などに対して案内を行うためのプラズマディスプレイにより構成されている案内表示部44が設けられている。
【0056】
また、本体42の通路側の側面の両端部には、それぞれ通行者の通行を制御する開閉動作可能なドア45、45が設けられており、通行可否の判定結果に基づき、このドア45、45が開閉制御されるようになっている。
【0057】
本体42の各通路側の側面には、通行者検知手段としての複数の光学的な検知器(図示しない)が設けられている。
【0058】
図9は、上記のように構成された自動改札装置41の制御系統の構成を示すものである。すなわち、この制御系統は、自動改札装置41全体の制御を司るCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)51、CPU51の制御プログラムなどを記憶しているROM(リード・オンリ・メモリ)52、無線カードから読取った情報の記憶、および、制御プログラムのバッファとして情報を記憶する記憶手段としてのRAM(ランダム・アクセス・メモリ)53、無線カードの使用が開始された乗車駅(あるいは、乗車駅に対応した乗車駅コード)に対応した運賃情報を記憶している運賃メモリ54、上記案内表示部44を制御する表示制御回路55、上記ドア45を駆動するドア開閉機構56を制御するドア制御回路57、上記検知器の各検知出力に基づき通行者の通過状況などを検知する人間検知器制御回路58、上記無線カードリーダライタ43、および、本装置を制御する図示しないホスト装置としてのホストコンピュータ(本社コンピュータ)59との間で情報の伝送を行う伝送制御回路60などから構成されている。
【0059】
次に、上記のような構成において、入場用の自動改札装置41における乗車時の動作を説明する。
【0060】
まず、無線カードリーダライタ43は、駆動回路11によりループアンテナ2を平衡駆動し、通信エリア内の無線カードAに対する通信開始の電波を放射している。この状態において、利用者が通信エリア内に無線カードAを提示すると、無線カードAは無線カードリーダライタ43からの電波をアンテナ5により受信し、この受信した電波により電源部34で無線カードAの動作に必要な電力を生成し、復調回路・受信アンプ15、変調回路・送信ドライバ16、および制御回路17などに供給する。
【0061】
この電力の供給により、制御回路17は図示しないメモリ部に記録されている定期券情報としての発駅情報、着駅情報、有効期限と前回の使用履歴(乗車区間駅名、通用期限、前回乗車履歴等)をアンテナ5より放射する。
【0062】
この放射した電波は、無線カードリーダライタ43内のループアンテナ2が受信し復調回路・受信アンプ12により復調して、CPU51に供給される。これにより、CPU51は、受信した乗車区間駅名、通用期限とこの自動改札装置41の設置駅、稼働日時等とを比較判定し、乗車可能か否かを判断する。
【0063】
この判断の結果、乗車可能な場合、CPU51は、「乗車駅名、乗車日時等」を示すデータを無線カードリーダライタ43により無線カードAへ送信する。この際、無線カードリーダライタ43は、制御回路13により送信するデータを駆動回路(変調回路・送信ドライバ)11へ供給する。これにより、駆動回路11は、正相キャリアおよび逆相キャリアを基に送信するデータで変調した変調信号を駆動アンプ34a、34bおよびマッチング回路35a、35bを介してループアンテナ2を平衡駆動して放射する。
【0064】
一方、無線カードAでは、無線カードリーダライタ43から放射された電波をアンテナ5を介して受信する。これにより、無線カードA内の制御回路17は、受信した乗車駅名、乗車日時等を使用履歴情報としてメモリ部(図示しない)へ記録する。すなわち、乗車駅名を入出場駅情報として記録し、乗車日時を入出場日時として記録する。
【0065】
この結果、無線カードAは、全ての処理を終了すると、処理完了を示すデータをアンテナ5より放射する。このデータを無線カードリーダライタ43が受信した際、CPU51は、ドア開閉機構56によりドアを開放して利用者の通行を許可する。
【0066】
次に、上記のような構成において、出場用の自動改札装置1における出場時の動作を説明する。
【0067】
まず、無線カードリーダライタ43は、駆動回路11によりループアンテナ2を平衡駆動し、通信エリア内の無線カードAに対する通信開始の電波を放射している。この状態において、利用者が通信エリア内に無線カードAを提示すると、無線カードAは無線カードリーダライタ43からの電波をアンテナ5により受信し、この受信した電波により電源部34で無線カードAの動作に必要な電力を生成し、復調回路・受信アンプ15、変調回路・送信ドライバ16、および制御回路17などに供給する。
【0068】
この電力の供給により、制御回路17は図示しないメモリ部に記録されている改札情報としての発駅情報、着駅情報、有効期限と前回の使用履歴(乗車区間駅名、通用期限、前回乗車履歴等)をアンテナ5より放射する。
【0069】
この放射した電波は、無線カードリーダライタ43内のループアンテナ2が受信し復調回路・受信アンプ12により復調して、CPU51に供給される。これにより、CPU51は、受信した乗車区間駅名、通用期限とこの自動改札装置41の設置駅、稼働日時等とを比較判定し、出場可能か否かを判断する。
【0070】
この判断の結果、出場可能な場合、CPU51は、「出場駅名、出場日時等」を示すデータを無線カードリーダライタ43を介して無線カードAへ返信する。この際、無線カードリーダライタ43は、制御回路13により送信するデータを駆動回路(変調回路・送信ドライバ)11へ供給する。これにより、駆動回路11は、正相キャリアおよび逆相キャリアを基に送信するデータで変調した変調信号を駆動アンプ34a、34bおよびマッチング回路35a、35bを介してループアンテナ2を平衡駆動して放射する。
【0071】
一方、無線カードAでは、無線カードリーダライタ43から放射された電波をアンテナ5を介して受信する。これにより、無線カードA内の制御回路17は、受信した出場駅名、出場日時等を使用履歴情報としてメモリ部(図示しない)へ記録する。すなわち、出場駅名を入出場駅情報として記録し、出場日時を入出場日時として記録する。
【0072】
この結果、無線カードAは、全ての処理を終了すると、処理完了を示すデータをアンテナ5より放射する。このデータを無線カードリーダライタ43が受信した際、CPU51は、ドア開閉機構56によりドアを開放して利用者の通行を許可する。
【0073】
上記のように、無線カードを処理する自動改札装置に上記ループアンテナと上位駆動回路とを有する無線カードリーダライタを設置するようにしたものである。
【0074】
これにより、通信エリア内で法規制内の強い電波を放射することができ、かつ、自動改札装置本体に設置するループアンテナの大きさを無線カードとほぼ同サイズで実現でき、自動改札機本体におけるループアンテナの設置部分の面積を小さくすることができる。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、アンテナ全体の形状を大きくすることなく、電波法の規制内での強い電波輻射が可能で、通信距離の確保が可能となるアンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無線通信システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図2】情報処理装置の基本的構成の一例を概略的に示すブロック図。
【図3】携帯可能情報記憶媒体の基本的構成の一例を概略的に示すブロック図。
【図4】ループアンテナ本体の概略構成を示す図。
【図5】図4のループアンテナ本体を駆動する駆動回路の概略構成を示す図。
【図6】図4の他の例としてのループアンテナ本体の概略構成を示す図。
【図7】図6のループアンテナ本体を駆動する駆動回路の概略構成を示す図。
【図8】無線カードを処理できる自動改札装置の外観構成を概略的に示す図。
【図9】図8の自動改札装置の概略構成を示す図。
【図10】従来の微小ループコイルからの放射電界強度モデルを示す図。
【図11】図10の微小ループアンテナからの放射を解いた図。
【図12】従来の性能の悪いアンテナを使用した場合の距離対放射電界(磁界)強度特性の一例を示す図。
【図13】従来のループアンテナの構成を模式的に示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図。
【符号の説明】
1……情報処理装置
2……ループアンテナ本体
3……上位装置
4……携帯可能情報記憶媒体(無線カード)
11……変調回路・送信ドライバ(駆動回路、駆動手段)
12……復調回路・受信アンプ
13……制御回路
41…自動改札装置
43…無線カードリーダライタ

Claims (10)

  1. 2つの駆動端を有する複数巻きループが、内側と外側とを交差部にて交差させてなるループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して平衡駆動する駆動手段と、を備え、
    上記ループアンテナの1巻き目のループは上記駆動端の一方から上記交差部を通って上記駆動端が内側になるよう配置され、上記ループアンテナの2巻き目のループは上記交差部にて上記1巻き目のループの内側になるように配置されるとともに上記駆動端の他方に接続されることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 2つの駆動端を有する複数巻きループが、上記2つの駆動端から等距離の位置で内側と外側とを交差させてなるループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して、一方の駆動端を正相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動し、他方の駆動端を逆相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動する駆動手段と、
    を具備したことを特徴とするアンテナ装置。
  3. 2つの駆動端を有する複数巻きループが、上記2つの駆動端から等距離の位置で内側と外側とを交差させ、上記ループの全長に対する中点を接地したループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して平衡駆動する駆動手段と、
    を具備したことを特徴とするアンテナ装置。
  4. 印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きのループを形成し、内側の印刷配線と外側の印刷配線とが交差部にて交差してなるループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して平衡駆動する駆動手段と、を備え、
    上記ループアンテナの1巻き目のループは上記駆動端の一方から上記交差部を通って上記駆動端が内側になるよう配置され、上記ループアンテナの2巻き目のループは上記交差部にて上記1巻き目のループの内側になるように配置されるとともに上記駆動端の他方に接続されることを特徴とするアンテナ装置。
  5. 印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きループを形成し、上記2つの駆動端から等距離の位置で内側の印刷配線と外側の印刷配線とが交差してなるループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して、一方の駆動端を正相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動し、他方の駆動端を逆相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動する駆動手段と、
    を具備したことを特徴とするアンテナ装置。
  6. 印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きループを形成し、上記印刷基板の表面から裏面へ至る少なくとも2つのスルーホールを介して印刷配線が印刷基板の裏面を通って表面に印刷されている印刷配線と交差してなるループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して平衡駆動する駆動手段と、を備え、
    上記ループアンテナの1巻き目のループは上記駆動端の一方から上記交差部を通って上記駆動端が内側になるよう配置され、上記ループアンテナの2巻き目のループは上記交差部にて上記1巻き目のループの内側になるように配置されるとともに上記駆動端の他方に接続されることを特徴とするアンテナ装置。
  7. 印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きループを形成し、上記2つの駆動端から等距離の位置に設けられた印刷基板の裏面へ至る少なくとも2つのスルーホールを介して印刷配線が印刷基板の裏面を通って表面に印刷されている印刷配線と交差してなるループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して、一方の駆動端を正相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動し、他方の駆動端を逆相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動する駆動手段と、
    を具備したことを特徴とするアンテナ装置。
  8. 印刷基板上に印刷される印刷配線が上記印刷基板の外周に沿って2つの駆動端を有する複数巻きのループを形成し、上記2つの駆動端から等距離の位置で内側の印刷配線と外側の印刷配線とが交差し、上記印刷配線の全長に対する中点を接地したループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して平衡駆動する駆動手段と、
    を具備したことを特徴とするアンテナ装置。
  9. 上記ループアンテナは、偶数巻きであることを特徴とする上記請求項1に記載のアンテナ装置。
  10. 2つの駆動端を有する複数巻きループが、内側と外側とを交差してなるループアンテナ本体と、
    このループアンテナ本体の2つの駆動端に対して、一方の駆動端を正相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動し、他方の駆動端を逆相のキャリアを基に送信するデータで変調した変調信号により駆動する駆動手段と、
    を具備したことを特徴とするアンテナ装置。
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