JP4191512B2 - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重荷重用空気入りラジアルタイヤに関し、更に詳しくは、偏摩耗の発生、進行を抑制するようにした重荷重用空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
トラックやバス用のリブパターンを有する重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、特に操舵輪である前輪に装着したタイヤでは比較的低い荷重条件で受ける転動時あるいは旋回時の横力等で、各リブに様々な偏摩耗が発生する。そのため、タイヤ全体としての摩耗はそれほど進行していないにもかかわらず、偏摩耗による振動等により乗り心地が非常に悪化し、タイヤを交換しなければならなくなるという問題があった。
【0003】
このような偏摩耗の中には、特にショルダーリブに、タイヤ周方向に波状に摩耗が進行する波状摩耗や、タイヤ周方向に略直線的にショルダーリブのタイヤ外側部分が部分的に摩耗し段差が発生する肩落ち摩耗(段差摩耗)と呼ばれる形態がある。従来、このショルダーリブの偏摩耗防止対策としてショルダーエッジに細溝を配置し、その外側を「捨てリブ」として摩耗犠牲部を設けることが行われていた。この対策により、ある程度の効果はあげているが、依然としてショルダーリブの肩落ち摩耗を十分満足できる程度に解消していないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ショルダーリブの肩落ち摩耗の発生および進行を抑制する重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、トレッド面にタイヤ周方向の主溝に区分されたリブパターンを設けた重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、ショルダーリブがラウンドショルダーに形成され、該ラウンドショルダー部に主溝深さの85%〜100%の深さの細溝をタイヤ周方向に設け、該細溝からタイヤ幅方向外側を細幅の捨てリブにすると共に、タイヤ幅方向内側に複数のサイプをタイヤ周方向に沿って配置したことを特徴とする。
【0006】
このように、ショルダーリブのラウンドショルダー部にタイヤ周方向に所定の深さの細溝を形成し、この細溝のタイヤ幅方向外側に細幅の捨てリブを形成すると共に、タイヤ幅方向内側に多数のサイプをタイヤ周方向に沿って設けたため、タイヤ幅方向外側の捨てリブが摩耗犠牲部となって摩耗する一方、サイプを設けたタイヤ幅方向内側は、剛性が低下することにより、横力等を吸収し、ショルダーリブの偏摩耗の発生および進行を抑制する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤのトレッド部の一部を示す平面図であり、図2は同重荷重用空気入りラジアルタイヤのショルダーリブの要部を示す子午線断面図である。
【0009】
本発明の空気入りラジアルタイヤはトレッド部1の表面にタイヤ周方向に複数本の主溝2が延在しており、該主溝2によりセンター部とショルダー部とのリブ3, 3(4)とブロック列3’とがタイヤ周方向に形成されている。タイヤ最外側に位置するショルダーリブ4は、図2に示すようにショルダーがラウンド状に形成されている。このラウンドショルダー部8にタイヤ周方向に延びる細溝5が形成されている。この細溝5の形成により、そのタイヤ幅方向外側に細幅の捨てリブ7が形成され、またタイヤ幅方向内側には複数のサイプ6がタイヤ周方向に沿って配置されている。CLはタイヤセンターラインを示している。
【0010】
捨てリブ7は、好ましくは図2に示すように細溝5の開口端で面取りされているとよい。更に好ましくは、図3に示すように、ショルダーリブ側の開口端も面取りされているとよい。
【0011】
上記構成のタイヤを操舵輪に装着して走行を行うと、ラウンドショルダー部8上で細溝5に区分された細幅のリブ7は捨てリブとして摩耗し、さらにサイプ6を設けたタイヤ内側のラウンドショルダー部8は、サイプ6の配置により剛性が低くなるため、タイヤに加わった横力等を吸収し、偏摩耗し難くすることができる。それにより、ショルダーリブの肩落ち摩耗の発生および進行を抑制することが可能になる。
【0012】
本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、細溝5の深さは、主溝深さの85%〜100%の深さである。85%より浅いと細溝によるショルダーリブの肩落ち摩耗の発生抑制効果が低減するため好ましくない。100%を超えると、タイヤ更生時にトレッドゴムを剥がした後の更生に使用する部分にまで溝が残存するため好ましくない。
【0013】
サイプ6は、細溝5からタイヤ幅方向内側にタイヤ周方向に沿って形成されている。サイプ6の深さは細溝5の深さの80〜100%が好ましい。80%より小さいと、サイプの大きさが小さ過ぎて横力等に対する吸収効果が低下するため、ショルダーリブの肩落ち摩耗抑制効果が低減する。また、摩耗の進行に従って横力等に対する吸収効果が低減し、80%以上摩耗するとサイプ自体が消滅してしまうため、ショルダーリブの肩落ち摩耗抑制効果が無くなってしまう。また、サイプ6の深さが細溝5の深さの100%を超えると、細溝5の溝底での剛性が小さくなり、その部分からクラックを発生するようになる。
【0014】
細溝5は、トレッド面10とラウンドショルダー部8とが接合するショルダーポイントXから細溝中心迄の距離が、トレッド面10のタイヤ幅方向外側への延長線Oとバットレス線9のタイヤ径方向外側への延長線Pとの交点YとショルダーポイントXまでの距離Lの1/3〜 2/3 の範囲であることが好ましい。
【0015】
細溝5の中心のショルダーポイントXからの距離が距離Lの1/3より小さいと、サイプ6による横力等を吸収する容量が小さくなり過ぎるため、ショルダーリブの肩落ち摩耗の抑制効果が低下する。また、距離Lの2/3より大きいと、細溝5のタイヤ幅方向外側の捨てリブ7の幅が少なくなり、捨てリブとしての役割を果たさなくなるため、ショルダーリブ4側に直接横力等が加わるようになり、ショルダーリブ4の肩落ち摩耗発生の抑制効果が低下する。
【0016】
さらに細溝5の溝幅Wは1.5〜5.0mmであることが好ましい。1.5mmより小さいと、タイヤに横力が加わったときに細溝5の対面する2つの壁面の摩擦力が大きくなり過ぎるため、細溝5のタイヤ幅方向外側のショルダー部8がタイヤ幅方向内側のショルダー部8と一体となって変形するようになり、横力等がショルダーリブ4全体に大きく作用するようになるため、ショルダーリブの肩落ち摩耗の発生の抑制効果が低下する。また、5.0mmより大きいと、細溝5のタイヤ幅方向外側のショルダー部8が横力等を受けたときの変形が大きくなり過ぎるため、捨てリブとしての効果が少なくなり、細溝5のタイヤ幅方向内側に直接横力等が加わるようになるため、ショルダーリブの肩落ち摩耗の発生の抑制効果が低下する。
【0017】
細溝5の開口部は、少なくとも捨てリブ7の頂部が面取りされていることが好ましい。さらに好ましくは図3に示すように、細溝5の開口部のタイヤ幅方向外側のリブエッジ11aとタイヤ幅方向内側のリブエッジ11bとの両方を、面取りすることが好ましい。リブエッジ11aまたは11bを面取りすることにより、タイヤに横力等がを逃がすため、ショルダーリブの肩落ち摩耗の抑制効果を一層良好にする。
【0018】
リブエッジ11aの面取り幅は、0.5〜5.0mmが好ましく、リブエッジ11bの面取り幅は、0.5〜5.0mmが好ましい。面取りによる切り口は平面状でもよいが、タイヤに対して外側に凸状の曲面が好ましい。
【0019】
本発明において図2に示すラウンドショルダー部とは、ショルダーポイントXにおける接線の向きがトレッド面10の方向と重なるような形状(ラウンド)であってもよいし、上記接線とトレッド面10との方向が一致せず、凸状の稜線を形成するような形状(セミラウンド)であってもよい。また、ラウンドショルダー部の子午線断面形状は、円弧または楕円の一部であってもよいし、その他の曲線であってもよい。
【0020】
【実施例】
表1に示すような条件で、実施例1, 2、比較例1〜4のタイヤをそれぞれ製作した。
【0021】
表1に示す条件以外の条件は以下の通り共通にした。
【0022】
タイヤサイズを11R22.5−14PR、ショルダー部形状をセミラウンド、細溝の位置を細溝中心がショルダーポイントXからタイヤ幅方向外側に向かって距離Lの1/3〜 2/3 の範囲にし、細溝幅Wを2.5mm、そして細溝5の開口部面取りはリブエッジ10a、10b共に行った。
【0023】
これら各試験タイヤをリムに装着し、下記の試験方法により摩耗試験を行い、ショルダーリブの肩落ち摩耗状態を評価した。その結果を表1に示す。
【0024】
試験方法:
JATMA規定の空気圧を充填し、平ボディ型車両のフロント軸に装着した状態でショルダーリブ肩落ちが発生するまで走行を行い、ショルダーリブ肩落ちが発生した時の摩耗率で比較した。
【0025】
【表1】
表1から明らかなように、細溝深さを主溝深さの85%以上の深さにし、サイプを設けた実施例1及び2のタイヤは、ショルダーリブの肩落ち摩耗が抑制されている。
【0026】
【発明の効果】
上述したように本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤによれば、ショルダーリブのラウンドショルダー部にタイヤ周方向に所定の深さの細溝を形成し、この細溝のタイヤ幅方向外側に細幅の捨てリブを形成すると共に、タイヤ幅方向内側に多数のサイプをタイヤ周方向に沿って設けたため、タイヤ幅方向外側の捨てリブが摩耗犠牲部となって摩耗する一方、サイプを設けたタイヤ幅方向内側は、剛性が低下することにより、横力等を吸収し、ショルダーリブの偏摩耗の発生および進行を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤのトレッド部の一部を示す平面図である。
【図2】本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤのショルダーリブの要部を示す子午線断面図である。
【図3】図2の細溝による開口部を拡大した図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 主溝
3 リブ
3’ ブロック列
4 ショルダーリブ
5 細溝
6 サイプ
7 捨てリブ
8 ラウンドショルダー部
9 バットレス線
10 トレッド面
Claims (4)
- トレッド面にタイヤ周方向の主溝に区分されたリブパターンを設けた重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、ショルダーリブがラウンドショルダーに形成され、該ラウンドショルダー部に主溝深さの85%〜100%の深さの細溝をタイヤ周方向に設け、該細溝からタイヤ幅方向外側を細幅の捨てリブにすると共に、タイヤ幅方向内側に複数のサイプをタイヤ周方向に沿って配置した重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ラウンドショルダー部のショルダーポイントから、前記細溝の中心までの距離が、前記ショルダーポイントからトレッド面に沿う延長線とバットレス線の延長線との交点までの距離Lの1/3〜 2/3 である請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記細溝の開口部の少なくともタイヤ幅方向外側のリブエッジを面取りした請求項1または2に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記細溝の溝幅が1.5〜5.0mmである請求項1〜3のいずれかに記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
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